上記課題を解決するために、本発明のパチンコ遊技機は、発射装置に供給され、遊技領域へ向けて発射される玉を貯留する上皿と、遊技領域に配置された入賞口への玉の入賞に応じて玉を払い出す払出手段と、払出手段により払い出された玉を第1開口部を通して上皿へ導く第1玉通路と、第1玉通路と第2開口部を通して連通し、第1玉通路にある玉を第2開口部を通して上皿の下に配置された下皿へ導く第2玉通路と、を備え、第1玉通路の第1開口部から第2開口部までの間には、上皿に玉が一杯になるまで貯まると、その上皿からの玉を第1開口部を通して貯め、更に第2開口部まで玉が一杯になるまで貯まると、貯まった玉を第2開口部を通して第2玉通路へ流出させる玉貯留部が形成されており、玉貯留部の容量を、その容量が大きめの拡大状態と、その容量が小さめの縮小状態との少なくともいずれかの状態に変更可能な容量制御手段を備えることを特徴とする。
この場合、容量制御手段は、第2開口部の位置を変更することで玉貯留部の容量を変更するものであるとよい。例えば、複数設けた第2開口部のいずれか一つのみを開口させるようにしてもよいし、第2開口部を有する移動壁の位置を変更するようにしてもよい。また、第2開口部の位置を変更するのではなく、玉貯留部を容量可変の構造としてもよい。
本発明のパチンコ遊技機においては、容量変更手段によって玉貯留部の容量が拡大状態と縮小状態との少なくともいずれかの状態に変更される。したがって、上皿及び玉貯留部に貯まっている玉が多い状態で大当たりに当選したときは、容量制御手段によって玉貯留部の容量が拡大状態に変更されるように設定することで、例えば確変状態が継続して大当たりが連チャンしている時において上皿の玉がなくなる機会を極力少なくすることができる。一方、上皿及び玉貯留部に貯まっている玉が少ない状態で大当たりに当選したときは、容量制御手段によって玉貯留部の容量が縮小状態に変更されるように設定することで、大当たり遊技の終了後に下皿及び玉箱に払い出された玉が少なくなるという問題を解消することができる。
本発明の実施に際して、始動口への入賞に基づいて抽選処理を実行する抽選手段と、抽選手段による抽選結果に基づいて、払出手段が多量の玉を払い出す大当たり遊技を実行可能な遊技制御手段と、前回の大当たり遊技が終了してから現時点までの抽選手段による抽選処理の実行回数を計数可能な計数手段と、を備え、容量制御手段は、遊技制御手段が大当たり遊技を実行するとき、計数手段による計数値が設定値未満であれば玉貯留部の容量を拡大状態に、設定値以上であれば玉貯留部の容量を縮小状態に制御するものであるとよい。なお、「容量制御手段は、遊技制御手段が大当たり遊技を実行するとき、計数手段による計数値が設定値未満であれば玉貯留部の容量を拡大状態に、設定値以上であれば玉貯留部の容量を縮小状態に制御する」との記載は、遊技制御手段が大当たり遊技の実行を開始する時と、容量制御手段が玉貯留部の容量を拡大状態又は縮小状態に変更する時との時間的一致を要件とする意ではなく、例えば遊技制御手段が大当たり遊技の実行を開始する状態で、容量制御手段が玉貯留部の容量を既に拡大状態又は縮小状態に維持している場合や、遊技制御手段が大当たり遊技の実行を開始している最中に、容量制御手段が玉貯留部の容量を拡大状態又は縮小状態に変更する場合などを含む意であり、大当たり遊技が終了した時点で何れかの状態にある玉貯留部に玉が一杯貯まっていればよい。
これによれば、上皿及び玉貯留部に貯まっている玉が多いか少ないかを、前回の大当たり遊技が終了してから現時点までの抽選手段による抽選処理の実行回数を目安としてソフトウェアを用いた処理により推定するようにしたので、玉検出センサ等の新たなハードを追加する必要がなく、システム全体を簡易かつ安価に構成することができる。
この場合、容量制御手段は、例えば遊技制御手段が大当たり遊技を実行するとき、前回の大当たり遊技が終了した時点で玉貯留部の容量が拡大状態にあった場合は、計数手段による計数値が第1設定値未満であれば玉貯留部の容量を拡大状態に、第1設定値以上であれば縮小状態に制御し、前回の大当たり遊技が終了した時点で玉貯留部の容量が縮小状態にあった場合は、計数手段による計数値が第1設定値より小さい第2設定値未満であれば玉貯留部の容量を拡大状態に、第2設定値以上であれば縮小状態に制御するものであるとよい。
前回の大当たり遊技が終了した時点で玉貯留部の容量が拡大状態にあった場合と縮小状態にあった場合とでは、玉貯留部に貯まっている玉がなくなるまでに実行できる抽選処理の回数は異なる。したがって、上皿及び玉貯留部に貯まっている玉が多いか少ないかを判断するための前回の大当たり遊技が終了してから現時点までの抽選手段による抽選処理の実行回数も異なるので、前回の大当たり遊技が終了した時点での玉貯留部の容量に応じて前記実行回数と比較するための設定値を変えて、上皿及び玉貯留部に貯まっている玉の量をより正確に推定することができる。
また、本発明の実施に際して、始動口への入賞に基づいて抽選処理を実行する抽選手段と、抽選手段による抽選結果が大当たりであるとき、大入賞口を所定回数開放することで遊技領域を流下する玉の入賞率を高めて払出手段が多量の玉を払い出す大当たり遊技を実行し、抽選手段による抽選結果が特別大当たりであったとき、大当たり遊技の終了後に通常状態よりも抽選結果が当たりとなる確率の高められた確変状態へと遷移させる遊技制御手段と、を備え、容量制御手段は、通常状態において大当たり遊技を実行するとき、玉貯留部の容量を縮小状態に制御し、遊技制御手段が確変状態において大当たり遊技を実行するとき、玉貯留部の容量を拡大状態に制御するものであるとよい。
