JP2009218260A - 抵抗変化型素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】大きな抵抗変化率を実現するのに適した抵抗変化型素子を提供すること。
【解決手段】本発明の抵抗変化型素子X1は、例えば、電極1と、電極2と、これらの間に位置する酸素供給層3と、酸素供給層3および電極2の間に位置する酸素受容層4とを含む積層構造を有する。酸素供給層3は、酸素受容層4に酸素イオンを供与して低抵抗状態から高抵抗状態に変化可能であり、且つ、酸素受容層4から酸素イオンを受容して高抵抗状態から低抵抗状態に変化可能である。酸素受容層4は、酸化物を形成せずに酸素供給層3から酸素イオンを受容することが可能であり、且つ、受容した酸素イオンを酸素供給層3に供与することが可能である。
【選択図】図1

Description

本発明は、相対的に電流が流れにくい高抵抗状態と相対的に電流が流れやすい低抵抗状態との間を切り替わることが可能な抵抗変化型素子に関する。
不揮発性メモリの技術分野においては、ReRAM(resistive RAM)が注目を集めている。ReRAMは、抵抗変化型素子であり、一般に、一対の電極と、当該電極対間に印加される電圧に応じて高抵抗状態および低抵抗状態の間を選択的に切り替わることが可能な記録膜とを有する。ReRAMでは、記録膜の抵抗状態の選択的な切り替わりを利用して、情報の記録ないし書き換えが実行され得る。このようなReRAMないし抵抗変化型素子に関しては、例えば下記の特許文献1〜4に記載されている。
特開2004−273615号公報 特開2004−281913号公報 特開2005−123361号公報 特開2005−203463号公報
ReRAMは、電気的特性の観点からバイポーラ型とユニポーラ型に大別される。バイポーラ型のReRAMでは、記録膜を高抵抗状態から低抵抗状態へ変化させるための、電極対間の電圧印加方向と、記録膜を低抵抗状態から高抵抗状態へ変化させるための、電極対間の電圧印加方向とが異なる。すなわち、バイポーラ型のReRAMでは、2種類の抵抗状態変化ないし切り替わりにおいて、異なる極性の電圧が利用される。一方、ユニポーラ型のReRAMでは、記録膜を高抵抗状態から低抵抗状態へ変化させるための、電極対間の電圧印加方向と、記録膜を低抵抗状態から高抵抗状態へ変化させるための、電極対間の電圧印加方向とは同じである。すなわち、ユニポーラ型のReRAMでは、二種類の抵抗状態変化において、同じ極性の電圧が利用される。
バイポーラ型のReRAMは、一般に、ユニポーラ型ReRAMよりも高速に動作することができる。バイポーラ型ReRAMとしては、例えば、PrCaMnO3よりなる記録膜を具備する所定のReRAMや、Crが添加されたSrZrO3よりなる記録膜を具備する所定のReRAMが報告されている。
図15は、そのようなバイポーラ型ReRAMの一例である抵抗変化型素子X5の断面図である。抵抗変化型素子X5は、基板50と、一対の電極51,52と、記録膜たる酸化物層53とからなる積層構造を有する。酸化物層53は、電界の作用により酸素イオンを生じ得る酸化物材料(例えばPrCaMnO3)よりなる。電極52は、酸化物層53内で生じた酸素イオンを受容して部分的に酸化されやすい遷移金属よりなる。
抵抗変化型素子X5の電極51,52を各々負極および正極として当該電極間に所定電圧を所定時間にわたり印加すると、酸化物層53と電極52との主に界面近傍では、電界作用により、酸素イオンの発生および移動等が生ずる。具体的には、酸化物層53にて酸素イオンが発生し、当該酸素イオンは酸化物層53から電極52へと移動して当該電極52を部分的に酸化する。一定量の構成酸素を酸素イオンとして電極52へと放出する酸化物層53には、正電荷欠陥(正電荷を伴う酸素空孔)が発生および蓄積して所定の内部電場が形成される。当該内部電場は、酸化物層53への又は酸化物層53内でのキャリア(正孔等)移動の障害となる。そのため、当該内部電場の形成により、酸化物層53の抵抗値は上昇し、酸化物層53は高抵抗状態に至る。このようにして、酸化物層53ないし抵抗変化型素子X5は高抵抗化される。
高抵抗状態にある抵抗変化型素子X5の電極51,52を各々正極および負極として当該電極間に所定電圧を所定時間にわたり印加すると、酸化物層53と電極52との主に界面近傍では、電界作用により、酸素イオンの発生および移動等が生ずる。具体的には、電極52内の部分酸化領域にて酸素イオンが発生し、当該酸素イオンは電極52の当該酸化領域から酸化物層53へと移動し、そして、当該酸素イオンは酸化物層53内の正電荷欠陥を電気的に中和して内部電場を減弱(理想的には消滅)させる。これにより、酸化物層53の抵抗値は低下し、酸化物層53は低抵抗状態に至る。このようにして、酸化物層53ないし抵抗変化型素子X5は低抵抗化される。
低抵抗状態にある抵抗変化型素子X5は、上述の高抵抗化過程を経ることにより、再び高抵抗状態に切り替えられ得る。このように、抵抗変化型素子X5は、高抵抗状態と低抵抗状態との間をバイポーラ型の動作で抵抗スイッチング可能である。当該抵抗スイッチングを利用して、抵抗変化型素子X5にて情報の記録ないし書き換えが実行される。
しかしながら、従来の抵抗変化型素子X5は、低抵抗状態での抵抗値と高抵抗状態での抵抗値との間の変化率(抵抗変化率)について、充分な大きさを実現するのに困難性を有する。
抵抗変化型素子X5が高抵抗状態に至るには、酸化物層53にて発生した酸素イオンを電極52が受容する必要がある。電極52は、酸素イオンによって部分的に酸化されることによって当該酸素イオンを受容する(即ち、酸素イオンは、共有結合性ないしイオン結合性の化学結合によって電極母材に取り込まれることとなる)。この酸化は、電極52における酸化物層53との界面近傍にて生ずる。そして、電極52における当該界面近傍の酸化が進むほど、当該界面近傍において酸素イオンと化学結合を形成し得る領域が減少し、酸化物層53から電極52への酸素イオン移動は抑制される。すなわち、電極52における当該界面近傍酸化領域の発生および成長は、酸化物層53から電極52へと移動しようとする後続の酸素イオンの当該移動を阻害する方向に比較的強く作用する。そのため、当該界面近傍の酸化の程度は比較的早く限界近くに達してしまう。すなわち、電極52の実効的な酸素受容容量は比較的小さいのである。したがって、抵抗変化型素子X5では、高抵抗状態において充分に高い抵抗値を実現しにくい。このような抵抗変化型素子X5においては、低抵抗状態と高抵抗状態との間の抵抗変化率について、充分な大きさを確保しにくい。
また、抵抗変化型素子X5の高抵抗化の際には、酸化物層53から供与された酸素イオンによって電極52が酸化され、当該酸素イオンと電極52の構成母材との間は比較的強固に化学結合(共有結合性ないしイオン結合性)することとなる。そのため、高抵抗化の際に酸化物層53から電極52へと移動した酸素の一部が、低抵抗化の際に電極52から酸化物層53へと戻らずに電極52内に残留する場合が多い。電極52内に酸素イオンが残留するのに相応して、酸化物層53内に正電荷欠陥が残留することとなる。このような抵抗変化型素子X5において抵抗スイッチングを繰り返すと、酸化物層53内に正電荷欠陥が徐々に蓄積され、低抵抗状態における酸化物層53ないし抵抗変化型素子X5の抵抗値は、当初に比べて次第に上昇してしまい(酸化物層53内の正電荷欠陥が多いほど酸化物層53の抵抗値は高い傾向にある)、高抵抗状態における酸化物層53ないし抵抗変化型素子X5の抵抗値との差が次第に小さくなる。抵抗スイッチングを繰り返すことによって両抵抗状態間の抵抗値差が次第に小さくなることは、大きな抵抗変化率を実現するうえで好ましくない。
