JP2009205128A - 表示装置 - Google Patents

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雅博 奥井
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俊之 藤根
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Abstract

【課題】所望の階調特性を実現させるとともに、コントラストの高い映像表示を行うことができる表示装置を提供する。
【解決手段】液晶表示装置は、入力映像信号のゲイン設定を行うコンフィグレーションデザイン部13と、入力映像信号のガンマ調整を行うRGBγ/WB調整部15と、入力映像信号による映像を表示する液晶パネルとを備えて構成される。入力映像信号にゲインを設定する場合、液晶パネルを介して得られる表示輝度と入力映像信号の輝度とにより定まる液晶パネルの出力時の階調特性の形状が、RGBγ/WB調整部15における階調特性の形状と所定の中間階調まで類似する。
【選択図】図2

Description

本発明は、表示装置に関し、より詳細には、所望の階調特性を実現させると共に、コントラストの高い映像表示を行うことができる表示装置に関する。
従来、表示装置のコントラストを高めることを目的として、入力映像信号の輝度レベルに応じて入力映像信号のゲインを上げる技術が種々提案されている。
特許文献1には、CRT方式の表示装置において、所定の輝度レベル以上の入力映像信号を検出すると、入力映像信号のゲインを上げてコントラストを高めることが示されている。しかし、単に入力映像信号のゲインを上げるだけでは、高階調領域(白側)のコントラストが小さくなることから、いわゆる「白つぶれ」現象を生じさせてしまうという問題がある。
これに対して、特許文献2では、入力映像信号のAPLが低かった場合において、白つぶれを発生させることなくコントラスト感を改善させるため、入力映像信号のゲインを上げた後に、白つぶれを起こさないように高階調領域に対し非線形のガンマ補正を行うことが示されている。
さらに最近では、特に液晶表示装置において、入力映像信号のゲイン調整を行うだけではなく、入力映像信号のゲインと連動してバックライト光源の輝度を変調させることにより、消費電力を低減させるとともによりコントラスト感を高める技術が提案されている。
例えば、特許文献3,4には、映像信号のヒストグラムが表示可能帯域の所定比率以下である場合(輝度分布が暗い場合)に、バックライトの輝度を落とすとともに入力映像信号のゲインを上げて、映像表示輝度を保ちながらコントラスト感の向上を図ることが示されている。特に、特許文献4では、入力映像信号のゲインを上げたことによる白つぶれを生じさせないようにするために、特許文献2と同様に高階調領域に対して非線形の補正を行うことが示されている。
さらに、特許文献5には、映像信号の最大輝度レベル、最小輝度レベル、平均輝度レベルに応じて入力信号をダイナミックレンジ幅までゲインを上げるとともにバックライトの輝度を調節することが示されている。
ところで、一般的にガンマ調整(絵作り)とホワイトバランス調整は一体の処理系で調整を行われ、また、ホワイトバランス調整は階調変換処理の最後に処理することが望まれるため、特許文献1や特許文献2に記載されているように、入力映像信号のゲイン設定は、ガンマ調整(絵作り)の前に行う構成となっていた。
図14は、従来の映像信号のゲイン調整を行った場合の階調特性を示す図である。ここでは、ゲインを1.1倍とした場合について示す。図14(A)はゲイン設定に用いる階調特性(ゲインカーブ)を示し、図中点線はゲイン1.0とした場合の階調特性、実線はゲイン1.1とした場合の階調特性を示す。図14(B)はガンマ調整に用いる階調特性(ガンマカーブ)を示す。なお、図14(A),(B)において、横軸がデジタル入力、縦軸がデジタル出力とする。
また、図14(C)は表示出力時の階調特性とガンマ調整時の階調特性とを比較して説明するための図である。ここでは、横軸がデジタル入力、縦軸が見かけ上の出力とする。なお、表示出力時の階調特性とは、液晶パネルを介して得られる表示輝度(縦軸の見かけ上の出力に相当)と、入力映像信号の輝度(横軸のデジタル入力に相当)とにより定まり、液晶パネルから見た光出力(デジタル出力ではない)として測定される。
図14において、液晶表示装置は、入力映像信号に対して、図14(A)に示すゲイン設定(1.1倍)を行った後に、ゲイン設定後の映像信号を入力として図14(B)に示すガンマ調整がなされる。そして、ガンマ調整後の映像信号を入力としたときに、図14(C)の実線で示される表示出力時の階調特性gが得られる。この表示出力時の階調特性gは、液晶パネルに表示出力される際の見かけ上の階調特性であり、前述したように、液晶パネルを介して得られる表示輝度と入力映像信号の輝度とにより定まる。
図14(C)において、点線は図14(B)でガンマ調整に用いた階調特性(階調特性g)の見かけ上の出力であり、液晶パネルの表示出力時(見かけ上)の階調特性gとガンマ調整の階調特性gとは一致せず、大きなズレが生じる。
図15は、映像信号のゲイン調整及びバックライト輝度変調を行った場合の階調特性を示す図である。ここでは、ゲインを2.0倍、バックライト輝度を対応する輝度値(最大輝度の1/5)とした場合について示す。対応する輝度値は例えば後述の式(4)によって算出される。図15(A)はゲイン設定に用いる階調特性(ゲインカーブ)を示し、図中点線はゲイン1.0とした場合の階調特性、実線はゲイン2.0とした場合の階調特性を示す。なお、ここでは、ゲイン設定に加えてバックライト輝度変調(最大輝度の1/5に低減)を行うものとする。図15(B)はガンマ調整に用いる階調特性(ガンマカーブ)を示す。また、図15(C)は表示出力時の階調特性とガンマ調整時の階調特性とを比較して説明するための図である。
図15において、液晶表示装置は、入力映像信号に対して、図15(A)に示すゲイン設定(2.0倍)及びバックライト輝度変調(最大輝度の1/5に低減)を行った後に、ゲイン設定後の映像信号を入力として図15(B)に示すガンマ調整がなされる。そして、ガンマ調整後の映像信号を入力としたときに、図15(C)の実線で示される表示出力時の階調特性gが得られる。この表示出力時の階調特性gは、液晶パネルに表示出力される際の見かけ上の階調特性であり、前述したように、液晶パネルを介して得られる表示輝度と入力映像信号の輝度とにより定まる。
図15(C)において、点線は図15(B)でガンマ調整に用いた階調特性(階調特性g)の見かけ上の出力であり、液晶パネルの表示出力時(見かけ上)の階調特性gとガンマ調整の階調特性gとは一致せず、大きなズレが生じる。
特開平6−62277号公報 特開2003−309741号公報 特開2006−276677号公報 米国特許出願公開第2006/0274026号明細書 特開2001−27890号公報
図14(C)及び図15(C)において、見かけ上の出力ズレは、線形のゲイン設定を行った後に、ゲインされた映像信号に対して非線形の絵作り用のガンマ調整を行うことに起因する。すなわち、ガンマ調整に用いる絵作り用ガンマカーブは非線形の関数であるため、ゲインされた映像信号を入力することで、このガンマカーブが大きく増幅されてしまうことになり、絵作り用ガンマカーブ(階調特性g)とは一致せず、所望の表示品質を得ることができない。
このように、ガンマ調整(絵作り)は非線形の階調変換であるため、線形の階調変換を含むゲイン設定をガンマ調整(絵作り)の前に行うと、ガンマ調整(絵作り)を行ったにも関わらず、表示時の階調特性に反映されず、所望の表示画質が得られないという問題があった。特に、低階調(黒)の場合、階調数が少ないため、ゲイン設定により不用意に階調を伸張してしまうと、黒の階調性が損なわれ、画質を劣化させてしまう。
また、液晶表示装置においてバックライトの輝度変調とともに入力映像信号のゲイン設定を行う場合においては、通常のゲイン幅よりも大きくゲイン設定を行う。そのため、入力映像信号のゲイン設定をガンマ調整(絵作り)の前に行うという構成では、表示時の輝度特性がガンマ調整(絵作り)部で調整した所望の階調特性からさらに大きく外れることになり、画像品位を著しく低下させることになってしまう。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、所望の階調特性を実現させるとともに、コントラストの高い映像表示を行うことができる表示装置の提供を目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、入力映像信号のゲイン設定を行うゲイン設定部と、前記入力映像信号のガンマ調整を行うガンマ調整部と、前記入力映像信号による映像を表示する表示パネルとを備えた表示装置において、前記入力映像信号にゲインを設定する場合、前記表示パネルを介して得られる表示輝度と前記入力映像信号の輝度とにより定まる前記表示パネルの出力時の階調特性の形状が、前記ガンマ調整部における階調特性の形状と所定の中間階調まで類似することを特徴としたものである。
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記表示パネルを照射する光源と、該光源の発光輝度を制御する光源輝度制御部とを備え、前記光源の発光輝度と前記入力映像信号のゲインとを連動して設定する場合、前記表示パネルを介して得られる表示輝度と前記入力映像信号の輝度とにより定まる前記表示パネルの出力時の階調特性の形状が、前記ガンマ調整部における階調特性の形状と所定の中間階調まで略同一であることを特徴としたものである。
