JP2009205037A - 単層型電子写真感光体及び画像形成装置 - Google Patents

単層型電子写真感光体及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】いずれの使用環境で画像形成を行った場合であっても、感光層の表面におけるフィルミングの発生、及びそれに起因した形成画像における黒点の発生を効果的に抑制することができ、感度特性を安定的に保持することができる単層型電子写真感光体及び画像形成装置。
【解決手段】単層型電子写真感光体及び画像形成装置であって、正孔輸送剤が、特定のヒドラゾン化合物であり、かつ、電子輸送剤が、テトラヒドロフランに対する溶解度(測定温度:25℃)として、27〜50重量%の範囲内の値を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、単層型電子写真感光体及び画像形成装置に関し、特に、いずれの使用環境下であっても、感光層の表面におけるフィルミングの発生、及びそれに起因した形成画像における黒点の発生を効果的に抑制することができる単層型電子写真感光体及び画像形成装置に関する。
従来、画像形成装置等に用いられる電子写真感光体として、結着樹脂、電荷発生剤及電荷輸送剤等からなる有機感光体が使用されている。かかる有機感光体は、従来の無機感光体に比べて、製造が容易であるとともに、感光体材料の選択肢が多様であることから、構造設計の自由度が高いという利点がある。
一方、有機感光体に使用される有機材料は、高品質画像を安定的に形成するにあたり、様々な条件を満たすことが要求される。
特に電荷輸送剤は、(i)光及び熱に対して安定であること、(ii)コロナ放電により発生するオゾン等に対して安定であること、(iii)高い電荷輸送能を有すること、(iv)有機溶剤及び結着樹脂との相溶性が高いこと、及び(v)製造が容易で安価であること等、種々の条件を満足することが求められる。
そこで、このような種々の条件を満足し、特に電荷輸送能に優れた電荷輸送剤として、下記一般式(23)で表されるヒドラゾン化合物を用いた電子写真感光体が開示されている(例えば、特許文献1)。
(一般式(23)中、R13及びR14は低級アルキル基、低級アルコキシ基、ジ低級アルキルアミノ基であり、A2はメチル、フェニル、下記式(24)で表される基である。)
(一般式(24)中、R15は低級アルキル基、低級アルコキシ基である。)
特許1619157号(特許請求の範囲)
しかしながら、特許文献1の電子写真感光体は、特定の構造を有するヒドラゾン化合物と、電子輸送剤と、の組み合わせ性については、何ら考慮していなかった。その結果、単層型電子写真感光体として構成した場合には、組み合わせて使用する電子輸送剤の種類によって、感度特性が著しく低下してしまうという問題が見られた。
さらには、特許文献1の電子写真感光体は、単層型電子写真感光体として構成した場合、感光層の表面特性が低下しやすく、特に、高温高湿条件下にて画像形成を行なった場合には、感光層の表面においてフィルミングが発生しやすい傾向が見られた。その結果、形成画像において、黒点が発生しやすくなるという問題が見られた。
したがって、フィルミング及びそれに起因した黒点の発生を抑制することができ、さらに、ヒドラゾン化合物が有する優れた電荷輸送能を、より有効に発揮させることができる単層型電子写真感光体が求められていた。
そこで、本発明者らは、単層型電子写真感光体において、正孔輸送剤として特定の構造を有するヒドラゾン化合物を用いるとともに、電子輸送剤における所定溶媒に対する溶解度を所定の範囲とすることによって、感光層の表面特性を効果的に向上させることができることを見出した。
その結果、いずれの使用環境下で画像形成を行なった場合であっても、感光層の表面におけるフィルミングの発生、及びそれに起因した形成画像における黒点の発生を効果的に抑制することができ、さらには、感度特性についても安定的に保持できることを見出すに至った。
すなわち、本発明の目的は、いずれの使用環境下であっても、感光層の表面におけるフィルミングの発生、及びそれに起因した形成画像における黒点の発生を効果的に抑制することができ、さらには、特定の構造を有するヒドラゾン化合物の優れた電荷輸送能を有効に発揮させて、感度特性を安定的に保持することができる単層型電子写真感光体及び画像形成装置を提供することにある。
本発明によれば、基体上に電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤及び結着樹脂を同一層に含む感光層を有した単層型電子写真感光体であって、正孔輸送剤が、下記一般式(1)で表されるヒドラゾン化合物であり、かつ、電子輸送剤が、テトラヒドロフランに対する溶解度(測定温度:25℃)として、27〜50重量%の範囲内の値を有することを特徴とする単層型電子写真感光体が提供され、上述した問題を解決することができる。
(一般式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立した置換基であり、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、またはジアルキルアミノ基であり、ジアルキルアミノ基におけるアルキル基は、炭素数1〜6のアルキル基であり、A1は、メチル基、フェニル基、またはベンジル基であり、ベンジル基は、炭素数1〜6の1つのアルキル基、または炭素数1〜6の1つのアルコキシ基で置換されたベンジル基である。)
すなわち、正孔輸送剤として特定の構造を有するヒドラゾン化合物を用いるとともに、電子輸送剤における所定溶媒に対する溶解度を所定の範囲とすることにより、感光層中における特定の構造を有するヒドラゾン化合物の分散性を効果的に向上させることができる。
より具体的には、所定の溶解度を有する電子輸送剤が、特定の構造を有するヒドラゾン化合物との特異的な相互作用によって、かかる化合物の分散助剤としての機能を発揮し、感光層中における特定の構造を有するヒドラゾン化合物の分散性を効果的に向上させることができる。
その結果、感光層の表面特性を効果的に向上させることができることから、いずれの使用環境下であっても、感光層の表面におけるフィルミングの発生、及びそれに起因した形成画像における黒点の発生を効果的に抑制することができる。
また、感光層中における電荷輸送剤の分散性が向上することにより、特定のヒドラゾン化合物が元来有する優れた正孔輸送能や、耐オゾン性といった特性を有効に発揮させて、優れた感度特性を効果的に保持することができる。
なお、電子輸送剤の、テトラヒドロフランに対する溶解度とは、25℃の条件下で、テトラヒドロフラン100gに対して溶解させることができる最大限の電子輸送剤量(g)を示している。
また、本発明の単層型電子写真感光体を構成するにあたり、一般式(1)で表されるヒドラゾン化合物を含有させた樹脂膜を、基体上に形成し、オレイン酸トリグリセリドに対して、下記条件で浸漬させた場合に、一般式(1)で表されるヒドラゾン化合物のオレイン酸トリグリセリドに対する溶出量を1〜10mgの範囲内の値とすることが好ましい。
樹脂膜組成:ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、一般式(1)で表されるヒドラゾン化合物80重量部
樹脂膜厚:30μm
基体の外径:30mm
基体の長さ(浸漬長さ):40mm
オレイン酸トリグリセリド量:30g
温度:25℃
時間:20時間
このように構成することにより、感光層中における特定の構造を有するヒドラゾン化合物自体が有する分散性を、より向上させることができる。
また、本発明の単層型電子写真感光体を構成するにあたり、電子輸送剤が、下記一般式(3)〜(5)で表される化合物であることが好ましい。