一般に、通常状態において大当たり遊技を実行するときは上皿及び玉貯留部に貯まっている玉は少なく、確変状態において大当たり遊技を実行するときは上皿及び玉貯留部に貯まっている玉は多い。したがって、通常状態において大当たり遊技を実行するときは玉貯留部の容量を縮小状態に制御し、確変状態において大当たり遊技を実行するときは玉貯留部の容量を拡大状態に制御することで、より簡易なソフトウェアを用いた処理で本発明の目的を効果的に実現することが可能である。
以下、本発明の一実施形態につき図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の正面模式図である。図1に示すパチンコ遊技機1は、台枠に取り付けられた透明の前面ガラス扉2と、台枠の内側に配置されて前面ガラス扉2によって覆われる遊技盤3を有する。遊技盤3には、ハンドル装置4を含んで構成される発射装置114(図5参照)より発射された玉が流下する略円形状に囲まれた遊技領域3aが形成されている。遊技領域3aには、玉の流下方向を変化させる釘N(一部のみ図示)が植設されており、遊技盤3の前方下部に設けられた上皿5から供給された玉が、発射装置114によって遊技領域3aに向けて発射され、釘Nに弾かれながら遊技領域3aを落下するようになっている。
上皿5の下方には、上皿5に入りきらず溢れた玉を貯めるための下皿6が配置されている。下皿6には、図1および図2に示すように、操作排出部6aの操作に応じて開閉する排出口6bが形成されており、下皿6にある玉が排出口6bを通して下皿6の下方に配置される玉箱7に放出されるようになっている。なお、遊技盤3には、スピーカ111、装飾ランプ類112などが設けられている。
なお、図1において玉の流下方向を上下方向(鉛直方向)、遊技盤3の盤面に沿う態様で上下方向と直交する方向(水平方向)を左右方向、遊技盤3の盤面に直交する方向(水平方向)を前後方向とし、盤面の前側(遊技者側)が前方側であり、盤面の後側(奥側)が後方側である。
遊技領域3aの中央付近には、中央役物10が配置されている。中央役物10は、枠状の筐体11の奥側にて所定条件の成立に基づいて実行される抽選処理の結果を特別図柄により表示して遊技者に報知するための液晶表示装置12を備えている。筐体11の内側であって液晶表示装置12の上方には、複数(例えば4つ)のLEDからなる特図用保留表示部13が横一列状に配置されている。
中央役物10の下方には、開閉する一対の回動翼片21a,21aを有する始動入賞口21(電チュー)が配置されている。始動入賞口21は、回動翼片21a,21aが開放されているときは玉が入賞しやすいが、回動翼片21a,21aが閉鎖しているときは玉が入賞しにくい。始動入賞口21の下方には、始動入賞口21への入賞に基づいて実行される大当たり抽選において大当たりしたときに開放する大入賞口22(アタッカー)が設けられている。大入賞口22の下方の遊技領域3aの最下位置には、玉を回収するための玉排出口23が設けられている。
中央役物10の左方には、玉が通過したとき始動入賞口21の回動翼片21a,21aを所定時間及び所定回数だけ開放するための当たり抽選が行われる通過ゲート24が配置されている。通過ゲート24の左斜め下方には、1又は複数(例えば1つ)のLEDにより普通図柄(普図)を表示する普図表示部25と、複数(例えば4つ)のLEDからなる普図保留表示部26とが上下に配設されている。
遊技盤3の裏面には、図示を省略する島の玉補給装置から補給された玉をパチンコ遊技機1での遊技状況に応じて賞球として上皿5に供給するための玉補給機構30(図1にて破線で示す)が設けられている。玉補給機構30は、遊技盤3の裏面上部に配置されて島の玉補給装置から補給された玉の受け入れ口となる玉補給皿31と、遊技盤3の正面から見て玉補給皿31の底部左側部分から下向きに延設されて払出装置113により払い出された玉を下方に導く管状の玉補給路32とを備えている。
玉補給路32は、図1及び図3に示すように、遊技盤3の中央を通る水平線を下側に超えた辺りで、玉補給路32の延長状に配置された第1玉通路33と、第1玉通路33の後方側に配置された第2玉通路34とに分岐している。
第1玉通路33は、鉛直線に対して僅かに傾斜配置されて上皿5の上部位置まで斜め右下方向に延び出す上下通路部33aと、上下通路部33aの下端部にて上皿5に向けて略水平に延び出し遊技盤3の表面から突出する前後通路部33bとで構成されており、前後通路部33bの前端に形成された開口部33b1(本発明の第1開口部に相当)を通して上皿5に連通している。前後通路部33bの上壁前側には、遊技領域3aに届かず鉛直落下した玉(戻り玉)を上皿5へ戻すための戻り玉用開口部33b2も形成されている。
第2玉通路34は、第1玉通路33の上下通路部33aに沿って斜め右下方向に延び出す上側上下通路部34aと、第1玉通路33の前後通路部33bを下側に超えた辺りから下皿6に向けて斜め右下方向に大きく傾斜配置された下側上下通路部34bとで構成されており、下側上下通路部34bの下端部前側に形成された下皿開口部34b1を通して、更に遊技盤3に形成された下皿開口孔3bを経て下皿6に連通している。
