JP2009220557A - 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】幅が狭く形成されたリザーバ32の第2の領域32b,32cに対応した、第1のコンプライアンス部55の幅の狭い領域55b,55cでのコンプライアンス不足が、第2のコンプライアンス部51のコンプライアンスで補完され、圧力発生室21から伝播される圧力波のリザーバ32における制振を良好に行える。したがって、液滴速度の変化等に起因するインク噴射特性のばらつきが抑制されたインクジェット式記録ヘッド10を得ることができる。
【選択図】図2
Description
この種のインクジェット式記録ヘッドにおいては、圧力発生室内のインクに圧力を付与すると圧力発生室内において圧力波が発生する。この圧力波は、圧力発生室に連通するリザーバに伝播する。圧力波は、リザーバを介して他の圧力室に伝播し、液滴速度の変化などインク噴射特性のばらつきを生じさせる。
具体的には、リザーバに対応させた領域に圧力変動吸収機能(以下コンプライアンスという)を有する相対的な薄肉部であるコンプライアンス部を設け、このコンプライアンス部で圧力波のエネルギを吸収する。
両端部まで同一幅の場合、リザーバの中央部から供給したインクの流速が両端部に行くにしたがって低下し、両端部に気泡が滞留する原因になるので、かかる不都合を回避するために、このような平面形状となっている。
なお、このような問題はインクジェット式記録ヘッドだけではなく、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにおいても同様に存在する。
圧力変動により各ノズル開口を介して液体をそれぞれ吐出するように並設された複数の圧力発生室と、前記圧力発生室内に圧力変動を生じさせる圧力発生素子と、複数の前記圧力発生室に前記液体を供給するように前記圧力発生室の並設方向にわたって設けられ、第1の領域及び前記並設方向と直交する方向の幅が前記第1の領域よりも狭い第2の領域が形成されているリザーバと、前記リザーバに対応する領域に設けられるとともに前記リザーバの圧力変動を吸収するコンプライアンスとを備え、前記コンプライアンスは、前記リザーバの上面側又は下面側のいずれか一方に形成されている第1のコンプライアンス部と他方に形成されている第2のコンプライアンス部とを有し、前記第1のコンプライアンス部は前記リザーバの前記第1の領域および前記第2の領域の両方に対応した領域に形成され、前記第2のコンプライアンス部は少なくとも前記第1の領域の一部に対応した領域に形成されていないことを特徴とする液体噴射ヘッド。
なお、第2のコンプライアンス部は少なくとも第2の領域に対応した領域に形成されていればよく、第2の領域に対応した領域の他に、第1の領域に対応した領域に形成されていてもよい。第1の領域に対応した領域に形成されていると、第1の領域に対応した領域の第1のコンプライアンス部のコンプライアンス不足が、第2のコンプライアンス部のコンプライアンスで補完される。したがって、第1のコンプライアンス部を全体的に細く形成しても、このことにより不足するコンプライアンスを第2のコンプライアンス部で容易かつ良好に補完され、圧力発生室から伝播される圧力波のリザーバにおける制振をより良好に行える。
上記液体噴射ヘッドであって、前記第1のコンプライアンス部の前記第2の領域に対応した領域の所定部分の幅は、前記第2のコンプライアンス部の前記所定部分の幅よりも幅狭に形成されていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
この適用例では、第1のコンプライアンス部の幅狭く形成されている幅でのコンプライアンス不足が、幅広で形成された第2のコンプライアンス部のコンプライアンスで十分に補完され、圧力発生室から伝播される圧力波のリザーバにおける制振をより良好に行える。したがって、液滴速度の変化等に起因するインク噴射特性のばらつきがより抑制された液体噴射ヘッドが得られる。
上記液体噴射ヘッドであって、前記リザーバの幅は、対応する領域の前記第1のコンプライアンス部の幅よりも広いことを特徴とする液体噴射ヘッド。
この適用例では、第1のコンプライアンス部の幅をリザーバの幅以下に形成しても、第2のコンプライアンス部のコンプライアンスによってコンプライアンス部として十分なコンプライアンスを発揮する。
