JP2015014071A - 糸条冷却装置 - Google Patents

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欣三 橋本
研志 杉山
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研志 杉山
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和弘 川本
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Abstract

【課題】複数の糸条に対してその周囲から気体を吹き付ける方式の糸条冷却装置により、糸条の品質が低下することなく、様々な種類の糸条を冷却可能とすること。
【解決手段】糸条冷却装置3は、内部を複数の糸条Yが上下に通過する紡糸筒23と、紡糸筒23内に気体を供給するための供給源21と、紡糸筒23よりも下方に設けられ、紡糸筒23内に負圧を発生させる負圧発生機構25と、負圧発生機構25を制御する制御装置26と、を備える。制御装置26は、糸条Yの種類に応じて、負圧発生機構25に発生させる負圧の大きさを制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、紡糸ビームから紡出される糸条を冷却する糸条冷却装置に関する。
一般的な溶融紡糸方法においては、紡糸ビームの口金から紡出された溶融ポリマーの糸条に対して、口金の直下に配置された糸条冷却装置において糸条に冷却用の気体を吹き付けることで、ポリマーを固化させる。上記の糸条冷却装置として、様々な構成のものが提案されている。その中でも、円筒状の紡糸筒内を通過する複数の糸条に対して、紡糸筒の周囲から気体を吹き付けて冷却する方式がある。
糸条を冷却する場合、糸条を構成する複数のフィラメントそれぞれを十分に冷却しなければ、フィラメントに冷却斑が生じる。例えば、糸条を構成するフィラメントが太い場合、フィラメントあたりの保有熱量が多いため、十分に冷却するためには、気体の流量を大きくする必要がある。特許文献1に記載の糸条冷却装置は、紡糸筒の下方に、その内部を糸条が通過する管が設けられており、この管の下端に、下向きの気体の流れ(負圧)を発生させる負圧発生器が設けられている。特許文献1に記載の糸条冷却装置では、この負圧発生器により、負圧を発生させることで、管に設けられた入口開口から、管の外部から内部に気体を導入させ、管内部の気体の流量を大きくしようとしている。
特開2001−081625号公報
特許文献1に記載の糸条冷却装置は、紡糸筒下部に負圧を発生させることで、紡糸筒から紡糸筒下部を流れる気体の流量を上げている。このような構成は、太いフィラメントから構成される糸条を冷却する目的の糸条冷却装置に適用することができる。しかし、この装置を用いて、例えば、細いフィラメントから構成される糸条を冷却した場合、負圧が大きく、紡糸筒内を流れる気体の流量が多いため、フィラメントの糸揺れが大きくなる傾向にある。ここで、糸揺れ量が許容範囲を超えると、糸条を構成するフィラメント同士が接触、離反を繰り返して互いに叩かれることで、糸条の品質が低下する。また、隣接して走行する糸条のフィラメント同士が接触することにより、断糸することがある。このように、特許文献1に記載の糸条冷却装置は、例えば、細いフィラメントから構成される糸条を冷却した場合に、糸条の品質が低下するという問題がある。
本発明の目的は、複数の糸条に対してその周囲から気体を吹き付ける方式の糸条冷却装置において、糸条の品質が低下することなく、様々な種類の糸条を冷却可能とすることである。
第1の発明の糸条冷却装置は、紡糸ビームから下向きに紡出される複数の糸条を冷却する糸条冷却装置であって、その内部を前記複数の糸条が上下に通過する紡糸筒と、前記紡糸筒内に気体を供給するための供給源と、前記紡糸筒の下方に設けられ、前記紡糸筒内に負圧を発生させる負圧発生手段と、前記負圧発生手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記負圧発生手段に発生させる負圧の大きさを制御することを特徴とする。
