JP2009224517A - プラズマ処理方法およびプラズマ処理装置 - Google Patents

プラズマ処理方法およびプラズマ処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ワークの被処理面に対して、均一でムラのないプラズマ処理することができるとともに、プラズマ発生領域とワークとの相対的な移動パターンを単純化し、プラズマ処理の効率を向上することのできるプラズマ処理方法およびプラズマ処理装置を提供すること。
【解決手段】上部電極21および下部電極22間に、被処理面101の形状が略多角形のワーク10を位置させ、上部電極21および下部電極22間にプラズマを発生させ、このプラズマが発生するプラズマ発生領域Sとワーク10とを相対的に移動することにより、被処理面101の全域を連続的に処理するプラズマ処理方法であって、被処理面101の縁部に対するプラズマ処理は、被処理面101の少なくとも隣り合う2辺をそれぞれその辺に沿って直線状にかつ連続して行う。
【選択図】図3

Description

本発明は、プラズマ処理方法およびプラズマ処理装置に関するものである。
材料の表面を加工する方法の1つとして、高周波電圧を印加した電極間に反応ガスを含む処理ガスを供給し、反応ガスに基づくラジカルを発生させ、該ラジカルとワークとのラジカル反応によって生成された生成物質を除去することで加工を行う、いわゆるプラズマChemical Vaporization Machining(以下、「プラズマCVM」と略す。)が知られている。
このようなプラズマCVMでは、電極をワークに対して2次元的に走査して、電極とワークとを相対的に移動し、互いの位置関係を変化させながらワークの被処理面に対しプラズマ処理する方法が行われている(例えば、特許文献1)。
特許文献1のプラズマ処理(プラズマエッチング処理)では、ステージをX−Y方向に移動することにより、ステージ上に載置されたシリコンウエハを反応管に対して相対的に移動している。そして、この移動パターンとして、ステージを上下方向に往復移動しながら左側から右側に向けて移動(改行)する蛇行状のパターンを用いている。
しかしながら、この移動パターンによると、シリコンウエハの中央部と縁部とが交互にプラズマ処理されることとなる。そのため、シリコンウエハの中央部をプラズマ処理する際に発生する安定なグロー放電と、シリコンウエハの縁部をプラズマ処理する際に発生する不安定なアーク放電とが、プラズマ処理中に交互に何度も切り替わる。これでは、シリコンウエハの縁部をプラズマ処理する際に発生したアーク放電が消滅しない間に(すなわち、維持されたまま)、シリコンウエハの中央部の一部または全域がプラズマ処理されてしまう。そのため、シリコンウエハに対して、均一でムラのないプラズマ処理することが困難となる。
特開平11−67736号公報
本発明の目的は、ワークの被処理面に対して、均一でムラのないプラズマ処理することができるとともに、プラズマ発生領域とワークとの相対的な移動パターンを単純化し、プラズマ処理の効率を向上することのできるプラズマ処理方法およびプラズマ処理装置を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のプラズマ処理方法は、対向配置された一対の電極間に、被処理面の形状が略多角形の板状のワークを位置させ、前記被処理面に処理ガスを供給するとともに、前記一対の電極間へ通電し、それにより前記処理ガスを活性化させてプラズマを発生させ、前記プラズマが発生するプラズマ発生領域と前記ワークとを相対的に移動することにより、前記被処理面を局所的かつ連続的に処理するプラズマ処理方法であって、
前記被処理面の縁部に対するプラズマ処理は、前記被処理面の少なくとも隣り合う2辺をそれぞれその辺に沿って直線状にかつ連続して行うことを特徴とする。
これにより、ワークの被処理面に対して、均一でムラのないプラズマ処理をすることができるとともに、プラズマ発生領域とワークとの相対的な移動パターンを単純化し、プラズマ処理の効率を向上することができる。
本発明のプラズマ処理方法では、前記被処理面の縁部に対するプラズマ処理は、前記被処理面のすべての辺に対して、その辺に沿って連続的に行うことが好ましい。
これにより、アーク放電が発生し得る被処理面の縁部を連続してプラズマ処理することができ、縁部の各辺に対して、均一な処理を行うことができる。また、アーク放電が発生している状態とグロー放電が発生している状態とが交互に何度も切り替わることを防止できる。
本発明のプラズマ処理方法では、前記被処理面上に、互いに直交するx軸およびy軸を設定したとき、
前記被処理面の縁部をプラズマ処理する際には、前記プラズマ発生領域と前記ワークとの相対的な移動は、前記x軸方向および前記y軸方向のいずれか一方の移動であることが好ましい。
これにより、プラズマ処理領域とワークとの相対的移動を制御することがより簡単となる。
本発明のプラズマ処理方法では、前記被処理面のプラズマ処理は、前記被処理面の中央部から縁部に向けて渦巻き状に行われることが好ましい。
これにより、プラズマ発生領域とワークとの相対的な移動パターンをより単純化することができる。
本発明のプラズマ処理方法では、前記被処理面のプラズマ処理は、前記被処理面の縁部から中央部に向けて渦巻き状に行われることが好ましい。
これにより、プラズマ発生領域とワークとの相対的な移動パターンをより単純化することができる。
本発明のプラズマ処理方法では、前記被処理面のプラズマ処理は、一筆書きで連続的に行うことが好ましい。
これにより、1つのワークに対し、プラズマ処理の開始から終了まで装置を停止することがなく、処理時間を短縮することができる。
本発明のプラズマ処理方法では、前記被処理面の縁部と中央部とで、異なる条件でプラズマ処理を行うことが好ましい。
これにより、被処理面の縁部と中央部とで、それぞれその場所に適した条件でプラズマ処理を行うことができ、被処理面を安定的にプラズマ処理することができる。また、被処理面の縁部および中央部のうちの一方をプラズマ処理した後、他方をプラズマ処理するため、条件の切り替えが極めて容易となる(例えば切り替えが1回で済む)。
