JP2009203598A - フィラメント糸の製造装置および製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】半密閉型の冷却手段に対応した、生産作業者が、紡糸口金の下面の汚れ具合や糸の揺れ具合を、目視で観察・監視できる装置を提供すること。
【解決手段】熱可塑性ポリマーを溶融紡糸し、フィラメント糸を製造する装置であって、以下の(1)〜(4)の要件を満足することを特徴とするフィラメント糸の製造装置。
(1)紡糸口金から紡出された前記フィラメント糸に気流を吹き付けて冷却する気流吹き出し部を設けた冷却手段を有すること。
(2)前記冷却手段が半密閉型の冷却手段であること。
(3)前記紡糸口金や前記フィラメント糸、あるいはそれら周辺を観察・監視するための硬性内視鏡を有すること。
(4)前記硬性内視鏡の挿入部の先端部を、前記気流吹き出し部に配設すること。
【選択図】 図1
【解決手段】熱可塑性ポリマーを溶融紡糸し、フィラメント糸を製造する装置であって、以下の(1)〜(4)の要件を満足することを特徴とするフィラメント糸の製造装置。
(1)紡糸口金から紡出された前記フィラメント糸に気流を吹き付けて冷却する気流吹き出し部を設けた冷却手段を有すること。
(2)前記冷却手段が半密閉型の冷却手段であること。
(3)前記紡糸口金や前記フィラメント糸、あるいはそれら周辺を観察・監視するための硬性内視鏡を有すること。
(4)前記硬性内視鏡の挿入部の先端部を、前記気流吹き出し部に配設すること。
【選択図】 図1
Description
本発明は、フィラメント糸の製造装置および製造方法に関する。
ポリエステルやポリアミド等の熱可塑性ポリマーから構成されるフィラメント糸は、一般に溶融紡糸、即ち、スピンブロックに配設される紡糸パックに供給された溶融した熱可塑性ポリマーを、紡糸パックに装備された紡糸口金からフィラメント糸として紡出し、気流等により冷却、固化させた後、油剤付与等を施し、必要に応じ同工程あるいは別工程で熱処理や延伸等を行い、巻き取る等の過程を経て製造される。
この様な溶融紡糸工程において、フィラメント糸から発生する分解ガスや昇華物、モノマー、オリゴマー等が、紡糸口金のフィラメント糸を紡出する吐出孔が穿設された、フィラメント糸の走行経路方向の下流側の面(以下、これを紡糸口金の下面と称する)に付着、堆積し、紡糸口金の下面が汚れ、フィラメント糸の各単糸の吐出、走行を妨げて、紡出されたフィラメント糸を曲げる、振動させる等して糸の太さ斑の悪化や形状の異常、糸切れを引き起こし、フィラメント糸の品質や生産性を悪化させることが知られている。
また、溶融紡糸工程において、フィラメント糸を冷却する気流等の影響で糸揺れが発生すると、冷却斑、延いては糸の太さ斑や品質斑等の均斉性の悪化を引き起こし、それら斑が欠陥となって、強度・伸度等の品質劣化を引き起こすばかりか、紡糸工程や延伸工程、あるいはその後の高次加工工程等での毛羽発生による品位劣化や糸切れ発生による生産性劣化を引き起こすことが知られている。なお、冷却斑は観察が難しく、一般に、目視で容易に確認し易い糸揺れが冷却斑の指標として用いられる。即ち、糸揺れが小さい程、冷却斑が生じ難い、あるいは糸揺れが大きい程、冷却斑が生じ易いと、一般に考えられている。
そこで、糸の太さ斑の悪化や糸切れの発生等を回避するため、一般に紡糸口金の下面の汚れ具合や糸の揺れ具合を定期的に観察・監視し、必要に応じ、紡糸口金の下面の清掃、紡糸口金の交換や、吐出条件の確認・調整、あるいは、冷却手段の気流の風速、風量、温度等の条件確認・調整や、冷却手段や冷却手段の気流供給系統に設けられる気流整流部材やフィルター等の清掃や交換が実施される。あるいは、定期的な観察・監視結果に基づき、定期的に紡糸口金の下面の清掃、紡糸口金の交換や、吐出条件の確認・調整、あるいは、冷却手段の気流の風速、風量、温度等の条件確認・調整や、冷却手段や冷却手段の気流供給系統に設けられる気流整流部材やフィルター等の清掃や交換を行う場合もある。
ここで、紡糸口金の下面の汚れ具合や糸の揺れ具合の観察・監視は、従来一般に、生産作業者の目視により行われてきた。言うまでもなく、人間の目は非常に優秀で、様々な現象を捉えることができ、その得られる情報量の多さは素晴らしい。例えば、紡糸口金の下面の汚れの付き方、分布状態や成長の具合、フィラメント糸の全般的な紡出状況や各単糸の紡出状況、あるいはフィラメント糸の揺れの強弱や揺れ方等や、フィラメント糸の撓み・弛み等の大小や撓み・弛み方等、様々な現象を捉えることができ、また、これらのフィラメント糸毎の差異や日々の差異等も察知することができる。このため、生産作業者の目視による観察・監視情報は、生産管理の非常に有益な情報として活用され、フィラメント糸の均斉性や品質、品位の異常、糸切れ等の要因分析に役立てられてきた他、対策立案や不良糸の後工程や市場への流出防止、延いてはそれらの早期対応に役立てられてきた。
なお一方、従来、紡糸口金の下面の汚れ具合や糸の揺れ具合の観察・監視を生産作業者の目視により行うことができた背景として、溶融紡糸工程に多く用いられてきた冷却手段が、紡糸口金から紡出されるフィラメント糸に、平面状の気流吹き出し部から一方向の気流を吹き付けて冷却するユニフロ冷却手段であったことが挙げられる。つまり、ユニフロ冷却手段では、気流吹き出し部の対向側、即ち、生産作業者の操作側が一般に開放系であり、生産作業者が操作側の開放部から眺めたり、覗いたりして目視で紡糸口金の下面の汚れ具合や糸の揺れ具合を容易に観察・監視できた背景がある。
他方、近年のニーズの多様化から様々な改良や機能性を付与されたフィラメント糸、即ち、特品糸が開発・上市される様になった。例えば、ソフトな風合い等を付与する狙いで単糸細繊度化・多フィラメント化、吸水・速乾性の向上や光沢感を変更する等の狙いで単糸異形断面化、あるいは新たな機能性付与の狙いで熱可塑性ポリマーを改質する等の改良が行われている。更にここ数年、上記した様な機能性を複数組み合わせて付与する試みも盛んに行われ始めている。
しかしながら、これら特品糸は、素晴らしい機能性を有する高機能品種である一方、溶融紡糸が極めて難しい難紡糸品種でもあり、特に、これら難紡糸品種の糸の太さ斑や品質斑等の均斉性向上や強度・伸度等の品質向上、品位向上、生産性向上の上で、溶融紡糸で実施される冷却が極めて重要な要素と考えられている。そこで、従来、糸の太さ斑や品質斑等の均斉性向上や強度・伸度等の品質向上、品位向上、生産性向上を狙い、冷却手段の改良を試みた様々な提案がされている。
例えば、単糸切れや繊度斑、物性斑の抑制等を狙って、ユニフロ冷却手段の気流吹き出し面に対向した面に気体整流装置を設け、ユニフロ冷却手段の気流吹き出し面からフィラメント糸に向かって冷却のための気流を吹き出させると共に、ユニフロ冷却手段の気流吹き出し面に対向した面からも、外気を整流して、吸引導入せしめ、フィラメント糸を冷却する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、均一冷却等を狙って、フィラメント糸の各単糸を紡出する吐出孔を、紡糸口金に円周状に配列し、更に円筒状の気流吹き出し部を設けて、フィラメント糸を、フィラメント糸の走行経路の外周側から内向きに気流を吹き付けて冷却する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。なお、以下、フィラメント糸の各単糸を紡出する吐出孔を紡糸口金に円周状に配列するさまを、環状に配列、また、円筒状の気流吹き出し部を、環状の気流吹き出し部と称する。また、この環状の気流吹き出し部を設け、フィラメント糸を、フィラメント糸の走行経路の外周側から内向きに気流を吹き付けて冷却する冷却手段を内吹き環状冷却手段と称する。また、内吹き環状冷却手段と後述する外吹き環状冷却手段を併用する方法も知られている(例えば、特許文献3参照)。また、更なる糸質の斑の抑制等を狙って、内吹き環状冷却手段と、内吹き環状冷却手段から吹き出される気流を積極的に吸引する気流吸引部を設けて、フィラメント糸を内吹き環状冷却手段の気流吹き出し部と、気流吸引部の間を走行させる、言わば、本発明者らの知見によれば、内吹き環状冷却手段と後述する外吹き環状冷却手段を併用し、外吹き環状冷却手段を気流吹き出しではなく、気流吸引に用いる方法も知られている(例えば、特許文献4参照)。なお、この様な方法を以下、内吹き環状冷却手段と内向き環状吸引手段を併用する方法と称する。
また、同様に均一冷却等を狙って、フィラメント糸の各単糸を紡出する吐出孔を、紡糸口金に環状に配列し、更に環状の気流吹き出し部を設けて、フィラメント糸を、フィラメント糸の走行経路の内周側から外向きに気流を吹き付けて冷却する方法もが知られている(以下、この環状の気流吹き出し部を設け、フィラメント糸を、フィラメント糸の走行経路の内周側から外向きに気流を吹き付けて冷却する冷却手段を外吹き環状冷却手段と称する)。
なお、本発明者らの知見によれば、上記した種々の冷却手段の中で、内吹き環状冷却手段や内吹き環状冷却手段に関連する冷却手段は、ユニフロ冷却手段やユニフロ冷却手段に関連する冷却手段に対して、フィラメント糸を、フィラメント糸の外周側からの気流で全円周にわたって冷却できるため、均一冷却等の能力が優れ、また外吹き環状冷却手段に対して、フィラメント糸を、フィラメント糸の走行経路の外周側から内向きに気流を吹き付けて冷却するため、気流はフィラメント糸の内周側に向かって流路が縮小し増速されるため、冷却能力が高く、多品種対応等の汎用性にも優れる等、ポテンシャルの高い冷却手段であると考える。
この様に、糸の太さ斑や品質斑等の均斉性向上や強度・伸度等の品質向上、品位向上、生産性向上を狙った冷却手段の多くは、冷却手段の高機能化等の狙いから、フィラメント糸の走行等を妨げない範囲で、冷却手段を走行するフィラメント糸の周囲が気流吹き出し部や包囲部材等の何らかの部材で取り囲まれた、半密閉型の冷却手段が多く、生産作業者が眺めたり、覗いたりして、目視で紡糸口金の下面の汚れ具合や糸の揺れ具合を観察・監視することを極めて難しくしている。
例えば、上記したユニフロ冷却手段の気流吹き出し面に対向した面に気体整流装置を設ける方法では、気体整流装置等が邪魔で、生産作業者が眺めたり、覗いたりして紡糸口金の下面の汚れ具合や糸の揺れ具合を観察・監視することが難しい。なお、ユニフロ冷却手段の気流吹き出し部の対向側、即ち、生産作業者の操作側から見て、左右方向から気体整流装置等を避けて覗き見ることも考えられるが、一般に溶融紡糸装置は、スピンブロックに多数の紡糸パックが並んで近接して配設されるため、気体整流装置等を避けて左右方向から覗き見ることも難しい。また、内吹き環状冷却手段では、内吹き環状冷却手段自体が邪魔で、同様に観察・監視することが難しい。また、外吹き環状冷却手段と内吹き環状冷却手段を併用する方法や内吹き環状冷却手段と内向き環状吸引手段を併用する方法等も内吹き環状冷却手段が邪魔で、同様に観察・監視することが難しい。
生産作業者が紡糸口金の下面の汚れ具合や糸の揺れ具合を観察・監視する際に、冷却手段を溶融紡糸装置から冷却手段を取り外して観察・監視する方法も考えられるが、取り外しの際にフィラメント糸の周辺が開放され、外気の影響等により、フィラメント糸周辺の雰囲気が乱されて、糸の太さ斑や品質斑等の均斉性や品質、品位に悪影響を与えたり、糸切れが発生したりする場合もあり、問題がある。また、上記した悪影響等を考慮して、取り外しの度にフィラメント糸を一旦断糸して生産を中断し、観察・監視の後に、再度生産を再開することも考えられるが、屑糸の発生や生産ロス等、生産性の低下に繋がり、やはり問題がある。
また、フィラメント糸の高強力化等の狙いから徐冷のため、フィラメント糸の走行経路方向の紡糸口金と冷却手段の間に、加熱装置や加熱筒、保温筒等を設ける方法が知られている(特許文献5、6)が、この様な構成では、仮に冷却手段がユニフロ冷却手段であっても、加熱装置や加熱筒、保温筒等が邪魔で、生産作業者が紡糸口金の下面の汚れ具合や紡糸口金から紡出直後のフィラメント糸の揺れ具合を観察・監視することが難しい。また、冷却手段を溶融紡糸装置から冷却手段を取り外しても、やはり加熱装置や加熱筒、保温筒等が邪魔であるため、観察・監視が難しい。これは、フィラメント糸の走行経路方向の上流側に向かって、スピンブロックの奥深くに紡糸パック、紡糸口金が配設される場合も同様である。
そこで、この様な半密閉型の冷却手段に対応した、生産作業者が、紡糸口金の下面の汚れ具合や糸の揺れ具合を、目視で観察・監視できる方法の開発が強く望まれていた。また、難紡糸品種では、冷却斑、糸揺れが問題となることが多く、生産管理への活用は勿論のことながら、難紡糸品種の開発や生産条件適正化への活用の狙いからも、目視で観察・監視できる方法の開発が強く望まれていた。
しかしながら、本発明者らの知見によれば、この様な問題の解消を狙った試みは、従来、余り行われてこなかった印象である。ただ、本発明者らの知りうる範囲で言えば、従来の技術として挙げられるのは、特許文献7、特許文献8に記載の電荷結合素子(以下、CCDと称する。CCD:Charge Coupled Deviceの略)からなるCCDカメラやデジタルビデオカメラ等を用いて撮影する方法が挙げられる。
特許文献7では、ポリマーの吐出時のねじれ振動やポリマー吐出直後のベンディングといった種類の紡糸異常を判別して検出するため、紡糸口金に穿設された吐出孔から紡出されたフィラメント糸から反射又は放射される光量を検出するための光量検出手段と、検出された反射光又は放射光の変動挙動を解析して、前記変動挙動から紡出されたフィラメント糸の吐出異常を判別するための吐出異常判別手段とを備え、更に前記吐出異常判別手段が、前記光量検出手段によって検出された光量の変動を所定時間に渡って記憶するための記憶手段と、前記記憶手段によって記憶された光量変動から特定周期の変動発生を周波数解析する周波数解析手段とを備えて、前記紡糸口金から吐出されるポリマーの周期的なねじれ振動を少なくとも検出する紡糸異常検出装置、方法が提案されている。また、特許文献7には、上記したねじれ振動やベンディングの現象の発生を実際の映像として観察・確認するため、特許文献7の発明の必須の構成要件ではないCCDカメラを設け、紡糸口金の下面を撮影することで、吐出孔からのポリマーの吐出状況を映像によって観察したことが記載されている。
特許文献8では、紡糸口金から紡出されたフィラメント糸の糸揺れ定量的に評価するため、単糸群よりなるフィラメント糸に対して前記フィラメント糸を横切る様に薄膜状光を投光し、投光された前記薄膜状光が前記各単糸に反射した反射光を所定時間に渡って連続画像群として撮影し、前記連続画像群のそれぞれに対して各単糸の光点群を画像処理して抽出し、前記連続画像群を互に重ね合わせて前記光点群を重畳合成した合成光点群を形成させ、形成させた前記各合成光点の形状からフィラメント糸を構成する各単糸の糸揺れ量を解析する方法が提案されている。また、特許文献8には、画像を連続記録する撮像手段として、市販のデジタルビデオカメラを使用したことが記載されており、また、CCDカメラやアナログのビデオカメラを場合によっては使用できるとの記載がある。また、特許文献8には、特許文献8の図示では、紡糸筒の前面ハニカムを取り外した状態を例示しているが、小型CCDカメラ及び薄膜状光を投光する投光手段として小型レーザ投光器を用いれば、前面ハニカムに設置することも可能で、前面ハニカム装着状態でも測定は可能であるとの記載がある。
つまり、本発明者らの知見によれば、第1の従来技術は、特許文献7に記載の従来技術であり、CCDカメラを設け、紡糸口金の下面を撮影することで、吐出孔からのポリマーの吐出状況を映像によって観察することに特徴がある。次に、第2の従来技術は、特許文献8に記載の従来技術であり、画像を連続記録する撮像手段として、デジタルビデオカメラ、場合によってはCCDカメラやアナログのビデオカメラを用い、各単糸に反射した反射光の画像を撮影することに特徴がある。また、小型のCCDカメラを前面ハニカムに設置することで、前面ハニカム装着状態でも測定が可能との記載も特徴的である。
しかしながら、先ず、本発明者らの知見によれば、第1の従来技術には次の様な問題がある。先ず、大きさの問題が挙げられる。CCDカメラは、近年の急速な進歩から、かなり小型のものも市販される様になったが、かなり小型のものであっても、十数mm〜数十mm立方程度の大きさが一般的である。特許文献7にはCCDカメラの設置位置や方法等について詳細な開示はないが、第1の従来技術を用いて、紡糸口金の下面や紡出直後のフィラメント糸を鮮明に観察しようと考えると、CCDカメラを紡糸口金の下面や紡出直後のフィラメント糸に近接させる必要が生じる。しかしながら、この様な大きさのCCDカメラを、紡出直後の、雰囲気の変化に敏感なフィラメント糸に特に工夫なく近接させると、フィラメント糸周辺の雰囲気が乱れて、フィラメント糸の均斉性や品質・品位、生産性に重大な影響を与える問題があった。また、これを避けようとして、CCDカメラを紡糸口金の下面や紡出直後のフィラメント糸から遠ざけると、充分に観察できない問題があった。
次に、本発明者らの知見によれば、熱の問題が挙げられる。一般に、CCD等の固体撮像素子は、その温度特性上、高温の条件下では、ノイズや誤動作等が発生することが知られており、また、極端な高温条件下では、素子が損傷する場合もある。また、固体撮像素子自体から発せられる熱もあるため、一般的なCCDカメラの最高使用温度は40℃程度に制限されている。このため、第1の従来技術を用いて、紡糸口金の下面や紡出直後のフィラメント糸を鮮明に観察しようと考え、CCDカメラを高温の紡糸口金の下面や紡出直後のフィラメント糸に特に工夫なく近接させると、画像が乱れて充分な観察ができない、あるいは全く観察できない問題があった。なお、紡糸口金の下面の温度は、熱可塑性ポリマーの種類にも寄るが、一般に、230〜350℃程度であり、紡出されたフィラメント糸近傍も充分な冷却が完了するまでは、この程度以下の温度が維持される。このため、これを避けようとして、CCDカメラを紡糸口金の下面や紡出直後のフィラメント糸から遠ざけると、充分に観察できない等の問題があった。
以上の大きさや熱の問題から、本発明者らの知見によれば、第1の従来技術では、紡糸口金の下面やフィラメント糸に、CCDカメラを近接させて設けることが難しく、紡糸口金の下面の汚れ具合や糸の揺れ具合を充分に観察・監視することが難しい。