本発明では、紡糸筒よりも下方で負圧発生手段により負圧が発生されると、紡糸筒内の気体が下向きに引き込まれる。従って、紡糸筒内で糸条に吹き付けられた気体は、安定して下方向に流れるため、紡糸筒内で気体が上下に分流して非定常な渦流となることで生じる気流の乱れが抑制される。これにより、気流の乱れによる不規則な糸条の運動により糸条の長さ方向の均整度が低下し、糸条の品質が低下することを抑制することができる。また、冷却用の気体の流量を多くしても、紡糸ビームの口金面の方向への気体の流れが生じにくいため、口金面が冷えて糸条の品質が低下するという問題を抑制することができる。
また、制御手段は、負圧発生手段に発生させる負圧の大きさを制御する。これにより、例えば、糸条の種類に応じて負圧の大きさを適正とすることで、複数の糸条に対してその周囲から気体を吹き付ける方式の糸条冷却装置により、糸条の品質が低下することなく、様々な種類の糸条を冷却することができる。なお、糸条の種類としては、例えば、糸条を構成するフィラメントの太さ、フィラメント数、フィラメント形状、材質等が挙げられる。
第2の発明の糸条冷却装置は、第1の発明の糸条冷却装置において、前記制御手段は、前記糸条を構成するフィラメントが細いほど、前記負圧発生手段に発生させる負圧の大きさを小さくすることを特徴とする。
本発明では、制御手段は、糸条を構成するフィラメントが細いほど、負圧発生手段に発生させる負圧の大きさを小さくする。負圧発生手段による負圧が大きいと、紡糸筒内の気体が下向きに強く引き込まれ、下向きに大きな気流が発生する。太いフィラメントから構成される糸条の場合は、内部まで十分に冷却するには、気体の流量を大きくする必要がある。従って、負圧発生手段による負圧の大きさを大きくし、下向きに大きな気流を発生させることで、太いフィラメントから構成される糸条を冷却することが可能である。なお、負圧を大きくして大きな気流が発生すると、糸揺れが大きくなる傾向にあるが、太いフィラメントから構成される糸条は、気流の影響を受け難く糸揺れ量が小さいため、負圧を大きくしても、糸条の品質が低下することはない。
また、負圧発生手段による負圧が小さいと、紡糸筒内の気体が下向きに弱く引き込まれ、下向きに小さな気流が発生する。細いフィラメントから構成される糸条の場合は、小さい流量で冷却することができる。ここで、細いフィラメントから構成される糸条を冷却する場合に、大きな負圧を発生させると、負圧によって生じる大きな気流による糸揺れのため、糸条の品質が低下する。従って、負圧発生手段による負圧の大きさを小さくすることで、糸揺れを抑制しつつ、細いフィラメントから構成される糸条を冷却することが可能である。このように、本発明では、細いフィラメントから構成される糸条と、太いフィラメントから構成される糸条と、をその品質が低下することを抑制しつつ、それらを冷却することができる。
第3の発明の糸条冷却装置は、第1の発明の糸条冷却装置において、前記制御手段は、前記糸条を構成するフィラメント数が少ないほど、前記負圧発生手段に発生させる負圧の大きさを小さくする。
本発明では、制御手段は、糸条を構成するフィラメント数が少ないほど、負圧発生手段に発生させる負圧の大きさを小さくする。本数が多いフィラメントから構成される糸条の場合は、冷却のために大きな気流が必要である。従って、負圧発生手段による負圧の大きさを大きくし、下向きに大きな気流を発生させることで、本数が多いフィラメントから構成される糸条を冷却することが可能である。
また、負圧発生手段による負圧が小さいと、紡糸筒内の気体が下向きに弱く引き込まれ、下向きに小さな気流が発生する。本数が少ないフィラメントから構成される糸条の場合は、小さい流量で冷却することができる。従って、負圧発生手段による負圧の大きさを小さくし、下向きに小さな気流を発生させることで、本数が少ないフィラメントから構成される糸条を冷却することが可能である。このように、本発明では、本数が少ないフィラメントから構成される糸条と、本数が多いフィラメントから構成される糸条と、をいずれの場合にもフィラメントを冷却するのに必要かつ充分な気流を発生させることができるため、エネルギー効率を改善することが可能となる。
第4の発明の糸条冷却装置は、第1〜第3の発明のいずれかの糸条冷却装置において、前記負圧発生手段は、前記紡糸筒の下端から所定距離離れた位置に設けられていることを特徴とする。
