JP2009207260A - モータ制御装置 - Google Patents

Abstract

【課題】モータに電流を流すことなく、Ｈブリッジ回路および電流検出回路を診断するモータ制御装置を提供する。
【解決手段】スイッチング素子２０、２２、３０、３２は、モータ２の回転方向を制御するＨブリッジ回路を構成している。診断制御時においてＥＣＵ６０は、スイッチング素子２０、２４、４０をオンにし、その他のスイッチング素子２２、３０、３２、３４をオフにする。これにより、定電流回路４２で制御された一定値の電流が、スイッチング素子２０、４０を通りモータ２をバイパスして流れる。ＥＣＵ６０は、スイッチング素子２４に流れる電流値を検出し、この検出電流値と、スイッチング素子２０に対して設定されたミラー比に応じてスイッチング素子２４に流れると推定される推定電流値との差に基づき、スイッチング素子２０、２４、４０、抵抗２６および定電流回路４２が正常であるかを診断する。
【選択図】図１

Description

本発明は、モータの回転方向をＨブリッジ回路で制御するモータ制御装置に関する。

従来、Ｈブリッジ回路によりモータに流れる電流の方向を切り替え、モータの回転方向を正転方向および逆転方向に制御するモータ制御装置において、モータに流れる電流を検出するモータ電流検出回路を設置することが知られている（例えば、特許文献１参照。）。

特許文献１では、診断制御時において、モータ電流検出回路が正常に作動するかを判定するために、Ｈブリッジ回路のスイッチング素子を制御して実際にモータに電流を流し、モータに対する電流指令値と、モータ電流検出回路が検出する電流検出値とを比較している。
特許第３７７７７９２号公報

しかしながら、モータ電流検出回路を診断するためにモータに電流を流すと、通常制御以外のタイミングでモータが作動するという問題がある。
そこで、モータに電流を流さずにモータ電流検出回路を診断するために、Ｈブリッジ回路のスイッチング素子をオフにした状態でモータ電流検出回路に診断用の電圧を印加し、そのときの電流検出値を判定することが考えられる。

しかしながら、この方式では、モータ電流検出回路の診断はできるものの、Ｈブリッジ回路に電流を流さないので、Ｈブリッジ回路を診断することができないという問題がある。

本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、モータに電流を流すことなく、Ｈブリッジ回路および電流検出回路を診断するモータ制御装置を提供することを目的とする。

請求項１から７に記載の発明によると、Ｈブリッジ回路の上側スイッチング素子を流れる電流を電流検出回路で検出し、電流検出回路が設置された上側スイッチング素子のオン時においてバイパス回路が通電オン状態に設定されると、電流検出回路が接続された上側スイッチング素子を流れる電流がモータをバイパスしてバイパス回路に流れる。

診断制御時にモータをバイパスして上側スイッチング素子からバイパス回路に電流が流れることにより、電流検出回路と、電流検出回路が設置されたＨブリッジ回路の上側スイッチング素子とが正常に作動するかを、モータを作動させることなく電流検出回路の検出結果に基づいて診断できる。

請求項２に記載の発明によると、電流検出回路は電源に対して上側スイッチング素子と並列に接続する検出スイッチング素子を有し、検出スイッチング素子がオンに設定されることにより電流検出回路は上側スイッチング素子を流れる電流を検出する。

電源に対して上側スイッチング素子と電流検出回路の検出スイッチング素子とが並列に接続しているので、上側スイッチング素子を流れる電流値に対して検出スイッチング素子を流れる電流値を回路構成により小さくすることができる。これにより、安価な電気部品を使用して電流検出回路を構成できる。

請求項３に記載の発明によると、バイパス回路は、通電オン状態に設定されたときに電流検出回路が設置された上側スイッチング素子に一定電流値の電流を流す定電流回路を有する。