また次に、本発明者らの知見によれば、暗所・遠点の問題が挙げられる。CCDカメラ等の固体撮像素子を用いたカメラは、一般に、観察物周辺が暗くて遠い場合、つまり暗所・遠点の場合、ノイズが入る等して充分な観察が難しいことが知られている。また、更に観察物に凹凸等があると、それらの充分な観察が難しいことが知られている。紡糸口金の下面は、紡糸パックを装備するスピンブロック等に周囲を囲まれ、一般に暗所である。紡糸口金と冷却手段の間に、加熱装置や加熱筒、保温筒等が設けられる場合や、冷却手段が半密閉型である場合、両方が設けられる場合は尚更である。これに加え、上記した大きさや熱の問題から、CCDカメラを紡糸口金の下面や紡出直後のフィラメント糸に近接させて設けることが難しいことから、紡糸口金の下面や紡出直後のフィラメント糸を充分に観察できない問題があった。
また次に、本発明者らの知見によれば、表示の問題が挙げられる。一般に、CCDカメラ等の固体撮像素子を用いたカメラでは、撮像光学手段で捉えた観察物の光学像を、固体撮像素子に結像、画像信号として取り出し、取り出された観察物の光学像の画像信号がブラウン管や液晶ディスプレー等の表示手段に画像として表示されるが、表示手段等の問題から、観察物が連続的に運動する場合、画面の切り替わり等の影響でやや観察し難いことが知られている。このため、目視と比べ、フィラメント糸の揺れが自然な動きとして観察し難い問題があった。
以上から、本発明者らの知見によれば、第1の従来技術では、紡糸口金の下面の汚れ具合や糸の揺れ具合を充分に観察・監視することは困難である。なお、本発明者らの知見によれば、特許文献7では、CCDカメラを、紡糸口金の下面やフィラメント糸からかなり遠ざけて設置し、その分、フィラメント糸を観察し易くするために、フィラメント糸を太くして(特許文献7では、44dtexのモノフィラメントを観察している。なお、dtexはデシテックスを示す)、フィラメント糸を観察したものと考える。
次に、本発明者らの知見によれば、第2の従来技術には次の様な問題がある。
基本的に、第2の従来技術におけるCCDカメラや小型CCDカメラを用いる方法については、上記第1の従来技術の問題点で記載したCCDカメラの問題が同様に当てはまる。また、市販のデジタルビデオカメラや、アナノグのビデオカメラを用いる方法についても、市販のデジタルビデオカメラや、アナログのビデオカメラの多くは、CCD等の固体撮像素子を用いたものであり、これについても、同様に上記第1の従来技術の問題点で記載したCCDカメラの問題が当てはまる。また、市販のデジタルビデオカメラについては、一般に、小型のものでも人間の手のひら程度の大きさのものが多く、上記第1の従来技術の問題点で記載した大きさの問題が更に悪化する。アナノグのビデオカメラについても同様である。なお、ビデオカメラには、撮像管を用いたものもあるが、ビデオカメラの小型軽量化と共に、CCD等の固体撮像素子に置き換わり、現在では一般に余り用いられない。
また、第2の従来技術には、小型CCDカメラを前面ハニカムに設置することが記載されている。ここで、特許文献8には前面ハニカムについて詳細な開示がないが、本発明者らの知見によれば、特許文献1に記載のユニフロ冷却手段の気流吹き出し面に対向した面に気体整流装置を設け、ユニフロ冷却手段の気流吹き出し面からフィラメント糸に向かって冷却のための気流を吹き出させると共に、ユニフロ冷却手段の気流吹き出し面に対向した面からも、外気を整流して、吸引導入せしめ、フィラメント糸を冷却する方法における、気体整流装置を示すものと考えられる。
しかしながら、本発明者らの知見によれば、この方法には次の様な問題点がある。先ず第1に、特許文献1にも記載がある様に、気体整流装置から吸引導入される気流は、ユニフロ冷却手段の気流吹き出し面から吹き出される気流の吹出速度を通常用いられる吹出速度よりも小さくし、高速で走行する条件による吸引効果を働かせることで吸引導入される外気、即ち、本発明者らの知見によれば、気体整流装置から吸引導入される気流は、ユニフロ冷却手段の気流吹き出し面から吹き出される気流の吹出速度を弱め、高速で走行するフィラメント糸による吸引効果で吸引導入される、積極的に吸引導入される訳ではない、受動的に吸引導入される外気であるため、気体整流装置周辺の雰囲気の外乱等の影響で敏感に変化し易く、例えば、上記した様に小型であっても十数mm〜数十mm立方程度の大きさはある小型CCDカメラを気体整流装置に設置すると、気体整流装置から吸引され、フィラメント糸に導入される外気の気流等の雰囲気が乱れて、フィラメント糸の均斉性や品質・品位、生産性に重大な影響を与える問題がある。
第2に、特許文献1にも記載がある様に、ユニフロ冷却手段の気流吹き出し面から吹き出される気流の吹出速度が大き過ぎると、気流吹き出し面から吹き出された気流が、気流吹き出し面に対向した面に設けられた気体整流装置から排出される様になる等、発明者の知見によれば、ユニフロ冷却手段の気流吹き出し面から吹き出される気流の条件や気体整流装置周辺の外気の雰囲気等の影響を極めて敏感に受け易く不安定である。そのため、本発明者らの知見によれば、例えば、気体整流装置が現場の毛羽等を吸い込んで詰まる、気体整流装置の周辺雰囲気が季節等の変動影響を受けて変動する等して、気体整流装置から吸引導入される外気が弱まって、フィラメント糸を通過し、フィラメント糸の熱を受熱して高温となった気流吹き出し面から吹き出された気流が、気体整流装置に設けられた小型CCDカメラに衝突する、あるいは、フィラメント糸が気流吹き出し面から吹き出される気流の影響等で気体整流装置側に撓む等してフィラメント糸がフィラメント糸の走行経路方向の下流側に向かって持ち出す高温の随伴流が、気体整流装置に設けられた小型CCDカメラに衝突する等して、上記した熱の問題から、画像が乱れて充分な観察ができない、あるいは全く観察できない、あるいは小型CCDカメラを損傷させてしまう問題がある。
また、本発明者らの知見によれば、気体整流装置から吸引導入される気流は受動的に吸引導入される外気であるため、ユニフロ冷却手段の気流吹き出し面から吹き出される気流と比べ、吹出速度が小さいと考えられる。そのため、フィラメント糸は、基本的に、気流吹き出し面から吹き出される気流の影響で気体整流装置側に撓み易いと考えられ、上記した様に、フィラメント糸がフィラメント糸の走行経路方向の下流側に向かって持ち出す高温の随伴流が気体整流装置に設けられた小型CCDカメラに衝突し易い問題もある。なお、本発明者らの知見によれば、これを避けようとして、気体整流装置をフィラメント糸から遠ざけると、気体整流装置から外気を整流して吸引導入し難くなると考える。
また、本発明者らの知見によれば、気体整流装置から吸引導入される気流は、外気であるため、現場の毛羽等を吸い込んで詰まる等して、上記した様な熱の問題がある他、詰まった毛羽等が小型CCDカメラの視野を妨げて観察し難くなる等の問題もある。
以上の様に、本発明者らの知見によれば、従来の技術では、上記した様な様々な問題があり、半密閉型の冷却手段を採用したフィラメント糸の製造装置において、紡糸口金の下面の汚れ具合や糸の揺れ具合を、充分に、生産作業者が目視で観察・監視することが極めて難しいのが現状である。
なお、本発明者らの知見によれば、特許文献7や特許文献8に提案されている方法は、ポリマーの吐出時のねじれ振動やポリマー吐出直後のベンディングといった種類の紡糸異常を判別して検出できたり、紡糸口金から紡出されたフィラメント糸の糸揺れ定量的に評価できたりする点で、極めて優れた方法であるが、裏を返せば、ポリマーの吐出時のねじれ振動やポリマー吐出直後のベンディングといった種類の紡糸異常、フィラメント糸の糸揺れしか判らない、言うなれば、単能型の検出方法や解析方法であって、限られた現象しか捉えることができない問題がある。従って、様々な要素、例えば、紡糸口金の下面の汚れの付き方、分布状態や成長の具合、フィラメント糸の全般的な紡出状況や各単糸の紡出状況、フィラメント糸の揺れの強弱や揺れ方等や、フィラメント糸の撓み・弛み等の大小や撓み・弛み方等、あるいは、吐出条件や、冷却手段の気流の風速、風量、温度等の条件、紡糸口金の下面やフィラメント糸周辺の気流の状況等が複雑に絡み合って構成される紡糸口金の下面からフィラメント糸の走行経路方向の下流側で発生する諸現象を充分に捉えるには、生産作業者の目視から得られる情報と比べ、圧倒的に情報量が不足しており、複数の要素が絡み合った諸現象の要因を総合的に判断し、判別することが難しい。このため、上記した様々な要素が複雑に絡み合って発生する諸現象を起因としたフィラメント糸の均斉性や品質、品位の異常、糸切れ等の要因分析が難航して、対策立案や不良糸の後工程への流出防止が遅れる等の問題がある。
また、近年のニーズの多様化から、フィラメント糸は多品種化傾向にあり、本発明者らの知見によれば、充分な検出や解析を行うために、特許文献7や特許文献8で提案される検出手段や投光手段、撮像手段を、各品種のフィラメント糸に対して、また多数のフィラメント糸に対して、精度良く位置決めすることは、メンテナンス等も考えると、生産作業者の労力や生産作業者に掛かる費用の点で大きな問題がある。
また、本発明者らの知見によれば、情報量を充実させるため、特許文献7や特許文献8で提案される検出方法や解析方法を複数設けることも考えられるが、設置スペースの問題がある他、上記した生産作業者の労力や生産作業者に掛かる費用の問題が拡大するばかりか、複数設けられる検出方法や解析方法に掛かる費用の点でも問題がある。
本発明の目的は、上記した問題点を解決し、半密閉型の冷却手段に対応した、生産作業者が、紡糸口金の下面の汚れ具合や糸の揺れ具合を、目視で観察・監視できる装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、熱可塑性ポリマーを溶融紡糸し、フィラメント糸を製造する装置であって、以下の(1)〜(4)の要件を満足するフィラメント糸の製造装置が提供される。
(1)紡糸口金から紡出された前記フィラメント糸に気流を吹き付けて冷却する気流吹き出し部を設けた冷却手段を有すること。
(2)前記冷却手段が半密閉型の冷却手段であること。
(3)前記紡糸口金や前記フィラメント糸、あるいはそれら周辺を観察・監視するための硬性内視鏡を有すること。
(4)前記硬性内視鏡の挿入部の先端部を、前記気流吹き出し部に配設すること。
(1)紡糸口金から紡出された前記フィラメント糸に気流を吹き付けて冷却する気流吹き出し部を設けた冷却手段を有すること。
(2)前記冷却手段が半密閉型の冷却手段であること。
(3)前記紡糸口金や前記フィラメント糸、あるいはそれら周辺を観察・監視するための硬性内視鏡を有すること。
(4)前記硬性内視鏡の挿入部の先端部を、前記気流吹き出し部に配設すること。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記半密閉型の冷却手段が、前記気流吹き出し部や包囲部材により取り囲まれたものであり、かつ、前記気流吹き出し部や前記包囲部材の前記フィラメント糸側の面である気流吹き出し面や前記包囲部材の内側面により取り囲まれた領域の、前記フィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の面の断面積が、前記フィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって徐々に小さくなる様に、前記気流吹き出し部に縮小部を設け、前記縮小部に、前記硬性内視鏡の前記挿入部の前記先端部を配設するフィラメント糸の製造装置が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記半密閉型の冷却手段が、前記気流吹き出し部や包囲部材により取り囲まれたものであり、前記硬性内視鏡の前記挿入部の前記先端部を、前記気流吹き出し面の前記フィラメント糸の走行経路方向の下流側の下端を通り、前記気流吹き出し面や前記包囲部材の前記内側面により取り囲まれた前記領域の前記フィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の面を、前記フィラメント糸の走行経路方向の上流側に投影した領域の外側に配設するフィラメント糸の製造装置が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、以下の(1)、(2)を少なくとも有するフィラメント糸の製造装置が提供される。
(1)前記硬性内視鏡の接眼手段に、アダプターを介して配設され、前記接眼手段と前記アダプターを経て伝送された観察物の光学像を、画像信号として取り出す固体撮像素子からなるカメラ。
(2)前記固体撮像素子からなるカメラで得られた前記観察物の光学像の画像信号を画像として表示する表示手段。
(1)前記硬性内視鏡の接眼手段に、アダプターを介して配設され、前記接眼手段と前記アダプターを経て伝送された観察物の光学像を、画像信号として取り出す固体撮像素子からなるカメラ。
(2)前記固体撮像素子からなるカメラで得られた前記観察物の光学像の画像信号を画像として表示する表示手段。
また、本発明の別の形態によれば、熱可塑性ポリマーを溶融紡糸し、フィラメント糸を製造する方法であって、以下の(1)〜(4)の要件を満足するフィラメント糸の製造方法が提供される。
(1)気流吹き出し部を設けた冷却手段で、紡糸口金から紡出された前記フィラメント糸に気流を吹き付けて冷却すること。
(2)前記冷却手段が半密閉であること。
(3)前記紡糸口金や前記フィラメント糸、あるいはそれら周辺の観察・監視に硬性内視鏡を用いること。
(4)前記気流吹き出し部に,前記硬性内視鏡の挿入部の先端部を配設して用いること。
(1)気流吹き出し部を設けた冷却手段で、紡糸口金から紡出された前記フィラメント糸に気流を吹き付けて冷却すること。
(2)前記冷却手段が半密閉であること。
(3)前記紡糸口金や前記フィラメント糸、あるいはそれら周辺の観察・監視に硬性内視鏡を用いること。
(4)前記気流吹き出し部に,前記硬性内視鏡の挿入部の先端部を配設して用いること。
また、本発明の好ましい形態によれば、半密閉である前記冷却手段が、前記気流吹き出し部や包囲部材により取り囲まれており、かつ、前記気流吹き出し部や前記包囲部材の前記フィラメント糸側の面である気流吹き出し面や前記包囲部材の内側面により取り囲まれた領域の、前記フィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の面の断面積が、前記フィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって徐々に小さくなる様に、前記気流吹き出し部に縮小部を設け、前記縮小部に、前記硬性内視鏡の前記挿入部の前記先端部を配設して用いるフィラメント糸の製造方法が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、半密閉である前記冷却手段が、前記気流吹き出し部や包囲部材により取り囲まれており、前記硬性内視鏡の前記挿入部の前記先端部を、前記気流吹き出し面の前記フィラメント糸の走行経路方向の下流側の下端を通り、前記気流吹き出し面や前記包囲部材の前記内側面により取り囲まれた前記領域の前記フィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の面を、前記フィラメント糸の走行経路方向の上流側に投影した領域の外側に配設して用いるフィラメント糸の製造方法が提供される。
本発明において、「半密閉型の冷却手段」とは、フィラメント糸の走行等を妨げない範囲で、冷却手段を走行するフィラメント糸の周囲が気流吹き出し部や包囲部材等の部材で取り囲まれた冷却手段を示す。一例を挙げれば、内吹き環状冷却手段、内吹き環状冷却手段と外吹き環状冷却手段を併用した冷却手段、内吹き環状冷却手段と内向き環状吸引手段を併用した冷却手段等が挙げられる。また、フィラメント糸の走行経路方向の紡糸口金と冷却手段の間に、加熱装置や加熱筒、保温筒等が設けられる構成や、フィラメント糸の走行経路方向の上流側に向かって、スピンブロックの奥深くに紡糸パックや紡糸口金が配設される構成にも、同様な効果が期待できるため、硬性内視鏡が配設される冷却手段が半密閉型あるいはそれ以外の形態であっても、本発明に含まれるものとする。
本発明において、「気流吹き出し面」とは、気流吹き出し部のフィラメント糸側の面であり、紡糸口金から紡出されたフィラメント糸を冷却する気流を吹き出す面を示す。
本発明において、「包囲部材」とは、半密閉型の冷却手段において、冷却手段を走行するフィラメント糸の周囲を気流吹き出し部と共に取り囲む部材を示す。一例を挙げれば、内吹き環状冷却手段と外吹き環状冷却手段を併用した冷却手段では、内吹き環状冷却手段、内吹き環状冷却手段と内向き環状吸引手段を併用した冷却手段では、内吹き環状冷却手段がそれに相当する。
本発明において、「包囲部材の内側面」とは、包囲部材のフィラメント糸側の面であり、冷却手段を走行するフィラメント糸の周囲を気流吹き出し面と共に取り囲む面を示す。
本発明によれば、半密閉型の冷却手段に対応した、生産作業者が、紡糸口金の下面の汚れ具合や糸の揺れ具合を、目視で観察・監視できる装置を得ることができる。
以下、本発明の最良の実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細を説明する。
図1は、本実施形態の好ましい溶融紡糸の構成の一例を模式的に例示した縦断面の概略図であり、図2は、本実施形態の好ましい溶融紡糸の構成の別の一例を模式的に例示した縦断面の概略図である。
図1、図2において、1は紡糸口金、2は紡糸パック、3はスピンブロック、4は気流吹き出し部の気流が吹き出されるフィラメント糸側の面である気流吹き出し面、5は気流吹き出し部、6は気流吹き出し部から吹き出される気流、7は内吹き環状冷却手段、8は気流室、9は気流供給口、10は硬性内視鏡、11は硬性内視鏡の挿入部の先端部(図1、図2の円形点線部で囲まれた硬性内視鏡の部分であり、後述する様に、硬性内視鏡の撮像光学手段で捉えた観察物の光学像が画像伝送手段で伝送される方向の上流側の、硬性内視鏡の挿入部の部分)、12はフィラメント糸、13は糸油剤付与・集束・ガイド・案内等の手段、14は糸引取手段、15は糸巻取手段、16は加熱装置や加熱筒、17は保温筒、18はユニフロ冷却手段である。また、QTDは、紡糸口金の下面から、冷却手段の気流吹き出し面のフィラメント糸の走行経路方向の上流側の上端までの、フィラメント糸の走行経路方向の距離で定義される冷却開始距離である。なお、以下、気流吹き出し面のフィラメント糸の走行経路方向の上流側の上端を、気流吹き出し面の上端と呼ぶこととする。