第3の技術手段は、第1又は第2の技術手段において、前記ゲイン設定部は、前記入力映像信号の特徴量に基づき前記入力映像信号に対して1以上のゲインを設定することを特徴としたものである。
第4の技術手段は、第1乃至第3のいずれか1の技術手段において、前記ゲイン設定部は、前記入力映像信号の特徴量に基づき前記入力映像信号の所定の中間階調までは線形のゲインを設定することを特徴としたものである。
第5の技術手段は、第3又は第4の技術手段において、前記入力映像信号の特徴量とは、前記入力映像信号の1画面分の平均輝度レベルであることを特徴としたものである。
第6の技術手段は、第3又は第4の技術手段において、前記入力映像信号の特徴量とは、前記入力映像信号の1画面分の輝度のヒストグラム分布であることを特徴としたものである。
第7の技術手段は、第3又は第4の技術手段において、前記入力映像信号の特徴量とは、前記入力映像信号の輝度のピーク値であることを特徴としたものである。
第8の技術手段は、第1乃至第7のいずれか1の技術手段において、前記表示パネルを介して得られる表示輝度と前記入力映像信号の輝度とにより定まる前記表示パネルの出力時の階調特性は、低階調領域で輝度レベルを低くし、中間階調領域で輝度レベルを高くする特性を持つことを特徴としたものである。
第9の技術手段は、第1乃至第8のいずれか1の技術手段において、前記入力映像信号のホワイトバランス調整は前記ゲイン設定の後に行うことを特徴としたものである。
第10の技術手段は、第1乃至第9のいずれか1の技術手段において、前記表示パネルは、液晶パネルであることを特徴としたものである。
本発明によれば、特に低階調部分の階調変化を抑えて、所望の階調特性を実現させることができるとともに、コントラストの高い映像表示を行うことができる。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の表示装置に係る好適な実施の形態について説明する。なお、本発明の表示装置としては、液晶表示装置を代表例として説明するが、これに限定されず、少なくともゲイン設定を行うことができる表示装置であれば本発明を適用することができる。
また、本発明の実施形態としては、ゲイン設定とバックライト輝度変調とを連動して行う実施形態と、ゲイン設定のみを行う実施形態とがある。以下では、まずゲイン設定をとバックライト輝度変調とを連動して行う実施形態に係るバックライト輝度変調処理の概要について説明する。
〈本発明に係る輝度変調処理の概要〉
表示装置から発せられる光量は、表示する映像信号のレベルを忠実に再現するのが理想である。つまり、黒画面を表示する場合、画面から発せられる光量は理想的には0でなければならない。しかし、現実の液晶表示装置では、若干の光漏れがあり、黒画面を表示する場合にも黒ではなくグレー表示となる。
表示装置の重要な性能の一つとしてコントラスト比(以下CRともいう)がある。表示装置において、CRは表示パネル上の最大輝度と最小輝度の比である。液晶表示装置の場合、最大輝度は光源の最大発光輝度で決まり、最小輝度は黒表示時の光漏れ量によって決まる。よって、光源の発光輝度が一定の場合、同一の液晶パネルにおいてコントラスト比は一定となる。
図1は、CRが3000と6000の液晶パネルについて、入力階調(映像信号レベル)と液晶パネル上での輝度値との関係を示すグラフである。最大輝度は共に同じ450cdであるが、入力階調(画素値)0での液晶パネル上の表示輝度(最小輝度)はCR3000の場合に0.15cd、CR6000の場合に0.075cdとなり、2倍の差がある。
ここで、CR3000の液晶パネル使用時に光源の発光輝度を50%まで下げるとともにゲイン設定で入力映像信号を所定量増幅させると、入力映像信号の画素値と液晶パネルの表示輝度値との関係は、図1において点線で示すような関係となり、画素値0〜128においてはCR6000の液晶パネルに近い輝度表現をさせることが可能になる。しかしながら、画素値128より大きい映像は階調表現できず、いわゆる白つぶれを起こすことになる。従って、入力映像信号の特徴量に応じてバックライトの発光輝度の調節と、ゲイン設定を行う必要がある。
例えば、入力映像信号の輝度のヒストグラムが画素値128以下の輝度分布を示す場合に、上述の図1で示すようにバックライトの輝度を50%まで下げるとともにゲイン設定で所定入力映像信号を所定量増幅させるような制御を行うようにすればよい。このように入力映像信号の特徴量に応じてバックライトの発光輝度の制御及びゲイン設定を行うことにより、コントラスト感を高めることができると同時にバックライトの発光輝度を下げることによる省電力化を図ることが可能になる。
上記では入力映像信号の輝度のヒストグラムが画素値128以下の輝度分布を示す場合を例に挙げ説明したが、上記例以外でも、例えば、映像中の白部分が極めて少ない場合には、白部分の重視度を下げ、黒表現の向上を同様にして図ることができる。このとき、重視しない部分の白つぶれは無視してもよいし、ターゲットCRを実現させるゲイン設定によっても白つぶれが緩和できるように、白側領域でのゲインを決めるようにしてもよい。
また、本発明に係る輝度変調処理では、省電力化を図るために、後述するように映像信号から得た映像のAPL等の特徴量に応じて動的に光源の発光輝度を抑える処理も併せて実行する。
つまり、ゲイン設定及びバックライト光源の発光輝度レベルを設定するための参照用の発光輝度レベルをまず映像特徴量(APL,ピーク(最大輝度値),ヒストグラム情報等)に応じて設定し、省電力化を図ると共に、参照用の発光輝度レベルに対して、さらに上述のごときコントラスト感を出すための処理(すなわち発光輝度レベルを参照用の発光輝度レベル以下の適切な値に設定する)を実行して、CR向上及び更なる省電力化を図り、その処理と連動させて映像信号のゲインを設定して、視覚上の輝度を保つようにする。
〈本発明に係る輝度変調処理を行う液晶表示装置のシステム構成例〉
図2は、本発明に係る液晶表示装置のシステム構成例を示すブロック図である。図2で例示する液晶表示装置は、スケーリング部1、Yヒストグラム検出部2、APL検出部3、BL(バックライト)輝度レベル設定部8、CPU(Central Processing Unit)/CPLD(Complex Programmable Logic Device)11、BL調光部12、画質補正部14、RGBγ/WB(White Balance)調整部15、FRC(Frame Rate Control)部16、及び映像出力部17を備える。
図2で例示する液晶表示装置は、さらに本発明に係る輝度変調処理の主な部分を実行するアドバンスト輝度変調部20を備える。アドバンスト輝度変調部20は、ヒストグラムストレッチング部4、ディストーションモジュール5、シーンチェンジ検出部6、第1のテンポラリフィルタ7、第2のテンポラリフィルタ9、可変ディレイ10、コンフィグレーションデザイン部13を有する。なお、上述したように、本発明に係る輝度変調処理は、APL等の特徴量に応じた動的な光源の発光輝度制御を行うだけでなく、その映像特徴量の所定の条件により決定される光源の参照用の発光輝度レベルBLrefに対しさらにコントラスト感を出すような発光輝度レベルBLreducedを選択し、且つ映像信号のゲインも設定するという進化した輝度変調処理である。そのため、この処理を実行する部位を「アドバンスト」輝度変調部20と呼んでいる。
まず、図2の液晶表示装置における各ブロックの概要について説明する。
映像出力部17は、映像信号による映像を表示する液晶パネルと、映像信号を液晶パネル駆動のための信号に変換し液晶パネルに出力する液晶制御回路とを有する。その詳細は後述するが、映像信号は、アドバンスト輝度変調部20で設定されたゲインを用いて変換された後、この映像出力部17に入力される。つまり、本発明に係る輝度変調処理においては、この映像出力部17で表示すべき映像を示す映像信号が処理対象となる。ゲイン及びその設定については後述する。
BL調整部12は、蛍光管で構成されるランプと、そのランプを駆動するランプ駆動回路とを有し、液晶パネルを背面や側面から照射する光源(バックライト光源、或いは単にバックライトともいう)を構成する。本発明に係る輝度変調処理においては、このランプが発光輝度制御の対象となる。
BL調整部12は、CPU/CPLD11で制御される。CPU/CPLD11は、アドバンスト輝度変調部20から出力された発光輝度レベルBLreducedを示す信号(例えばデューティ信号)に従って、BL調整部12のランプ駆動回路(例えばインバータ回路)で実際に調光するための信号(例えばパルス幅変調等の駆動に適した信号)に変換して、BL調整部12へ出力する。バックライト調光値を実際のバックライト調光のための信号に変換するものである。また、ランプとしては、例えばLED(Light Emitting Diode)で構成されるものや、LEDと蛍光管の組み合わせで構成されるものを採用してもよく、同時にそれに対応したランプ駆動回路を設けておけばよい。
映像出力部17へ出力する映像信号の処理、並びにCPU/CPLD11を介してBL調整部12の制御を行う部位が、スケーリング部1、Yヒストグラム検出部2、APL検出部3、BL輝度レベル設定部8、画質補正部14、RGBγ/WB調整部15、FRC部16、及びアドバンスト輝度変調部20である。
