JP2011174214A - 合成繊維の溶融紡糸装置 - Google Patents

合成繊維の溶融紡糸装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2011174214A
JP2011174214A JP2011013097A JP2011013097A JP2011174214A JP 2011174214 A JP2011174214 A JP 2011174214A JP 2011013097 A JP2011013097 A JP 2011013097A JP 2011013097 A JP2011013097 A JP 2011013097A JP 2011174214 A JP2011174214 A JP 2011174214A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
melt spinning
wind
synthetic fiber
spinning
yarn
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2011013097A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5585469B2 (ja
Inventor
Kazuhiko Fukazawa
和彦 深沢
Masao Nishimura
將生 西村
Takayuki Yoshimiya
隆之 吉宮
Kiyoshi Akazawa
潔 赤澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2011013097A priority Critical patent/JP5585469B2/ja
Publication of JP2011174214A publication Critical patent/JP2011174214A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5585469B2 publication Critical patent/JP5585469B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Spinning Methods And Devices For Manufacturing Artificial Fibers (AREA)

Abstract

【課題】高速紡糸法あるいは直接延伸紡糸法により、合成繊維を製造するに際し、紡糸口金より溶融紡出された糸条を、均一で安定した冷却を行うとともに、紡糸口金および紡糸口金近傍の温度低下を起こすことなく紡糸し、単糸切れや、タルミ糸のない良好なパッケージ形状に巻き取られ、糸の太さ斑、および品質バラツキのない合成繊維を製造することのできるコンパクトな溶融紡糸装置を提供する。
【解決手段】溶融紡糸用の加熱箱体に紡糸パックを配列するように装着し、その下方に風吹出装置を設けるとともに、該風吹出装置内に紡出糸条を囲繞するように紡出糸条の最外周側から最内周側へ向かって冷却風を放射状に発生させる円筒状の風整流部材を設けた溶融紡糸装置において、該筒状風整流部材を上部と下部に分けて設け、該筒状風整流部材の上部は熱伝導率が10〜360〔kcal/m・h・℃〕である材質で、下部は熱伝導率が0.04〜0.5〔kcal/m・h・℃〕の材質からなることを特徴とする合成繊維の溶融紡糸装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、ポリエステル、ポリアミド等の熱可塑性合成繊維を溶融紡糸する際に紡出された糸条を冷却するために用いる糸条の冷却装置を備えた合成繊維の溶融紡糸装置に関する。
従来、合成繊維の製造方法において、口金から吐出された糸条に対して安定した冷却を行う方法としては、口金下近傍の雰囲気を閉鎖系にした徐冷手段を設け、その下に冷却する糸条冷却装置を備える溶融紡糸装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、この溶融紡糸装置は、紡糸速度が高速になるに従い糸条の走行により発生する随伴気流により、徐冷手段の中に冷却風が流入し、そのことにより雰囲気温度が激しく変動するとともに、更に前記雰囲気温度が激しく変動することにより糸の太さ斑が発生することが分かった。
この欠点を解決する提案として紡糸口金直下に配置された長さ5〜20cmの加熱筒より温度200〜500℃の加熱気体を風速0.05〜0.8m/秒で紡出糸条に吹き付け、次いで、加熱筒直下に配置された円筒型冷却装置により糸条を冷却固化することを特徴とするポリエステル繊維の高速紡糸方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、この高速紡糸方法では装置が大がかりとなり、このような大がかりな装置では、コンパクトに複数錘の紡糸パックを列状に配列するような紡糸機には不可能な装置である。