本発明のプラズマ処理方法では、前記被処理面の縁部をプラズマ処理する際に前記一対の電極間に印加する電圧の大きさは、前記被処理面の中央部をプラズマ処理する際に前記一対の電極間に印加する電圧の大きさよりも小さいことが好ましい。
これにより、被処理面の中央部と縁部とのプラズマ処理のムラ(差)を少なくすることができ、被処理面の全域を均一にプラズマ処理することができる。
本発明のプラズマ処理方法では、前記被処理面の縁部をプラズマ処理する際の前記プラズマ発生領域と前記ワークとの相対的な移動速度は、前記被処理面の中央部をプラズマ処理する際の前記プラズマ発生領域と前記ワークとの相対的な移動速度よりも遅いことが好ましい。
これにより、被処理面の中央部と縁部とのプラズマ処理のムラ(差)を少なくすることができ、被処理面の全域を均一にプラズマ処理することができる。
本発明のプラズマ処理装置は、対向配置された一対の電極と、
前記一対の電極間に、被処理面の形状が略多角形の板状のワークを載置する載置部と、
前記一対の電極の少なくとも一方の電極と前記ワークとを相対的に移動する移動手段と、
前記ワークの処理面に処理ガスを供給する処理ガス供給手段と、
前記一対の電極間へ通電する通電手段とを有し、
前記処理ガス供給手段により前記被処理面に前記処理ガスを供給するとともに、前記通電手段により前記一対の電極間へ通電し、前記処理ガスを活性化させてプラズマを発生させ、前記移動手段により前記少なくとも一方の電極と前記ワークとを相対的に移動させることにより、前記被処理面を局所的かつ連続的に処理し、
前記被処理面の縁部に対するプラズマ処理は、前記処理面の隣り合う2辺をそれぞれその辺に沿って直線状にかつ連続して行うよう構成されていることを特徴とする。
これにより、ワークの被処理面に対して、均一でムラのないプラズマ処理をすることができるとともに、プラズマ発生領域とワークとの相対的な移動パターンを単純化し、プラズマ処理の効率を向上することができる。
本発明のプラズマ処理装置では、前記被処理面上に互いに直交するx軸およびy軸を設定したとき、
前記移動手段は、前記少なくとも一方の電極と前記ワークとを前記x軸方向および前記y軸方向に相対的に移動することができることが好ましい。
これにより、プラズマ処理領域とワークとの相対的な移動を簡単かつ確実に制御することができる。
本発明のプラズマ処理装置では、前記少なくとも一方の電極と前記ワークとの相対的移動パターンを設定し、その移動パターンに基づいて、前記移動手段の作動を制御する制御手段とを有していることが好ましい。
これにより、プラズマ処理装置の構成が簡易化される。
以下、本発明のプラズマ処理方法およびプラズマ処理装置を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明のプラズマ処理装置について説明する。
図1は、本発明のプラズマ処理装置の実施形態を示す図(断面図、側面図、ブロック図)、図2は、図1に示すワークを説明する平面図、図3は、図1に示すプラズマ処理装置の移動パターンを示す図である。
なお、以下の説明では、図1中互いに直交する3つの方向をx軸方向、y軸方向およびz軸方向とする。そのうち、ワーク10の被処理面101をxy平面とし、被処理面101の法線方向をz軸方向とする。以下、対応する方向はその他の図においても同様である。また、図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
図1に示すように、プラズマ処理装置1は、一対の電極(上部電極21および下部電極22)と、上部電極21と下部電極22との間に処理ガスを供給する処理ガス供給手段3と、上部電極21および下部電極22へ通電する通電手段4と、上部電極21と下部電極22とを相対的に移動する移動手段5と、処理ガス供給手段3、通電手段4および移動手段5等の作動を制御する制御手段6とを有している。
このプラズマ処理装置1は、ワーク10を被処理面(ワーク10の有効処理領域)101を上側にして下部電極22に載置した状態で、処理ガス供給手段3により被処理面101に処理ガスを供給しつつ、通電手段4により上部電極21および下部電極22間へ通電することにより、処理ガスを活性化してプラズマを生成させ、このプラズマが発生するプラズマ発生領域S(上部電極の直下の領域)とワーク10とを移動手段5により相対的に移動することにより、前記プラズマにより被処理面101を局所的にかつ連続してプラズマ処理する装置である。
なお、本願明細書中の「プラズマ処理」は、被処理面101の研磨(例えば、被処理面101の凸部を除去し、被処理面101を平坦化する加工など)、厚さ方向へ貫通または凹没する孔を形成するエッチング加工、所望の平面視形状となるように不要な部分を削除するエッチング加工(成形加工)、被処理面101に所望の特性を付与する表面改質(例えば、撥水性、親水性の付与、熱処理による改質、酸化膜等の形成)、被処理面101に形成されたレジスト層等を除去するアッシング処理など、プラズマを利用した処理全般を含むものである。
以下、プラズマ処理装置1の各部の構成について説明する。
図1に示すように、後述する第1移動手段51を構成するNCステージ上に下部電極22が設けられており、その下部電極22の上方には、上部電極21が設けられている。
上部電極21は、例えば円柱状、四角柱状などの柱状をなしている。このような上部電極21は、導線42を介して後述する高周波電源41に接続されている。なお、上部電極21の形状は、ワーク10の形状(特に、xy平面での平面視における形状)などに合わせて適宜設定することができ、例えば、円錐台、四角柱状円錐台、平板状であってもよい。
上部電極21の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、銅、アルミニウム、鉄、銀等の金属単体、ステンレス鋼、真鍮、アルミニウム合金等の各種合金、金属間化合物、各種炭素材料等が挙げられる。
この上部電極21は、その下側部分が誘電体材料で構成された誘電体部24によって覆われている。