本発明では、負圧発生手段は、紡糸筒の下端から所定距離離れた位置に設けられている。ここで、負圧発生手段が紡糸筒直下に設けられている場合、上流側での下向きの気体の流速は、紡糸筒内壁の抵抗により、中央部が速く、内壁面近傍で遅くなる不均一な流れとなる。一方、負圧発生手段を紡糸筒の下端から所定距離離れた位置で、かつ、紡糸筒内壁の延長線上近傍に設けた場合、負圧発生手段により紡糸筒内壁近くの下向きの気体の流速を増加させることができる。従って、壁面抵抗による気体の流速の低下を抑制することができるため、紡糸筒内部の気体の下向きの流速を紡糸筒中央部から内壁面近傍まで均一とすることができる。
第5の発明の糸条冷却置は、第1〜第4の発明のいずれかの糸条冷却装置において、前記紡糸筒の下方に設けられた延長筒をさらに備え、前記負圧発生手段は、前記延長筒の周方向の全周にわたって設けられた送風口を有し、前記送風口から前記延長筒の内面に沿って気体を送り込むことにより、負圧を発生させることを特徴とする。
本発明では、負圧発生手段は、延長筒の周方向の全周にわたって設けられた送風口から延長筒の内面に沿って気体を送り込むことにより、負圧を発生させる。従って、延長筒内面に沿って送り込まれた気体が、延長筒の内面に沿って下方向に流れることによって、延長筒の中央部の気体が巻き込まれて下方向に流れることになり、延長筒の内部に大きな負圧が発生し、紡糸筒内部の気体の下向きの流速を紡糸筒中央部から内壁面近傍まで均一とすることができる。これにより、気体の全流量を増加させることも可能となる。
第6の発明の糸条冷却置は、第1〜第5の発明のいずれかの糸条冷却装置において、前記供給源から前記紡糸筒内に気体を強制的に送り込むための供給手段をさらに備え、前記制御手段は、前記供給手段をさらに制御し、前記糸条の種類に応じて、前記供給手段から前記紡糸筒内に送り込まれる気体の流量または流速を制御することを特徴とする。
本発明では、制御手段は、糸条の種類に応じて、供給手段から紡糸筒内に送り込まれる気体の流量または流速を制御する。従って、負圧発生手段による負圧の大きさと、供給手段による気体の流量または流速と、の両方を調整して、糸条を冷却することができる。
第7の発明の糸条冷却置は、第1〜第6の発明のいずれかの糸条冷却装置において、前記紡糸筒内の気体の流量または流速を計測する計測手段をさらに備え、前記制御手段は、前記計測手段により計測された流量または流速に基づいて、前記負圧発生手段に発生させる負圧の大きさを制御することを特徴とする。
本発明では、制御手段は、計測手段により計測された流量または流速に基づいて、負圧発生手段に発生させる負圧の大きさを制御する。従って、計測された紡糸筒内の流量または流速に基づいて、負圧発生手段に発生させる負圧の大きさを最適化することができる。
本発明によれば、例えば、糸条の種類に応じて負圧の大きさを適正とすることで、複数の糸条に対してその周囲から気体を吹き付ける方式の糸条冷却装置により、糸条の品質が低下することなく、様々な種類の糸条を冷却することができる。
本発明の実施形態に係る溶融紡糸装置の概略構成図である。 図1の糸条冷却装置のII-II線断面図である。 冷却箱付近の拡大図である。 整流体の一部拡大斜視図である。 延長筒等を示す斜視図である。 図1の一部拡大図である。 制御装置が記憶している負圧の大きさの情報を示す図である。 変形例に係る糸条冷却装置の概略構成図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る溶融紡糸装置の概略構成図である。以下、各図において示す方向を、上下方向として説明する。本実施形態の溶融紡糸装置1は、紡糸ビーム2、糸条冷却装置3、給油装置4などを備えている。紡糸ビーム2は、複数のパックハウジング11を備えている。各パックハウジング11には、紡糸パック12が配置されており、紡糸ビーム2のパックハウジング11に接続された図示しないポリマー配管により、ポリエステル等の溶融ポリマーが、紡糸パック12に計量圧送されてくる。紡糸パック12の下端部には、口金13が設けられている。紡糸パック12は、溶融ポリマーを濾過、整流し、口金13に形成された図示しない複数の貫通孔から糸条Yを構成する複数のフィラメントとして下方に紡出する。糸条Yは、複数のフィラメントから構成されるマルチフィラメントである。なお、紡糸ビーム2の複数の口金13は、図1の紙面直交方向に沿って2列に千鳥状に配列されている。