本発明は、以上のような事情の下で考え出されたものであり、大きな抵抗変化率を実現するのに適した抵抗変化型素子を提供することを目的とする。
本発明の第1の側面により提供される抵抗変化型素子は、第1電極と、第2電極と、当該第1および第2電極の間に位置する酸素供給層と、当該酸素供給層および第2電極の間に位置する酸素受容層とを含む積層構造を有する。酸素供給層は、酸素受容層に酸素イオンを供与して低抵抗状態から高抵抗状態に変化可能であり、且つ、酸素受容層から酸素イオンを受容して高抵抗状態から低抵抗状態に変化可能である。酸素受容層は、酸化物を形成せずに酸素供給層から酸素イオンを受容することが可能であり、且つ、受容した酸素イオンを酸素供給層に供与することが可能である。
このような構成を有する本抵抗変化型素子は、酸素供給層が低抵抗状態にある低抵抗状態と、酸素供給層が高抵抗状態にある高抵抗状態との間を、選択的に切り替わることができる。
低抵抗状態にある本抵抗変化型素子の第1および第2電極を各々負極および正極として当該電極間に所定電圧を所定時間にわたり印加して、電界作用により、酸素供給層内に酸素イオンを発生させ且つ当該酸素イオンを酸素供給層から酸素受容層へと移動させると(即ち、酸素供給層から酸素受容層への酸素イオン供与を生じさせると)、酸素受容層は、酸化物を形成せずに酸素供給層からの酸素イオンを受容する。これとともに、一定量の構成酸素を酸素イオンとして酸素受容層へと放出する酸素供給層には、正電荷欠陥(正電荷を伴う酸素空孔)が発生および増大(蓄積)して所定の内部電場が生ずる。正電荷欠陥が発生および蓄積して内部電場を生ずる酸素供給層では、当該内部電場が本素子におけるキャリア(正孔等)の移動の障害となる。そのため、内部電場の発生により、酸素供給層の抵抗値は上昇し、酸素供給層は高抵抗状態に至る。このようにして酸素供給層が低抵抗状態から高抵抗状態へと変化することにより、本抵抗変化型素子は低抵抗状態から高抵抗状態へと切り替わる(高抵抗化)。印加電圧を消滅させても、酸素供給層は高抵抗状態を維持し、従って、本素子はその高抵抗状態を維持する。
高抵抗状態にある本抵抗変化型素子の第1および第2電極を各々正極および負極として当該電極間に所定電圧を所定時間にわたって印加して、電界作用により、酸素受容層内の酸素イオンを酸素供給層へと移動させると(即ち、酸素受容層から酸素供給層への酸素イオン供与を生じさせると)、当該酸素イオンを受容した酸素供給層では、上述の正電荷欠陥が電気的に中和され、正電荷欠陥の存在に起因する内部電場は実質的に消滅する。これにより、酸素供給層の抵抗値は低下し、酸素供給層は低抵抗状態に至る。このようにして酸素供給層が高抵抗状態から低抵抗状態へと変化することにより、本抵抗変化型素子は高抵抗状態から低抵抗状態へと切り替わる(低抵抗化)。印加電圧を消滅させても、酸素供給層は低抵抗状態を維持し、従って、本素子はその低抵抗状態を維持する。また、このような低抵抗状態にある本素子については、上述の高抵抗化過程を経ることにより、再び高抵抗状態に切り替えることが可能である。
本素子では、低抵抗状態から高抵抗状態へ変化させるための、電極対間の電圧印加方向と、高抵抗状態から低抵抗状態へ変化させるための、電極対間の電圧印加方向とは異なる。すなわち、本素子は、相対的に電流が流れにくい高抵抗状態と相対的に電流が流れやすい低抵抗状態との間を、バイポーラ型の動作で抵抗スイッチング可能なのである。このような抵抗スイッチングを利用して情報の記録ないし書き換えを実行することが可能であるので、本素子は、抵抗変化型の不揮発性記憶素子として用いることが可能である。また、本素子は、回路内の所定箇所にて抵抗を選択的に変化させるためのスイッチング素子としても、用いることが可能である。
また、上述のようにしてバイポーラ型の動作で抵抗スイッチングする本抵抗変化型素子は、大きな抵抗変化率を実現するのに適する。その理由は次の通りである。
従来の抵抗変化型素子X5では、それが低抵抗状態から高抵抗状態に変化する際、酸化物層53にて発生した酸素イオンを電極52が受容する必要があるところ、上述のように、電極52が酸素イオンにより部分的に酸化されることによって当該酸素イオンを受容するために、電極52の実効的な酸素受容容量は比較的小さい。電極52での酸化は、電極52における酸化物層53との界面近傍にて生じ、電極52における当該界面近傍の酸化が進むほど(即ち、共有結合性ないしイオン結合性の化学結合を介して当該界面近傍に留まる酸素が増大するほど)、当該界面近傍において酸素イオンと化学結合を形成し得る領域は減少し、酸化物層53から電極52への酸素イオン移動は抑制され、従って、当該界面近傍の酸化の程度は比較的早く限界近くに達してしまうのである。
これに対し、本発明の第1の側面に係る抵抗変化型素子では、それが低抵抗状態から高抵抗状態に変化する際、酸素供給層にて発生した酸素イオンを酸素受容層が受容する必要があるところ、上述のように、酸素受容層は酸化物を形成せずに酸素供給層からの酸素イオンを受容することができる。すなわち、本抵抗変化型素子では、高抵抗化の際、酸素受容層における酸素供給層との界面近傍に酸化物領域は形成されない。酸素供給層から酸素受容層へと移動した酸素イオンは、酸素受容層における酸素供給層との界面近傍にて共有結合性ないしイオン結合性の化学結合を介して留まることなく、更に酸素受容層内部へと移動しやすいのである。このようなメカニズムで酸素供給層からの酸素イオンを受容する酸素受容層については、従来の抵抗変化型素子X5の電極52よりも、大きな酸素受容容量を達成しやすい。
本抵抗変化型素子では、酸素受容層の酸素受容容量が大きいほど、低抵抗状態にある酸素供給層の抵抗値と、酸素受容層に酸素イオンを放出して至る高抵抗状態にある酸素供給層の抵抗値との間の変化率(抵抗変化率)を、大きく確保しやすいところ、従来の抵抗変化型素子X5の電極52よりも大きな酸素受容容量を達成しやすい酸素受容層を具備する本抵抗変化型素子においては、抵抗変化型素子X5よりも大きな抵抗変化率を実現しやすい。このように、本抵抗変化型素子は、大きな抵抗変化率を実現するのに適するのである。
加えて、本抵抗変化型素子においては、高抵抗化の際に酸素供給層から酸素受容層へと供与された酸素イオンが、低抵抗化の際に酸素受容層から酸素供給層へと戻りやすい。高抵抗化の際、酸素受容層へと移動した酸素イオンは当該酸素受容層内にて共有結合性ないしイオン結合性の化学結合によっては係留されないからである。したがって、本抵抗変化型素子では、抵抗スイッチングを繰り返すことによって両抵抗状態間の抵抗値差が次第に小さくなるというような、従来の抵抗変化型素子X5に関して上述した不具合は、生じにくい。このような特長は、大きな抵抗変化率を実現するのに資する。
本発明の第2の側面により提供される抵抗変化型素子は、第1電極と、第2電極を兼ねる酸素受容層と、当該第1電極および酸素受容層の間に位置する酸素供給層と、を含む積層構造を有する。酸素供給層は、酸素受容層に酸素イオンを供与して低抵抗状態から高抵抗状態に変化可能であり、且つ、酸素受容層から酸素イオンを受容して高抵抗状態から低抵抗状態に変化可能である。酸素受容層は、酸化物を形成せずに酸素供給層から酸素イオンを受容することが可能であり、且つ、受容した酸素イオンを酸素供給層に供与することが可能である。本抵抗変化型素子は、酸素受容層から別個独立した第2電極を具備しない点以外は、第1の側面に係る上述の抵抗変化型素子と同一の構成を備える。したがって、第2の側面に係る抵抗変化型素子においても、第1の側面に係る抵抗変化型素子に関して上述した技術的利点を享受することができる。
