以下、本発明の実施形態に係る回胴式遊技機Aについて図面を参照しながら詳細に説明する。ここでは遊技媒体に遊技メダルを用いる回胴式遊技機を例にする。
図1は本実施形態に係る回胴式遊技機Aの外観斜視図である。
回胴式遊技機Aは各種制御基板や回胴機構部材を収納した筐体1を有し、筐体1の前面開放部には前扉5が開閉自在に取り付けられている。前扉5の上部2の中央には、演出報知手段の一つとしてのカラー液晶ディスプレイ装置からなる液晶表示装置3の表示画面が配設されている。この表示画面において回胴遊技の進行に応じてキャラクターや文字、数字、メッセージ等の画像表示が行われて、当選役の報知等の各種表示演出が行えるようになっている。液晶表示装置3の両側には、一対の上部スピーカ4が配設されており、液晶表示装置3による画像演出と同調して、各種効果音等による音響演出が行えるようになっている。表示報知手段の表示装置には、カラー液晶の他に、例えばカラーEL(エレクトロルミネッセンス)、カラープラズマディスプレイ装置、電子ペーパディスプレイ、7セグメント、LEDドット表示器等を使用することができる。
液晶表示装置3の下方で前扉5の略中央には、透明パネルからなる図柄表示窓8が設けられている。図柄表示窓8の内側にリール(回胴)8a、8b、8cが筐体1内部に配置されている。図柄表示窓8を通じて、リール(回胴)8a〜8cが視認可能になっている。リール8a〜8cはステッピングモータ(図示せず)の回転軸に取り付けられていて、該ステッピングモータの駆動により一定速度で回転駆動される。リール8a〜8cの外周面には21個の図柄が回転方向に沿って形成されている。リール8a〜8cは、図柄表示窓8を通じて視認可能に表示される図柄を可変表示(変動)させる回胴表示部を構成している。
各リール8a〜8cの図柄のうち、3個ずつの図柄が図柄表示窓8を通じて視認可能となっており、図柄表示窓8は3×3個の図柄を表示可能にする図柄組合せ表示領域を構成する。本実施形態においては、回胴表示部として回転ドラムのリール8a〜8cを使用しているが、回転ドラム以外に、例えば、ベルト面に図柄を配置、設定した無端ベルト等の回転機構により回胴表示部を構成することができ、更に、回転機構を用いずに、擬似的に回胴及びその変動を画像表示するディスプレイを使用することも可能である。
図2は図柄表示窓8の図柄組合せ表示領域に設定された、各種当選役の入賞又は成立を確定するための4つの有効ラインL1〜L4を示す。
役抽選(内部抽選)の抽選結果と、遊技者の停止操作による回胴停止タイミングに基づき、回胴表示部の可変表示の停止制御が行われて、当選役に応じた図柄が有効ラインL1〜L4に停止し、当選役図柄の組合せによる表示結果が2点鎖線で示す図柄表示窓8の図柄組合せ表示領域に導出可能になっている。
有効ラインL1、L2は夫々、中央ライン、上段ラインである。有効ラインL3、L4は夫々、右下がりの対角線ライン、右上がりの対角線ラインである。有効ラインL1〜L4は5ラインから下段ラインを除いた変則4ラインからなり、入賞(又は成立)位置を特定する入賞(又は成立)図柄位置特定形態を構成している。有効ラインの設定は入賞率の決定、押し順ARTの図柄停止制御等に関係するが、本実施形態の上記変則4ラインに限らず、図柄配列や出玉率の設計等に応じて各種有効ラインの組合せが可能であり、ライン数を3本以下又は5本にしてもよい。
図柄組合せ表示領域におけるリール8a〜8cの夫々の図柄停止位置はE11〜E13、E21〜E23、E31〜E33の合計9駒からなる。有効ラインL1、L2は夫々、E12−E22−E32、E11−E21−E31の停止位置の配置からなる。有効ラインL3、L4は夫々、E11−E22−E33、E13−E22−E31の停止位置の配置からなる。
図3は各リール8a〜8cに形成した図柄配列帯及び図柄種を示す。即ち、同図(3A)、(3B)は夫々、各リール8a〜8cの図柄配列帯、図柄配列帯に配置される8種類の図柄を示す。(3A)における左回胴、中回胴及び右回胴は夫々、リール8a〜8cの図柄配列帯に対応している。各図柄配列帯はリール外周に巻き付けられるリールテープからなり、テープ面には、内部抽選に当選した当選役に対応する図柄の組合せを構成するための図柄が印刷形成されている。
本実施形態においては、(3B)に示すように、赤7(符号31)、青7(符号32)、BAR(符号33)、チェリー(符号34)、スイカ(符号35)、ベル(符号36)、ブランク(符号37)及びリプレイ(RP:符号38)の計8種類の図柄が使用されている。これらの図柄は各リールの外周面に沿って計21駒配置され、図柄の並び順に沿って図柄番号0番〜20番の駒番号が割り当てられている。
BETランプ23、クレジット表示部24及び払出枚数表示部25からなるパネル表示部7が図柄表示窓8の下部に配設されている。BETランプはメダル投入(設定)枚数の1〜3枚に応じて点灯するランプからなり、1ゲームを行うために賭けられたメダル数(以下「BET数」という。)に応じて点灯する。クレジット表示部24及び払出枚数表示部25は7セグメントLEDによって構成されている。回胴式遊技機Aは投入メダルの枚数を予め記憶して貯留するクレジット機能を有し、クレジット表示部24にはクレジットされている残メダル枚数が表示される。回胴式遊技機Aにクレジットされる最大枚数は50枚であり、クレジット表示部24に表示されるクレジット枚数は50枚以下となる。なお、最大枚数の50枚がクレジットされている状態で、メダルを更に投入してもそのまま排出されて返却される。払出枚数表示部25は入賞時に払い出されるメダル枚数を表示する。払出枚数表示部25はボーナスゲームの遊技情報を表示する表示機能も有し、ボーナスゲーム中にはボーナスゲームで獲得した総払出枚数が累積表示される。
遊技者が操作する操作部9が図柄表示窓8の下方に設けられている。操作部9は前方に緩やかに傾斜した傾斜部と、前扉1の前面側に設けた正面部からなる。該傾斜部には、遊技媒体である遊技メダルを投入するためのメダル投入口10と、クレジットされた貯留枚数範囲内において、1ゲームに対して許容される賭け数の上限値(1ゲームに対して投入可能な遊技メダル数)まで遊技メダルを一度に投入(設定)するためのMAXベットボタン11、押した回数に応じて上記賭け数の上限値まで遊技メダルを加算的に設定するための1ベットボタン13、クレジット精算を行うための貯留メダル精算ボタン12が設けられている。MAXベットボタン11を押下して、メダル貯留残数が十分あるときには、賭け枚数が最大賭け枚数、つまり3枚に設定され、貯留残数が最大賭け枚数に満たない場合には、貯留残数全てが賭け枚数に加算される。
回胴式遊技機Aは、1遊技に供するメダル数が3枚必要とされる所謂3枚専用の回胴式遊技機である。メダルが3枚投入されることにより遊技可能を表す有効化表示器(図示せず)が図柄表示窓8周辺のパネル面に配設されている。
遊技演出を電飾表示するための装飾ランプ部6が図柄表示窓8の左右両側の前扉5側部に設けられている。装飾ランプ部6は、RGB多色発光可能なLEDからなり、その発光色の種類や発光態様による光演出効果を発揮する。
操作部9の正面部には、リール8a〜8cの回転を開始させるための始動スイッチである回胴回転始動レバー15と、各リール8a〜8cに対応して設けられた回胴回転停止ボタン16a、16b、16cと、メダル投入口10から内部のメダル投入路に詰まったメダルを返却させるための返却ボタン17が配設されている。前扉5の開放側端には前扉5の施錠状態を切り替えるための錠装置18が設けられている。
回胴式遊技機Aの機種名やモチーフ等に基づいた意匠デザインが形成された装飾パネル19が前扉5の下部14に取り付けられており、パネル内側に設置された照明装置(図示せず)により点灯表示される。装飾パネル19の下側には、後述のメダルホッパー305により排出される賞メダル、あるいは返却操作により払い出されるメダルを排出するためのメダル払出口21と、メダル払出口21から排出されたメダルを貯留するためのメダル受皿20が設けられている。メダル払出口21の左右両側には下部スピーカ22a、22bが設けられている。メダル受皿20の横には灰皿26が配設されている。
回胴式遊技機Aにおいては、液晶表示装置3の画像表示による演出表示、上部スピーカ4、下部スピーカ22a、22bによる効果音、装飾ランプ部6の電飾効果を用いて、一般役や特別遊技役の当選、特典遊技(ART遊技)の付与、ART回数の上乗せ等の演出、報知を視覚的且つ聴覚的に行うことができる。演出効果手段としては、視覚、聴覚に限らず、触覚などの人間の五感を刺激することにより伝達する手段、例えば、遊技者の体に振動を伝える加振装置、骨伝導装置、送風装置等を使用することができる。
ART遊技中においては、6択のAT役の夫々の回胴の停止操作順序を報知するための報知手段として、液晶表示装置3による演出表示(例えば、停止操作手順の指示表示)及び上部スピーカ4、下部スピーカ22a、22bによる効果音(例えば、停止操作順序に沿った左・中・右の指示音声)が使用される。
本実施形態に係る回胴式遊技機Aの制御装置について説明する。
図4は回胴式遊技機Aの制御装置の概略構成を示す制御ブロック図である。
回胴式遊技機Aの制御装置は、遊技動作制御を統括的に司る主制御基板100と、主制御基板100から制御コマンドを一方向に受信して、画像と光と音についての演出表示制御を統括的に司る副制御基板200と、賞メダルの払出を制御する払出制御基板300と、AC24Vの外部電源から遊技機に必要な電源を生成し供給する電源基板400からなる。なお、図4においては電源供給ルートを省略している。
主制御基板100は、メインCPU101を内蔵したマイクロプロセッサを搭載すると共に、メインROM102と、メインRAM103とを搭載したメイン側マイクロコンピュータ(本実施形態ではZ80システム相当品を採用している)からなり、役抽選、リール駆動制御、回胴を用いた特別演出(フリーズ演出)の実行可否の決定等を実行処理する主制御部を構成する。メイン側マイクロコンピュータには、図示しないが、CTC(Counter Timer Circuit)やメインCPU101に割り込み信号を付与する割り込みコントローラ回路が設けられている。
メインROM102には、各種遊技状態における一連の遊技機制御手順が記述された制御プログラムの他、回胴の停止制御用停止データを記述した停止制御テーブル(図示せず)、役抽選用の役抽選テーブル(図7参照)、入賞による払い出し枚数を設定するための入賞払出テーブル(図示せず)等の遊技動作制御に必要な所定のデータ等が格納されている。また、メインROM102には、ボーナス役、チェリー役等の当選等に関連してフリーズ演出を実行するか否かを決定するフリーズ演出決定処理プログラム及び前記決定に係るフリーズ演出の実行処理を行うフリーズ演出実行処理プログラムが格納されている。フリーズ演出は遊技の進行を一時停止するフリーズ期間において実行される特別演出である。メインRAM103には、当選役を決定するための役の抽選に利用される抽選用乱数値、当選役情報、遊技状態情報等の遊技の進行に必要なデータを格納するためのワークエリアが形成されている。