糸条冷却装置3は、詳細は後述するが、紡糸ビーム2の下方に配置されており、紡糸ビーム2から紡出された複数の糸条Yを冷却して固化させる。給油装置4は、糸条冷却装置3の下方に配置されており、糸条冷却装置3により冷却された複数の糸条Yに油剤を付与する。給油装置4により油剤が付与された複数の糸条Yは、給油装置4の下方に配置された図示しない引取装置により処理された後、連続して、図示しない巻取装置によってそれぞれボビンに巻き取られる。
次に、糸条冷却装置3の構成について説明する。図2は、図1の糸条冷却装置3のII-II線断面図である。図1及び図2に示すように、糸条冷却装置3は、ダクト21(供給源)、冷却箱22、複数の紡糸筒23、複数の延長筒24、複数の負圧発生機構25(負圧発生手段)、糸条冷却装置3を構成する各部を制御する制御装置26(制御手段)、操作パネル27等を備えている。本実施形態の糸条冷却装置3は、複数の糸条Yに対して、その周囲から気体(例えば、空気)を吹き付けて冷却するCIQ(Circular Inflow Quench)冷却方式の糸条冷却装置である。
ダクト21は、紡糸筒23内に糸条Yを冷却するための気体を供給するためのものである。ダクト21は、冷却箱22の側壁と、複数の冷却箱22に気体を送り込むためのメインダクト51と、に接続されており、途中部分に、気体の流量を調整するための流量調整用バルブ30が設けられている。そして、メインダクト51には、メインダクト51に気体を強制的に送り込むために、気体を圧縮、貯留するコンプレッサ52(供給手段)が接続されている。従って、コンプレッサ52からメインダクト51経由で流量調整用バルブ30からダクト21を介して、冷却箱22、紡糸筒23内に気体が供給される。図3は、冷却箱付近の拡大図である。図3に示すように、冷却箱22とダクト21との接続部には、複数の孔が形成されたパンチング板31が設けられている。このパンチング板31により、ダクト21から冷却箱22内に流入する気体の流れが整流される。
図2に示すように、冷却箱22内には、複数の紡糸筒23が、複数の口金13にそれぞれ対応して千鳥状に配置されている。図3に示すように、紡糸筒23は、筒体32と、筒状の整流体33と、筒状のフィルタ34と、を有する。ダクト21から冷却箱22内に流れ込んだ糸条冷却用の気体は、筒体32、整流体33、フィルタ34の順に通過して、紡糸筒23内の糸走行空間を上下方向に通過する複数の糸条Yに対してその周囲から吹き付けられる。
筒体32は、複数の孔(開口)が形成されたパンチング板が円筒状に加工されてなる筒状部材である。紡糸筒23の外側から流入する気体が筒体32を通過する際に、その流れが均一化される。筒状の整流体33は、筒体32の内側に配置されている。図4は、整流体の一部拡大斜視図である。図3、図4に示すように、整流体33は、上下方向に間隔をあけて配置された複数枚の環状プレート35を有する。図4に示すように、複数枚の環状プレート35は、上下方向に延びる複数の支持部材36によって支持されている。なお、整流体33(環状プレート35)の材質は特に限定されるものではないが、金属材料等の耐久性の高い材料で形成されていると、整流体33にポリマーが付着するなどして整流機能が低下しても、取り外して清掃することにより繰り返し使用できる。
外側の筒体32を通過してきた気体は、さらに、整流体33の複数枚の環状プレート35の間を通過することによって、内向き(半径方向内側)に整流される。ここで、フィルタ34における気体の通過抵抗は、筒体32における気体の通気抵抗と比べて、小さくなっている。フィルタ34の材質等は特に限定されないが、例えば、金網フィルタを使用することができる。あるいは、フィルタ34がパンチング板で構成されてもよい。この場合は、筒体32よりも開口率の大きいパンチング板を使用する。このように、筒体32に加えて、さらにその内側に、気体の通過抵抗が小さいフィルタ34が配置されていることで、紡糸筒23内の糸走行空間に流れ込む気体の流れが、一層均一化される。
上述したように、紡糸筒23は、筒体32と、その内側に配置された整流体33と、を有する。そのため、まず、外側から紡糸筒23内に流入する気体の流れが、筒体32によって均一化される。さらに、その内側に位置する筒状の整流体33によって、気体の流れの向きが内向きに整流される。これにより、紡糸筒23を通過する複数の糸条Yを均一に冷却することが可能となり、糸斑等を抑制して糸品質を向上させることができる。