第2玉通路34の上側上下通路部34aには、上下二つの開口部34a1,34a2(本発明の第2開口部に相当)が形成されており、上段開口部34a1が玉補給路32から上側上下通路部34aへの入り口となっている。下段開口部34a2は、その下縁が第1玉通路33における前後通路部33bの底壁面よりも所定量だけ高い位置に配置されるとともに、可動蓋35により開閉されるようになっている。
可動蓋35は、蓋用ソレノイド41(図1参照)のプランジャに連結されていて、蓋用ソレノイド41の非励磁状態で開放位置にあって下段開口部34a2を開状態とし、蓋用ソレノイド41の励磁状態で閉鎖位置に移動して下段開口部34a2を閉状態とする。なお、通常時には、蓋用ソレノイド41が非励磁状態にあり、下段開口部34a2が開状態にある。
ここで、図4(a)〜4(c)を用いて、玉補給路32から供給される玉の流れの代表的なモデルについて説明しておく。上皿5に玉が貯まっていない状態では(図4(a))、第2玉通路34の下段開口部34a2の開閉状態にかかわらず、玉は玉補給路32から第1玉通路33の上下通路部33aを通り、前後通路部33bの開口部33b1を通って上皿5に導かれる。
第2玉通路34の下段開口部34a2が開状態にあるとき、上皿5に玉が一杯になるまで貯まり、更に第1玉通路33の前後通路部33bの開口部33b1を経て下段開口部34a2の下縁まで玉が貯まっている状態では(図4(b))、玉は第1玉通路33の上下通路部33aから下段開口部34a2を通り、第2玉通路34の下側上下通路部34bを通って下皿6に導かれる。
第2玉通路34の下段開口部34a2が閉状態にあるとき、上皿5に玉が一杯になるまで貯まり、更に第1玉通路33の前後通路部33b及び上下通路部33aの内部も一杯になって、上段開口部34a1まで玉が貯まっている状態では(図4(c))、玉は玉補給路32から上段開口部34a1を通り、第2玉通路34の上側上下通路部34a及び下側上下通路部34bを通って下皿6に導かれる。
すなわち、第1玉通路33の前後通路部33b及び上下通路部33aは、上皿5から奥側へ溢れ出した玉を貯留することが可能な玉貯留部Sとしての機能を果たしており、可動蓋35により第2玉通路34の下段開口部34a2が開けられると、図4(b)の囲み破線で示すように容量が小さめの縮小状態S1となり、可動蓋35により第2玉通路34の下段開口部34a2が閉じられると、図4(c)の囲み破線で示すように容量が大きめの拡大状態S2となる。可動蓋35、蓋用ソレノイド41、及び蓋用ソレノイド41を駆動制御する後述する主回路101が本発明の容量制御手段に相当する。
次に、図5を用いて、パチンコ遊技機1の制御ブロックについて説明する。パチンコ遊技機1の主制御部100には主回路101(本発明の容量制御手段、抽選手段、計数手段、遊技制御手段に相当)が搭載され、副制御回路102及び払出制御回路103が接続されている。
主回路101は、演算装置であるCPU(Central Processing Unit)101a、プログラム格納用の読み取り専用記憶装置であるROM(Read Only Memory)101b、ワークエリアや各種カウンタ等が割り当てられる読み書き可能な記憶装置であるRAM(Random Access Memory)101c、及び入出力インターフェースであるI/O(Input/Output)101dを備えており、これらはバス(図示せず)を介して相互に接続されている。なお、その他の各回路も、個別にCPU(制御回路)やメモリを備えているが、図5では省略してある。各回路には、電源回路104にて生成された所定電圧の電力が主回路101を介して供給されている。
副制御回路102は、主回路101から入力されるコマンドに応じてアンプ/スピーカ111(図1参照)に音声を出力させるとともに、装飾ランプ類112の点灯/消灯を制御する。また、副制御回路102は、表示制御回路105にコマンドを出力する。表示制御回路105は、副制御回路102から入力されたコマンドに応じて液晶表示装置12を制御し、特図の変動表示や停止表示を実行させる。
払出制御回路103は、主回路101より入力される賞球払出信号に応じて払出装置113(本発明の払出手段に相当)を制御する。これにより、遊技者に対して所定数の賞球が上皿5に払い出される。発射制御回路106は、遊技者がハンドル装置4を操作することに応じて、ハンドル装置4に対応して設けられた発射装置114を作動させ、上皿5に準備された玉を遊技領域3aに向けて発射する。ハンドル装置4の操作量に応じて、玉の打ち出し強さ(玉の飛距離)を調節することが可能となっている。
主回路101には、始動入賞口21に付設された始動入賞検出器121、大入賞口22に付設された大入賞検出器122、及び通過ゲート24に付設されたゲート通過検出器123からの玉検出信号がそれぞれ入力される。また、主回路101は、始動入賞口21の回動翼片21a,21aを開閉する電チューソレノイド131、大入賞口22を開閉する大入賞ソレノイド132、可動蓋35を動作させる蓋用ソレノイド41、特図保留表示部13のLED、普図表示部25のLED、普図保留表示部26のLEDをそれぞれ駆動制御する。
次に、図1を用いて、パチンコ遊技機1における遊技の流れ(遊技性)について概要を説明しておく。