(一般式(2)中、R3は、ハロゲン原子、炭素数1〜6の置換または非置換のアルキル基または炭素数6〜30の置換または非置換のアリール基であり、R4は、炭素数1〜6の置換または非置換のアルキル基、炭素数6〜30の置換または非置換のアリール基または−O−R5(R5は、炭素数1〜6の置換または非置換のアルキル基、炭素数6〜30の置換または非置換のアリール基または炭素数7〜30の置換または非置換のアラルキル基を示す。)で表される基である。)
(一般式(3)中、R6及びR7は、それぞれ独立した置換基であり、炭素数1〜6の置換または非置換のアルキル基を示す。)
(一般式(4)中、R8〜R12は、それぞれ独立した置換基であり、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜8の置換または非置換のアルキル基を示す。)
このように構成することにより、電子輸送剤における所定溶媒に対する溶解度を、容易に所定の範囲に調節することができるばかりか、特定の構造を有するヒドラゾン化合物との間における特異的な相互作用を、より効果的に発揮させることができる。
また、本発明の単層型電子写真感光体を構成するにあたり、電子輸送剤の含有量を、結着樹脂100重量部に対して10〜70重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、特定の構造を有するヒドラゾン化合物との間における特異的な相互作用を、さらに効果的に発揮させることができるばかりか、感光層中における電子輸送効率が向上し、電子写真感光体の感度特性についても、さらに向上させることができる。
また、本発明の単層型電子写真感光体を構成するにあたり、基体の外径を、10〜25mmの範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、画像形成装置の小型化に資することができる一方で、感光層表面におけるフィルミング及びそれに起因した形成画像における黒点の発生についても、効果的に抑制することができる。
また、本発明の別の態様は、電子写真感光体の周囲に、帯電手段、現像手段及び転写手段が配置された画像形成装置であって、電子写真感光体が、基体上に電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤及び結着樹脂を同一層に含む感光層を有した単層型電子写真感光体であるとともに、正孔輸送剤が、下記一般式(1)で表されるヒドラゾン化合物であり、かつ、電子輸送剤が、テトラヒドロフランに対する溶解度(測定温度:25℃)として、27〜50重量%の範囲内の値を有する単層型電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置である。
(一般式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立した置換基であり、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、またはジアルキルアミノ基であり、ジアルキルアミノ基におけるアルキル基は、炭素数1〜6のアルキル基であり、A1は、メチル基、フェニル基、またはベンジル基であり、ベンジル基は、炭素数1〜6の1つのアルキル基、または炭素数1〜6の1つのアルコキシ基で置換されたベンジル基である。)
すなわち、電子写真感光体として、感光層の表面特性に優れた特定の単層型電子写真感光体を搭載していることから、いずれの使用環境下であっても、感光層の表面におけるフィルミングの発生、及びそれに起因した形成画像における黒点の発生を効果的に抑制することができる。
また、感光層中における電荷輸送剤の分散性に優れることから、優れた感度特性を効果的に保持することができる。
また、本発明の画像形成装置を構成するにあたり、現像手段が、現像同時クリーニング方式であることが好ましい。
このように構成することにより、画像形成装置の小型化及び簡略化に資することができる一方で、感光層表面におけるフィルミング及びそれに起因した形成画像における黒点の発生についても、効果的に抑制することができる。
なお、ここで言う現像手段とは、現像ロールを用いて、電子写真感光体上に形成された静電潜像に対して、トナーを付着させるための現像装置を示す。
また、現像同時クリーニング方式とは、上述した現像ロールが、電子写真感光体上に形成された静電潜像に対して、トナーを付着させつつも、残トナーを現像装置内に回収する方式を示す。
また、本発明の画像形成装置を構成するにあたり、帯電手段、現像手段及び転写手段のうち少なくとも一つが、電子写真感光体に接触していることが好ましい。
このように構成することにより、一般に、感光層表面におけるフィルミングが発生しやすくなるものの、本発明であれば、特定の単層型電子写真感光体を搭載していることから、フィルミング及びそれに起因した形成画像における黒点の発生を、効果的に抑制することができる。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態は、基体上に電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤及び結着樹脂を同一層に含む感光層を有した単層型電子写真感光体であって、正孔輸送剤が、一般式(1)で表されるヒドラゾン化合物であり、かつ、電子輸送剤が、テトラヒドロフランに対する溶解度(測定温度:25℃)として、27〜50重量%の範囲内の値を有することを特徴とする単層型電子写真感光体である。
以下、第1の実施形態としての単層型電子写真感光体について、構成要件ごとに、具体的に説明する。
1.基本的構成
図1(a)に示すように、本発明の単層型電子写真感光体10は、基体12上に単一の感光層14を設けたものである。
また、かかる感光層は、正孔輸送剤として特定の構造を有するヒドラゾン化合物を含むとともに、電子輸送剤として、所定溶媒に対する溶解度が所定の範囲である化合物を含むことを特徴とする。
また、本発明の単層型電子写真感光体は、図1(b)に示すように、基体12と感光層14との間に、感光体の特性を阻害しない範囲で中間層16が形成されている単層型電子写真感光体10´でもよい。
また、基体としては、導電性を有する種々の材料を使用することができ、例えば、鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮等の金属や、上述した金属が蒸着又はラミネートされたプラスチック材料、ヨウ化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で被覆されたガラス、あるいはカーボンブッラク等の導電性微粒子を分散してなるプラスッチク材料等が挙げられる。
また、基体の形状は、使用する画像形成装置の構造に合わせて、シート状、ドラム状等のいずれであってもよく、基体自体が導電性を有するか、あるいは基体の表面が導電性を有していればよい。
また、基体の形状をドラム状とする場合には、その外径を、10〜25mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、基体の外径をかかる範囲とすることで、画像形成装置の小型化に資することができる一方で、感光層表面におけるフィルミング及びそれに起因した形成画像における黒点の発生についても、効果的に抑制することができるためである。
なお、基体の外径を比較的小さくしているにもかかわらず、感光層表面におけるフィルミングの発生を効果的に抑制することができる理由については、後の感光層の項において詳述する。
2.感光層
(1)正孔輸送剤
(1)−1 種類
本発明の単層型電子写真感光体においては、正孔輸送剤として、上述した一般式(1)で表されるヒドラゾン化合物を用いることを特徴とする。
この理由は、特定のヒドラゾン化合物であれば、元来優れた正孔輸送能や、耐オゾン性を有しており、電子写真感光体における感度特性をはじめとした電気特性を、効果的に向上させることができるためである。