上記液体噴射ヘッドであって、前記他方のコンプライアンス部の前記幅をl1、この幅l1部分に対応する前記一方のコンプライアンス部の前記幅をl2とするとき、幅l1 4+幅l2 4が一定となるように前記第1のコンプライアンス部及び前記第2のコンプライアンス部が形成されていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
この適用例では、他方のコンプライアンス部の幅l1に応じたコンプライアンスの不足分を補完するように、一方のコンプライアンス部の幅l2が決まるので、リザーバの第2の領域でのコンプライアンスが一定になる。したがって、圧力波のエネルギの吸収量に、偏りが無くなり、圧力発生室から伝播される圧力波のリザーバにおける制振をより良好に行える。
ここで、一定とは、厳密な意味で一定と言うことではなく、多少の誤差を許容している。
上記に記載の液体噴射ヘッドを備えたことを特徴とする液体噴射装置。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態の液体噴射ヘッドとしてのインクジェット式記録ヘッド10の要部を切り欠いた斜視図である。
図2は、インクジェット式記録ヘッド10の要部平面図であり、図3はインクジェット式記録ヘッド10の断面図で,(a)は図2のA−A´線断面図、(b)は図2のB−B´線断面図、(c)は図2のC−C´線断面図である。
流路形成基板22は、例えば、150μm程度の厚みを有するアルミナ(Al2O3)や、ジルコニア(ZrO2)などのセラミックス板からなる。
流路形成基板22の一方面には、例えば、厚さ10μmのジルコニアの薄板からなる振動板23が固定され、圧力発生室21の一方面はこの振動板23により形成されている。流路形成基板22の他方面側には、圧力発生室底板24が固定され、圧力発生室21の他方面はこの圧力発生室底板24により形成されている。
圧電体層42は、圧電材料からなるグリーンシートを貼付することや、印刷することで形成されている。また、下電極膜41は、並設された圧電体層42にわたって設けられて各圧電素子40の共通電極となっており、振動板の一部として機能する。なお、下電極膜41は各圧電体層42に設けるようにしてもよい。
液体供給口37は、圧力発生室21のY軸方向のリザーバ32側で、リザーバ32の端部に連通するように設けられている。
また、図2において、液体導入口38は、リザーバ32のX軸方向の略中心で、Y軸方向の圧力発生室21とは反対側の端部に設けられている。
リザーバ形成基板33には、リザーバ32の側面320と、圧力発生室21とノズル開口34とを連通するノズル連通孔39とが形成されている。リザーバ32は、外部のインクタンクからインクの供給を受けて圧力発生室21にインクを供給する。
図1及び図3において、リザーバ32の側面320は、リザーバ形成基板33によって形成され、リザーバ32の上面321は、液体供給口形成基板31によって形成され、リザーバ32の下面322は、コンプライアンス基板50によって形成されている。
第1の領域32aは、リザーバ32のX軸方向の略中央部に位置する液体導入口38を中心として圧力発生室21のX軸方向の両方向に延びる領域である。第1の領域32aのY軸方向の幅は、液体導入口38が形成された部分を除いて略一定である。
第2の領域32b,32cは、第1の領域32aの両側に位置する領域である。第2の領域32b,32cのY軸方向の幅は、第1の領域32aのY軸方向の幅より狭く、リザーバ32の両端に行くにしたがって漸減している。これは、液体導入口38から供給されたインクの流速を均一化するためである。
コンプライアンス部は、リザーバ32の上面321側の液体供給口形成基板31に形成されている第1のコンプライアンス部55と下面322側のコンプライアンス基板50に形成されている第2のコンプライアンス部51とを備えている。
図2において、第1のコンプライアンス部55の平面視形状は、リザーバ32の平面視形状に合わせて形成されている。詳しくは、リザーバ32の第1の領域32aに対応する領域である中央部55aは、Y軸方向の幅lがリザーバ32の幅より狭く且つ液体導入口38の部分を除いて一定に形成されている。
さらに、リザーバ32のX軸方向の両側に対応する領域は両端に向かってY軸方向の幅l1が漸減する幅の狭い領域55b,55cとなっている。