本発明の第1および第2の側面において、好ましくは、酸素受容層はアモルファス物質よりなる。また、好ましくは、酸素受容層は炭素またはホウ素よりなる。これらは、酸化物を形成せずに酸素供給層から酸素イオンを受容することが可能な酸素受容層を構成するための材料として好適である。
酸素供給層は、好ましくは、酸素イオンが移動可能な導電性酸化物である。当該導電性酸化物は、好ましくは、蛍石構造型酸化物またはペロブスカイト構造型酸化物である。
本発明の第1および第2の側面に係る抵抗変化型素子は、酸素供給層および酸素受容層の間に介在する酸素拡散防止層を更に備えてもよい。この酸素拡散防止層は、素子の高抵抗状態において、酸素受容層から酸素供給層へのいわゆる熱拡散による酸素イオン移動を防止するためのものである。当該熱拡散の防止は、素子の抵抗スイッチングにおいて大きな抵抗率変化を実現するのに資する。このような酸素拡散防止層は、例えば、酸素欠損状態にある金属酸化物よりなる。金属酸化物としては、例えばTiO、TaO、およびAlOが挙げられる。また、酸素拡散防止層の厚さは10nm以下であるのが好ましい。
第1電極は、好ましくは、酸化されにくい非酸化性導電材料よりなる。そのような非酸化性導電材料としては、例えばPt、Au、SrRuO3、SnO2、およびIn23−SnO2が挙げられる。
本発明の第1および第2の側面に係る抵抗変化型素子では、酸素供給層における酸素受容層の側の端部には酸素空乏部が存在してもよい。酸素空乏部とは、酸素供給層において他の部位よりも酸素欠損度が高い部分領域である。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る抵抗変化型素子X1の断面図である。抵抗変化型素子X1は、基板Sと、一対の電極1,2と、酸素供給層3と、酸素受容層4とからなる積層構造を有し、相対的に電流が流れにくい高抵抗状態と相対的に電流が流れやすい低抵抗状態との間を切り替わることが可能に構成されている。
基板Sは、例えばシリコン基板や酸化物基板である。シリコン基板の表面には、熱酸化膜が形成されていてもよい。酸化物基板としては、例えば、MgO基板、SrTiO3基板、Al23基板、石英基板、およびガラス基板が挙げられる。
電極1は、例えば、酸化しにくい非酸化性導電材料よりなる。非酸化性導電材料としては、例えばPt、Au、SrRuO3、SnO2、およびIn23−SnO2が挙げられる。電極1の厚さは、例えば30〜100nmである。
電極2は、所定の導電材料よりなる。電極2の厚さは、例えば30〜100nmである。
酸素供給層3は、電極1,2間に位置して酸素受容層4と接し、低抵抗状態および高抵抗状態の間を選択的に切り替わり得る部位である。具体的には、酸素供給層3は、酸素受容層4に酸素イオンを供与して低抵抗状態から高抵抗状態に変化可能であり、且つ、酸素受容層4から酸素イオンを受容して高抵抗状態から低抵抗状態に変化可能である。酸素供給層3の厚さは、例えば10〜200nmである。また、酸素供給層3における、酸素イオン移動に対する活性化エネルギは、2eV以下であるのが好ましい。
本実施形態では、酸素供給層3は、酸素イオンが移動可能な導電性酸化物よりなり、具体的には蛍石構造型酸化物、ペロブスカイト構造型酸化物、パイロクロア構造型酸化物、タングステンブロンズ構造型酸化物、またはブラウンミラライト構造型酸化物よりなる。蛍石構造型酸化物としては、ZrO2およびY23などを採用することができる。ペロブスカイト構造型酸化物としては、PrMnO3およびSrTiO3などを採用することができる。パイロクロア構造型酸化物としては、Nd2MO27などを採用することができる。タングステンブロンズ構造型酸化物としては、CuWO3などを採用することができる。ブラウンミラライト構造型酸化物としては、Sr2Fe25などを採用することができる。
酸素供給層3には、Caなどのアルカリ土類元素が添加されてもよい。酸素供給層3は酸素欠損状態にあってもよい。酸素欠損状態とは、電荷を伴わない有意量の酸素空孔を有する状態である。これらの構成は、酸素供給層3の導電性および酸素イオン移動性等を向上するうえで好適である。また、アルカリ土類元素の添加は、酸素供給層3がペロブスカイト構造型酸化物である場合に特に有効である。
好ましくは、酸素供給層3は結晶質材料よりなる。結晶質材料よりなる固体電解質は、非晶質材料よりなる固体電解質よりも、酸素イオン移動性が高い傾向にある。酸素イオンが移動可能な結晶質材料内では、酸素イオンが移動可能な非晶質材料内よりも、酸素イオン移動に対する散乱因子が小さい傾向にあるからである。
酸素受容層4は、電極1,2間に位置して酸素供給層3と接し、酸素供給層3との間で酸素イオンの授受が可能な部位である。具体的には、酸素受容層4は、酸化物を形成せずに酸素供給層3から酸素イオンを受容することが可能であり、且つ、受容した酸素イオンを酸素供給層3に供与することが可能である。このような酸素受容層4は、例えばアモルファス物質よりなり、例えば炭素またはホウ素よりなる。酸素受容層4の厚さは、例えば10〜100nmである。
このような構造を有する抵抗変化型素子X1の製造においては、例えば、電極1、酸素供給層3、酸素受容層4、および電極2の各々に対応する所定材料を基板S上に順次成膜した後、各材料膜に対してパターニングを施す。成膜手法としてはスパッタリング法を採用することができる。パターニングでは、例えば、フォトリソグラフィによって材料膜上にレジストパターンを形成した後、当該レジストパターンをマスクとして利用しつつ当該材料膜に対してエッチング処理を施す。
図2は、抵抗変化型素子X1の動作原理を表す。図3は、抵抗変化型素子X1における電流−電圧特性の一例を示すグラフである。図3のグラフの横軸は、抵抗変化型素子X1の電極1,2間に印加される電圧を示し、縦軸は、抵抗変化型素子X1を通過する電流を示す。また、図3のグラフでは、電極1,2を各々負極および正極として抵抗変化型素子X1に印加される電圧を正電圧として表し、電極1,2を各々正極および負極として抵抗変化型素子X1に印加される電圧を負電圧として表す。更に、図3のグラフでは、電極2から電極1へと流れる電流を正電流として表し、電極1から電極2へと流れる電流を負電流として表す。
製造された抵抗変化型素子X1の初期の状態においては、図2(a)に示すように、酸素イオン6を未だ放出していない酸素供給層3は、酸素イオン放出によって生ずる正電荷欠陥7(正電荷を伴う酸素空孔)の存在に起因する内部電場を内部に生じておらず、従って低抵抗状態にある。そのため、初期状態の抵抗変化型素子X1は、低抵抗状態にある。
低抵抗状態にある抵抗変化型素子X1の電極1,2を各々負極および正極として、当該電極1,2間の印加電圧を0Vから次第に増大させると、まず、例えば図3の矢印D1で示すように、抵抗変化型素子X1を通過する電流は、相対的に大きな変化率で次第に増大する。