図1、図2において、フィラメント糸12は、紡糸口金1から紡出され、気流供給口9、気流室8、気流吹き出し部5を経て、気流吹き出し面4から吹き出された気流6により冷却され、固化された後、糸油剤付与・集束・ガイド・案内等の手段13、糸引取手段14を経て、糸巻取手段15により巻き取られる。また、巻き取られたフィラメント糸12は、この後、必要に応じ、図示しない別工程において熱処理や延伸等の処理が施される。
また、図1、図2において、生産作業者は、その挿入部の先端部が、気流吹き出し部5に配設された硬性内視鏡10の、後述する撮像光学手段で捉えた紡糸口金の下面の汚れ具合や糸の揺れ具合の光学像を、硬性内視鏡10の後述する接眼手段を介して、目視で観察、監視を行う。あるいは、後述する様に、硬性内視鏡10の接眼手段に伝送された、硬性内視鏡10の撮像光学手段で捉えた紡糸口金の下面の汚れ具合や糸の揺れ具合の光学像を、更に後述するアダプターを介して、後述する固体撮像素子からなるカメラの固体撮像素子に結像し、画像信号として取り出し、後述するケーブル等を介して更に伝送し、後述する表示手段に画像として表示させ、これを生産作業者が目視で観察、監視を行う場合もある。なお、図1、図2、後述する図6において、フィラメント糸を構成する熱可塑性ポリマーを供給する押出機やポンプ、配管、フィルター等や、紡糸口金に穿設される吐出孔等の図示をしていないが、無論、設けられても良い。また、紡糸パックを加熱・保温する紡糸パック加熱器や断熱部材、保温部材等や、気流を供給するファンやブロワ等の気流発生手段、気流配管、気流フィルター、気流の成分や温度、湿度、流速、流量、流れ方向等やそれらの分布等の気流調整手段等の図示をしていないが、設けられても良い。また、図1、図2、後述する図6において、後述する硬性内視鏡の投光手段が内蔵されたケーブルや光源手段等の図示をしていないが、設けられても良い。また、一般に溶融紡糸において、現場雰囲気等の外乱影響を防止する等の狙いから、紡糸パックやスピンブロック、冷却手段、加熱装置や加熱筒、保温筒等の周辺でシールが行われるが、これも図1、図2、後述する図6では図示をしていないが、行われても良い。
また、図1、図2、後述する図6において、図示されていない断熱部材や保温部材、加熱部材、冷却部材、温度等の計測手段等や、糸交絡手段や、加熱ローラーや加熱チューブ等の糸加熱手段、糸加湿手段、糸リラックス手段、糸道ダクト、延伸ローラー等の糸延伸手段、サクションガン等の糸吸引手段、フィラメント糸を気流で送り出す糸送出手段、コンベヤ等の糸搬送手段、冷却手段を移動させる移動手段等や、あるいはフィラメント糸から発生するモノマー等による紡糸口金の下面の汚れを抑制する狙いで希ガス、窒素等の不活性気体やスチーム、空気、水分を含む空気等を紡糸口金の下面近傍に供給するモノマー抑制手段や、モノマー等を吸引除去するモノマー吸引手段等や、あるいは後述する硬性内視鏡の接眼手段と固体撮像素子からなるカメラを接続するアダプターや、固体撮像素子からなるカメラ、表示手段、画像信号を伝送するケーブル等や、固体撮像素子からなるカメラや表示手段に電源を供給するケーブルや電源手段等や、あるいは硬性内視鏡の挿入部や挿入部の先端部と、硬性内視鏡の挿入部、挿入部の先端部が挿入、配設される冷却手段の部分や気流吹き出し部の間に気流の漏れ等を防止する等の狙いからシール部材等や、硬性内視鏡や硬性内視鏡の挿入部、挿入部の先端部等を支持、案内する等の狙いから支持部材、案内部材等や、あるいは硬性内視鏡や硬性内視鏡の接眼手段と固体撮像素子からなるカメラを接続するアダプター、固体撮像素子からなるカメラ等に断熱部材や保温部材、加熱部材、冷却部材、温度等の計測手段、保護カバー等や、追加の投光手段等が単数あるいは複数あるいは複数種設けられても良い。
本実施形態は溶融紡糸の構成により特に限られない。溶融紡糸工程で低配向未延伸糸(以下UDY:Un Drawn Yarn)を得る構成や、部分配向糸(以下POY:Partially Oriented Yarn)を得る構成、紡糸と延伸を直結して延伸糸(以下FOY:Full Oriented Yarn)を1工程で得る紡糸直延伸(以下DSD:Direct Spin Draw)の構成、紡糸速度が高速で延伸を必要としないOSY(One Step Yarn)に対応した構成にも好適である。なお、図1、図2、後述する図6では、UDYやPOY、OSYに対応した構成の図示となっているが、本実施形態がこれに限定されるものではない。また、本実施形態は紡糸速度により特に限られず、300〜10000m/分程度の範囲であっても好適である。なお、ポリエステルフィラメント糸において、一般に紡糸速度はUDYに対応した構成で300〜1800m/分程度、POYに対応した構成で1800〜5000m/分程度、DSDの構成で300〜1800m/分程度(なお、巻取速度は2000〜5000m/分程度)、OSYに対応した構成で3000〜10000m/分程度であるが、上記はあくまで一例を示したものであり、ポリエステルやその他の熱可塑性ポリマーから構成されるフィラメント糸において、紡糸速度が上記速度の範囲を超えるUDY、POY、DSD、OSYであっても好適である。ここで、本実施形態において、紡糸速度とは、フィラメント糸が紡糸口金から紡出されて初めて固化した際の糸速度、あるいは初めて通過する糸引取手段での糸速度を示すものとする。
本実施形態はフィラメント糸12を構成する熱可塑性ポリマーにより特に限られず、ポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレン、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリケトンや、可塑剤を含有したセルロースエステル系熱可塑性ポリマー等にも好適であり、溶融紡糸により溶融紡糸される合成繊維や半合成繊維等の化学繊維等に好適である。また、熱可塑性ポリマーに製糸安定性等を損なわない範囲で他の共重合成分が含まれていても良く、また、製糸安定性等を損なわない範囲で二酸化チタン等の艶消し剤、酸化ケイ素、カオリン、着色防止剤、安定剤、抗酸化剤、消臭剤、難燃剤、糸摩擦低減剤、着色顔料、表面改質剤等の各種機能性粒子や有機化合物等の添加剤が含有されていても好適である。また、本実施形態はフィラメント糸12の各単糸の成分構成により特に限られない。各単糸を構成する成分が単数でも複数でも良く、例えば、芯鞘型複合や海島型複合、サイドバイサイド型複合等の複合の構成であっても好適である。また、複数成分が混合されたアロイやブレンド等の構成でも好適である。また、複合の各成分がアロイやブレンド等の複数成分から構成されても好適である。
本実施形態はフィラメント糸12の単糸数により特に限られず、モノフィラメント糸、マルチフィラメント糸にも好適である。また、ステープルの分野の様に単糸数が数千本、例えば2000本程度のフィラメント糸にも好適である。なお、ステープル以外の衣料用、産業用の分野では、単糸数は1〜1000本あるいは1〜600本程度の範囲のフィラメント糸が多い。また、本実施形態はフィラメント糸12の各単糸の単糸繊度により特に限られず、0.1〜数百dtex程度の範囲であっても好適である。およそ人間の目視で確認できる範囲は好適であり、また、やや目視では確認し難い範囲でも好適であり、上記範囲にも特に限られない。なお、dtexはデシテックスを示す。また、本実施形態はフィラメント糸12の各単糸の断面形状により特に限られず、丸断面、楕円、三角形等の多角形断面、六葉等の多葉断面、楕円八葉等の楕円多葉断面、C型、Y型、十字型等の文字型断面等や、中空部を有する断面等や、これらに近い断面等であっても好適である。
本実施形態は紡糸口金1から紡出されるフィラメント糸12の糸条数により特に限られず、単数あるいは複数であっても好適である。例えば、糸条数が1〜8糸条、1〜6糸条あるいは1〜4糸条であっても好適である。また、上記したフィラメント糸や単糸に関連する各形態が組み合わされたフィラメント糸や単糸が紡出されても好適であり、また、単数あるいは複数あるいは複数種の紡糸口金から、単数あるいは複数あるいは複数種のフィラメント糸や単糸が紡出されても本実施形態は好適である。
本実施形態は紡糸口金1により特に限られない。様々な紡糸口金に好適であり、紡糸口金の個数、外形形状、外形寸法、取付位置・向き、表面形状、表面仕上げ、表面処理、構造、部材構成、材質等により特に限られない。また、紡糸口金1に穿設される吐出孔により特に限られない。様々な吐出孔に好適であり、吐出孔の個数、外形形状、外形寸法、孔径、孔長、表面形状、表面仕上げ、表面処理、構造、部材構成、材質等により特に限られない。
本実施形態は紡糸口金1に穿設される吐出孔の配列により特に限られない。様々な配列に好適であり、環状配列、格子状配列、千鳥格子状配列等の様々な配列に好適である。また、品質や製糸安定性等を損なわない範囲で、部分的に吐出孔が穿設されない非穿設部が設けられる配列や、紡糸口金から紡出される複数のフィラメント糸を各糸条に分離するための分離帯が設けられる配列、吐出孔の穿設数の分布に疎密が設けられる配列等にも好適である。また、非穿設部、分離帯、穿設数の疎密が単数あるいは複数あるいは複数種設けられても良い。なお、図1、図2、後述する図6において、フィラメント糸12を数本の直線で図示しているが、これはフィラメント糸が紡出されるさまを単に示したものであり、フィラメント糸の単糸数や糸条数、フィラメント糸の集束形態、たわみ状態等や、吐出孔の配列数や配列形態等の形態を限定するものではなく、本実施形態はこれに限定されない。
本実施形態は紡糸パック2により特に限られない。様々な紡糸パックに好適であり、紡糸パックの個数、外形形状、外形寸法、取付位置・向き、表面形状、表面仕上げ、表面処理、構造、部材構成、材質等により特に限られない。
本実施形態はスピンブロック3により特に限られない。様々なスピンブロックに好適であり、スピンブロックの個数、外形形状、外形寸法、取付位置・向き、表面形状、表面仕上げ、表面処理、構造、部材構成、材質等により特に限られない。また、図1、図2、後述する図6では図示をしていないが、スピンブロックに通常配設される紡糸パックを加熱・保温する紡糸パック加熱器や熱可塑性ポリマーの供給配管、断熱部材、保温部材等や、ポンプ等や追加の加熱部材等が設けられても良く、また、本実施形態はこれらにより特に限られない。なお、図1、図2、後述する図6における紡糸口金1、紡糸パック2、スピンブロック3の図示は、あくまで一例であり、紡糸口金1、紡糸パック2、スピンブロック3の外形形状等の形態を限定するものではなく、本実施形態はこれに限定されない。
本実施形態は気流吹き出し部の気流が吹き出されるフィラメント糸側の面である気流吹き出し面4により特に限られない。様々な気流吹き出し面に好適であり、気流吹き出し面の個数、外形形状、外形寸法、取付位置・向き、表面形状、表面仕上げ、表面処理、構造、部材構成、材質等により特に限られない。なお、内吹き環状冷却手段や外吹き環状冷却手段においては、気流吹き出し面の外形形状は一般に環状が多い。フィラメント糸の各単糸を均一に冷却し易く、また均一に気流を供給し易い等の理由からである。従って、内吹き環状冷却手段や外吹き環状冷却手段の場合、気流吹き出し面の外形形状は環状が好ましいが特に限られず、例えば、気流吹き出し面のフィラメント糸の走行経路方向と直交する断面の形状が環状を逸脱しない範囲で楕円や多角形形状、あるいはそれに近い形状であっても本実施形態は好適である。また、ユニフロ冷却手段においては、気流吹き出し面の外形形状は一般に平面状が多いが特に限られず、例えば、気流吹き出し面のフィラメント糸の走行経路方向と直交する断面の形状が平面状を逸脱しない範囲でフィラメント糸側に凸あるいは凹の形状であっても本実施形態は好適である。また、気流吹き出し面の外形形状がフィラメント糸の走行経路方向に沿って変化しても好適であり、また、フィラメント糸の走行経路方向に沿って、気流吹き出し面とフィラメント糸との距離が変化しても好適である。また、その変化が単数あるいは複数あるいは複数種あっても本実施形態は好適である。
本実施形態は気流吹き出し部5により特に限られない。様々な気流吹き出し部に好適であり、気流吹き出し部の個数、外形形状、外形寸法、取付位置・向き、表面形状、表面仕上げ、表面処理、構造、部材構成、材質等により特に限られない。また、気流吹き出し部の気流吹き出し面の外形形状に関しては、上記気流吹き出し面の外形形状に関する記載の通りであり、また、気流吹き出し部の全体としての外形形状に関しても上記記載が全般的に当てはまる。なお、気流吹き出し部の気流吹き出し面以外の面の外形形状は特に限られず、また、気流吹き出し部の気流が供給される気流吹き出し面の対向面の形状は特に限られず、例えば、内吹き環状冷却手段や外吹き環状冷却手段の場合は、対向面のフィラメント糸の走行経路方向と直交する断面の形状が環状を多少逸脱した形状であっても本実施形態は好適であり、例えば、ユニフロ冷却手段の場合は、対向面のフィラメント糸の走行経路方向と直交する断面の形状が平面状を多少逸脱した形状であっても好適である。また、気流吹き出し部のフィラメント糸の走行経路方向と直交する断面の形状が部分的に異なる形状であっても本実施形態は好適であり、異なる部分が単数あるいは複数あるいは複数種あっても好適である。また、気流吹き出し部のフィラメント糸の走行経路方向と直交する断面の形状が、フィラメント糸の走行経路方向に沿って、単数あるいは複数あるいは複数種変化しても本実施形態は好適である。また、気流吹き出し部の部材は特に限られず、穴やオリフィス、スリット等から構成される部材や、金網、パンチングメタル、ハニカム等の整流格子、粒子や繊維、板等から構成される多孔部材、不織布、繊維等を織ったり編んだりして構成される多孔部材、多孔を有する多孔質部材、セルロースのシートやリング、リボン等を積層して構成される多孔部材、スリット状の溝を有する金属シートや薄板、リング、リボン等を積層して構成される多孔部材、金属粒子や金属繊維等を積層して構成される多孔部材、金属線状体や金属リボン等を巻き付けて構成される多孔部材等やこれらに近い部材であっても好適であり、あるいは単数あるいは複数あるいは複数種の部材から構成されても本実施形態は好適である。また、気流吹き出し部の材質は特に限られず、アルミ、銅、青銅、真鍮、鉄、炭素鋼、ボンデ鋼、ステンレス、ステンレス合金、タングステン、タングステン合金等の金属や、セメント、合成樹脂、天然樹脂、繊維、化学繊維、天然繊維、紙、木材、セルロース、セラミック、カーボン等であっても好適であり、単数あるいは複数あるいは複数種の材質から構成されても本実施形態は好適である。また、断熱部材や保温部材、加熱部材、冷却部材、温度等の計測手段等が設けられても本実施形態には好適である。また、気流吹き出し部が単数あるいは複数あるいは複数種の気流吹き出し部から構成されても好適であり、また、単数あるいは複数あるいは複数種の気流吹き出し部が冷却手段に設けられても好適であり、また、単数あるいは複数あるいは複数種の紡糸口金あるいは紡糸パックに対し、単数あるいは複数あるいは複数種の気流吹き出し部が設けられても本実施形態は好適である。
本実施形態は気流室8、気流供給口9により特に限られない。様々な気流室、気流供給口に好適であり、個数、外形形状、外形寸法、取付位置・向き、表面形状、表面仕上げ、表面処理、構造、部材構成、材質等により特に限られない。また、ラビリンス構造やハニカム等の整流格子の構造、圧損部材等や上記気流吹き出し部の部材で記載した様な部材、断熱部材、保温部材、加熱部材、冷却部材、温度や圧力、流速等の計測手段、気流調整手段等が単数あるいは複数あるいは複数種設けられても好適である。また、単数あるいは複数あるいは複数種の冷却手段や気流吹き出し部に対し、単数あるいは複数あるいは複数種の気流室、気流供給口が設けられても好適であり、また、単数あるいは複数あるいは複数種の気流室、気流供給口に、単数あるいは複数あるいは複数種の気流、例えば、気流の物質や組成、温度、流速、流量等が異なる気流が供給されても本実施形態は好適である。
本実施形態は図1、図2、後述する図6にも示す様に、内吹き環状冷却手段等の半密閉型の冷却手段や、フィラメント糸の走行経路方向の紡糸口金と冷却手段の間に、加熱装置や加熱筒、保温筒等が設けられる構成、あるいはフィラメント糸の走行経路方向の上流側に向かって、スピンブロックの奥深くに紡糸パックや紡糸口金が配設される構成に特に好適である。半密閉型の冷却手段の一例を挙げれば、内吹き環状冷却手段、内吹き環状冷却手段と外吹き環状冷却手段を併用した冷却手段、内吹き環状冷却手段と内向き環状吸引手段を併用した冷却手段等が挙げられるが、本実施形態はこれらに限られない。その他部材等により冷却手段を走行するフィラメント糸の周囲が取り囲まれた冷却手段や、フィラメント糸の走行経路方向の紡糸口金と冷却手段の間にその他部材が設けられる等して、生産作業者が、紡糸口金の下面の汚れ具合や糸の揺れ具合を、目視で観察・監視し難い冷却手段や構成にも本実施形態は好適である。また、本実施形態は上記した様々な半密閉型の冷却手段等に好適であり、冷却手段の個数、外形形状、外形寸法、取付位置・向き、表面形状、表面仕上げ、表面処理、構造、部材構成、材質等により特に限られない。また、冷却手段やその周辺に、断熱部材、保温部材、加熱部材、冷却部材、温度等の計測手段等の部材や、冷却手段の気流流路内にラビリンス構造やハニカム等の整流格子の構造、圧損部材等や上記気流吹き出し部の部材で記載した様な部材、断熱部材、保温部材、加熱部材、冷却部材、温度等の計測手段等の部材が単数あるいは複数あるいは複数種設けられても好適である。また、上記した気流吹き出し面、気流吹き出し部、気流室、気流供給口の各形態含め、冷却手段に関する上記した各形態が組み合わされた冷却手段であっても本実施形態は好適である。また、単数あるいは複数あるいは複数種の紡糸口金あるいは紡糸パックに対し、単数あるいは複数あるいは複数種の冷却手段が設けられても本実施形態は好適である。なお、図1、図2、後述する図6における気流吹き出し面4、気流吹き出し部5、気流室8、気流供給口9、内吹き環状冷却手段7、ユニフロ冷却手段18、加熱装置や加熱筒16、保温筒17等の図示は、あくまで一例であり、これらの外形形状等の形態を限定するものではなく、本実施形態はこれに限定されない。また、図1、図2、後述する図6における気流供給口9に記載の矢印は、気流が流れるさまを単に示したものであり、気流の流速や流量、流れ方向等の形態を限定するものではなく、本実施形態はこれに限られない。なお、特に限られないが、好ましくは、本実施形態は、内吹き環状冷却手段や、内吹き環状冷却手段の構成を少なくとも含む冷却手段、フィラメント糸の走行経路方向の紡糸口金と冷却手段の間に、加熱装置や加熱筒、保温筒等が設けられる構成、フィラメント糸の走行経路方向の上流側に向かって、スピンブロックの奥深くに紡糸パックや紡糸口金が配設される構成に好適である。なお、内吹き環状冷却手段の構成を少なくとも含む冷却手段としては特に限られないが、一例として、内吹き環状冷却手段と外吹き環状冷却手段を併用した冷却手段や、内吹き環状冷却手段と内向き環状吸引手段を併用した冷却手段等が挙げられる。更に好ましくは、内吹き環状冷却手段や、内吹き環状冷却手段の構成を少なくとも含む冷却手段、フィラメント糸の走行経路方向の紡糸口金と冷却手段の間に、加熱装置や加熱筒、保温筒等が設けられる構成で冷却手段が内吹き環状冷却手段や、内吹き環状冷却手段の構成を少なくとも含む冷却手段、ユニフロ冷却手段である構成、フィラメント糸の走行経路方向の上流側に向かって、スピンブロックの奥深くに紡糸パックや紡糸口金が配設される構成に好適である。硬性内視鏡の挿入部や後述する硬性内視鏡の操作手段、接眼手段等をフィラメント糸の走行領域や冷却手段の外側に取り廻しがし易い等の理由からである。また、冷却手段が内吹き環状冷却手段や内吹き環状冷却手段の構成を少なくとも含む冷却手段の場合は、背景技術で記載の通り、ユニフロ冷却手段や外吹き環状冷却手段の構成を含む冷却手段に対し、均一冷却能力や冷却能力が優れる等のメリットをも有する。