まず、スケーリング部1は、液晶パネルの解像度等に応じて、入力された映像信号(入力映像信号)が示す映像フレームの画素数、或いはその映像フレームのアスペクト比を、演算により変更する。
ここで、入力映像信号としては、例えば放送波として受信した映像信号を復調した信号、通信ネットワーク経由で受信した映像信号、内部記憶装置に記憶された映像信号を読み出した信号、各種レコーダや各種プレーヤやチューナ機器といった外部機器から受信した映像信号などが該当し、或いはそれら映像信号に対して各種映像処理を施した後の映像信号が該当する。図示しないが、図2の液晶表示装置は、このような映像信号のいずれかを取得可能なよう構成しておけばよい。
画質補正部14は、スケーリング部1から出力された映像信号に対し、ユーザ設定等により、映像のコントラストや色味等を変更する。
本発明の主たる特徴部分であるRGBγ/WB調整部15は、画質補正部14から出力された映像信号に対し、映像のγ、WB(ホワイトバランス)/CT(色温度)等の調整を行う。さらに、RGBγ/WB調整部15は、アドバンスト輝度変調部20(実際にはコンフィグレーションデザイン部13)からのゲイン設定信号によって信号のゲインを変更する。
RGBγ/WB調整部15ではそのゲインに基づき映像信号の変換が施され、後述するようなアドバンスト輝度変調部20で発光輝度レベルを低下させる制御に対して輝度低下分をゲインによって補償する。
ここで、低階調部分のノイズを抑えるため、この変換は、γ調整後であってWB調整前に施すようにする(後述する第1及び第2の実施形態)。
あるいは他の実施形態では、ゲインを変更した後にγ調整を行う構成をもち、さらにここのときにゲイン変更の後にγ調整を行うことによる階調特性のずれを補正するために、ゲイン変更の前にさらに階調補正部を付与している(後述する第3及び第4の実施形態)。
アドバンスト輝度変調部20からのゲイン設定信号は、上述の液晶パネルへ出力すべき映像信号の画素値(映像信号レベル)を変換するための変換係数を示す信号である。このゲイン設定信号は、以下の例で示すように各映像信号レベル(この例では0〜255の値)に乗算するための共通の1つの変換係数とし、後述するようにゲインすることで頭打ちとなる映像信号レベルの範囲などに基づいて得た或る映像信号レベルの範囲に対しては、ゲインをRGBγ/WB調整部15で補正してもよい。
FRC部16は、フレームレートコンバータであり、RGBγ/WB調整部15から出力された調整後の映像信号に対し、映像の動きベクトルを検出し補完映像を生成することによって、通常60Hzの表示周波数から120Hzの表示周波数に変換するものである。勿論、FRC部16での処理対象の表示周波数や処理後の表示周波数はこれに限ったものではない。図2の例では、映像出力部17の液晶駆動回路は、FRC部16から出力された映像信号を液晶パネル駆動のための信号に変換し、液晶パネルに出力することになる。
Yヒストグラム検出部2は、映像フレームを画素単位等に分割し、各画素の輝度値の発生頻度を表したヒストグラムを生成する。Yヒストグラム検出部2で生成されたヒストグラムは、例えば輝度値(Y)0〜255のそれぞれに対して頻度の値を持つ。APL検出部3は、映像信号の平均輝度レベルを、映像フレーム毎に算出する。APL検出部3で算出される値としては、全画面で黒の場合には0%を示す値となり、全画面で白の場合には100%を示す値となる。
ヒストグラムストレッチング部4は、Yヒストグラム検出部2で生成されたヒストグラムから、アドバンスト輝度変調部20で使用する範囲を設定する。例えば、ディストーションモジュール5が最小値0〜最大値255で演算を実行するモジュールであり、且つ入力映像信号が元々最小値10〜最大値235の値をとるような信号であった場合を想定する。このような場合には、ヒストグラムストレッチング部4は、ディストーションモジュール5での演算に合わせるために、最小値10〜最大値235のそれぞれに対する頻度値を、最小値0〜最大値255のそれぞれに対する頻度値に当てはめるように引き伸ばすものである。
ディストーションモジュール5は、ヒストグラムストレッチング部4から入力されたヒストグラムと、後述するBL輝度レベル設定部8で設定された参照用の発光輝度レベル(バックライト目標値ともいう)BLrefとから、実際に設定する発光輝度レベル(バックライト値ともいう)BLreduced、すなわちバックライトの制御に使用する発光輝度レベルを選択(決定)する。選択は、予め定められた複数の発光輝度レベルの中からBL輝度レベル設定部8で設定された参照用発光輝度レベルBLrefを超えない範囲で行う。また、ここでは、ターゲットCRをもつ液晶パネルにより近い表示映像を実現できるバックライト値BLreducedを選択する。ターゲットCR等のディストーションパラメータは図示しないメインCPUから設定すればよい。
シーンチェンジ検出部6では、1フレーム前のヒストグラムと現ヒストグラムの変化の程度からシーンチェンジの有無を検出する。例えば、各輝度値の頻度変化の累計値を算出し、特定の値よりも大きかった場合には場面が変わったと判定する。
第1のテンポラリフィルタ7は、ディストーションモジュール5で選択された上述の実際に設定する発光輝度レベルBLreducedが急激に変化した場合に生じる、視覚上の違和感を防止するために設けられたものであり、発光輝度レベルBLreducedの変化量を時間的に緩慢なものにした後、実際に設定する発光輝度レベルBLreducedとして後段に出力する。また、シーンチェンジ時には、緩慢な発光輝度レベルBLreducedの変化を施すと返って違和感を持つため、シーンチェンジ検出部6によるシーンチェンジ検出信号により、第1のテンポラリフィルタ7の値を変え、比較的早い変化ができるようにする。
BL輝度レベル設定部8は、APL検出部3から出力されたAPL値もしくはYヒストグラム検出部2から出力されたヒストグラム情報などの映像特徴量、および図示しないメインCPUから出力されたOPC(Optical Picture Control;明るさセンサともいう)の値やユーザ設定値などを参照して、バックライトの発光輝度レベルの最大値を決定する。例えば、APLが高い場合にはバックライトの発光輝度レベルの最大値を低い値とすることで、眩しさを感じない映像とすることができる。このバックライトの発光輝度レベルの最大値が、アドバンスト輝度変調部20で実行されるアドバンスト輝度変調の参照用の発光輝度レベル(バックライト目標値)BLrefとなる。参照用の発光輝度レベルBLrefを決定するための映像特徴量としては、上述のようにAPLやヒストグラム情報を用いることができ、実施形態に応じて使用する特徴量が選択される。ヒストグラム情報には、映像のピーク値(最大輝度値)や、最大輝度より小さい所定輝度の間に含まれる映像信号の割合などが使用される。
なお、ディストーションモジュール5での選択が、BL輝度レベル設定部8で設定された参照用発光輝度レベルBLrefを超えない範囲で行われることから、BL輝度レベル設定部8では、参照用発光輝度レベルBLrefとしてバックライトの発光輝度レベルの最大値が設定されると説明している。また、図2の例では、第2のテンポラリフィルタ9を経由した参照用発光輝度レベルをBLrefとしている。
第2のテンポラリフィルタ9は、第1のテンポラリフィルタ7と同等の機能を持つフィルタである。概略を説明すると、APLが急激に変化し、且つその変化がディストーションモジュール5での選択に影響を与えないような場合に、第1のテンポラリフィルタ7から出力される発光輝度レベルBLreducedはその時間的変化が緩和されている。しかし、ゲイン設定はBL輝度レベル設定部8から出力された参照用発光輝度レベルを元に計算するため、ゲインが変化してしまい、液晶パネル上の表示輝度が急激に変化してしまう。このような表示輝度の急激な変化を無くす或いは緩和するために、第2のテンポラリフィルタ9を設けている。
可変ディレイ10は、映像出力部17での映像出力とBL調光部12でのバックライト調光とのタイミングを取るための遅延部である。バックライト調光は、調光値が決定すれば比較的少ない処理後、バックライト輝度制御が行われる。それに対して、映像信号はアドバンスト輝度変調で映像のゲインが決定し、映像信号の輝度レベルを変更した後もFRC部16でのフレームレート制御や、液晶制御回路でのパネル制御信号への変換など、多くの処理が行われるため、時間的な遅延が発生する。そうすると、本来同時におこなわれるべきバックライト調光制御と映像のゲイン制御のタイミングがずれてしまい、バックライトと映像のバランスが崩れてしまうことになる。そこで、可変ディレイ10によってバックライト調光をあえて遅らせ、バックライト調光制御と映像のゲイン制御のタイミングを合わせるものである。
コンフィグレーションデザイン部13は、BL輝度レベル設定部8で決定された参照用発光輝度レベルBLrefとディストーションモジュール5によって選択された発光輝度レベルBLreducedとに基づき、映像信号のゲインを決定する。なお、図2の例では各レベルBLreduced,BLrefがそれぞれテンポラリフィルタ7,9を通過したレベルを用いている。参照用発光輝度レベル(バックライト目標値)BLrefと選択された発光輝度レベル(バックライト値)BLreducedが同じであれば、映像信号の輝度レベルを変更する必要はなく、ゲインは1である。また、参照用発光輝度レベルよりも選択された発光輝度レベルが低い場合は、その値に応じて、映像信号の輝度レベルを上げる方向にゲイン設定を行う。