誘電体部24は、四角柱状の形状をなしている。そして、その上面に開口する凹部241が形成されていて、この凹部241に上部電極21の下側部分が挿入されている。これにより、上部電極21および下部電極22間において、電極である金属等が露出しないため、上部電極21および下部電極22間に電界を均一に発生させることができる。また、上部電極21を誘電体部24で覆っているため、インピーダンスの増大を防止することができ、比較的低電圧で所望の放電を生じさせ、プラズマを確実に発生させることができる。なお、誘電体部24の形状は、例えば円錐台や円柱状、板状など、特に限定されない。
このような誘電体部24の構成材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート等の各種プラスチック、石英ガラス、水晶等の各種ガラス、無機酸化物等が挙げられる。前記無機酸化物としては、例えば、Al(アルミナ)、SiO、ZrO、TiO等の金属酸化物、窒化シリコンなどの窒化物、BaTiO(チタン酸バリウム)等の複合酸化物等の誘電体材料等が挙げられる。これらのうち、金属酸化物が好ましく、アルミナがより好ましい。このような材料を用いることにより、電界におけるアーク放電の発生をより効果的に抑制することができる。
下部電極22は、前述したようにNCステージ上に設けられており、上部電極21に対して対向配置されている。このような下部電極22は、平板状をなしている。また、下部電極22の平面視形状は、正方形または長方形をなしている。なお、下部電極22の形状、特に平面視形状は、ワーク10の形状に合わせて適宜設定することができ、例えば、平面視形状が円形であってもよい。
また、下部電極22は、導線42を介して直接接地されており、接地電極としての機能を有する。これにより、下部電極22の帯電を防止することができ、後述するように、上部電極21および下部電極22間に、確実に電界を発生させることができる。
また、下部電極22はワーク10を載置する載置部としての機能も有する。本実施形態では、下部電極22の上面221にワーク10が接触して設置(載置)されている。これにより、確実に、被処理面101にプラズマを接触させることができ、被処理面101をプラズマ処理することができる。
このような下部電極22の構成材料としては、上部電極21の構成材料として例示した材料と同様のものを用いることができる。
下部電極22に載置されるワーク10としては、特に限定されないが、例えば、石英ガラス、無アルカリガラス等の各種ガラス、水晶等の結晶性材料、アルミナ、シリカ、チタニア等の各種セラミックス、シリコン、ガリウム−ヒ素等の各種半導体材料、ダイヤモンド、黒鉛等の炭素系材料、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、液晶ポリマー、フェノール樹脂、アクリル樹脂等各種プラスチック(樹脂材料)のような誘電体材料で構成されたものが挙げられる。以下、本実施系態では、ワーク10を水晶で構成したものについて代表して説明するが、これに限定されるものではない。
本発明では、ワーク10として、平面視の形状が多角形をなすものが用いられる。この中でも、全ての角が90°である多角形のものが好ましく、正方形または長方形であることが特に好ましい。これにより、後述するように、NC制御装置15による下部電極22のNC制御がより簡単となる。
なお、本願明細書の「多角形」は、例えば図2(a)〜(d)に示すような、複数の角のうちの少なくとも1つの角を除去したもの、丸み付けしたもの、複数の辺のうちの少なくとも1つの辺の途中に切り欠き等の除去部(位置決めなどに用いるものを含む)が形成されているものなどを含んでいる。
処理ガス供給手段3は、所定のガスを充填するガスボンベ(ガス供給源)31と、ガスボンベ31から供給されるガスの流量を調整するマスフローコントロ−ラ(流量調整手段)32と、プラズマ発生領域Sに向けて処理ガスを噴出するノズル33と、ノズル33とガスボンベ31とを接続する処理ガス供給流路34と、マスフローコントロ−ラ32より下流端側で、処理ガス供給流路34内の流路を開閉するバルブ(電磁バルブ)35とを有している。マスフローコントローラ32およびバルブ35は、それぞれ、制御手段6に電気的に接続され、制御手段6によりその作動が制御される。
このような処理ガス供給手段3は、バルブ35を開状態とした状態で、ガスボンベ31から処理ガスを送り出し、マスフローコントロ−ラ32により処理ガスの流量を調節する。そして、流量が調整された処理ガスを処理ガス供給流路34を介してノズル33からプラズマ発生領域Sに導入(供給)する。また、処理ガス供給手段3は、バルブ35を閉状態とすることにより、プラズマ発生領域Sへの処理ガスの供給を停止する。
ガスボンベ31内に充填する処理ガスとしては、例えば、CF、C、C、C、CClF、SF等のフッ素原子含有化合物ガスやCl、BCl、CCl等の塩素原子含有化合物ガスなどの各種ハロゲン系ガスが用いられる。
また、処理ガスは、一般に、上記処理ガスとキャリアガスとからなる混合ガスが用いられる。なお、「キャリアガス」とは、放電開始と放電維持のために導入するガスのことを言う。
この場合、ガスボンベ31内に、混合ガス(処理ガス+キャリアガス)を充填して用いてもよいし、処理ガスとキャリアガスとがそれぞれ別のガスボンベに充填され、処理ガス供給流路34の途中でこれらが所定の混合比で混合されるような構成であってもよい。
キャリアガスとしては、He、Ne、Ar、Xe等の希ガスを用いることができる。これらは、単独でも2種以上を混合した形態でも用いることができる。また、処理ガスの解離促進のためにOを混合ガスに混ぜてもよい。
ノズル33は、その先端部分がプラズマ発生領域Sに向かうように設置されている。これにより、プラズマ発生領域Sに確実に処理ガス(混合ガス)を供給することができる。なお、ノズル33の形状、配設位置および数などは、プラズマ発生領域Sに処理ガスを供給することができれば、特に限定されない。例えば、ノズル33は、上部電極21の近傍に設置されていてもよい。また、ノズル33は、プラズマ発生領域Sの移動に伴って移動(追従)するよう構成されていてもよい。