本実施形態は気流吹き出し部から吹き出される気流6により特に限られない。様々な気流に好適であり、気流の成分や温度、湿度、流速、流量、流れ方向等や、それらの分布等により特に限られない。気流の成分は例えば、空気や通常の空気に含まれる酸素等の成分、水分を含む空気や、希ガス、窒素等の不活性気体、スチーム等や、これらの混合物であっても本実施形態は好適である。なお、一般には空気や乾燥空気が用いられる場合が多い。気流の温度は例えば、一般に数℃あるいは10℃程度から20℃あるいは30℃程度が用いられる場合が多いが、特に限られない。例えば、徐冷等の目的で上記温度以上の高温の気流が用いられても本実施形態は好適である。気流の流速は例えば、一般に1〜5m/分程度から100〜200m/分程度が用いられる場合が多いが、特に限られない。フィラメント糸の単糸数、単糸繊度、紡糸速度や、冷却開始距離QTD等により、上記範囲内かそれ以外の範囲の流速が用いられても本実施形態は好適である。気流の流れ方向は特に限られず、例えば、水平方向、水平方向よりフィラメント糸の走行経路方向に対し上流側上方向、下流側下方向や、フィラメント糸の走行方向に対し直行する方向、あるいはそれより上流側上方向、下流側下方向や、フィラメント糸の走行方向等であっても本実施形態は好適である。気流の成分や温度、湿度、流速、流量、流れ方向等の分布は特に限られず、様々な分布に本実施形態は好適である。気流のフィラメント糸の走行方向や走行経路方向の流速分布は特に限られず、製糸安定性等を損なわない範囲で、走行方向や走行経路方向に沿って変化の殆どない分布や、走行方向や走行経路方向の上流側から下流側に向かって漸増、漸減する分布、あるいは走行方向や走行経路方向の上流側から下流側に向かって増加と減少が単数あるいは複数あるいは複数種ある分布等であっても好適である。気流のフィラメント糸の走行方向や走行経路方向に直行する方向の流速分布についても特に限られず、同様に製糸安定性等を損なわない範囲で様々な分布に本実施形態は好適である。なお、気流の成分や温度、湿度、流速、流量、流れ方向、動圧、静圧等やそれらの分布等は一般に調整、制御、管理されることが多い。また、フィラメント糸の品種により、調整されることも多い。また、図1、図2、後述する図6等において、気流6を多数の矢印で図示しているが、これは気流が吹き出されるさまを単に示したものであり、気流の流速や流量、流れ方向等の形態を限定するものでなく、本実施形態はこれに限られない。
次に、本実施形態の重要な構成要件である硬性内視鏡と硬性内視鏡の挿入部の先端部を気流吹き出し部に配設する形態について説明する。なお、熱可塑性ポリマーを溶融紡糸し、フィラメント糸を製造する装置であって、以下の(A)〜(D)の要件を満足することを特徴とするフィラメント糸の製造装置を、本実施形態の第1の重要な実施形態と以下呼ぶこととする。
(A)紡糸口金から紡出された前記フィラメント糸に気流を吹き付けて冷却する気流吹き出し部を設けた冷却手段を有すること。
(B)前記冷却手段が半密閉型の冷却手段であること。
(C)前記紡糸口金や前記フィラメント糸、あるいはそれら周辺を観察・監視するための硬性内視鏡を有すること。
(A)紡糸口金から紡出された前記フィラメント糸に気流を吹き付けて冷却する気流吹き出し部を設けた冷却手段を有すること。
(B)前記冷却手段が半密閉型の冷却手段であること。
(C)前記紡糸口金や前記フィラメント糸、あるいはそれら周辺を観察・監視するための硬性内視鏡を有すること。
(D)前記硬性内視鏡の挿入部の先端部を、前記気流吹き出し部に配設すること。図3(a)、図3(b)は、本実施形態の一実施例に係る硬性内視鏡の構成の一例を模式的に例示した概略図であり、図3(a)は、本実施形態の一実施例に係る硬性内視鏡の構成の一例を模式的に例示した縦断面の概略図であり、図3(b)は、本実施形態の一実施例に係る、硬性内視鏡の接眼手段にアダプターを介して固体撮像素子からなるカメラと、カメラで得られた画像信号を画像として表示する表示手段が設けられる構成の一例を模式的に例示した概略図である。
図4(a)、図4(b)は、本実施形態の一実施例に係る硬性内視鏡の挿入部の先端部が冷却手段の気流吹き出し部の一部に設けられた非吹き出し部に設けられる構成の一例を、冷却手段を一例として内吹き環状冷却手段として模式的に例示した縦断面の概略図であり、図4(a)は、本実施形態の一実施例に係る硬性内視鏡の挿入部の先端部が内吹き環状冷却手段の気流吹き出し部の一部に設けられた非吹き出し部に設けられる構成の一例を模式的に例示した縦断面の概略図であり、図4(b)は、本実施形態の一実施例に係る硬性内視鏡の挿入部の先端部がフィラメント糸の走行経路方向に内吹き環状冷却手段と内吹き環状冷却手段の間に設けられた非吹き出し部に設けられる構成の一例を模式的に例示した縦断面の概略図である。
図5(a)〜図5(f)は、本実施形態の一実施例に係る硬性内視鏡の挿入部の先端部が冷却手段の気流吹き出し部、あるいは冷却手段の気流吹き出し部の一部に設けられた非吹き出し部に設けられる構成の一例を模式的に例示した縦断面の概略図であり、図5(a)は、本実施形態の一実施例に係る硬性内視鏡の挿入部の先端部の先端面が冷却手段の気流吹き出し部の気流吹き出し面より凸に設けられる構成の一例を例示した縦断面の概略図であり、図5(b)は、本実施形態の一実施例に係る硬性内視鏡の挿入部の先端部の先端面が冷却手段の気流吹き出し部の気流吹き出し面とほぼ合わせて設けられる構成の一例を例示した縦断面の概略図であり、図5(c)は、本実施形態の一実施例に係る硬性内視鏡の挿入部の先端部の先端面が冷却手段の気流吹き出し部の気流吹き出し面より凹に設けられる構成の一例を例示した縦断面の概略図である。また、図5(d)は、本実施形態の一実施例に係る硬性内視鏡の挿入部の先端部の先端面が冷却手段の気流吹き出し部の一部に設けられた非吹き出し部のフィラメント糸側の面より凸に設けられる構成の一例を例示した縦断面の概略図であり、図5(e)は、本実施形態の一実施例に係る硬性内視鏡の挿入部の先端部の先端面が冷却手段の気流吹き出し部の一部に設けられた非吹き出し部のフィラメント糸側の面とほぼ合わせて設けられる構成の一例を例示した縦断面の概略図であり、図5(f)は、本実施形態の一実施例に係る硬性内視鏡の挿入部の先端部の先端面が冷却手段の気流吹き出し部の一部に設けられた非吹き出し部のフィラメント糸側の面より凹に設けられる構成の一例を例示した縦断面の概略図である。
図3(a)、図3(b)において、19は対物レンズ等からなる撮像光学手段、20はリレーレンズ等からなる画像伝送手段、21は接眼レンズ等からなる接眼手段、22は人間の目、23はライトガイド等からなる投光手段、24は硬性内視鏡の挿入部、25は挿入部の外壁であり、撮像光学手段や画像伝送手段等を囲う様に外側に設けられる。26は操作手段、27は投光手段が内蔵されたケーブル、28は硬性内視鏡の接眼手段と固体撮像素子からなるカメラを接続するアダプター、29は固体撮像素子からなるカメラ、30は表示手段、31は画像信号を伝送するケーブルである。また、11は硬性内視鏡の挿入部の先端部であり、硬性内視鏡の撮像光学手段で捉えた観察物の光学像が画像伝送手段で伝送される方向の上流側の、図3(a)における二重矢印の方向の上流側の、硬性内視鏡の挿入部の部分である。
図4(a)、図4(b)において、32は非吹き出し部、図5(a)〜図5(f)、また、後述する図7(a)〜(e)、図8(a)、図8(b)において、33は冷却手段の外壁であり、冷却手段の気流室や気流流路を囲う様に外側に設けられる。34は硬性内視鏡の挿入部の先端部のフィラメント糸側の面である硬性内視鏡の挿入部の先端部の先端面、35は非吹き出し部のフィラメント糸側の面である。
図3(a)において、撮像光学手段19で捉えた観察物の光学像は、画像伝送手段20により、図3(a)における二重矢印の方向に、撮像光学手段19から接眼手段21に伝送される。生産作業者は、接眼手段21を介して、観察物の光学像を目視で観察する。また、投光手段23は、図示しないハロゲンランプ等からなる光源手段から硬性内視鏡の挿入部の先端部まで延在して設けられる複数の光ファイバー等から構成されるライトガイドや、光源手段からの照明光がライトガイドで伝送される方向のライトガイドの端部より下流側に設けられる図示しない照明レンズ等からなり、光源手段からの照明光は、ライトガイドにより、光源手段から硬性内視鏡の挿入部の先端部に向かって、図3(a)における矢印方向に、光源手段から硬性内視鏡の挿入部の先端部に伝送され、照明レンズを介して投光されて、観察物やその周辺を照明する。
また、図3(b)において、撮像光学手段で捉えた観察物の光学像は、接眼手段21に伝送された後、更にアダプター28を介して、固体撮像素子からなるカメラ29の固体撮像素子に結像され、画像信号として取り出され、観察物の光学像の画像信号は、画像信号を伝送するケーブル31等を介して伝送され、表示手段30により画像として表示される。生産作業者は、表示手段に表示された画面を目視で観察する。
なお、図3(a)、図3(b)では、投光手段に照明光を供給する光源手段や、固体撮像素子からなるカメラや表示手段に電源を供給するケーブルや電源手段等の図示をしていないが、設けられても良い。また、図4(a)、図4(b)では、フィラメント糸や、紡糸口金、紡糸パック、スピンブロック等の溶融紡糸の構成や、気流を供給するファンやブロワ等の気流発生手段、気流配管、気流フィルター、気流の成分や温度、湿度、流速、流量、流れ方向等やそれらの分布等の気流調整手段等や、硬性内視鏡の投光手段が内蔵されたケーブルや光源手段等の図示をしていないが、設けられても良い。また、図5(a)〜図5(f)、後述する図7(a)〜図7(e)、図8(a)、図8(b)でも、図4(a)、図4(b)と同様に、フィラメント糸等の図示をしていないが、設けられても良い。なお、図5(a)〜図5(f)、後述する図7(a)〜図7(e)、図8(a)、図8(b)においては、冷却手段の全体図示等を省略している。
また、図3(a)、図(b)において、図示されていない光学アダプターや、観察方向変換手段、観察方向変換用アダプター、焦点調整手段、硬性内視鏡の挿入・固定用の補助具等や、電流・電圧等の電気変換手段、画像変換手段、画像処理手段、信号変換手段、信号処理手段、画像録画・再生手段、画像切替手段等や、画像変換手段、画像処理手段、画像録画・再生手段、画像切替手段等を内蔵したパソコン等や、硬性内視鏡やアダプター、固体撮像素子からなるカメラ等に断熱部材や保温部材、加熱部材、冷却部材、温度等の計測手段、保護カバー等やその他ケーブルや部材・手段等が単数あるいは複数あるいは複数種設けられても良い。また、図4(a)、図4(b)、図5(a)〜図5(f)、後述する図7(a)〜図7(e)、図8(a)、図8(b)において、図示されていない硬性内視鏡の接眼手段と固体撮像素子からなるカメラを接続するアダプターや、固体撮像素子からなるカメラ、表示手段、画像信号を伝送するケーブル等や、固体撮像素子からなるカメラや表示手段に電源を供給するケーブルや電源手段等や、あるいは硬性内視鏡の挿入部や挿入部の先端部と、硬性内視鏡の挿入部、挿入部の先端部が挿入、配設される冷却手段の部分や気流吹き出し部や非吹き出し部の間に気流の漏れ等を防止する等の狙いからシール部材等や、硬性内視鏡や硬性内視鏡の挿入部、挿入部の先端部等を支持、案内する等の狙いから支持部材、案内部材等や、あるいは硬性内視鏡や硬性内視鏡の接眼手段と固体撮像素子からなるカメラを接続するアダプター、固体撮像素子からなるカメラ、表示手段等に断熱部材や保温部材、加熱部材、冷却部材、温度等の計測手段、保護カバー等や、追加の投光手段等が単数あるいは複数あるいは複数種設けられても良い。
では、硬性内視鏡の適用と硬性内視鏡の挿入部の先端部を気流吹き出し部に配設することを考案した理由を中心に説明する。第1に大きさの課題の解消が挙げられる。内視鏡は元々医療分野で主に人体内部を観察するために開発、技術革新が進められてきた観察手段であり、産業分野向けの工業用内視鏡でも挿入部の先端部の径は4mm〜8mm程度、大きくとも十数mm程度の大きさが実現されている。また、1mm〜3mm程度あるいは1mm未満の大きさを実現した工業用内視鏡も存在する。なお、挿入部の先端部の径とは、挿入部の先端部の挿入方向(図3(a)で言えば二重矢印とは逆の方向。x軸の正方向。観察物の光学像が伝送される方向と逆の方向)に直交する方向の断面の直径あるいは外接円の直径を示す。従って、従来の小型CCDカメラを用いる方法と比べても、極めて大きさが小さく、紡糸口金の下面や紡出直後の雰囲気の変化に敏感なフィラメント糸に近接させても、フィラメント糸周辺の雰囲気を乱すことなく、また、フィラメント糸の均斉性や品質・品位、生産に殆ど影響を与えることなく、紡糸口金の下面や紡出直後のフィラメント糸を鮮明に、充分に観察・監視できるメリットを有する。なお、内視鏡には、対物レンズ等からなる撮像光学手段で捉えた観察物の光学像を、リレーレンズ等からなる画像伝送手段や、複数の光ファイバー等から構成されるイメージガイド等からなる画像伝送手段で、接眼レンズ等からなる接眼手段に伝送し、接眼手段を介して、観察物の光学像を目視で観察する形式の光学式の内視鏡と、内視鏡の挿入部の先端部にCCD等の固体撮像素子を設けて、観察物の光学像を固体撮像素子に結像させ、画像信号として取り出し、取り出された観察物の光学像の画像信号をブラウン管や液晶ディスプレー等の表示手段に画像として表示し、その画像を目視で観察する形式の電子内視鏡が存在する。また、内視鏡には、一般に、観察物やその周辺を照明するための投光手段が設けられる。本実施形態の硬性内視鏡は、上記の内、リレーレンズ等からなる画像伝送手段を備えた光学式の内視鏡であり、撮像光学手段から画像伝送手段、接眼手段までの光学系がストレートに構成され、撮像光学手段や画像伝送手段、投光手段等が設けられる挿入部やその先端部の外形形状がストレートで、また、挿入部やその先端部の外壁が硬性の部材、例えば、金属製のパイプ状の部材等で構成されることから、硬性内視鏡と呼ばれる。なお、上記した光学式内視鏡の内、複数の光ファイバー等から構成されるイメージガイド等からなる画像伝送手段を備えた光学式内視鏡は、ファイバー内視鏡と呼ばれ、一般にその挿入部が軟性であることから、ファイバー内視鏡と上記した電子内視鏡とを総称して軟性内視鏡と呼ばれることもある。
第2に熱の課題の解消が挙げられる。硬性内視鏡は、シンプルな光学系の採用や挿入部の外壁が一般に金属製である等の理由から、各種内視鏡の中でも最高使用温度が極めて高く、120℃〜150℃程度の最高使用温度が実現されている。従って、従来のCCDカメラ等を用いる方法と比べ、極めて最高使用温度が高く、また、CCD等の固体撮像素子を用いない、観察物の画像を光学像で捉える方式であることから、高温の紡糸口金の下面や紡出直後のフィラメント糸に近接させても、ノイズや誤作動等による画像の乱れや固体撮像素子の破損なく、また、紡糸口金の下面や紡出直後のフィラメント糸により近接させることができるので、紡糸口金の下面や紡出直後のフィラメント糸を鮮明に、充分に観察・監視できるメリットをも有する。
更に、本実施形態では、上記記載の通り、耐熱性に優れた硬性内視鏡を適用すると共に、高温下に晒され易い硬性内視鏡の挿入部の先端部を、フィラメント糸を冷却するための気流を吹き出す冷却手段の気流吹き出し部に配設するため、硬性内視鏡の挿入部の先端部やその周辺が気流の温度程度に保たれ、また、気流吹き出し部から積極的に、能動的に気流が吹き出されるため、硬性内視鏡の挿入部の先端部やその周辺が気流により保護され、紡糸口金の下面やフィラメント糸あるいはその周辺の雰囲気や外気等の影響を殆ど受けないというメリットをも有する。そのため、硬性内視鏡の挿入部の先端部を、紡糸口金の下面や紡出直後のフィラメント糸に更により近接させることができるので、紡糸口金の下面や紡出直後のフィラメント糸を更に鮮明に、充分に観察・監視できるメリットをも有する。