図1に示すように、複数の延長筒24は、それぞれ、複数の紡糸筒23の下方に設けられている。従って、複数の延長筒24も、複数の紡糸筒23同様、千鳥状に配置されている。複数の延長筒24は、冷却箱22に、例えば、図示しないボルトにより固定されている。
図5は、延長筒24等を示す斜視図である。図6は、図1の一部拡大図である。複数の負圧発生機構25は、紡糸筒23内に負圧を発生させるものであり、複数の紡糸筒23下方の、複数の延長筒24それぞれに設けられている。また、負圧発生機構25は、紡糸筒23の下端から所定距離L離れた位置に設けられている。負圧発生機構25は、送風口40、送風箱41、バルブ42を有している。送風口40は、延長筒24内に気体を送り込むためのものであり、延長筒24の上下方向の途中部分に設けられている。延長筒24において、上側の延長筒24aの外径よりも、下側の延長筒24bの内径が大きくなっている。そして、延長筒24aが、延長筒24bの内部に挿入されている。このように、上側の延長筒24aと、下側の延長筒24bと、によって、送風口40は、延長筒24の周方向の全周にわたって連続して設けられている。送風箱43は、送風口40を覆うように設けられており、バルブ42は、図示しないコンプレッサに接続されている。コンプレッサは、バルブ42を介して、送付箱41内に気体を送り込む。バルブ42は、コンプレッサから送られてくる気体の流量を調整する。コンプレッサから送風箱41に気体が送られると、延長筒24aの外面に沿って気体が下方向に流れ、送風口40から延長筒24bの内面に沿って気体が延長筒24の内部に送り込まれる。送り込まれた気体が、延長筒24の内面に沿って下方向に流れることによって、延長筒24の中央部の気体が巻き込まれて下方向に流れることより、延長筒24の内部に大きな負圧が発生する。このようにして、負圧発生機構25は、紡糸筒23の下方で、延長筒24に連続している紡糸筒23内に負圧を発生させる。紡糸筒23の下方で負圧が発生されると、紡糸筒23内で糸条Yに吹き付けられた気体が下向きに引き込まれる。また、負圧発生機構25による負圧が大きいと、気体が下向きに強く引き込まれることにより、ダクト21を介して、紡糸筒23の外部から内部に気体が引き込まれ、下向きに大きな気流が発生する。コンプレッサにより送風箱41内に送り込まれる気体の流量が大きければ大きいほど、大きな負圧が発生する。
制御装置26は、負圧発生機構25に発生させる負圧の大きさを制御する。具体的には、制御装置26は、バルブ42によりコンプレッサが発生した気体の流量を制御する(変化させる)ことにより、負圧発生機構25に発生させる負圧の大きさを制御する。
操作パネル27は、糸条冷却装置3に冷却させる複数の糸条Yの種類を入力するためのものである。制御装置26は、例えば、図7に示すように、糸条Yを構成するフィラメントの太さ、数、形状、材質(ポリエステル等)に応じて発生させる負圧の大きさの情報を予め記憶している。そして、制御装置26は、操作パネル27に図7に示す情報を表示するようになっており、作業員は、表示された情報に基づいて、冷却条件を選択することにより、糸条冷却装置3に冷却条件を指示することができる。なお、操作パネル27からの指示なく、制御装置26が冷却条件を制御するようになっていてもよい。
以上説明した糸条冷却装置3において、ダクト21から冷却箱22内へ供給される気体の流量を大きくすると、紡糸筒23内の圧力が高くなることで、糸条Yに吹き付けられた気体は、上下に分流し、紡糸筒23内で気流の乱れが生じる。これにより、糸条Yの長さ方向の均整度が大きく低下するとともに、口金13面に向かって吹き上がる気流により、口金13の温度が低下し、糸条Yの品質が低下するという問題がある。
そこで、本実施形態では、紡糸筒23の下方に設けられ、紡糸筒23内に負圧を発生させる負圧発生機構25と、負圧発生機構25を制御する制御装置26と、を備えている。紡糸筒23よりも下方で負圧発生機構25により負圧が発生されると、紡糸筒23内で糸条Yに吹き付けられた気体が下向きに引き込まれる。従って、糸条Yに吹き付けられた気体は、安定して下方向に流れるため、紡糸筒23内で気体が上下に分流して非定常な渦流となることで生じる気流の乱れが抑制される。これにより、気流の乱れによる不規則な糸条Yの運動により糸条Yの長さ方向の均整度が低下して糸条Yの品質が低下することを抑制することができる。また、気体が上下に分流すること(気流の乱れ)が抑制されるため、上方に分流した気体により、口金13の温度が低下して糸条Yの品質が低下することを抑制することができる。