一方、繊維のタフネス(強伸度積)を向上させる方法として、環状冷却装置において、冷却風の上部が高温であり、下部が低温である温度勾配とするための糸条の走行方向に対する冷却風の温度制御が可能な加熱装置を設けた溶融紡糸装置も提案されている(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、この装置も大がかりとなるので、コンパクトに複数錘の紡糸パックを列状に配列するような紡糸機には不可能な装置である。
一方、コンパクトな冷却装置として、風吹出装置内の筒状風整流部材として、例えば、セルロースリボンを螺旋状に巻いて熱硬化成形した多孔性部材などを用いたものが提案されている(例えば、特許文献4参照)。この多孔性部材は、セルロースリボン( 材質: 紙) にフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸後、加熱硬化することで、リボン層に隙間( 孔40μm程度の大きさ)を形成するものである。
しかしながら、セルロースリボン(材質:紙)では、200℃を越える温度となる筒状風整流部材の上部に使用すると、1ヶ月も経過すると最上部が炭化して部分的に欠け、風速が局部的にアップして糸の太さ斑を生じるという問題を有する。
これを解決するために、風吹出装置内の筒状風整流部材について、長手方向に略均一の凹凸形状を有する帯状金属テープを、一定の傾斜角度を持って旋回積層させながら筒状体を形成し、前記積層して接触する帯状金属を接合させ、前記筒状体の内外壁面を通過する傾斜した放射状の細孔群を備えたことを特徴とする紡糸冷却装置の筒状冷却風整流装置が提案されている(例えば、特許文献5参照)。
同様に、風吹出装置内の筒状風整流部材について、素線で織られた一定長さのステンレス製の金網からなり、前記金網が円筒状に多層に巻かれ、積層され、堅固に焼結されていることを特徴とする紡糸冷却装置の筒状冷却風整流装置も提案されている(例えば、特許文献6参照)。
しかしながら、このような筒状風整流部材の全てが金属であると熱伝導が良好すぎるために、糸条に当たる風の全てが熱風となり、糸の太さ斑が発生することが分かった。
特開2007−63689号公報 特開平4−41711号公報 特開2007−284857号公報 特開2006−225792号公報 特開2006−348457号公報 特開2008−115490号公報
本発明の目的は、上記した問題点を解決し、高速紡糸法あるいは直接延伸紡糸法により、合成繊維を製造するに際し、紡糸口金より溶融紡出された糸条を、均一で安定した冷却を行うとともに、紡糸口金および紡糸口金近傍の温度低下を起こすことなく紡糸し、単糸切れや、タルミ糸のない良好なパッケージ形状に巻き取られ、糸の太さ斑、および品質バラツキのない合成繊維を製造することのできるコンパクトな溶融紡糸装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明は以下の構成を採用する。すなわち、
(1)溶融紡糸用の加熱箱体に紡糸パックを装着し、その下方に風吹出装置を設けるとともに、該風吹出装置内に紡出糸条を囲繞するように紡出糸条の最外周側から最内周側へ向かって冷却風を発生させる円筒状の風整流部材を設けた溶融紡糸装置において、該筒状風整流部材を上部と下部に分けて設け、該筒状風整流部材の上部は熱伝導率が10〜360〔kcal/m・h・℃〕の材質からなり、下部は熱伝導率が0.04〜0.5〔kcal/m・h・℃〕の材質からなることを特徴とする合成繊維の溶融紡糸装置。
(2)前記筒状風整流部材の上部の長さが20〜100mmであることを特徴とする前記(1)に記載の合成繊維の溶融紡糸装置。
(3)複数錘の風吹出装置に共通する一体型の冷却風供給箱を設けることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の合成繊維の溶融紡糸装置。
(4)紡糸パックと筒状風整流部材との間に、熱伝導率が140〜360〔kcal/m・h・℃〕の良伝導部材を設けたことを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の合成繊維の溶融紡糸装置。
(5)紡糸パックに内蔵された紡糸口金から筒状風吹出装置までが連続的に配置され、各錘糸条に外部から気体の流入、あるいは流出が遮断されている前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の合成繊維の溶融紡糸装置。
(6)溶融紡糸用の加熱箱体に複数錘の紡糸パックを列状に配列するように装着し、その下方に前記複数錘の紡糸パックに対応して風吹出装置を設けたことを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の合成繊維の溶融紡糸装置。