なお、上記した様に、内視鏡には、硬性内視鏡の他に、複数の光ファイバー等から構成されるイメージガイド等からなる画像伝送手段を設けたファイバー内視鏡や、内視鏡の挿入部の先端部にCCD等の固体撮像素子を設けて、観察物の光学像を固体撮像素子に結像させ、画像信号として取り出し、取り出された観察物の光学像の画像信号をブラウン管や液晶ディスプレー等の表示手段に画像として表示する電子内視鏡が存在する。これら内視鏡は、上記した様に、硬性内視鏡に対し、一般にその挿入部が軟性で、複雑に曲がった経路内、例えば配管等の観察に好適で、軟性内視鏡と呼ばれる。しかしながら、ファイバー内視鏡は、イメージガイドの材料が一般に多成分ガラスや石英等であり、また、挿入部が軟性を有する等の理由から、特に温度変化等で折れ易く、その最高使用温度は一般に40℃〜60℃程度、高いものでも80℃程度に制限されている。また、一般に挿入部の先端部の径が細径のものは、観察に直結する部分以外の構造・部材等が簡略化され、最高使用温度が低下することが多い。また、電子内視鏡はCCD等の固体撮像素子を使用することから、背景技術で記載の通り、熱に弱く、その最高使用温度は一般に40℃〜60℃程度、高いものでも80℃、極めて高いものでも精々100℃程度に制限されており、本実施形態の目的とする観察・監視には余り好適ではない。また、電子内視鏡の中には、固体撮像素子の配設位置に向けて冷却用流体を送り込んだり、ペルチェ素子等の電子冷却素子を装着したりするものもあるが、冷却用流体の流路や電子冷却素子を挿入部や挿入部の先端部に設けることで挿入部や挿入部の先端部が大きくなり、上記した大きさの課題が悪化するという問題があり、やはり、本実施形態の目的とする観察・監視には余り好適ではない。また、硬性内視鏡の中には、同様に挿入部や挿入部の先端部に冷却用流体の流路を設けて挿入部や挿入部の先端部を冷却するものもあるが、やはり、挿入部や挿入部の先端部が大きくなり、上記した大きさの課題が悪化するという問題がある。例えば、挿入部の先端部の径は一般に20mm〜60mm程度、かなり小さいものでも十数mm程度に制限されている。また、かなり特殊で硬性内視鏡単体の価格も高額である他、冷却用流体の用役コストや供給設備費等も必要であり、コストが大幅に拡大する問題等もあり、本実施形態には余り好適ではない。なお、本実施形態では、硬性内視鏡の挿入部の先端部を、フィラメント糸を冷却するための気流を吹き出す冷却手段の気流吹き出し部に配設するため、本来はフィラメント糸を冷却するための気流を利用して硬性内視鏡の挿入部の先端部やその周辺を冷却、保護できるので、挿入部や挿入部の先端部を大きくすることなく、また、コスト拡大の問題等もなく、硬性内視鏡の挿入部の先端部を、紡糸口金の下面や紡出直後のフィラメント糸に更により近接させることができるので、紡糸口金の下面や紡出直後のフィラメント糸を更に鮮明に、充分に観察・監視できるメリットをも有する。
以上の大きさ、熱の課題の解消から、本実施形態によれば、紡糸口金の下面やフィラメント糸に硬性内視鏡をより近接させて設けることができ、紡糸口金の下面の汚れ具合や糸の揺れ具合を更に鮮明に、充分に観察・監視できる。
更に、第3に暗所・遠点の課題の解消が挙げられる。硬性内視鏡は、シンプルな光学系の採用等の理由から、他種の内視鏡と比べ、挿入部の先端部の径が細径であっても、また、暗所であっても、更に遠点・近点であっても、明るく、シャープな、極めて高解像度な観察物の光学像を得ることができる。従って、従来のCCDカメラや、また、ファイバー内視鏡や電子内視鏡と比べ、紡糸口金と冷却手段の間に加熱装置や加熱筒、保温筒等が設けられる場合や、冷却手段が半密閉型である場合の観察に極めて好適であり、紡糸口金の下面や紡出直後のフィラメント糸を鮮明に、充分に観察・監視できるメリットをも有する。なお、ファイバー内視鏡も、一般に画像伝送手段が複数の光ファイバーから構成されるイメージガイド等からなることから、観察物の光学像が画像伝送の過程で劣化や減衰し易くて、画像が暗く、特に暗所・遠点では遠くが黒くなる等、CCDカメラや電子内視鏡と同様に、暗所・遠点の充分な観察が難しいことが知られている。また、ファイバー内視鏡は、暗所・遠点に限らず、一般に画像伝送手段が複数の光ファイバーから構成されるイメージガイド等からなることから、観察物の光学像が画像伝送の過程で劣化や減衰し易い他、製造工程や組立工程での光ファイバーの折れ等により画像に黒点が発生し易い等、硬性内視鏡と比べ、全般的に画像が暗くなる等、解像度等の画質が劣ることが知られている。
また、第4に表示の課題の解消が挙げられる。硬性内視鏡は、シンプルな光学系の採用や観察物の画像の表示にブラウン管や液晶ディスプレー等の表示手段等を用いない等の理由から、他種の内視鏡と比べ、明るく、シャープで、自然な、目視に近い観察物の光学像を得ることができる。従って、従来のCCDカメラや、また、ファイバー内視鏡や電子内視鏡と比べ、フィラメント糸の揺れを自然な動きとして捉えることができ、糸の揺れ具合を鮮明に、充分に観察・監視できるメリットをも有する。なお、ファイバー内視鏡も、硬性内視鏡と同様に、一般に表示手段等を用いない、接眼手段を介して観察物の光学像を目視で観察する形式の内視鏡ではあるが、一般に画像伝送手段が複数の光ファイバーから構成されるイメージガイド等からなることから、硬性内視鏡より解像度が悪く、観察物が連続的に運動する場合、硬性内視鏡と比べて充分な観察が難しいことが知られている。
また、従来の小型CCDカメラを気体整流装置に設ける方法の課題についても、本実施形態では全て解消される。先ず第1に、小型CCDカメラを気体整流装置に設けることで気体整流装置から吸引され、フィラメント糸に導入される外気の気流等の雰囲気が乱れることに関連する課題については、本実施形態では極めて大きさが小さい硬性内視鏡を適用すること、また、硬性内視鏡の挿入部の先端部を積極的に、能動的にフィラメント糸を冷却するための気流を吹き出す気流吹き出し部に設けることから解消される。第2に、気体整流装置から吸引され、フィラメント糸に導入される外気が不安定であることに関連する課題については、本実施形態では、積極的に、能動的にフィラメント糸を冷却するための気流を吹き出す気流吹き出し部に硬性内視鏡の挿入部の先端部を設けることから解消される。また、第3に、気体整流装置から吸引され、フィラメント糸に導入される外気が弱く、フィラメント糸が気体整流装置側に撓み易いことに関連する課題についても、本実施形態では、積極的に、能動的にフィラメント糸を冷却するための気流を吹き出す気流吹き出し部に硬性内視鏡の挿入部の先端部を設けることから、フィラメント糸は硬性内視鏡の挿入部の先端部側に撓み難いので解消される。更に、第4に気体整流装置から吸引され、フィラメント糸に導入されるのが外気であることに関連する課題についても、本実施形態では積極的に、能動的にフィラメント糸を冷却するための気流を吹き出す気流吹き出し部に硬性内視鏡の挿入部の先端部を設けることから解消される。なお、上記した様に、気流吹き出し部から吹き出される気流は、一般にフィラメント糸の均斉性や品質・品位、生産性等の維持・管理等の狙いから、成分や温度、湿度、流速、流量、流れ方向等やそれらの分布等が調整、制御、管理されることが多い。
以上により、従来の課題は全て解消され、本実施形態が、紡糸口金の下面の汚れ具合や糸の揺れ具合を観察・監視するに極めて効果的であることが判る。
では、次に、本実施形態の重要な構成要件の一つである硬性内視鏡の接眼手段にアダプター28を介して固体撮像素子からなるカメラ29と、カメラで得られた画像信号を画像として表示する表示手段30を少なくとも設ける形態について説明する。なお、以下の(E)、(F)を少なくとも有することを特徴とする本実施形態の第1〜第3の重要な実施形態のいずれかに記載のフィラメント糸の製造装置を、本実施形態の第4の重要な実施形態と呼ぶこととする。なお、本実施形態の第2、第3の重要な実施形態については、後述する。
(E)前記硬性内視鏡の接眼手段に、アダプターを介して配設され、前記接眼手段と前記アダプターを経て伝送された観察物の光学像を、画像信号として取り出す固体撮像素子からなるカメラ。
(F)前記固体撮像素子からなるカメラで得られた前記観察物の光学像の画像信号を画像として表示する表示手段。
(E)前記硬性内視鏡の接眼手段に、アダプターを介して配設され、前記接眼手段と前記アダプターを経て伝送された観察物の光学像を、画像信号として取り出す固体撮像素子からなるカメラ。
(F)前記固体撮像素子からなるカメラで得られた前記観察物の光学像の画像信号を画像として表示する表示手段。
この本実施形態の第4の重要な実施形態の構成の一例を例示したのが図3(b)である。この構成の大きなメリットは、表示手段を設けることで、多数の観察者が同時に観察物の画像を観察・監視できる点にある。これにより、多数の観察者が同時に観察・監視情報を得ることができるので、フィラメント糸の均斉性や品質、品位の異常、糸切れ等の要因分析や対策立案、不良糸の後工程や市場への流出防止等を極めて迅速に実施できるという大きなメリットを有する。また、生産工程に複数配設・紡出される紡糸口金やフィラメント糸にこの構成を設ければ、複数の紡糸口金やフィラメント糸の一括観察・監視も可能であり、生産作業者の作業負荷が低減されて製品コスト競争力の強化に繋がる他、各紡糸口金、フィラメント糸の画像の比較も容易で、上記した要因分析や対策立案、不良糸の流出防止等を更に迅速に実施できるというメリットをも有する。更に、観察物の光学像が画像信号として取り出されるので、画像録画・再生手段等を設ければ、異常等の発生の後に、生産作業者や技術者、開発者等を交えて観察することも可能であり、画像処理手段等を設ければ、異常等の要因分析をより詳細に行うことも可能である。
そして、これらメリットを支えるのが、この構成の極めて合理的な配置にある。即ち、高温下に晒され易い部分に耐熱性に優れた硬性内視鏡を配置し、高温下に晒され難い部分に耐熱性に劣る固体撮像素子からなるカメラ等を配設した点であり、また、大きさが問題となり易い部分に大きさが極めて小さい硬性内視鏡の挿入部を配置し、大きさが問題となり難い部分に大きさが比較的大きい固体撮像素子からなるカメラ等を配設した点である。また、この構成によれば、固体撮像素子からなるカメラ等を大きさが問題となり難い部分に設けられるので、例えば、固体撮像素子からなるカメラ等の周辺雰囲気が高温の場合でも、断熱部材や冷却部材、保護カバー等を特に問題なく設けられるというメリットをも有する。なお、硬性内視鏡の接眼手段や操作手段は、特に限られないが、好ましくは、冷却手段の気流室や外壁より外側に設けるのが良い。接眼手段や操作手段は挿入部と比べて大きく、気流室内や外壁より内側に設けると冷却手段の気流を乱す懸念があるためである。
また、この構成により得られる観察物の画像は、アダプターや固体撮像素子からなるカメラ、表示手段等を経由するので、硬性内視鏡の接眼手段を介して目視で観察される観察物の光学像と比べ、若干暗くなる等、画質はやや劣化するが、シンプルな光学系の採用等の理由から、その他内視鏡、例えば、ファイバー内視鏡の接眼手段にこの構成を設けた場合に表示画像に発生するモアレ縞と呼ばれる元画像にはない偽の縞模様等の発生もなく、画質は一般に充分良好である。また、アダプターや固体撮像素子からなるカメラを取り外せば、硬性内視鏡の接眼手段を介して目視で観察することもできるので、上記メリットの点からこの構成は極めて効果的であることが判る。
また、本実施形態は特に限られず、例えば、生産工程の複数の紡糸口金やフィラメント糸に、それぞれ図3(b)の構成が設けられても良く、部分的に設けられても良い。部分的に設けられる場合の一例を挙げれば、硬性内視鏡とそれに関連する構成のみをそれぞれ設けるケース(なお、この場合、アダプター以降の構成は着脱式で切替対応とする)、硬性内視鏡、アダプター、固体撮像素子からなるカメラ、画像信号を伝送するケーブルとそれに関連する構成のみをそれぞれ設けるケース(なお、この場合、表示手段以降の構成は切替対応とする)等が挙げられる。また、図3(b)の構成を着脱式とし、生産工程の複数の紡糸口金やフィラメント糸に対し、図3(b)の構成を単数あるいは少数設けても良い。
なお、アダプターを介さずに、硬性内視鏡の撮像光学手段、画像伝送手段等の光学系に必要に応じレンズ等を介して直結して固体撮像素子からなるカメラ等を設け、取り出された観察物の光学像の画像信号を表示手段により画像として表示する構成も、同様な効果が期待できるため、本実施形態に含まれるものとする。
では、図3(a)、図3(b)の符号の付いた部位等について説明する。本実施形態は観察物の光学像を捉える撮像光学手段19、観察物の光学像を伝送する画像伝送手段20、観察者が目視で観察物の光学像を観察する接眼手段21、観察物やその周辺を照明する投光手段23、硬性内視鏡の挿入部24、挿入部の外壁25、操作手段26、投光手段が内蔵されたケーブル27により特に限られない。硬性内視鏡として充分な機能が発揮されれば良く、その範囲でこれらの外形形状、外形寸法、取付位置・向き、表面形状、表面仕上げ、表面処理、構造や部材構成、材質等により特に限られない。
撮像光学手段19は、一般に対物レンズ等から構成されるが特に限られない。ミラーやプリズム、その他レンズ等の光学部材等や、観察方向変換手段等やその他部材等が設けられても良く、あるいは観察方向変換手段等を装備したアダプターが挿入部や挿入部の先端部に設けられても良い。また、対物レンズは複数のレンズ等から構成されても良い。また、観察方向変換手段はある方向からある方向に予め設定された方向に変換する手段であっても良く、任意の方向に変換できる手段であっても良い。また、観察方向変換手段は挿入部全体や撮像光学手段や画像伝送手段等を回転させる手段であっても良く、単純に硬性内視鏡を回転させても良い。
また、観察方向は、特に限られず、直視方向(図3(a)で言えば二重矢印とは逆の方向。x軸の正方向。観察物の光学像が伝送される方向と逆の方向)でも、側視方向(図3(a)で言えばx軸に対してz軸方向に仰角、伏角を生じる方向)でも良い。なお、一般に観察方向はx軸方向を基準としてz軸方向に±140℃程度あるいは±120℃程度、±90℃の範囲が多い(回転できるので±が生じる)。また、観察方向を基準とした視野角は特に限られない。なお、一般に視野角は±10°程度から±40°程度の範囲が多い。また、硬性内視鏡を回転する等すれば、観察方向、視野角の範囲で回転方向に任意の観察が可能である。なお、例えば、硬性内視鏡の挿入部の先端部の挿入方向がフィラメント糸の走行経路方向と直交する場合で、フィラメント糸のみを観察する場合は直視方向が有効であり、紡糸口金の下面とフィラメント糸を同時に観察する場合は側視方向が有効である。
画像伝送手段20は、一般に複数のレンズ等からなるリレーレンズ等から構成されるが、特に限られない。その他部材等が設けられても良く、棒状の単数のロッドレンズ等から構成されても良い。特に限られないが、好ましくは複数のレンズからなるリレーレンズ等から構成されるのが好ましい。一般に、リレーレンズ等から構成される方が画像伝送手段に空隙を設け易く、単数のロッドレンズ等から構成される場合と比べ、耐熱性に優れるためである。なお、リレーレンズとは、一般に複数のレンズ等からなり、それらの組み合わせにより、撮像光学手段で捉えた観察物の光学像をリレーしながら伝送するものである。また、本実施形態において、リレーレンズを構成する複数のレンズは特に限られず、硬性内視鏡として充分な機能が発揮されれば良く、その範囲でこれらレンズの外形形状、外形寸法、取付位置・向き、表面形状、表面仕上げ、表面処理、構造や部材構成、材質等により特に限られない。
接眼手段21は、一般に対物レンズ等から構成されるが、特に限られない。覗き窓や、観察方向変換手段、焦点調整手段等や、その他レンズ等の光学部材等や、後述する硬性内視鏡の接眼手段と固体撮像素子からなるカメラを接続するアダプター等やその他部材等が設けられても良い。また、操作手段26は、一般に接眼手段や投光手段等から構成されるが、特に限られない。ハンドルや焦点調整手段、観察方向変換手段等や、投光手段が内蔵されたケーブル等や、投光手段に照明光を供給する光源手段等や、光源手段に電源を供給するケーブルや、乾電池、バッテリー等の電源手段等やその他部材等や、光源手段や電源手段等が内蔵されたハンドル等が設けられても良い。なお、硬性内視鏡の接眼手段や操作手段は、特に限られないが、好ましくは、冷却手段の気流室や外壁より外側に設けるのが良い。接眼手段や操作手段は挿入部と比べて大きく、気流室内や外壁より内側に設けると冷却手段の気流を乱す懸念があるためである。
投光手段23は、一般に光源手段から硬性内視鏡の挿入部の先端部まで延在して設けられる複数の光ファイバー等からなるライトガイド等から構成されるが、特に限られない。その他部材等や、観察物やその周辺を均一に照明するため、光源手段からの照明光がライトガイドで伝送される方向の下流側のライトガイドの端部より下流側に照明レンズ等が配設されても良く、また、光源手段からの照明光を集光する等の狙いから、光源手段からの照明光がライトガイドで伝送される方向の上流側のライトガイドの端部より上流側に集光レンズ等が配設されても良い。なお、投光手段は、光源手段からの照明光を硬性内視鏡の挿入部の先端部に伝送すると共に、先端部から観察物やその周辺を照明する機能を有する。また、ライトガイドとは、複数の光ファイバー等からなり、光源手段からの照明光を硬性内視鏡の挿入部の先端部に伝送するものである。また、投光手段が内蔵されたケーブル27は特に限られず、例えば、光源手段が操作手段に設けられる場合はなくても良く、特に限られない。
光源手段は特に限られない。ハロゲンランプや、高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等のHID(High Intensity Discharge)ランプや、キセノンランプ、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)等を光源に利用した光源手段等であっても良く、特に限られない。
また、撮像光学手段から画像伝送手段、接眼手段までの光学系は、一般に硬性内視鏡ではストレートに構成される。このシンプルな光学系の採用が硬性内視鏡の特長でもあり、本実施形態はこの構成が好ましい。また、挿入部の外壁は、一般に撮像光学手段や画像伝送手段、投光手段等を囲う様にストレートに設けられる。これも同様に硬性内視鏡の特長でもあり、本実施形態はこの構成が好ましい。なお、挿入部の外壁の材質は、一般に金属製であるが、特に限られない。特に限られないが、好ましくは、硬性で耐熱性に優れる材質が良い。ストレートな光学系を維持すると共に、硬性内視鏡の耐熱性を向上させるためである。なお、材質の一例を挙げれば、金属製が挙げられる。また、この様に挿入部がストレート且つ硬性であることが硬性内視鏡と呼ばれる所以ともなっている。
本実施形態は硬性内視鏡の挿入部の先端部11や硬性内視鏡の挿入部24により特に限られない。一般に、挿入部の先端部や挿入部に、撮像光学手段や画像伝送手段、投光手段等が設けられるが、特に限られない。硬性内視鏡として充分な機能が発揮されれば良く、その範囲で上記した挿入部の先端部や、挿入部に関連する各種形態が組み合わされたものであっても良く、特に限られない。なお、硬性内視鏡の挿入部の先端部の径や挿入部の径は、特に限られないが、好ましくは、1mm未満程度から10mm弱程度の範囲が良い。更に好ましくは、2mm程度から8mm程度の範囲が良い。更に好ましくは、3mm程度から7mm程度の範囲が良い。上記した大きさの課題から、小さい方が雰囲気の乱れ等の点で好ましいが、小さくすると、同時に視野も縮小してしまうためである。なお、挿入部の径とは、挿入部の挿入方向に直交する方向の断面の直径あるいは外接円の直径を示す。
