以下、本発明の実施の形態の例を説明する。
図1は本発明の真空吸着ノズル組み立て体を電子部品装着機のフランジに組み付けたときの構成の一例を示す、(a)は斜視図、(b)は(a)の縦断面図である。
図1に示す真空吸着ノズル1は、真空吸引することによって電子部品(図示せず)を吸着して保持するための吸着面2を先端の端面側に有した円筒部5と、円筒部5の吸着面2と相対する側に円筒部5に向かって先細りの形状で設けられた円錐部4と、円錐部4が吸着面2と相対する根元の端面側すなわち後端に設けた頭部6とを有する構成である。そして、円筒部5を貫通して吸着面2に開口した内孔は、円錐部4と頭部6とに延設して頭部6の表面に開口させて、吸引孔3としてある。
また、真空吸着ノズル1の後端である頭部6と嵌合する受け部11を有し、吸引孔3と連通するように吸引孔12を有しているフランジ10が、真空吸着ノズル1の頭部6と受け部11とを嵌合させて接着して取り付けられており、このフランジ10を介して真空吸着ノズル1が電子部品装着機(図示せず)に取り付けられるようにしてある。そして、真空吸着ノズル組み立て体7はフランジ10と真空吸着ノズル1とから構成されている。
次に、図2に、本発明の真空吸着ノズル組み立て体7を具備した電子部品装着機を用いて、チップ状の電子部品を回路基板に実装する電子部品装着装置の構成を概略図で示す。
図2に示す電子部品装着装置20は、電子部品装着機14に具備した真空吸着ノズル組み立て体7と、電子部品15を並べたトレイ16と、真空吸着ノズル1に吸着された電子部品15に向けて光を照射するライト17と、ライト17の反射光を受光するためのCCDカメラ18と、CCDカメラ18で受光した反射光(画像)を画像処理するための画像解析装置19とで構成されている。
そして、この電子部品装着装置20は、真空吸着ノズル組み立て体7がトレイ16まで移動し、トレイ16上に並べられた電子部品15を真空吸着ノズル1が吸着すると、ライト17が真空吸着ノズル1に吸着された電子部品15へ向けて光を照射し、この光が電子部品15の本体や電極に当たって反射する反射光をCCDカメラ18で受光し、CCDカメラ18で受光した画像を基に画像解析装置19によって電子部品15の位置を測定して、そのデータを基に回路基板(図示せず)の所定の位置に電子部品15を吸着した真空吸着ノズル1を移動させて、回路基板の表面に電子部品15を実装するものである。
そして、本発明の真空吸着ノズル組み立て体7は、先端に吸着物(図2に示す例では電子部品15)を真空吸着する吸着面2を備えたセラミックスからなる真空吸着ノズル1の後端がフランジ10の受け部11に接着された真空吸着ノズル組み立て体7であって、真空吸着ノズル1の後端とフランジ10の受け部11との接着部が、真空吸着ノズル1のセラミックスの焼き肌面が接着された部位とセラミックスの研削面が接着された部位とを含み、真空吸着ノズル1の先端とフランジ10の後端との間の抵抗値が103〜1011Ωであることが重要である。
真空吸着ノズル1をセラミックスで形成すれば、吸着面2が多数の電子部品15を着脱する過程で磨耗が進行して吸着面2の形状精度が低下し、吸着力が低下したり電子部品15の位置ずれが生じたりすることを抑制することができる。
そして、真空吸着ノズル1とフランジ10とを接着して真空吸着ノズル組み立て体7とすれば、電子部品15の小型化に伴い真空吸着ノズル1も小型化したとしても、電子部品装着機14から取り外して洗浄したり、新品に交換したりするときの作業性が低下することを防止することができる。真空吸着ノズル組み立て体7は、真空吸着ノズル1を電子部品装着機14から取り外して手で保持して洗浄や着脱作業をする場合と比較して、フランジ10が真空吸着ノズル1に接着されていることから、フランジ10を手で保持することができるために持ちやすく、真空吸着ノズル1の円筒部5のように細くて折れやすい部分があっても指を触れずにすむため破損しにくく、作業性も低下しない。また、インジェクション成形法などを用いて真空吸着ノズル1とフランジ10とを一体成型するよりも形状の自由度が高くなるという利点や、フランジ10にセラミックスの他に金属や樹脂等の材質を適宜選択して用いることができるという利点もある。
次に、図3は本発明の真空吸着ノズル組み立て体7における真空吸着ノズル1の後端とフランジ10の受け部11との接着部の例を模式的に示す断面図である。
そして、この真空吸着ノズル1は、フランジ10の受け部11との接着部である真空吸着ノズル1の頭部6を含む後端にセラミックスの焼き肌面8と研削面9とを任意の配置で有している。
真空吸着ノズル1のセラミックスの焼き肌面8が接着される部位に含まれると、セラミックスの焼き肌面8に多数存在する導電性を有する結晶粒子がフランジ10の受け部11の内面と確実に接触して、真空吸着ノズル組み立て体7の抵抗値を安定化する上で好ましい。また、セラミックスの研削面9が接着される部位に含まれると、セラミックスの研削面9に形成された微小な凹凸が接着剤にアンカー効果を生じて、強固に接着することができるために好ましい。
これに対して、真空吸着ノズル1の後端とフランジ10の受け部11との接着部において真空吸着ノズル1の後端がセラミックスの焼き肌面8のみの場合は、真空吸着ノズル1とフランジ10との接着力が弱くなって、真空吸着ノズル組み立て体7の電子部品装着機14からの着脱するときや電子部品装着機14から取り外して洗浄するときに真空吸着ノズル1とフランジ10とが外れてしまうことがあるという問題が生じる。また、真空吸着ノズル1の後端とフランジ10の受け部11との接着部において真空吸着ノズル1の後端がセラミックスの研削面9のみの場合は、真空吸着ノズル組み立て体7の抵抗値が低下して、実装中に生じる真空吸着ノズル1の静電気を除電する効果が薄れることがあるという問題が生じる。
図3に示す例においては、セラミックスの焼き肌面8を頭部6の側面と周囲に配置し、研削面9を頭部6の上面に配置している。これによって、フランジ10の受け部11の底面と受け部11に嵌め込んだ頭部6の上面とで強固な接着状態を確保するとともに、頭部6の側面と頭部6の周囲の面とで電気的に安定した接続状態を確保することができる。
セラミックスの焼き肌面8と研削面9との配置については、真空吸着ノズル1の後端の加工性、および真空吸着ノズル1の後端とフランジ10の受け部11との接着強度、導電性の観点から適宜選択すれば良い。
そして、真空吸着ノズル1の先端とフランジ10の後端との間の抵抗値が103〜1011Ωであると、真空吸着ノズル1に静電気が帯電したとしても、この静電気はフランジ10と電子部品装着機14とを通して適度な速度でアース(除電)できるために、真空吸着ノズル1が帯電して真空吸着する電子部品15を吹き飛ばしたり、真空吸着ノズル1から静電気が急速に放電して電子部品15や周囲の部品が放電破壊したりするのを防止することができる。真空吸着ノズル1の先端とフランジ10の後端との間の抵抗値が103未満になると、静電気が流れやすくなって静電気が急速に放電して電子部品15や周囲の部品を放電破壊する危険性が高まるという問題が生じるようになり、また、1011Ωを超えると、真空吸着ノズル1に発生した静電気は真空吸着ノズル1に帯電しやすくなり、真空吸着ノズル1が電子部品15に近づくと静電気の反発力により電子部品15が吹き飛ぶという問題が生じるようになる。