メイン側マイクロコンピュータには、役抽選用乱数を発生させるためのカウンタ回路(図示せず)が接続されている。このカウンタ回路は、ハードウェア的に一定範囲(乱数域:0〜65535)の乱数を生成する乱数生成回路と、当該乱数生成回路から所定のタイミングで乱数値をサンプリングするサンプリング回路が含まれている。メインCPU101は処理状態に応じて上記乱数生成回路により生成された乱数値を内部抽選用乱数値として取得して役抽選処理を実行する。役抽選処理はリール8a〜8cの回転毎の単位回胴遊技(1ゲーム)の実行の度に上記役抽選テーブルを参照して実行される。
主制御基板100には回胴中継基板250を介してリール8a〜8cを回転駆動するための回胴駆動モータ群251が接続されている。回胴駆動モータ群251は各リールを夫々回転駆動する3個のステッピングモータ(図示せず)と、各ステッピングモータのモータ駆動回路からなる。メインCPU101の制御の下、回胴中継基板250を通じて各回胴のステッピングモータを制御するための駆動パルス信号を供給してリール8a〜8cの回転制御及び停止制御が行われる。
また、主制御基板100には回胴中継基板250を介して、各リールに設けた回胴回転位置検出センサ類252が接続されており、主制御基板100の制御の下、回胴回転の後に各リール毎の回胴位置検出センサからの検出信号を受信することにより、抽選結果と停止操作タイミングに応じて所定の位置に停止制御することが可能となっている。
主制御基板100には遊技中継基板150を介して、各種入力信号が入力可能になっている。即ち、主制御基板100には、回胴回転始動レバー15の作動を検出する回胴回転始動スイッチ15aと、回胴回転停止ボタン16a〜16cの夫々の回胴回転停止スイッチ16e、16f、16gを搭載した停止スイッチ基板160と、メダル投入口10からの遊技メダルを検出するメダル検出センサ10aと、MAXベットボタン11の作動を検出するMAXベットスイッチ11aと、1ベットボタン13の作動を検出する1ベットスイッチ13aと、貯留メダル精算ボタン12の作動を検出する貯留メダル精算スイッチ12aが接続され、主制御基板100は各種スイッチからの検出信号を受信可能となっている。メダル検出センサ10aはメダル投入口10から投入されたメダルが後述のメダルホッパー305のタンクに収容されるまでのメダル投入路に配置したメダル選別装置(図示せず)内に設置されている。回胴回転始動レバー15、回胴回転停止ボタン16a〜16c、MAXベットボタン11、1ベットボタン13、貯留メダル精算ボタン12には、操作部材内部にLED(図示せず)が設けられており、そのLEDの発光態様(例えば、発光色)により、上記のレバー操作やボタン操作の有効又は無効が遊技者に報知可能となっている。
主制御基板100には、回胴設定基板350を介して設定スイッチ351による設定データが入力可能になっており、設定スイッチ351の設定操作により、出玉率を6段階のいずれかに設定する「6段階設定」を変更することができる。設定スイッチ351の他に、主制御基板100には、遊技動作エラーを解除するためのリセットスイッチ等の各種スイッチが接続されている。また、主制御基板100からは、ボーナス当選や遊技実行データ等の遊技情報を外部集中端子基板(図示せず)を介してホールコンピュータ(パチンコホールの遊技機を統括的に管理するコンピュータ)に外部出力可能となっている。
副制御基板200は、主制御基板100からの制御コマンドを一方向に受信可能に主制御基板100と接続されている。副制御基板200は、主制御基板100からの制御コマンドの受信の他に、演出内容の抽選や液晶制御基板206への液晶制御コマンドの送信、各スピーカの音制御、装飾ランプ部6等のLED発光制御等を行う。
液晶制御基板206は、副制御基板200から受信した液晶制御コマンドに基づき、液晶表示装置3の表示制御を行うために必要な制御データを生成してVDP(Video Display Processor)に出力する液晶制御用CPUと、液晶制御用CPUの動作手順を記述したプログラムを内蔵する制御ROMと、ワークエリアやバッファメモリとして機能する制御RAMと、液晶制御用CPUに接続されて画像展開処理を行う映像表示プロセッサVDPと、VDPが画像展開する必要な画像データを格納した画像データROMと、VDPが展開した画像データを一時的に記憶するVRAMとを含んで構成されている。
図5は回胴式遊技機Aの内部構成を示す。筐体1は天板1a、側板1b、1c及び底板1dにより形成された前面開放の箱体からなる。筐体1内には、リール8a〜8c、メダルホッパー305、電源装置400a等が収納されている。リール8の上方には、主制御基板100を収納したメイン基板ボックス100aが取り付けられている。メイン基板ボックス100aの周辺には、副制御基板200等のサブ基板も配設されている。メダルホッパー305はホッパーモータ301により駆動され、タンクに収納した収容メダルをメダル放出口305bを通じてメダル払出口21に連通した放出通路(図示せず)に向けて放出する遊技媒体払出装置である。
ホッパーモータ301は払出制御基板300を介して主制御基板100と接続されている。主制御基板100は、入賞による遊技メダルの払い出しが必要な場合、払い出し枚数を指定する払出制御コマンドを払出制御基板300に送信する。払出制御基板300は主制御基板100からの払出制御コマンドを受けてホッパーモータ301を駆動制御して、指定枚数の遊技メダルの払い出し処理を行う。
前記放出通路にはメダル払出センサ(図示せず)が設置され、該メダル払出センサはメダルホッパー305から払い出される遊技メダルを検出し、検出信号を主制御基板100に出力可能になっている。ホッパーモータ301を駆動制御し、払い出された遊技メダルは該メダル払出センサにより検出されて、その検出信号は主制御基板100に入力され、払出完了の判定に供される。
メダルホッパー305の横には、メダルホッパー305のタンクの収容メダルがオーバーフローメダル放出口305aよりオーバーフローして溢れ出た遊技メダルを貯留する補助タンク306が配置可能になっている。補助タンク306には、補助タンク306の満杯状態を監視する満杯検知装置(図示せず)が設置されており、該満杯検知装置からの検出信号は主制御基板100に送信可能となっている。
副制御基板200は、サブCPU201を内蔵したマイクロプロセッサを搭載すると共に、サブROM202と、サブRAM203とを搭載したサブ側マイクロコンピュータからなり、各種演出報知制御、ART付与抽選処理、ART遊技中のAT役の停止操作順序報知等を実行処理する副制御部を構成する。サブ側マイクロコンピュータには、メイン側と同様に、サブCPU201やサブ用CTCに割り込み信号を付与する割り込みコントローラ回路が設けられている。
サブROM202には、一連の演出報知制御手順が記述された演出報知制御プログラムの他、ART遊技中においてAT役の当選役の押し順報知を行う押し順報知制御プログラム、ART遊技の進行や遊技回数の変更を報知する演出抽選テーブル(図示せず)等の所定のデータが格納されている。また、サブROM202には、特典遊技としてのART遊技を付与するか否かを決定するART付与決定処理プログラムが格納されている。
本実施形態において、ART遊技の付与抽選の当選確率を向上させた高確遊技モードに移行させる移行形態には特別演出の実行決定に基づく場合と、モード移行ポイント値に基づく場合が含まれており、高確遊技モードへの移行パターンの多様化を図っている。更に、係る移行形態には内部抽選結果に応じて高確遊技モードへの移行可否を決定する移行形態を使用することができる。
前記ART付与決定処理プログラムには、特別演出の実行決定に基づいて高確遊技モードに移行可能にする高確遊技モード移行決定処理プログラム、ART付与抽選を実行するART付与抽選実行プログラム、特別演出に基づく高確遊技モードへの移行処理とは別に高確遊技モードに移行可能にするモード移行ポイント値を貯留(累積加算)するモード移行ポイント貯留処理プログラム、ART遊技中に更新ポイント値を貯留(累積加算)する更新ポイント貯留処理プログラム、及び高確遊技モードの実行処理プログラムが含まれている。
高確遊技モードにおいてはART遊技を付与するか否かを決定するART遊技付与抽選の抽選確率(あるいはその期待値)が向上される。更新ポイント値はART遊技中の累積によりART遊技回数の更新率を向上可能にすることができるポイント値である。演出報知制御プログラムには、液晶表示装置3によるフリーズ期間中の画像演出の実行プログラムも含まれている。副制御基板200は前記押し順報知制御プログラムの実行制御により、ART遊技時に当選AT役の押し順報知を行うART遊技実行手段を構成している。サブRAM203には、演出報知に関する抽選に利用される演出用乱数値や演出報知状態に必要なデータ等を格納するためのワークエリアが形成されている。
サブ側マイクロコンピュータには、サブ抽選用乱数を発生させるためのカウンタ回路(図示せず)が接続されている。このカウンタ回路は、メイン側マイクロコンピュータに設けた前記カウンタ回路と同様に乱数生成回路とサンプリング回路を含む。サブCPU201は、演出処理状態(例えば、主制御基板100から制御コマンドを受信したタイミング)に応じて当該サンプリング回路に指示を送ることにより乱数生成回路が生成している数値を演出用乱数値として取得する。取得された演出用乱数値は各種演出報知の抽選に供される。
副制御基板200には、主制御基板100からの制御コマンドを受けて光と音と画像についての演出報知処理を行うための制御対象として、音響発生装置204、ランプ基板205及び液晶制御基板206が接続されている。音響発生装置204は、副制御基板200からの音響制御信号を受けて、上部スピーカ4、下部スピーカ22a、22bによる楽音又は音声の出力制御を行う。ランプ基板205は装飾ランプ部6を構成するLED群を搭載した回路基板からなり、前扉5の内側部に取着されている。ランプ基板205は副制御基板200からのLED駆動制御信号を受けてLED点灯制御を行う。副制御基板200は主制御基板100からの制御コマンドに関連付けられた液晶制御コマンドを液晶制御基板206に送信し、液晶制御基板206は液晶制御コマンドに基づいて液晶表示装置3の画像制御を行う。
副制御基板200は、主制御基板100から送られてくる制御コマンドに基づき、複数種類の演出内容の中から実行演出内容を抽選によりあるいは一意に決定し、この決定内容を実行指示する各種制御信号を、音響発生装置204、ランプ基板205及び液晶制御基板206に送信して、液晶表示装置3の演出画像表示と、効果音の出力と、装飾ランプ部6の点灯・点滅駆動が協働して実行可能になっている。
上記構成の回胴式遊技機Aにおける遊技時の動作概要を説明する。
図8は回胴式遊技機Aにおける回胴遊技の開始処理を示す。まず、遊技者は遊技する際に、クレジット分からMAXベットボタン11の押下によりBET設定するか、あるいはメダル投入口10から規定枚数のメダルを投入する(ステップS120〜S122)。ついで、回胴回転開始始動レバー15を操作すると(ステップS123)、この始動操作が遊技機内部で行う内部抽選の契機となって内部抽選が実行される(ステップS124)。この始動操作により各リール8a〜8cの回転駆動が開始されて、一定の速度に達した後、回胴回転停止ボタン16a〜16cの操作が有効となる。各停止操作のタイミングに基づき、内部抽選結果に応じた位置に各リールは停止制御される。いずれかの入賞役に当選している場合には、停止操作タイミングが合致して有効ライン上に当選役の図柄組み合わせが成立したとき、所定枚数のメダルの払出が行われる。リプレイ役の成立時にはBET又はメダル投入を行うことなく再遊技が可能になる。
