JP2009215173A - 新規脂環式化合物およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 工業的に安価であるジシクロペンタジエン類、およびジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート類を原料とした新規脂環式化合物で、複数の官能基を有した新規なノルボルネン骨格の脂環式化合物、及びその製造方法の提供を目的とする。
【解決手段】 低融点であり、かつ反応性に富む複数の官能基を有する新規脂環式化合物であり、工業的に安価であるジシクロペンタジエン類、およびジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート類を原料として使用して、ディールス・アルダー反応、または酸化反応により当該化合物を得ることを特徴とする製造方法を用いる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、新規脂環式化合物およびその製造法に関する。
近年、電気電子材料、光学材料の分野では、各種性能を向上させるべく、種々の新規材料が検討されている。特に、脂環式化合物については、電気電子材料、光学材料等の分野で優れた特性が期待できるため、開発が行われている。その例として、分子内にノルボルナン構造を持つ脂環式化合物(例えば、特許文献1、2参照)や、シクロペンタジエン構造を持つ脂環式化合物(例えば、特許文献3、4参照)、ジシクロペンタジエン構造を持つ脂環式化合物等(例えば、特許文献5参照)が各種提案されている。
特公昭43−9069号公報 特許第3304638号公報 特開2001−310910号公報 特開2007−191399号公報 特開平9−249613号公報
従来の化合物は、耐熱性と作業性との相反する性質を考慮すると、十分な性能が得られていないのが実情であり、それを解消するため、融点が低く、反応性に富む官能基を有する化合物である、ジシクロペンタジエン類、およびジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート類を原料とした新規脂環式化合物、及びその製造方法の提供を目的とする。
本発明者らは、これらの課題を解決すべく鋭意検討した結果、下記一般式(1)で表される脂環式多官能化合物(以下「脂環式多官能化合物(1)」という)、更にそれを酸化反応させることにより下記一般式(2)で表される脂環式多価エポキシ化合物(以下「脂環式多価エポキシ化合物(2)」という)、および当該化合物の製造方法を見出し、本発明に至った。
Figure 2009215173

Figure 2009215173
本発明は、原料に下記一般式(3)で表されるジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート類(以下「エリスリトール化合物(3)」という)、および下記一般式(4)で表されるジシクロペンタジエン(以下「ジエン化合物(4)」という)を出発原料として反応させることにより得られる。
Figure 2009215173
Figure 2009215173
本発明の化合物の製造方法については、脂環式多官能化合物(1)は、ジエンとジエノフィルをディールス・アルダー反応に準じて製造すること、および、脂環式多官能化合物(1)を、酸化剤による酸化反応によって、脂環式多価エポキシ化合物(2)を製造することに関する。
また脂環式多官能化合物(1)および脂環式多価エポキシ化合物(2)で表される脂環化合物のendo体(A)及びexo体(B)の異性体比率が、それぞれA/Bが2.0以上、好ましくはA/Bが3.0以上である新規な脂環式化合物およびその製造方法に関する。
本発明は、反応に関与する官能基を複数持つ脂環式化合物であり、その化合物を電子電気材料、光学材料分野に利用する際に、作業性が良好であり、かつ硬化後の耐熱性等の諸特性の向上が期待できる新規な化合物として好適に使用できる。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の脂環式多官能化合物(1)は、透明粘ちょう液体であって、原料にエリスリトール化合物(3)、および上記式(4)で表されるジシクロペンタジエン類を使用し、ディールス・アルダー反応をさせることにより得られる。
まず、本発明で用いられる原料の化合物について説明する。
原料のエリスリトール化合物(3)は、上記一般式(3)に示すとおり、ペンタエリスリトール骨格にアクリル酸、または、メタクリル酸が6個エステル結合したものであって、その6個については、すべてがアクリル酸、またはメタクリル酸の同一であっても、異なっていても良い。
また、もう一方の原料であるジエン化合物(4)は、ジシクロペンタジエンの骨格であって、上記一般式(4)に示すとおり、置換基Rは、炭素数1から6の炭化水素基、または水素原子を有する物であり、その置換基はそれぞれ同一でも、異なっても良い。