ところが、かかる特定の構造を有するヒドラゾン化合物は、組み合わせて使用する電子輸送剤によっては、感度特性が著しく低下したり、感光層の表面特性が著しく低下して、フィルミング及びそれに起因した黒点が発生しやすくなる場合が見られる。
この点、本発明においては、後述するように、電子輸送剤として所定溶媒に対する溶解度を所定の範囲とした化合物を用いることにより、かかる感度特性及びフィルミングに起因する黒点の発生についての問題を、効果的に解決することができる。
かかる効果は、特定の構造を有するヒドラゾン化合物と、所定の溶解度を有する電子輸送剤と、の間における特異的な相互作用により得られるものと考えられるが、具体的な効果については、後の電子輸送剤の項において説明する。
(1)−2 具体例
また、一般式(1)で表されるヒドラゾン化合物の具体例としては、下記式(5)〜(8)で表される化合物(HTM−1〜4)を挙げることができる。
(1)−3 合成例
また、特定の構造を有するヒドラゾン化合物の合成例として、上述した式(6)で表される化合物(HTM−2)の合成方法を説明する。
すなわち、N,N−ジ(4−ベンジル)アミノ−m−トルイジンを、ビルス・マイヤー反応によってホルミル化し、下記式(9)で表される化合物を合成する。次いで、析出した式(9)で表される化合物に対して、エタノールを用いて再結晶を行い、精製する。
次いで、精製後の式(9)で表される化合物と、N,N−ジフェニルヒドラジンと、を等モルとなるようにエタノール中に加え、加熱還流を約2時間行い、黄白色の粉末を全面的に析出させる。次いで、析出した黄白色の粉末をろ取し、さらにエタノールを用いて再結晶を行うと、90〜96%の収率で、式(6)で表される化合物(HTM−2)を得ることができる。
(1)−4 溶出量
また、一般式(1)で表されるヒドラゾン化合物を含有させた樹脂膜を、基体上に形成し、オレイン酸トリグリセリドに対して、下記条件で浸漬させた場合に、一般式(1)で表されるヒドラゾン化合物のオレイン酸トリグリセリドに対する溶出量を1〜10mgの範囲内の値とすることが好ましい。
樹脂膜組成:ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、一般式(1)で表されるヒドラゾン化合物80重量部
樹脂膜厚:30μm
基体の外径:30mm
基体の長さ(浸漬長さ):40mm
オレイン酸トリグリセリド量:30g
温度:25℃
時間:20時間
この理由は、所定条件下における特定の構造を有するヒドラゾン化合物の溶出量をかかる範囲とすることにより、感光層中における特定の構造を有するヒドラゾン化合物自体が有する分散性を、より向上させることができるためである。
すなわち、特定の構造を有するヒドラゾン化合物の溶出量が1mg未満の値となると、有機材料に対する相溶性が過度に低下して、感光層中において十分に分散させることが困難となる場合があるためである。一方、特定の構造を有するヒドラゾン化合物の溶出量が10mgを超えた値となると、感光層中における分散性が不十分であるが故に、感光層表面からオレイン酸トリグリセリドに対して溶出しやすくなっていると判断することができるためである。
したがって、所定条件下における特定の構造を有するヒドラゾン化合物の溶出量を、3〜7mgの範囲内の値とすることがより好ましく、4〜6mgの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(1)−5 含有量
また、特定の構造を有するヒドラゾン化合物の含有量を、感光層における結着樹脂100重量部に対して20〜120重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、特定の構造を有するヒドラゾン化合物の含有量が20重量部未満の値となると、電子写真感光体において十分な感度特性を得ることが困難となる場合があるためである。一方、特定の構造を有するヒドラゾン化合物の含有量が80重量部を超えた値となると、所定の特性を有する電子輸送剤を併用した場合であっても、感光層中において十分に分散させることが困難となる場合があるためである。
したがって、特定の構造を有するヒドラゾン化合物の含有量を、感光層における結着樹脂100重量部に対して30〜100重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、50〜100重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(2)電子輸送剤
(2)−1 溶解度
本発明の単層型電子写真感光体においては、電子輸送剤が、テトラヒドロフランに対する溶解度(測定温度:25℃)として、27〜50重量%の範囲内の値を有することを特徴とする。
この理由は、正孔輸送剤として特定の構造を有するヒドラゾン化合物を用いるとともに、電子輸送剤における所定溶媒に対する溶解度を所定の範囲とすることにより、感光層中における特定の構造を有するヒドラゾン化合物の分散性を効果的に向上させることができるためである。
すなわち、所定の溶解度を有する電子輸送剤が、特定の構造を有するヒドラゾン化合物との特異的な相互作用によって、かかる化合物の分散助剤としての機能を発揮し、感光層中における特定の構造を有するヒドラゾン化合物の分散性を効果的に向上させることができる。
その結果、感光層の表面特性を効果的に向上させることができることから、いずれの使用環境下であっても、感光層の表面におけるフィルミングの発生、及びそれに起因した形成画像における黒点の発生を効果的に抑制することができる。
また、感光層中における電荷輸送剤の分散性が向上することにより、特定のヒドラゾン化合物が元来有する優れた正孔輸送能や、耐オゾン性といった特性を、有効に発揮させて、優れた感度特性を効果的に保持することができる。
より具体的には、電子輸送剤におけるテトラヒドロフランに対する溶解度が27重量%未満の値となると、特定の構造を有するヒドラゾン化合物との特異的な相互作用を十分に発揮させることが困難となって、フィルミング及びそれに起因した黒点の発生を抑制することが困難となる場合があるためである。一方、電子輸送剤におけるテトラヒドロフランに対する溶解度が50重量%を超えた値となると、特定の構造を有するヒドラゾン化合物の分散性を向上させることはできるものの、所定の電子移動度を確保することが困難となったり、感光層の機械的強度が過度に低下したりする場合があるためである。
したがって、電子輸送剤におけるテトラヒドロフランに対する溶解度を、27〜40重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、27〜35重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、電子輸送剤の、テトラヒドロフランに対する溶解度とは、25℃の条件下で、テトラヒドロフラン100gに対して溶解させることができる最大限の電子輸送剤量(g)を示している。
次いで、図2を用いて、電子輸送剤におけるテトラヒドロフランに対する溶解度及び正孔輸送剤の種類と、形成画像における黒点発生数と、の関係を説明する。
すなわち、図2には、横軸に電子輸送剤におけるテトラヒドロフランに対する溶解度(重量%)を採り、縦軸に形成画像における黒点発生数(個/A4紙)を採った特性曲線が示してある。
ここで、特性曲線Aは、正孔輸送剤として一般式(1)で表されるヒドラゾン化合物である式(5)で表される化合物(HTM−1)を用いた場合の特性曲線であり、特性曲線Bは、正孔輸送剤として一般式(1)で表されるヒドラゾン化合物以外の化合物である下記式(10)で表される化合物(HTM−5)を用いた場合の特性曲線である。