また、制御装置26は、糸条Yの種類に応じて、負圧発生機構25に発生させる負圧の大きさを制御する。これにより、糸条Yの種類に応じて負圧の大きさを適正とすることで、複数の糸条Yに対してその周囲から気体を吹き付ける方式の本実施形態の糸条冷却装置3により、糸条の品質が低下することなく、様々な種類の糸条Yを冷却することができる。
また、制御装置26は、糸条Yを構成するフィラメントが細いほど、負圧発生機構25に発生させる負圧の大きさを小さくする。例えば、図7に示すように、番号「1」列のフィラメントの太さ0.5dtexと、番号「2」列のフィラメントの太さ2dtexと、では、番号「1」列のフィラメントの方が細いため、負圧の大きさaとbでは、大きさaの方が小さくなっている(a<b)。ここで、上述のように、負圧発生機構25による負圧が大きいと、紡糸筒23内の気体が下向きに強く引き込まれることにより、紡糸筒23の外部から内部に気体が引き込まれ、下向きに大きな気流が発生する。太いフィラメントから構成される糸条Yの場合は、内部まで十分に冷却するには、気体の流量を大きくする必要がある。従って、負圧発生機構25による負圧の大きさを大きくし、下向きに大きな気流を発生させることで、太いフィラメントから構成される糸条Yを冷却することが可能である。なお、負圧を大きくして大きな気流が発生すると、糸揺れが大きくなる傾向にあるが、太いフィラメントから構成される糸条Yは、気流の影響を受け難く糸揺れ量が小さいため、負圧を大きくしても、糸条Yの品質が低下することはない。
また、負圧発生機構25による負圧が小さいと、紡糸筒23内の気体が下向きに弱く引き込まれ、下向きに小さな気流が発生する。細いフィラメントから構成される糸条Yの場合は、小さい流量で冷却することができる。ここで、細いフィラメントから構成される糸条Yを冷却する場合に、大きな負圧を発生させると、負圧によって生じる大きな気流による糸揺れのため、糸条Yの品質が低下する。従って、負圧発生機構25による負圧の大きさを小さくすることで、糸揺れを抑制しつつ、細いフィラメントから構成される糸条Yを冷却することが可能である。このように、本実施形態の糸条冷却装置3は、細いフィラメントから構成される糸条Yと、太いフィラメントから構成される糸条Yと、をその品質が低下することを抑制しつつ、それらを冷却することができる。
また、制御装置26は、糸条Yを構成するフィラメント数が少ないほど、負圧発生機構25に発生させる負圧の大きさを小さくする。例えば、図7に示すように、番号「1」列のフィラメントの数72fと、番号「3」列のフィラメントの数144fと、では、番号「1」列のフィラメント数の方が少ないため、負圧の大きさaとcでは、大きさaの方が小さくなっている(a<c)。ここで、本数が多いフィラメントから構成される糸条Yの場合は、冷却のために大きな気流が必要である。従って、負圧発生機構25による負圧の大きさを大きくし、下向きに大きな気流を発生させることで、本数が多いフィラメントから構成される糸条Yを冷却することが可能である。
また、本数が少ないフィラメントから構成される糸条Yの場合は、小さい流量で冷却することができる。従って、負圧発生機構25による負圧の大きさを小さくし、下向きに小さな気流を発生させることで本数が少ないフィラメントから構成される糸条Yを冷却することが可能である。このように、本実施形態の糸条冷却装置3は、本数が少ないフィラメントから構成される糸条Yと、本数が多いフィラメントから構成される糸条Yと、をいずれの場合にもフィラメントを冷却するのに必要かつ充分な気流を発生させることができるため、エネルギー効率を改善することが可能となる。