なお、真空吸着ノズル1の先端とフランジ10の後端との間の抵抗値は、104〜107Ωであるとより好ましい。
また、本発明の真空吸着ノズル組み立て体7は、真空吸着ノズル1の接着部の研削面9の表面粗さ(算術平均粗さRa)が0.07〜0.2μmであることが好ましい。
真空吸着ノズル1の接着部の研削面9の表面粗さ(算術平均粗さRa)が0.07〜0.2μmであれば、接着剤が研削面9の研削キズに十分に入り込み、アンカー効果を生じて、また、接着するための表面積を大きくすることができるので、フランジ10の受け部11との接着を強固にすることができる。
なお、真空吸着ノズル1の接着部の研削面9の表面粗さ(算術平均粗さRa)が0.07μmより小さいと、研削面9において接着剤の接触する研削キズが小さくなるとともに研削面9の表面積も小さくなって、十分なアンカー効果が得られず、フランジ10の受け部11との接着強度が低下する虞がある。また、研削面9の表面粗さ(算術平均粗さRa)が0.2μmを超えると、接着部の研削面9の研削キズに接着剤が浸透せず、フランジ10の受け部11との接着強度が低下する虞がある。
なお、真空吸着ノズル1の接着部の研削面9の表面粗さ(算術平均粗さRa)は、0.10〜0.16μmの範囲が特に好ましい。
また、本発明の真空吸着ノズル組み立て体7は、真空吸着ノズル1の接着部の焼き肌面8の表面粗さ(算術平均粗さRa)が0.06〜0.5μmであることが好ましい。
真空吸着ノズル1の接着部の焼き肌面8の表面粗さ(算術平均粗さRa)が0.06〜0.5μmであれば、真空吸着ノズル1の接着部の焼き肌面8が接着される部位に含まれると、セラミックスの焼き肌面8には導電性を有する結晶粒子が多数存在していることから、フランジ10の受け部11の内面と確実に接触して、真空吸着ノズル組み立て体7の抵抗値を安定化することができる。
なお、真空吸着ノズル1の接着部の焼き肌面8の表面粗さ(算術平均粗さRa)が0.06μmより小さいときには、セラミックスに含まれる導電性を有する結晶粒子の高さが低く、大きさも小さい状態であることから、真空吸着ノズル1の接着する部位の焼き肌面8とフランジ10の受け部11の内面との接触面積が小さくなり、真空吸着ノズル組み立て体7の抵抗値が不安定となる虞がある。また、焼き肌面8の表面粗さ(算術平均粗さRa)が0.5μmを超える場合には、焼き肌面8のセラミックスに含まれる導電性を有する結晶粒子の高さが高く、大きさも大きい状態であることから、フランジ10の受け部11との接触面積は十分であるが、真空吸着ノズル組み立て体7の真空吸着ノズル1の後端6とフランジ10の受け部11とを接着した後に、接着剤の硬化時の収縮による引っ張り応力で導電性付与材の結晶粒子が脱落することによって、接着強度を低下させる虞がある。
なお、真空吸着ノズル1の接着部の焼き肌面8の表面粗さ(算術平均粗さRa)は、0.07〜0.45μmの範囲が特に好ましい。
また、真空吸着ノズル1の研削面9が表面粗さ(算術平均粗さRa)が0.07〜0.2μmの研削面であり、焼き肌面8が表面粗さ(算術平均粗さRa)が0.06〜0.5μmであることがより好ましい。
この様に真空吸着ノズル1が、表面粗さ(算術平均粗さRa)が0.07〜0.2μmの研削面9と、表面粗さ(算術平均粗さRa)が0.06〜0.5μmの焼き肌面8とがフランジ10と接触する面に含まれることによって、研削面9を含むことより強度が高くなるという利点と、焼き肌面8を含むことにより導電性が安定するという利点とを併せ持つことができるので、より好ましいものとなる。
なお、研削面9および焼き肌面8の表面粗さ(算術平均粗さRa)の測定は、一般的に使用される表面粗さ測定器を用いて、測定長が4.8mm、カットオフ値が0.8mm、触針径が5μmの測定条件で測定すればよい。
また、本発明の真空吸着ノズル組み立て体7は、真空吸着ノズル1がフランジ10よりも電気抵抗が同等または大きいことが好ましい。
真空吸着ノズル1がフランジ10よりも電気抵抗が同等または大きいと、真空吸着ノズル1が帯電したとしても静電気はフランジ10を経て電子部品装着機14を通して確実にアース(除電)できるために、真空吸着ノズル1が真空吸着する電子部品15を吹き飛ばしたり、真空吸着ノズル1から静電気が急速に放電して電子部品15や周囲の部品が放電破壊するのをより確実に防止することができる。
なお、真空吸着ノズル1がフランジ10よりも大幅に電気抵抗が小さいと、フランジ10に静電気が帯電したとき、静電気がフランジ10から真空吸着ノズル1に流れやすくなるためアースが不十分となり、真空吸着ノズル1が真空吸着する電子部品15を吹き飛ばしたり、真空吸着ノズル1から静電気が急速に放電して電子部品15や周囲の部品が放電破壊したりするという虞が生じることがある。
また、本発明の真空吸着ノズル組み立て体7は、真空吸着ノズル1およびフランジ10のいずれか一方が明るい色であり、他方が暗い色であることが好ましい。
真空吸着ノズル組み立て体7の真空吸着ノズル1およびフランジ10のいずれか一方が明るい色であり、他方が暗い色であるものとすることにより、真空吸着ノズル1とフランジ10とを組み立てるとき、真空吸着ノズル1とフランジ10との接着部の視認性が向上して接着作業の正確さが向上する。また、真空吸着ノズル組み立て体7に組み立てた後も全体が単色ではないことから作業者の視認性がよく、電子部品装着機14との着脱作業のときや、電子部品装着機14から真空吸着ノズル組み立て体7を取り外して洗浄作業をするときの作業性が良好なものとすることができる。
このように一方を明るい色とし、他方を暗い色とするときの色の組み合わせとしては、真空吸着ノズル1を暗い色とするのが好ましい。これによって、電子部品15を吸着した状態をCCDカメラで撮影したときに真空吸着ノズル1からの反射光で電子部品15が認識しにくくなることを抑制することができる。
また、フランジ10は明るい色とするのが好ましく、作業者が手で真空吸着ノズル組み立て体7を保持するときに視認性がよく好適である。
さらに、本発明の真空吸着ノズル組み立て体7は、真空吸着ノズル1の頭部6を含む後端とフランジ10の受け部11とを接着するが導電性であることが好ましい。
真空吸着ノズル1の後端とフランジ10の受け部11とを接着する接着剤を導電性とすることで、真空吸着ノズル1に帯電する静電気をフランジ10を経て電子部品装着機14を通してより確実にアース(除電)できるので、真空吸着ノズル1が真空吸着する電子部品15を吹き飛ばしたり、真空吸着ノズル1から静電気が急速に放電して電子部品15や周囲の部品が放電破壊するのをより確実に防止することができる。なお、接着剤が導電性でない場合は、真空吸着ノズル1とフランジ10とを組み立てた全体としての導電性が低下して、真空吸着ノズル1に静電気が帯電しても速やかにアースすることが困難になることがあり、電子部品15を吹き飛ばしたり、真空吸着ノズル1から静電気が急速に放電して電子部品15や周囲の部品が放電破壊したりする虞が生じることがある。