なお、正孔輸送剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して50重量部とし、電子輸送剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して30重量部とした。
その他、電子写真感光体の構成や、黒点発生数の測定条件等の詳細については、後の実施例において記載する。
まず、特性曲線Aから理解されるように、正孔輸送剤として一般式(1)で表されるヒドラゾン化合物を用いた場合には、電子輸送剤の溶解度が増加するのにともなって、黒点発生数が急激に減少している。
より具体的には、電子輸送剤の溶解度が20重量%から27重量%へと増加するのにともなって、黒点発生数が少なくとも300個/A4紙以上から50個/A4前後の値にまで、急激に減少していることがわかる。そして、電子輸送剤の溶解度が27重量%以上の範囲では、安定的に黒点発生数を50個/A4前後の範囲に保持できることがわかる。
一方、特性曲線Bから理解されるように、正孔輸送剤として一般式(1)で表されるヒドラゾン化合物以外の化合物を用いた場合には、電子輸送剤の溶解度を変化させた場合であっても、黒点発生数には特に影響を及ぼしていない。
より具体的には、電子輸送剤の溶解度にかかわらず、黒点発生数は200個/A4前後の範囲となってしまい、有効に黒点発生数を抑制することができないことがわかる。
したがって、特性曲線A及びBより、特定の構造を有するヒドラゾン化合物と、所定の溶解度を有する電子輸送剤と、を組み合わせて用いた場合には、それ以外の組み合わせを用いた場合と比較して、非予測的な相互作用が発揮され、黒点の発生を効果的に抑制できることがわかる。
次いで、図3を用いて、形成画像における黒点の発生と、感光層の表面特性と、の関係を説明する。
ここで、感光層の表面特性の指標としては、オレイン酸トリグリセリドに対する感光層からの正孔輸送剤の溶出量を用いることとする。
これは、オレイン酸トリグリセリドに対する感光層からの正孔輸送剤の溶出量が大きい程、感光層の表面において正孔輸送剤が不均一に分散していることを示しており、ひいては感光層の表面特性が不均一であることを示すこととなるためである。
さらには、実際に感光層の表面から正孔輸送剤が溶出することによって、さらに感光層の表面特性が低下しやすくなることを示すこととなるためである。
すなわち、図3には、横軸に形成画像における黒点発生数(個/A4)を採り、縦軸にオレイン酸トリグリセリドに対する感光層からの正孔輸送剤の溶出量(mg)を採った特性曲線が示してある。
かかる特性曲線から理解されるように、黒点発生数が増加するのにともなって、オレイン酸トリグリセリドに対する感光層からの正孔輸送剤の溶出量が増加している。
このことは、形成画像における黒点の発生は、感光層の表面特性と密接に関連していることを示している。
したがって、特定の構造を有するヒドラゾン化合物と、所定の溶解度を有する電子輸送剤と、の特異的な相互作用は、感光層の表面特性を効果的に向上させる効果を有しており、かかる効果の結果、感光層表面におけるフィルミングを抑制し、ひいては形成画像における黒点の発生を抑制していることが理解される。
(2)−2 種類
また、所定の溶解度を有する電子輸送剤の種類としては、特に限定されるものではなく、従来公知の種々の電子輸送性化合物を使用することができるが、特に好ましい電子輸送剤としては、上述した一般式(2)〜(4)で表される化合物を挙げることができる。
この理由は、これらの構造を有する電子輸送剤であれば、電子輸送剤における所定溶媒に対する溶解度を、容易に所定の範囲に調節することができるばかりか、特定の構造を有するヒドラゾン化合物との間における特異的な相互作用を、より効果的に発揮させることができるためである。
(2)−3 具体例
また、一般式(2)〜(4)で表される化合物の具体例としては、それぞれ下記式(11)〜(13)で表される化合物(ETM−1〜3)を挙げることができる。
(2)−4 含有量
また、電子輸送剤の含有量を、結着樹脂100重量部に対して10〜70重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、電子輸送剤の含有量をかかる範囲とすることにより、特定の構造を有するヒドラゾン化合物との間における特異的な相互作用を、さらに効果的に発揮させることができるばかりか、感光層中における電子輸送効率が向上し、電子写真感光体の感度特性についても、向上させることができるためである。
すなわち、電子輸送剤の含有量が10重量部未満の値となると、特定の構造を有するヒドラゾン化合物との間における特異的な相互作用を、十分に発揮させることが困難となるばかりか、電子輸送効率についても過度に低下する場合があるためである。一方、電子輸送剤の含有量が70重量部を超えた値となると、電子輸送剤の含有量が過多となって、電子輸送剤自体が特定の構造を有するヒドラゾン化合物の分散性を低下させる要因となる場合があるためである。
したがって、結着樹脂100重量部に対する電子輸送剤の含有量を20〜60重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、20〜50重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
次いで、図4を用いて、電子輸送剤の含有量と、形成画像における黒点発生数と、の関係を説明する。
すなわち、図4には、横軸に結着樹脂100重量部に対する電子輸送剤の含有量(重量部)を採り、縦軸に形成画像における黒点発生数(個/A4紙)を採った特性曲線が示してある。
ここで、特性曲線Aは、電子輸送剤として、所定の溶解度を有する化合物である式(12)で表される化合物(ETM−2)を用いた場合の特性曲線であり、特性曲線Bは、電子輸送剤として、所定の溶解度を有さない電子輸送剤である下記式(14)で表される化合物(ETM−4)を用いた場合の特性曲線である。
なお、正孔輸送剤としては、一般式(1)で表されるヒドラゾン化合物を、結着樹脂100重量部に対して50重量部含有させた。
その他、電子写真感光体の構成や、黒点発生数の測定条件等の詳細については、後の実施例において記載する。
まず、特性曲線Aから理解されるように、電子輸送剤として所定の溶解度を有する化合物を用いた場合には、電子輸送剤の含有量を幅広く変化させた場合であっても、黒点発生数を50個/A4紙未満の数に安定的に抑制できることがわかる。
なお、図4の特性曲線においては、電子輸送剤の含有量を20〜40重量部の範囲内の値で変化させているに過ぎないが、電子輸送剤の含有量を10〜70重量部の範囲内の値で変化させた場合であっても、安定的に黒点発生数を50個/A4紙未満の数に抑制できることが、別途確認されている。
一方、特性曲線Bから理解されるように、電子輸送剤として所定の溶解度を有さない化合物を用いた場合には、電子輸送剤の含有量を変化させた場合であっても、黒点発生数には大きな影響を及ぼしていない。
より具体的には、電子輸送剤の含有量が増加するのにともなって、黒点発生数が極緩やかに増加するのみであって、黒点発生数を効果的に減少させる効果は全く認められないことがわかる。
したがって、特性曲線A及びBより、特定の構造を有するヒドラゾン化合物と、所定の溶解度を有する電子輸送剤と、の間において、非予測的な相互作用が発揮され、かつ、所定の溶解度を有する電子輸送剤の含有量を、10〜70重量部の範囲内の値とすることにより、かかる相互作用をより効果的に発揮させることができることがわかる。
(3)電荷発生剤
(3)−1 種類
また、本発明の電子写真感光体に使用される電荷発生剤としては、従来公知の電荷発生剤を用いることができる。