内部抽選によりボーナス役(BB又はRB)が当選すると、ボーナス役図柄の成立によって、ベル役が高確率で当選するボーナス遊技に移行可能となる。メイン処理の内部抽選による当選役の決定処理とは別に、サブ処理によるART遊技の付与決定処理も実行可能になっている。ART遊技の付与が決定されると、AT役の正解押し順が報知されるART遊技状態に移行可能なる。
主制御基板100によるメイン処理の処理手順を図面を参照して説明する。この処理手順には1回の遊技に必要な一連の流れが含まれている。なお、本実施形態における各処理をステップ番号で示しており、各ステップにおける処理は主制御部又は副制御部による制御手段を構成する。
図6はメイン処理の処理手順を示す。
回胴式遊技機Aに電源投入が行われると、電源基板400から電源投入信号が主制御基板100に送られてメイン処理が開始される。電源投入時には初期設定処理(ステップS1)が行われる。その後、遊技1回毎に正常動作時の処理(ステップS2〜S16)が行われる。
まず、RAM初期化処理(ステップS2)を実行して、前回のゲーム終了時において使用した所定のデータをクリアして、今回のゲームに必要なワークエリアが確保される。
次に、遊技状態フラグ生成処理が行われる(ステップS3)。遊技状態フラグ生成処理においては、今回のゲームの遊技状態の種別(通常遊技、RT1遊技、RT2遊技、ボーナス持越遊技、ボーナス遊技等)の確認が行われ、遊技状態に対応する遊技状態フラグ(通常遊技状態フラグ、RT遊技状態フラグ、ボーナス内部当選中フラグ、ボーナス作動フラグ等)が設定される。各遊技におけるメイン処理は設定された遊技状態フラグに基づいて実行される。
本実施形態におけるART遊技はメイン処理上、リプレイの当選確率が高くなるRT2遊技状態において実行可能になる。メイン処理上の遊技状態がRT1遊技状態のときに、ART遊技の付与が決定されて、更にRT2移行条件が成立することによりRT2遊技状態フラグがオンになる。RT2遊技状態フラグがオンされるとRT2遊技状態に移行してART遊技が開始される。RT1及びRT2の遊技状態フラグはメインRAM103に記憶、セットされる。
本実施形態では、RT遊技状態を主制御部によるメイン処理によって管理して、特典遊技として付与するART遊技の付与決定処理やART遊技の実行処理は副制御部のサブ処理によって行われる。ART付与決定処理はメイン処理により行うようにしてもよい。なお、副制御部は当選AT役の押し順を報知するAT遊技状態を主として管理するが、便宜上サブ処理上も、メイン処理と協働して実行するので、サブ処理における実行処理もART遊技と称する。
遊技メダル投入処理(ステップS4)においては、主に、遊技機本体に投入された遊技メダルの検出、クレジットの管理、再遊技が発生した場合の遊技メダルの自動投入設定処理等が行われる。遊技メダル投入処理により遊技開始に要する規定枚数の遊技メダルが投入された否かを監視して、該規定枚数の遊技メダルの投入又はクレジット設定が確認された場合には、遊技開始条件が成立する。遊技開始条件の成立状態を保持したまま、遊技者の回胴回転始動レバー15の押下操作、つまり回胴回転始動スイッチ15aからの操作検出信号を受信可能に待機する。
回胴回転始動スイッチ15aからの操作検出信号の受信により、主制御基板100は前記乱数生成回路により生成された内部抽選用乱数値を取得して、取得した内部抽選用乱数値に基づく内部抽選処理が行われる(ステップS5)。取得した内部抽選用乱数値と現在の遊技状態に対応する役抽選テーブルとに基づく内部抽選が行われ、抽選結果に対応した当選役情報(当選フラグ)がメインRAM103に設定、記憶される。
図7は回胴式遊技機Aに用いる各種入賞役の入賞図柄組合せ及び役抽選テーブルを示す。
ステップS5における内部抽選は図7の役抽選テーブルに基づき実行される。役抽選テーブルは6段階の各段階に応じて出玉率が異なるように抽選確率が設定されてなり、図7は設定3の場合の一例を示す。この役抽選テーブルは、一般入賞役等と、2種類のボーナス役(ビッグボーナスゲームBBとレギュラーボーナスゲームRB)の抽選確率テーブル(一般遊技中抽選テーブル、RT中抽選テーブル及びボーナス遊技中抽選テーブル)を示す。図7においては、乱数域(0〜65535)に対する各抽選役の振り分け抽選値の幅域により計算された抽選確率が示されている。図7の抽選確率テーブルにおいては、例えばチェリー、スイカ等の小役とボーナス役、通常リプレイ1と特定リプレイ2間が同時に抽選可能なように当選乱数域幅が設定されている。
RT遊技状態として2種類のRT1遊技状態とRT2遊技状態が生ずるが、実質的にリプレイ確率が向上するのはRT2のみであり、RT1中では通常遊技状態のリプレイ確率が1/100程度向上するだけである。RT1遊技状態は、ART遊技状態(RT2遊技状態)に移行させる前段階の遊技状態となる。RT2遊技状態においては、リプレイ1の抽選確率を通常遊技時の1/7.3より高確率の1/1.5に設定したRT中抽選テーブルが使用される。
ART遊技とは別に、特別遊技として、獲得可能なメダル量の規定払出枚数(あるいは、払出枚数から投入枚数を引いた純増枚数)が大きく異なるビッグボーナスゲームBBとレギュラーボーナスゲームRBの2種類が付与可能になっている。ボーナス遊技終了の規定枚数は、BB遊技で200枚、RB遊技ではビッグボーナス遊技の半分以下の50枚である。ビッグボーナスゲーム役には、別々の当選フラグにより成立する2種類の特別図柄の組合態様(青7−青7−青7又は赤7−赤7−赤7)があり、これらを合成した抽選確率は約1/410である。別々のビッグボーナス当選フラグが設定された内部当選状態において、いずれかの特別図柄組み合わせを4本の有効ラインのいずれかに停止させて成立させると、ビッグボーナス遊技に移行させることができる。
レギュラーボーナス役の場合はBAR−BAR−BARの1種類だけであり、その抽選確率は1/820である。BB、RBのボーナス役は所謂、0枚役であり、その成立時には賞メダルの払出は行われない。ベル、スイカの入賞時には9枚、5枚の賞メダルが払い出される。中回胴にチェリー図柄が有効ラインに停止することで入賞するチェリー役は入賞時に4枚の賞メダルが払い出される。
ベル役は、リール8a〜8cの停止順序の組み合わせ(左回胴→中回胴→右回胴、左回胴→右回胴→中回胴、中回胴→左回胴→右回胴、中回胴→右回胴→左回胴、右回胴→中回胴→左回胴、右回胴→左回胴→中回胴)が異なる6種類の一般小役である。通常遊技状態のとき、各ベル役の抽選確率は1/30であるが、ボーナスゲーム中は、停止順序に関係なく入賞可能な、所謂JAC役となって、1/1.1の高確率で当選する。JAC役としてのベル役が入賞すると、13枚の賞メダルが払い出される。
押し順により区別された6種類のベル役は、ART遊技において、副制御部による押し順報知に従って各回胴が停止されることにより入賞可能になるAT役(押順ベル役)となる。通常遊技状態では、6択の各ベル役は1/30の抽選確率に基づき抽選されて、いずれかのベル役が入賞可能になるが、通常遊技状態においては、押し順が報知されないため、一般的に、左回胴から中・右回胴の順に停止させる、所謂順押しの停止操作が行うと、押し順が不正解となって入賞が生じない場合が多くなる。ART遊技状態では、押し順がナビ報知されることによりAT役の入賞確率は6倍(全ベル役の合成抽選確率1/5)に向上する。
リプレイ役には通常時のリプレイ1(RP−RP−RPの組合せ)の他に、リプレイ1と同時成立可能なRT2移行契機用のリプレイ2(RP−RP−ベルの組合せ)及びRT2解除契機用のリプレイ3(RP−RP−スイカ/ブランクの組合せ)が含まれている。
リプレイ役2、3は、リール8a〜8cの停止順序の組み合わせ(左回胴→中回胴→右回胴、左回胴→右回胴→中回胴、中回胴→左回胴→右回胴、中回胴→右回胴→左回胴、右回胴→中回胴→左回胴、右回胴→左回胴→中回胴)が異なる6種類のリプレイ役であり、当選時にいずれかの停止順序によるリプレイが決定される。リプレイ2はリプレイ1と同時に抽選され、RT1遊技状態で当選して成立することによりRT2遊技状態に移行させるRT2移行用リプレイ役である。ART遊技フラグがオンになっているときにリプレイ2が当選した場合には、当選リプレイ2の押し順が報知されて正解押し順の停止操作により成立して、RT2遊技状態フラグがオンになる。リプレイ3は所謂パンク役と呼ばれるリプレイ役であり、RT2遊技(ART遊技)状態時にリプレイ3が当選したときにリプレイ3の不成立が発生するとRT2遊技状態が解除され、RT1遊技状態に戻る。ART遊技中はART遊技のパンクが生じないようにリプレイ3の押し順が報知される。リプレイ2、3の正解押し順と異なる押し順で停止操作したときには同時成立可能なリプレイ1が成立する停止制御が行われ、再遊技の不発生に至らないようになっている。
以上の役の他に、ボーナスゲーム中にのみ抽選される抽選役であって、ART付与抽選に供されるチャンス役が設けられている。チャンス役は、青7−青7−青7又は赤7−赤7−赤7の組み合わせ(賞メダルの払出なし)からなり、チャンス役の当選によりボーナスゲーム終了後のART遊技の付与が決定される。
本実施形態においては、ART遊技状態においてチェリー役又はスイカ役が当選したことを契機に、本発明に係る決定率向上状態(後述の高確特別演出モード)への移行有無を抽選して当選したとき(本発明に係る所定の向上条件の成立)決定率向上状態への移行が決定される。なお、ART遊技状態においてリプレイ2が当選したときに押し順報知を行うか否かの抽選を行って当選したとき押し順を報知し、リプレイ2が成立したときに決定率向上状態への移行を決定することができる。
チャンス役の当選によりボーナスゲーム終了後のART遊技の付与が決定された場合には、別の所定の向上条件の成立として、ART遊技状態における決定率向上状態への移行が確定される。
ART遊技状態においては、副制御部によるAT役ナビ制御によりAT役(押し順ベル役)の押し順報知が実施されるので、当選したAT役を確実に停止させ、且つリプレイ発生の頻度が増えてメダル消費が少なく、且つAT役等の小役獲得によりART遊技中に保有メダルを漸増させることが可能になる。
本実施形態では、停止順報知遊技(押し順ナビAT遊技)とRT遊技を併用した押し順ナビART遊技が特典遊技として付与され、押し順ナビART遊技中における回胴停止処理において、当選情報と回胴の停止順序を参照して停止制御が実行される。特典遊技として、AT図柄の種別を報知するART遊技等を付与するようにしてもよい。