玉が通過ゲート24を通過すると、ゲート通過検出器123による玉の検出に応じて、主回路101は、普図の保留が3個以下であれば、普図用乱数カウンタから現在の値を抽出し、その値を普図保留としてRAM101cの普図保留領域に記憶する。新たな普図の変動を開始可能なとき(普図の変動中でなく、始動入賞口21の電チューが動作中でないとき)、普図保留が記憶されていれば、最古の普図保留を読み出して当たり判定を行う。通常状態であれば、通常用普図判定テーブル(普図当選確率:1/100)、時短状態や確変状態であれば時短用普図判定テーブル(普図当選確率:99/100)の当たり値と比較する。この当たり判定の結果に基づいて、普図の変動(普図表示部25のLED点滅)を開始する。
普図の判定結果が当たりの場合、変動時間(通常状態であれば30秒、時短状態や確変状態であれば2秒)経過時に普図表示部25のLEDを点灯し、電チューソレノイド131を励磁して電チューを開放する。所定時間(通常状態であれば0.2秒、時短状態や確変状態であれば1.5秒を3回)経過後、電チューを閉鎖する。
始動入賞口21に玉が入賞し、始動入賞検出器121による玉の検出に応じて、主回路101は、払出制御回路103に3個の賞球を払い出すように賞球払出信号を出力するとともに、特図の保留が3個以下であれば、特図用乱数カウンタから現在の値を抽出し、その値を特図保留としてRAM101cの特図保留領域に記憶する。新たな特図の変動を開始可能なとき(特図の変動中でなく、大当たり中でもないとき)、特図保留が記憶されていれば、最古の特図保留を読み出して大当たり判定を行う。通常状態や時短状態であれば、通常用特図判定テーブル(特図当選確率:1/300)、確変状態であれば確変用特図判定テーブル(特図当選確率:1/30)の大当たり値と比較する。この大当たり判定の結果(当たり値との一致又は不一致)に基づいて、特図の変動パターンと停止図柄を決定し特図の変動(液晶表示装置12での図柄変動(例えば、3桁のアラビア数字))を開始する。
判定結果が確変大当たりの場合(特図当選の確変率:50%)、奇数のゾロ目(例えば「777」)を停止して大当たりとなり、大当たり遊技を実行する。大当たり中は、大入賞口22を開放し、10個入賞するか開放してから25秒経過すると閉鎖する処理を1ラウンドとして15ラウンド繰り返す。1入賞に対し15個の賞球を付与することで、遊技者は多くの持ち玉を得ることができる。確変大当たりの終了後は確変状態となり、以降は確変用特図判定テーブルにて大当たりの当否判定を行う。確変状態は次回の大当たりまで継続する。
判定結果が非確変大当たりの場合、偶数のゾロ目(例えば「222」)を停止して大当たりとなり、確変大当たりの場合と同様、大当たり遊技を実行する。非確変大当たりの終了後は時短状態となり、以降は通常用特図判定テーブルにて大当たりの当否判定を行う。時短状態は、100回(ハズレの抽選結果が100回)の図柄変動が終了するか、新たな大当たりに当選するか何れか早い方が成立するまで継続し、100回の図柄変動が終了すると通常状態に戻る。確変状態と時短状態では、普図当選時に電チューの開放時間が長くなるため、遊技者は持ち玉をさほど減らすことなく、遊技を継続することができる。
次に、図1、図4及び図5等を用いて、本発明に関連する事項を踏まえながらパチンコ遊技機1における遊技の流れについてより具体的に説明する。
上皿5にある玉は発射装置114へ導かれ、遊技領域3aに向けて発射される。遊技領域3aに配置された始動入賞口21(大当たり遊技の実行状態では始動入賞口21又は大入賞口22)に玉が入賞すると、入賞口21,22毎に設定された数の玉が払出装置113から払い出される。払い出された玉は、玉補給路32から第1玉通路33の上下通路部33a及び前後通路部33bを通り、開口部33b1から上皿5へと導かれる。
通常状態では、電チューの開放機会が少なく、開放時間が短く設定されているので、上皿5にある玉は遊技を継続することで次第に減っていく(1分間に100玉発射して、始動入賞口21へは平均6玉ほど入賞する)。下皿6や玉箱7に玉があれば、遊技者はその玉を上皿5へと手で補給し、遊技を継続する。持ち玉がないとき、遊技者は玉の貸出操作を行うことで、上皿5に玉を払い出す。
始動入賞口21への入賞に基づいて、大当たりに当選すると、大入賞口22が開放されて入賞率が非常に高くなり、1玉入賞する毎に15玉払い出されることで、多量の玉を獲得することができる。この状態では、単位時間当たりの発射玉数よりも払い出される玉数の方が多いため、上皿5はすぐに玉で一杯になり、開口部33b1を通る経路では玉が払い出せなくなる。
払い出された玉が、第1玉通路33の前後通路部33b内で下段開口部34a2まで詰まってしまうと(図4(b)参照)、下段開口部34a2が開状態にあれば、払い出された玉は下段開口部34a2から第2玉通路34へと導かれ、第2玉通路34の下側上下通路部34bを通って下皿6に払い出される。遊技者は下皿6に玉が貯まってくると、下皿6の排出操作部6aを右にスライドさせて排出口6bを開放し、貯まった玉を玉箱7へ排出させる。大当たり遊技が終了する頃には、玉箱7を玉で一杯にすることができる。
大当たり遊技が終了したとき、上皿5と第1玉通路33の前後通路部33b内には玉が貯まっている。大当たり遊技終了後は確変状態又は時短状態となり、電チューの開放時間が長くなるため入賞率が高まり、おおよそ90%ほどの出玉率で遊技を継続することができる。特に確変状態であれば、大当たり確率が通常の10倍に高められているので、たいていは上皿5や第1玉通路33の前後通路部33bに残っている玉を使い切ることなく、次の大当たりにすぐに当選することができる。なお、大当たり遊技終了後は特図の変動時間も短くなり、上皿5に一杯となった玉を使って約50回の特図変動を行うことができ、第1玉通路33の前後通路部33bに残った玉を使って約20回の特図変動を行うことができる。