図4は本発明の真空吸着ノズル組み立て体7の真空吸着ノズル1の先端とフランジ10の後端との間の抵抗値を測定する方法を示す正面図であり、真空吸着ノズル1の先端となる吸着面2に一方の電極60を接触させ、フランジ10の後端となる凸部の端面に他方の電極60を接触させた状態を示している。そして、これら電極60・60には電気抵抗測定器(図示せず)が接続されており、真空吸着ノズル組み立て体7の先端側と後端側の電極60・60間に任意の電圧を加えて真空吸着ノズル組み立て体7の先端と後端との間の抵抗値を測定すればよい。測定に際して加える電圧は真空吸着ノズル1の形状や材質などに合わせて設定すればよく、おおよそ10〜1500Vの範囲であれば問題はない。
また、吸着面2の径は0.7mm以下とするのが好ましい。長辺が1mm以下の矩形状の電子部品15を吸着して高密度に実装される回路基板に実装するときに、吸着面2や円筒部5が先に実装してある電子部品や周囲に実装してある部品に接触して欠けるという問題が生じにくくするためである。吸着面2の径が0.7mmを超えると、長辺が1mm以下の矩形状の電子部品15を吸着して高密度に実装される回路基板に実装しようとすると、吸着面2や円筒部5が実装箇所の周囲にある部品と接触して破損しやすくなる。例えば、電子部品15が0603タイプ(寸法が0.6mm×0.3mm)のチップ部品である場合には、回路基板に実装された部品の間隔が約0.1mmとなる箇所もあるために、電子部品15が吸着面2に吸着されたときに僅かにずれただけでも、実装時に吸着面2や円筒部5が実装箇所の周囲にある部品に接触し破損する危険がある。
また、吸着面2の形状は円形が基本であるが、吸着物の形状に合わせて楕円,矩形,多角形など任意の形状を選択できる。また、吸着面2が円形と異なる形状の場合は、吸着面2の外辺寸法の最小となる部分が0.7mm以下となるようにすればよい。これは、電子部品15の実装密度が最も高くなる方向に吸着面2の外辺が最小となる部分を合わせるように用いることができるからであり、こうすれば円筒部5の機械的強度を小さくすることなしに製作できるので好ましい。
さらに、本発明の真空吸着ノズル組み立て体7における真空吸着ノズル1に用いるセラミックスは導電性付与材を含むのが好ましい。
真空吸着ノズル組み立て体7の真空吸着ノズル1に用いるセラミックスに導電性付与材を含むものを用いると、単体では絶縁性のセラミックスであっても、導電性付与材を含ませることによって適度な抵抗値を有する真空吸着ノズル1を作製することができる。
例えば、アルミナは絶縁性のセラミックスであるが、安価で耐摩耗性が優れているという特長があり、炭化チタンや窒化チタンなどの導電性付与材を添加すれば、耐摩耗性に優れ、適度な導電性も有する真空吸着ノズル1を作製することができる。同様に、ジルコニアは強度の高い材料であり、酸化鉄、酸化チタン,酸化亜鉛などの導電性付与材を添加すれば、細い形状でも折れにくくなり、適度な導電性も有する真空吸着ノズル1を作製することができる。また、炭化珪素は炭素を添加することで抵抗値を調整した真空吸着ノズル1を作製することができる。
そして、本発明における真空吸着ノズル1に用いるセラミックスは黒色系セラミックスであることが好ましい。
真空吸着ノズル1に黒色系セラミックスを用いると、真空吸着ノズル1で吸着した電子部品15をライト17で照射してCCDカメラ18で撮影したときに、電子部品15はライト17の反射光で鮮明に写るが、電子部品15の背景は真空吸着ノズル1が黒色系セラミックスであるために暗い状態となり、電子部品15の輪郭は明瞭になる。そのため、画像解析装置19は真空吸着ノズル1に吸着された電子部品15の形状を正確に認識できるので、回路基板に電子部品15を実装する際の位置精度が高くなるという利点がある。
黒色系セラミックスとしては、黒色系の導電性付与材を添加したジルコニア,アルミナおよび炭化珪素などがある。また、茶色系や青色系など他の色調を有するセラミックスでも、濃い色調とすることにより黒色系セラミックスと同様の効果を得ることができる。
例えば、アルミナセラミックスに添加する黒色系あるいは茶色系や青色系であっても濃い色調として用いることができる導電性付与材としては、酸化鉄,酸化ニッケル,炭化チタン,窒化チタンなどが挙げられ、中でも酸化鉄,炭化チタンが黒色系セラミックスを得られる導電性付与材として好ましい。ジルコニアセラミックスに添加する黒色系あるいは茶色系や青色系であっても濃い色調として用いることができる導電性付与材としては、酸化鉄,酸化チタン,酸化コバルト,酸化クロム,酸化ニッケルなどが挙げられ、中でも酸化鉄が黒色系セラミックスを得られる導電性付与材として好ましい。炭化珪素セラミックスは、炭素を含有させて導電性を付与したものが黒色系セラミックスとして好ましい。
さらに、本発明における真空吸着ノズル1に用いるセラミックスは、安定化剤を含むジルコニアであることが好ましい。
真空吸着ノズル1に用いるセラミックスに安定化剤を含むジルコニアを用いることが好ましいのは、セラミックスとしての機械的強度が高いためである。特に、図1(a)に示す真空吸着ノズル1のように、円筒部5を有しており、その径が細い形状の真空吸着ノズル1の場合には、吸着面2に吸着した電子部品15を基板に実装したときに隣接する部品と真空吸着ノズル1の先端とが接することによって円筒部5が破損しやすいので、セラミックスとして強度の高いジルコニアを使用することが好適である。
このときのジルコニアに含ませる安定化剤にはイットリア,セリア,マグネシアなどを用いればよく、これら安定化剤を1〜8モル%程度含んでいれば実用上で強度的に十分なジルコニアとなる。また、ジルコニアの平均結晶粒子径は3μm以下のものが好ましい。平均結晶粒子径を3μm以下とすることで、真空吸着ノズル1の作製や補修の際に吸着面2に対して研削加工や鏡面加工をするときに、結晶粒子が脱落しにくくなることから吸着面2に欠けが生じにくくなる。
さらに、ジルコニアの平均結晶粒径は、0.3〜0.8μmの範囲であることがより好ましい。セラミックス製の小型の真空吸着ノズルは、一般的にインジェクション成形法により作製するが、インジェクション成形法を用いて成形体を作製しようとすると、金型に原料を投入する入り口に余分な部分(ゲート痕)が残り、これを焼結後に研削加工して除去することが必要となる。そのため、ジルコニアの平均結晶粒径が0.3μm未満であると、結晶粒子が小さいために焼結体の強度が上がり、ゲート痕を削除するための加工時間が増加することになりやすい。また、真空吸着ノズル1は、ますます小型化が求められてくる中で機械強度も求められている。これらの点からより優れた機械強度を有するには、平均結晶粒径は0.8μm以下が好ましい。
さらに、本発明における真空吸着ノズル1は、セラミックスが安定化剤を含むジルコニアであり、導電性付与材が酸化鉄,酸化コバルト,酸化クロムおよび酸化ニッケルの少なくとも1種を含むことが好ましい。