ボーナス役の内部当選状態においては、ボーナス当選フラグを次回以降のゲームに持ち越し可能な持越役として設定しているため、ボーナス役の当選時においては、ボーナス役が成立するまでの遊技期間、その当選フラグの成立状態が維持される。一方、ボーナス役以外の役は、その当選フラグを次回のゲームに持ち越すことができない持越不可能役として設定されている。ボーナス持越遊技中においても通常通りに各役の抽選が行われるが、このとき当選した小役に対応する図柄の組合せを入賞させるか否かは、所定の引き込み優先順位に基づいて決定される。本実施形態では、「(リプレイ又は小役)>ボーナス役」の順位で優先的に引き込む停止制御が行われる。
内部抽選処理においては、副制御部への制御コマンドとして「遊技開始コマンド(遊技状態に関する情報や当選情報(抽選結果情報)を含む)」がセットされる。この遊技開始コマンドに含まれる「遊技状態に関する情報」には、「通常遊技中」、「RT遊技中」、「ボーナス遊技中」、「ボーナス持越遊技中」等の遊技状態に関する情報が含まれる。
ついで、回胴の起動態様を設定する回胴回転開始設定処理(ステップS6)が行われる。
回胴回転開始設定処理においてはウエイト処理を経て回転起動処理が行われる。ウエイト処理は、前回の回胴遊技においてリールの回転を開始した時点から所定時間(例えば4.1秒)を、主制御部に設けたウエイトタイマ(図示せず)により計時し、所定時間(ウエイト時間)が経過するまで今回の回胴遊技にいてリールの回転を開始せずに待機させるための処理である。回転起動処理においては、通常回転時の回胴起動条件及び特別演出の回胴演出パターンに応じたフリーズ期間等の回胴回転条件が設定される。
回胴回転始動時の設定処理(回胴回転開始設定処理)が行われた後、リール回転始動が行われて各リール8a〜8cの回転状態に移行する。特別演出の実行時には、フリーズ期間の経過後に回胴回転の始動が行われる。リール回転の後に、回胴回転停止ボタン16a〜16cの停止操作による回胴回転停止スイッチ16e、16f、16gの検出信号が出力された場合には、停止対象となった回胴を停止制御するための回胴停止処理を行う(ステップS7)。回胴停止処理では、上記当選情報と回胴の停止操作手順(停止操作タイミング)とに基づき、停止制御テーブルから滑りコマ数を算出し、これに基づく回胴の停止制御を行う。
回胴停止処理は、各リールについて停止操作を行った位置である停止操作位置と抽選処理の抽選結果に基づいて、メインROM102内に記憶された停止制御テーブルを参照して、該当リール停止位置でリールの回転を停止させることにより行われる。リール停止位置は、停止操作タイミングの位置からみて、図柄の駒数で所定の駒数以内(遊技規則に定められた4駒)で引き込んで停止するように決定される。停止操作タイミングの位置から4駒以内に抽選結果に対応する図柄が有る場合には、当選役図柄が有効ライン上に揃うように停止制御される。殊に、再遊技の停止制御処理においては、通常遊技状態やボーナスフラグ持越状態においても再遊技が当選している場合、再遊技が必ず有効ライン上に整列するように優先的引き込み制御が行われる。
全リールの回転停止が確認されると、入賞判定処理が行われる(ステップS8)。入賞判定処理では、当選役に対応する図柄の組合せが有効入賞ライン上に停止したか否か、つまり入賞が発生したか否かの確認が行われる。
入賞判定処理により入賞が確認された場合には停止した図柄の組合せに基づき、払い出すべき遊技メダル枚数の設定処理を行う。ついで、メダル払出枚数監視処理(ステップS9)により、入賞判定処理において設定された払い出し情報に基づき、メダルホッパー305を駆動制御して払出枚数分の遊技メダルの払い出し処理やクレジットの加算処理が行われる。
更に、遊技の進行を一時停止するフリーズ期間中に、通常と異なる回胴の回転駆動等を行う特別演出の実行可否を決定する特別演出処理(ステップS10)が実行される。特別演出処理において決定された特別演出パターンによる特別演出は次のフリーズ実行処理(ステップS11)において実行される。
図9は本実施形態において実行可能な特別演出の種別を示す。
特別演出パターンは特別演出PTN1〜8の8種類からなる。これらの演出パターンデータはメインROM102に格納されていて、夫々のフリーズ期間も各パターン毎に設定されている。特別演出PTN1〜3は、遊技の進行を一時停止するフリーズ期間中に液晶表示装置3を用いて特定の画像演出を実行するフリーズ画像演出からなり、夫々のフリーズ期間(30sec、20sec、10sec)が異なる。
特別演出PTN4、5は、フリーズ期間中に特定の画像演出を実行すると共に、回胴の逆回転駆動演出を行う複合フリーズ演出からなり、夫々の逆回転時間(10sec、5sec)とフリーズ期間(20sec、10sec)が異なる。逆回転駆動演出は回胴を通常時と逆方向に高速で回転させる回胴回転態様による演出である。
特別演出PTN6〜8は、回胴の始動時を通常時より短時間遅延させる回胴始動遅れ演出であり、夫々、フリーズ期間として、左回胴、中回胴、右回胴の始動遅延時間が400ミリ秒に設定されたショートフリーズ演出である。
特別演出PTN1〜5は主に特別遊技役の当選に関連して実行可能なフリーズ演出である。特別演出PTN6〜8は、本発明に係る高確遊技モードの移行に関連して実行可能な特定のフリーズ演出である。
特別演出には、上記の逆回転態様及び始動遅れ回転態様の他に、通常回転より回胴を低速回転させるスロー回転態様、通常回転と異なる始動順序により前記回胴を始動させる変則始動順態様又は駒送り回転態様、あるいは種々の回転態様を2以上組合せた組合せ回転態様を使用することができる。
図28は特別演出処理(ステップS10)の処理内容を示す。図29はフリーズ実行処理(ステップS11)による特別演出の実行処理を示す。図31は特別演出処理における通常モード時の特別演出の抽選に用いる特別演出抽選テーブルを示す。図32は高確特別演出モード時の特別演出の抽選に用いる抽選テーブル(32A)及び高確特別演出モード期間の選択抽選に用いる抽選テーブル(32B)を示す。これらの特別演出抽選テーブルはメインROM102に格納されている。
特別演出処理には通常時に特別演出の実行可否を決定する決定処理と、ART遊技状態(RT2遊技状態)においてART遊技回数の上乗せ率の向上に関連した高確特別演出モードの移行を決定する決定処理が含まれている。
高確特別演出モードは、RT2遊技状態においてチェリー役又はスイカ役の当選を契機にモード移行可否抽選(抽選確率:5/8)を行って当選したときに決定される(ステップS100、S108〜S110)。また、ボーナス遊技中のチャンス役の当選によりボーナスゲーム終了後のART遊技の付与が決定された場合にも高確特別演出モードが成立可能になっている(ステップS110)。高確特別演出モードの移行が決定すると、一定期間、特別演出の決定率が向上する決定率向上状態となる。
高確特別演出モードでない通常モード時には、図31の特別演出抽選テーブルに基づいた特別演出抽選が実行される。このとき、特別演出を実行するか否かを決定する決定処理はボーナス役、チェリー役、スイカ役又はベル役の当選を抽選契機にして行う抽選に基づいて行われる。いずれかの抽選契機役が当選したとき、特別演出抽選テーブルに基づいて、フリーズ演出の実行可否及びフリーズ演出種別の決定を行う特別演出抽選が実行される(ステップS102、S103)。
図31の特別演出抽選テーブルに基づいた特別演出抽選によれば、BB当選時には、特別演出PTN1、3、4、5が抽選で決定可能になっており、特別演出PTN1又は3は高確率(抽選確率:1/8)で当選可能になっている。RB当選時には、特別演出PTN1、2、4、5が抽選で決定可能になっており、特別演出PTN1はBB当選時より低い確率で当選可能になっている。
特別演出PTN1はチェリー役の単独当選時に比較的低い確率(抽選確率:1/64)で当選可能になっている。特別演出PTN2はスイカ役の単独当選時に低い確率(抽選確率:1/128)で当選可能になっている。特別演出PTN3はチェリー役又はスイカ役の単独当選時に低い確率で当選可能になっている。特別演出PTN4はチェリー役の単独当選時に低い確率で当選可能になっている。特別演出PTN5はスイカ役の単独当選時に低い確率で当選可能になっている。
特別演出PTN6は内部抽選において低い当選確率に設定されたチェリー役の当選に加え、比較的当選確率の高いベル役の当選を抽選契機にして選択可能になっている。特別演出PTN7は内部抽選において低い当選確率に設定されたスイカ役の当選を抽選契機にして選択可能になっている。特別演出PTN8は内部抽選において比較的当選確率の高いベル役の当選を抽選契機にして選択可能になっている。即ち、ベル役当選時にはチェリー役やスイカ役の当選時より特別演出PTN6又は8が高い抽選確率1/28で当選可能になっている。
特別演出抽選の結果、特別演出の実行に当選し、特別演出PTN1〜8のいずれかが決定されたときには、該決定に係る特別演出PTN1〜8のいずれかに対応した特別演出フラグF1〜F8がオンになる(ステップS104、S105)。特別演出フラグがオンになったときには特別演出の実行は次のゲームの開始時にフリーズ実行処理(ステップS11)により実行される。
特別演出フラグF1〜F8のいずれかがオンの場合には、遊技の開始時に特別演出が実行される(ステップS114〜S116)。特別演出フラグの種別から、決定された特別遊技種別を判断して、決定種別に係るフリーズ演出が実行される(ステップS116)。フリーズ演出は決定種別に応じたフリーズ期間中に実行される(ステップS117)。例えば、特別演出PTN1の場合には、フリーズ期間(30sec)中、遊技の進行が一時停止されて、その期間中に液晶表示装置3を用いた特定の画像演出が実行される。特定の画像演出として、例えば、BBの当選を報知、祝福する画像演出が実行される。また、特別演出PTN4の場合には、フリーズ期間(20sec)中に回胴の逆回転が所定時間(10sec)実行されると共に、当選内容に応じた特定の画像演出も実行される。更に、特別演出PTN6〜8の場合には、短いフリーズ期間中に、左回胴、中回胴、右回胴の始動遅延が発生するフリーズ演出が実行される。フリーズ演出はフリーズ期間の経過により終了して、特別演出フラグはオフになり(ステップS117、S118)、回胴停止操作が可能な回胴遊技に移行する。
高確特別演出モードの移行を決定し、モード条件が成立したときには、図32の(32B)の抽選テーブルに基づくモード期間(ゲーム数)の抽選が行われる(ステップS110、S111)。(32B)の抽選テーブルによれば、モード期間の1、4、6、8、10、20のゲーム数が振分抽選値により振分抽選可能になっている。これらのうち、モード期間の「4」ゲームが最も高確率値(12/32)で抽選されるようになっている。
高確特別演出モードのモード条件成立により、選択されたモード期間がメインRAM103の高確特別演出モードカウンタ用メモリエリアにセットされる(ステップS112)。このとき、高確特別演出モードがメインRAM103の対応エリアにセットされる(ステップS112)。なお、図28において詳細を省略しているが、ボーナス遊技中のチャンス役の当選によるART付与決定に基づいて高確特別演出モードの移行が確定したときには、チャンス役の当選フラグがART遊技状態に移行するまで保留され、ART遊技状態(RT2遊技状態)に移行したときに高確特別演出モードフラグのオンがメインRAM103にセットされる。