〈本発明に係る輝度変調処理を実行する主要ブロックの詳細説明〉
図2の液晶表示装置における主要ブロックとして、BL輝度レベル設定部8、コンフィグレーションデザイン部13、RGBγ/WB調整部15を、この順序で説明する。
《BL輝度レベル設定部8》
BL輝度レベル設定部8には、APL検出部3で検出された映像信号のAPLが入力されるとともに、周囲の明るさ(周囲の照度)を測定する図示しない明るさセンサの検出情報に基づく制御信号、及び液晶パネルの明るさを設定するユーザ設定に基づく制御信号が入力される。また、映像特徴量として、映像信号を仮に伸張したときに表現できない頻度、あるいは映像信号の最小輝度及び最大輝度などの情報を使用する場合には、ヒストグラム検出部2から、映像信号の画面単位(フレーム単位)で必要とするこれら情報(ヒストグラム情報とする)が入力される。また、APLとヒストグラム情報の両方を使用する場合には、それぞれの情報がBL輝度レベル設定部8に入力される。
そして、BL輝度レベル設定部8ではこれらの制御信号とAPLとに基づいて、参照用発光輝度レベルBLrefを出力する。より具体的には、画面単位(フレーム単位)で変化する入力映像信号のAPLに応じて、バックライト輝度を動的に調整する方式を適用し、これにより得られた発光輝度レベルを参照用発光輝度レベルBLrefとして出力する。
参照用発光輝度レベルBLrefの生成には、BL輝度レベル設定部8に保持されている輝度制御テーブル(ルックアップテーブル)が用いられる。輝度制御テーブルは、入力映像信号の映像特徴量(ここではAPL)に応じたバックライトの発光輝度レベルの関係、すなわち輝度制御特性を定めるものである。そして予め選択可能な複数の輝度制御テーブルを用意し、BL輝度レベル設定部8が備えるROM(Read Only Memory)等のテーブル格納メモリに保持させておく。
液晶表示装置周囲の明るさを測定する明るさセンサには、例えばフォトダイオードが適用される。明るさセンサは、検出した周囲光に応じた直流電圧信号を生成し、図示しないメインCPUに出力する。メインCPUは、周囲光に応じた直流電圧信号に応じて輝度制御テーブルを選択する制御信号をBL輝度レベル設定部8に出力する。
さらに、メインCPUは、液晶パネルの明るさを設定するユーザ設定に基づく制御信号として、輝度制御テーブルの輝度制御値を調整するための輝度調整係数を出力する。輝度調整係数は、ユーザ操作に応じて画面全体の明るさ設定を行うために使用される。例えば、液晶表示装置が保持するメニュー画面には、画面の明るさ調整項目が設定されている。ユーザは、その設定項目を操作することによって、任意の画面明るさを設定することができる。メインCPUは、その明るさ設定を認識し、設定された明るさに従ってBL輝度レベル設定部8に輝度調整係数を出力する。
BL輝度レベル設定部8では、明るさセンサの検出情報に従ってメインCPUから出力された制御信号により、テーブルNoを指定して輝度制御テーブルを選択する。若しくは選択する輝度制御テーブルを演算によって生成するようにしてもよい。そして、選択した輝度制御テーブルの輝度変換値に対して、ユーザ設定に基づく制御信号として得た輝度調整係数を乗算し、輝度制御テーブルの輝度制御特性の傾きを変化させ、最終的に、参照用発光輝度レベルBLrefの生成に使用する輝度制御テーブルを決定する。そして、BL輝度レベル設定部8は、決定した輝度制御テーブルの輝度制御特性を使用し、APL検出部3から出力されたAPLに応じて参照用発光輝度レベルBLrefを生成して出力する。
輝度制御テーブルは、上述したように、入力映像信号の特徴量であるAPLとバックライトの発光輝度レベルとの関係を定めるものであって、例えば、APLが大きいときにはバックライトの発光輝度レベルが小さくなるように設定することで、高輝度の映像のときに眩しさを感じないようにバックライトの発光輝度を抑えるようにしている。輝度制御テーブルの輝度制御特性に従って、映像信号のAPLの変化に応じて発光輝度レベルBLrefが動的に変化する。本発明においては、輝度制御テーブルにおける輝度制御特性については特に限定されるものではなく、入力映像信号の特徴量に応じてバックライトの発光輝度レベルを動的に変化させる特性を規定するものを適宜適用することができる。
このようにしてBL輝度レベル設定部8から出力された参照用発光輝度レベルBLrefは、第1のテンポラリフィルタ7の作用で遅延された後、コンフィグレーションデザイン部13に入力し、映像ゲインの演算に使用されるとともに、ディストーションモジュール5に入力して、ヒストグラムに応じた発光輝度レベルBLreducedの決定に使用される。
図3は、図2の液晶表示装置におけるディストーションモジュールで実行される発光輝度レベル選択処理の一例を説明するための図である。h1は映像信号のYヒストグラムを示している。ここで横軸は映像信号の入力階調(映像信号としてとりうる画素値、又は映像信号レベルともいう)を示し、縦軸は各映像信号レベルの頻度を示している。
このような映像のヒストグラムh1に対して、使用する液晶パネルにおいてバックライトの発光輝度レベルが100%の時に表示可能な映像輝度範囲をAとする。また、ターゲットCRの液晶パネルで表示可能な映像輝度範囲をBとする。また、ディストーションモジュール5で選択可能な発光輝度レベルのうち、ある特定の発光輝度レベルで表示可能な映像輝度範囲をCとする。そして、ヒストグラムh1において、映像輝度範囲Cの両側で映像輝度範囲Bと重なる部分が、上述の数値化を行う対象となる部分であり、評価値算出部分である。この評価値算出部分のうち、低輝度部分をD1、高輝度部分をD2とする。
評価値(Distortion)は、選択可能な発光輝度レベルに対して、頻度と重み付けによって下式(1)によって算出する。
Distortion=Σ{(映像輝度範囲D1+D2の頻度)×(距離重み)}・・・(1)
重みとしては、評価値算出対象となる発光輝度レベルで表示可能な映像輝度範囲Cから遠ざかる程大きくする距離重みを用いる。ここでは、低輝度部分D1の距離重みをE1、高輝度部分D2の距離重みをE2とする。従って、同じ頻度値であっても、表現できる範囲から遠いほうが、評価値は大きくなる。これは表現できる範囲から遠いほうが、映像として表現できない影響が大きいためである。頻度と重み付けによって算出した値はF1(低輝度部分)、F2(高輝度部分)である。評価値はF1とF2の面積(累計)を合計した値となる。
ディストーションモジュール5では、各発光輝度レベルに対して算出した評価値のうち、最も評価値が低い映像輝度範囲Cに対応する発光輝度レベルを、出力する発光輝度レベルBLreducedとして選択する。このとき、ディストーションモジュール5では、BL輝度レベル設定部8で設定され、第2のテンポラリフィルタ9によって緩和された発光輝度レベルBLrefを越えない範囲で、最も評価値が低い映像輝度範囲Cに対応する発光輝度レベルBLreducedを選択する。
このような評価値の算出は、ディストーションモジュール5で、選択可能な発光輝度レベルの全てについて行うことが理想である。しかし、処理時間等の制限があるため、選択可能な発光輝度レベルの輝度制御範囲を均等に分け、例えば10%程度毎の発光輝度レベルについて算出すればよい。
つまり、上式(1)の特定の発光輝度レベルで表示可能な映像輝度範囲をCとして、選択可能な発光輝度レベルを順次適用し、発光輝度レベルごとに評価値を算出する。そして算出した評価値の中から、最も低い評価値をもつ発光輝度レベルを、選択した発光輝度レベルBLreducedとし、この値を第1のテンポラリフィルタ7に出力してバックライトの調光制御に用いるとともに、コンフィグレーションデザイン部13に出力して映像ゲインの設定(算出)に用いる。
ディストーションモジュール5での選択処理を、図4〜図7を参照し具体的な数値で説明する。図4は、本発明に係る液晶表示装置における輝度変調処理の具体例を説明するための図で、映像ヒストグラムにおけるパネルCRとターゲットCRとの関係の一例を示す図である。ここでは、使用する液晶パネルのCR(パネルCR)が2000、ターゲットCRが3500、バックライトの輝度制御範囲が20〜100%で、バックライト輝度100%のときの液晶パネルの最大輝度は450cdとする。また、図4における各アルファベット記号は図3に準拠する。
この例において、使用する液晶パネルで表示可能な映像輝度範囲Aは、450cd〜0.225cdである。また、目標とする液晶パネルの表示可能な映像輝度範囲Bは、450cd〜0.128cdである。そして、各映像信号レベル0〜255に対する頻度を映像輝度範囲Bに合わせるように割り付ける。この場合、映像輝度範囲Aと映像輝度範囲Bとの差は5デジット程度である。
ヒストグラムh1において、映像輝度範囲Bと映像輝度範囲Aとの差の部分に映像があれば、バックライトの発光輝度レベルを下げることで、よりターゲットCRに近い輝度表現が可能になる。しかし、高輝度側にも映像が分布していると、バックライトの発光輝度レベルを下げることで表現できない部分が発生する。そこで、上述したように、評価値を算出して最適な発光輝度レベルBLreducedを求める。
図5は、選択対象の一つである発光輝度レベル100%のときの映像輝度範囲Cを示す図、図6は、選択対象の一つである発光輝度レベル70%程度のときの映像輝度範囲Cを示す図、図7は、選択対象の一つである発光輝度レベル50%程度のときの映像輝度範囲Cを示す図である。図5〜図7における各アルファベット記号は図3に準拠する。