本実施形態は硬性内視鏡11により特に限られない。硬性内視鏡として充分な機能が発揮されれば良く、その範囲で上記した硬性内視鏡に関連する各種形態が組み合わされたものであっても良く、また、その範囲で硬性内視鏡の外形形状、外形寸法、取付位置・向き、表面形状、表面仕上げ、表面処理、構造や部材構成、材質等により、特に限られない。また、単数あるいは複数あるいは複数種の気流吹き出し部や冷却手段、非吹き出し部に、単数あるいは複数あるいは複数種の硬性内視鏡が設けられても良く、特に限られない。
本実施形態は硬性内視鏡の接眼手段と固体撮像素子からなるカメラを接続するアダプター28、固体撮像素子からなるカメラ29、表示手段30、画像信号を伝送するケーブル31により特に限られない。硬性内視鏡で得られた観察物の光学像を画像信号として取り出して表示する機能が充分に発揮されれば良く、その範囲でこれらの外形形状、外形寸法、取付位置・向き、表面形状、表面仕上げ、表面処理、構造や部材構成、材質等により特に限られない。
アダプター28は、一般に接眼手段と固体撮像素子からなるカメラを接続するためのネジや留具等のジョイント部材やレンズ等から構成されるが、特に限られない。なお、このアダプターは、一般に接眼手段と固体撮像素子からなるカメラを接続する機能や観察物の光学像を伝送、結像する等の機能を有する。また、一般に内視鏡の分野では、Cマウント規格(JIS規格)のアダプターが良く用いられることから、アダプター28をCマウントアダプターと呼ぶことが多い。なお、アダプターを介さずに、硬性内視鏡の撮像光学手段、画像伝送手段等の光学系に必要に応じレンズ等を介して直結して固体撮像素子からなるカメラ等を設ける場合は、このアダプターはなくても良い。
固体撮像素子からなるカメラ29は特に限られない。固体撮像素子としては、CCDやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductorの略。相補正金属酸化膜半導体を用いた固体撮像素子のこと)等が挙げられるが、一般に内視鏡の分野では、CCDが用いられることが多い。なお、固体撮像素子からなるカメラの代わりに、静止画像を撮影するカメラを設けても良い。また、硬性内視鏡の接眼手段とそのカメラを接続するに適当なアダプターを介して設けても良い。
表示手段30は特に限られない。取り出された観察物の光学像の画像信号が表示できるものであれば良く、例えば、ブラウン管や液晶ディスプレー等の表示手段であっても良く、また、上記固体撮像素子からなるカメラと表示手段が直結されたものであっても良く、特に限られない。
また、画像信号を伝送するケーブル31も特に限られない。取り出された観察物の光学像の画像信号を伝送できるものであれば良く、特に限られない。また、画像信号を伝送する過程に、電流・電圧等の電気変換手段、信号変換手段、信号処理手段等が設けられても良く、また、例えば、固体撮像素子からなるカメラと表示手段が直結される場合はなくても良く、特に限られない。
また、硬性内視鏡の接眼手段にアダプターを介して固体撮像素子からなるカメラと、カメラで得られた画像信号を画像として表示する表示手段を設ける構成は特に限られない。硬性内視鏡で得られた観察物の光学像を画像信号として取り出して表示する機能が充分に発揮されれば良く、また、その範囲でこの構成の外形形状、外形寸法、取付位置・向き、表面形状、表面仕上げ、表面処理、構造や部材構成、材質等により、特に限られない。また、単数あるいは複数あるいは複数種の硬性内視鏡に、単数あるいは複数あるいは複数種のこの構成が設けられても良く、特に限られない。
次に、硬性内視鏡の挿入部の先端部を気流吹き出し部に配設する様々な形態について説明する。本実施形態の硬性内視鏡の挿入部の先端部が気流吹き出し部に配設される形態は特に限られない。硬性内視鏡の挿入部の先端部の挿入方向は特に限られず、水平方向、水平方向よりフィラメント糸の走行経路方向に対し上流側上方向、下流側下方向や、フィラメント糸の走行方向に対し直行する方向、あるいはそれより上流側上方向、下流側下方向や、フィラメント糸の走行方向等であっても良く、特に限られない。
硬性内視鏡の挿入部の先端部の配設される部材は特に限られない。基本的に冷却手段の気流吹き出し部が良いが、例えば、気流吹き出し部の一部に設けられた非吹き出し部に硬性内視鏡の挿入部の先端部が配設されても良い。また、後述する気流吹き出し部の縮小部や、その縮小部の一部あるいは全体に設けられた非吹き出し部に硬性内視鏡の挿入部の先端部が配設されても良い。気流吹き出し部の一部分に設けられた非吹き出し部であれば、その部分は吹き出しがなくとも、その周辺から吹き出される気流により硬性内視鏡の挿入部の先端部が充分に冷却・保護されるためである。この一例を例示したのが、図4(a)、図4(b)である。図4(a)の様に、硬性内視鏡の挿入部の先端部は、冷却手段の気流吹き出し部の一部に設けられた非吹き出し部に配設されても良く、また、図4(b)の様に、フィラメント糸の走行経路方向に冷却手段と冷却手段の間に設けられた非吹き出し部に配設されても良く、特に限られない。なお、図4(b)の様に、フィラメント糸の走行経路方向に冷却手段と冷却手段の間に設けられた非吹き出し部も、気流吹き出し部の一部に設けられた非吹き出し部と同様に、その部分には吹き出しがなくとも、その周辺から吹き出される気流により硬性内視鏡の挿入部の先端部が充分に冷却・保護されるため、気流吹き出し部の一部に設けられた非吹き出し部の形態の一形態とみなす。また、図4(a)、図4(b)の様に、冷却手段の気流吹き出し部の一部や、フィラメント糸の走行経路方向に冷却手段と冷却手段の間に設けられた非吹き出し部が、後述する気流吹き出し部の縮小部の一部あるいは全体を構成しても良く、また、気流吹き出し部の縮小部の一部あるいは全体に設けられた非吹き出し部に、硬性内視鏡の挿入部の先端部が配設されても良く、特に限られない。なお、図4(a)、図(b)では、冷却手段として内吹き環状冷却手段を図示したが、これは、あくまで一例を示したものであり、冷却手段や、非吹き出し部に硬性内視鏡の挿入部の先端部を配設する形態等が、内吹き環状冷却手段に限定されるものではなく、本実施形態はこれに限定されない。
硬性内視鏡の挿入部の先端部が配設される非吹き出し部32は特に限られない。非吹き出し部は、気流吹き出し部の一部や、フィラメント糸の走行経路方向に冷却手段と冷却手段の間に配設されれば良く、特に限られず、その範囲で非吹き出し部の個数、外形形状、外形寸法、取付位置・向き、表面形状、表面仕上げ、表面処理、構造、部材構成、材質等により特に限られない。また、非吹き出し部は、フィラメント糸の走行経路方向に対し直交する方向に延在して設けられても、部分的に設けられても良い。また、非吹き出し部のフィラメント糸側の面や外形形状等の形状を、気流吹き出し面や気流吹き出し部の形状に合わせて設けても良く、あるいは、非吹き出し部のフィラメント糸側の面や外形形状等の形状を、非吹き出し部の周辺の気流吹き出し面や気流吹き出し部の形状に合わせて設けても良い。例えば、後述する気流吹き出し部の縮小部に合わせて、気流吹き出し面や包囲部材の内側面に取り囲まれた領域のフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の面の断面積が、フィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって徐々に小さくなる様に、非吹き出し部を設けても良い。また、非吹き出し部が、後述する気流吹き出し部の縮小部の一部あるいは全体を構成しても良い。また、非吹き出し部に断熱部材や保温部材、加熱部材、冷却部材、温度等の計測手段等や硬性内視鏡に装備される投光手段以外の追加の投光手段等が設けられても良く、また、単数あるいは複数あるいは複数種の非吹き出し部に、単数あるいは複数あるいは複数種の断熱部材や保温部材、加熱部材、冷却部材、温度等の計測手段等や、硬性内視鏡、硬性内視鏡に装備される投光手段以外の追加の投光手段等が設けられても良い。
硬性内視鏡の挿入部の先端部の先端面34と、気流吹き出し面4や非吹き出し部のフィラメント糸側の面35の位置関係は特に限られない。フィラメント糸の走行や製糸安定性等を妨げず、硬性内視鏡の観察視野が充分確保できる範囲で、硬性内視鏡の挿入部の先端部の先端面が、気流吹き出し面や非吹き出し部のフィラメント糸側の面より凸に設けられても、ほぼ合わせて設けられても、凹に設けられても良く、特に限られない。この一例を例示したのが、図5(a)〜図5(f)である。この様に、硬性内視鏡の挿入部の先端部の先端面は、気流吹き出し面より凸に設けても、ほぼ合わせて設けても、凹に設けられても良く、また、非吹き出し部のフィラメント糸側の面より凸に設けても、ほぼ合わせて設けても、凹に設けられても良く、特に限られない。
非吹き出し部のフィラメント糸側の面35は特に限られない。フィラメント糸の走行や製糸安定性等を妨げず、硬性内視鏡の観察視野が充分確保できる範囲で、上記した気流吹き出し部や気流吹き出し面と同様な形状や準じた形状であっても良く、また、気流吹き出し面よりフィラメント糸側に凸でも凹でも良く、合わせた形状であっても良い。また、フィラメント糸の走行経路方向に沿ってフィラメント糸側に近付く様な形状であっても、フィラメント糸の走行経路方向やフィラメント糸の走行方向に沿った様な形状であっても、フィラメント糸の走行経路方向に沿ってフィラメント糸側から離れる様な形状であっても良い。また、フィラメント糸の走行経路方向に沿ってフィラメント糸側に近付いたり離れたりする形状であっても、また、それが単数あるいは複数あるいは複数種存在する様な形状であっても良い。また、フィラメント糸の走行経路方向やフィラメント糸の走行方向、あるいは周辺の気流の方向に沿って、流線形の形状であっても良く、特に限られない。
硬性内視鏡の挿入部の先端部の配設位置は特に限られない。特に限られないが、クリアな観察像を得る上では、観察・監視対象である紡糸口金の下面や、走行するフィラメント糸に近接させて配設するのが良い。なお、一般に、冷却手段の気流吹き出し部から吹き出される気流は、室温前後が多いが、徐冷等の目的で、高温の気流を気流吹き出し部から吹き出す場合がある。その場合は、予め気流吹き出し部から吹き出される気流の温度や、硬性内視鏡を配設する予定の気流吹き出し部周辺の雰囲気温度を測定しておき、硬性内視鏡の最高使用温度を満足する位置に設置すれば良い。また、気流吹き出し部や非吹き出し部に温度計測手段を設け、それを用いて雰囲気温度を測定しても良い。また、その温度計測手段を利用して、硬性内視鏡の周辺の雰囲気温度の監視を行っても良く、また、更に警報手段を設け、硬性内視鏡の周辺の雰囲気温度が硬性内視鏡の最高使用温度を超えた場合に、警報を出す様にしても良い。
また、硬性内視鏡の挿入部の先端部の配設位置は特に限られず、紡糸口金に穿設される吐出孔の配列の、吐出孔が穿設されない非穿設部や、分離帯等の位置に合わせて、配設しても良い。あるいは、硬性内視鏡の挿入部の先端部の配設位置に合わせて、紡糸口金の吐出孔の配列に非穿設部や分離帯等を設けても良い。
本実施形態は特に限られず、例えば、硬性内視鏡の挿入部や挿入部の先端部と、硬性内視鏡の挿入部、挿入部の先端部が挿入、配設される冷却手段の部分(例えば、冷却手段の外壁33)や気流吹き出し部や非吹き出し部の間に気流の漏れ等を防止する等の狙いからシール部材等や、硬性内視鏡や硬性内視鏡の挿入部、挿入部の先端部等を支持、案内する等の狙いから支持部材、案内部材等が設けられても良い。シール部材の一例を挙げれば、パッキン、O−リングや、気流の漏れ等がない様に、硬性内視鏡の挿入部や挿入部の先端部が挿入される部分の寸法を厳格に設定した部材等が挙げられる。また、外力により形状の変形が容易な部材や、変形後の変形前の形状への回復が速い部材等であっても良い。この一例を挙げれば、ゴムや合成樹脂等が挙げられる。また、支持部材、案内部材の狙いとしては、硬性内視鏡の支持、案内の他、硬性内視鏡の挿入部や画像伝送手段等の折れ等からの保護の狙いもある。
本実施形態の観察・監視対象や利用範囲は特に限られない。基本的に紡糸口金の下面やフィラメント糸が対象であるが、その他部位や物体の観察・監視に利用されても良い。例えば、冷却手段や気流吹き出し部、気流吹き出し部から吹き出される気流、紡糸口金の下面やフィラメント糸周辺の気流や、毛羽やフィラメント糸から発生する分解ガスや昇華物、モノマー、オリゴマー等が一例として挙げられる。また、例えば、冷却手段や気流吹き出し部、あるいは非吹き出し部やその他部材に、気流可視化用の流体や可視化用の粒子等を含む流体等を供給する供給口や吹き出し口を設けたり、気流吹き出し部にそれら流体を供給したりする等して、紡糸口金の下面やフィラメント糸周辺の気流や、気流吹き出し部から吹き出される気流等の気流の観察・監視に利用されても良い。なお、気流可視化用の流体や可視化用の粒子等を含む流体の一例を挙げれば、水分や四塩化チタン等の発煙剤を含む空気や、スチーム、ドライアイス等が挙げられる。また、溶融紡糸の構成に、気流吹き出し部を有する着脱可能な小型の冷却手段を設け、これに硬性内視鏡を設けても良く、また、この小型の冷却手段を紡糸口金の下面の汚れ具合やフィラメント糸の糸の揺れ具合等を観察・監視するための試験手段として活用しても良い。
なお、上述した様に、硬性内視鏡は最高使用温度が高いため、ファイバー内視鏡や電子内視鏡と比べ、観察・監視対象である紡糸口金の下面や、走行するフィラメント糸により近接させることができる。更に、シンプルな光学系を採用していることから、近点から遠点までシャープな観察画像が得られることから、観察範囲が極めて広く、従来技術は勿論のことながら、ファイバー内視鏡や電子内視鏡と比べても、紡糸口金の下面や走行するフィラメント糸を観察するに好適であることは言うまでもない。
また、図3(a)、図3(b)、図4(a)、図4(b)、図5(a)〜図5(f)の図示はあくまで一例を例示したものであり、本実施形態がこれに限定されるものではない。
では、次に、本実施形態の第2の重要な実施形態について説明する。本実施形態の第2の重要な実施形態は、例えば、図6、図7(a)〜図7(e)、図8(a)、図8(b)に示す様に、「前記半密閉型の冷却手段が、前記気流吹き出し部や包囲部材により取り囲まれたものであり、かつ、前記気流吹き出し部や前記包囲部材の前記フィラメント糸側の面である気流吹き出し面や前記包囲部材の内側面により取り囲まれた領域の、前記フィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の面の断面積が、前記フィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって徐々に小さくなる様に、前記気流吹き出し部に縮小部を設け、前記縮小部に、前記硬性内視鏡の前記挿入部の前記先端部を配設することを特徴とする本実施形態の第1の重要な実施形態に記載のフィラメント糸の製造装置」である。
この本実施形態の第2の重要な実施形態について、図6、図7(a)〜図7(e)、図8(a)、図8(b)等を用いて詳細を説明する。図6は、本実施形態の好ましい溶融紡糸の構成の更に別の一例を模式的に例示した縦断面の概略図である。図6において、Rは気流吹き出し部の縮小部(図6においては、太線で囲まれている、気流吹き出し部の部分)、Sは気流吹き出し面や包囲部材の内側面により取り囲まれた領域(図6においては、点線で囲まれた領域)である。Pは気流吹き出し面のフィラメント糸の走行経路方向の下流側の下端(以下気流吹き出し面の下端と呼ぶこととする)を通り、領域Sのフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の面を、フィラメント糸の走行経路方向の上流側に投影した領域(図6においては、塗り潰された領域)であり、図6においては、フィラメント糸の走行経路方向に沿って、気流吹き出し面の上端から気流吹き出し面の下端までの範囲で図示している。なお、図6におけるその他の各記号等は、図1等に準ずる。また、図7(a)〜図7(e)は、本実施形態の一実施例に係る気流吹き出し部の縮小部に硬性内視鏡の挿入部の先端部を配設する構成の一例を模式的に例示した縦断面の概略図である。図7(a)は、本実施形態の一実施例に係る気流吹き出し部の一部に設けられた縮小部に硬性内視鏡の挿入部の先端部を配設する構成の一例を模式的に例示した縦断面の概略図であり、図7(b)は、本実施形態の一実施例に係る気流吹き出し部の途中から気流吹き出し部のフィラメント糸の走行経路方向の下流側の全域に設けられた縮小部に硬性内視鏡の挿入部の先端部を配設する構成の一例を模式的に例示した縦断面の概略図であり、図7(c)は、本実施形態の一実施例に係る気流吹き出し部の途中から気流吹き出し部のフィラメント糸の走行経路方向の下流側の全域に設けられた縮小部に硬性内視鏡の挿入部の先端部を配設する構成の別の一例を模式的に例示した縦断面の概略図であり、図7(d)は、本実施形態の一実施例に係る気流吹き出し部の全域に設けられた縮小部に硬性内視鏡の挿入部の先端部を配設する構成の一例を模式的に例示した縦断面の概略図である。図7(e)は、本実施形態の一実施例に係る気流吹き出し部の全域に設けられた縮小部に硬性内視鏡の挿入部の先端部を配設する構成の別の一例を模式的に例示した縦断面の概略図である。また、図8(a)、図8(b)は、本実施形態の一実施例に係る気流吹き出し部の縮小部に硬性内視鏡の挿入部の先端部を配設する構成の一例を模式的に例示した縦断面の概略図である。図8(a)は、本実施形態の一実施例に係る非吹き出し部で構成される気流吹き出し部の縮小部に硬性内視鏡の挿入部の先端部を配設する構成の一例を模式的に例示した縦断面の概略図であり、図8(b)は、本実施形態の一実施例に係るそのフィラメント糸の走行経路方向の上流側と下流側に非吹き出し部が設けられた気流吹き出し部の縮小部に硬性内視鏡の挿入部の先端部を配設する構成の一例を模式的に例示した縦断面の概略図である。なお、図7(a)〜図7(e)、図8(a)、図8(b)におけるその他の各記号等は、図1等に準ずる。