しかし、確変状態において、特図の変動が100回を超えても次の大当たりに当選しないこともある。この場合には、出玉率が90%であったとしても、図柄変動が70回を超える頃には残っていた玉もなくなってしまい、遊技者は下皿6や玉箱7から玉を上皿5へ運んで遊技を継続することになる。ただでさえ次の大当たりに当選することができずイライラしているのに、玉を手で補給しなければならないので、イライラ感が更に高まることになり、遊技者の遊技意欲を低下させてしまう。
そこで、この実施形態では、大当たり当選時に、蓋用ソレノイド41の励磁により可動蓋25を閉鎖位置に移動させて下段開口部34a2を可動蓋25で塞ぎ得る構成とされている。下段開口部34a2が可動蓋25で塞がれると(玉貯留部Sの容量が拡大状態S2となる)、大当たり中に払い出された玉が、第1玉通路33の前後通路部33b内で下段開口部34a2まで詰まっても、下段開口部34a2を通って第2玉通路34へと流出することはできないので、第1玉通路33の上下通路部33a内に貯まるようになり、常開の上段開口部34a1まで詰まってから、上段開口部34a1を通って第2玉通路34へと流出するようになる。
これにより、可動蓋25が開放位置にある場合に比べると、大当たり遊技が終了した時点でより多くの玉を第1玉通路33内に貯めることができ、次の大当たりに当選するまでの間に上皿5の玉がなくなる可能性を低くすることができる。ちなみに、上段開口部34a1と下段開口部34a2との間に貯まった玉だけで、約50回の特図変動を行い得るように設定されているので、大当たり遊技終了後は、手補給を行わずに約120回の特図変動を行わせることができる。
一方、上皿5に玉が全くない状態で大当たりに当選したとき、可動蓋25を閉鎖位置に移動させると、大当たり中に払い出される玉が、上皿5と第1玉通路33の前後通路部33b及び上下通路部33a内に貯まった後、溢れた玉のみが上段開口部34a1から第2玉通路34を通って下皿6へと払い出されることになるため、大当たり遊技終了時点で上皿5と第1玉通路33の前後通路部33b及び上下通路部33a内には多くの玉を貯めておくことができるものの、大当たり遊技の実行時には下皿6に少量の玉しか払い出されなくなるので、遊技者の遊技意欲を低下させるおそれがある。
そこで、この実施形態では、前回の大当たり遊技が終了してからの特図の変動回数に基づいて、可動蓋35を移動させるか否かを決定するように構成されている。具体的には、現時点で可動蓋35が開放位置にあり、特図の変動を例えば20回以上行ってから大当たりに当選したときは、第1玉通路33の前後通路部33b内には玉があまり残っていない状況が予想されるので、可動蓋35を開放位置に維持して下段開口部34a2を開状態とする(玉貯留部Sの容量が縮小状態S1となる)。この場合、大当たり遊技の終了時点では、上皿5と第1玉通路33の前後通路部33b内にしか玉が貯められないが、上下通路部33aに貯められる予定であった玉が下皿6及び玉箱7に払い出されるので、この時点での遊技者の期待感を満足させるには十分である。そして、この大当たりが確変大当たりであり、大当たり遊技終了後に確変状態へと遷移した場合には、よほど引きが弱くなければ上皿5と第1玉通路33の前後通路部33b内に残った玉を使い切る前に次の大当たりに当選する確率が高い。
また、現時点で可動蓋35が開放位置にあり、前回の大当たり遊技が終了してから特図の変動回数が20回になる前に大当たりに当選したときは、第1玉通路33の前後通路部33b内にまだ玉が残っている状況が予想されるので、可動蓋35を閉鎖位置に変更して下段開口部34a2を閉状態とする(玉貯留部Sの容量が拡大状態S2となる)。この場合、大当たり遊技の終了時点では、上皿5と第1玉通路33の前後通路部33bと上下通路部33aに玉が貯められるとともに、下皿6及び玉箱7にも多くの玉が払い出されるので、遊技者の期待感を満足させるのはもちろん、次の大当たりに当選するまでに手補給を行う可能性を更に減らすことができる。
一方、現時点で可動蓋35が閉鎖位置にあるとき、大当たり遊技が終了してから例えば70回ほどの図柄変動が終了する頃には、第1玉通路33の前後通路部33b及び上下通路部33a内には玉がほとんど残っていない状況が予想されるので、大当たり遊技が終了してから例えば70回の図柄変動を行った時点で、可動蓋35を開放位置へ移動させ、下段開口部34a2を開状態とする(玉貯留部Sの容量が縮小状態S1となる)。つまり、大当たり遊技が終了した時点で可動蓋35が閉鎖位置にあり、その大当たりが終了してから特図の変動回数が70回になる前に次の大当たりに当選したときは、第1玉通路33の前後通路部33b内にまだ玉が残っている状況が予想されるので、可動蓋35を閉鎖位置(玉貯留部Sの容量は拡大状態S2)に維持して新たな大当たり遊技を実行し、先の大当たりが終了してからの特図の変動回数が70回を超えて次の大当たりに当選したときは、第1玉通路33の前後通路部33b内には玉があまり残っていない状況が予想されるので、可動蓋35を開放位置(玉貯留部Sの容量は縮小状態S1)に変更して新たな大当たり遊技を実行することになる。