印加電圧が増大して所定の電圧V1以上に至ると、電極1,2間の電界作用により、例えば図2(b)に示すように酸素供給層3内に酸素イオン6を発生させることができ、続いて、例えば図2(c)に示すように、酸素イオン6を酸素供給層3から酸素受容層4へと移動させることができる。このように、酸素供給層3から酸素受容層4への酸素イオン6供与を生じさせると、酸素受容層4は、酸化物を形成せずに酸素供給層3からの酸素イオン6を受容する。これとともに、一定量の構成酸素を酸素イオン6として酸素受容層4へと放出する酸素供給層3には正電荷欠陥7(正電荷を伴う酸素空孔)が発生および増大(蓄積)して所定の内部電場が生ずる。正電荷欠陥が発生および蓄積して内部電場を生ずる酸素供給層3では当該内部電場が本素子におけるキャリア(正孔等)の移動の障害となる。そのため、内部電場の発生により、酸素供給層3の抵抗値は上昇し、酸素供給層3は高抵抗状態に至る。このようにして、酸素供給層3が低抵抗状態から高抵抗状態へと変化することにより、例えば図3の矢印D2で示される電流値降下に顕れているように、抵抗変化型素子X1は低抵抗状態から高抵抗状態へと切り替わる(高抵抗化)。高抵抗状態にある抵抗変化型素子X1の抵抗値は例えば500〜1000kΩである。この高抵抗化過程における上述のV1は、抵抗変化型素子X1が低抵抗状態から高抵抗状態へと切り替わるために要する最小電圧であり、例えば1〜3Vである。
抵抗変化型素子X1が高抵抗化された後、電極1,2を各々負極および正極としたまま、印加電圧をV1以下に減少させても、酸素供給層3は高抵抗状態を維持し、従って、抵抗変化型素子X1も高抵抗状態を維持する。この電圧減少過程では、例えば図3の矢印D3で示すように、抵抗変化型素子X1を通過する電流は、相対的に小さな変化率で次第に減少する。
高抵抗状態にある抵抗変化型素子X1の電極1,2を図2(d)に示すように各々正極および負極として、当該電極1,2間の印加電圧を0Vから次第に増大させると、まず、例えば図3の矢印D4で示すように、抵抗変化型素子X1を通過する電流は、相対的に小さな変化率で次第に増大する。
印加電圧が増大して所定のV2以上に至ると、電極1,2間の電界作用により、例えば図2(e)に示すように、酸素イオン6を酸素受容層4から酸素供給層3へと移動させることができる。このように、酸素受容層4から酸素供給層3への酸素イオン6供与を生じさせると、酸素イオン6を受容した酸素供給層3における正電荷欠陥7は電気的に中和され、正電荷欠陥7の存在に起因する内部電場は実質的に消滅する。これにより、酸素供給層3の抵抗値は低下し、当該酸素供給層3は低抵抗状態に至る。このようにして、酸素供給層3が高抵抗状態から低抵抗状態へと変化することにより、例えば図3の矢印D5で示される電流値変化に顕れているように、本抵抗変化型素子X1は高抵抗状態から低抵抗状態へと切り替わる(低抵抗化)。低抵抗状態にある抵抗変化型素子X1の抵抗値は例えば50〜100kΩである。この低抵抗化過程における上述のV2は、抵抗変化型素子X1が高抵抗状態から低抵抗状態へと切り替わるために要する最小電圧であり、例えば1〜3Vである。
この後、電極1,2を各々正極および負極としたまま、印加電圧をV2以下に減少させても、酸素供給層3は低抵抗状態を維持し、従って、抵抗変化型素子X1も低抵抗状態を維持する。この電圧減少過程では、例えば図3の矢印D6で示すように、抵抗変化型素子X1を通過する電流は、相対的に大きな変化率で次第に減少する。
抵抗変化型素子X1では、低抵抗状態から高抵抗状態へ変化させるための、電極1,2間の電圧印加方向と、高抵抗状態から低抵抗状態へ変化させるための、電極1,2間の電圧印加方向とは異なる。すなわち、抵抗変化型素子X1は、相対的に電流が流れにくい高抵抗状態と相対的に電流が流れやすい低抵抗状態との間を、バイポーラ型の動作で抵抗スイッチング可能なのである。このような抵抗スイッチングを利用して、情報の記録ないし書き換えを実行することが可能であるので、抵抗変化型素子X1は、抵抗変化型の不揮発性記憶素子として用いることが可能である。また、本素子は、回路内の所定箇所にて抵抗を選択的に変化させるためのスイッチング素子としても用いることが可能である。
また、上述のようにしてバイポーラ型の動作で抵抗スイッチングする抵抗変化型素子X1は、大きな抵抗変化率を実現するのに適する。その理由は次の通りである。
図15に示す従来の抵抗変化型素子X5では、それが低抵抗状態から高抵抗状態に変化する際、酸化物層53にて発生した酸素イオンを電極52が受容する必要があるところ、上述のように、電極52が酸素イオンによって部分的に酸化されることによって当該酸素イオンを受容するために、電極52の実効的な酸素受容容量は比較的小さい。電極52での酸化は、電極52における酸化物層53との界面近傍にて生じ、電極52における当該界面近傍の酸化が進むほど(即ち、共有結合性ないしイオン結合性の化学結合を介して当該界面近傍に留まる酸素が増大するほど)、当該界面近傍において酸素イオンと化学結合を形成し得る領域は減少し、酸化物層53から電極52への酸素イオン移動は抑制され、従って、当該界面近傍の酸化の程度は比較的早く限界近くに達してしまうのである。
これに対し、抵抗変化型素子X1では、それが低抵抗状態から高抵抗状態に変化する際、酸素供給層3にて発生した酸素イオン6を酸素受容層4が受容する必要があるところ、上述のように、酸素受容層4は酸化物を形成せずに酸素供給層3からの酸素イオン6を受容することができる。すなわち、抵抗変化型素子X1では、高抵抗化の際、酸素受容層4における酸素供給層3との界面近傍に酸化物領域は形成されない。酸素供給層3から酸素受容層4へと移動した酸素イオン6は、酸素受容層4における酸素供給層3との界面近傍にて共有結合性ないしイオン結合性の化学結合を介して留まることなく、更に酸素受容層4の内部へと移動しやすいのである。このようなメカニズムで酸素供給層3からの酸素イオン6を受容する酸素受容層4については、従来の抵抗変化型素子X5の電極52よりも、大きな酸素受容容量を達成しやすい。
抵抗変化型素子X1では、酸素受容層4の酸素受容容量が大きいほど、低抵抗状態にある酸素供給層3の抵抗値と、酸素受容層4に酸素イオン6を放出して至る高抵抗状態にある酸素供給層3の抵抗値との間の変化率(抵抗変化率)を、大きく確保しやすいところ、従来の抵抗変化型素子X5の電極52よりも大きな酸素受容容量を達成しやすい酸素受容層4を具備する抵抗変化型素子X1においては、抵抗変化型素子X5よりも大きな抵抗変化率を実現しやすい。このように、抵抗変化型素子X1は、大きな抵抗変化率を実現するのに適するのである。
加えて、抵抗変化型素子X1においては、高抵抗化の際に酸素供給層3から酸素受容層4へと供与された酸素イオン6が、低抵抗化の際に酸素受容層4から酸素供給層3へと戻りやすい。高抵抗化の際、酸素受容層4へと移動した酸素イオン6は当該酸素受容層4内にて共有結合性ないしイオン結合性の化学結合によっては係留されないからである。したがって、抵抗変化型素子X1では、抵抗スイッチングを繰り返すことによって両抵抗状態間の抵抗値差が次第に小さくなるというような、従来の抵抗変化型素子X5に関して上述した不具合は、生じにくい。このような特長は、大きな抵抗変化率を実現するのに資する。
抵抗変化型素子X1においては、酸素受容層4が充分な導電性を有するならば、図4に示すように電極2を設けなくてもよい。この場合、抵抗変化型素子X1を動作させる際に酸素受容層4を電極としても用いる(即ち、一方の電極1と他方の電極である酸素受容層4との間に電圧を印加する)。例えばアモルファス炭素を酸素受容層4の構成材料として採用すると、当該酸素受容層4は充分な導電性を示す。
図5は、本発明の第2の実施形態に係る抵抗変化型素子X2の断面図である。抵抗変化型素子X2は、基板Sと、一対の電極1,2と、酸素供給層3と、酸素受容層4と、酸素拡散防止層5とからなる積層構造を有し、相対的に電流が流れにくい高抵抗状態と相対的に電流が流れやすい低抵抗状態との間を切り替わることが可能に構成されている。抵抗変化型素子X2は、酸素拡散防止層5を追加的に有する点において、抵抗変化型素子X1と異なる。