これらの導電性付与材の平均結晶粒径は、0.5〜3μmの範囲であることが好ましい。真空吸着ノズル1の接着する部位の焼き肌面8には、導電性付与材の結晶粒子が現われるが、導電性付与材の平均結晶粒径が0.5〜3μmの範囲であれば、焼き肌面8の表面粗さ(算術平均粗さRa)を0.07〜0.45μmとすることができ、導電性付与材の結晶粒子がフランジ10の受け部11の内面と確実に接触することから、抵抗値が安定する。また、導電性付与材の結晶粒子が大きすぎることがないため、真空吸着ノズル組み立て体7の真空吸着ノズル1の後端6とフランジ10の受け部11とを接着した後に、接着剤の硬化時の収縮による引っ張り応力で導電性付与材の結晶粒子が脱落することによって接着強度を低下させる虞もない。
これらを含む導電性付与材は、セラミックスに導電性を付与することができるとともに、例えば酸化鉄だと黒色系、酸化コバルトだと青色系、酸化クロムだと緑色系といった色に着色することができる。
そして、この真空吸着ノズル1で電子部品15を吸着すると、ライト17が真空吸着ノズル1に吸着された電子部品15に向けて光を照射し、CCDカメラ18で反射光を受光するときに、電子部品15の色合いに対して真空吸着ノズル1の色合いを濃色系に変えたものを選択できるので、画像解析装置19が真空吸着ノズル1と電子部品15とを区別しやすい色合いのものとすることができ、認識エラーや誤動作を低減させることができる。
一般的に、電子部品15は色合いが白色系,銀色系あるいは灰色系のものが多く、そのために真空吸着ノズル1の色合いとしては黒色系などの濃色系の色合いが求められることが多い。このような黒色系の色合いの真空吸着ノズル1を得るためには、例えば、ジルコニアが65質量%に酸化鉄を30質量%,酸化コバルトを3質量%,酸化クロムを2質量%の組成としたものが好適である。また、電子部品15が銀色系のときは、真空吸着ノズル1の色合いは濃い黒色系を用いるのが好ましいが、これは、酸化鉄を25質量%以上とすることによって得ることができる。
次に、本発明の真空吸着ノズル組み立て体7に用いるセラミックス製の真空吸着ノズル1の製造方法を説明する。
本発明における真空吸着ノズル1を構成するセラミックスとしては、炭化珪素,アルミナ,安定化剤を含むジルコニアなど公知の材料を用いることができる。
炭化珪素質セラミックスを用いる場合であれば、例えば、炭化珪素を91〜94.8質量%とし、これに焼結助剤としてアルミナを5質量%、導電性付与材を0.2〜4質量%として合計100質量%として混合した原料をボールミルに投入して所定の粒度まで粉砕してスラリーを作製し、スプレードライヤーを用いて噴霧乾燥して顆粒を形成する。
次に、この顆粒と熱可塑性樹脂とをニーダに投入して加熱しながら混練して得られた坏土をペレタイザーに投入すれば、インジェクション成形用の原料となるペレットを得ることができる。なお、ニーダに投入する熱可塑性樹脂としては、エチレン酢酸ビニル共重合体やポリスチレンやアクリル系樹脂などをセラミックスの質量に対して10〜25質量%程度添加すればよく、ニーダを用いて混練中の加熱温度は140〜180℃に設定すればよい。また、混練の条件はセラミックスの種類や粒度、および熱可塑性樹脂の種類に応じて適宜設定すればよい。
そして、得られたペレットをインジェクション成形機に投入して射出成形すれば、真空吸着ノズル1となる成形体が得られる。このとき、得られた成形体には通常は射出成形したときの余分な原料が冷えて固まったランナが付随しているので、脱脂する前に切断しておく。
炭化珪素の焼成条件としては、真空雰囲気中またはアルゴンやヘリウムなどの不活性ガス雰囲気中で焼成すればよく、最高温度は1900〜2200℃とし、最高温度での保持時間を1〜5時間とすればよい。
さらにまた、本発明における真空吸着ノズル1を構成するセラミックスとして、安定化剤を含むジルコニア,アルミナなどを用いる場合には、導電性付与材としては、酸化鉄,酸化コバルト,酸化クロムおよび酸化ニッケルの少なくとも1種か、または炭化チタンや窒化チタンを含むものを用いることができる。
例えば、安定化剤としてイットリアを含むジルコニアを65質量%に対して酸化鉄を35質量%の割合で混合し、この原料をボールミルに投入して所定の粒度まで粉砕してスラリーを作製し、スプレードライヤーを用いて噴霧乾燥して顆粒を形成し、インジェクション成形機に投入して上述と同様の方法で射出成形すれば、真空吸着ノズル1となる成形体が得られる。
ここで、ジルコニア,アルミナの焼成条件としては、導電性付与材が酸化鉄,酸化コバルト,酸化クロムおよび酸化ニッケルの少なくとも1種の場合には、大気雰囲気中での焼成で最高温度を1280〜1500℃の範囲として、最高温度での保持時間を1〜5時間とすればよい。また、導電性付与材が炭化チタンの場合には、最高温度を1400〜1800℃の範囲として、最高温度での保持時間を1〜5時間とし、真空雰囲気中またはアルゴンなどの不活性ガス雰囲気中で焼成すればよい。また、導電性付与材が窒化チタンの場合には、これら真空雰囲気中または不活性雰囲気中に加えて、窒素ガス雰囲気中で焼成してもよい。これにより、セラミックス製の真空吸着ノズル1に適度な導電性を付与することができる。
次に、真空吸着ノズル1の接着する部位となる研削面9の加工方法について説明する。
真空吸着ノズル1の後端6のフランジ10の受け部11と接着する部位の研削は、公知の研削方法を用いて研削すればよい。研削面9の表面粗さ(算術平均粗さRa)を0.07〜0.2μmとするためには、セラミックスの主成分がジルコニアであって、かつその平均結晶粒径が0.3〜0.8μmであれば、番手が#230〜400のダイヤモンド砥石を用いて、所望の送り速度および切り込み量で研削するとよい。
なお、研削面9の表面粗さ(算術平均粗さRa)の特に好ましい0.10〜0.16μmの範囲とするためには、ダイヤモンド砥石の番手を#270〜325にするとよい。
また、真空吸着ノズル1の後端6とフランジ10の受け部11との接着は、導電性接着剤を用いるのが好ましい。この場合には、絶縁性接着剤に導電性フィラーを混合し攪拌して導電性接着剤を予め準備してから接着する方法や、接着する部位にワッシャーやピンなどの金属部材と絶縁性接着剤とを用いて接着する方法がある。
以下、本発明の実施例を説明する。
まず、セラミックスの主成分として炭化珪素を選択し、焼結助剤としてアルミナを、導電性付与材としてカーボンをそれぞれ表1に示す試料No.1〜5,26の割合で混合して、水を加えてボールミルで粉砕・混合してスラリーを作製し、これらのスラリーをスプレードライヤーを用いて噴霧乾燥し、顆粒を作製した。そして、この顆粒100質量部に対してエチレン酢酸ビニル共重合体,ポリスチレン,アクリル系樹脂を合計20質量部加えてニーダに投入し、約150℃の温度に保ちながら混練して坏土を作製した。次に、得られた坏土をペレタイザーに投入してインジェクション成形用の原料となるペレットを作製した。そして、このペレットを公知のインジェクション成形機に投入し、図1に示す真空吸着用ノズル1とフランジ10となる成形体をそれぞれ作製した。