では、本実施形態の第2の重要な実施形態の特長や効果等について詳細を説明する。第1に、本実施形態の第2の重要な実施形態では、例えば、図6、図7(a)〜図7(e)、図8(a)、図8(b)に示す様に、気流吹き出し面や包囲部材の内側面により取り囲まれた領域のフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の面の断面積が、フィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって徐々に小さくなる様に、気流吹き出し部に縮小部を設け、そこに硬性内視鏡の挿入部の先端部を配設するので、硬性内視鏡の挿入部の先端部が、気流吹き出し面から飛び出した様な格好となり難い。そのため、硬性内視鏡の挿入部の先端部の周辺の雰囲気をより一層、乱れ難くすることができる。結果、本実施形態の第2の重要な実施形態では、雰囲気や気流の乱れを、より一層抑制することができ、フィラメント糸の糸の太さ斑や品質斑等の均斉性を更に向上させることができる。なお、本実施形態では、その挿入部の先端部の大きさが、従来の小型CCDカメラと比べ、極めて小さい、硬性内視鏡を採用しているので、雰囲気や気流を乱す問題は、従来の小型CCDカメラを用いる方法等と比べて大きく解消されているが、本実施形態の第2の重要な実施形態を適用することで、より一層、問題は解消され、フィラメント糸の糸の太さ斑や品質斑等の均斉性を更に向上させることができる。
また、第2に、本実施形態の第2の重要な実施形態では、例えば、図6、図7(a)〜図7(e)、図8(a)、図8(b)に示す様に、硬性内視鏡の挿入部の先端部が、気流吹き出し面から飛び出した様な格好となり難く、生産開始時等に、冷却手段にフィラメント糸を通糸する際に、フィラメント糸が硬性内視鏡の挿入部の先端部に引っ掛かり難くすることができる。
また、第3に、本実施形態の第2の重要な実施形態では、例えば、図6、図7(a)〜図7(e)、図8(a)、図8(b)に示す様に、気流吹き出し面や包囲部材の内側面により取り囲まれた領域のフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の面の断面積が、フィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって徐々に小さくなる様に設けた縮小部に、硬性内視鏡の挿入部の先端部を配設するので、硬性内視鏡の挿入部の先端部を、フィラメント糸に近付け易く、また、フィラメント糸の走行経路の中心側に近付け易い。そのため、マルチフィラメント糸を観察し易い他、硬性内視鏡の挿入部の先端部をフィラメント糸の走行経路の中心側に近付け易く、紡糸口金の下面に向かって視界が拡がって、紡糸口金の下面も観察し易くすることができる。また、硬性内視鏡の挿入部の先端部と同時に、硬性内視鏡の投光手段も、フィラメント糸や、フィラメント糸の走行経路の中心側に近付け易いので、フィラメント糸や、紡糸口金の下面に向かって、光を充分に当て易くでき、この点からも、フィラメント糸や紡糸口金の下面を更に観察し易くすることができる。
また、第4に、本実施形態の第2の重要な実施形態では、例えば、図6、図7(a)〜図7(e)、図8(a)、図8(b)に示す様に、気流吹き出し面や包囲部材の内側面により取り囲まれた領域のフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の面の断面積が、フィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって徐々に小さくなる様に、気流吹き出し部に縮小部を設けるので、縮小部が設けられた部分の気流吹き出し面や包囲部材の内側面により取り囲まれた領域を流れる気流の、フィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かう方向の流速を、フィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって徐々に大きくすることができる。そのため、縮小部に設けられる硬性内視鏡の挿入部の先端部の周辺を流れる気流の、フィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かう方向の流速を、大きくすることができる。結果、硬性内視鏡の挿入部の先端部よりフィラメント糸の走行経路方向の上流側の気流吹き出し部から吹き出され、高速化された気流で、紡糸口金の下面やフィラメント糸あるいはその周辺の雰囲気や外気等の影響から、硬性内視鏡の挿入部の先端部を、より一層、保護し易くすることができる。
また、第5に、本実施形態の第2の重要な実施形態では、例えば、図6、図7(a)〜図7(e)、図8(a)、図8(b)に示す様に、気流吹き出し面や包囲部材の内側面により取り囲まれた領域のフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の面の断面積が、フィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって徐々に小さくなる様に、気流吹き出し部に縮小部を設けるので、縮小部が設けられた部分の気流吹き出し面や包囲部材の内側面により取り囲まれた領域を流れる気流の、フィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かう方向の流速を、フィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって徐々に大きくすることができる。そのため、縮小部に設けられる硬性内視鏡の挿入部の先端部の周辺を流れる気流の、フィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かう方向の流速を、大きくすることができる。結果、硬性内視鏡の挿入部の先端部よりフィラメント糸の走行経路方向の上流側の気流吹き出し部から吹き出され、高速化された気流で、硬性内視鏡の挿入部の先端部に、フィラメント糸から発生する昇華物やモノマー、オリゴマー、あるいは毛羽等が堆積して、観察、監視が阻害することを抑制することができる。
また、一方、第6に、本実施形態の第2の重要な実施形態では、例えば、図6、図7(a)〜図7(e)、図8(a)、図8(b)に示す様に、気流吹き出し面や包囲部材の内側面により取り囲まれた領域のフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の面の断面積が、フィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって徐々に小さくなる様に、気流吹き出し部に縮小部を設けるので、縮小部が設けられた部分の気流吹き出し面や包囲部材の内側面により取り囲まれた領域を流れる気流の、フィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かう方向の流速を、フィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって徐々に大きくすることができる。そのため、紡糸口金から紡出されて、固化するまでフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に沿って細化変形や糸速度の増速が継続されるフィラメント糸の各単糸に合わせて、フィラメント糸の各単糸と気流との間の、相対速度を小さくすることができる。結果、本実施形態の第2の重要な実施形態では、フィラメント糸の各単糸に働く空気抵抗やこの空気抵抗による張力の増大を抑制、応力を抑制することができ、フィラメント糸の強伸度や伸度、強度等の品質までも向上させることができるというメリットをも有する。
また、第7に、本実施形態の第2の重要な実施形態では、例えば、図6、図7(a)〜図7(e)、図8(a)、図8(b)に示す様に、気流吹き出し面や包囲部材の内側面により取り囲まれた領域のフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の面の断面積が、フィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって徐々に小さくなる様に、気流吹き出し部に縮小部を設ける。そのため、一般にその製造工程において、紡糸口金から紡出され、気流等により冷却、固化された後、糸油剤付与・集束・ガイド・案内等の手段でその各単糸が集束されることの多いフィラメント糸に対し、その各単糸がフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に集束されるのに合わせて、気流吹き出し面を、フィラメント糸に近接させ易くできる。そして、フィラメント糸の各単糸廻りの気流を、気流吹き出し面から吹き出された気流で整流化し易くでき、各単糸廻りの気流の乱れを抑制することができる。また、気流吹き出し面をフィラメント糸に近接させ易くできるので、気流吹き出し面から吹き出された気流を、フィラメント糸の走行経路の内周側に導入し易くでき、フィラメント糸の走行経路の外周側の各単糸と内周側の各単糸との間の冷却斑を抑制することができる。結果、本実施形態の第1の重要な実施形態は、気流乱れや冷却斑を抑制することができ、フィラメント糸の糸の太さ斑や品質斑等の均斉性をより一層更に向上させることができるというメリットをも有する。
では、本実施形態の第2の重要な実施形態の特長や効果等について、更に3点程、説明する。第8に、本実施形態の第2の重要な実施形態では、例えば、図6、図7(a)〜図7(e)、図8(a)、図8(b)に示す様に、縮小部が設けられるため、その部分の気流吹き出し面や包囲部材の内側面により取り囲まれた領域を流れる気流の、フィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かう方向の流速を、フィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって、より小さい流量で大きくさせ易い。従って、本実施形態の第2の重要な実施形態は、従来の技術よりも、より小さい流量の気流で、フィラメント糸の各単糸に働く空気抵抗やこの空気抵抗による張力の増大、応力を充分に抑制でき、また、気流の供給等に必要なエネルギーを小さくできるので省エネ効果がある他、フィラメント糸の製造費用を削減させることができるという特長も有している。
第9に、本実施形態の第1の重要な実施形態では、例えば、図6、図7(a)〜図7(e)、図8(a)、図8(b)に示す様に、縮小部が設けられるため、例えば、図6等において8で示す冷却手段の気流室を大きくし易い。従って、本実施形態の第2の重要な実施形態は、気流室で気流を均圧化、均一化させ易く、例えば、気流吹き出し面から吹き出される気流のフィラメント糸の走行経路を囲う円周方向の流速分布を均一化させ易いので、フィラメント糸の各単糸を円周方向に更に均一に冷却し易く、フィラメント糸の糸の太さ斑や品質斑等の均斉性等を更に向上させることができるという特長も有している。なお、本実施形態の第2の重要な実施形態において、気流室を大きくし易いことは、図6等の図示から容易に理解することができる。また、本実施形態の第2の重要な実施形態は、気流室を大きくし易いので、気流室に気流を均圧化、均一化させる手段、例えば、圧損部材等を配設し易く、この点からも、気流吹き出し面から吹き出される気流のフィラメント糸の走行経路を囲う円周方向の流速分布を均一化させ易いので、フィラメント糸の各単糸を円周方向に更に均一に冷却し易く、フィラメント糸の糸の太さ斑や品質斑等の均斉性等を更に向上させることができる。
第10に、本実施形態の第2の重要な実施形態では、例えば、図6、図7(a)〜図7(e)、図8(a)、図8(b)に示す様に、縮小部が設けられるため、それに合わせて、冷却手段のフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の外径を小さくすることで、冷却手段をコンパクト化し易い。そのため、小スペースで多数のフィラメント糸を紡出させ易く、また、小スペースで多数のフィラメント糸を紡出させる様な溶融紡糸方法、あるいは溶融紡糸装置等(例えば、紡糸口金や紡糸パック等が配設されるピッチが短い)に対応し易い等の特徴も有している。
本実施形態は、縮小部の形態により特に限られない。例えば、製糸安定性等を損なわない範囲で、気流吹き出し面や包囲部材の内側面により取り囲まれた領域のフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の面の断面積が、フィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって連続的に、あるいは段階的に徐々に小さくなる様に、気流吹き出し部に縮小部を設けても良く、あるいは、断面積をフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって徐々に小さくする過程において、フィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって、断面積を徐々に小さくする程度、あるいは断面積を徐々に小さくする縮小率を部分的に異なる様にして縮小部を設けても本実施形態は好適である。
また、本実施形態は、硬性内視鏡の挿入部の先端部が配設される縮小部よりフィラメント糸の走行経路方向の上流側や下流側の気流吹き出し部や気流吹き出し面の形態により特に限られない。例えば、図6、図7(a)に示す様に、縮小部よりフィラメント糸の走行経路方向の下流側で、気流吹き出し面や包囲部材の内側面により取り囲まれた領域のフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の面の断面積が変化しない様に、気流吹き出し部や気流吹き出し面を設けても良い。また、例えば、図7(b)に示す様に、気流吹き出し部の途中からフィラメント糸の走行経路方向の下流側の全域に縮小部を形成する様に、気流吹き出し部や気流吹き出し面を設けても良い。また、例えば、図7(c)に示す様に、図7(b)と同様に縮小部を設けるが、縮小率が途中で変化する様に、気流吹き出し部や気流吹き出し面を設けても良い。また、例えば、図7(d)に示す様に、気流吹き出し部の全域に縮小部を形成する様に、気流吹き出し部や気流吹き出し面を設けても良い。また、例えば、図7(e)に示す様に、図7(d)と同様に縮小部を設けるが、縮小率が途中で変化する様に、気流吹き出し部や気流吹き出し面を設けても良い。本実施形態は、硬性内視鏡の挿入部の先端部が配設される縮小部よりフィラメント糸の走行経路方向の上流側や下流側の気流吹き出し部や気流吹き出し面の形態により特に限られないが、好ましくは、硬性内視鏡の挿入部の先端部が配設される縮小部よりフィラメント糸の走行経路方向の下流側で、気流吹き出し面や包囲部材の内側面により取り囲まれた領域のフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の面の断面積が同じになる様に、あるいは、小さくなる様に、気流吹き出し部や気流吹き出し面を設けるのが良い。この様にすることで、上記した本実施形態の第2の重要な実施形態の特長や効果がより確実に発揮されるためである。
また、本実施形態は、縮小部の形態により特に限られない。例えば、縮小部の一部、あるいは全てが非吹き出し部から構成されても良い。また、縮小部のフィラメント糸の走行経路方向の上流側や下流側、あるいはその両方に非吹き出し部が設けられても良い。
例えば、図8(a)は、縮小部が全て非吹き出し部から構成され、そこに硬性内視鏡の挿入部の先端部を配設する構成の一例を模式的に例示した縦断面の概略図であり、図8(b)は、フィラメント糸の走行経路方向の上流側と下流側の両方に非吹き出し部が設けられた縮小部に硬性内視鏡の挿入部の先端部を配設する構成の一例を模式的に例示した縦断面の概略図である。また、上記非吹き出し部は特に限られず、例えば、気流吹き出し面や気流吹き出し部、あるいは縮小部を接続する部材やシール等を行う部材として利用されても良く、また、非吹き出し部のフィラメント糸の走行経路を囲う内側面は特に限られず、例えば、気流吹き出し面に準じた形状であっても良い。
本実施形態は、包囲部材の形態により特に限られない。なお、包囲部材とは、半密閉型の冷却手段において、冷却手段を走行するフィラメント糸の周囲を気流吹き出し部と共に取り囲む部材を示す。一例を挙げれば、内吹き環状冷却手段と外吹き環状冷却手段を併用した冷却手段では、内吹き環状冷却手段、内吹き環状冷却手段と内向き環状吸引手段を併用した冷却手段では、内吹き環状冷却手段がそれに相当する。また、包囲部材の内側面とは、包囲部材のフィラメント糸側の面であり、冷却手段を走行するフィラメント糸の周囲を気流吹き出し面と共に取り囲む面を示す。包囲部材は特に限られないが、好ましくは、気流吹き出し面や包囲部材の内側面により取り囲まれた領域のフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の面の断面積が、フィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって徐々に小さくなる様に、設けると良い。理由は気流吹き出し部に縮小部を設ける理由と同様である。
また、本実施形態の第3の重要な実施形態では、「前記半密閉型の冷却手段が、前記気流吹き出し部や包囲部材により取り囲まれたものであり、前記硬性内視鏡の前記挿入部の前記先端部を、前記気流吹き出し面の前記フィラメント糸の走行経路方向の下流側の下端を通り、前記気流吹き出し面や前記包囲部材の前記内側面により取り囲まれた前記領域の前記フィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の面を、前記フィラメント糸の走行経路方向の上流側に投影した領域の外側に配設することを特徴とする本実施形態の第1の重要な実施形態、または、本実施形態の第2の重要な実施形態に記載のフィラメント糸の製造装置」が提供される。