高確特別演出モード時には、1回の遊技毎に高確特別演出モードカウンタのゲーム数が1減算される(ステップS100、S101、S113)。高確特別演出モード中の遊技が進行して、高確特別演出モードカウンタのゲーム数が0になると、高確特別演出モードフラグをオフして終了する(ステップS106、S107)。
高確特別演出モードにおいては(32A)の抽選テーブルに基づく、通常モード時より高確率の特別演出抽選が実行可能になっている(ステップS102、S103)。(32A)の抽選テーブルによれば、内部抽選結果に応じて、リプレイ役、チェリー役、スイカ役、ベル役の当選又は抽選外れを抽選契機にして特別演出の実行種別を決定する抽選が実行される。この実行種別の抽選においては、全特別演出のうち特別演出PTN4〜8が決定可能になっている。例えば、リプレイ役の当選時には、特別演出PTN4〜8が夫々、抽選確率値1/32、1/32、8/32、8/32、10/32で決定可能になっている。決定されたフリーズ演出フラグはメインRAM103の対応エリアにセットされる(ステップS105)。
高確特別演出モード中に特別演出の実行が決定され、その決定種別に応じて、サブ処理によりART遊技中の遊技回数の上乗せが実行可能になっている。図32の(32C)はサブROM202に格納された、特別演出種別に応じて設定された上乗せ遊技回数値の設定テーブルを示す。特別演出PTN4〜8の実行決定が行われると、夫々、30、25、15、10、5のART遊技回数が上乗せ可能になる。
特別演出処理及びフリーズ実行処理の後、再遊技の設定及びRT遊技状態の移行設定を行う再遊技RT設定処理が行われる(ステップS12)。再遊技RT設定処理では、当選情報等に基づいてRT遊技成立条件が成立したか否かを判定し、RT遊技成立条件が成立した場合にはRT1遊技状態又はRT2遊技状態への移行を設定する。再遊技RT設定処理においては、リプレイ役の成立時に再遊技を行うための再遊技の設定処理も行われる。つまり、リプレイが有効入賞ライン上に停止したか否かを判定し、リプレイが停止した場合には、再遊技を付与するための設定処理を行いステップS13に移る。
再遊技RT設定処理の後、ボーナス遊技中か否かを判定し(ステップS13)、ボーナス遊技中である場合にはボーナス遊技作動中処理が行われる(ステップS15)。ボーナス遊技作動中処理では、ボーナス遊技の継続処理及びその終了に要求される設定処理が実行される。
主制御部は、ボーナス遊技中の払い出し枚数(ボーナス遊技中獲得枚数)と予め規定された最大獲得枚数を比較しながら、ボーナス遊技中獲得枚数が最大獲得枚数(ビッグボーナス遊技で200枚、レギュラーボーナス遊技で50枚)に達するまでボーナス遊技を継続し、ボーナス遊技中獲得枚数が最大獲得枚数に達するかあるいは超えた場合には、ボーナス遊技作動中処理を終了する。以上の各処理、設定を終えるとRAM初期化処理(ステップS2)に戻る。
ボーナス遊技中においてもART付与決定が実行可能になっている。図7に示すように、ボーナス遊技中に抽選確率1/200でチャンス役が当選したことに基づいてART遊技の付与が確定する。このART付与の確定により、ボーナス遊技中にボーナス図柄が揃うART確定役(青7−青7−青7又は赤7−赤7−赤7)が成立可能になる。ボーナス遊技終了後は通常遊技状態に戻るが、ART確定役の成立によりART遊技の付与が決定されているときには、RT2状態(ART遊技状態)に移行可能になっている。
ボーナス遊技中でない場合にはボーナス役(特別入賞役)の図柄組み合わせが有効ライン上に停止したか否かを判定し(ステップS14)、ボーナス役図柄が停止していない場合にはRAM初期化処理に移行する(ステップS2)。一方、ボーナス役図柄が停止し、ボーナス役が成立した場合にはボーナス遊技作動開始処理が行われる(ステップS16)。ボーナス遊技作動開始処理を終えると、ステップS2のRAM初期化処理に移行する。
図10はメイン処理により発生する遊技状態の遷移関係を示す。
同図(10A)は、メイン処理における一般遊技状態10A、RT1遊技状態10B、RT2遊技状態10C及び特別遊技状態10Eの遷移関係を示し、同図(10B)は各遊技状態間の遷移契機(移行条件)を示す。
RT1状態、RT2状態(ART遊技状態を含む。)あるいはボーナスゲーム状態(特別遊技状態10E)となっていない一般遊技状態10Aから移行条件4(AT役取りこぼし)が成立すると第1のRT1遊技状態10Bに移行する。RT1遊技状態10Bにおいて、移行条件5が成立すると、第2のRT2遊技状態10Cに移行する。移行条件5は特定リプレイ2の成立により成立する。
一般遊技状態10A及びRT1遊技状態10B及びRT2遊技状態10Cにおいて移行条件1のボーナスゲーム当選が成立すると、特別遊技内部当選中状態10Dを経て、移行条件2のボーナス図柄表示が成立することにより特別遊技状態10Eに移行可能になる。特別遊技状態10Eの終了(移行条件3の成立)により一般遊技遊技状態10Aに戻る。RT2遊技状態10Cにおいて、副制御部の制御下で実行される、AT役の停止ボタン押し順報知遊技のART遊技状態が実行される。ART遊技の終了後、リプレイ3の不成立(移行条件6の成立)によりRT2遊技状態10Cは解除されてRT1遊技状態10Bに移る。ART遊技中に移行条件7が成立(パンク条件の成立:AT役の取りこぼし)すると一般遊技状態10Aに移る。ART遊技中はリプレイ3の押し順が報知されて、停止操作を誤らない限りRT2遊技状態が解除されないようになっている。ART遊技状態が終了してもRT2遊技状態が継続するが、ART遊技終了後にリプレイ3が当選してもその停止操作順序が報知されないので、リプレイ3の不成立が発生してRT2遊技状態は速やかに解除される。RT2解除条件としてAT役の非入賞を使用することができる。
本実施形態では、一般遊技状態10AからART遊技状態に直接的に移行させずに、RT1遊技状態10Bを経由させる遊技状態移行システムを搭載しているが、2以上のRT遊技状態を経由してART遊技状態に移行させてもよいし、本発明はこれらのRT遊技状態を付加せずに一般遊技状態10AからART遊技状態に移行可能にした回胴式遊技機にも適用することができる。
図11〜図15、図19〜図22、図30及び図33は副制御部によるART付与決定処理、ART移行処理、ART実行処理及びART遊技の上乗せ決定処理等に関連したサブ処理内容を示す。各サブ処理はメイン処理の内部抽選結果及び遊技状態情報を参照して実行される。
図11は副制御部におけるサブ処理上の遊技モードA〜Cの設定処理を示す。
各遊技モードでは夫々の遊技期間においてモード移行ポイント値の設定値及びART付与抽選確率の期待値が異なる。
図17の(17A)〜(17C)は夫々、遊技モードA〜Cにおいて用いるポイント設定値テーブルを示す。これらのポイント設定値テーブルはサブROM202に格納されている。
遊技モードA〜Cにおいて、夫々、内部抽選結果に応じて付与されるポイント設定値の期待値が異なり、遊技モードA〜Cの順に期待値が向上するようになっている。例えば、チェリー当選時で比較すると、遊技モードA〜Cの夫々において、ポイント値が160、200、240に段階的に向上している。本実施形態においては、BB又はRB当選によってもポイント値の付与を可能にしている。例えば、(17A)の遊技モードAにおいてはBB当選により140のポイント値が付与される。
図18の(18A)〜(18C)は遊技モードA〜Cにおいて実行されるART抽選の抽選テーブルを示す。これらのART抽選テーブルはサブROM202に格納されている。各遊技モードにおいてはチェリー役又はスイカ役の当選を契機に、ART遊技を付与するか否かを決定するART付与抽選が実行される。遊技モードA〜CにおけるART遊技の当選確率の期待値は遊技モードA〜Cの順に向上している。例えば、チェリー当選時の抽選確率値で比較すると、遊技モードA〜Cの順に3668/65536、4816/65536、6104/65536と大きくなっている。
モード移行ポイント値の累積値が第1基準値N1に到達したときに発生する高確遊技モードにおいては、ポイント設定値テーブルとして遊技モードCと同様の、ポイント値の高設定値テーブルが使用される。
図18の(18D)は高確遊技モードにおいて実行されるART付与抽選に用いる抽選テーブルを示す。このART抽選テーブルもサブROM202に格納されている。高確遊技モード中においては、チェリー役、スイカ役の当選に加え、ベル役やリプレイ役の当選時にもART抽選が実行可能になっており、しかも高確遊技モードにおけるART遊技の当選確率の期待値は遊技モードA〜Cと比較して格段に向上されている。例えば、チェリー役及びスイカ役の当選時の抽選確率値は、遊技モードA〜Cの場合より48982/65536、14804/65536と大きくなっている。ベル役やリプレイ役の当選時にも、高確率のART付与抽選が実行可能になっている。
高確遊技モードの遊技期間(モード有効期間)は16ゲームを1単位とした期間からなる。1単位期間は前半の10ゲーム(モード前半期間)と、後半の6ゲーム(モード後半期間)により構成されている。ART抽選に関しては、高確遊技モード中、(18D)の抽選テーブルに基づいて高確ART付与抽選が実行可能になっている。なお、モード前半期間において(18D)の抽選テーブルに基づいてART付与抽選が実行可能にし、モード後半期間においては遊技モードCと同様の抽選テーブルに基づいてART付与抽選を実行可能にしてもよい。
各遊技モードにおいては内部抽選結果に基づいて他の遊技モードに切換可能になっている。回胴式遊技機Aの初期設定段階では遊技モードAが初期設定される(ステップS150、S155)。遊技モードAから始まって、チェリー役又はスイカ役の当選(遊技モード切換条件の成立)を契機に、遊技モードB、C、A、B・・・に順々に切換られる。即ち、初期モード設定済みのとき(ステップS150)、遊技モード切換条件の成立を判断して、遊技モード切換条件の成立時には、現在の遊技モードを次の遊技モードに切換設定される(ステップS151、S152)。各遊技モードの状態フラグはサブRAM203の対応エリアにセットされる。
ついで、RT2遊技状態が解除されたか否かを判断して、RT2遊技状態が解除されたときには遊技モードAの設定を行う(ステップS153、S154)。高確遊技モードはモード有効期間(ゲーム数)が限定されて実行可能になっているので、高確遊技モードのときには上記の遊技モード切換条件の成立を判断せずに、モード有効期間の終了により遊技モードAに設定される(ステップS153、S154)。高確遊技モードの終了時には遊技モードAに固定せずに、遊技モードA〜Cのいずれかを決定する移行モード抽選を行って、高確遊技モードの終了後の遊技モードをより有利な遊技モードCになる可能性を持たせて選択設定するようにしてもよい。
図12は副制御部によるART抽選処理を示す。
1回の遊技が実行される毎に、既にART遊技に当選してART遊技フラグがサブRAM203の対応エリアにセットされている場合を除き、ART付与抽選がサブ処理により実行される(ステップS160〜S162)。ART付与抽選はサブ処理上で設定されている遊技モード(A〜C又は高確率遊技モードのいずれか)におけるART抽選テーブルに基づいて実行される。このとき、高確率遊技モードになっている場合には、ART遊技の当選確率の期待値が遊技モードA〜Cより格段に高くなっているので、遊技モード中、ART遊技に当選する割合が非常に大きくなっている。ART付与抽選に当選したとき、ART遊技フラグがオンになってセットされる(ステップS163、S164)。ART当選により、ART遊技の実行に必要なART条件の設定が行われる(ステップS165)。