次に、これらの成形体を窒素雰囲気の乾燥機に入れて乾燥した後、公知のアルゴン雰囲気の焼成方法で最高温度を1900〜2200℃とし、最高温度での保持時間を1〜5時間として焼成し焼結体とした。その後、真空吸着ノズル1の吸着面2となる部分を研削加工して平面とした。また、図3に示す符号8の面(頭部6の側面および頭部6の周囲の面)を焼き肌面8として研削加工を行なわず、符号9の面(頭部6の上面)を研削加工して研削面9とした。そして、真空吸着ノズル1の円筒部5の寸法は長さが3.2mm,外径が0.7mm,内径が0.4mmであり、円筒部5の肉厚が0.15mmとなるように作製した。
また、フランジ10は真空吸着ノズル1と接着する部位を全て研削面に加工した。そして、真空吸着ノズル1の頭部6を含む後端とフランジ10の受け部11とを導電性接着剤で接着して真空吸着ノズル組み立て体7とし、これらを試料No.1〜5とした。なお、試料No.25および26は、真空吸着ノズル1のみをジルコニアまたは炭化珪素を主成分とし、フランジ10についてはともにステンレスを用いているので、導電性付与材と焼結助剤の項目は真空吸着ノズル1のジルコニアまたは炭化珪素を主成分とした場合の値を示している。
次に、セラミックスの主成分としてアルミナ,安定化剤としてイットリアを3モル%含むジルコニアを選択し、導電性付与材として酸化鉄,酸化コバルト,酸化クロム,酸化ニッケル,炭化チタンを選択し、さらに焼結助剤をそれぞれセラミックスの全体量に対して表1に示すような割合で添加した原料を各々秤量して、これらに水を加えてボールミルで粉砕・混合してスラリーを作製し、これらのスラリーをスプレードライヤーを用いて噴霧乾燥し、それぞれの顆粒を作製した。なお、アルミナの焼結助剤としてはマグネシア,カルシア,チタニア,ジルコニアなどを適宜添加した。
そして、上述したインジェクション成形方法で真空吸着ノズル1とフランジ10との成形体をそれぞれ作製し、これらの成形体を乾燥機に入れて乾燥した後、公知の一般的なセラミックスの焼成方法を用いて焼結体とした。このとき、導電性付与材が酸化鉄,酸化コバルト,酸化クロムおよび酸化ニッケルの少なくとも1種の場合には、酸化雰囲気である大気雰囲気中での焼成で最高温度を1280〜1500℃の範囲とし、最高温度での保持時間を1〜5時間として、また導電性付与材が炭化チタンの場合には、非酸化雰囲気であるアルゴン雰囲気中での焼成で最高温度を1400〜1800℃の範囲とし、最高温度での保持時間を1〜5時間として、それぞれ焼成して焼結体とした。
得られた焼結体は真空吸着ノズル1の吸着面2となる部分を研削加工して平面とし、さらに、真空吸着ノズル1の後端に研削加工を施して研削面9を設け、研削面9と焼き肌面8とを有する真空吸着ノズル1とした。そして真空吸着ノズル1の円筒部5の寸法が長さが3.2mm,外径が0.7mm,内径が0.4mmであり、円筒部5の肉厚が0.15mmとなるように製作した。
フランジ10は、真空吸着ノズル1との接着部を全て研削面9に加工したものと、全て焼き肌面8にしたものとを作製した。そして、真空吸着ノズル1と接着部を全て研削面9に形成したフランジ10とを接着して真空吸着ノズル組み立て体7とした試料No.6〜22と、真空吸着ノズル1と接着部を全て焼き肌面8に形成したフランジ10とを接着して真空吸着ノズル組み立て体7とした試料No.23および24を作製した。真空吸着ノズル1とフランジ10との接着には導電性接着剤を用いた。
次に、これらの真空吸着ノズル組み立て体7の試料を電子部品装着機14に取り付けて0603タイプ(寸法が0.6mm×0.3mm)の電子部品15の真空吸着テストを行ない、電子部品15の吹き飛び、および電子部品15の静電破壊について調べた。このとき、隣接する電子部品15の間隔は最小で0.1mmとした。
まず、電子部品15の吹き飛びについては、電子部品装着機14を稼動させて2000万個の吸着を行ない、ダミー基板上に電子部品15を実装してその個数を数えることで、電子部品15の吹き飛びの個数を確認した。吹き飛んだ数が3個以下のときは◎、4〜10個のときは○と記入した。また、電子部品15の吹き飛んだ数が11個以上のときは、従来と差がないか従来より劣るので、不合格として×と記入した。
また、電子部品15の静電破壊については、電子部品装着機14を稼動させて2000万個の吸着を行ない、回路を形成したダミー基板上に電子部品15を実装し、ダミー基板の通電試験を行なって電子部品15を実装した回路基板が通電するか否かの確認をするという方法で、電子部品15の静電破壊の有無を確認した。今回の試験では、1枚のダミー基板に100個の電子部品15を実装して、一般に使用される回路の導通試験機を用いてダミー基板毎に導通試験を実施して、問題のあったダミー基板についてのみさらに個別に実装した電子部品15の導通試験を実施して良否の判断を行ない、静電破壊した個数を数えた。その結果、静電破壊した個数が3個以下のときは◎、4〜10個のときは○とし、11個以上のときは、従来と差がないか従来より劣るので、不合格として×とした。また、真空吸着ノズル1とフランジ10との接着部に焼き肌面8または研削面9が形成されている試料は「有」、形成されていない試料は「無」として表1に表記した。
また、真空吸着ノズル1とフランジ10との接着部の接着強度については、フランジ10の後端を固定して真空吸着ノズル1を先端の方向に引っ張り、真空吸着ノズル組み立て体7を実際に使用するうえで真空吸着ノズル1とフランジ10との接着部が剥離しない接着強度として、150N(ニュートン)の荷重で剥離しなかった試料は○とし、150N未満の荷重で剥離した試料は×とした。
得られた結果を表1に示す。
表1に示す結果から、電子部品15の吹き飛びおよび静電破壊については、本発明の真空吸着ノズル組み立て体7の試料No.1〜4,7〜11,15〜19,25,26は、電子部品15の吹き飛びおよび静電破壊が2000万個中で10個以内であり、比較例である試料No.5,6,12〜14,20〜22のいずれもが11個以上であったことから、比較例よりも良好であることが分かる。すなわち、本発明の試料No.1〜4,7〜11,15〜19,25,26では、真空吸着ノズル組み立て体7の先端と後端との間の抵抗値が103〜1011Ωであることから、真空吸着ノズル1に静電気が発生しても適切に除電することができ、電子部品15が静電気で反発して吹き飛ぶことや静電破壊することが抑制できる。
これに対し、本発明の比較例である試料No.6,14は、真空吸着ノズル組み立て体7の先端と後端との間の抵抗値が1011Ωを超えているため帯電しやすく、電子部品15が静電気で反発して吹き飛ぶのが2000万個中で11個以上あり、従来品と比較して差がなかった。
また、本発明の比較例である試料No.5,12,13,20は、真空吸着ノズル組み立て体7の先端と後端との間の抵抗値が103Ω未満であるため放電しやすく、電子部品15の静電破壊が2000万個中で11個以上であり、従来品と比較して劣っていた。