酸素拡散防止層5は、酸素供給層3および酸素受容層4の間に介在し、いわゆる熱拡散によっては酸素イオンが通過できない膜体である。具体的には、酸素拡散防止層5は、高抵抗状態にある抵抗変化型素子X2において、酸素受容層4から酸素供給層3への熱拡散による酸素イオン移動を防止するためのものである。このような酸素拡散防止層5は、本実施形態では、酸素欠損状態にある金属酸化物よりなる。金属酸化物としては、例えばTiO、TaO、およびAlOが挙げられる。また、酸素拡散防止層5の厚さは10nm以下であるのが好ましい。
抵抗変化型素子X2の他の構成については、抵抗変化型素子X1に関して上述したのと同様である。
このような構造を有する抵抗変化型素子X2の製造においては、例えば、電極1、酸素供給層3、酸素拡散防止層5、酸素受容層4、および電極2の各々に対応する所定材料を基板S上に順次成膜した後、各材料膜に対してパターニングを施す。
図6は、抵抗変化型素子X2の動作原理を表す。製造された抵抗変化型素子X2の初期の状態においては、図6(a)に示すように、酸素イオン6を未だ放出していない酸素供給層3は、酸素イオン6放出によって生ずる正電荷欠陥7(正電荷を伴う酸素空孔)の存在に起因する内部電場を内部に生じておらず、従って低抵抗状態にある。そのため、初期状態の抵抗変化型素子X2自体は、低抵抗状態にある。
低抵抗状態にある抵抗変化型素子X2の電極1,2を各々負極および正極として、当該電極1,2間の印加電圧を0Vから次第に増大させて所定電圧以上に至ると、電極1,2間の電界作用により、例えば図6(b)に示すように、酸素供給層3内に酸素イオン6を発生させることができ、続いて、例えば図6(c)に示すように、酸素イオン6を酸素供給層3から酸素拡散防止層5を越えて酸素受容層4へと移動させることができる。このような酸素受容層4への酸素イオン6供与を生じさせると、酸素受容層4は、酸化物を形成せずに酸素イオン6を受容する。これとともに、一定量の構成酸素を酸素イオン6として酸素受容層4へと放出する酸素供給層3には正電荷欠陥7(正電荷を伴う酸素空孔)が発生および増大(蓄積)して所定の内部電場が生ずる。正電荷欠陥7が発生および蓄積して内部電場を生ずる酸素供給層3では当該内部電場が本素子におけるキャリア(正孔等)の移動の障害となる。そのため、内部電場の発生により、酸素供給層3の抵抗値は上昇し、酸素供給層3は高抵抗状態に至る。このようにして、酸素供給層3が低抵抗状態から高抵抗状態へと変化することにより、抵抗変化型素子X2は低抵抗状態から高抵抗状態へと切り替わる(高抵抗化)。
抵抗変化型素子X2が高抵抗化された後、印加電圧を減少させても、酸素供給層3は高抵抗状態を維持し、従って、抵抗変化型素子X2も高抵抗状態を維持する。高抵抗状態においては、酸素受容層4内に酸素イオン6が多数存在するところ、酸素拡散防止層5は、酸素イオン6が酸素受容層4から酸素供給層3へと熱拡散するのを阻止する。
高抵抗状態にある抵抗変化型素子X2の電極1,2を図6(d)に示すように各々正極および負極として、当該電極1,2間の印加電圧を0Vから次第に増大させて所定電圧以上に至ると、電極1,2間の電界作用により、例えば図6(e)に示すように、酸素イオン6を酸素受容層4から酸素拡散防止層5を越えて酸素供給層3へと移動させることができる。このような酸素供給層3への酸素イオン6供与を生じさせると、酸素供給層3における正電荷欠陥7は酸素イオン6によって電気的に中和され、正電荷欠陥7の存在に起因する内部電場は実質的に消滅する。これにより、酸素供給層3の抵抗値は低下し、当該酸素供給層3は低抵抗状態に至る。このようにして、酸素供給層3が高抵抗状態から低抵抗状態へと変化することにより、本抵抗変化型素子X2は高抵抗状態から低抵抗状態へと切り替わる(低抵抗化)。
この後、印加電圧を減少させても、酸素供給層3は低抵抗状態を維持し、従って、抵抗変化型素子X2も低抵抗状態を維持する。
このように、抵抗変化型素子X2は、抵抗変化型素子X1と同様に、バイポーラ型の動作で抵抗スイッチング可能である。したがって、抵抗変化型素子X2は、抵抗変化型素子X1と同様に、抵抗変化型の不揮発性記憶素子として用いることが可能であり、回路内の所定箇所にて抵抗を選択的に変化させるためのスイッチング素子としても用いることが可能である。そして、抵抗変化型素子X2は、抵抗変化型素子X1に関して上述したのと同様に、大きな抵抗変化率を実現するのに適し、また、高抵抗化の際に酸素供給層3から酸素受容層4へと供与された酸素イオン6が低抵抗化の際に酸素受容層4から酸素供給層3へと戻りやすい。
加えて、抵抗変化型素子X2においては、酸素供給層3と酸素受容層4の間に酸素拡散防止層5が介在するため、素子の高抵抗状態にて、酸素受容層4内に多数存在する酸素イオン6が酸素供給層3へと熱拡散してしまうことが防止される。このような構成は、本素子において大きな抵抗変化率を実現するのに資する。
このような抵抗変化型素子X2においては、抵抗変化型素子X1に関して図4を参照して上述したのと同様に、酸素受容層4が充分な導電性を有するならば、電極2を設けなくてもよい。この場合、抵抗変化型素子X2を動作させる際に酸素受容層4を電極としても用いる。
図7は、本発明の第3の実施形態に係る抵抗変化型素子X3の断面図である。抵抗変化型素子X3は、基板Sと、一対の電極1,2と、酸素空乏部3aを含む酸素供給層3と、酸素受容層4とからなる積層構造を有し、相対的に電流が流れにくい高抵抗状態と相対的に電流が流れやすい低抵抗状態との間を切り替わることが可能に構成されている。抵抗変化型素子X3は、酸素供給層3内に酸素空乏部3aが存在する点において、抵抗変化型素子X1と異なる。
酸素空乏部3aは、酸化物よりなる酸素供給層3における酸素受容層4の側の端部に位置する(即ち、酸素供給層3において酸素受容層4との界面を構成する)、所定の程度に酸素欠損状態にある部分領域である。酸素欠損状態にある酸素空乏部3aは、酸素供給層3における酸素空乏部3a外の領域よりも、単位厚さあたりの抵抗値が高い。このような酸素空乏部3aの厚さは例えば1〜10nmである。
抵抗変化型素子X3の他の構成については、抵抗変化型素子X1に関して上述したのと同様である。
このような構造を有する抵抗変化型素子X3の製造においては、例えば、電極1、酸素供給層3、酸素受容層4、および電極2の各々に対応する所定材料を基板S上に順次成膜した後、各材料膜に対してパターニングを施す。本方法では、酸素供給層3に対応する材料を成膜する工程中または工程後に、当該材料膜における酸素受容層4側の端面において、酸素空乏部3aに対応する酸素欠損状態を生じさせる。
図8は、抵抗変化型素子X3の動作原理を表す。製造された抵抗変化型素子X3の初期の状態においては、図8(a)に示すように、正電荷欠陥7(正電荷を伴う酸素空孔)の存在に起因する有意な内部電場を内部に生じておらず、従って低抵抗状態にある。そのため、初期状態の抵抗変化型素子X3自体は、低抵抗状態にある。
低抵抗状態にある抵抗変化型素子X3の電極1,2を各々負極および正極として、当該電極1,2間の印加電圧を0Vから次第に増大させて所定電圧以上に至ると、電極1,2間の電界作用により、例えば図8(b)に示すように、酸素供給層3の酸素空乏部3aに酸素イオン6を発生させることができ、続いて、例えば図8(c)に示すように、酸素イオン6を酸素空乏部3aから酸素受容層4へと移動させることができる。このとき、酸素空乏部3aに対して効率よく電圧が印加され、酸素空乏部3aにおいて効率よく酸素イオン6が発生する。酸素供給層3の全体に実効的に印加される電圧のうち、酸素供給層3の厚さ全体にわたる抵抗値において酸素空乏部3aの抵抗値の占める割合に応じた電圧が酸素空乏部3aに印加されるところ、酸素空乏部3aは、酸素供給層3における他の領域よりも高抵抗だからである。