例えば、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ビスアゾ顔料、ジオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、ピリリウム顔料、アンサンスロン顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、キナクリドン系顔料といった有機光導電体や、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム、アモルファスシリコンといった無機光導電剤等の一種単独又は二種以上の混合物が挙げられる。
(3)−2 具体例
また、これらの電荷発生剤のうち、具体的に、下記式(15)〜(18)で表されるフタロシアニン系顔料(CGM−A〜D)を使用することがより好ましい。
(3)−3 含有量
また、電荷発生剤の含有量を、結着樹脂100重量部に対して、0.2〜40重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、電荷発生剤の含有量が0.2重量部未満の値になると、量子収率を高める効果が不十分となり、電子写真感光体の感度特性、電気特性、安定性等を向上させることができなくなるためである。一方、電荷発生剤の含有量が40重量部を超えた値になると、可視光における赤色領域、近赤外領域、あるいは赤外領域に波長を有する光に対する吸光係数を大きくする効果が不十分となり、感光体の感度特性、電気特性、及び安定性等を向上させることができない場合があるためである。
したがって、電荷発生剤の含有量を0.5〜20重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
(4)添加剤
また、感光層には、上述した各成分のほかに、電子写真特性に悪影響を与えない範囲で、従来公知の種々の添加剤、例えば、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、一重項クエンチャー、紫外線吸収剤等の劣化防止剤、軟化剤、可塑剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナー等を配合することができる。また、感光層の感度を向上させるために、例えば、テルフェニル、ハロナフトキノン類、アセナフチレン等の公知の増感剤を電荷発生剤と併用してもよい。
(5)結着樹脂
結着樹脂としては、例えば、スチレン系重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル系重合体、スチレン−アクリル系共重合体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロアミン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、アルキッド樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、及びポリエーテル樹脂などの熱可塑性樹脂や、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、及びその他架橋性の熱硬化性樹脂、さらにエポキシ−アクリレート、及びウレタン−アクリレートなどの光硬化性樹脂などがあげられる。これら結着樹脂は単独で使用できるほか、2種以上を併用することもできる。
また、結着樹脂として、撥水性ポリカーボネート樹脂を含むことが好ましい。
この理由は、撥水性ポリカーボネート樹脂であれば、感光層の表面特性の調節が容易になって、感光層表面におけるフィルミングの発生をより効果的に抑制することができるためである。
なお、かかる撥水性ポリカーボネート樹脂が、感光層表面付近においてその含有割合が増加するように、勾配をもって含有されていることも好ましい。
この理由は、比較的少量の撥水性ポリカーボネート樹脂であっても、フィルミングの発生を効果的に抑制することができるためである。
また、上述した撥水性ポリカーボネート樹脂として、シロキサン構造を有するポリカーボネート樹脂を含むことが好ましい。
この理由は、シロキサン構造を有するポリカーボネート樹脂であれば、感光層の表面特性をさらに容易に調節することができるためである。
すなわち、シロキサン構造部分が優れた撥水性を発揮させることができるためである。
(6)厚さ
また、感光層の厚さは、5〜100μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、感光層の厚さが5μm未満の値となると、感光層を均一に形成することが困難となったり、機械的強度が低下する場合があるためである。一方、感光層の厚さが100μmを超えた値となると、感光層が基体から剥離しやすくなる場合があるためである。
したがって感光層の厚さを10〜50μmの範囲内の値とすることがより好ましく、15〜45μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(7)製造方法
また、電子写真感光体の製造方法としては、特に制限されるものではないが、以下のような手順で実施することができる。
まず、溶剤に電荷発生剤、電荷輸送剤、結着樹脂、添加剤等を含有させて塗布液を作成する。このようにして得られた塗布液を、例えば、ディップコート法、スプレー塗布法、ビード塗布法、ブレード塗布法、ローラ塗布法等の塗布法を用いて導電性基材(アルミニウム素管)上に塗布する。
その後、例えば、100℃、40分間の条件で熱風乾燥して、所定膜厚の感光層を有する単層型電子写真感光体を得ることができる。
なお、分散液を作るための溶剤としては、種々の有機溶剤が使用可能であり、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類;n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族系炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類;ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等があげられる。これらの溶剤は単独でまたは2種以上を混合して用いられる。このとき、さらに、電荷発生剤の分散性、感光層表面の平滑性を良くするために界面活性剤、レベリング剤等を含有させてもよい。
また、この感光層を形成する前に、基体上に中間層を形成しておくことも好ましい。
この中間層を形成するにあたり、結着樹脂、必要に応じて添加剤(有機微粉末または無機微粉末)を適当な分散媒とともに、公知の方法、例えば、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機等を用いて分散混合して塗布液を調整し、これを公知の手段、例えば、ブレード法、浸漬法、スプレー法により塗布して、熱処理を施し中間層を形成する。
また、添加剤は製造時の沈降等が問題とならない範囲であって、光散乱を生じさせて干渉縞の発生を防止する等の目的のために、各種添加剤(有機微粉末または無機微粉末)を少量添加することができる。
次いで、得られた塗布液を、公知の製造方法に準じて、例えば、支持基体(アルミニウム素管)上に、ディップコート法、スプレー塗布法、ビード塗布法、ブレード塗布法、ローラ塗布法等の塗布法を用いて塗布することができる。
その後、基体上の塗布液を乾燥する工程は、20〜200℃の温度で5分〜2時間の範囲で行うことが好ましい。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、電子写真感光体の周囲に、帯電手段、現像手段及び転写手段が配置された画像形成装置であって、電子写真感光体が、基体上に電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤及び結着樹脂を同一層に含む感光層を有した単層型電子写真感光体であるとともに、正孔輸送剤が、一般式(1)で表されるヒドラゾン化合物であり、かつ、電子輸送剤が、テトラヒドロフランに対する溶解度(測定温度:25℃)として、27〜50重量%の範囲内の値を有する単層型電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置である。