これにより、診断制御時において、定電流回路により電流検出回路に流れると推定される推定電流値は一定値である。その結果、電流検出回路と、電流検出回路が設置された上側スイッチング素子と、バイパス回路とが正常であるか、あるいは製造ばらつき、または劣化等が生じていても許容範囲内であれば、電流検出回路が診断制御時に検出する検出電流値は、推定電流値に対して所定範囲内になる。

一方、診断制御時に電流検出回路が検出する検出電流値が推定電流値に対して所定範囲からずれる場合には、電流検出回路、または電流検出回路が設置された上側スイッチング素子、またはバイパス回路に許容できない異常が発生していると判断できる。

このように、請求項３に記載の発明によると、一定値の推定電流値に対して電流検出回路が検出する検出電流値のずれを判定することにより、電流検出回路と、電流検出回路が設置された上側スイッチング素子と、バイパス回路とが正常であるか、あるいは少なくともいずれかが異常であるかを高精度に診断できる。

また、請求項３に記載の発明を請求項２に記載の発明に適用すると、電流検出回路が設置された上側スイッチング素子と電流検出回路の検出スイッチング素子とを流れる電流比が予め設定された値からずれているか否かを、診断制御時に電流検出回路が検出する検出電流値に基づいて、高精度に診断できる。

ところで、正転方向または逆転方向の一方向にモータを回転駆動するときにだけモータに流れる電流値を検出し、モータが発生するトルクを高精度に制御したい場合がある。
そこで、請求項４に記載の発明によると、電流検出回路およびバイパス回路は、正転用または逆転用の上側スイッチング素子の一方の上側スイッチング素子に設置される。

これにより、正転用または逆転用のうち一方用の上側スイッチング素子と、この上側スイッチング素子に設置されている電流検出回路と、バイパス回路とが正常に作動しているかを、電流検出回路の検出電流値に基づいて診断できる。

そして、通常制御時において、正転方向または逆転方向のうち一方向にモータを回転駆動するときにモータに流れる電流値を検出し、モータが発生するトルクを高精度に制御できる。

請求項５に記載の発明によると、バイパス回路は、診断スイッチング素子により通電状態を切り替える。これにより、簡単な構成でバイパス回路の通電状態を切り替えることができる。

請求項７に記載の発明によると、モータ制御装置は、シートベルトの引き込み、および引き込み解除用のモータに流れる電流を制御する。
これにより、モータに対する通常制御時においては、車両等の搭乗者が体に掛けるシートベルトの引き込み、および引き込み解除を行うモータに流れる電流を検出し、検出結果に基づいてモータが発生するトルクを制御できる。

また、診断制御時においては、電流検出回路と、電流検出回路が設置されたＨブリッジ回路の上側スイッチング素子と、バイパス回路とが正常に作動するかを、モータを作動させず、つまりシートベルトを動かすことなく電流検出回路の検出結果に基づいて診断できる。

尚、本発明に備わる手段の機能は、構成自体で機能が特定されるハードウェア資源、プログラムにより機能が特定されるハードウェア資源、またはそれらの組み合わせにより実現される。

以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
［第１実施形態］
本発明の第１実施形態によるモータ制御装置を図１に示す。

（モータ制御装置１０）
モータ制御装置１０は、シートベルトの引き込み、および引き込み解除用のモータ２に流れる電流を制御する。モータ２は直流電動機である。

スイッチング素子２０、２２、２４、３０、３２、３４、４０は、例えばＭＯＳＦＥＴ(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)により形成されている。これらスイッチング素子のうち、スイッチング素子２０、２２、３０、３２はＨブリッジ回路を構成している。電源とモータ２との間に設置されるスイッチング素子２０、３０を上側スイッチング素子、モータ２と接地側との間に設置されるスイッチング素子２２、３２を下側スイッチング素子ともいう。