このようにして酸素供給層3から酸素受容層4への酸素イオン6供与を生じさせると、酸素受容層4は、酸化物を形成せずに酸素イオン6を受容する。これとともに、一定量の構成酸素を酸素イオン6として酸素受容層4へと放出する酸素供給層3には正電荷欠陥7(正電荷を伴う酸素空孔)が発生および増大(蓄積)して所定の内部電場が生ずる。正電荷欠陥7が発生および蓄積して内部電場を生ずる酸素供給層3では当該内部電場が本素子におけるキャリア(正孔等)の移動の障害となる。そのため、内部電場の発生により、酸素供給層3の抵抗値は上昇し、酸素供給層3は高抵抗状態に至る。このようにして、酸素供給層3が低抵抗状態から高抵抗状態へと変化することにより、抵抗変化型素子X3は低抵抗状態から高抵抗状態へと切り替わる(高抵抗化)。
抵抗変化型素子X3が高抵抗化された後、印加電圧を減少させても、酸素供給層3は高抵抗状態を維持し、従って、抵抗変化型素子X3も高抵抗状態を維持する。
高抵抗状態にある抵抗変化型素子X3の電極1,2を図8(d)に示すように各々正極および負極として、当該電極1,2間の印加電圧を0Vから次第に増大させて所定電圧以上に至ると、電極1,2間の電界作用により、例えば図8(e)に示すように、酸素イオン6を酸素受容層4から酸素供給層3へと移動させることができる。このような酸素供給層3への酸素イオン6供与を生じさせると、酸素供給層3における正電荷欠陥7は酸素イオン6によって電気的に中和され、正電荷欠陥7の存在に起因する内部電場は実質的に消滅する。これにより、酸素供給層3の抵抗値は低下し、当該酸素供給層3は低抵抗状態に至る。このようにして、酸素供給層3が高抵抗状態から低抵抗状態へと変化することにより、本抵抗変化型素子X3は高抵抗状態から低抵抗状態へと切り替わる(低抵抗化)。
この後、印加電圧を減少させても、酸素供給層3は低抵抗状態を維持し、従って、抵抗変化型素子X3も低抵抗状態を維持する。
このように、抵抗変化型素子X3は、抵抗変化型素子X1と同様に、バイポーラ型の動作で抵抗スイッチング可能である。したがって、抵抗変化型素子X3は、抵抗変化型素子X1と同様に、抵抗変化型の不揮発性記憶素子として用いることが可能であり、回路内の所定箇所にて抵抗を選択的に変化させるためのスイッチング素子としても用いることが可能である。そして、抵抗変化型素子X3は、抵抗変化型素子X1に関して上述したのと同様に、大きな抵抗変化率を実現するのに適し、また、高抵抗化の際に酸素供給層3から酸素受容層4へと供与された酸素イオン6が低抵抗化の際に酸素受容層4から酸素供給層3へと戻りやすい。
加えて、抵抗変化型素子X3においては、高抵抗化の際に、上述のように、酸素空乏部3aに対して効率よく電圧が印加され、酸素空乏部3aにおいて効率よく酸素イオン6が発生する。そのため、抵抗変化型素子X3においては、高抵抗化するのに要する電圧を低減しやすい。
このような抵抗変化型素子X3においては、抵抗変化型素子X1に関して図4を参照して上述したのと同様に、酸素受容層4が充分な導電性を有するならば、電極2を設けなくてもよい。この場合、抵抗変化型素子X3を動作させる際に酸素受容層4を電極としても用いる。
図9は、本発明の第4の実施形態に係る抵抗変化型素子X4の断面図である。抵抗変化型素子X4は、基板Sと、一対の電極1,2と、酸素空乏部3aを含む酸素供給層3と、酸素受容層4と、酸素拡散防止層5とからなる積層構造を有し、相対的に電流が流れにくい高抵抗状態と相対的に電流が流れやすい低抵抗状態との間を切り替わることが可能に構成されている。抵抗変化型素子X4は、酸素供給層3内に酸素空乏部3aが存在する点、および、酸素拡散防止層5を追加的に有する点において、抵抗変化型素子X1と異なる。
本実施形態の酸素空乏部3aは、第3の実施形態に係る抵抗変化型素子X3の酸素空乏部3aと同様の構成を有する。本実施形態の酸素拡散防止層5は、第2の実施形態に係る抵抗変化型素子X2の酸素拡散防止層5と同様の構成を有する。抵抗変化型素子X4の他の構成については、抵抗変化型素子X1に関して上述したのと同様である。
図10は、抵抗変化型素子X4の製造方法の一例を表す。抵抗変化型素子X4の製造においては、まず、図10(a)に示すように、スパッタリング法により、材料膜1’,3’を基板S上に順次形成する。材料膜1’は、上述の電極1に対応する材料(例えば非酸化性導電材料)よりなる。材料膜3’は、上述の酸素供給層3に対応する材料(導電性酸化物)よりなり、上述の酸素空乏部3aに対応する酸素欠損状態を生じさせずに一旦形成する。遅くとも材料膜3’の形成工程から、順次続く成膜工程を大気中に暴露することなく連続的に行う連続成膜を開始する。
次に、図10(b)に示すように、比較的容易に酸化される金属材料(例えばTi,Ta,Al)を例えばスパッタリング法によって材料膜3’上に成膜する。このように、比較的容易に酸化される金属材料を、所定の真空度下において、酸化物よりなる材料膜3’上に成膜すると、当該金属材料膜は、材料膜3’表面の酸素を取り込んで酸素欠損金属酸化物膜となる。酸素を奪われた材料膜3’表面は、所定の程度に酸素欠損状態となる。このようにして、上述の酸素拡散防止層5に対応する酸素欠損金属酸化物よりなる材料膜5’が材料膜3’上に形成されるとともに、材料膜3’内において上述の酸素空乏部3aに対応する酸素欠損領域3a’が形成される。
次に、図10(c)に示すように、例えばスパッタリング法により、材料膜5’上に材料膜4’,2’を順次形成する。材料膜4’は、上述の酸素受容層4に対応する材料(例えばアモルファス材料)よりなる。材料膜2’は、上述の電極2に対応する材料(例えば遷移金属)よりなる。上述の材料膜3’形成工程から少なくとも材料膜4’の形成工程までは、大気中に暴露することなく連続成膜を行う。
この後、材料膜1’,2’,3’,4’,5’に対してパターニングを施し、図10(d)に示すように、電極1,2、酸素供給層3、酸素受容層4、および酸素拡散防止層5を形成する。例えば以上のようにして、抵抗変化型素子X4を製造することができる。
図11は、抵抗変化型素子X4の動作原理を表す。製造された抵抗変化型素子X4の初期の状態においては、図11(a)に示すように、正電荷欠陥7(正電荷を伴う酸素空孔)の存在に起因する有意な内部電場を内部に生じておらず、従って低抵抗状態にある。そのため、初期状態の抵抗変化型素子X4自体は、低抵抗状態にある。
低抵抗状態にある抵抗変化型素子X4の電極1,2を各々負極および正極として、当該電極1,2間の印加電圧を0Vから次第に増大させて所定電圧以上に至ると、電極1,2間の電界作用により、例えば図11(b)に示すように、酸素供給層3の酸素空乏部3aに酸素イオン6を発生させることができ、続いて、例えば図11(c)に示すように、酸素イオン6を酸素供給層3から酸素拡散防止層5を越えて酸素受容層4へと移動させることができる。このとき、酸素空乏部3aに対して効率よく電圧が印加され、酸素空乏部3aにおいて効率よく酸素イオン6が発生する。酸素供給層3の全体に実効的に印加される電圧のうち、酸素供給層3の厚さ全体にわたる抵抗値において酸素空乏部3aの抵抗値の占める割合に応じた電圧が酸素空乏部3aに印加されるところ、酸素空乏部3aは、酸素供給層3における他の領域よりも高抵抗だからである。