以下、第1の実施形態において記載した内容と異なる点を中心に、第2の実施形態としての画像形成装置について説明する。
第2の実施形態の画像形成装置は、例えば、図5に示すような複写機30として構成することができる。かかる複写機30は、画像形成ユニット31、排紙ユニット32、画像読取ユニット33、及び原稿給送ユニット34を備えている。また、画像形成ユニット31には、画像形成部31a及び給紙部31bがさらに備えられている。そして、図示された例では、原稿給送ユニット34は、原稿載置トレイ34a、原稿給送機構34b、及び原稿排出トレイ34cを有しており、原稿載置トレイ34a上に載置された原稿は、原稿給送機構34bによって画像読取位置Pに送られた後、原稿排出トレイ34cに排出される。
そして、原稿が原稿読取位置Pに送られた段階で、画像読取ユニット33において、光源33aからの光を利用して、原稿上の画像が読み取られる。すなわち、CCD等の光学素子33bを用いて、原稿上の画像に対応した画像信号が形成される。
一方、給紙部31bに積載された記録用紙(以下、単に用紙と呼ぶ。)Sは、一枚ずつ画像形成部31aに送られる。この画像形成部31aには、像担持体である感光体ドラム41が備えられており、さらに、この感光体ドラム41の周囲には、帯電器42、露光器43、現像器44、及び転写ローラ45が、感光体ドラム41の回転方向に沿って配置されている。
これらの構成部品のうち、感光体ドラム41は、図中、実線矢印で示す方向に回転駆動されて、帯電器42により、その表面が均一に帯電される。その後、前述の画像信号に基づいて、露光器43により感光体ドラム41に対して露光プロセスが実施され、この感光体ドラム41の表面において静電潜像が形成される。
この静電潜像に基づき、現像器44によりトナーを付着させて現像し、感光体ドラム41の表面にトナー像を形成する。そして、このトナー像は、感光体ドラム41と転写ローラ45とのニップ部に搬送される用紙Sに転写像として転写される。次いで、転写像が転写された用紙Sは、定着ユニット47に搬送されて、定着プロセスが行われる。
なお、感光体ドラム41として、第1の実施形態で説明した電子写真感光体を用いることを特徴とする。
また、定着後の用紙Sは、排紙ユニット32に送られることになるが、後処理(例えば、ステイプル処理等)を行う際には、用紙Sは中間トレイ32aに送られた後、後処理が行われる。その後、用紙Sは、画像形成装置の側面に設けられた排出トレイ部(図示せず)に排出される。一方、後処理を行わない場合には、用紙Sは中間トレイ32aの下側に設けられた排紙トレイ32bに排紙される。なお、中間トレイ32a及び排紙トレイ32bは、いわゆる胴内排紙部として構成されている。
なお、本発明の画像形成装置は、所定の電子写真感光体を備えているため、いずれの使用条件下であっても黒点の発生を効果的に抑制した鮮明な画像を、安定的に形成することができるとともに、優れた感度特性を効果的に保持することができる。
また、本発明の画像形成装置における現像手段が、現像同時クリーニング方式であることが好ましい。
この理由は、現像同時クリーニング方式を採用することにより、画像形成装置の小型化及び簡略化に資することができる一方で、感光層表面におけるフィルミング及びそれに起因した形成画像における黒点の発生を、効果的に抑制することができるためである。
すなわち、本発明において使用される電子写真感光体であれば、その表面特性が優れていることから、現像同時クリーニング方式を採用した場合であっても、十分にフィルミングの発生及びそれに起因した黒点の発生を抑制することができるためである。
また、上述した帯電手段、現像手段及び転写手段のうち少なくとも一つが、電子写真感光体に接触していることが好ましい。
この理由は、これらの手段を電子写真感光体に対して接触させる方式を採った場合、一般に、感光層表面におけるフィルミングが発生しやすくなるものの、本発明であれば、特定の単層型電子写真感光体を搭載していることから、フィルミング及びそれに起因した形成画像における黒点の発生を、効果的に抑制することができるためである。
より具体的には、転写手段として、転写ベルトを使用することが好ましく、帯電手段として、帯電ローラを使用することが好ましい。
すなわち、転写ベルトや帯電ローラを使用した場合、一般に転写ベルトや帯電ローラにおいて生じるブリードにより、感光層表面におけるフィルミングがさらに発生しやすくなる。一方、本発明であれば、特定の単層型電子写真感光体を搭載していることから、フィルミング及びそれに起因した形成画像における黒点の発生を、効果的に抑制することができるためである。
以下、実施例に基づいて、本発明を詳細に説明する。
[実施例1]
1.単層型電子写真感光体の製造
容器内に、電荷発生剤として、式(15)で表されるX型無金属フタロシアニン(CGM−A)を4重量部と、正孔輸送剤として式(5)で表される化合物(HTM−1)を50重量部と、電子輸送剤として式(11)で表される化合物(ETM−1)を30重量部と、結着樹脂として粘度平均分子量が30,000のポリカーボネート樹脂を100重量部と、溶媒としてテトラヒドロフランを800重量部と、を収容した。
次いで、ボールミルにて50時間混合分散して、感光層用の塗布液を作成した。次いで、得られた塗布液を、直径16mm、長さ254mmの基体(アルミニウム素管)上に、ディップコート法にて塗布し、100℃、40分間の条件で熱風乾燥して、膜厚25μmの単層型感光層を有する単層型電子写真感光体を得た。
2.単層型電子写真感光体の評価
(1)正孔輸送剤の溶出量の測定
感光層からの正孔輸送剤の溶出量を測定した。
すなわち、外径30mmの基体上に、単層型電子写真感光体を製造した際に作成した感光層用の塗布液を塗布し、膜厚30μmである感光層を形成した後、当該感光層を基体とともに、浸漬長さが40mmとなるように、30gのオレイン酸トリグリセリドに対して、25℃の条件下、20時間浸漬させた際に、感光層の表面から溶出した正孔輸送剤量(mg)を測定した。
かかる溶出した正孔輸送剤量の測定は、まず、予めオレイン酸トリグリセリド中に、測定対象と同一の正孔輸送剤を所定濃度となるように溶解させ、かかる溶液における紫外線吸光度(波長:350〜450nmの範囲における任意の2波長)を測定し、吸光度と正孔輸送剤の濃度との比率を求めた。
次いで、感光層を浸漬させた後のオレイン酸トリグリセリドにおける紫外線吸光度を測定し、感光層から溶出した正孔輸送剤量を算出した。得られた結果を表1に示す。
また、感光層からの正孔輸送剤の溶出量とは別に、結着樹脂に対して正孔輸送剤のみを含有させた樹脂膜を作成し、かかる樹脂膜からの正孔輸送剤の溶出量を測定した。
すなわち、外径30mmの基体上に、正孔輸送剤の含有量がポリカーボネート樹脂100重量部に対して80重量部であって、膜厚30μmである樹脂膜を形成した後、当該樹脂膜を基体とともに、浸漬長さが40mmとなるように、30gのオレイン酸トリグリセリドに対して、25℃の条件下、20時間浸漬させた際に、樹脂膜の表面から溶出した正孔輸送剤の量(mg)を測定した。
なお、測定方法としては、上述した感光層から溶出した正孔輸送剤量と同様にして測定した。
(2)黒点発生数の測定
また、得られた単層型電子写真感光体を、プリンター(京セラミタ(株)製、DP−560)に装着し、温度40℃、相対湿度90%Rhの環境条件で、印字率6%原稿画像をA4紙(富士ゼロックス製上質PPC用紙)5,000枚連続印刷した。その後、プリンターを6時間放置した後、A4紙に白紙原稿を印字して、そのA4紙上に発生した黒点の発生数を計数するとともに、下記基準に沿って評価した。得られた結果を表1に示す。