Ｈブリッジ回路のスイッチング素子２０、２２、３０、３２のオン、オフが電子制御装置（Electronic Control Unit;ＥＣＵ）６０により制御されることにより、モータ２に流れる電流の向きが切り替わり、モータ２は正転方向または逆転方向に回転する。スイッチング素子２０およびスイッチング素子２４のゲートライン、ならびにスイッチング素子３０およびスイッチング素子３４のゲートラインはそれぞれ共通であるから、スイッチング素子２０およびスイッチング素子２４のオン、オフ状態、ならびにスイッチング素子３０およびスイッチング素子３４のオン、オフ状態はそれぞれ同一である。

スイッチング素子２０、２２がオンになり、スイッチング素子３０、３２がオフになると、モータ２は正転方向に回転する（図２参照）。モータ２が正転方向に回転すると、シートベルトは引き込まれる。

一方、スイッチング素子２０、２２がオフになり、スイッチング素子３０、３２がオンになると、モータ２は正転方向に対し逆転方向に回転する（図２参照）。モータ２が逆転方向に回転すると、シートベルトの引き込みは解除される。

スイッチング素子２０およびスイッチング素子２４、ならびにスイッチング素子３０およびスイッチング素子３４は、それぞれ１個の同じ半導体チップで形成されており、それぞれ電源に対して並列に接続される。

そして、スイッチング素子２０およびスイッチング素子２４、ならびにスイッチング素子３０およびスイッチング素子３４は、ＥＣＵ６０からのスイッチング信号により、同じタイミングでオン、オフを切り替えられる。スイッチング素子２０とスイッチング素子２４、ならびにスイッチング素子３０とスイッチング素子３４とは、それぞれオン状態になったときに、例えば４０００〜５０００対１の所定の比率（ミラー比）で電流が流れるように形成されている。尚、第１実施形態では、スイッチング素子３４は使用されていない。

スイッチング素子２４および抵抗２６は電流検出回路を構成している。スイッチング素子２４は、正転用のスイッチング素子２０に流れる電流を検出するために設置された検出スイッチング素子である。抵抗２６は、スイッチング素子２４を流れる電流を電圧に変換しＥＣＵ６０が検出できるように設置されている。抵抗２６で変換された電圧は、実際にはアンプ等で増幅されてＥＣＵ６０に入力される。

前述したように、スイッチング素子２０とスイッチング素子２４とは、オン状態になったときに４０００〜５０００対１の所定の比率（ミラー比）で電流が流れるように形成されているので、抵抗２６を流れる電流値は非常に小さい。したがって、抵抗２６として安価な部品を使用できる。

第１実施形態においては、正転用のスイッチング素子２０だけに電流検出回路を設置し、逆転用のスイッチング素子３０に電流検出回路を設置していない。これは、正転用のスイッチング素子２０に流れる電流値を検出し、検出した電流値に基づいてモータ２に流れる電流値を制御することにより、モータ２が正転方向に回転しシートベルトが引き込まれるときに、過度の力が搭乗者に加わることを防止するためである。

一方、逆転用のスイッチング素子３０は、シートベルトの引き込みを解除し搭乗者に加わる力を弱める方向にモータ２に電流を流すので、検出した電流値に基づいてモータ２に流れる電流値を制御することは不要であると考えられるからである。

スイッチング素子４０および定電流回路４２はバイパス回路を構成している。スイッチング素子４０は、正転用のＨブリッジ回路および電流検出回路の診断用に設置された診断スイッチング素子である。診断制御時には、スイッチング素子２０、２４、４０がオン、その他のスイッチング素子２２、３０、３２、３４がオフに設定される。

スイッチング素子２０がオンであってもスイッチング素子２２がオフであるからモータ２に電流は流れず、モータ２をバイパスしてスイッチング素子２０およびスイッチング素子４０に電流が流れる。このとき、スイッチング素子２４には、スイッチング素子２０に対して設定されたミラー比の電流が流れる。

定電流回路４２は、スイッチング素子２０、４０がオンされたときに、モータ２をバイパスして一定値の電流をスイッチング素子２０に流す。
抵抗５０、５２は、それぞれスイッチング素子２０、２２に並列に接続しており、診断制御時に、スイッチング素子２２、またはスイッチング素子２０、２２のオン、オフが正常に切り替わるかを診断するために設置されている。抵抗５０、５２の抵抗値は、モータ２に電流を流す通常制御時に抵抗５０、５２に電流が殆ど流れない値に設定されている。