次に、本発明で用いられる原料のジエン類について説明する。
原料のジエン類には、上記一般式(4)で表されるジシクロペンタジエン類を下記反応式(5)に示すように熱分解して、下記一般式(6)のシクロペンタジエン類(以下「ジエン化合物(6)」という)を得た後に反応させるが、ジエン化合物(6)は非常に不安定な化合物であるため、ジエン化合物(4)を分解反応後すぐに一連の反応に使用することが必須である。
Figure 2009215173
Figure 2009215173
この分解反応において、熱分解温度は130〜200℃の範囲内であり、更には150〜180℃の範囲が好ましい。この範囲より低いと得られたジエン化合物(6)は水分等の不純分を多く含み、この範囲より高い場合得られたジエン化合物(6)中に未分解物であるジエン化合物(4)を含んでしまい、その後のディールス・アルダー反応の反応性を低下させ目的物の収率を低下することがある。
次に、本発明で用いられる製造方法(反応条件)について説明する。
脂環式多官能化合物(1)は、従来公知のジエンとジエノフィルのディールス・アルダー反応の条件に準じて行うことができる。
ディールス・アルダー反応を行う際のエリスリトール化合物(3)とジエン化合物(6)との量的関係はモル比として、通常はエリスリトール化合物(3)/ジエン化合物(6)=1/1〜1/20、好ましくは1/3〜1/12、さらに好ましくは1/6〜1/10である。これは、原料であるジエン化合物(4)に換算すると、エリスリトール化合物(3)/ジエン化合物(4)=1/0.5〜1/10に相当することになる。
ディールス・アルダー反応において、添加するジエン化合物(6)の量がこの範囲よりも少ないとエリスリトール化合物(3)が未反応のまま残存してしまうため好ましくない。また、ジエン化合物(6)の量がこの範囲よりも多いと生成したエリスリトール化合物(3)とジエン化合物(6)との更なる反応やジエン化合物(6)間のディールス・アルダー反応が進行して目的物である脂環式多官能化合物(1)の収率が低下することがあるので好ましくない。
また、ディールス・アルダー反応時の原料の仕込み方法は、エリスリトール化合物(3)とジエン化合物(6)とを前記範囲となる比率で同時に全量仕込んでも良いし、エリスリトール化合物(3)の撹拌下にジエン化合物(6)を逐次添加してディールス・アルダー反応させても良い。
後者の方法でディールス・アルダー反応を実施する場合、ジエン化合物(6)の添加時間は、0.1〜10時間、好ましくは1〜3時間である。添加時間がこれらの範囲よりも長いと生産性が悪く、短いと生成した脂環式多官能化合物(1)と、エリスリトール化合物(3)またはジエン化合物(6)との更なる反応や、ジエン化合物(6)間のディールス・アルダー反応が進行して目的物の脂環式多官能化合物(1)の収率が低下することがあり好ましくない。この添加方法は連続添加であっても良く、添加時間が前記の範囲であれば分割添加であっても良い。
本ディールス・アルダー反応の温度は、0〜100℃の範囲内であり、好ましくは0〜80℃、更に好ましくは0〜50℃である。反応温度がこれらの範囲よりも低いと反応速度が遅く生産性が悪化し、高いと逆反応(副反応)が進行して目的物の脂環式多官能化合物(1)の収率が低下することがあり、好ましくない。
本ディールス・アルダー反応を行う際には、目的物の脂環式多官能化合物(1)の純度向上、精製工程の生産性を向上させる意味で、無溶媒下で実施することが好ましいが、溶剤を使用しても良い。使用できる溶媒としてはジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート類およびシクロペンタジエン類が相溶するものであれば特に限定されないが、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等のアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナン等のシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素;クロロブタン、ブロムヘキサン、塩化メチレン、ジクロロエタン、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン、クロロホルム、テトラクロロエチレン等のハロゲン化アルカン、ハロゲン化アリール等の化合物;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、プロピオン酸メチル等の飽和カルボン酸エステル類;ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル類が挙げられ、これらの中では溶解性の面から芳香族または脂肪族炭化水素が好ましい。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