◎:A4紙1枚あたりの黒点発生数が50個未満である。
○:A4紙1枚あたりの黒点発生数が50〜100個未満である。
×:A4紙1枚あたりの黒点発生数が100個以上である。
(3)感度の測定
また、得られた単層型電子写真感光体の感度の測定を以下の条件で測定した。
すなわち、ドラム感度試験機(GENTEC(株)製)を用いて、単層型電子写真感光体の表面電位を+700Vに帯電させた状態で、ハロゲンランプの白色光からバンドパスフィルターを用いて取り出した波長780nmの単色光(半値幅20nm、光強度0.6μJ/cm2)を単層型電子写真感光体表面に対して50msec照射した。次いで、露光開始から0.35秒経過した時点での表面電位を感度(V)として測定した。
得られた感度及び感度の結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例2では、電子輸送剤として式(12)で表される化合物(ETM−2)を用いたほかは、実施例1と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例3は、電子輸送剤の含有量を20重量部に変えたほかは、実施例2と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例4では、電子輸送剤の含有量を40重量部に変えたほかは、実施例2と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例5では、電子輸送剤として式(13)で表される化合物(ETM−3)を用いたほかは、実施例1と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例6]
実施例6では、正孔輸送剤として式(6)で表される化合物(HTM−2)を用いたほかは、実施例1と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例7]
実施例7では、電子輸送剤として式(12)で表される化合物(ETM−2)を用いたほかは、実施例6と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例8]
実施例8では、電子輸送剤として式(13)で表される化合物(ETM−3)を用いたほかは、実施例6と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例9]
実施例9では、正孔輸送剤として式(7)で表される化合物(HTM−3)を用いたほかは、実施例1と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例10]
実施例10では、電子輸送剤として式(12)で表される化合物(ETM−2)を用いたほかは、実施例9と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例11]
実施例11では、電子輸送剤として式(13)で表される化合物(ETM−3)を用いたほかは、実施例9と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例12]
実施例12では、正孔輸送剤として式(8)で表される化合物(HTM−4)を用いたほかは、実施例1と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例13]
実施例13では、電子輸送剤として式(12)で表される化合物(ETM−2)を用いたほかは、実施例12と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例14]
実施例14では、電子輸送剤として式(13)で表される化合物(ETM−3)を用いたほかは、実施例12と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例1]
比較例1では、正孔輸送剤として式(10)で表される化合物(HTM−5)を用いたほかは、実施例1と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例2]
比較例2では、電子輸送剤として式(12)で表される化合物(ETM−2)を用いたほかは、比較例1と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例3]
比較例3では、電子輸送剤として式(13)で表される化合物(ETM−3)を用いたほかは、比較例1と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例4]
比較例4では、電子輸送剤として式(14)で表される化合物(ETM−4)を用いたほかは、比較例1と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例5]
比較例5では、正孔輸送剤として下記式(19)で表される化合物(HTM−6)を用いたほかは、実施例1と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例6]
比較例6では、電子輸送剤として式(12)で表される化合物(ETM−2)を用いたほかは、比較例5と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例7]
比較例7では、電子輸送剤として式(13)で表される化合物(ETM−3)を用いたほかは、比較例5と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例8]
比較例8では、電子輸送剤として式(14)で表される化合物(ETM−4)を用いたほかは、比較例5と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例9]
比較例9では、正孔輸送剤として下記式(20)で表される化合物(HTM−7)を用いたほかは、実施例1と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例10]
比較例10では、電子輸送剤として式(12)で表される化合物(ETM−2)を用いたほかは、比較例9と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例11]
比較例11では、電子輸送剤として式(13)で表される化合物(ETM−3)を用いたほかは、比較例9と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例12]
比較例12では、電子輸送剤として式(14)で表される化合物(ETM−4)を用いたほかは、比較例9と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例13]
比較例13では、正孔輸送剤として下記式(21)で表される化合物(HTM−8)を用いたほかは、実施例1と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例14]
比較例14では、電子輸送剤として式(12)で表される化合物(ETM−2)を用いたほかは、比較例13と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例15]
比較例15では、電子輸送剤として式(13)で表される化合物(ETM−3)を用いたほかは、比較例13と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例16]
比較例16では、電子輸送剤として式(14)で表される化合物(ETM−4)を用いたほかは、実施例1と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例17]