図5で示したように、発光輝度レベルが100%を示すものである場合、低輝度部分の評価値F1には或る程度の値があり、高輝度部分の評価値F2には値がない。また、図6で示したように、発光輝度レベルを70%程度に下げた場合、低輝度部分の評価値F1及び高輝度部分の評価値F2ともに、低い値を持つ。また、図7で示したように、発光輝度レベルを50%程度に下げた場合、低輝度部分の評価値F1には値がなく、高輝度部分の評価値F2には大きな値を持つ。図5〜図7で例示した各発光輝度レベルでの評価値算出結果の面積(累積)を比較してみると、発光輝度レベルが70%のときが最も低い。従って、ディストーションモジュール5では発光輝度レベル70%を選択し、出力することになる。
《コンフィグレーションデザイン部13》
液晶パネルへ入力される画素値と液晶パネルでの表示輝度との関係を示す基本的なモデルは、下式(2)により示される。ここで、Yは液晶パネルでの表示輝度、BLはバックライトの発光輝度レベル(バックライトDUTY)、CV(Code Value)は液晶パネルへ入力される画素値である。また、この例では映像信号の階調は0〜255で量子化されているものとする。
Y=BL(CV/255)γ ・・・(2)
コンフィグレーションデザイン部13は、ディストーションモジュール5で選択された発光輝度レベルBLreducedによってバックライトの発光輝度が低下したときに、画面上の輝度を上げるように、映像ゲインを調整する。ゲインをかけた画素値をCVreduced とするとき、発光輝度レベルを低下させたときの画面の明るさ(液晶パネルでの表示輝度)は、BLreduced(CVreduced/255)γである。一方で、参照用発光輝度レベルBLrefでバックライトを制御したときの画面の明るさは、BLref(CVref/255)γとなる。これらの値を等しくさせ、発光輝度レベルBLreducedによって生じるバックライトの発光輝度の低下分を補償するように、画素値を決定すればよい。つまり、コンフィグレーションデザイン部13は、下式(3)を満たすようなゲイン設定を行えばよい。
Y=BLreduced(CVreduced/255)γ=BLref(CVref/255)γ・・・(3)
従って、ゲイン(Gとする)は、下式(4)のようになる。例えば、参照用発光輝度レベルBLrefが100%のときには、下式(5)のようになる。なお、BLrefとBLreducedとの関係をルックアップテーブルとしてコンフィグレーションデザイン部13のROMなどに格納しておき、下式(4)の演算処理を高速に実行させることが好ましい。
G=CVreduced/CVref=(BLref/BLreduced1/γ・・・(4)
G=(1/BLreduced1/γ ・・・(5)
図8は、図2の液晶表示装置におけるアドバンスト輝度変調部から出力されるゲイン設定信号に基づきRGBγ/WB調整部で設定される映像信号ゲインの例を示す図で、図9は、図2の液晶表示装置におけるRGBγ/WB調整部での調整処理例を説明するための図である。
図8を参照して、入力されるゲイン設定値(変換係数)とそこから得るゲインカーブの関係について説明する。図8(A)に示すように、アドバンスト輝度変調部20から出力される映像信号のゲイン設定が1.0の場合には全輝度について線形のゲインカーブで問題ない。しかし、ゲインが1.0以上の場合、図8(B)に示すように、高輝度部分が一律255の値となり、いわゆる白つぶれが発生する。アドバンスト輝度変調処理では、例えば、少数の白輝度部分の白つぶれを犠牲にして、黒部分をより引き締めるようにゲイン設定してもよいが、白つぶれを起こす階調範囲が広い場合においては、表示品位を大きく低下させることになってしまう。
そこで、低中輝度については、ゲイン設定に応じた信号伸張を行い、高輝度については、ゲインカーブを非線形にすることによって、高輝度部分の階調性の低下を軽減することが好ましい(白つぶれを防ぐこと)。この手法は明るさと白つぶれのトレードオフの関係になる。非線形とする領域を狭めれば、正規の明るさを表現できる領域が増えるが、高輝度の階調性が低下する。逆に、非線形とする領域を広めれば正規の明るさを表現できる領域が減るが、高輝度の階調性が或る程度保たれることになる。実際には非線形とする輝度は、ゲイン設定による出力の例えば90%以上の部分や95%以上の部分とするなどして、白つぶれの影響のある部分のみ非線形とすればよい。図8(C)には、ゲイン設定が1.2の場合に90%以上の部分を非線形にするように補正したゲインカーブを示している。また、図8(D)には、ゲイン設定が1.6の場合に90%以上の部分を非線形にするように補正したゲインカーブを示している。
また、上述のように、ゲイン設定が1.0を超えた場合に生じる高輝度部分の白つぶれを避けるためには、ゲインカーブの高階調領域を一部非線形にする必要がある。しかし、RGBγ/WB調整部15は、ゲイン設定に基づき単純に比例計算を行うため、このようなゲインカーブを算出することができない。そのため、ゲイン設定ごとにゲインカーブをメモリに格納するようにしてもよいし、もしくは、ゲインカーブの線形部分はゲイン設定値から単純に比例計算し、図8(C),(D)に例示したように90%以上の部分については、補間等によって非線形部分を算出するようにしてもよい。なお、ゲイン設定はバックライトの輝度変化に応じて、フレームごとにゲインカーブが算出される場合もあれば、複数のフレーム単位で算出される場合もある。
次に、RGBγ/WB調整部15での各調整処理について説明する。RGBγ/WB調整部15は、画質補正部14から出力された映像信号に対し、上述のゲインカーブでゲインを得る処理、映像のγ調整処理、WB調整処理、さらにはCT(色温度)等の調整も行う。また、CT調整処理は、WB調整処理と合わせて1つの調整カーブを参照して実行してもよい。
また、RGBγ/WB調整部15で実行される各処理は、映像信号のR,G,Bのそれぞれに対し独立して実行される。その際、γ調整処理、ゲインを得る処理については、R,G,Bで同一のカーブによる演算がなされ、WB調整処理/CT調整処理についてはR,G,Bそれぞれ別個の特性のカーブによる演算がなされる。
そして、RGBγ/WB調整部15で実行される各処理の順序として、まずγ調整処理が施され、次いでゲインを得る処理が施され、最後にWB調整処理/CT調整処理を実行する。また他の実施形態では、RGBγ/WB調整部15では、まず階調補正処理が実行され、次いでゲインを設定する処理が施され、さらに絵作りのためのγ調整処理が施され、最後にWB調整処理/CT調整処理を実行する。階調補正処置は、ゲイン設定後にγ調整を行うときの階調特性のずれを補正するために、ゲインの設定処理の前に実行する。
以下に、図2に記載のRGBγ/WB調整部15で実行される各処理の順序について、各処理の階調特性を図示しながら説明する。
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る液晶表示装置は、入力映像信号のゲイン設定を行うゲイン設定部に相当するコンフィグレーションデザイン部13と、入力映像信号のガンマ調整を行うガンマ調整部に相当するRGBγ/WB調整部15と、入力映像信号による映像を表示する液晶パネル(図示せず)と、液晶パネルの照射するバックライト光源(図示せず)と、バックライト光源の発光輝度を制御する光源輝度制御部に相当するBL調光部12とを備えて構成される。この構成により、バックライト光源の発光輝度と入力映像信号のゲインとを連動して設定する場合、液晶パネルを介して得られる表示輝度と入力映像信号の輝度とにより定まる液晶パネルの出力時の階調特性の形状が、RGBγ/WB調整部15における階調特性の形状と所定の中間階調まで略同一となるようにしている。
図9は、第1の実施形態に係る階調特性の一例を説明するための図で、入力映像信号に対してゲイン設定及びバックライト輝度変調を行う場合について説明するものとする。従来技術として説明した図14のゲイン設定とガンマ調整の処理の順番を入れ替えたもので、RGBγ/WB調整部15で実行されるガンマ調整、ゲイン設定において、ガンマ調整を先に行った後に、ゲイン設定を行うようにしている。
RGBγ/WB調整部15は、画質補正部14から出力された映像信号に対し、前述の図8に示したゲインカーブでゲインを得る処理、映像のガンマ調整処理、WB(ホワイトバランス)調整処理、さらにはCT(色温度)等の調整も行う。また、CT調整処理は、WB調整処理と合わせて1つの調整カーブを参照して実行してもよい。
図2において、RGBγ/WB調整部15は、画質補正部14から出力された映像信号に対して、ガンマ調整を行う。このときの階調特性を図9(A)に示す。ガンマ調整としては、低階調では伸張を抑え、中間階調ではより伸張するような階調特性としている。より具体的には、低階調では輝度レベルを低くし、中間階調では輝度レベルを高くするようなガンマカーブを持ち、このガンマカーブが図9(C)に示す出力時の階調特性gに反映される。
なお、本例におけるガンマ調整とは、入力映像信号を最適な状態で表示させるための所謂絵作りのための処理であり、予めガンマ処理が施された放送信号のガンマ特性をリニアにするための逆ガンマ補正とは異なるものである。