これらの反応用溶媒の使用量は、「溶媒:全原料」の質量比が、通常、0:1〜10:1であり、好ましくは0:1〜5:1である。溶媒の使用量がこの範囲よりも多いと、反応速度が遅くなるばかりでなく容量が大きくなるため生産性の低下を招くことになり、好ましくない。
ディールス・アルダー反応を行う反応時間は、通常0.5〜50時間、好ましくは1〜10時間、更に好ましくは3〜6時間である。反応時間がこの範囲よりも短いと反応が不十分であるため収率が低下し、長いと生産性が悪くなるため好ましくない。
また、該ディールス・アルダー反応は、無触媒が最も好ましいが、触媒を使用することもできる。このような触媒としては、Lewis酸、パラジウム化合物、チタン(IV)化合物等が挙げられる。例えばThe Diels-Alder Reaction(Francesco Fringuelli,Aldo Taticchi,JOHN WILEY AND SONS,LTD)に記載されている触媒が好ましく使用できる。
さらに、該ディールス・アルダー反応には公知の重合禁止剤または重合抑制剤を使用することもできる。このような重合禁止または抑制剤としては例えば、t−ブチルカテコール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、ヒドロキノン、ベンゾキノン、2,6−ジクロロベンゾキノン、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、ペンタエリスリトール・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドキシフェニル)プロピオネート]、4,4−チオビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、オクタデシル・3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,3,5,5−ヘキサ−t−ブチル−a,a−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール等のフェノール系またはヒドロキノン系化合物、ジフェニルピクリルヒドラジンやジフェニルアミンのようなアミン系化合物、ジチオベンゾイルジスルフィド、p,p−ジトリルトリススルフィド、ジベンジルテトラスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィドのような有機硫黄化合物、ジニトロベンゼンのようなニトロ化合物、2−メチル−2−ニトロソプロパンのようなニトロソ化合物、トリ(ベンゾイルオキシ)鉄、臭化第三鉄、塩化第三鉄、塩化第二銅のような金属塩化合物を挙げることができる。このような添加剤を使用することにより原料オレフィン類の熱重合を禁止または抑制し、目的物の脂環式多官能化合物(1)の収率を向上させることが可能である。
本反応の後、目的物の脂環式多官能化合物(1)以外の成分、未反応のジエン化合物(6)を除去・精製する工程を必須とするが、減圧下で30〜100℃の範囲内で加熱することにより留去することが好ましく、更に生産性を向上させる意味においては、50〜100℃、0.021〜0.008MPaにて減圧留去していくことにより製造するのが特に好ましい。反応温度がこれらの範囲よりも低いと、未反応のジエン化合物(6)除去が不十分であり目的物の脂環式多官能化合物(1)の収率が低下し、また温度が高いと重合反応等が進行して高分子量化を引き起こし、目的物の脂環式多官能化合物(1)の収率が低下することがあり、好ましくない。
次に、脂環式多価エポキシ化合物(2)について説明する。
脂環式多価エポキシ化合物(2)は、上述の反応によって得られた脂環式多官能化合物(1)を原料として酸化反応(エポキシ化反応)によって合成される。
本酸化反応に用いる酸化剤としては過酸化水素を用いるのが好ましい。また、その過酸化水素水溶液の濃度は特に限定されないが、取り扱い上の安全性及び経済性等の観点から、20〜35質量%濃度の過酸化水素水溶液を用いるのが好ましい。
過酸化水素の使用量は、脂環式多官能化合物(1)に含まれるビニル結合1モルに対して、例えば1〜2モル倍が適度であり、より好ましくは1.1〜1.8モル倍の範囲が反応効率上最適である。
本酸化反応は触媒を用いてもよい。触媒としては、過酸化水素を酸化剤(特にエポキシ化剤)として使用する際に通常用いられる触媒を利用できる。例として、(a)タングステン原子を含むヘテロポリ酸又はその塩とオニウム塩系触媒、(b)タングステン化合物とリン酸類とオニウム塩系触媒、(c)メチルトリオキソレニウム(MTO)、(d)チタノシリケートなどが挙げられる。
前記(a)の触媒において、タングステン原子を含むヘテロポリ酸又はその塩としては、12−タングストリン酸(リンタングステン酸)、アルセノタングステン酸、これらのアルカリ金属塩或いはアンモニウム塩などの塩が挙げられる。タングステン原子を含むヘテロポリ酸又はその塩の使用量は、脂環式多官能化合物(1)に含まれるビニル結合1モルに対して、0.0001〜0.1モル、好ましくは0.001〜0.05モル程度である。