なお、処理ガス供給手段3によって、上部電極21および下部電極22間に供給され、プラズマ発生領域Sにてプラズマ処理に供された処理済みの処理ガスは、好ましくは、図示しない排気手段により排気されるようになっている。この排気手段としては、特に限定されず、例えば吸引ノズルや、上部電極21および下部電極22がチャンバー内に設置されている場合に前記チャンバー内のガスを排気するファンなどが挙げられる。
通電手段4は、上部電極21および下部電極22間に高周波電圧を印加する高周波電源41と、上部電極21と高周波電源41と下部電極22とを導通する導線42とを備えている。また、高周波電源41は、制御手段6によりその作動が制御される図示しない電力調整部を有しており、制御手段6の制御により、供給する電力の大きさ(電力値)を変更し得るようになっている。また、図示されていないが、供給する電力に対する整合回路(インピーダンスマッチング回路)や、高周波電源41の周波数を変える周波数調整手段(回路)や、高周波電源41の印加電圧の最大値(振幅)を変える電圧調整手段(回路)などが必要に応じて設置されている。これにより、ワーク10に対するプラズマ処理の処理条件を適宜調整することができる。
ワーク10に対してプラズマ処理を行うときは、高周波電源41が作動して上部電極21および下部電極22間に高周波電圧が印加される。これにより、上部電極21と下部電極22との間に電界が発生し、処理ガス供給手段3により上部電極21と下部電極22との間に処理ガスが供給されると、放電が生じて、プラズマ発生領域Sにプラズマが発生する。
上部電極21および下部電極22間に印加する高周波の周波数は、特に限定されないが、10〜70MHzであるのが好ましい。また、前記高周波のRFパワーは、特に、限定されないが、10〜150Wであるのが好ましい。
移動手段5は、プラズマ発生領域Sとワーク10とを相対的に、x軸方向およびy軸方向に2次元的に移動する第1移動手段51と、上部電極21とワーク10とをz軸方向に相対的に移動する第2移動手段52とで構成されている。
第1移動手段51は、下部電極22をx軸方向およびy軸方向に移動させるNC(数値制御)ステージ移動装置が用いられる。この第1移動手段51は、ワーク10をプラズマ処理する際に、下部電極22をx軸方向およびy軸方向に移動することにより、被処理面101を上部電極21に対して2次元的に移動する移動手段である。
このような第1移動手段51は、移動速度(すなわち、上部電極21とワーク10との相対的な移動速度)や停止時間等を調整することができるように構成されている。このような第1移動手段51の作動は、NC(数値制御)制御装置15により制御される。
一方、第2移動手段52は、上部電極21をz軸方向に移動する(x軸方向およびy軸方向には移動しない)移動装置が用いられる。この第2移動手段52により、上部電極21と被処理面101との間の間隙距離(換言すれば、上部電極21と下部電極22との電極間距離)を調整することができる。このような第2移動手段52の作動は、制御手段6により制御される。
以上のような構成の移動手段5により、上部電極21は、被処理面101の上方の空間において、ワーク10に対して、相対的に、xyzの3次元空間内で任意の位置(座標)に移動可能となる。
なお、移動手段5としては、本実施形態のものに限定されず、x軸方向、y軸方向およびz軸方向の移動を第1移動手段51および第2移動手段52のいずれが担っていてもよい。例えば、第1移動手段51が下部電極22のz軸方向の移動を担い、第2移動手段52が上部電極21のx軸方向およびy軸方向の移動を担っていてもよい。また、第1移動手段51が下部電極22のすべての方向(x軸方向、y軸方向およびz軸方向)への移動を担っていてもよいし、逆に第2移動手段52が同様の構成であってもよい。
次に、プラズマ処理装置1の回路構成について説明する。
図1に示すように、このプラズマ処理装置1は、入力等の各操作を行う操作部(入力手段)11と、記憶手段12と、プラズマ処理装置1の全体の作動(駆動)を制御する制御手段6と、目標形状データ入力部13と、表面測定器14と、NC制御により第1移動手段51の作動を制御するNC制御装置15とを備えている。
操作部11としては、例えば、キーボード、液晶表示パネル、EL表示パネル等を備えたタッチパネル等を用いることができ、この場合は、操作部11は、各種の情報を表示(報知)する表示手段(報知手段)を兼ねるものでもよい。
目標形状データ入力部13は、ワーク10の被処理面101の目標形状を示す目標形状データを入力する手段である。目標形状データは、目標形状データ入力部13から制御手段6に入力される。
表面測定器14は、ワーク10の被処理面101の形状、特に、凹凸の有無およびその程度を検出する検出部と、その検出結果に基づいて、ワーク10の被処理面101の形状を示す形状データ(凹凸形状プロファイル)を作成するデータ作成部とを有している。被処理面101の形状データは、表面測定器14から制御手段6に入力される。
制御手段6は、例えば、CPUあるいはこれを備えるマイクロコンピュータやパーソナルコンピュータ等のコンピュータで構成されている。この制御手段6には、操作部11からの信号、目標形状データ入力部13および表面測定器14からのデータ等が、それぞれ入力される。
制御手段6は、例えば、予めテストピースを用いて求めた、所定条件(上部電極21および下部電極22に印加する高周波電圧の強さ、上部電極21および下部電極22の電極間距離、処理ガスの種類、供給量等の組み合わせ)でのエッチングレートと、操作部11からの信号、目標形状データ入力部13および表面測定器14からのデータ(例えば前記凹凸形状プロファイル)等とに基づき、予め設定されたプログラムに従って、加工計画データを作成する。そして、制御手段6は、作成された加工計画データに基づいて、プラズマ処理装置1の各部の作動、例えば、ガス供給手段3、通電手段4、移動手段5等の作動をそれぞれ制御する。
例えば、被処理面101を平坦化する場合の加工計画データは、以下のようにして作成される。
まず、ワーク10の形状(平面視形状)に基づいて、下部電極22の移動パターンを設定する(以下、この移動パターンとして後述する渦巻き状のものについて代表して説明する)。次いで、被処理面101上の凹凸の最も深い点(またはその点よりも下面側の点)と交わる平坦な基準面を設定するとともに、設定した基準面から突出している突出部位の位置とその程度(基準面からの距離)を求める。次いで、予め所定値に設定(固定)されたエッチングレートと、被処理面101の各部位における突出の程度とに基づいて、前記突出部位がプラズマ処理領域Sを通過する際の下部電極22の移動速度を決定する。