次に、RGBγ/WB調整部15は、図9(A)においてガンマ調整された映像信号に対して、ゲイン(ここでは2.0倍とした)を設定する。このときのゲインカーブを図9(B)に示す。RGBγ/WB調整部15は、ゲイン設定部に相当するコンフィグレーションデザイン部13で設定されたゲイン設定信号に基づいて、ガンマ調整された映像信号に対してゲインを設定する。ゲイン設定値は、1以上とし、上述の図8に示したように、所定の中間階調(すなわち、点P)までは線形変換を行い、それ以降の高階調部分は非線形変換を行う。図9(B)では、点Pまでを線形変換の部分、それ以降を非線形変換の部分であることを示している。さらに、本実施形態では、上記のゲイン設定と共に、バックライト輝度変調処理を行う。ここで、ゲイン設定値は、バックライト輝度変調を伴うため、後述するゲイン設定のみの場合と比べて高い値(例えば、2.0倍程度)が設定され、バックライト輝度は対応する輝度値、例えば最大輝度の1/5に落とすように制御される。
このように、入力映像信号に対して、図9(A)に示すガンマ調整、図9(B)に示すゲイン設定を順に行った結果、図9(C)の実線で示される表示出力時の階調特性gが得られる。この表示出力時の階調特性gは、液晶パネルに表示出力される見かけ上の階調特性であり、液晶パネルを介して得られる表示輝度(縦軸の見かけ上の出力に相当)と入力映像信号の輝度(横軸のデジタル入力に相当)とによりプロットされる。なお、表示出力時の階調特性は液晶パネルから見た光出力(デジタル出力ではない)として測定される。例えば、表示出力時の液晶パネルから見た光出力(デジタル出力ではない)は、RGBγ/WB調整部15での階調変換と、バックライトの発光輝度とにより、測定される。
図9(C)において、点線は図9(A)でガンマ調整した階調特性(階調特性g)であり、表示出力時の階調特性gとガンマ調整の階調特性gとは所定の中間階調(点P)まで略同一の形状となっている。
これは、非線形のガンマ調整(絵作り)を行った後に、点Pまで線形のゲイン設定を行うと、ガンマ調整された映像信号に対してゲインさせることになるため、非線形のガンマカーブ(絵作り)がゲイン分だけ線形増幅されることになる。そして、バックライト輝度変調により、バックライトの発光輝度は対応する輝度値(最大輝度の1/5)に低減される。すなわち、表示出力時の階調特性gは、ガンマ調整の階調特性gをゲイン分(ここでは2.0倍)だけ線形増幅された輝度を、バックライト輝度を対応する輝度値(最大輝度の1/5)に低減することで相殺することになり、この結果、点Pまでの形状が所望の階調特性gと略同一となる。前述の図14(C)の例、すなわち、ゲイン−ガンマ調整の順に行う非線形増幅の場合と異なり、所望のガンマ調整の階調特性gと略同一となる。
なお、本明細書では、表示出力時の階調特性gの形状が所望のガンマ調整の階調特性gの形状からゲイン分だけ増幅され、且つ、ゲインに応じてバックライト輝度が低減されている場合に、表示出力時の階調特性gの形状と所望のガンマ調整の階調特性gの形状とが「略同一」というものとする。
ここで、一般的に人間は輝度に対して、輝度差が3%以上であれば輝度の違いを視認できるとされているため(人間の輝度に対する視覚分解能は約3%)、上記の「略同一」とは、表示出力時の階調特性gとガンマ調整の階調特性gとにおいて、所定の中間階調(すなわち、点P)までの間で出力輝度差が3%以内の値であるものとする。
さらに、RGBγ/WB調整部15は、図9(B)においてゲイン設定された映像信号に対してWB(ホワイトバランス)調整/CT(色温度)調整を行う。このWBは、RGBそれぞれの階調特性が決定した後、すなわち、階調変換の最終段で調整される。WB調整/CT調整は、ゲイン設定の前などで行うと、WB調整/CT調整したにも関わらず後のゲイン処理でずれてしまうことになるため、R,G,Bの階調変換が完了した最後に行うことで、適切な調整が可能になる。
図10は、本発明の第1の実施形態に係る階調特性と従来の階調特性とを比較して説明するための図である。ここでは、図14(C)の表示出力時の階調特性g(従来)、ガンマ調整の階調特性g、図9(C)の表示出力時の階調特性g(本発明)を同時に示したもので、ガンマ調整の階調特性gに対して、本発明の表示出力時の階調特性gは所定の中間階調(ゲインカーブの点P)まで略同一の形状となる。
ここで、コンフィグレーションデザイン部13は、入力映像信号の特徴量に基づいて、入力映像信号に対して1以上のゲインを設定し、このゲイン設定信号をRGBγ/WB調整部15に出力する。RGBγ/WB調整部15は、このゲイン設定信号を受けて、画質補正部14から出力された映像信号に対してゲイン調整を行う。この際、RGBγ/WB調整部15は、所定の中間階調(点P)までは線形のゲインを設定し、点Pよりも高階調となる部分を非線形としてもよい。
なお、入力映像信号の特徴量としては、例えば、入力映像信号の1画面分の平均輝度レベル(APL)や、1画面分の輝度のヒストグラム分布、あるいは、入力映像信号の輝度のピーク値などを用いることができる。
以上に説明したように、第1の実施形態によれば、ゲイン設定をガンマ調整の後で行うことで、特に低階調部分の階調変化を抑えて、所望の階調特性を実現させることができるとともに、コントラストの高い映像表示を行うことができる。
(第2の実施形態)
以上では、第1の実施形態として、ゲイン設定とバックライト輝度変調とを連動して行う液晶表示装置について、図2に記載のRGBγ/WB調整部15で実行される各処理の順序について説明したが、本発明は、第1の実施形態に限られることはなく、例えば、ゲイン設定のみを行う(バックライトの輝度変調を行わない)ような表示装置であっても、上記第1の実施形態の液晶表示装置において得られる効果と同様の効果を得ることができる。
以下に、第2の実施形態として、ゲイン設定のみを行う(バックライトの輝度変調を行わない)表示装置について、RGBγ/WB調整部15で実行される各処理の順序について説明する。
第2の実施形態に係る液晶表示装置は、入力映像信号のゲイン設定を行うゲイン設定部に相当するコンフィグレーションデザイン部13と、入力映像信号のガンマ調整を行うガンマ調整部に相当するRGBγ/WB調整部15と、入力映像信号による映像を表示する液晶パネル(図示せず)とを備えて構成される。この構成により、入力映像信号にゲインを設定する場合、液晶パネルを介して得られる表示輝度と入力映像信号の輝度とにより定まる液晶パネルの出力時の階調特性の形状が、RGBγ/WB調整部15における階調特性の形状と所定の中間階調まで類似するようにしている。
図11は、本発明の第2の実施形態に係る階調特性の一例を説明するための図で、入力映像信号に対してバックライト輝度変調を行わず、ゲイン設定のみを行う場合について説明するものとする。本例は、従来技術として説明した図14のゲイン設定とガンマ調整の処理の順番を入れ替えたもので、RGBγ/WB調整部15で実行されるガンマ調整、ゲイン設定において、ガンマ調整を先に行った後に、ゲイン設定を行うようにしている。
RGBγ/WB調整部15は、画質補正部14から出力された映像信号に対し、前述の図8に示したゲインカーブでゲインを得る処理、映像のガンマ調整処理、WB(ホワイトバランス)調整処理、さらにはCT(色温度)等の調整も行う。また、CT調整処理は、WB調整処理と合わせて1つの調整カーブを参照して実行してもよい。
図11において、RGBγ/WB調整部15は、画質補正部14から出力された映像信号に対して、ガンマ調整を行う。このときの階調特性を図11(A)に示す。ガンマ調整としては、低階調では伸張を抑え、中間階調ではより伸張するような階調特性としている。より具体的には、低階調では輝度レベルを低くし、中間階調では輝度レベルを高くするようなガンマカーブを持ち、このガンマカーブが図11(C)に示す表示出力時の階調特性gに反映される。
次に、RGBγ/WB調整部15は、図11(A)においてガンマ調整された映像信号に対して、ゲイン(ここでは1.1倍とした)を設定する。このときのゲインカーブを図11(B)に示す。RGBγ/WB調整部15は、ゲイン設定部に相当するコンフィグレーションデザイン部13で設定されたゲイン設定信号に基づいて、ガンマ調整された映像信号に対してゲインを設定する。ゲイン設定値は、1以上とし、上述の図8に示したように、所定の中間階調(すなわち、点P)までは線形変換を行い、それ以降の高階調部分は非線形変換を行う。図11(B)では、点Pまでを線形変換の部分、それ以降を非線形変換の部分であることを示している。ここで、ゲイン設定値は、前述したバックライト輝度変調を伴う場合と比べて低い値(例えば、1.1倍程度)が設定される。
このように、入力映像信号に対して、図11(A)に示すガンマ調整、図11(B)に示すゲイン設定を順に行った結果、図11(C)の実線で示される表示出力時の階調特性gが得られる。この表示出力時の階調特性gは、液晶パネルに表示出力される見かけ上の階調特性であり、液晶パネルを介して得られる表示輝度(縦軸の見かけ上の出力に相当)と入力映像信号の輝度(横軸のデジタル入力に相当)とによりプロットされる。なお、例えば、表示出力時の階調特性は液晶パネルから見た光出力(デジタル出力ではない)として測定される。
図11(C)において、点線は図11(A)でガンマ調整した階調特性(階調特性g)であり、表示出力時の階調特性gとガンマ調整の階調特性gとは所定の中間階調(点P)まで類似した形状となっている。