また、負圧発生機構25は、紡糸筒23の下端から所定距離L離れた位置に設けられている。ここで、負圧発生機構25が紡糸筒23直下に設けられている場合、上流側での下向きの気体の流速は、紡糸筒23内壁の抵抗により、中央部が速く、内壁面近傍で遅くなる不均一な流れとなる。一方、負圧発生機構25を紡糸筒23の下端から所定距離L離れて位置で、且つ、紡糸筒23内壁の延長線上にある延長筒24に設けた場合、負圧発生機構25により、延長筒24及び紡糸筒23内壁近くの下向きの気体の流速を増加させることができる。従って、壁面抵抗による気体の流速の低下を抑制することができるため、紡糸筒23内部の気体の下向きの流速を紡糸筒23中央部から内壁面近傍まで均一とすることができる。
また、負圧発生機構25は、延長筒24の周方向の全周にわたって設けられた送風口40から延長筒24の内面に沿って気体を送り込むことにより、負圧を発生させる。従って、延長筒24の内面に沿って送り込まれた気体が、延長筒24の内面に沿って下方向に流れることによって、延長筒24の中央部の気体が巻き込まれて下方向に流れることになり、延長筒24の内部に大きな負圧が発生し、紡糸筒23内部の気体の下向きの流速を紡糸筒23中央部から内壁面近傍まで均一とすることができる。これにより、気体の全流量を増加させることも可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明を適用可能な形態は、上述の実施形態には限られるものではなく、以下に例示するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることが可能である。
上述の実施形態においては、制御装置26は、糸条Yの種類に応じて、負圧発生機構25に発生させる負圧の大きさを制御する。これに加え、制御装置26は、糸条Yの種類に応じて、コンプレッサ52から紡糸筒23内に送り込まれる気体の流量を制御するようになっていてもよい。この場合、負圧発生機構25による負圧の大きさと、流量調整バルブ30の流量調整によるコンプレッサ52から紡糸筒23内に送り込まれる流量と、の両方を調整して、糸条Yを冷却することができる。例えば、細いマルチフィラメントから構成される糸条Yを冷却する場合に、従来装置よりも、コンプレッサ52からの流量を小さくし、負圧発生機構25により負圧を発生させる。これにより、ダクト21から糸条Yに吹き付けられる流量が小さくなるため、糸条Yの糸揺れがさらに抑制されるが、負圧発生機構25による負圧により、糸条Yを冷却するために必要な流量を確保することができる。
上述の実施形態に加え、図8に示すように、糸条冷却装置3は、紡糸筒23内の気体の流量または流速を計測するセンサ28(計測手段)を備えていてもよい。センサ28は、計測した流量または流速を制御装置26に出力する。制御装置26は、センサ28により計測された流量または流速に基づいて、負圧発生機構25に発生させる負圧の大きさを制御する。従って、センサ28により計測された紡糸筒23内の流量または流速に基づいて、負圧発生機構25に発生させる負圧の大きさを最適化することができる。
上述の実施形態においては、1つの送風口40が、延長筒24の周方向の全周にわたって連続して設けられている。これに限らず、例えば、複数の送風口が、延長筒24の周方向の全周にわたって設けられていてもよい。この場合、延長筒24の周方向に均一に負圧を発生させるため、複数の送風口は、等間隔に設けられることが好ましい。
上述の実施形態においては、糸条冷却装置3は、紡糸筒23内に気体を強制的に送り込むためのコンプレッサ52を備えている。これに限らず、糸条冷却装置3は、コンプレッサ52を備えていなくてもよい。コンプレッサ52がない場合であっても、負圧発生機構25により負圧が発生されれば、ダクト21を介して、紡糸筒23の外部から内部に気体が引き込まれ、紡糸筒23を上下に通過する複数の糸条Yに吹き付けられる。これにより、紡糸筒23内を通過する複数の糸条Yを冷却することができる。
1 溶融紡糸装置
2 紡糸ビーム
3 糸条冷却装置
4 給油装置
21 ダクト(供給源)
22 冷却箱
23 紡糸筒
24 延長筒
25 負圧発生機構(負圧発生手段)
26 制御装置(制御手段)
28 センサ(計測手段)
30流量調整バルブ
40 送風口
51 メインダクト
52 コンプレッサ(供給手段)