更に(a)の触媒において、オニウム塩としては、第四級アンモニウム塩、オキソニウム塩などが挙げられる。なかでも、塩化セチルピリジニウム、塩化トリオクチルメチルアンモニウムが特に好ましい。これらは単独又は2以上を組み合わせて使用できる。これらの使用量は、タングステン原子1モルに対して、例えば0.01〜10モル、好ましくは0.1〜5モル程度である。
前記(b)の触媒において、タングステン化合物としては、例えばタングステン酸塩、12−タングストリン酸、12−タングストリン酸ナトリウム、12−タングストリン酸カリウム、12−タングストリン酸アンモニウムなどの12−タングストリン酸塩などが挙げられる。中でも、12−タングストリン酸が好ましい。タングステン化合物の使用量は、脂環式多官能化合物(1)に含まれるビニル結合1モルに対して、例えば0.0001〜0.1モル、好ましくは0.001〜0.05モル程度である。
前記リン酸類としては、例えば、リン酸、ポリリン酸、ピロリン酸;リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸アンモニウム、リン酸水素カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素アンモニウム等のリン酸塩などが挙げられる。中でもリン酸およびポリリン酸が好ましい。リン酸類の使用量は、タングステン原子1モルに対して、例えば0.1〜100モル、好ましくは0.1〜10モル程度である。
前記(b)の触媒におけるオニウム塩は(a)におけるオニウム塩と同様である。オニウム塩の使用量は、タングステン原子1モルに対して、例えば0.01〜10モル、好ましくは0.1〜5モル程度である。
前記(c)又は(d)の触媒において、その使用量は、脂環式多官能化合物(1)に含まれるビニル結合1モルに対して、例えば0.0001〜0.1モル、好ましくは0.001〜0.05モル程度である。
本酸化反応は、溶媒として水と有機溶媒とを併用してもよい。有機溶媒としては、水と分層する溶媒が好ましく、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステルなどが挙げられる。これらのなかでも、クロロホルム、塩化メチレン、トルエンが特に好ましい。
また、用いる有機溶媒の量は、反応性及び操作性の観点から、脂環式多官能化合物(1)の重量に対して、1〜200倍量、好ましくは1〜20倍量が好ましい。
本酸化反応の温度は、特に制限されないが、例えば0〜120℃、特に10〜60℃の範囲が好ましい。
本酸化反応はバッチ式、セミバッチ式、連続式等の何れの方式で行ってもよい。例えば、脂環式多官能化合物(1)と触媒と有機溶媒とを含む混合液中に、反応速度と反応熱の除去速度を考慮しつつ過酸化水素水溶液を滴下する方法が挙げられる。また、脂環式多官能化合物(1)と有機溶媒とを含む混合液中に、触媒と過酸化水素水溶液とを各々滴下する方法、または、その混合液を滴下する方法を採用することもできる。このように、脂環式多官能化合物(1)を過酸化水素を用いてエポキシ化することにより、脂環式多価エポキシ化合物(2)が得られる。
反応生成物である脂環式多価エポキシ化合物(2)は、一般的な方法である蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの組み合わせにより分離精製できる。例えば、反応混合物を分液操作に付した後、有機層を水洗して過剰の過酸化水素や触媒を除去し、蒸留又はカラムクロマトグラフィーに付すことにより目的化合物の脂環式多価エポキシ化合物(2)を分離、精製することができる。なお、精製を行う前に、反応混合物を還元剤、及び塩基で処理しておくのが好ましい。
以下、実施例により、さらに具体的に本発明を説明するが、これらによって本発明は何ら制限されるものではない。
[合成実施例1] 脂環式多官能化合物(1)の合成法
ディ−ンスターク分水器、ジムロート冷却管、温度計、窒素ガス導入口、撹拌機を備えた反応容器にジシクロペンタジエン400g(丸善石油社製 純度98%)を仕込み、系内を窒素置換した。次いで、系内を窒素雰囲気下にしながら還流温度(150〜170℃)まで加熱昇温し、ディ−ンスターク分水器で発生するシクロペンタジエンを留去しながら反応を6時間行った。留去して得られた無色透明な粘ちょう液のシクロペンタジエンは300g(収率75%)であり、直ちに冷却し、0℃で保管した。
ジムロート冷却管、温度計、窒素ガス導入口、撹拌機を備えた反応容器にジペンタエリスリトールヘキサアクリレート173.6g(新中村化学社製 純度98%)を仕込み、系内を窒素置換した。次いで、系内を窒素雰囲気下にしながら、反応容器を水浴で冷却し、内温10℃以下で撹拌しつつ、上記で合成したシクロペンタジエン178.5gを2時間かけて滴下した。滴下終了後、30℃に加熱して4時間反応を行った。その後、0.008MPaにて70℃まで加熱して、過剰なシクロペンタジエン及び水分を減圧留去した。得られた物質は、透明粘ちょう液体であり、307.7g(収率87%)が得られた。本化合物は純度95%であった。(GPC法による)