これは、最初に非線形のガンマ調整(絵作り)を行った後に、点Pまで線形のゲイン設定を行うと、ガンマ調整された映像信号に対してゲインさせることになるため、非線形のガンマカーブ(絵作り)がゲイン分だけ線形増幅されることになる。すなわち、表示出力時の階調特性gは、ガンマ調整の階調特性gをゲイン分(ここでは1.1倍)だけ線形増幅したものとなるが、前述の図14(C)の例、すなわち、ゲイン−ガンマ調整の順に行う非線形増幅の場合と異なり、所望のガンマ調整の階調特性gから大きくずれることがない。
なお、本明細書では、表示出力時の階調特性gの形状が所望の階調特性gの形状からゲイン分だけ増幅されている場合に、表示出力時の階調特性gの形状と所望のガンマ調整階調特性gの形状とが「類似」しているというものとする。
言い換えれば、「類似」とは、所定の中間階調(すなわち、点P)までにおいて、所望のガンマ調整時の階調特性gの形状に対して、表示出力時の階調特性gの形状が、出力輝度方向(gの場合は液晶パネルに表示出力される見かけ上輝度)に、ゲインさせた分だけ等倍された形状を描くことである。例えば、所望のガンマ調整時の階調特性gの形状と、表示出力時の階調特性gの形状とを比較して、所定の中間階調(すなわち、点P)までの間で、各入力階調に対する出力輝度値が等倍であった場合には、本明細書でいう「類似」に該当する。
さらに、RGBγ/WB調整部15は、図11(B)においてゲイン設定された映像信号に対してWB(ホワイトバランス)調整/CT(色温度)調整を行う。このWBは、RGBそれぞれの階調特性が決定した後、すなわち、階調変換の最終段で調整される。WB調整/CT調整は、ゲイン設定の前などで行うと、WB調整/CT調整したにも関わらず後のゲイン処理でずれてしまうことになるため、R,G,Bの階調変換が完了した最後に行うことで、適切な調整が可能になる。
図12は、本発明の第1の実施形態に係る階調特性と従来の階調特性とを比較して説明するための図である。ここでは、図14(C)の表示出力時の階調特性g(従来)、ガンマ調整の階調特性g、図11(C)の表示出力時の階調特性g(本発明)を同時に示したもので、ガンマ調整の階調特性gに対して、本発明の表示出力時階調特性gは所定の中間階調(ゲインカーブの点P)まで類似の形状となる。
以上に説明したように、第2の実施形態によれば、ゲイン設定をガンマ調整の後で行うことで、特に低階調部分の階調変化を抑えて、所望の階調特性に近い階調特性を実現させることができるとともに、コントラストの高い映像表示を行うことができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係る液晶表示装置は、入力映像信号のゲイン設定を行うゲイン設定部に相当するコンフィグレーションデザイン部13と、入力映像信号のガンマ調整を行うガンマ調整部に相当するRGBγ/WB調整部15と、入力映像信号による映像を表示する液晶パネル(図示せず)と、液晶パネルの照射するバックライト光源(図示せず)と、バックライト光源の発光輝度を制御する光源輝度制御部に相当するBL調光部12とを備えて構成される。この構成により、バックライト光源の発光輝度と入力映像信号のゲインとを連動して設定する場合、液晶パネルを介して得られる表示輝度と入力映像信号の輝度とにより定まる液晶パネルの出力時の階調特性の形状が、RGBγ/WB調整部15における階調特性の形状と所定の中間階調まで略同一となるようにしている。
そして、第3の実施形態では、入力映像信号のゲイン設定を絵作りのためのγ調整の前に行うという構成を維持したまま、表示時の輝度特性が絵作りのγ調整部で調整した所望の階調特性から大きく外れることを防ぐために、ゲイン設定の前にさらに階調特性を補正する階調補正部を設ける。階調補正部もまたLUT(ルックアップテーブル)にて実現することができる。
ここでは、入力映像信号に対して、階調補正、ゲイン設定、γ調整(絵作り)を順に実行し、最終の表示パネルの出力時の階調特性の形状が上記第1の実施形態のときと同じになるようにする。つまり、ゲイン設定と絵作り用のγ調整とによって得られる階調特性をゲインの前段の階調補正により補正して、第1の実施形態で得られる階調特性が得られるようにする。
ここでは、第1の実施形態により、絵作り用のγ調整を行った後にゲイン設定を行ったときに得られる階調特性をGain(Pic(x))とする。つまりγ調整(Pic(x)の結果にGainを設定することにより第1の実施形態の結果が得られる。
そして本実施形態では、ゲインの前段の階調補正をY(x)とするとき、階調調整、ゲイン設定、絵作りのγ調整を順に実行した結果は、Pic(Gain(Y(x)))となる。そして、ここでは、
Pic(Gain(Y(x)))=Gain(Pic(x))
となるように、Y(x)を規定するLUTを生成する。
階調補正を行うLUTは、ゲイン設定に応じてその都度作成する。つまり、コンフィグレーションデザイン部13により、映像信号のフレームごとにもしくは複数のフレーム単位でゲインが設定されると、そのゲインと、予め設定されている絵作り用のγ調整値とから、階調補正を行うLUTを生成する。これにより、ゲイン前段の階調補正では、ゲインの変化に応じた最適な補正特性を得るようにしている。
図13は、第3の実施形態に係る階調特性の一例を説明するための図で、入力映像信号に対してゲイン設定及びバックライト輝度変調を行う場合について説明するものとする。本実施形態では、上述のようにRGBγ/WB調整部15では、映像信号に対して階調補正、ゲイン設定、絵作り用のγ調整を順に施すようにしている。
RGBγ/WB調整部15は、画質補正部14から出力された映像信号に対し、階調補正処理、前述の図8に示したゲインカーブでゲインを得る処理、ガンマ調整処理(絵作り)、WB(ホワイトバランス)調整処理、さらにはCT(色温度)等の調整を行う。また、CT調整処理は、WB調整処理と合わせて1つの調整カーブを参照して実行してもよい。
RGBγ/WB調整部15は、画質補正部14から出力された映像信号に対して、まず階調補正(Y(x))を行う。このときの階調特性を図13(A)に示す。
階調補正(Y(x))用のLUTは、上述のように、Pic(Gain(Y(x)))=Gain(Pic(x))となるようにその都度生成されるものである。
次に、RGBγ/WB調整部15は、図13(A)において階調補正がなされた映像信号に対して、ゲインを設定する。このときのゲインカーブの一例を図13(B)に示す。RGBγ/WB調整部15は、ゲイン設定部に相当するコンフィグレーションデザイン部13で設定されたゲイン設定信号に基づいて、補正用のガンマ調整がなされた映像信号に対してゲインを設定する。ゲイン設定値は、1以上とし、上述の図8に示したように、所定の中間階調(すなわち、点P)までは線形変換を行い、それ以降の高階調部分は非線形変換を行う。
図13(B)では、点Pまでは線形変換の部分、それ以降が非線形変換の部分であることを示している。さらに、本実施形態では、上記のゲイン設定と共に、バックライト輝度変調処理を行う。ここで、ゲイン設定値は、バックライト輝度変調を伴うため、第2の実施形態や後述する第4の実施形態のゲイン設定のみの場合と比べて高い値(例えば、2.0倍程度)が設定され、バックライト輝度は対応する輝度値、例えば最大輝度の1/5に落とすように制御される。
次に図13(B)においてゲイン設定がなされた映像信号に対して、図13(C)に示す絵作り用のガンマ(γ)調整を行う。ガンマ調整としては、低階調では伸張を抑え、中間階調ではより伸張するような階調特性としている。より具体的には、低階調では輝度レベルを低くし、中間階調では輝度レベルを高くするようなガンマカーブを持っている。
このガンマ調整とは、入力映像信号を最適な状態で表示させるための絵作りのための処理であり、予めガンマ処理が施された放送信号のガンマ特性をリニアにするための逆ガンマ補正とは異なるものである。
このように、入力映像信号に対して、図13(A)に示す階調補正、図13(B)に示すゲイン設定、及び図13(C)に示すガンマ調整を順に行った結果、図示しない表示出力時の階調特性(gとする)が得られる。この表示出力時の階調特性gは、液晶パネルに表示出力される見かけ上の階調特性であって、RGBγ/WB調整部15での階調変換と、バックライトの発光輝度とにより測定される。
そして階調特性gと、図13(C)に示すガンマ調整の階調特性(gとする)とは所定の中間階調(点P)まで略同一の形状となっている。
これは、階調補正を行った後、ゲイン設定を行い、ガンマ調整(絵作り)を行うことで、第1の実施形態により非線形のガンマ調整(絵作り)を行った後に、点Pまで線形のゲイン設定を行う処理と同じ結果が得られる。この場合、第1の実施形態によりガンマ調整された映像信号に対してゲインさせたものと同じ結果になるため、非線形のガンマカーブ(絵作り)がゲイン分だけ線形増幅されることになる。そして、バックライト輝度変調により、バックライトの発光輝度は対応する輝度値(例えば最大輝度の1/5)に低減される。すなわち、表示出力時の階調特性gは、ガンマ調整の階調特性gをゲイン(例えば2.0)分だけ線形増幅された輝度を、バックライト輝度を対応する輝度値(最大輝度の1/5)に低減することで相殺することになり、この結果、点Pまでの形状が所望の階調特性gと略同一となる。これは第1の実施形態の図9(C)で説明した表示出力時の階調特性gと絵作り用のガンマ調整の階調特性gとの関係と同様となる。
そして、RGBγ/WB調整部15は、図13(C)においてガンマ調整された映像信号に対してWB(ホワイトバランス)調整/CT(色温度)調整を行う。このWBは、RGBそれぞれの階調特性が決定した後、すなわち、階調変換の最終段で調整される。