このようにして酸素供給層3から酸素受容層4への酸素イオン6供与を生じさせると、酸素受容層4は、酸化物を形成せずに酸素イオン6を受容する。これとともに、一定量の構成酸素を酸素イオン6として酸素受容層4へと放出する酸素供給層3には正電荷欠陥7(正電荷を伴う酸素空孔)が発生および増大(蓄積)して所定の内部電場が生ずる。正電荷欠陥7が発生および蓄積して内部電場を生ずる酸素供給層3では当該内部電場が本素子におけるキャリア(正孔等)の移動の障害となる。そのため、内部電場の発生により、酸素供給層3の抵抗値は上昇し、酸素供給層3は高抵抗状態に至る。このようにして、酸素供給層3が低抵抗状態から高抵抗状態へと変化することにより、抵抗変化型素子X4は低抵抗状態から高抵抗状態へと切り替わる(高抵抗化)。
抵抗変化型素子X4が高抵抗化された後、印加電圧を減少させても、酸素供給層3は高抵抗状態を維持し、従って、抵抗変化型素子X4も高抵抗状態を維持する。高抵抗状態においては、酸素受容層4内に酸素イオン6が多数存在するところ、酸素拡散防止層5は、当該酸素イオン6が酸素受容層4から酸素供給層3へと熱拡散するのを阻止する。
高抵抗状態にある抵抗変化型素子X4の電極1,2を図11(d)に示すように各々正極および負極として、当該電極1,2間の印加電圧を0Vから次第に増大させて所定電圧以上に至ると、電極1,2間の電界作用により、例えば図11(e)に示すように、酸素イオン6を酸素受容層4から酸素拡散防止層5を越えて酸素供給層3へと移動させることができる。このような酸素供給層3への酸素イオン6供与を生じさせると、酸素供給層3における正電荷欠陥7は酸素イオン6によって電気的に中和され、正電荷欠陥7の存在に起因する内部電場は実質的に消滅する。これにより、酸素供給層3の抵抗値は低下し、当該酸素供給層3は低抵抗状態に至る。このようにして、酸素供給層3が高抵抗状態から低抵抗状態へと変化することにより、本抵抗変化型素子X4は高抵抗状態から低抵抗状態へと切り替わる(低抵抗化)。
この後、印加電圧を減少させても、酸素供給層3は低抵抗状態を維持し、従って、抵抗変化型素子X4も低抵抗状態を維持する。
このように、抵抗変化型素子X4は、抵抗変化型素子X1と同様に、バイポーラ型の動作で抵抗スイッチング可能である。したがって、抵抗変化型素子X4は、抵抗変化型素子X1と同様に、抵抗変化型の不揮発性記憶素子として用いることが可能であり、回路内の所定箇所にて抵抗を選択的に変化させるためのスイッチング素子としても用いることが可能である。そして、抵抗変化型素子X4は、抵抗変化型素子X1に関して上述したのと同様に、大きな抵抗変化率を実現するのに適し、また、高抵抗化の際に酸素供給層3から酸素受容層4へと供与された酸素イオン6が低抵抗化の際に酸素受容層4から酸素供給層3へと戻りやすい。
加えて、抵抗変化型素子X4においては、酸素供給層3と酸素受容層4の間に酸素拡散防止層5が介在するため、素子の高抵抗状態において、酸素受容層4内に多数存在する酸素イオン6が酸素供給層3へと熱拡散してしまうことが防止される。このような構成は、本素子において大きな抵抗変化率を実現するのに資する。
更に加えて、抵抗変化型素子X4においては、高抵抗化の際に、上述のように、酸素空乏部3aに対して効率よく電圧が印加され、酸素空乏部3aにおいて効率よく酸素イオン6が発生する。そのため、抵抗変化型素子X4においては、高抵抗化するのに要する電圧を低減しやすい。
このような抵抗変化型素子X4においては、抵抗変化型素子X1に関して図4を参照して上述したのと同様に、酸素受容層4が充分な導電性を有するならば、電極2を設けなくてもよい。この場合、抵抗変化型素子X4を動作させる際に酸素受容層4を電極としても用いる。
[実施例]
〔サンプル素子の作製〕
図12に示す積層構成を有するサンプル素子を、上述の抵抗変化型素子X4の実施例として作製した。本実施例のサンプル素子は、MgO単結晶基板である基板Sと、Ptよりなる電極1,2と、PrCaMnO3よりなり酸素空乏部3aを含む酸素供給層3と、酸素欠損TiOよりなる酸素拡散防止層5と、アモルファス炭素よりなる酸素受容層4とからなる積層構造を有する。
本実施例のサンプル素子の製造においては、まず、スパッタリング装置を使用して行うスパッタリング法により、MgO単結晶基板の(100)面上にPtを100nmの厚さで成膜した(材料膜1’の形成)。本スパッタリングでは、スパッタガスとしてArガス(0.5Pa)を用い、Ptターゲットを用い、DC放電とし、投入電力を1.0kWとし、温度条件を室温とした。
次に、スパッタリング法により、当該Pt膜上にPrCaMnO3を200nmの厚さで成膜した(材料膜3’の形成)。本スパッタリングでは、スパッタガスとしてArとO2の混合ガス(0.5Pa,酸素濃度15vol%)を用い、PrCaMnO3ターゲットを用い、RF放電とし、投入電力を1.0kWとし、温度条件を400℃とした。
このPrCaMnO3膜を大気中に暴露することなく、続いて、スパッタリング法により、当該PrCaMnO3膜上にTiを5nmの厚さで成膜した(材料膜5’の形成)。本スパッタリングでは、スパッタガスとしてArガス(0.5Pa)を用い、Tiターゲットを用い、DC放電とし、投入電力を1.0kWとし、温度条件を室温とした。このようにしてTiを成膜すると、当該Ti膜は、PrCaMnO3膜(材料膜3’)表面の酸素を取り込んで酸素欠損TiO膜となる。これとともに、酸素を奪われたPrCaMnO3膜表面は、所定の程度に酸素欠損状態となる。このようにして、上述の酸素拡散防止層5に対応する酸素欠損TiO膜(材料膜5’)が材料膜3’上に形成されるとともに、材料膜3’内において酸素空乏部3aに対応する領域(酸素欠損領域3a’)が形成された。
次に、スパッタリング法により、酸素欠損TiO膜上にアモルファス炭素を100nmの厚さで成膜した(材料膜4’の形成)。本スパッタリングでは、スパッタガスとしてArガス(0.5Pa)を用い、Cターゲットを用い、DC放電とし、投入電力を1.0kWとし、温度条件を室温とした。
次に、スパッタリング法により、当該アモルファス炭素膜上にPtを30nmの厚さで成膜した(材料膜2’の形成)。本スパッタリングでは、スパッタガスとしてArガス(0.5Pa)を用い、Ptターゲットを用い、DC放電とし、投入電力を1.0kWとし、温度条件を室温とした。
この後、上記の各材料膜1’,2’,3’,4’,5’に対してパターニングを施し、電極1,2、酸素供給層3、酸素受容層4、および酸素拡散防止層5を形成した。以上のようにして、本実施例のサンプル素子を製造した。
〔抵抗値等の測定〕
本実施例のサンプル素子について、抵抗値の変化を調べた。具体的には、本実施例のサンプル素子に対し、高抵抗化のための電圧印加およびその後の低抵抗化のための電圧印加を複数回繰り返しつつ、適宜、当該サンプル素子における電極1,2間の抵抗値を測定した。高抵抗化の際には、電極1を負極とし且つ電極2を正極として、当該電極対間に、パルス強度5Vでパルス幅100nsecのパルス電圧を印加した。低抵抗化の際には、電極1を正極とし且つ電極2を負極として、当該電極対間に、パルス強度5Vでパルス幅1500nsecのパルス電圧を印加した。抵抗値は、電極1を負極とし且つ電極2を正極として当該電極対間に400mVのDC電圧を印加した際に電極対間を流れる電流を観測し、その観測電流値によって印加電圧値(400mV)を除することによって算出した。そして、サンプル素子が高抵抗状態にあるときの抵抗値(高抵抗値)および低抵抗状態にあるときの抵抗値(低抵抗値)から、抵抗変化率=〔(高抵抗値−低抵抗値)/低抵抗値〕×100の式に基づき、抵抗変化率を算出した。その結果、本実施例のサンプル素子については、高抵抗値は500〜600kΩであり、低抵抗値は80〜100kΩであり、抵抗変化率は400〜650%であった。この結果を図14の表に掲げる。