比較例17では、電子輸送剤の含有量を20重量部に変えたほかは、比較例16と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例18]
比較例18では、電子輸送剤の含有量を40重量部に変えたほかは、比較例16と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例19]
比較例19では、電子輸送剤として下記式(22)で表される化合物(ETM−5)を用いたほかは、比較例16と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに評価した。得られた結果を表1に示す。
本発明にかかる単層型電子写真感光体及び画像形成装置であれば、正孔輸送剤として特定の構造を有するヒドラゾン化合物を用いるとともに、電子輸送剤における所定溶媒に対する溶解度を所定の範囲とすることによって、感光層の表面特性を効果的に向上させることができるようになった。
その結果、いずれの使用環境下で画像形成を行った場合であっても、感光層の表面におけるフィルミングの発生、及びそれに起因した形成画像における黒点の発生を効果的に抑制することができるようになり、さらに、特定の構造を有するヒドラゾン化合物の優れた電荷輸送能を有効に発揮させて、感度特性を安定的に保持することができるようになった。
したがって、本発明にかかる単層型電子写真感光体及び画像形成装置は、複写機やプリンター等の各種画像形成装置における高品質化や、長寿命化等に著しく寄与することが期待される。
(a)〜(b)は、本発明の単層型電子写真感光体の構造を説明するために供する図である。 図2は、電子輸送剤の溶解度と、黒点発生数と、の関係を説明するために供する図である。 図3は、黒点発生数と、感光層からの正孔輸送剤の溶出量と、の関係を説明するための図である。 図4は、電子輸送剤の含有量と、黒点発生数と、の関係を説明するために供する図である。 図5は、本発明の画像形成装置の構造を説明するために供する図である。
符号の説明
10:単層型電子写真感光体、12:基体、14:感光層、16:中間層、30:複写機、31:画像形成ユニット、31a:画像形成部、31b:給紙部、32:排紙ユニット、33:画像読取ユニット、33a:光源、33b:光学素子、34:原稿給送ユニット、34a:原稿載置トレイ、34b:原稿給送機構、34c:原稿排出トレイ、41:感光体ドラム、42:帯電器、43:露光源、44:現像器、45:転写ローラ

Claims (8)

  1. 基体上に電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤及び結着樹脂を同一層に含む感光層を有した単層型電子写真感光体であって、
    前記正孔輸送剤が、下記一般式(1)で表されるヒドラゾン化合物であり、かつ、前記電子輸送剤が、テトラヒドロフランに対する溶解度(測定温度:25℃)として、27〜50重量%の範囲内の値を有することを特徴とする単層型電子写真感光体。

    (一般式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立した置換基であり、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、またはジアルキルアミノ基であり、前記ジアルキルアミノ基におけるアルキル基は、炭素数1〜6のアルキル基であり、A1は、メチル基、フェニル基、またはベンジル基であり、前記ベンジル基は、炭素数1〜6の1つのアルキル基、または炭素数1〜6の1つのアルコキシ基で置換されたベンジル基である。)
  2. 前記一般式(1)で表されるヒドラゾン化合物を含有させた樹脂膜を、前記基体上に形成し、オレイン酸トリグリセリドに対して、下記条件で浸漬させた場合に、前記一般式(1)で表されるヒドラゾン化合物のオレイン酸トリグリセリドに対する溶出量を1〜10mgの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1に記載の単層型電子写真感光体。
    樹脂膜組成:ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、一般式(1)で表されるヒドラゾン化合物80重量部
    樹脂膜厚:30μm
    基体の外径:30mm
    基体の長さ(浸漬長さ):40mm
    オレイン酸トリグリセリド量:30g
    温度:25℃
    時間:20時間
  3. 前記電子輸送剤が、下記一般式(2)〜(4)で表される化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の単層型電子写真感光体。

    (一般式(2)中、R3は、ハロゲン原子、炭素数1〜6の置換または非置換のアルキル基または炭素数6〜30の置換または非置換のアリール基であり、R4は、炭素数1〜6の置換または非置換のアルキル基、炭素数6〜30の置換または非置換のアリール基または−O−R5(R5は、炭素数1〜6の置換または非置換のアルキル基、炭素数6〜30の置換または非置換のアリール基または炭素数7〜30の置換または非置換のアラルキル基を示す。)で表される基である。)

    (一般式(3)中、R6及びR7は、それぞれ独立した置換基であり、炭素数1〜6の置換または非置換のアルキル基を示す。)

    (一般式(4)中、R8〜R12は、それぞれ独立した置換基であり、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜8の置換または非置換のアルキル基を示す。)
  4. 前記電子輸送剤の含有量を、前記結着樹脂100重量部に対して10〜70重量部の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の単層型電子写真感光体。
  5. 前記基体の外径を、10〜25mmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  6. 電子写真感光体の周囲に、帯電手段、現像手段及び転写手段が配置された画像形成装置であって、
    前記電子写真感光体が、基体上に電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤及び結着樹脂を同一層に含む感光層を有した単層型電子写真感光体であるとともに、
    前記正孔輸送剤が、下記一般式(1)で表されるヒドラゾン化合物であり、かつ、前記電子輸送剤が、テトラヒドロフランに対する溶解度(測定温度:25℃)として、27〜50重量%の範囲内の値を有する単層型電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。

    (一般式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立した置換基であり、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、またはジアルキルアミノ基であり、前記ジアルキルアミノ基におけるアルキル基は、炭素数1〜6のアルキル基であり、A1は、メチル基、フェニル基、またはベンジル基であり、前記ベンジル基は、炭素数1〜6の1つのアルキル基、または炭素数1〜6の1つのアルコキシ基で置換されたベンジル基である。)
  7. 前記現像手段が、現像同時クリーニング方式であることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
  8. 前記帯電手段、現像手段及び転写手段のうち少なくとも一つが、前記電子写真感光体に接触していることを特徴とする請求項6または7に記載の画像形成装置。
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