本実施形態においては、35ゲームを付与単位(1セット単位)としてART遊技の付与設定が行われ、またART遊技の遊技回数はART遊技中の上乗せ抽選により上乗せ更新可能であり、更に、1セット単位分のART遊技が終了したときには継続抽選により新たに1セット分の継続付与更新が可能になっている。ART条件の設定時には、1セット単位分のART遊技回数(35)がサブRAM203のART遊技回数カウンタ用メモリエリアにセットされる(ステップS165)。ART当選時にはモード移行ポイント値のカウント処理もクリアされる(ステップS166)。ART条件の設定後にはART遊技状態に移行させるためのART準備モード処理に移る(ステップS167)。
高確遊技モードへの移行形態には、前述のように、特別演出の実行決定に基づく移行形態と、遊技進行に伴って発生するモード移行ポイント値の累積状況に基づく移行形態が設けられている。
まず、モード移行ポイント値の累積状況に基づく移行形態を以下に説明する。
図13はモード移行ポイント値の累積を行うポイント処理を示す。
このポイント処理によって、遊技進行に伴って当選役に応じて設定したモード移行ポイント値を累積加算していき、その累積値が第1基準値N1(=600)に達したことに基づいてART遊技の付与抽選が有利になる高確遊技モードに移行可能になる。更に、該累積値が第2基準値N2(=800)に達したことに基づいて高確遊技モードの究極の遊技状態に移行可能にしてART遊技の付与を確定させることができる。
図13のポイント処理は通常遊技状態に限らず高確遊技モード中にも実行可能になっている(ステップS170)。即ち、通常遊技状態の遊技モードA〜C又は高確遊技モードにおいて、内部抽選結果に基づいて、当選役に応じたポイント値が確定して付与される(ステップS171)。高確遊技モードにおけるポイント値の設定値には、最も設定値の大きい遊技モードCと同様の値が使用される。高確遊技モードにおいては、遊技モードCよりも高設定のポイント値を付与可能にしてもよい。付与されたモード移行ポイント値はサブRAM203に設けたモード移行ポイントカウンタ用メモリエリアに累積記憶され、該ポイントカウンタのカウント値の更新が行われる(ステップS172)。
モード移行ポイント値の累積記憶の後、前記ポイントカウンタのカウント累積値Scと第2基準値N2との比較が行われる(ステップS173)。第2基準値N2より小さい第1基準値N1を超えて一気に第2基準値N2に到達又は第2基準値N2を超えたときには、ART付与抽選を行うことなくART遊技の付与が確定する(ステップS173〜S177)。このART遊技の付与確定時には上記ポイントカウンタのカウント値はクリアされてART遊技フラグがオンになる(ステップS174、S175)。ついで、ART遊技の付与確定に基づいてART遊技の設定処理が行われてART準備モード処理に移行する(ステップS176、S177)。
高確遊技モードでない場合、ポイントカウンタのカウント累積値Scが第2基準値N2未満で、第1基準値N1以上になったときには、高確遊技モードへの移行が可能になる。カウント累積値Scの第1基準値N1への到達により、高確遊技モードフラグがオンになり高確遊技モードに移行可能になる(ステップS178、S179、S180)。高確遊技モードフラグはサブRAM203の対応エリアにセットされる。高確遊技モードには直ちに移行せずに、その前兆モードとしての高確遊技モード移行処理が実行される(ステップS181)。高確遊技モードが終了したときには高確遊技モードフラグはオフになる(ステップS182、S183)。カウント累積値Scの第1基準値N1への到達時以降において、後述の高確遊技モード設定処理等により既に高確遊技モードフラグがオンになっているときにはオン処理は不要となる。
図30は特別演出に基づく高確遊技モード設定処理を示す。
この高確遊技モード設定処理は上記ポイント処理に対してパラレル処理可能になっている。副制御部はメイン側よりフラグ情報を取得して特別演出フラグのオンの有無を判断する(ステップS501)。特別演出フラグのオン状態のときにはフラグ種別を判別して、特定の特別演出PTN6〜8に対応した特別演出フラグF6〜F8のいずれかがオンになっているか否かが判断される(ステップS502)。特別演出フラグF6〜F8のいずれかがオンになっているときには、高確遊技モードフラグがオンになり、高確遊技モードへの移行が可能になる(ステップS503)。既に、モード移行ポイント値の累積に基づいて高確遊技モードフラグがオンになっている場合には上記高確遊技モード設定処理は実行されない(ステップS500)。
図14は高確遊技モード移行処理(ステップS181)を示す。
高確遊技モードフラグのオンに基づいて、前兆モードのゲーム数(移行期間)を決定するためのゲーム数抽選が実行される(ステップS190)。
図18の(18E)は前兆モードゲーム数抽選に用いる振分抽選テーブルを示す。この振分抽選テーブルはサブROM202に格納されている。前兆モードゲーム数抽選により、1〜10のゲーム数のいずれかが決定される。この振分抽選テーブルによれば、1〜10のゲーム数のうち1〜4のゲーム数が高確率で振分抽選可能になっている。例えば、ゲーム数「3」は最も高い振分抽選確率値(40/128)により振分けられる。
前兆モードゲーム数抽選(ステップS190)により決定されたゲーム数は高確遊技モードへの移行期間として、サブRAM203に設けた移行期間遊技回数カウンタ用メモリエリアにセットされる(ステップS191)。この移行期間中に高確遊技モードのモード有効期間が決定される。モード有効期間は、移行期間中の振分抽選契機役(チェリー役、スイカ役、ベル役又はリプレイ役)の発生に基づき、単位数(1単位:16ゲーム)の振分抽選を行って決定される(ステップS194)。モード有効期間の決定は上限値(20)になるまで移行期間中の当選役の全てに有効となるので、移行期間が長ければ長いほど遊技者に有利となる。モード有効期間の単位数値はサブRAM203に設けたモード単位数カウンタ用メモリエリアに加算、記憶可能になっている。
移行期間中に前記振分抽選契機役(チェリー役、スイカ役、ベル役又はリプレイ役)が発生しない場合も生ずるので、高確遊技モードのモード有効期間を最低1単位を確保するようになっている。即ち、モード単位数カウンタには前記移行期間開始時に初期値「1」がセットされる(ステップS192)。この初期値セットに替えて、振分抽選契機役を全ての抽選役とし、且つ振分抽選の外れ時にも少なくともモード単位数「1」以上が付与されるようにすることができる。
なお、移行期間を設けずに、高確遊技モードの移行決定時にモード有効期間を抽選して決定するようにしてもよい。
前兆モードの移行期間中には、1遊技毎にメイン側より受信した当選役に応じたモード単位数の付与処理が実行される(ステップS194)。
図18の(18F)はこの付与処理(ステップS194)において使用される高確遊技モードの有効期間(モード単位数)の振分抽選テーブルを示す。この振分抽選テーブルはサブROM202に格納されている。(18F)の振分抽選テーブルに基づく振分抽選により、1〜10のモード単位数のいずれかが付与可能になっている。例えば、モード単位数「1」は最も高い振分抽選確率値(64/128)により振分けられる。
(18F)の振分抽選テーブルに基づく振分抽選によりモード単位数の付与が決定されたときには、その付与値によるモード単位数カウンタの加算更新が行われる(ステップS194〜S196)。モード単位数の付与が発生しないときにはモード単位数カウンタのカウント値は更新されない(ステップS195)。ついで、モード単位数カウンタのカウント値が上限値(20)に達したか否かが判断される(ステップS197)。
モード有効期間が上限値(20)に達したときには移行期間の残ゲームがあっても、高確遊技モード移行処理は終了し、移行期間遊技回数カウンタをクリアして高確遊技モードに移行する(ステップS197、S199、S200)。この移行パターンにおいては、モード単位数20による高確遊技モードが実行可能になっている。
モード有効期間が上限値(20)未満のときには移行期間遊技回数カウンタを1減算して更新し(ステップS197、S198)、移行期間のゲーム数が0になるまで高確遊技モード移行処理は継続される。移行期間遊技回数カウンタのカウント値が0になると、移行期間の終了となって高確遊技モード移行処理は終了し、高確遊技モードに移行する(ステップS193、S200)。この移行パターンにおいては、モード単位数1〜19のいずれかによる高確遊技モードが実行可能になっている。高確遊技モードでは、モード有効期間のゲーム数(16×付与モード単位数)の間、遊技モードA〜CのときよりART付与の当選確率の期待値が格段に向上されてART遊技の付与が得られやすい遊技状態となる。
図15は高確遊技モード処理(ステップS200)を示す。
高確遊技モードにおける遊技処理は、モード単位数カウンタに記憶された貯留(ストック)単位数の1モード単位(16ゲーム)ずつ実行可能になっている。即ち、モード単位数カウンタのカウント値が1減算される(ステップS201)と共に、サブRAM203に設けた実行回数カウンタ用メモリエリアに「16」がセットされて(ステップS202)、1モード単位の高確遊技モードの遊技処理の実行が開始される。
高確遊技モード中において、図12のART抽選処理が1遊技毎にパラレル処理により実行される。1回の遊技が実行され、ART付与抽選の実行により当選したときには前記実行回数カウンタをクリアして高確遊技モード処理を終了する(ステップS203、S204、S208)。ART付与抽選の当選によるART遊技フラグのオンによって、ART条件の設定が行われると共に、高確遊技モード中においても継続していたモード移行ポイント値のカウント処理も解除され、更に、ART付与抽選の当選に伴って高確遊技モードフラグがオフになってART準備モードに移行する(ステップS164〜S167参照)。
ART付与抽選の不当選時には、実行回数カウンタを1減算して、次の遊技の処理に移る。上記の遊技処理は、ART付与抽選に当選しない限り、実行回数カウンタのカウント値が0になるまで繰り返される(ステップS203〜S206)。更に、16ゲームの遊技の消化毎に、前記モード単位数カウンタに記憶されたストック単位数が1減算され(ステップS201)、高確遊技モードの遊技はART付与抽選に当選しない限り、1モード単毎にモード単位数カウンタのカウント値が0になるまで繰り返される(ステップS207)。モード単位数カウンタのカウント値が0になると高確遊技モードフラグがオフになって高確遊技モードの設定が解除される。なお、図13では省略しているが、高確遊技モード中にもモード移行ポイント値の累積が進行して、カウント累積値Scが第2基準値N2に到達したときにはART遊技の付与が確定する。このときには、高確遊技モードフラグをオフにしてART準備モードに移行する。この場合にも、ART準備モードの移行時にモード単位数カウンタの残数があるときには残数データをクリアせずに残存期間として有効化するようにしてもよい。