ＥＣＵ６０は、ＣＰＵ、ＲＯＭ、ＲＡＭ、フラッシュメモリ等から構成されたマイクロコンピュータである。ＥＣＵ６０は、ＲＯＭまたはフラッシュメモリに記憶された制御プログラムにより、スイッチング素子２０、２２、２４、３０、３２、３４、４０のオン、オフを切り替える切替制御手段として機能する。

（通常制御）
ＥＣＵ６０は、モータ電流の通常制御時において、車両の走行状態または車両周囲の走行環境に基づいて、図２に示すようにＨブリッジ回路を構成するスイッチング素子２０、２２、３０、３２のオン、オフを切り替えることにより、モータ２を正転または逆転させてシートベルトの引き込み、または引き込み解除を制御する。シートベルトの引き込み、または引き込み解除を制御する場合、ＥＣＵ６０は、車両の走行状態または車両周囲の走行環境に基づいて、モータ２に流す電流値を調整してもよい。

また、ＥＣＵ６０は、スイッチング素子２０、２２をオンにしてモータ２を正転させてシートベルトを引き込むとき、電流検出回路を構成するスイッチング素子２４に流れる電流を検出し、検出した電流値とミラー比とに基づいてスイッチング素子２０からモータ２に流れるモータ電流を検出する。

そして、ＥＣＵ６０は、検出したモータ電流検出値と、モータ２に流す電流値を指令するモータ電流指令値との差が所定範囲内であれば、モータ電流検出値とモータ電流指令値との差に基づいてモータ電流指令値をフィードバック制御する。このとき、Ｈブリッジ回路および電流検出回路が正常であり、スイッチング素子２０に対して設定されたミラー比の電流がスイッチング素子２４に流れるのであれば、ＥＣＵ６０は、モータ電流検出値とモータ電流指令値との差に基づいてモータ電流指令値を高精度にフィードバック制御できる。

これに対し、検出したモータ電流値とモータ電流指令値との差が所定範囲を超えると、ＥＣＵ６０は、Ｈブリッジ回路に異常が発生していると判断し、モータ２に対する電流制御を停止するとともに、警告灯または警告音により異常を報知する。

このように、ＥＣＵ６０は、モータ２に流す電流値を制御する電流制御手段としても機能する。
（診断制御）
通常制御時において、電流検出回路で検出したモータ電流検出値に基づいてモータ電流指令値をフィードバック制御するためには、電流検出回路およびＨブリッジ回路が正常に作動している必要がある。

そこで、ＥＣＵ６０は、例えばエンジン始動時、あるいは所定の走行距離毎においてシートベルトの引き込み、および引き込み解除制御が不要なときに、電流検出回路およびＨブリッジ回路が正常に作動しているかを診断する。

正転用の診断制御時においてＥＣＵ６０は、図２に示すようにスイッチング素子２０、２４、４０をオンにし、その他のスイッチング素子２２、３０、３２、３４をオフにする。これにより、定電流回路４２で制御された一定値の電流が、スイッチング素子２０、４０を通りモータ２をバイパスして流れる。スイッチング素子４０および定電流回路４２を有するバイパス回路の通電状態を診断スイッチング素子としてのスイッチング素子４０が切り替えるので、簡単な構成でバイパス回路の通電状態を切り替えることができる。

ＥＣＵ６０は、スイッチング素子２４に流れる電流値を検出し、この検出電流値と、スイッチング素子２０に対して設定されたミラー比に応じてスイッチング素子２４に流れると推定される推定電流値との差が所定範囲内であれば、スイッチング素子２０、２４、４０、抵抗２６および定電流回路４２が正常であると判断する。