(第4の実施形態)
第3の実施形態のように、入力映像信号に対して、階調補正、ゲイン設定、絵作り用のγ調整を順に実行する構成は、ゲイン設定のみを行う(バックライトの輝度変調を行わない)ような表示装置にも適用することができる。つまり本実施形態は、上記第2の実施形態のようにゲイン設定のみを行う表示装置において、第3の実施形態のような階調補正、ゲイン設定、絵作り用のγ調整を順に実行し、最終の表示パネルの出力時の階調特性の形状が上記第2の実施形態のときと同じになるようにするものである。つまり、ゲイン設定と絵作り用のγ調整とによって得られる階調特性を補正して、第2の実施形態で得られる階調特性が得られるようゲインの前段で階調補正を行う。
ここでは、第2の実施形態により、絵作り用のγ調整を行った後にゲイン設定を行ったときに得られる階調特性をGain(Pic(x))とする。つまりγ調整(Pic(x)の結果にGainを設定することにより第1の実施形態の結果が得られる。そして本実施形態では、補正用のγ調整をY(x)とするとき、補正用のγ調整、ゲイン設定、絵作り用のγ調整を順に実行した結果は、Pic(Gain(Y(x)))となる。そして、
Pic(Gain(Y(x)))=Gain(Pic(x))
となるように、Y(x)を規定するLUTを生成する。
RGBγ/WB調整部15は、画質補正部14から出力された映像信号に対し、階調補正処理、ゲイン設定処理、ガンマ調整処理、WB(ホワイトバランス)調整処理、さらにはCT(色温度)等の調整も行う。また、CT調整処理は、WB調整処理と合わせて1つの調整カーブを参照して実行してもよい。
RGBγ/WB調整部15は、画質補正部14から出力された映像信号に対して、階調補正を行う。次に、RGBγ/WB調整部15は、階調補正された映像信号に対して、ゲインを設定する。RGBγ/WB調整部15は、ゲイン設定部に相当するコンフィグレーションデザイン部13で設定されたゲイン設定信号に基づいて、ガンマ調整された映像信号に対してゲインを設定する。ゲイン設定値は、1以上とし、所定の中間階調までは線形変換を行い、それ以降の高階調部分は非線形変換を行う。ここで、ゲイン設定値は、バックライト輝度変調を伴う場合と比べて低い値(例えば、1.1倍程度)が設定される。
RGBγ/WB調整部15は、ゲインが設定された映像信号に対してガンマ調整(絵作り)を行う。ガンマ調整としては、低階調では伸張を抑え、中間階調ではより伸張するような階調特性としている。より具体的には、低階調では輝度レベルを低くし、中間階調では輝度レベルを高くするようなガンマカーブを持つ。
このように、入力映像信号に対して、階調補正、ゲイン設定、及びガンマ調整を順に行った結果、図示しない表示出力時の階調特性(gとする)が得られる。この表示出力時の階調特性gは、液晶パネルに表示出力される見かけ上の階調特性であり、液晶パネルから見た光出力(デジタル出力ではない)として測定される。
そして階調特性gと、ガンマ調整の階調特性(gとする)とは、所定の中間階調まで類似した形状となっている。
これは、階調補正を行った後、ゲイン設定を行い、ガンマ調整(絵作り)を行うことで、第2の実施形態と同様に非線形のガンマ調整(絵作り)を行った後に、所定の中間階調まで線形のゲイン設定を行う処理と同じ結果が得られる。この場合、第2の実施形態と同様にガンマ調整された映像信号に対してゲインさせたものと同じ結果になるため、非線形のガンマカーブ(絵作り)がゲイン分だけ線形増幅されることになる。すなわち、表示出力時の階調特性gは、ガンマ調整の階調特性gをゲイン分(例えば1.1倍)だけ線形増幅したものとなる。
そして、RGBγ/WB調整部15は、ガンマ調整された映像信号に対してWB(ホワイトバランス)調整/CT(色温度)調整を行う。このWBは、RGBそれぞれの階調特性が決定した後、すなわち、階調変換の最終段で調整される。
上記第3の実施形態及び第4の実施形態によれば、ゲイン設定をガンマ調整(絵作り)の前に行う構成においても、ゲイン設定の更に前段に階調補正部を設けることにより、第1及び第2の実施形態と同様に、特に低階調部分の階調変化を抑えて、所望の階調特性に近い階調特性を実現させることができるとともに、コントラストの高い映像表示を行うことができる。
CRが3000と6000の液晶パネルについて、入力階調レベル(映像信号レベル)と液晶パネル上での輝度値との関係を示すグラフである。 本発明の一実施形態に係る液晶表示装置のシステム構成例を示すブロック図である。 図2の液晶表示装置におけるディストーションモジュールで実行される発光輝度レベル選択処理の一例を説明するための図である。 図2の液晶表示装置におけるアドバンスト輝度変調処理の具体例を説明するための図である。 選択対象の一つである発光輝度レベル100%のときの映像輝度範囲Cを示す図である。 選択対象の一つである発光輝度レベル70%程度のときの映像輝度範囲Cを示す図である。 選択対象の一つである発光輝度レベル50%程度のときの映像輝度範囲Cを示す図である。 図2の液晶表示装置におけるアドバンスト輝度変調部から出力されるゲイン設定信号に基づきRGBγ/WB調整部で設定される映像信号ゲインの例を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る階調特性の一例を説明するための図である。 本発明の第1の実施形態に係る階調特性と従来の階調特性とを比較して説明するための図である。 本発明の第2の実施形態に係る階調特性の一例を説明するための図である。 本発明の第2の実施形態に係る階調特性と従来の階調特性とを比較して説明するための図である。 本発明の第3の実施形態に係る階調特性の一例を説明するための図である。 従来の映像信号のゲイン調整を行った場合の階調特性を示す図である。 映像信号のゲイン調整及びバックライト輝度変調を行った場合の階調特性を示す図である。
符号の説明
1…スケーリング部、2…Yヒストグラム検出部、3…APL検出部、4…ヒストグラムストレッチング部、5…ディストーションモジュール、6…シーンチェンジ検出部、7…第1のテンポラリフィルタ、8…BL輝度レベル設定部、9…第2のテンポラリフィルタ、9a…第3のテンポラリフィルタ、10…可変ディレイ、11…CPU/CPLD、12…BL調光部、13…コンフィグレーションデザイン部、14…画質補正部、15…RGBγ/WB調整部、16…FRC部、17…映像出力部、20…アドバンスト輝度変調部。

Claims (10)

  1. 入力映像信号のゲイン設定を行うゲイン設定部と、前記入力映像信号のガンマ調整を行うガンマ調整部と、前記入力映像信号による映像を表示する表示パネルとを備えた表示装置において、
    前記入力映像信号にゲインを設定する場合、前記表示パネルを介して得られる表示輝度と前記入力映像信号の輝度とにより定まる前記表示パネルの出力時の階調特性の形状が、前記ガンマ調整部における階調特性の形状と所定の中間階調まで類似することを特徴とする表示装置。
  2. 前記表示パネルを照射する光源と、該光源の発光輝度を制御する光源輝度制御部とを備え、
    前記光源の発光輝度と前記入力映像信号のゲインとを連動して設定する場合、前記表示パネルを介して得られる表示輝度と前記入力映像信号の輝度とにより定まる前記表示パネルの出力時の階調特性の形状が、前記ガンマ調整部における階調特性の形状と所定の中間階調まで略同一であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
  3. 前記ゲイン設定部は、前記入力映像信号の特徴量に基づき前記入力映像信号に対して1以上のゲインを設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
  4. 前記ゲイン設定部は、前記入力映像信号の特徴量に基づき前記入力映像信号の所定の中間階調までは線形のゲインを設定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の表示装置。
  5. 前記入力映像信号の特徴量とは、前記入力映像信号の1画面分の平均輝度レベルであることを特徴とする請求項3又は4に記載の表示装置。
  6. 前記入力映像信号の特徴量とは、前記入力映像信号の1画面分の輝度のヒストグラム分布であることを特徴とする請求項3又は4に記載の表示装置。
  7. 前記入力映像信号の特徴量とは、前記入力映像信号の輝度のピーク値であることを特徴とする請求項3又は4に記載の表示装置。
  8. 前記表示パネルを介して得られる表示輝度と前記入力映像信号の輝度とにより定まる前記表示パネルの出力時の階調特性は、低階調領域で輝度レベルを低くし、中間階調領域で輝度レベルを高くする特性を持つことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の表示装置。
  9. 前記入力映像信号のホワイトバランス調整は前記ゲイン設定の後に行うことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の表示装置。
  10. 前記表示パネルは、液晶パネルであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の表示装置。
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