また、本実施例では、セラミックスとして炭化珪素,アルミナ,ジルコニアを用いているが、これらを用いた試料No.1〜4,7〜11,15〜19,25,26については、いずれにおいても真空吸着ノズル組み立て体7の先端と後端との間の抵抗値を103〜1011Ωとすることにより、電子部品15が静電気の反発力により吹き飛ぶという問題や電子部品15が静電破壊するという問題を大幅に抑制できることが分かった。
また、フランジ10に金属のステンレスを用いた本発明の試料No.25および26においても同様に優れていることが分かる。
また、真空吸着ノズル組み立て体7の先端と後端との間の抵抗値が104〜107Ωである本発明の真空吸着ノズル組み立て体7は、電子部品15の静電破壊と吹き飛びの個数がともに3個以下となり、特に優れていることが分かる。
また、本発明の比較例である試料No.21,22は、本発明の実施例の試料No.15と同じ材質を用いたが、真空吸着ノズル組み立て体7の先端と後端との間の抵抗値が1012〜1013Ωと高くなり、抵抗値がばらつくという問題が生じて好ましくないということが分かる。これは真空吸着ノズル1とフランジ10とを接着する部位が全て研削面9であることから、抵抗値が大きくなって、実装中に生じる真空吸着ノズル1の静電気を除電する効果が薄れたためである。
また、本発明の比較例である試料No.23,24は、本発明の実施例の試料No.15と同じ材質を用いたが、真空吸着ノズル1とフランジ10との接着部が150N未満の荷重で剥離した。これは、真空吸着ノズル1のフランジ10と接着する部位とが全て焼き肌面8であることから、接着力が低下したためである。
次に、真空吸着ノズル1のフランジ10との接着する部位の研削面9の表面粗さ(算術平均粗さRa)を変えることによって、真空吸着ノズル組み立て体7の接着部の接着強度の変化を調べた。実施例1で用いた試料No.17と同一組成の真空吸着ノズル1とフランジ10とを用いて、真空吸着ノズル1の接着部を表2に示す研削用砥石の番手に変えて研削面9を形成し、表2に示す表面粗さ(算術平均粗さRa)の研削面9を有した試料を作製した。
なお、研削面9の研削は、三井ハイテック株式会社製のMSG−612CNC型平面研削盤を使用して行なった。
次に、真空吸着ノズル1の接着する部位の研削面9の表面粗さ(算術平均粗さRa)を測定した。測定器は、表面粗さ測定器(Taylor Hobson社製のTalySurf S4C型面粗さ測定器)を使用し、測定条件として、測定長を4.8mm、カットオフ値を0.8mm、触針径を5μmとして、測定する研削面9の研削キズの方向に対して、垂直方向に測定した。なお、測定個数は10個としその平均値を研削面9の表面粗さ(算術平均粗さRa)とした。なお、いずれも試料数は110個作製した。
また、フランジ10の受け部11の研削面9はいずれの試料も同じ加工方法であるが、砥石は番手#325のダイヤモンド砥石を用いて研削した。
次に、接着剤は、市販の熱硬化性の絶縁接着剤に、導電性フィラーとして、アルミニウム材で径が10〜30μmの球状フィラー(ミナルコ株式会社製 品名:350M)を混合し攪拌して、この導電性接着剤を接着する部位に塗布し、フランジ10の受け部11を真空吸着ノズル1の後端6に接着して150℃の温度で30分間加熱することで真空吸着ノズル組み立て体7を作製した。
そして、真空吸着ノズル1とフランジ10との接着部の接着強度については、実施例1と同じ方法で測定し、接着部の接着強度が、150N未満の荷重で剥離した試料は×とし、150N以上400N未満の荷重で剥離しなかった試料は○とし、さらに、400N以上の荷重でも剥離しなかったものを◎とした。
得られた結果を表2に示す。
表2に示す結果から、真空吸着ノズル1の接着部の研削面9を#600の番手のダイヤモンド砥石を用いて研削した試料No.27は、研削面9の表面粗さ(算術平均粗さRa)が0.06μmで、その接着強度は150N以上400N未満であり、接着部の接着強度の判定は○であった。
また、番手が各々#400,325,270,230のダイヤモンド砥石を用いて研削した試料No.28〜31は、研削面9の表面粗さ(算術平均粗さRa)が各々0.07,0.10,0.16,0.20μmで、その接着強度は400N以上であり、接着部の接着強度の判定はいずれも◎であった。特に、試料No.29、30は接着強度が450N以上と特に良好であった。
また、番手が#200のダイヤモンド砥石を用いて研削した試料No.32は、研削面9の表面粗さ(算術平均粗さRa)が0.22μmで、その接着強度は150N以上400N未満であり、接着部の接着強度の判定は○であった。
なお、試料No.27の接着強度がやや低かった原因は、研削面9の面粗さ(算術平均粗さRa)が小さく平滑過ぎることにより、接着面積が小さくなると同時に接着剤によるアンカー効果が十分でなかったことが考えられる。また、試料No.32は、研削面9の表面粗さ(算術平均粗さRa)がやや大きいことから、接着剤が研削面9の表面にある研削キズに確実に浸透しなかったので、接着強度がやや低下したことが考えられる。以上のことから、接着する部位の研削面9の表面粗さ(算術平均粗さRa)は、0.07〜0.20μmが好ましく、より好ましくは0.10〜0.16μmであることが分かる。
次に、真空吸着ノズル1のフランジ10に接着する部位の焼き肌面8の表面粗さ(算術平均粗さRa)を変えることによって、真空吸着ノズル組み立て体7の先端と後端との間の抵抗値、および接着部の強度がどのように変化するかについて、実施例1で用いた試料No.17と同一組成の真空吸着ノズル1とフランジ10とを用いて、真空吸着ノズル1の焼成温度を変えることによって、接着部となる焼き肌面8の表面粗さ(算術平均粗さRa)の各試料を作製した。
なお、いずれの試料も、ジルコニアの粉末粒径は0.2〜0.3μm、導電性付与材の粉末の粒径は0.2〜0.4μmのものを用いた。
なお、焼成は大気雰囲気中で行ない、このときの焼成の最高温度は表3に示す通りとして、いずれも各試料数は110個作製した。
また、真空吸着ノズル1およびフランジ10の研削面9の加工は実施例2の試料No.29と同一条件とし、また、真空吸着ノズル1とフランジ10との接着方法および表面粗さ(算術平均粗さRa)の測定方法も、実施例2と同じとした。
次に、真空吸着ノズル組み立て体7の先端と後端との抵抗値について、実施例1と同じ方法で測定した。いずれの試料も、110個の試料の中から任意に100個を選び測定し、全ての各試料の最大値と最小値との差が103Ω以上の試料が発生した場合には×とし、差が103Ω未満〜102Ωの範囲内の試料の場合には○とし、102Ω未満の試料の場合には◎とした。
また、真空吸着ノズル1とフランジ10との接着部の接着強度については、実施例1と同じ方法で測定し、接着部の接着強度が、150N未満の荷重で剥離した試料は×とし、150N以上400N未満の荷重で剥離しなかった試料は○とし、さらに、400N以上の荷重でも剥離しなかったものを◎と記入した。
得られた結果を表3に示す。