具体的には、第2のコンプライアンス部51はリザーバ32の両端部の第2の領域32b,32cに対応する領域のみに選択的に形成されている。これは、全面に形成した場合にはコンプライアンスが大きくなりすぎる点を考慮し、第1のコンプライアンス部55の幅の狭い領域55b,55cの存在に起因するコンプライアンスの不足に着目してこれを補完するためである。
なお、第2のコンプライアンス部51はリザーバ32の第2の領域32b,32cに対応する領域からリザーバ32の第1の領域32aに多少はみ出して形成されていてもよい。
図4において、図中の点αから始まり点βで終る領域である第1のコンプライアンス部55の幅の狭い領域55cに対応する第2のコンプライアンス部51の幅は、図中に網点で示す領域が幅の狭い領域55cよりも幅広に形成してある。
具体的には、第2のコンプライアンス部51の幅l2は、同じ位置での第1のコンプライアンス部55の幅l1と比較して大きくしてある。
本実施形態の場合、上面321側の液体供給口形成基板31には液体供給口37が形成されている結果、第1のコンプライアンス部55の形成領域も液体供給口37の位置に規制され、その分第1のコンプライアンス部55の形成可能領域の自由度が減る。
したがって、下面322側の第2のコンプライアンス部51を幅広に形成するほうが不足分のコンプライアンスの調整が容易になる。
圧力発生室21からのインクは、液体供給口形成基板31、リザーバ形成基板33及びコンプライアンス基板50に設けられたノズル連通孔36,39及び52を介してノズル開口34から吐出される。
その後、図示しない駆動回路からの記録信号に従い、各圧力発生室21に対応する各圧電素子40に電圧を印加して圧電素子40と共に振動板23をたわみ変形させることにより、各圧力発生室21内の圧力が高まり各ノズル開口34からインク滴が吐出される。
(1)幅が狭く形成されたリザーバ32の第2の領域32b,32cに対応した、第1のコンプライアンス部55の幅の狭い領域55b,55cでのコンプライアンス不足が、第2のコンプライアンス部51のコンプライアンスで補完され、圧力発生室21から伝播される圧力波のリザーバ32における制振を良好に行える。したがって、液滴速度の変化等に起因するインク噴射特性のばらつきが抑制されたインクジェット式記録ヘッド10を得ることができる。
図5に、変形例に係る第1のコンプライアンス部55と第2のコンプライアンス部51との位置的な関係を示す模式図(ただし、左右は対象であるので右半分のみを示す)を示した。
図5において、変形例では、図中の点αから始まり点βで終る領域である第1のコンプライアンス部55の幅の狭い領域55cにおける任意の位置での幅をl1、この位置に対応する第2のコンプライアンス部51の幅をl2とするとき、l4≒l1 4+l2 4となるように第2のコンプライアンス部51が形成されている。
(3)第2のコンプライアンス部51によって、過不足なく理想的な形で第1のコンプライアンス部55の幅の狭い領域55b,55cのコンプライアンスの不足を補完することができる。
第1のコンプライアンス部55の幅l1に応じたコンプライアンスの不足分を補完するように、第2のコンプライアンス部51の幅l2が決まるので、リザーバ32の第2の領域32b,32cでのコンプライアンスを一定にできる。したがって、圧力波のエネルギの吸収量に、偏りが無くなり、圧力発生室21から伝播される圧力波のリザーバ32における制振をより良好にできる。
図6に、本実施形態における第1のコンプライアンス部55と第2のコンプライアンス部61との位置的な関係を示す模式図を示した。その他の構成は、変形例と同様の構成である。
図6において、第1のコンプライアンス部55に対向して設ける第2のコンプライアンス部61の両端部61aは変形例の第2のコンプライアンス部51に準じて形成されるが、両端部の点α(図には一方のみを示す)間にも両端部61aに一体的に連続する幅狭のコンプライアンス部61bが形成されている。
(4)第1のコンプライアンス部55の幅l及び幅l1をリザーバの幅以下に形成しても、このことにより不足するコンプライアンスが第2のコンプライアンス部61で容易かつ良好に補完され、圧力発生室21から伝播される圧力波のリザーバ32における制振をより良好に行なうことができる。したがって、液滴速度の変化等に起因するインク噴射特性のばらつきがより抑制されたインクジェット式記録ヘッド10を得ることができる。