[比較例]
〔サンプル素子の作製〕
図13に示す積層構成を有するサンプル素子を比較例として作製した。本比較例のサンプル素子は、MgO単結晶基板である基板と、Ptよりなる下部電極および上部電極と、PrCaMnO3よりなり酸素空乏部を含む酸素供給層と、酸素欠損TiOよりなる酸素拡散防止層と、Tiよりなる酸素受容層とからなる積層構造を有する。本比較例のサンプル素子は、アモルファス炭素よりなる酸素受容層4に代えて、Tiよりなる酸素受容層を備える点において、上述の実施例のサンプル素子と実質的に異なる。このようなサンプル素子は、材料膜4’を形成したのに代えて所定のTi膜を形成した以外は実施例のサンプル素子と同様にして形成した。本比較例における当該Ti膜の形成においては、酸素欠損TiO膜上にTiを100nmの厚さで成膜した。本スパッタリングでは、スパッタガスとしてArガス(0.5Pa)を用い、Tiターゲットを用い、DC放電とし、投入電力を1.0kWとし、温度条件を室温とした。
〔抵抗値等の測定〕
本比較例のサンプル素子について、実施例におけるのと同様に、抵抗値の変化を調べた。その結果、本比較例のサンプル素子については、高抵抗値は80〜100kΩであり、低抵抗値は40〜60kΩであり、抵抗変化率は33〜150%であった。この結果を図14の表に掲げる。
[評価]
本発明に係る実施例のサンプル素子は、比較例のサンプル素子よりも相当程度に大きな抵抗変化率を示した。
以上のまとめとして、本発明の構成およびそのバリエーションを以下に付記として列挙する。
(付記1)第1電極と、
第2電極と、
前記第1および第2電極の間に位置する酸素供給層と、
前記酸素供給層および前記第2電極の間に位置する酸素受容層と、を含む積層構造を有し、
前記酸素供給層は、前記酸素受容層に酸素イオンを供与して低抵抗状態から高抵抗状態に変化可能であり、且つ、前記酸素受容層から酸素イオンを受容して高抵抗状態から低抵抗状態に変化可能であり、
前記酸素受容層は、酸化物を形成せずに前記酸素供給層から酸素イオンを受容することが可能であり、且つ、受容した酸素イオンを前記酸素供給層に供与することが可能である、抵抗変化型素子。
(付記2)第1電極と、
第2電極を兼ねる酸素受容層と、
前記第1電極および前記酸素受容層の間に位置する酸素供給層と、を含む積層構造を有し、
前記酸素供給層は、前記酸素受容層に酸素イオンを供与して低抵抗状態から高抵抗状態に変化可能であり、且つ、前記酸素受容層から酸素イオンを受容して高抵抗状態から低抵抗状態に変化可能であり、
前記酸素受容層は、酸化物を形成せずに前記酸素供給層から酸素イオンを受容することが可能であり、且つ、受容した酸素イオンを前記酸素供給層に供与することが可能である、抵抗変化型素子。
(付記3)前記酸素受容層はアモルファス物質よりなる、付記1または2に記載の抵抗変化型素子。
(付記4)前記酸素受容層は炭素またはホウ素よりなる、付記1から3のいずれか一つに記載の抵抗変化型素子。
(付記5)前記酸素供給層は、酸素イオンが移動可能な導電性酸化物である、付記1から4のいずれか一つに記載の抵抗変化型素子。
(付記6)前記導電性酸化物は、蛍石構造型酸化物またはペロブスカイト構造型酸化物である、付記5に記載の抵抗変化型素子。
(付記7)前記酸素供給層および前記酸素受容層の間に酸素拡散防止層が介在する、付記1から6のいずれか一つに記載の抵抗変化型素子。
(付記8)前記酸素拡散防止層は、酸素欠損状態にある金属酸化物よりなる、付記7に記載の抵抗変化型素子。
(付記9)前記金属酸化物は、TiO、TaO、またはAlOである、付記8に記載の抵抗変化型素子。
(付記10)前記酸素拡散防止層の厚さは10nm以下である、付記7から9のいずれか一つに記載の抵抗変化型素子。
(付記11)前記第1電極は非酸化性導電材料よりなる、付記1から10のいずれか一つに記載の抵抗変化型素子。
(付記12)前記非酸化性導電材料は、Pt、Au、SrRuO3、SnO2、またはIn23−SnO2である、付記11に記載の抵抗変化型素子。
(付記13)前記酸素供給層における前記酸素受容層の側の端部には酸素空乏部が存在する、付記1から12のいずれか一つに記載の抵抗変化型素子。
本発明の第1の実施形態に係る抵抗変化型素子の断面図である。 図1に示す抵抗変化型素子の動作原理を表す。 本発明に係る抵抗変化型素子における電流−電圧特性の一例を示すグラフである。 図1に示す抵抗変化型素子の変形例を表す。 本発明の第2の実施形態に係る抵抗変化型素子の断面図である。 図5に示す抵抗変化型素子の動作原理を表す。 本発明の第3の実施形態に係る抵抗変化型素子の断面図である。 図7に示す抵抗変化型素子の動作原理を表す。 本発明の第4の実施形態に係る抵抗変化型素子の断面図である。 図9に示す抵抗変化型素子の製造方法を表す。 図9に示す抵抗変化型素子の動作原理を表す。 実施例のサンプル素子の積層構成を表す。 比較例のサンプル素子の積層構成を表す。 実施例および比較例の各サンプル素子についての抵抗値測定の結果をまとめた表である。 従来の抵抗変化型素子の一例の断面図である。
符号の説明
X1,X2,X3,X4,X5 抵抗変化型素子
S,50 基板
1,2,51,52 電極
3 酸素供給層
3a 酸素空乏部
4 酸素受容層
5 酸素拡散防止層
6 酸素イオン
7 正電荷欠陥
53 酸化物層

Claims (6)

  1. 第1電極と、
    第2電極と、
    前記第1および第2電極の間に位置する酸素供給層と、
    前記酸素供給層および前記第2電極の間に位置する酸素受容層と、を含む積層構造を有し、
    前記酸素供給層は、前記酸素受容層に酸素イオンを供与して低抵抗状態から高抵抗状態に変化可能であり、且つ、前記酸素受容層から酸素イオンを受容して高抵抗状態から低抵抗状態に変化可能であり、
    前記酸素受容層は、酸化物を形成せずに前記酸素供給層から酸素イオンを受容することが可能であり、且つ、受容した酸素イオンを前記酸素供給層に供与することが可能である、抵抗変化型素子。
  2. 第1電極と、
    第2電極を兼ねる酸素受容層と、
    前記第1電極および前記酸素受容層の間に位置する酸素供給層と、を含む積層構造を有し、
    前記酸素供給層は、前記酸素受容層に酸素イオンを供与して低抵抗状態から高抵抗状態に変化可能であり、且つ、前記酸素受容層から酸素イオンを受容して高抵抗状態から低抵抗状態に変化可能であり、
    前記酸素受容層は、酸化物を形成せずに前記酸素供給層から酸素イオンを受容することが可能であり、且つ、受容した酸素イオンを前記酸素供給層に供与することが可能である、抵抗変化型素子。
  3. 前記酸素受容層はアモルファス物質よりなる、請求項1または2に記載の抵抗変化型素子。
  4. 前記酸素受容層は炭素またはホウ素よりなる、請求項1から3のいずれか一つに記載の抵抗変化型素子。
  5. 前記酸素供給層および前記酸素受容層の間に酸素拡散防止層が介在する、請求項1から4のいずれか一つに記載の抵抗変化型素子。
  6. 前記酸素供給層における前記酸素受容層の側の端部には酸素空乏部が存在する、請求項1から5のいずれか一つに記載の抵抗変化型素子。
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