一方、ＥＣＵ６０は、スイッチング素子２４に流れる電流値を検出し、この検出電流値と、スイッチング素子２４に流れると推定される推定電流値との差が所定範囲からずれていると、スイッチング素子２０、２４、４０、抵抗２６および定電流回路４２の少なくともいずれかが異常であると判断する。

スイッチング素子２０が異常の場合、ＥＣＵ６０は、モータ電流を正常に制御できない。したがって、ＥＣＵ６０は、診断制御時において異常を検出すると、スイッチング素子２０の異常の可能性があるので、モータ電流の制御を停止するとともに、警告灯または警告音により異常を報知する。

尚、モータ２をバイパスして電流を流す正転用の診断制御を実施する前に、ＥＣＵ６０は、スイッチング素子２０以外のスイッチング素子をオフにした状態でスイッチング素子２０のオン、オフを切り替えることにより、スイッチング素子２０のスイッチング作動を診断してもよい。ＥＣＵ６０は、スイッチング素子２０のオン、オフを切り替えたときに、例えば抵抗５２のモータ側の電圧を検出することにより、スイッチング素子２０のオン、オフが正常に切り替わっているかを判定できる。

スイッチング素子２０のスイッチング作動が異常であれば、ＥＣＵ６０は、モータ２をバイパスして電流を流す正転用の診断制御を実施せず、モータ電流の制御を停止するとともに、警告灯または警告音により異常を報知する。

スイッチング素子２０のスイッチング作動が正常であれば、ＥＣＵ６０は、モータ２をバイパスして電流を流す正転用の診断制御を実施する。
また、ＥＣＵ６０は、正転用の診断制御時においてスイッチング素子２２以外のスイッチング素子をオフにした状態でスイッチング素子２２のオン、オフを切り替えることにより、スイッチング素子２０と対になってモータ２に電流を流すスイッチング素子２２のスイッチング作動を診断する。ＥＣＵ６０は、スイッチング素子２２のオン、オフを切り替えたときに抵抗５２のモータ側の電圧を検出することにより、スイッチング素子２２のオン、オフが正常に切り替わっているかを判定する。

スイッチング素子２２のスイッチング作動が異常であれば、ＥＣＵ６０は、モータ電流の制御を停止するとともに、警告灯または警告音により異常を報知する。
［第２実施形態］
本発明の第２実施形態によるモータ制御装置を図３に示す。図３では、下側のスイッチング素子２２、３２のスイッチング作動を診断するためにスイッチング素子２０、２２、３０、３２にそれぞれ並列に接続している抵抗（図１の抵抗５０、５２に相当する。）の図示を省略している。尚、第１実施形態と実質的に同一構成部分には同一符号を付す。

図３に示すモータ制御装置７０では、抵抗３６、スイッチング素子８０および定電流回路８２が、図１に示すモータ制御装置１０に追加されている。この構成により、第２実施形態では、モータ２の正転および逆転の両方向において、通常制御時のフィードバック制御とＨブリッジ回路および電流検出回路の異常検出、ならびに診断制御時におけるＨブリッジ回路および電流検出回路の診断を実施する。

スイッチング素子３４および抵抗３６は電流検出回路を構成している。スイッチング素子３４は、逆転用のスイッチング素子３０に流れる電流を検出する検出スイッチング素子である。

スイッチング素子８０および定電流回路８２はバイパス回路を構成している。スイッチング素子８０は、逆転用のＨブリッジ回路および電流検出回路の診断用に設置された診断スイッチング素子である。

切替制御手段としてのＥＣＵ９０は、第１実施形態のＥＣＵ６０において、逆転用の通常制御および診断制御を実施する制御プログラムが追加されたものである。
（通常制御）
通常制御である正転制御および逆転制御の両方において、ＥＣＵ９０は、検出したモータ電流検出値と、モータ２に流す電流値を指令するモータ電流指令値との差が所定範囲内であれば、モータ電流検出値とモータ電流指令値との差に基づいてモータ電流指令値をフィードバック制御する。このとき、Ｈブリッジ回路および電流検出回路が正常であり、スイッチング素子２０、３０に対して設定されたミラー比の電流がスイッチング素子２４、３４にそれぞれ流れるのであれば、ＥＣＵ９０は、モータ電流検出値とモータ電流指令値との差に基づいてモータ電流指令値を高精度にフィードバック制御できる。