図5は、延長筒24等を示す斜視図である。図6は、図1の一部拡大図である。複数の負圧発生機構25は、紡糸筒23内に負圧を発生させるものであり、複数の紡糸筒23下方の、複数の延長筒24それぞれに設けられている。また、負圧発生機構25は、紡糸筒23の下端から所定距離L離れた位置に設けられている。負圧発生機構25は、送風口40、送風箱41、バルブ42を有している。送風口40は、延長筒24内に気体を送り込むためのものであり、延長筒24の上下方向の途中部分に設けられている。延長筒24において、上側の延長筒24aの外径よりも、下側の延長筒24bの内径が大きくなっている。そして、延長筒24aが、延長筒24bの内部に挿入されている。このように、上側の延長筒24aと、下側の延長筒24bと、によって、送風口40は、延長筒24の周方向の全周にわたって連続して設けられている。送風箱41は、送風口40を覆うように設けられており、バルブ42は、図示しないコンプレッサに接続されている。コンプレッサは、バルブ42を介して、送風箱41内に気体を送り込む。バルブ42は、コンプレッサから送られてくる気体の流量を調整する。コンプレッサから送風箱41に気体が送られると、延長筒24aの外面に沿って気体が下方向に流れ、送風口40から延長筒24bの内面に沿って気体が延長筒24の内部に送り込まれる。送り込まれた気体が、延長筒24の内面に沿って下方向に流れることによって、延長筒24の中央部の気体が巻き込まれて下方向に流れることより、延長筒24の内部に大きな負圧が発生する。このようにして、負圧発生機構25は、紡糸筒23の下方で、延長筒24に連続している紡糸筒23内に負圧を発生させる。紡糸筒23の下方で負圧が発生されると、紡糸筒23内で糸条Yに吹き付けられた気体が下向きに引き込まれる。また、負圧発生機構25による負圧が大きいと、気体が下向きに強く引き込まれることにより、ダクト21を介して、紡糸筒23の外部から内部に気体が引き込まれ、下向きに大きな気流が発生する。コンプレッサにより送風箱41内に送り込まれる気体の流量が大きければ大きいほど、大きな負圧が発生する。

Claims (7)

  1. 紡糸ビームから下向きに紡出される複数の糸条を冷却する糸条冷却装置であって、
    その内部を前記複数の糸条が上下に通過する紡糸筒と、
    前記紡糸筒内に気体を供給するための供給源と、
    前記紡糸筒の下方に設けられ、前記紡糸筒内に負圧を発生させる負圧発生手段と、
    前記負圧発生手段を制御する制御手段と、を備え、
    前記制御手段は、前記負圧発生手段に発生させる負圧の大きさを制御することを特徴とする糸条冷却装置。
  2. 前記制御手段は、前記糸条を構成するフィラメントが細いほど、前記負圧発生手段に発生させる負圧の大きさを小さくすることを特徴とする請求項1に記載の糸条冷却装置。
  3. 前記制御手段は、前記糸条を構成するフィラメント数が少ないほど、前記負圧発生手段に発生させる負圧の大きさを小さくすることを特徴とする請求項1に記載の糸条冷却装置。
  4. 前記負圧発生手段は、前記紡糸筒の下端から所定距離離れた位置に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の糸条冷却装置。
  5. 前記紡糸筒の下方に設けられた延長筒をさらに備え、
    前記負圧発生手段は、前記延長筒の周方向の全周にわたって設けられた送風口を有し、前記送風口から前記延長筒の内面に沿って気体を送り込むことにより、負圧を発生させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の糸条冷却装置。
  6. 前記供給源から前記紡糸筒内に気体を強制的に送り込むための供給手段をさらに備え、
    前記制御手段は、前記供給手段をさらに制御し、前記糸条の種類に応じて、前記供給手段から前記紡糸筒内に送り込まれる気体の流量または流速を制御することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の糸条冷却装置。
  7. 前記紡糸筒内の気体の流量または流速を計測する計測手段をさらに備え、
    前記制御手段は、前記計測手段により計測された流量または流速に基づいて、前記負圧発生手段に発生させる負圧の大きさを制御することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の糸条冷却装置。
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