高確遊技モード中にART遊技の付与が決定されたときに、実行回数カウンタはクリアされるが(ステップS208)、モード単位数カウンタのクリアは行われない。これにより、モード単位数カウンタのカウント値が1以上残存している場合には、モード単位数カウンタの残存単位数に基づく遊技回数値が高確遊技モードの残存期間として維持可能になっている。
本実施形態では、高確遊技モードの遊技期間をモード単位数別にストックして設定しているが、ゲーム数を抽選して決定してストックするようにしてもよい。ゲーム数抽選の場合には、ART遊技の付与決定時に残存したストックゲーム数を残存期間に使用することができる。
図19は副制御部によるART準備モード処理を示す。
ART遊技フラグのオン状態において、RT2遊技状態への移行条件が成立することによりART遊技状態に移行する。即ち、リプレイ2の成立に基づくRT2遊技状態フラグのオン情報をメイン側から受信したとき、ART遊技処理が実行可能になる(ステップS210、S211)。
図20は副制御部によるART遊技処理を示す。
ART遊技中におけるAT役の停止操作順序(押し順)の報知処理やART遊技回数の上乗せ更新処理は副制御部によるサブ処理によって実行される。
ART遊技の開始に際して、次の1セット分のART遊技の継続有無を決定する継続抽選が実行される(ステップS220、S230)。継続抽選は通常時、低い抽選確率(1/3)で実行されるが、後述の継続抽選確率向上フラグがオンになっているときには、高確率(7/8)による継続抽選が実行可能になっている。継続抽選に当選したときはART継続フラグがオンになる(ステップS231、S232)。ART継続フラグはサブRAM203の対応エリアにセットされる。継続抽選確率向上フラグがオンのときには、継続抽選の実行後に継続抽選確率向上フラグがオフになる(ステップS233、S234)。
ART遊技が開始され、メダル投入又はクレジット設定の投入、リール回転始動操作により1回の回胴遊技が実行されると(ステップS221)、上乗せ決定処理が行われる(ステップS222)。初回のART遊技の場合には、ART遊技付与時にART遊技回数カウンタに初期値「35」がセットされている(ステップS165参照)。
図33は上乗せ決定処理(ステップS222)の詳細を示す。
上乗せ決定処理は高確特別演出モード中と、高確特別演出モードでない場合に分けて実行される。高確特別演出モードのときには、決定された特別演出の種別(PTN4〜8)に応じて、上乗せ遊技回数値が図32の(32C)の上乗せ遊技回数値設定テーブルに基づいて決定され、副制御部のデータバッファにセットされる(ステップS700〜S702)。
高確特別演出モードでないときにも特別演出の実行が決定される場合が生ずるので、いずれかの特別演出の実行決定に基づき上乗せが確定して、30又は50ゲームの上乗せ遊技回数の振分抽選(抽選確率1/2)が行われて当選した上乗せ遊技回数値が副制御部のデータバッファにセットされる(ステップS703、S708、S709)
高確特別演出モードでないときには、上乗せ抽選契機に発生に基づく上乗せ抽選が実行される(ステップS704、S705)。
図16はサブROM202に格納した上乗せ抽選テーブルを示す。上乗せ抽選はリプレイ、チェリー役、スイカ役の当選又は内部抽選外れを抽選契機にして実行可能になっている。例えば、スイカ役の当選時には、20ゲームの上乗せが512/65536の抽選確率で決定可能になっている。上乗せ抽選に当選したときは、当選した上乗せ遊技回数値が副制御部のデータバッファにセットされる(ステップS706、S707)。
上乗せ決定処理によりART遊技回数の上乗せが発生したときには、上乗せ遊技回数値によりART遊技回数カウンタの上乗せ更新を行う(ステップS223、S224)。更に、ART遊技回数カウンタに対して1回分の減算を行う(ステップS225)。1セット分(上乗せ分を含む。)のART遊技を実行して消化し、ART遊技回数カウンタの値が0になると(ステップS226)、ART遊技の継続可否を判断する(ステップS228)。ART継続フラグがオンのときには、ART遊技回数カウンタの初期値セットを行って(ステップS229)、1セット分のART遊技実行を繰り返す。このART遊技の実行更新の開始時にも継続抽選処理が実行される(ステップS230〜S234)。継続抽選外れ時のときには、今回のART遊技フラグオン(ステップS175)に基づくART遊技を終了して、高確遊技モード復帰処理に移行する(ステップS235)。また、ART遊技中にATパンクが発生したときにはその時点で終了する(ステップS227)。
図21は高確遊技モード復帰処理(ステップS235)を示す。
この高確遊技モード復帰処理においては、モード単位数カウンタのカウント値の残数があるか否かを判断して、高確遊技モードへの復帰可否が決定される(ステップS240)。高確遊技モード中にART遊技の付与が決定されたときに、モード単位数カウンタのカウント値が1以上残存している場合には、高確遊技モードへの復帰フラグがオンとなり(ステップS241)、モード単位数カウンタの残存単位数に基づく遊技回数値を高確遊技モードの残存期間として、高確遊技モードに復帰可能になる(ステップS242)。復帰フラグはサブRAM203の対応エリアにセットされる。
高確遊技モードへの復帰フラグのオンにより、図15の高確遊技モード処理と同様の前記復帰に係る高確遊技モード処理が実行される。復帰時における高確遊技モード遊技処理はモード単位数カウンタの残存単位数分、1モード単位(16ゲーム)づつ実行される(ステップS201〜S208参照)。
復帰時の高確遊技モード中において、1回の遊技が実行され、ART付与抽選の実行により当選したときには高確遊技モード処理を終了する(ステップS203、S204、S208参照)。ART付与抽選の当選によるART遊技フラグのオンによって、ART条件の設定が行われると共に、モード移行ポイント値のカウント処理も解除され、更に、ART付与抽選の当選に伴って高確遊技モードへの復帰フラグがオフになってART準備モードに移行する。復帰時の高確遊技モード中においてART遊技の付与が決定されたときにも、モード単位数カウンタのカウント値が1以上残存している場合には、付与ART遊技の終了後に、モード単位数カウンタの残存単位数に基づく遊技回数値を高確遊技モードの残存期間として、再び、高確遊技モード復帰処理(ステップS235)によって高確遊技モードに復帰可能になる。出玉設計の安定化のために、当該復帰処理の回数を、例えば、2以下とするなどして制限するようにしてもよい。
復帰時の高確遊技モードの遊技処理は、ART付与抽選に当選しない限り、モード単位数カウンタの残存単位数が0になるまで繰り返される(ステップS207参照)。モード単位数カウンタのカウント値が0になると高確遊技モードへの復帰フラグがオフになって復帰時の高確遊技モードの設定が解除される。
図22は副制御部により実行されるART遊技回数更新ポイント処理を示す。図23の(23A)及び(23B)はART遊技回数更新ポイント処理に用いる更新ポイントの設定値テーブルを示す。
ART遊技回数更新ポイント処理は図20のART遊技処理と並行して実行可能になっている。ART継続フラグがオンのとき(ステップS600)、ART遊技回数更新ポイント(以下、更新ポイントという。)の累積状況に応じて次回の継続抽選の継続率を向上させることができる。ART遊技の実行により、抽選結果に応じた更新ポイントが付与される(ステップS602、S603)。
更新ポイントの付与に際しては、ART遊技移行時の遊技モードA〜Cに応じて異なるポイント設定値が使用される。即ち、遊技モードA、Bのときには(23A)の設定値テーブルに基づき更新ポイントの付与が行われ、遊技モードCのときには(23B)の設定値テーブルに基づき更新ポイントの付与が行われる。(23B)の設定値テーブルでは(23A)の設定値テーブルよりポイント値の付与期待値が大きくなっている。典型例を示せば、リプレイ役の当選時及び外れ時には(23A)の場合、ポイント付与がなされないが、(23B)の設定値テーブルではポイント値「1」が付与可能になっている。(23A)及び(23B)の設定値テーブルはサブROM202に格納されている。
付与された更新ポイント値はサブRAM203に設けた更新ポイントカウンタ用メモリエリアに累積記憶され、カウント値の更新が行われる(ステップS603)。ついで、更新ポイントカウンタのカウント値(累積値)Spが基準値Npに達したか否かが判断される(ステップS604)。基準値Npは12の値に予め、サブROM202に設定されている。基準値Npは固定値に限らず、ART遊技の付与決定時に、10〜25のいずれかの値に抽選で決定するようにしてもよい。
カウント値Spが基準値Npに達したときには継続抽選確率向上フラグがオンになり、サブRAM203の対応エリアにセットされる(ステップS605)。継続抽選確率向上フラグのオン状態では継続抽選確率が1/3から7/8に向上される(ステップS230)。継続抽選確率向上フラグのオンにより更新ポイントカウンタはクリアされる(ステップS606)。更新ポイントの付与処理は1セット分のART遊技中、実行され、一旦継続抽選確率向上フラグがオンされたときには更新ポイントの付与処理は行われない(ステップS607、S601)。
継続抽選確率向上フラグのオンにより更新ポイントカウンタはクリアされる(ステップS606)ので、継続抽選に当選してART遊技がセット単位で繰り返される毎にART遊技回数更新ポイント処理は実行可能になっている。従って、ART遊技の継続が発生した後にも、更新ポイント値の累積が引き続き実行可能になって、更に継続抽選確率向上フラグのオンによる継続率の変更が得られる機会を発生させることができ、遊技興趣の増大に寄与する。
また、更新ポイントカウンタのカウント値Spが基準値Npに達しない状態で、継続抽選に当選して新たにART遊技の継続が発生した場合にも、前回までの累積値は持ち越し可能になっているので、基準値Npへの到達可能性が高まり、更にART遊技の継続が得られる機会が増加する期待感を高揚させて遊技興趣の増大を図ることができる。
なお、継続抽選の実行はART遊技の開始時に限らず、ART遊技を終了した後のRT2遊技状態において継続抽選期間を設けて行うようにしてもよい。その場合には、継続抽選期間を見掛け上のART遊技状態として更新ポイント値の累積を可能にしたり、ART遊技の終了後、引き続きRT2遊技状態が解除されるまで継続可能にしてもよい。