この移動速度の決定は、まず、被処理面101の前記基準面と交わる点をプラズマ発生領域Sに通過させる際(すなわち、プラズマ処理する必要のない部位をプラズマ発生領域Sに通過させる際)の移動速度を基準移動速度として設定する。次いで、前記突出部位の突出の程度に基づいて、基準移動速度から所定速度だけ遅くした速度を移動速度として決定する。なお、突出の程度が大きいほど、移動速度は遅くなる。
なお、後述するように、被処理面101の中央部101aと縁部101bとで、異なる条件でプラズマ処理する場合には、前記基準移動速度として、被処理面101の中央部101aをプラズマ処理する際の第1基準移動速度と、縁部101bをプラズマ処理する際の第2基準移動速度とを設定することが好ましい。
以上により、エッチングレート、移動パターンおよび移動速度の各データを含む加工計画データが作成される。この加工計画データに基づいて、プラズマ処理を行うことにより、前記突出部分を除去することができ、被処理面101を平坦化することができる。
記憶手段12は、記録媒体を有していて、この記録媒体に、目標形状データ入力部13で入力された被処理面101の目標形状を示す目標形状データ、表面測定器14に測定された被処理面101の形状、前記加工計画データ等を記憶する。記録媒体としては、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリー、ICメモリー、HD(ハードディスク)等が挙げられる。この記憶手段12における書き込み(記憶)、書き換え、消去、読み出し等の制御は、制御手段6によりなされる。
NC制御装置15は、例えば、CPUあるいはこれを備えるマイクロコンピュータやパーソナルコンピュータ等のコンピュータで構成されており、NC制御装置15には、制御手段6により作成された加工計画データ(この中の下部電極22の移動パターン)等が入力される。NC制御装置15は、制御手段6からの加工計画データ等に基づき、予め設定されたプログラムに従って、NC制御により第1移動手段51の作動を制御する。
次に、プラズマ処理装置1の動作を説明する。
制御手段6は、前述した加工計画データに基づいて、処理ガス供給手段3、通電手段4および移動手段5の作動を制御し、ワーク10の被処理面101に対してプラズマ処理を行う。
具体的には、まず、高周波電源41を作動させるとともに、バルブ35を開く。そして、マスフローコントロ−ラ32によりガスの流量を調整し、ガスボンベ31から処理ガスを送り出す。これにより、処理ガスは、処理ガス供給流路34内を流れノズル33から噴出する。噴出した処理ガスは、被処理面101に供給される。一方、高周波電源41の作動により、上部電極21と下部電極22の間に高周波電圧が印加され、プラズマ発生領域Sに電界が発生する。
プラズマ発生領域Sに流入した処理ガスは、放電によって活性化され、プラズマが発生する。そして、発生したプラズマ(活性化されたガス)が、ワーク10の被処理面101に局所的に接触し、その接触した部位に対しプラズマ処理が施される。第1移動手段51により、ワーク10を上部電極21に対してx軸方向およびy軸方向に移動することにより、上部電極21とワーク10とを相対的に移動し、その移動を所定順序かつ所定ルートで行うことにより、被処理面101の全域が連続的にプラズマ処理される。すなわち、被処理面101を上部電極21に対して、所定のルートでx軸方向およびy軸方向に走査することにより、被処理面101の全域が連続的にプラズマ処理される。
以下、プラズマ処理装置1を用いたワーク10のプラズマ処理方法(本願発明のプラズマ処理方法)を詳述する。なお、説明の便宜上、平面視の形状が正方形であって、その上面の全域が被処理面101であるワーク10について代表して説明する。
プラズマ処理装置1は、NC制御装置15により下部電極22を移動し、図3に示すように、被処理面101の中央部101aから縁部101bに向けて直線状の渦巻きを描くようにして被処理面101を局所的にかつ連続的にプラズマ処理する。このように、被処理面101と上部電極21との相対的な移動パターンを直線的な渦巻き状とすることにより、移動パターンをより単純化することができる。
なお、本願明細書の「局所的」とは、ワーク10の平面視(すなわち、z軸方向から見た時の平面視)にて、プラズマ発生領域Sが被処理面101全域よりも十分小さく、上部電極21およびワーク10の少なくとも一方を他方に対して相対的に移動させなければ、被処理面101全域のプラズマ処理を行うことができないことを言う。
また、本願明細書の「連続的」とは、ワーク10に対するプラズマ処理が開始されてから終了するまでの間、プラズマ発生領域Sに絶えずプラズマが発生している場合のみならず、プラズマ処理が開始されてから終了するまでの間に、プラズマ発生領域Sにプラズマが発生していないが、発生させようとすればいつでも発生させられる状態(スタンバイ状態)が存在する場合も含まれる。
このような渦巻き状の移動パターンによれば、被処理面101の中央部101aをプラズマ処理した後に、被処理面101の縁部101bをプラズマ処理することができる。
ここで、被処理面101の中央部101aをプラズマ処理する場合には、プラズマ発生領域S内やその近傍にて下部電極22がワーク10から露出していないため、上部電極21および下部電極22間に安定したグロー放電が発生する。そのため、被処理面101の中央部101aに対して、経時的に安定したエッチングレートでプラズマ処理を行うことができる。
一方、被処理面101の縁部101bをプラズマ処理する場合には、プラズマ発生領域S内やその近傍で下部電極22がワーク10から露出するため、その露出した部分と上部電極21との間に、グロー放電と比較して不安定なアーク放電が発生する。そのため、被処理面101の縁部101bに対して、経時的に不安定なエッチングレートでプラズマ処理が行われることとなり、縁部101bの形状を所望のもの(例えば平坦面化)とすることができない。