第1実施形態、第2実施形態及び変形例のインクジェット式記録ヘッド10は、インクタンクであるカートリッジ等と連通するインク流路を具備する記録ヘッドユニット1A及び1Bの一部を構成して、インクジェット式記録装置Iに搭載される。
図7は、そのインクジェット式記録装置Iの一例を示す概略図である。
一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ローラなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8に巻き掛けられて搬送されるようになっている。
(5)インク噴射特性が向上するとともに均一化して、印刷品質が向上したインクジェット式記録装置Iを得ることができる。
第1実施形態においては、リザーバ形成基板33とノズルプレート35との間のコンプライアンス基板50に第2のコンプライアンス部51を形成したが、ノズルプレート35の一部に第2のコンプライアンス部51と同様の形状の薄肉部を形成することによりコンプライアンス部とすることもできる。
ノズルプレート35に薄肉部を形成することはその振動に影響を与えるので望ましくないが、この場合のコンプライアンス部はリザーバ32の第2の領域32b,32cに対応する部分に限定して形成すればよいので、第2のコンプライアンス部51によるノズルプレート35の振動に対する悪影響は僅かであると考えられる。
この場合においても、第1のコンプライアンス部55が狭くなっている領域があれば、その領域に応じて第2のコンプライアンス部51を設けることができる。
図8において、リザーバ32には、第2の領域32bが形成され、第1のコンプライアンス部55には、第2の領域32bに対応した幅の狭い領域55bと液体導入口38の付近に幅の狭い領域55cとが形成されている。幅の狭い領域55b,55cに対応して第2のコンプライアンス部51が形成されている。
図9において、リザーバ32には、第2の領域32dが形成され、第1のコンプライアンス部55には、第2の領域32dに対応した幅の狭い領域55dと液体導入口38の付近に幅の狭い領域55b,55cとが形成されている。幅の狭い領域55b,55c,55dに対応して第2のコンプライアンス部51,53が形成されている。
Claims (5)
- 圧力変動により各ノズル開口を介して液体をそれぞれ吐出するように並設された複数の圧力発生室と、
前記圧力発生室内に圧力変動を生じさせる圧力発生素子と、
複数の前記圧力発生室に前記液体を供給するように前記圧力発生室の並設方向にわたって設けられ、第1の領域及び前記並設方向と直交する方向の幅が前記第1の領域よりも狭い第2の領域が形成されているリザーバと、
前記リザーバに対応する領域に設けられるとともに前記リザーバの圧力変動を吸収するコンプライアンスとを備え、
前記コンプライアンスは、前記リザーバの上面側又は下面側のいずれか一方に形成されている第1のコンプライアンス部と他方に形成されている第2のコンプライアンス部とを有し、
前記第1のコンプライアンス部は前記リザーバの前記第1の領域および前記第2の領域の両方に対応した領域に形成され、前記第2のコンプライアンス部は少なくとも前記第1の領域の一部に対応した領域に形成されていない
ことを特徴とする液体噴射ヘッド。 - 請求項1に記載の液体噴射ヘッドにおいて、
前記第1のコンプライアンス部の前記第2の領域に対応した領域の所定部分の幅は、前記第2のコンプライアンス部の前記所定部分の幅よりも幅狭に形成されている
ことを特徴とする液体噴射ヘッド。 - 請求項1または請求項2に記載の液体噴射ヘッドにおいて、
前記リザーバの幅は、対応する領域の前記第1のコンプライアンス部の幅よりも広い
ことを特徴とする液体噴射ヘッド。 - 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッドにおいて、
前記他方のコンプライアンス部の前記幅をl1、この幅l1部分に対応する前記一方のコンプライアンス部の前記幅をl2とするとき、
幅l1 4+幅l2 4が一定となるように前記第1のコンプライアンス部及び前記第2のコンプライアンス部が形成されている
ことを特徴とする液体噴射ヘッド。 - 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッドを備えたことを特徴とする液体噴射装置。
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