表3に示す結果から、真空吸着ノズル1の焼成温度の最高温度を1280℃にして作製した試料No.33は,焼き肌面8の表面粗さ(Ra)が0.05μmであり,真空吸着ノズル組み立て体7の先端と後端との間の抵抗値の最大値と最小値との差が103Ω未満〜102Ωの範囲内であり,判定は○であった。
また、焼成温度の最高温度を、各々1290,1300,1370,1440,1450℃,1480℃にした試料No.34〜39は,焼き肌面8の表面粗さ(算術平均粗さRa)が各々0.06,0.07,0.10,0.45,0.50,0.60μmで、抵抗値の最大値と最小値との差が102Ω未満であり,判定は、いずれも◎であった。
ここで、試料No.33は、焼成温度がやや低いことから、導電性付与材の結晶粒子の高さが低く、したがって、焼き肌面8の表面粗さ(算術平均粗さRa)が平滑過ぎることにより、真空吸着ノズル1の接着部とフランジ10の内面との接触が不安定なものであったことが考えられる。
次に、接着部の接着強度については、試料No.33〜38は、いずれも400N以上であったことから、判定は◎であった。また、試料No.39は、接着強度が150N〜400N未満の間であり、判定は○であった。
試料No.39の接着部の強度がやや低下した原因は、焼き肌面8の表面粗さ(算術平均粗さRa)がやや大きいことから,導電性付与材の結晶粒子の高さが高すぎるため、真空吸着ノズル1の後端6とフランジ10の受け部11とを接着した後に、接着剤の硬化時の収縮による引っ張り応力で導電性付与材の結晶粒子が脱落することによって、接着強度が低下したと考えられる。
次に、真空吸着ノズル組み立て体7において、真空吸着ノズル1の研削面9の表面粗さ(算術平均粗さRa)が0.07〜0.2μmの研削面であり、焼き肌面8の表面粗さ(算術平均粗さRa)が0.06〜0.5μmである場合について、各表面粗さを変更することによって、真空吸着ノズル組み立て体7の接着部の接着強度と、真空吸着ノズル組み立て体7の先端と後端との間の抵抗値とがどのように変化するかについて評価するために、実施例1で用いた試料No.17と同一組成で真空吸着ノズル1を作製した。なお、研削面9については、実施例2の試料No.27〜32と同じ加工方法を用いて、また焼き肌面8については、実施例3の試料No.33,34,36,38,39と同一のジルコニアの粉末粒径と、導電性付与材の粉末の粒径とを用い、焼成条件も各々同じとして真空吸着ノズル1を作製して、表4に示すような組み合わせで試料No.40〜69のような数値の真空吸着ノズル組み立て体7を作製した。
なお、真空吸着ノズル1とフランジ10との接着方法および表面粗さ(算術平均粗さRa)の測定方法も実施例2と同じとした。
次に、真空吸着ノズル組み立て体7の先端と後端との抵抗値について、実施例1と同じ方法で測定した。いずれの試料も100個測定し、全ての各試料について、最大値と最小値との差が103Ω以上の試料が発生した場合には×とし、差が103Ω未満〜102Ωの範囲内の試料の場合には○とし、102Ω未満の試料の場合には◎とした。
また、真空吸着ノズル1とフランジ10との接着部の接着強度については、実施例1と同じ方法で測定し、接着部の接着強度が、150N未満の荷重で剥離した試料は×とし、150N以上400N未満の荷重で剥離しなかった試料は○とし、さらに、400N以上の荷重でも剥離しなかったものを◎と記入した。
得られた結果を表4に示す。
表4に示す結果から、真空吸着ノズル組み立て体7の先端と後端との間の抵抗値の最大値と最小値との差については、焼き肌面8の表面粗さ(算術平均粗さRa)が0.06〜0.60の範囲内の試料である試料No.41〜44,46〜49,51〜54,56〜59,61〜64,66〜69は、102Ω未満であり、判定は◎であった。また、焼き肌面8の表面粗さ(算術平均粗さRa)が0.05の試料である試料No.40,45,50,55,60,65は、103Ω未満〜102Ω範囲であり判定は、○であった。
また、接着部の接着強度については、真空吸着ノズル1の研削面9の表面粗さ(算術平均粗さRa)が0.07〜0.20であって、焼き肌面8の表面粗さ(算術平均粗さRa)が0.06〜0.50の範囲内の試料である試料No.45〜64と、研削面9の表面粗さ(算術平均粗さRa)が0.06または、0.22であって、焼き肌面8の表面粗さ(算術平均粗さRa)が0.05〜0.50の範囲内の試料である試料No.40〜43,65〜68とは、判定は◎であった。特に、研削面9の表面粗さ(算術平均粗さRa)が0.07または、0.20であって、焼き肌面8の表面粗さ(算術平均粗さRa)が0.05〜0.60の範囲内の試料である試料No.45〜49、60〜64は、接着部の接着強度が450N以上であり、研削面9の表面粗さ(算術平均粗さRa)が0.10〜0.16であって、焼き肌面8の表面粗さ(算術平均粗さRa)が0.05〜0.60の範囲内の試料である試料No.50〜59は、接着部の接着強度が500N以上であり、特に良好であった。これは、研削面9と、焼き肌面8とが組み合わされることによって、接着強度が高まったためと思われる。
以上のことから、真空吸着ノズル組み立て体7において、真空吸着ノズル1の研削面9が表面粗さ(算術平均粗さRa)が0.07〜0.2μmの研削面であり、焼き肌面8が表面粗さ(算術平均粗さRa)が0.06〜0.5μmであれば、研削面9を含むと強度がより高くなるという利点と、焼き肌面8を含むと導電性が安定するという利点とを併せ持つことができることが分かる。
次に、真空吸着ノズル1とフランジ10との抵抗値が違うことによって電子部品15の吹き飛びや静電破壊の個数がどのように変化するかを調べるために、表1に示す試料No.14〜20の材質を用いて表2に示す試料No.70〜78を作製した。具体的には、試料No.70は真空吸着ノズル1が試料No.20、フランジ10が試料No.18であり、試料No.71は真空吸着ノズル1が試料No.18、フランジ10が試料No.20であり、試料No.72は真空吸着ノズル1が試料No.18、フランジ10が試料No.19であり、試料No.73は真空吸着ノズル1が試料No.18、フランジ10が試料No.18であり、試料No.74は真空吸着ノズル1が試料No.18、フランジ10が試料No.17であり、試料No.75は真空吸着ノズル1が試料No.17、フランジ10が試料No.16であり、試料No.76は真空吸着ノズル1が試料No.16、フランジ10が試料No.17であり、試料No.77は真空吸着ノズル1が試料No.15、フランジ10が試料No.19であり、試料No.78は真空吸着ノズル1が試料No.14、フランジ10が試料No.19である。
そして真空吸着ノズル1の円筒部5の寸法が長さが3.2mm,外径が0.7mm,内径が0.4mmであり、円筒部5の肉厚が0.15mmとなるように製作した。
真空吸着ノズル1はフランジ10との接着部を焼き肌面8と研削面9が含まれるように形成し、フランジ10は真空吸着ノズル1との接着部を全て研削面9に加工した。そして、真空吸着ノズル1と接着部を全て研削面9に形成したフランジ10とを接着して真空吸着ノズル組み立て体7とした試料No.70〜78を作製した。真空吸着ノズル1とフランジ10との接着には導電性接着剤を用いた。