特に、従来のように、被処理面101の中央部101aと縁部101bとが交互にプラズマ処理される場合にあっては、縁部101bが間欠的にプラズマ処理されることとなるため、本来でもアーク放電が原因で縁部101bに対して均一なプラズマ処理を行うことが困難なのに、その困難性がさらに顕著なものとなる。また、縁部101bをプラズマ処理する際に発生したアーク放電が消滅しない間に、被処理面101の中央部101aがプラズマ処理されてしまうため、本来ならば安定したエッチングレートでプラズマ処理が可能な中央部101aですら、不安定なエッチングレートでプラズマ処理されることとなる。その結果、被処理面101の全域にわたって、不安定なエッチングレートでプラズマ処理され、被処理面101の形状を所望のもの(例えば平坦面化)とすることができない。
また、被処理面101の全域、特に縁部101bに対して安定的なプラズマ処理を行うことができないため、被処理面101の製品として使用することのできる領域(すなわち、所望のプラズマ処理が行われた領域)が、被処理面101の全域に対して極めて小さくなってしまう。その結果、ワーク10の使用効率が低下する。
これに対して、本実施形態では、被処理面101の中央部101aをプラズマ処理した後に、被処理面101の縁部101bのプラズマ処理を行うため、すなわち、中央部101aと縁部101bとが交互にプラズマ処理されることがないため、被処理面101の中央部101aをグロー放電により安定的にプラズマ処理をすることができ、アーク放電による前述したような悪影響(例えば、処理精度の低下など)を防止できる。その結果、被処理面101、特にその中央部101aを安定的にエッチングレートでプラズマ処理できる。
また、本実施形態では、後述するように被処理面101のほぼ全域に対して安定したプラズマ処理を行うことができるため、被処理面101の製品として使用することのできる領域を従来よりも大きくすることができる。そのため、ワーク10の使用効率や歩留まりが向上する。
また、本実施形態では、後述するように、被処理面101の縁部101bに対するプラズマ処理の際に、アーク放電の発生が抑制されるよう構成されているため、被処理面101の縁部101bをグローライクな安定した放電によりプラズマ処理をすることができる。
また、図3に示すように、この渦巻き状の移動パターンは、x軸に平行な直線と、y軸に平行な直線とで構成されている。このような移動パターンを実行する場合、下部電極22をx軸方向およびy軸方向のいずれか一方の方向に移動すればよく、下部電極22をx軸方向およびy軸方向に同時に移動する必要がない。そのため、NC制御装置15による下部電極22のNC制御が極めて簡単(単純)なものとなる。
また、このような移動パターンに基づいて被処理面101をプラズマ処理すると、被処理面101の縁部101bは、すべての辺に対して、その辺に沿って直線的にプラズマ処理されることとなる。これにより、被処理面101の縁部101bの4辺すべてのプラズマ処理を連続して(すなわち、途中で中央部101aのプラズマ処理を介することなく)行うことができる。そのため、被処理面101の縁部101bに対して、安定した(一定の)エッチングレートでプラズマ処理を行うことができる。
また、この渦巻き状の移動パターンは、一筆で描くことのできるパターンであるため、均一な放電状態を保ったまま、すなわち経時的に安定なエッチングレートで、被処理面101全域をプラズマ処理することができる。また、下部電極22の無駄な移動がなく、プラズマ処理装置1を停止させることなく、1つのワーク10に対するプラズマ処理を開始から終了まで連続的に行うことができる。そのため、プラズマ処理の処理時間が短縮され、プラズマ処理の効率化を図ることができる。
このような移動パターンのピッチpは、特に限定されないが、上部電極21の直径をaとしたとき、0.1a〜0.5aの範囲を満足することが好ましく、0.1a〜0.2aの範囲を満足することがより好ましい。なお、上部電極21の直径aは、1〜10mmの範囲であるのが一般的である。
また、被処理面101のプラズマ処理は、好ましくは、その中央部101aと縁部101bとで異なる条件で行われる。これにより、被処理面101の中央部101aと縁部101bとで、それぞれその部位に適した条件でプラズマ処理を行うことができ、被処理面101の全域を経時的に安定したエッチングレートでプラズマ処理することができる。その結果、被処理面101の中央部101aと縁部101bとで、プラズマ処理のムラ(差)を少なくすることができ、被処理面101の全域を均一にプラズマ処理することができる。また、本実施形態では、被処理面101の中央部101aをプラズマ処理した後に縁部101bをプラズマ処理するため、前記条件の切り替えが1回で済むこととなり、各種制御が容易となる。
本願明細書中の「異なる条件」は、例えば、被処理面101の中央部101aと縁部101bとで、ワーク10の移動速度、上部電極21と被処理面101との離間距離、上部電極21および下部電極22間に印加する高周波電圧の大きさ(RFパワー)、処理ガスの供給量(例えば、処理ガス供給手段3により供給される処理ガスの供給量と、排気手段により排気される処理ガスとの差分)および処理ガスの種類、濃度のうちのいずれか1つ、または2つ以上が異なることを含んでいる。
上述したように被処理面101の全域を均一にプラズマ処理するための条件としては、被処理面101の縁部101bをプラズマ処理する際に、アーク放電の発生を防止し得るものが好ましい。
この条件を満たすために、上部電極21および下部電極22間に印加する高周波電圧の大きさを調整し、高周波電圧の大きさをアーク放電が生じない程度に小さくすることが効果的である。これにより、被処理面101の縁部101bをグローライクな安置したプラズマによりプラズマ処理することができ、経時的に安定なエッチングレートで縁部101bをプラズマ処理することができる。このような高周波電圧の大きさは、電極間距離や、処理ガスの種類によっても異なり、予め実験的に求めておくことができる。