これに対し、検出したモータ電流値とモータ電流指令値との差が所定範囲を超えると、ＥＣＵ９０は、Ｈブリッジ回路の異常であると判断し、モータ２に対する電流制御を停止するとともに、警告灯または警告音により異常を報知する。

（診断制御）
診断制御時において、ＥＣＵ９０は、正転用のＨブリッジ回路のスイッチング素子２０、２２と、その電流検出回路であるスイッチング素子２４および抵抗２６の診断に加え、逆転用のＨブリッジ回路のスイッチング素子３０、３２と、その電流検出回路であるスイッチング素子３４および抵抗３６を診断する。正転用の診断制御は、第１実施形態と実質的に同一であるから説明を省略する。

逆転用の回路の診断制御時において、ＥＣＵ９０は、図４に示すようにスイッチング素子３０、３４、８０をオンにし、その他のスイッチング素子２０、２２、２４、３２、４０をオフにする。これにより、定電流回路８２で制御された一定値の電流が、スイッチング素子３０、８０を通りモータ２をバイパスして流れる。

そして、ＥＣＵ９０は、スイッチング素子３４に流れる電流値を検出し、この検出電流値と、スイッチング素子３４に流れると推定される推定電流値との差が所定範囲からずれていると、スイッチング素子３０、３４、８０、抵抗３６および定電流回路８２の少なくともいずれかが異常であると判断する。スイッチング素子３０が異常の場合、ＥＣＵ９０は、逆転時にモータ電流を正常に制御できない。

したがって、ＥＣＵ９０は、逆転用の診断制御時において異常を検出すると、スイッチング素子３０が異常の可能性があるので、モータ電流の制御を停止するとともに、警告灯または警告音により異常を報知する。

尚、モータ２をバイパスして電流を流す逆転用の診断制御を実施する前に、ＥＣＵ９０は、スイッチング素子３０以外のスイッチング素子をオフにした状態でスイッチング素子３０のオン、オフを切り替えることにより、スイッチング素子３０のスイッチング作動を診断してもよい。ＥＣＵ９０は、スイッチング素子３０のオン、オフを切り替えたときに、スイッチング素子３０およびスイッチング素子３２にそれぞれ並列に接続された抵抗の、例えばスイッチング素子３２に並列に接続している抵抗のモータ２側の電圧を検出することにより、スイッチング素子３０のオン、オフが正常に切り替わっているかを判定できる。

スイッチング素子３０のスイッチング作動が異常であれば、ＥＣＵ９０は、モータ２をバイパスして電流を流す逆転用の診断制御を実施せず、モータ電流の制御を停止するとともに、警告灯または警告音により異常を報知する。

スイッチング素子３０のスイッチング作動が正常であれば、ＥＣＵ９０は、モータ２をバイパスして電流を流す逆転用の診断制御を実施する。
また、ＥＣＵ９０は、逆転用の診断制御時においてスイッチング素子３２以外のスイッチング素子をオフにした状態でスイッチング素子３２のオン、オフを切り替えることにより、スイッチング素子３０と対になってモータ２に電流を流すスイッチング素子３２のスイッチング作動を診断する。ＥＣＵ９０は、スイッチング素子３２のオン、オフを切り替えたときに、スイッチング素子３２に並列に接続している前述した抵抗のモータ２側の電圧を検出することにより、スイッチング素子３２のオン、オフが正常に切り替わっているかを判定する。

スイッチング素子３２のスイッチング作動が異常であれば、ＥＣＵ９０は、モータ電流の制御を停止するとともに、警告灯または警告音により異常を報知する。
以上説明した上記複数の実施形態によると、モータ２に電流を流さずにＨブリッジ回路および電流検出回路を診断できる。これにより、シートベルトを動かさず、搭乗者に感知されることなく診断を実施できる。