このように、本実施形態のパチンコ遊技機1では、前回の大当たり遊技が終了してからの特図の変動回数、及び現時点での可動蓋35の位置に基づいて、可動蓋35を移動させるか否かを決定するようにしたので、大当たり終了時に下皿6及び玉箱7にそれなりの出玉を確保することができ、大当たり間での特図の変動回数が少ないときは第1玉通路33内に多くの玉が貯められるようにしたので、確変状態(大当たりの連チャン中)に上皿5の玉がなくなる事態を極力減らすことができる。
次に、パチンコ遊技機1で実行される具体的処理ついて、図6〜図9に示すフローチャートに従って説明する。なお、図6〜図9のフローチャートで示されるプログラムは、主回路101のROM101bに格納されており、主回路101のCPU101aが所定のタイミングで繰り返し実行するように構成されている。
図6は、始動入賞処理を示すフローチャートである。主回路101は、始動入賞口21の始動入賞検出器121から玉検出信号が出力されると(S11:YES)、払出制御回路103に3個の賞球を払い出すように指示、すなわち賞球払出信号を出力する(S12)。
ステップS12の処理後、主回路101は、特図保留領域に記憶された特図保留が3つ以下であるか否かを判定する(S13)。特図保留が3つ以下であると判定すると(S13:YES)、乱数カウンタ領域からカウンタ値を抽出して大当たり抽選を実施し(S14)、その抽選結果を特図保留として特図保留領域に記憶し(S15)、この始動入賞処理を終了する。なお、始動入賞を検出しない場合や(S11:NO)、特図保留が4つに達している場合は(S13:NO)、直ちに始動入賞処理を終了する。
図7は、変動前処理を示すフローチャートである。この変動前処理では、主回路101は、RAM101cの特図保留領域に特図保留があるか否かを判定し(S21)、特図保留があれば(S21:YES)、RAM101cの状態フラグ領域に記憶された状態フラグが「0」、「2」、又は「3」であるか否かを判定する(S22)。ここで、状態フラグは、遊技が通常状態であるとき「0」に設定され、大当たり状態であるとき「1」に設定され、確変状態であるとき「2」に設定され、時短状態であるとき「3」に設定されるようになっており、初期状態では「0」に設定されている。
状態フラグが「0」(通常状態)、「2」(確変状態)、又は「3」(時短状態)であれば(S22:YES)、液晶表示装置12にて特図の図柄変動表示中であるか否かを判定する(S23)。特図の図柄変動表示中でなければ(S23:NO)、RAM101cの特図保留領域から最古の特図保留を読み出す(S24)。なお、RAM101cの特図保留領域に特図保留が記憶されていない場合は(S21:NO)、特図保留を読み出すことができないので、直ちに変動前処理を終了する。また、状態フラグが「1」(大当たり)である場合は(S22:NO)、新たな図柄変動を行うことができないので、直ちに変動前処理を終了する。また、特図の図柄変動表示中である場合は(S23:YES)、新たな図柄変動を行う必要がないので、直ちに変動前処理を終了する。
ステップS24の処理後、読み出した特図保留に基づいて大当たりに当選しているか否かを判定する(S25)。次に、主回路110は、ステップS25の判定結果に基づいて停止図柄、変動パターンを決定する(S26)。具体的には、現在選択されている判定テーブル群の判定結果に基づいて、図柄変動のための停止図柄、変動パターンを決定する。ステップS26の処理後、決定した停止図柄、変動パターンに基づいて特図変動処理を実行する(S27)。
図8は、変動前処理のステップS27にて起動される特図変動処理を示すフローチャートである。この特図変動処理では、主回路101は、変動回数に1を加算し(S31)、変動前処理のステップS26の処理で決定された停止図柄、変動パターンに基づいて特図の変動開始を指示する(S32)。すなわち、主回路101は、副制御回路102を経由して表示制御回路105に停止図柄、変動パターンを指示するコマンドを送信し、表示制御回路105は、受信したコマンドに応じて液晶表示装置12に所定の画像を表示させる。特図の変動を開始してから所定時間(決定された変動パターンの変動時間)が経過すると(S33:YES)、特図の変動停止を指示する(S34)。
変動前処理のステップ25の判定結果が大当たりであれば(S35:YES)、状態フラグ領域の状態フラグを「1」に変更する(S36)。次に、蓋用ソレノイド41の励磁・非励磁に基づいて、現時点で可動蓋35が開放位置にあるか否かを判定する(S37)。可動蓋35が開放位置にある場合には(S37:YES)、ステップS31の処理後の変動回数が20回(本発明の設定値、第2設定値に相当)未満であるか否かを判定する(S38)。なお、ステップS31の処理後の変動回数は、大当たりに当選したとき(S35:YES)、以降で実行されるステップS40の処理により必ず0にリセットされるので、既に1回以上の大当たりに当選している場合には、前回の大当たり遊技が終了してからの特図の変動回数を示すことになる。
ステップS31の処理後の変動回数が20回未満であれば(S38:YES)、主回路110は、蓋用ソレノイド41を励磁して可動蓋35を開放位置から閉鎖位置へ移動させ(S39)、変動回数を0にリセットする(S40)。上述したように、可動蓋35が開放位置にあり、玉貯留部Sの容量が縮小状態S1であるときは、変動回数のほぼ20回に相当する分の玉を発射装置114へ供給することができる。したがって、ステップS31の処理後の変動回数が20回未満であれば、第1玉通路33の前後通路部33b内に玉が残っている状況が予想されるので、この場合は次の大当たりの当選に備えて玉貯留部Sの容量を拡大状態S2に変更するようにしたものである。