アーク放電の発生を防止し得る方法としては、本実施形態のような高周波電圧の大きさを調整する方法以外に、例えば、上部電極21と被処理面101との離間距離を大きくしたり、処理ガスの供給量を少なくしたりする方法が挙げられるが、切り替えを迅速に行える点、すなわち応答性に優れる点で、本実施形態のように高周波電圧の大きさを調整する方法が最も効果的である。言うまでもないが、本実施形態に変えて、これら方法を用いてもよいし、本実施形態とこれらを組み合わせてもよい。
また、上部電極21および下部電極22間に印加する高周波電圧の大きさを前述のように小さくすると、プラズマ処理の加工レート(単位時間当たりの加工能力)が低下するため、その分ワーク10の移動速度(第2基準移動速度)を低速とすることにより、所望のプラズマ処理を行うことができる。
一方、被処理面101の中央部101aでは、縁部101bのようにアーク放電が発生しないため、上部電極21および下部電極22間に印加する高周波電圧の大きさを縁部101bの場合と比較して大きくしても、経時的に安定なエッチングレートで均一にプラズマ処理を行うことができる。そのため、エッチングレートを高くできる分、ワーク10の移動速度(第1基準移動速度)を高めることができ、被処理面101の中央部101aのプラズマ処理時間を短縮化できる。
このように、上部電極21および下部電極22間に印加する高周波電圧の強さを、縁部101bよりも中央部101aのプラズマ処理を行う場合に強くすることにより、また、第1基準移動速度を第2基準移動速度よりも速くすることにより、被処理面101の全域にわたって均一にプラズマ処理を行うことができるとともに、プラズマ処理の処理時間を短縮することができる。
以上のようなプラズマ処理装置1のプラズマ処理方法によれば、ワーク10の被処理面101の全域に対して、均一でムラのないプラズマ処理することができるとともに、プラズマ発生領域Sとワーク10との相対的な移動パターンを単純化し、プラズマ処理の効率を向上することができる。
なお、本発明のプラズマ処理方法は、被処理面の少なくとも隣り合う2辺をそれぞれその辺に沿って直線状にかつ連続してプラズマ処理すればよく、本実施形態のように、必ずしも、すべての辺に対して、それぞれその辺に沿って直線状にかつ連続的にプラズマ処理するよう構成されていなくてもよい。
<第2実施形態>
次に、本発明のプラズマ処理方法の第2実施形態について説明する。
図4は、本発明の第2実施形態に係るプラズマ処理装置の移動パターンを示す図である。
以下、第2実施形態のプラズマ処理装置について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本発明の第2実施形態にかかるプラズマ処理装置1は、ワーク10に対するプラズマ処理方法、具体的には、プラズマ処理領域Sとワーク10との相対的な移動パターンが異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
図4に示すように、本実施形態のプラズマ処理装置1は、NC制御装置15によるNC制御により下部電極22を移動し、被処理面101の縁部101bから中央部101aに向けて直線状の渦巻きを描くようにして被処理面101を局所的にプラズマ処理する。すなわち、前述した第1実施形態と比較して移動パターンの開始位置と終了位置とが逆である。このような移動パターンによっても、第1実施形態と同様に、被処理面101の中央部101aの全域をグロー放電により安定してプラズマ処理することができ、アーク放電による悪影響(例えば、処理制度の低下など)を防止できる。また、移動パターンを単純化することもできる。
以上のような第2実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
<第3実施形態>
次に、本発明のプラズマ処理装置の第3実施形態について説明する。
図5は、本発明の第3実施形態に係るプラズマ処理装置の移動パターンを示す図である。
以下、第3実施形態のプラズマ処理装置について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本発明の第3実施形態にかかるプラズマ処理装置1は、ワーク10に対するプラズマ処理方法、具体的には、プラズマ処理領域Sとワーク10との相対的な移動パターンが異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
図5に示すように、本実施形態のプラズマ処理装置1は、被処理面101の中央部101aと縁部101bとを異なる移動パターンに基づいてプラズマ処理する。被処理面101の縁部101bにおける移動パターンは、前述した第1、第2実施形態と同様の渦巻き状のパターンである。一方、被処理面101の中央部101aにおける移動パターンは、図5中の左右方向(x軸方向)に往復しながら下側から上側に所定のピッチpで移動(改行)するパターンである。
ここで、中央部101aの改行部102、103は、それぞれ、被処理面101の縁部101bから十分に内側に位置している。そのため、中央部101aは、アーク放電の影響を受けずに、グローライクな安定した放電によりプラズマ処理される。
このような移動パターンによっても、被処理面101の中央部101aの全域をプラズマ処理した後に、縁部101bのプラズマ処理を行うことができるため、被処理面101の中央部101aをグロー放電により安定してプラズマ処理することができ、アーク放電による悪影響(例えば、処理制度の低下など)を防止できる。また、被処理面101の縁部101bに対して、そのすべての辺に沿って直線的にプラズマ処理できるため、安定したプラズマ処理を行うことができる。また、本実施形態の移動パターンも、x軸と平行な直線とy軸に平行な直線とで構成されているため、移動パターンを単純化することができ、プラズマ処理の効率が向上する。
なお、本実施形態では、被処理面101の中央部101aから縁部101bに向けて移動パターンを設定しているが、この逆であってもよい。
以上のような第3実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