次に、これらの真空吸着ノズル組み立て体7の試料を電子部品装着機14に取り付けて0603タイプ(寸法が0.6mm×0.3mm)の電子部品15の真空吸着テストを行ない、電子部品15の吹き飛び、および電子部品15の静電破壊について調べた。このとき、隣接する電子部品15の間隔は最小で0.1mmとした。
まず、電子部品15の吹き飛びについては、電子部品装着機14を稼動させて2000万個の吸着を行ない、ダミー基板上に電子部品15を実装してその個数を数えることで、電子部品15の吹き飛びの個数を確認した。吹き飛んだ数が3個以下のときは◎、4〜10個のときは○と記入した。また、電子部品15の吹き飛んだ数が11個以上のときは、従来と差がないか従来より劣るので、不合格として×と記入した。
また、電子部品15の静電破壊については、電子部品装着機14を稼動させて2000万個の吸着を行ない、回路を形成したダミー基板上に電子部品15を実装し、ダミー基板の通電試験を行なって電子部品15を実装した回路基板が通電するか否かの確認をするという方法で、電子部品15の静電破壊の有無を確認した。今回の試験では、1枚のダミー基板に100個の電子部品15を実装して、一般に使用される回路の導通試験機を用いてダミー基板毎に導通試験を実施して、問題のあったダミー基板についてのみさらに個別に実装した電子部品15の導通試験を実施して、良否の判断を行ない静電破壊した個数を数えた。その結果、静電破壊した個数が3個以下のときは◎、4〜10個のときは○とし、11個以上のときは、従来と差がないか従来より劣るので、不合格として×とした。また、真空吸着ノズル1とフランジ10との接着部に焼き肌面8または研削面9が形成されている試料は「有」、形成されていない試料は「無」として表5に表記した。
得られた結果を表5に示す。
表5に示す結果から、電子部品15の吹き飛びおよび静電破壊については、本発明の試料No.70〜77は、電子部品15の吹き飛びおよび静電破壊が2000万個中で10個以内であり、比較例である試料No.78は11個以上であった。つまり、試料No.70〜77は、真空吸着ノズル組み立て体7の先端と後端との間の抵抗値が103〜1011Ωであることから、真空吸着ノズル1に静電気が発生しても適切に除電することができ、電子部品15が静電気で反発して吹き飛ぶことや静電破壊することが少ないと言える。
特に、試料No.71〜73は、真空吸着ノズル組み立て体7の先端と後端との間の抵抗値が103〜1011Ωの範囲内であると同時に、真空吸着ノズル1の抵抗値がフランジ10の抵抗値と同等か大きいことから、真空吸着ノズル1が帯電しても静電気はフランジ10を経て電子部品装着機14を通して速やかにアース(除電)でき、吹き飛びおよび静電破壊の個数が3個以下となった。
本発明の実施例である試料No.70および74は、真空吸着ノズル組み立て体7の抵抗値が105および107であり、実施例1で同じ抵抗値を有する真空吸着ノズル組み立て体7では静電破壊と吹き飛びの個数が両方とも◎の3個以下であったのに対し、静電破壊の方が○の4〜10個となった。これは、真空吸着ノズル1の抵抗値がフランジ10の抵抗値よりも小さいため、フランジ10に静電気が帯電したとき、静電気がフランジ10から真空吸着ノズル1に流れやすくなってアースが実施例1のものに比べると不十分となったためである。
本発明の実施例である試料No.75,76は、真空吸着ノズル組み立て体7の抵抗値は1010で同じであるが、真空吸着ノズル1とフランジ10との抵抗値の大きさが逆になっている。実施例である試料No.75は、真空吸着ノズル1がフランジ10よりも電気抵抗が小さく、フランジ10に静電気が帯電したとき、静電気がフランジ10から真空吸着ノズル1に流れてアースが試料No.76に比べると不十分となって静電破壊の個数が○の4〜10個となったのに対し、試料No.76は、真空吸着ノズル1がフランジ10よりも電気抵抗が大きく、フランジ10に静電気が帯電しても静電気は電子部品装着機14に流れてアースが十分になされるので、静電破壊の個数が◎の3個以下となった。
これに対し、本発明の比較例である試料No.78は、フランジ10の抵抗値は103Ωであるが、真空吸着ノズル組み立て体7の先端と後端との間の抵抗値が1011Ωを超えているため帯電しやすく、電子部品15が静電気で反発して吹き飛ぶことが2000万個中で11個以上であり、従来品と比較して差がなかった。
次に、試料No.17の黒色のジルコニアで作製した真空吸着ノズル1とフランジ10とを用いた真空吸着ノズル組み立て体7を500個と、試料No.17の黒色のジルコニアで作製した真空吸着ノズル1とステンレスで作製した表1に示す試料No.25のフランジ10とを用いた真空吸着ノズル組み立て体7を500個とをそれぞれ作製し、同じ5人の作業者各々が100組ずつ組み付け作業を行ない、組み付け作業に要した時間を測定して作業時間の差を比較した。
その結果、黒色のジルコニアで作製した真空吸着ノズル1とフランジ10とを用いた真空吸着ノズル組み立て体7と比較して、黒色のジルコニアで作製した真空吸着ノズル1とステンレスで作製したフランジ10とを用いた真空吸着ノズル組み立て体7の方が、作業時間を5〜15%短縮することができた。
これは、真空吸着ノズル1の色調とフランジ10の色調とに濃淡差があるため、細かい部分の視認性がよくなったためと考えられる。
次に、試料No.17を用いて、真空吸着ノズル1とフランジ10とを導電性の接着剤で接着した場合と、絶縁性の接着剤で接着した場合とで、真空吸着ノズル組み立て体7の抵抗値がどのように変化するか評価した。接着した個数はそれぞれ10組ずつとした。
その結果、導電性の接着剤で真空吸着ノズル1とフランジ10とを接着した場合は、真空吸着ノズル組み立て体7の抵抗値は3×107〜7×107Ωで安定していたのに対し、絶縁性の接着剤で接着した場合は、抵抗値が107〜1011Ωとなり、導電性の接着剤を用いた場合に比べると安定しなかった。これは、導電性の接着剤で真空吸着ノズル1とフランジ10とを接着すると、接着部位の導電性が一様な状態となり真空吸着ノズル組み立て体7の抵抗値が安定するのに対し、絶縁性の接着剤で真空吸着ノズル1とフランジ10とを接着すると、接着部位で部分的に真空吸着ノズル1とフランジ10とは接触するが、接触面積の大きさがばらつくこととなるので、抵抗値が安定しない傾向があるためである。
以上のように、本発明の真空吸着ノズル組み立て体7は、真空吸着ノズル1が帯電して真空吸着する電子部品15を吹き飛ばしたり、真空吸着ノズル1から静電気が急速に放電して電子部品15が放電破壊するのを防止することができる。さらに、真空吸着ノズル1の色調とフランジ10の色調とに濃淡差を設けるときには、真空吸着ノズル1とフランジ10とを組み立てるとき、真空吸着ノズル1とフランジ10との接着部の視認性が向上して接着作業の正確さを向上することができる。