なお、可動蓋35が閉鎖位置にあるときは(S37:NO)、後述するステップS41の処理を踏まえると、前回の大当たり遊技終了時に可動蓋35は閉鎖位置にあり、その大当たりが終了してからの特図の変動回数がまだ70回に達しておらず、少なくとも第1玉通路33の前後通路部33b内には玉がまだ残っている状況が予想されるので、可動蓋35を閉鎖位置に維持して、ステップS40の処理に移行する。また、可動蓋35が開放位置にあり、ステップS31の処理後の変動回数が20回以上であれば(S37:YES,S38:NO)、前回の大当たり遊技終了時から可動蓋35は開放位置にあったか、或いは前回の大当たり遊技終了時に可動蓋35は閉鎖位置にあったがその大当たりが終了してから特図の変動が70回以上行われて開放位置に変更されて、第1玉通路33の前後通路部33b内には玉があまり残っていない状況が予想されるので、可動蓋35を開放位置に維持して、ステップS40の処理に移行する。また、例えば遊技店の営業前にパチンコ遊技機がリセットされており、営業を開始してから特図の変動が20回に達する前に大当たりに当選したときは、第1玉通路33の前後通路部33b内には玉が残っていないので、リセット後初めての大当たりである場合は特図の変動回数に関わらず開放位置を維持するようにするとよい。
ステップS40の処理後、変動回数が70回に達したか否かを判定し(S41)、状態フラグが「3」(時短状態)であるか否かを判定する(S44)。大当たりに当選した場合は(S35:YES)、ステップS40の処理により変動回数は0にリセットされており(S41:NO)、ステップS36の処理により状態フラグは「1」(大当たり)に設定されているので(S44:NO)、特図変動処理を終了する。
変動前処理のステップS25の判定結果がハズレであれば(S35:NO)、ステップS36〜S40の処理を実行することなく、変動回数が70回(本発明の設定値、第1設定値に相当)に達したか否かを判定する(S41)。可動蓋35が初期設定時の開放位置に維持されている場合は、変動回数が70回に達していなくても(S41:NO)、上皿5と第1玉通路33の前後通路部33b内には玉がほとんど残っていない状況が予想されるので、可動蓋35が開放位置に維持される。変動回数が70回に達した場合(S41:YES)も同様であり、可動蓋35が開放位置に維持される(S42:NO)。そして、状態フラグが「0」(通常状態)であるので(S44:NO)、特図変動処理を終了する。
現時点で可動蓋35が閉鎖位置にあるときは、大当たり遊技が終了してからの変動回数が70回に達していなければ(S41:NO)、上皿5と第1玉通路33の前後通路部33b内には玉がまだ残っている状況が予想されるので、可動蓋35が閉鎖位置に維持される。この場合、確変大当たりであれば、状態フラグが「2」(確変状態)に設定されているので(S44:NO)、特図変動処理を終了する。一方、非確変大当たりであれば、状態フラグが「3」(時短状態)に設定されているので(S44:YES)、変動回数が100回に達したか否かを判定するが(S45)、変動回数は70回に達していないので(S45:NO)、特図変動処理を終了する。
その後、大当たり遊技が終了してからの変動回数が70回に達すると(S41:YES)、上皿5と第1玉通路33の前後通路部33b内には玉がほとんど残っていない状況が予想されるので、蓋用ソレノイド41を非励磁にして可動蓋35を開放位置へ移動させる(S42:YES,S43)。この場合、確変大当たりであれば、状態フラグが「2」(確変状態)に設定されているので(S44:NO)、特図変動処理を終了する。一方、非確変大当たりであれば、状態フラグが「3」(時短状態)に設定されているので(S44:YES)、変動回数が100回に達したか否かを判定する(S45)。変動回数が100回に達していなければ(S45:NO)、特図変動処理を一旦終了し、以後ハズレが続けば、ステップS31〜S35,S41〜S45の処理を繰り返し実行し、変動回数が100回に達すれば(S45:YES)、状態フラグを「0」(通常状態)に変更して(S46)、特図変動処理を終了する。
図9は、大当たり処理を示すフローチャートである。この大当たり処理では、主回路101は、状態フラグが「1」(大当たり)であるか否かを判定する(S51)。状態フラグが「1」でなければ(S51:NO)、大当たり処理を終了する。
一方、状態フラグが「1」であれば(S51:YES)、ラウンド数に1を加算し(S52)、大入賞ソレノイド132を励磁することにより、大入賞口22を開放する(S53)。これにより、大入賞口22への玉の入賞が可能になる。そして、主回路101は、大入賞口22の大入賞検出器122から玉検出信号が出力されると(S54:YES)、入賞数に1を加算し(S55)、払出制御回路103に15個の賞球を払い出すように指示、すなわち賞球払出信号を出力する(S56)。
大入賞口22へ1ラウンドの入賞可能玉数である10個の玉が入賞するか(S57:YES)、大入賞口22が開放状態となってから1ラウンドの最大開放時間である25秒が経過するか(S58:YES)の何れかが満たされると、大入賞ソレノイド132を非励磁とすることにより、大入賞口22を閉鎖し(S59)、入賞数を0にリセットする(S60)。これにより、大入賞口22への玉の入賞ができなくなる。