［他の実施形態］
上記実施形態では、シートベルトの引き込み、および引き込み解除用に使用されるモータ２の制御装置について説明した。これに以外にも、Ｈブリッジ回路を使用してモータを正転方向および逆転方向に制御するモータ制御装置であれば、どのような用途に使用されるものであっても、本発明を適用することにより、モータを回転させることなく、Ｈブリッジ回路および電流検出回路を診断できる。

また、第２実施形態では、抵抗２６、スイッチング素子４０および定電流回路４２を正転診断用に設置し、抵抗３６、スイッチング素子８０および定電流回路８２を逆転診断用に設置した。これに対し、抵抗、スイッチング素子および定電流回路を一組だけ設置し、切り替えスイッチにより正転診断用と逆転診断用とに切り替えてもよい。

また、本発明では、モータの逆転制御用のＨブリッジ回路および電流検出回路だけを診断してもよい。
このように、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。

第１実施形態によるモータ制御装置を示す回路構成図。 第１実施形態によるスイッチング素子のオン、オフ状態を示す説明図。 第２実施形態によるモータ制御装置を示す回路構成図。 第２実施形態によるスイッチング素子のオン、オフ状態を示す説明図。

符号の説明

２：モータ、１０、７０：モータ制御装置、２０、２２、３０、３２：スイッチング素子（Ｈブリッジ回路）、２４、３４：スイッチング素子（電流検出回路）、２６、３６：抵抗（電流検出回路）、４０、８０：スイッチング素子（バイパス回路）、４２、８２：定電流回路（バイパス回路）、６０、９０：ＥＣＵ（切替制御手段）

Claims (7)

1. モータに流れる電流を制御するモータ制御装置において、
   オン、オフの切り替えにより前記モータの回転方向を正転方向および逆転方向に制御するスイッチング素子を有するＨブリッジ回路と、
   前記スイッチング素子のうち電源と前記モータとの間に設置される上側スイッチング素子に設置され、前記上側スイッチング素子を流れる電流を検出する電流検出回路と、
   通電状態のオン、オフを切り替え可能に構成され、前記電流検出回路が設置された前記上側スイッチング素子のオン時において通電オン状態に設定されると、前記電流検出回路が設置された前記上側スイッチング素子を流れる電流を前記モータをバイパスして流すバイパス回路と、
   を備えることを特徴とするモータ制御装置。
2. 前記電流検出回路は前記電源に対して前記上側スイッチング素子と並列に接続する検出スイッチング素子を有し、前記検出スイッチング素子がオンに設定されることにより前記電流検出回路は前記上側スイッチング素子を流れる電流を検出することを特徴とする請求項１に記載のモータ制御装置。
3. 前記バイパス回路は、通電オン状態に設定されると、前記電流検出回路が設置された前記上側スイッチング素子に定電流を流す定電流回路を有することを特徴とする請求項１または２に記載のモータ制御装置。
4. 前記電流検出回路および前記バイパス回路は、正転用または逆転用の前記上側スイッチング素子の一方に設置されることを特徴とする請求項１から３のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
5. 前記バイパス回路は通電状態を切り替える診断スイッチング素子を有することを特徴とする１から４のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
6. 前記Ｈブリッジ回路の前記スイッチング素子のオン、オフ、ならびに前記バイパス回路の通電状態のオン、オフの切り替えを制御し、診断モード時において、前記電流検出回路が設置された前記上側スイッチング素子をオンに設定し、それ以外の前記Ｈブリッジ回路の前記スイッチング素子をオフに設定し、前記バイパス回路を通電オン状態に設定する切替制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項１から５のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
7. シートベルトの引き込み、および引き込み解除用のモータに流れる電流を制御することを特徴とする請求項１から６のいずれか一項に記載のモータ制御装置。

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