以上、本発明のプラズマ処理装置およびプラズマ処理方法を、図示の各実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、他の任意の構成物や、工程が付加されていてもよい。
また、前述した実施形態では、被処理面の全域がプラズマ処理されるもの、すなわち、被処理面の全域が有効処理領域であるものについて説明したが、これに限定されず、被処理面の一部(例えば、中央部を除く縁部のみ)が、プラズマ処理される有効処理領域であってもよい。
また、前述した実施形態では、ワークの形状として、xy平面での平面視におけるワーク(被処理面)の形状が正方形であるものについて説明したが、被処理面多角形であれば、特に限定されず、例えば、凸状の八角形であってもよいし、凹状の八角形であってもよい。また、くさび型など各角が90°をなしていなくてもよい。
また、前述した実施形態では、移動パターンが一筆書きできるものについて説明したが、これに限定されず、例えば、被処理面の中央部における移動パターンの終点と、縁部における移動パターンの始点とが異なるものとなっていてもよい。
また、前述した実施形態では、プラズマ処理を1回行うものについて説明したが、これに限定されず、2回以上行うものであってもよい。2回以上行う場合には、各回でプラズマ処理の条件(例えば、移動パターン、処理ガスの種類など)を変えてもよい。
本発明の第1実施形態にかかるプラズマ処理装置を示す図である。 図1に示すワークを説明する平面図である。 図1に示すプラズマ処理装置の移動パターンを示す図である。 本発明の第2実施形態に係るプラズマ処理装置の移動パターンを示す図である。 本発明の第3実施形態に係るプラズマ処理装置の移動パターンを示す図である。
符号の説明
1……プラズマ処理装置 11……操作部 12……記憶手段 13……目標形状データ入力部 14……表面測定器 15……NC制御装置 21……上部電極 22……下部電極 221……上面 24……誘電体部 241……凹部 3……処理ガス供給手段 31……ガスボンベ(ガス供給源) 32……マスフローコントロ−ラ(流量調整手段) 33……ノズル 34……処理ガス供給流路 35……バルブ 4……通電手段 41……高周波電源 42……導線 5……移動手段 51……第1移動手段 52……第2移動手段 6……制御手段 10……ワーク 101……被処理面 101a……中央部 101b……縁部 102、103……改行部

Claims (12)

  1. 対向配置された一対の電極間に、被処理面の形状が略多角形の板状のワークを位置させ、前記被処理面に処理ガスを供給するとともに、前記一対の電極間へ通電し、それにより前記処理ガスを活性化させてプラズマを発生させ、前記プラズマが発生するプラズマ発生領域と前記ワークとを相対的に移動することにより、前記被処理面を局所的かつ連続的に処理するプラズマ処理方法であって、
    前記被処理面の縁部に対するプラズマ処理は、前記被処理面の少なくとも隣り合う2辺をそれぞれその辺に沿って直線状にかつ連続して行うことを特徴とするプラズマ処理方法。
  2. 前記被処理面の縁部に対するプラズマ処理は、前記被処理面のすべての辺に対して、その辺に沿って連続的に行う請求項1に記載のプラズマ処理方法。
  3. 前記被処理面上に、互いに直交するx軸およびy軸を設定したとき、
    前記被処理面の縁部をプラズマ処理する際には、前記プラズマ発生領域と前記ワークとの相対的な移動は、前記x軸方向および前記y軸方向のいずれか一方の移動である請求項1または2に記載のプラズマ処理方法。
  4. 前記被処理面のプラズマ処理は、前記被処理面の中央部から縁部に向けて渦巻き状に行われる請求項1ないし3のいずれかに記載のプラズマ処理方法。
  5. 前記被処理面のプラズマ処理は、前記被処理面の縁部から中央部に向けて渦巻き状に行われる請求項1ないし3のいずれかに記載のプラズマ処理方法。
  6. 前記被処理面のプラズマ処理は、一筆書きで連続的に行う請求項1ないし5のいずれかに記載のプラズマ処理方法。
  7. 前記被処理面の縁部と中央部とで、異なる条件でプラズマ処理を行う請求項1ないし6のいずれかに記載のプラズマ処理方法。
  8. 前記被処理面の縁部をプラズマ処理する際に前記一対の電極間に印加する電圧の大きさは、前記被処理面の中央部をプラズマ処理する際に前記一対の電極間に印加する電圧の大きさよりも小さい請求項7に記載のプラズマ処理方法。
  9. 前記被処理面の縁部をプラズマ処理する際の前記プラズマ発生領域と前記ワークとの相対的な移動速度は、前記被処理面の中央部をプラズマ処理する際の前記プラズマ発生領域と前記ワークとの相対的な移動速度よりも遅い請求項7または8に記載のプラズマ処理方法。
  10. 対向配置された一対の電極と、
    前記一対の電極間に、被処理面の形状が略多角形の板状のワークを載置する載置部と、
    前記一対の電極の少なくとも一方の電極と前記ワークとを相対的に移動する移動手段と、
    前記ワークの処理面に処理ガスを供給する処理ガス供給手段と、
    前記一対の電極間へ通電する通電手段とを有し、
    前記処理ガス供給手段により前記被処理面に前記処理ガスを供給するとともに、前記通電手段により前記一対の電極間へ通電し、前記処理ガスを活性化させてプラズマを発生させ、前記移動手段により前記少なくとも一方の電極と前記ワークとを相対的に移動させることにより、前記被処理面を局所的かつ連続的に処理し、
    前記被処理面の縁部に対するプラズマ処理は、前記処理面の隣り合う2辺をそれぞれその辺に沿って直線状にかつ連続して行うよう構成されていることを特徴とするプラズマ処理装置。
  11. 前記被処理面上に互いに直交するx軸およびy軸を設定したとき、
    前記移動手段は、前記少なくとも一方の電極と前記ワークとを前記x軸方向および前記y軸方向に相対的に移動することができる請求項10に記載のプラズマ処理装置。
  12. 前記少なくとも一方の電極と前記ワークとの相対的移動パターンを設定し、その移動パターンに基づいて、前記移動手段の作動を制御する制御手段とを有している請求項10または11に記載のプラズマ処理装置。
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