そして、ラウンド数が最大ラウンド数である15に満たない場合は(S61:NO)、この大当たり処理を一旦終了する。以後、S51〜S61の処理が繰り返し実行され、ラウンド数が最大ラウンド数である15になったとき(S61:YES)、ラウンド数を0にリセットする(S62)。その後、確変大当たりであれば(S63:YES)、状態フラグを「2」(確変状態)に変更し(S64)、非確変大当たりであれば(S63:NO)、状態フラグを「3」(時短状態)に変更する(S65)。
以上の説明からも明らかなように、この実施形態では、可動蓋35、蓋用ソレノイド41及び主回路101によって玉貯留部Sの容量が拡大状態S2と縮小状態S1との少なくともいずれかの状態に変更される。具体的には、主回路101(容量制御手段)は、大当たり遊技を実行するとき、前回の大当たり遊技が終了した時点で玉貯留部Sの容量が拡大状態S2であった場合は、特図の変動回数が70回(第1設定値)未満であれば玉貯留部Sの容量を拡大状態S2に、70回以上であれば縮小状態S1にし、前回の大当たり遊技が終了した時点で玉貯留部Sの容量が縮小状態S1であった場合は、特図の変動回数が20回(第2設定値)未満であれば玉貯留部Sの容量を拡大状態S2に、20回以上であれば縮小状態S1にしている。すなわち、上皿5及び玉貯留部Sに貯まっている玉が多い状態で大当たりに当選したときは、可動蓋35等によって玉貯留部Sの容量が拡大状態S2となるように設定されているので、例えば確変状態が継続して大当たりが連チャンしている時において上皿5の玉がなくなる機会を極力少なくすることができる。一方、上皿5及び玉貯留部Sに貯まっている玉が少ない状態で大当たりに当選したときは、可動蓋35等によって玉貯留部Sの容量が縮小状態S1となるように設定されているので、大当たり遊技終了後に下皿6及び玉箱7に払い出される玉が少なくなることを解消することができる。
なお、上記実施形態では、大当たりが終了してからの特図の変動回数が70回に達したとき、可動蓋35が閉鎖位置にあれば開放するようにしたが、可動蓋35が閉鎖位置にある状態で次の大当たりに当選したとき、前回の大当たりが終了してからの特図の変動回数が70回以上であれば開放位置に変更するようにしてもよい。つまり、大当たりが終了してからの特図の変動回数が70回に達した時点で可動蓋35が閉鎖位置にあっても開放せず、次の大当たりに当選するまでその閉鎖位置を維持するようにしても、次の大当たりに当選するまで玉貯留部Sの容量は遊技に影響を及ぼさないので、可動蓋35の開閉状態を維持するか変更するかの判定を大当たりに当選したときにだけ行うようにすることができる。
また、上皿5及び玉貯留部Sに貯まっている玉が多いか少ないかを、前回の大当たり遊技が終了してから現時点までの主回路101による抽選処理の実行回数を目安として図8のステップS31,S38,S41の処理により推定するようにしたので、玉検出センサ等の新たなハードを追加する必要がなく、システム全体を簡易かつ安価に構成することができる。そして、前回の大当たり遊技が終了した時点での玉貯留部Sの容量に応じて可動蓋35が開放位置にあるときは第2設定値を例えば20回とし、可動蓋35が閉鎖位置にあるときは第1設定値を例えば70回としたので、上皿5及び玉貯留部Sに貯まっている玉の量をより正確に推定することができる。
なお、上記実施形態では、前回の大当たり遊技が終了してからの特図の変動回数を基準にして、可動蓋35を閉鎖位置へ移動させるか否かを判定させたが(S37〜S39,S41〜S43)、大当たり当選時の遊技状態を参考にしてもよい。例えば、通常状態から大当たりに当選したときは、上皿5が一杯になる玉が残っている可能性はほとんどないので、可動蓋35を開放したままとし、確変状態や時短状態で大当たりに当選したときは、上皿5に玉が残っている可能性が高いので、可動蓋35を閉鎖するようにする。これによっても、遊技者の遊技意欲が低下してしまう機会を減らすことが可能である。
また、第2開口部として上段開口部34a1と下段開口部34a2との上下2箇所の開口部を設け、下段開口部34a2を可動蓋35により開閉することで、玉貯留部Sの容量をS1とS2とのいずれかに調整するようにしたが、第2開口部としての開口部を3箇所以上設けてもよい。この場合、前回開いていた開口部の位置を参考にして、前回の大当たり遊技が終了してからの特図の変動回数を更に細かく設定し、次の大当たり当選時にいずれの開口部を開状態とするかを決定するようにすればよい。なお、第2開口部を設ける位置によって、第1玉通路33に貯められる玉の量も変わってくるので、特図変動回数の設定値は適宜設定すればよい。
また、第2開口部は、上記実施形態等のように複数設けておき、そのいずれかを有効とすることで、第2開口部の位置を変更する構成としてもよいし、第2開口部自身が例えば上下に移動するような構成であってもよい。例えば、第1玉通路と第2玉通路との間に1つの第2開口部を有する移動壁を設け、その移動壁を上下に移動させることで第2開口部の位置を変更する構成とすることも可能である。
また、第2開口部は1つだけ設け、第1玉通路を容量可変の容器体で構成してもよい。その他、第1玉通路や第2玉通路の形状、第2開口部の開閉構造などについては適宜設定変更可能である。