本実施形態によれば、ART遊技を付与するART遊技付与機能を具備した回胴式遊技機Aにおいて、ART遊技付与機能に加え、ART遊技の遊技回数の上乗せ機能を具備し、特別演出実行手段(ステップS116)により遊技の進行を一時停止するフリーズ期間中に実行する特別演出を実行可能にし、特別演出決定手段(ステップS102、S103)により所定の決定契機の発生に基づいて前記特別演出の実行可否を決定し、上乗せ実行手段(ステップS222)により、特別演出の実行決定を所定の上乗せ条件の成立として上乗せの実行を可能にし、更に、決定率向上状態移行手段(ステップS112)により、ART遊技の付与を決定したとき又はその決定以降の遊技状態において所定の向上条件が成立することに基づいて、前記特別演出決定手段による特別演出の実行可否の決定率を通常遊技時より向上させた決定率向上状態(高確特別演出モード)に移行可能にすることができる。従って、ART遊技状態に移行した段階又はART遊技の付与が決定された段階において、特別演出の実行決定が高確率で発生する前記決定率向上状態に移行して、特別演出の実行決定に基づくART遊技回数の上乗せの実行が促進される。これにより、前記決定率向上状態への移行により、ART遊技の遊技回数の上乗せ態様を短期的に、あるいは集中的に円滑に発生させてART遊技の実行態様のバリエーションを増大させ、遊技興趣の高揚を図ることができる。しかも、上乗せ実行に伴って、遊技者にインパクトを与える特別演出が実行されるため、上乗せによるART遊技の遊技期間が増加する期待感を高めて興趣向上に寄与することができる。
高確特別演出モードと、上乗せ抽選における上乗せ遊技回数の期待値を向上させる上乗せ実行期待値向上状態を出現させる場合と比較すると、上乗せ実行期待値向上状態では高確特別演出モードと同様に、通常の上乗せ発生パターンよりも上乗せが実行されやすくなるものの、本発明に係る高確特別演出モードにおける特別演出の実行を伴った上乗せ発生パターンでは、特別演出の頻出と同期的に上乗せ実行が発生されて、より一層の遊技興趣の増大を図ることができる。
また、本実施形態においては、高確特別演出モードのモード期間を抽選して決定するので(ステップS111参照)、高確特別演出モードの遊技期間のゲーム数に応じて前記特別演出の実行決定頻度を変動させる、高確特別演出モードの遊技期間の可変設定を行って、特別演出の実行決定に基づく前記上乗せの発生頻度が変動させることができるので、ART遊技の実行態様の多様化を実現できると共に、より長期の高確特別演出モードの移行への期待感が高まり、遊技興趣の高揚に寄与することができる。
更に、高確特別演出モードにおいては、実行決定に係る特別演出の種別に応じて上乗せ遊技回数を決定するので(ステップS702参照)、特別演出の種別に応じて上乗せ遊技回数が変動し、バリエーションに富んだART遊技の実行態様を実現でき、遊技興趣の増大をより促進することができる。
次に、副制御部の制御下において実行される報知演出制御を説明する。以下の説明では、主にART遊技状態における遊技回数の更新における報知演出制御を説明する。
図24は副制御部により実行される演出報知処理の概要を示す。
本実施形態においては、主に液晶表示装置3による画像表示により当選図柄や役種の告知、役獲得時の祝福演出等が行われる。この画像演出に加え、あるいは別個に上部スピーカ4、下部スピーカ22a、22bによる効果音、装飾ランプ部6の電飾効果を用いて各種音、光演出が実行される。
副制御部による演出報知処理は、遊技状態に応じた画像・音・光の演出報知が行われる。副制御部は主制御部からの制御コマンドを受けて遊技状態を判別し、通常遊技モード時には通常遊技演出報知処理を実行する(ステップS400、S405)。通常遊技演出報知処理では、主に、内部抽選の結果に関連した遊技情報、例えば、各種の役(特定役を含む。)、リプレイあるいは外れの100%告知、当選蓋然性の告知などが行われる。通常遊技演出報知処理には、特別演出の出現、高確遊技モードの前兆演出・モード実行演出・復帰演出、ART抽選結果、上乗せ抽選の結果及びモード移行ポイント値及び更新ポイントの累積状況を報知する報知処理も含まれている。更新ポイントの累積状況については例えば、ヒーローと悪役とのバトル演出を行って、倒した悪役の数で基準値への到達度が報知される。
ボーナス遊技中の場合には、遊技機のモチーフの内容に沿ったボーナスゲームの進行演出及び獲得枚数の表示等を行うボーナス遊技中演出報知処理が実行される(ステップS401、S406)。
ART遊技中の場合には、ART遊技の進行演出、ART遊技継続、高確特別演出モード移行、上乗せの報知、獲得メダル枚数の累積表示等のART遊技演出報知処理が実行される(ステップS402、S407)。
内部当選状態の場合には、ボーナス役当選の確定報知、ART遊技の獲得有無ないし蓋然性の報知等を行う内部当選状態演出報知処理が実行される(ステップS403、S408)。更に、ボーナスゲームに入賞したときには、ボーナスゲームの発生を祝福演出するボーナス入賞時演出報知処理が実行される(ステップS404、S409)。特別演出実行時、フリーズ期間中に実行される特定の映像演出は、通常遊技演出報知処理(ステップS405)や内部当選状態演出報知処理(ステップS408)において実行可能になっている。
副制御基板200は、ART遊技演出報知処理(ステップS407)において、当選役種別を取得して当選役に応じた演出処理を行う。当選役がAT役である場合には、サブROM202に記憶した当選役押し順報知演出選択テーブルに基づいて当選役種別に応じた押し順報知演出が選択される。例えば、押し順が中回胴→左回胴→右回胴のベル役に当選したときは、その停止操作手順に沿った右・左・中の指示音声が、最初のリール停止前に「みぎ」、次のリール停止前に「ひだり」、更に最後のリール停止前に「なか」といった音声出力順序で、画像表示と共に報知される。この押し順報知演出はART遊技全体の進行を演出するART進行演出と併行して実行される。ART遊技演出報知処理は停止操作順報知遊技における停止操作順序の報知制御を行う報知制御手段を構成する。当選AT図柄の種別を報知するART遊技を付与する場合にも、当選AT役の種別を報知する当選役報知制御手段を演出制御基板200に設けることにより当選役報知を行うことができる。なお、当選役がボーナス役である場合にはボーナス当選時の演出が選択され、小役又は外れである場合には夫々に応じた演出内容が選択される。
図25は前記演出報知処理におけるモード移行ポイント累積状況の報知処理の概要を示す。図26は前記演出報知処理により実行される各種画像演出の画像表示例を示す。図27は図25のポイント累積状況の報知処理において実行される画像表示例を示す。
これらの演出報知データはサブROM202に格納され、また、各演出パターンに対応する画像演出制御データは液晶制御基板206に格納されている。
本実施形態においては、ART遊技に移行するまでの通常遊技時にモード移行ポイント値の累積値(前記カウント値Sc)に応じて、その累積状況を時計の時刻変化として報知する時刻表示演出が行われる。ポイントカウンタの初期設定時には0時刻を表示し、その後の遊技進行に応じてポイント値の累積が行われ、第2基準値に到達したときに24時(1日分の刻時に相当する)を表示して終了する。
図27の(27A)は液晶表示装置3の表示画面3aに0時刻(24時)を表示した画像表示例を示す。この画面表示はポイントカウンタのカウント開始時と、第2基準値到達時に出現する。カウント開始以降、24時間経過を第2基準値の800に換算して、累積値に応じて長針と短針の位置を順次切り替えて、モード移行ポイント値の累積状況を時刻表示で報知する報知演出が演出報知の一部として実行される。時刻表示は遊技毎に時刻表示実行抽選(抽選確率:1/10)が行われて、当選したときに画面表示に登場する。(27B)は表示画面3aに出現する通常時刻表示(0時20分の経過)の一表示例を示す。
ポイント値の累積値が一定の値に達すると特定時刻を示す特定時刻表示演出が行われる(ステップS302、S303)。特定時刻表示演出は200、300、400又は第1基準値に達したときに実行される。特定時刻表示以外のときに、時刻表示実行抽選に当選した場合にはその時点での累積値に応じた時刻表示演出が実行される(ステップS304)。
(27C)は累積値が400に達したときの出現する18時の画面表示例を示す。(27D)は累積値が第1基準値(600)に達したときの出現する21時の画面表示例を示す。第1基準値に達してもART遊技に当選しなかった場合でもポイント値の累積が継続するので、時刻表示の演出も継続し、第2基準値に達したとき、(27A)の24時の最終時刻表示演出が実行される(ステップS300、S301)。
図26は演出報知処理の画像演出において出現する画像表示例の一部である。 図26の(26A)は時刻表示演出の予告演出例であり、(26A)の予告の後に最終時刻表示演出、特定時刻表示演出又は通常時刻表示演出が出現する。
(26B)は(27D)の画面表示の後に出現する高確遊技モードへの移行を報知するモード移行報知画面例を示す。(26C)はART遊技の付与が決定されたときのART付与決定報知画面例を示す。(26D)はART遊技中に更新ポイントの累積値が基準値Npに達して、継続抽選の継続率を向上させた向上状態(継続抽選確率向上フラグのオン状態)に移行したときに出現するモードアップ画面表示例を示す。(26E)はART遊技終了後における高確遊技モードへの復帰を報知する復帰報知画面例を示す。(26F)は高確特別演出モードの遊技状態を示す「至極の刻」を表示した報知画面例を示す。
本実施形態においては、遊技進行に応じてモード移行ポイント値の累積記憶状況を報知する報知手段を用いて上記画像演出等を行って、少なくとも前記累積値が基準値に達したことを報知するので、高確遊技モードへの移行・復帰やART遊技獲得への期待感を持続させることができ継続遊技の促進に寄与する。
前記報知手段の具体的報知実行手段としては、液晶表示装置3、表示ランプ類等の表示報知装置、スピーカ等の音声報知装置の他に、ドットLED等の表示装置やギミック等の演出役物可動装置を使用することができる。また、前記報知手段による前記累積記憶状況の報知態様には、上記時計針表示のアナログ報知態様の他に、例えば、カウント表示等のデジタル報知態様やそれらの組合せ報知態様を使用することができる。
本実施形態においては特別演出の実行可否を特定の役の当選を抽選契機にして実行しているが、内部抽選に関係なく1又は2以上の遊技毎に実行するようにしてもよい。また、前記モード移行ポイント値を、内部抽選役の一部又は全部に対して予め設定したポイント値により、内部抽選結果に応じて付与するポイント設定態様を使用しているが、1回の遊技毎に、あるいは所定の抽選契機が発生したとき(例えば、所定の抽選契機役の当選又は成立)、複数種の付与ポイン値のいずれかを決定するポイント付与抽選を行って当選したことを条件に、付与ポイント値を決定して付与するポイント付与抽選態様を使用することができる。また、基準値は単一値に固定する場合に限らず、複数種の値から選択可能にすることができる。
モード移行ポイント値の累積態様には、所定の起点遊技から、1遊技毎にポイント値の累積を行う場合に限らず、例えば、外れ時やリプレイ役の当選時を除いた、役当選時にのみポイント値の累積を可能にする場合が含まれる。また、各基準値への到達判断態様として、ポイント値の累積加算値と各基準値との比較を行って判断する場合に限らず、所定のベース値より順次、ポイント値を減算して、その減算値と各基準値との比較を行って判断するようにしてもよい。
本発明は、上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々変形例、設計変更などをその技術的範囲内に包含するものであることは云うまでもない。