この様にすることで、先ず第1に、本実施形態の第3の重要な実施形態では、硬性内視鏡の挿入部の先端部を、気流吹き出し面のフィラメント糸の走行経路方向の下流側の下端を通り、気流吹き出し面や包囲部材の内側面により取り囲まれた領域のフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の面を、フィラメント糸の走行経路方向の上流側に投影した領域の外側に配設するので、上記本実施形態の第2の重要な実施形態に記載した第1の特長や効果と同様に、硬性内視鏡の挿入部の先端部が、気流吹き出し面から飛び出した様な格好となり難い。そのため、硬性内視鏡の挿入部の先端部の周辺の雰囲気をより一層、乱れ難くすることができる。結果、本実施形態の第2の重要な実施形態では、雰囲気や気流の乱れを、より一層抑制することができ、フィラメント糸の糸の太さ斑や品質斑等の均斉性を更に向上させることができる。なお、本実施形態では、その挿入部の先端部の大きさが、従来の小型CCDカメラと比べ、極めて小さい、硬性内視鏡を採用しているので、雰囲気や気流を乱す問題は、従来の小型CCDカメラを用いる方法等と比べて大きく解消されているが、本実施形態の第2の重要な実施形態を適用することで、より一層、問題は解消され、フィラメント糸の糸の太さ斑や品質斑等の均斉性を更に向上させることができる。また、本実施形態の第3の重要な実施形態では、上記本実施形態の第2の重要な実施形態に記載した、第2、第6、第7、第8、第9、第10の特長や効果も同様に得ることができる。例えば、この形態の構成の一例を示したものが図9である。図9は、本実施形態の好ましい溶融紡糸の構成の更に別の一例を模式的に例示した縦断面の概略図であり、本実施形態の一実施例に係る気流吹き出し面のフィラメント糸の走行経路方向の下流側の下端を通り、気流吹き出し面や包囲部材の内側面により取り囲まれた領域のフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の面を、フィラメント糸の走行経路方向の上流側に投影した領域の外側に、硬性内視鏡の挿入部の先端部を配設する構成の一例を模式的に例示した縦断面の概略図である。図9において、Sは気流吹き出し面や包囲部材の内側面により取り囲まれた領域であり、図中では、図6と同様に、点線で囲まれた領域で図示されている。Pは気流吹き出し面の下端を通り、領域Sのフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の面を、フィラメント糸の走行経路方向の上流側に投影した領域であり、図中では、図6と同様に、塗り潰された領域で図示され、また、フィラメント糸の走行経路方向に沿って、気流吹き出し面の上端から気流吹き出し面の下端までの範囲で図示している。なお、図9におけるその他の各記号等は、図1等に準ずる。
また第2に、本実施形態の第3の重要な実施形態では、上記した本実施形態の第2の重要な実施形態と組み合わせることで、より確実に、硬性内視鏡の挿入部の先端部が、気流吹き出し面から飛び出した様な格好となり難くでき、また、より確実に、フィラメント糸の各単糸と気流との間の、相対速度を小さくすることができる等、上記した本実施形態の第2の重要な実施形態の特長や効果を更に向上できるという特長、効果をも有する。
では次に、その他の形態について説明する。本実施形態は糸油剤付与・集束・ガイド・案内等の手段13により特に限られない。様々な手段に好適であり、手段の個数、外形形状、外形寸法、取付位置・向き、表面形状、表面仕上げ、表面処理、構造、部材構成、材質等により特に限られない。また、糸油剤付与手段はガイド給油方式でもローラー給油方式であっても好適であり、糸油剤付与・集束・ガイド・案内等の手段は非回転手段でも回転手段でも本実施形態は好適である。また、上記手段は設けなくても設けても良く、設ける場合は糸油剤付与・集束・ガイド・案内等の手段であれば良く、あるいはそれらの何れかが一つが設けられても良く、あるいはそれらが単数あるいは複数あるいは複数種設けられても、上記各形態が組み合わされた手段が同様に設けられても良く、特に限られず好適である。
本実施形態は糸引取手段14、糸巻取手段15により特に限られない。様々な糸引取手段、糸巻取手段に好適であり、手段の個数、外形形状、外形寸法、取付位置・向き、表面形状、表面仕上げ、表面処理、構造、部材構成、材質等により特に限られず、例えば、糸引取手段は、ローラーやサクションガン等の糸吸引手段、フィラメント糸を気流で送り出す糸送出手段、コンベヤ等の糸搬送手段等であっても好適であり、例えば、糸巻取手段は、フィラメント糸を巻き取るワインダー方式や、フィラメント糸を籠の様な容器で受け取るキャン方式等の糸巻取手段であっても本実施形態は好適である。また、糸引取手段のローラーに複数回フィラメント糸が掛けられても好適であり、糸引取手段が延伸手段を兼ねても好適である。また、糸引取手段や糸巻取手段に、糸油剤付与・集束・ガイド・案内等の手段や、加熱ローラー、加熱チューブ等の糸加熱手段、糸加湿手段、糸リラックス手段、糸延伸手段、糸吸引手段、糸送出手段、糸搬送手段等が単数あるいは複数あるいは複数種設けられても好適である。また、糸引取手段や糸巻取手段が単数あるいは複数あるいは複数種設けられても、上記各形態が組み合わされた糸引取手段や糸巻取手段が同様に設けられても好適である。
本実施形態は加熱装置や加熱筒16、保温筒17により特に限られない。様々な加熱装置や加熱筒、保温筒に好適であり、その個数、外形形状、外形寸法(径や長さ等)、取付位置・向き、表面形状、表面仕上げ、表面処理、構造、加熱方式、保温方式、部材構成、材質等により特に限られない。また、加熱装置や加熱筒、保温筒やその周辺に、断熱部材、保温部材、加熱部材、冷却部材、温度等の計測手段等の部材が単数あるいは複数あるいは複数種設けられても好適である。また、加熱装置や加熱筒、加熱部材の加熱方式は特に限られず、電気式、熱媒式、赤外線式、誘導加熱式等の様々な加熱方式に本実施形態は好適である。電気式は例えば、電熱線やヒータ等の発熱源が、アルミ、銅、青銅、真鍮、鉄、炭素鋼、ステンレス、ステンレス合金、タングステン、タングステン合金等の金属に鋳込まれたり、埋め込まれたり、内蔵、装備された方式でも良く、セメントや合成樹脂、セラミック、カーボン等に固められたり、埋め込まれたり、内蔵、装備された方式等であっても好適であり、熱媒式は例えば、ダウサム等の熱媒を用いた方式等であっても本実施形態は好適である。また、加熱装置や加熱筒、加熱部材の発熱源は例えば、ニクロム線等の電熱線やシーズヒータ、バンドヒータ、スペースヒータ、カートリッジヒータ、フレキシブルシーズヒータ等であっても好適であり、また、発熱源の材質は例えば、アルミ、銅、青銅、真鍮、鉄、炭素鋼、ボンデ鋼、ステンレス、ステンレス合金、タングステン、タングステン合金、セラミック、カーボン等であっても好適であり、特に限られない。なお、ステンレスとしては、SUS304、SUS304L、SUS310S、SUS316、SUS316L、SUS321、SUS430、SUS630等や、ステンレス合金としては、ニクロム、インコネル600、インコロイ800、ハステロイ等が一例として挙げられるが、特にこれに限られない。また、加熱装置や加熱筒、加熱部材は特に限られず、電熱線やヒータ等の発熱源や熱媒周辺に配設された部材が発熱源からの伝熱を受ける等して加熱手段として機能しても良い。また、加熱装置や加熱筒、保温筒が単数あるいは複数あるいは複数種設けられても、上記各形態が組み合わされた加熱装置や加熱筒、保温筒が同様に設けられても本実施形態は好適である。なお、図1、図2、後述する図6における糸油剤付与・集束・ガイド・案内等の手段13、糸引取手段14、糸巻取手段15、加熱装置や加熱筒16、保温筒17の図示は、あくまで一例であり、これらの個数や外形形状等の形態を限定するものではなく、本実施形態はこれに限定されない。
本実施形態は冷却開始距離QTDにより特に限られない。本実施形態では耐熱性に優れた硬性内視鏡を採用し、またその挿入部の先端部が冷却手段の気流吹き出し部に設けられるため、かなり冷却開始距離が小さい場合であっても、冷却手段の気流吹き出し部のフィラメント糸の走行経路方向の上流側の上端付近に、耐熱等の不具合なく、硬性内視鏡の挿入部の先端部を配設することができるので、紡糸口金の下面の汚れ具合や糸の揺れ具合の観察・監視に極めて好適である。また、単糸細繊度化・多フィラメント化や単糸異形断面化等された難紡糸品種の多くでは、フィラメント糸の各単糸が紡糸口金の近傍で固化してしまうため、冷却開始距離を短縮しないと、糸揺れ等が発生し、糸の太さ斑等が極めて悪化し、毛羽の発生や糸切れが頻発することが知られている。また、この様な難紡糸品種には半密閉型の冷却手段が用いられることが多いことは既に記載の通りである。このため、従来、難紡糸品種の紡糸口金の下面の汚れ具合や糸の揺れ具合の観察・監視は極めて困難であった。本実施形態によれば、この様な難紡糸品種の紡糸口金の下面の汚れ具合や糸の揺れ具合を極めて容易に観察・監視でき、また、得られた観察・監視情報から難紡糸品種の品質・品位や生産性等を向上でき、更には、更に高度な機能性を有する新品種の開発にも役立つというメリットをも有する。
本発明は、極めて汎用性の高い発明であり、溶融紡糸によって得られる多くのフィラメント糸に好適であり、例えば、モノフィラメント糸やマルチフィラメント糸にも好適である。また、糸の太さ斑や品質斑等の均斉性向上や強度・伸度等の品質向上、品位向上、生産性向上を狙った冷却手段は、冷却手段の高機能化等の狙いから、フィラメント糸の走行等を妨げない範囲で、冷却手段を走行するフィラメント糸の周囲が部材で取り囲まれた半密閉型の冷却手段が多いが、本発明はそれらの多くに好適であり、また、フィラメント糸の走行経路方向の紡糸口金と冷却手段の間に、加熱装置や加熱筒、保温筒等が設けられる構成や、フィラメント糸の走行経路方向の上流側に向かって、スピンブロックの奥深くに紡糸パックや紡糸口金が配設される構成にも本発明は好適である。特に、環状の気流吹き出し部を設け、フィラメント糸を、フィラメント糸の走行経路の外周側から内向きに気流を吹き付けて冷却する内吹き環状冷却手段や、内吹き環状冷却手段の構成を少なくとも含む冷却手段、フィラメント糸の走行経路方向の紡糸口金と冷却手段の間に、加熱装置や加熱筒、保温筒等が設けられる構成、フィラメント糸の走行経路方向の上流側に向かって、スピンブロックの奥深くに紡糸パックや紡糸口金が配設される構成に本発明は好適である。また、本発明は、フィラメント糸の溶融紡糸の構成により特に限られるものではなく、UDYあるいはPOYに対応した溶融紡糸の構成に限らず、DSDやOSYに対応した溶融紡糸の構成にも応用できるが、その応用範囲がこれらに限られるものではない。
1:紡糸口金
2:紡糸パック
3:スピンブロック
4:気流吹き出し面
5:気流吹き出し部
6:気流吹き出し部から吹き出された気流
7:内吹き環状冷却手段
8:気流室
9:気流供給口
10:硬性内視鏡
11:硬性内視鏡の挿入部の先端部
12:フィラメント糸
13:糸油剤付与・集束・ガイド・案内等の手段
14:糸引取手段
15:糸巻取手段
16:加熱装置や加熱筒
17:保温筒
18:ユニフロ冷却手段
19:撮像光学手段
20:画像伝送手段
21:接眼手段
22:人間の目
23:投光手段
24:硬性内視鏡の挿入部
25:挿入部の外壁
26:操作手段
27:投光手段が内蔵されたケーブル
28:アダプター
29:固体撮像素子からなるカメラ
30:表示手段
31:画像信号を伝送するケーブル
32:非吹き出し部
33:冷却手段の外壁
34:硬性内視鏡の挿入部の先端部の先端面
35:非吹き出し部のフィラメント糸側の面
QTD:冷却開始距離
R:気流吹き出し部の縮小部
S:気流吹き出し面や包囲部材の内側面により取り囲まれた領域
P:気流吹き出し面の下端を通り、領域Sのフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の面を、フィラメント糸の走行経路方向の上流側に投影した領域
2:紡糸パック
3:スピンブロック
4:気流吹き出し面
5:気流吹き出し部
6:気流吹き出し部から吹き出された気流
7:内吹き環状冷却手段
8:気流室
9:気流供給口
10:硬性内視鏡
11:硬性内視鏡の挿入部の先端部
12:フィラメント糸
13:糸油剤付与・集束・ガイド・案内等の手段
14:糸引取手段
15:糸巻取手段
16:加熱装置や加熱筒
17:保温筒
18:ユニフロ冷却手段
19:撮像光学手段
20:画像伝送手段
21:接眼手段
22:人間の目
23:投光手段
24:硬性内視鏡の挿入部
25:挿入部の外壁
26:操作手段
27:投光手段が内蔵されたケーブル
28:アダプター
29:固体撮像素子からなるカメラ
30:表示手段
31:画像信号を伝送するケーブル
32:非吹き出し部
33:冷却手段の外壁
34:硬性内視鏡の挿入部の先端部の先端面
35:非吹き出し部のフィラメント糸側の面
QTD:冷却開始距離
R:気流吹き出し部の縮小部
S:気流吹き出し面や包囲部材の内側面により取り囲まれた領域
P:気流吹き出し面の下端を通り、領域Sのフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の面を、フィラメント糸の走行経路方向の上流側に投影した領域
Claims (7)
- 熱可塑性ポリマーを溶融紡糸し、フィラメント糸を製造する装置であって、以下の(1)〜(4)の要件を満足することを特徴とするフィラメント糸の製造装置。
(1)紡糸口金から紡出された前記フィラメント糸に気流を吹き付けて冷却する気流吹き出し部を設けた冷却手段を有すること。
(2)前記冷却手段が半密閉型の冷却手段であること。
(3)前記紡糸口金や前記フィラメント糸、あるいはそれら周辺を観察・監視するための硬性内視鏡を有すること。
(4)前記硬性内視鏡の挿入部の先端部を、前記気流吹き出し部に配設すること。 - 前記半密閉型の冷却手段が、前記気流吹き出し部や包囲部材により取り囲まれたものであり、かつ、前記気流吹き出し部や前記包囲部材の前記フィラメント糸側の面である気流吹き出し面や前記包囲部材の内側面により取り囲まれた領域の、前記フィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の面の断面積が、前記フィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって徐々に小さくなる様に、前記気流吹き出し部に縮小部を設け、前記縮小部に、前記硬性内視鏡の前記挿入部の前記先端部を配設することを特徴とする請求項1に記載のフィラメント糸の製造装置。
- 前記半密閉型の冷却手段が、前記気流吹き出し部や包囲部材により取り囲まれたものであり、前記硬性内視鏡の前記挿入部の前記先端部を、前記気流吹き出し面の前記フィラメント糸の走行経路方向の下流側の下端を通り、前記気流吹き出し面や前記包囲部材の前記内側面により取り囲まれた前記領域の前記フィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の面を、前記フィラメント糸の走行経路方向の上流側に投影した領域の外側に配設することを特徴とする請求項1または2に記載のフィラメント糸の製造装置。
- 以下の(1)、(2)を少なくとも有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のフィラメント糸の製造装置。
(1)前記硬性内視鏡の接眼手段に、アダプターを介して配設され、前記接眼手段と前記アダプターを経て伝送された観察物の光学像を、画像信号として取り出す固体撮像素子からなるカメラ。
(2)前記固体撮像素子からなるカメラで得られた前記観察物の光学像の画像信号を画像として表示する表示手段。 - 熱可塑性ポリマーを溶融紡糸し、フィラメント糸を製造する方法であって、以下の(1)〜(4)の要件を満足することを特徴とするフィラメント糸の製造方法。
(1)気流吹き出し部を設けた冷却手段で、紡糸口金から紡出された前記フィラメント糸に気流を吹き付けて冷却すること。
(2)前記冷却手段が半密閉であること。
(3)前記紡糸口金や前記フィラメント糸、あるいはそれら周辺の観察・監視に硬性内視鏡を用いること。
(4)前記気流吹き出し部に,前記硬性内視鏡の挿入部の先端部を配設して用いること。 - 半密閉である前記冷却手段が、前記気流吹き出し部や包囲部材により取り囲まれており、かつ、前記気流吹き出し部や前記包囲部材の前記フィラメント糸側の面である気流吹き出し面や前記包囲部材の内側面により取り囲まれた領域の、前記フィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の面の断面積が、前記フィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって徐々に小さくなる様に、前記気流吹き出し部に縮小部を設け、前記縮小部に、前記硬性内視鏡の前記挿入部の前記先端部を配設して用いることを特徴とする請求項5に記載のフィラメント糸の製造方法。
- 半密閉である前記冷却手段が、前記気流吹き出し部や包囲部材により取り囲まれており、前記硬性内視鏡の前記挿入部の前記先端部を、前記気流吹き出し面の前記フィラメント糸の走行経路方向の下流側の下端を通り、前記気流吹き出し面や前記包囲部材の前記内側面により取り囲まれた前記領域の前記フィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の面を、前記フィラメント糸の走行経路方向の上流側に投影した領域の外側に配設して用いることを特徴とする請求項5または6に記載のフィラメント糸の製造方法。
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JP2009016312A JP2009203598A (ja) | 2008-01-30 | 2009-01-28 | フィラメント糸の製造装置および製造方法 |
Applications Claiming Priority (2)
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JP2008018707 | 2008-01-30 | ||
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JP (1) | JP2009203598A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN104988588A (zh) * | 2015-06-02 | 2015-10-21 | 无锡索力得科技发展有限公司 | 一种改性高强涤纶工业丝的生产方法 |
KR101813101B1 (ko) | 2016-10-14 | 2018-01-30 | 한국산업안전보건공단 | 기류 측정기 |
CN112458554A (zh) * | 2020-11-12 | 2021-03-09 | 江苏德力化纤有限公司 | 一种低线密度聚酯纤维的生产设备及制备方法 |
-
2009
- 2009-01-28 JP JP2009016312A patent/JP2009203598A/ja active Pending
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