また13C−NMR分析により本化合物の立体異性体比はendo体:exo体=81:19で、A/B=4.3であった。
上記で得られた化合物の分析結果は、以下の通りであった。
13C−NMR(CDCl3 ,TMS,δppm):endo体:28.79,42.11,42.88,45.40,49.29,61.77,69.73,131.86, 137.56, 173.58
exo体:30.00,41.24,42.70,46.00,46.19,61.77,69.73,135.24, 137.71, 175.12
IR(液膜法,cm−1):3058.9、2972.1,1750.1、1465.8、1386.7、1334.7、1271.0、1170.7、1153.4、 1108.9、1064.6、1031.9、906.5、711.7
以上から本化合物は、脂環式多官能化合物(1)であることを確認した。
[合成実施例2] 脂環式多価エポキシ化合物(2)の合成法
ジムロート冷却管、温度計、窒素ガス導入口、撹拌機を備えた反応容器に合成実施例1で製造した脂環式多官能化合物(1)48.8g(50mmol)、HWO0.50g(2mmol)、85%リン酸0.058g(0.1mmol)、90%トリオクチルメチルアンモニウムクロライド0.674g(1.5mmol)及びシクロヘキサン152.8gを仕込み、50℃攪拌下に30%過酸化水素25.8g(300mmol)を30分かけて滴下した。更に50℃で3時間攪拌した。反応終了後クロロホルムとイオン交換水を加えて抽出した。水層をクロロホルムで再度抽出した後、クロロホルムを留去、濃縮すると白色結晶45.0g(収率84.0%)が得られた。本結晶の融点は63℃、純度91%であった。(GPC法による)
また13C−NMR分析により本化合物の立体異性体比はendo体:exo体=80:20で、A/B=4.0であった。
上記で得られた白色結晶の化合物の分析結果は、以下の通りであった。
13C−NMR(CDCl3 ,TMS,δppm ):endo体26.65,27.54, 36.34, 39.56, 44.06, 48.17, 50.10, 61.74, 69.50, 172.50
exo体
23.62,29.45, 36.10, 40.98, 41.93, 50.10, 50.78, 61.74, 69.42, 173.44
IR(KBr法,cm−1): 2972.1、 1750.1、 1465.8、 1336.6、1271.0、1178.4、1153.4、1114.8、1031.9、848.6、
以上から本化合物は、脂環式多価エポキシ化合物(2)であることを確認した。
上記の分析は、GPCは、東ソー社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィーHLC8220を使用し、13C−NMRは、日本電子社製核磁気共鳴装置JNM−LA400を使用し、IRは、島津製作所社製フーリエ変換赤外分光光度計FTIR−8400Sを使用して測定を行った。
本発明により、ジシクロペンタジエン類、およびジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート類を原料とした新規脂環式化合物であり、融点が低く、反応性に富む官能基を有する化合物を得ること、およびその製造方法を見出すことができた。

Claims (6)

  1. 一般式(1)で表される脂環式多官能化合物
    Figure 2009215173
  2. 請求項1記載の一般式(1)で表される脂環式多官能化合物であって、endo体(A)およびexo体(B)で表される立体異性体の比率A/Bが2.0以上である脂環式化合物。
  3. 請求項1で表される脂環式多官能化合物を、酸化エポキシ化した一般式(2)で表される脂環式多価エポキシ化合物。
    Figure 2009215173
  4. 請求項3記載の一般式(2)で表される脂環式多価エポキシ化合物であって、endo体(A)およびexo体(B)で表される立体異性体の比率A/Bが2.0以上である脂環式化合物。
  5. ジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート類とジシクロペンタジエン類を使用することを特徴とする、請求項1または2記載の脂環式多官能化合物の製造方法。
  6. 請求項1または2記載の脂環式化合物を酸化剤で酸化反応させることを特徴とする、請求項3または4記載の脂環式多価エポキシ化合物の製造方法。
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