(7)熱交換部材を前記筒状風整流部材の外側に設けた前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の合成繊維の溶融紡糸装置
(8)前記(1)〜(7)のいずれか1項記載の合成繊維の溶融紡糸装置を用いて紡糸することを特徴とする合成繊維の溶融紡糸方法。
(9)溶融紡糸装置の筒状風整流部材の下端で、風の出口に当たる部分での下向きの風の単錘当たりの合計風速が0.8〜3m/秒となるように紡糸することを特徴とする前記(8)に記載の合成繊維の溶融紡糸方法。
本発明によれば、上記のように円筒状の風吹出装置を設けた溶融紡糸装置において、該風吹出装置内の筒状風整流部材を上部と下部に分けて設け、上部を熱伝導率が10〜360〔kcal/m・h・℃〕で、下部を熱伝導率が0.04〜0.5〔kcal/m・h・℃〕の材質とすることにより、コンパクトな設備であり、高速紡糸にも適用できて、糸の太さ斑が発生することなく、繊維のタフネス(強伸度積)をも向上させることができる。
また、上部の風の温度を高くすることで高分子の配向を抑制した延伸または延伸仮撚加工が可能な紡糸配向したポリエステルやポリアミド繊維が得られる。しかも高倍率で延伸することが可能であり、ポリエステル繊維のタフネスを向上させることができる。このため、高分子の配向が高く高倍率で延伸できずタフネス不足が生じる極細ポリエステルやポリアミド繊維やホモポリマを用いたポリエステ繊維に比べタフネスが低い共重合ポリマーを用いたポリエステルやポリアミド繊維を紡糸する場合に特に好適である。
本発明の合成繊維の溶融紡糸装置の一実施態様を示す概略縦断面図である。 図1に示す本発明の合成繊維の溶融紡糸装置にさらに引取ローラを付設した概略縦断面図である。 図1の本発明の合成繊維の溶融紡糸装置の出口の一部を拡大して示した概略縦断面図である。 本発明の合成繊維の溶融紡糸装置の他の一実施態様を示す概略縦断面図である。 本発明の合成繊維の溶融紡糸装置のさらに他の一実施態様を示す概略縦断面図である。
本発明のポリエステル、ポリアミド等の熱可塑性合成繊維を均一に冷却する溶融紡糸装置は、紡出糸条を囲繞するように紡出糸条の最外周側から最内周側へ向かって冷却風を放射状に発生させる円筒状の風吹出装置において、風吹出装置内に筒状の風整流部材を設け、該筒状風整流部材を上部と下部に分けて設けていることが重要である。
整流部材は冷却風の吹出方向を紡出糸条の最外周側から最内周側(中心側)へ向かう方向へ揃える役割を果たすものである。
そして該筒状風整流部材の上部は、口金面の温度を下げないようにし、かつ安定した気流を与えるために、150〜230℃程度の熱風とすることが望ましい。そのため上部の筒状風整流部材は、熱伝導率が10〜360〔kcal/m・h・℃〕と高い材質のものを採用する。好ましくは、コストも考慮して130〜340〔kcal/m・h・℃〕となる材質、例えば、展性にも優れる純アルミニウム、アルミニウム合金、純銅、黄銅、青銅などからなる材質のものが好適である。このように熱伝導が良好な材質を用いるために、上部筒状風整流部材は、200〜250℃の高温となり、該箇所を通過、接触する空気は、比熱が小さいため瞬間的に温度が上昇する。
熱伝導率が10〔kcal/m・h・℃〕未満であると極端に熱の伝導が低下して、効果がなくなる。一方、熱伝導率が360〔kcal/m・h・℃〕を越える超伝導部材は、工業的、実用的に適さない。
更に、安定して上記熱風を供給するには、前記筒状風整流部材の外側に熱交換部材を設けることが望ましい。
本発明においては、熱交換部材も熱伝導率が10〜360〔kcal/m・h・℃〕と高い材質のものを採用する。好ましくは、コストも考慮して130〜340〔kcal/m・h・℃〕となる材質、例えば、展性にも優れる純アルミニウム、アルミニウム合金、純銅、黄銅、青銅などからなる材質のもので、開口率が30%以上の圧力損失をほとんど生じない多孔板、ハニカム、30メッシュ以下の金網などが好適である。長さは、予熱を十分に行うためには150〜250mmとすることが望ましい。また、特許文献1と異なり、一体型の風供給箱7とは接触していない。
下部の筒状風整流部材は糸を急冷するために冷風であることが要求されるため、熱伝導率が0.04〜0.5〔kcal/m・h・℃〕と低い材質のものを採用する。好ましくは、強度やコストも考慮して熱伝導率が0.04〜0.5〔kcal/m・h・℃〕であり、セルロース繊維やプラスチック細線の不織布、羊毛などのフェルトなどを使用するのが望ましい。これらを使用することで25〜50℃の冷風が得られる。
熱伝導率が0.04〔kcal/m・h・℃〕未満のものは、工業的、実用的に適さない。一方、0.5〔kcal/m・h・℃〕を越えると冷風が暖まり、冷却効果が軽減される。下部は熱伝導率の低い筒状風整流部材を用いているために、上部からの熱が伝わりにくく、また15〜25℃の風が常に供給されるので、下部筒状風整流部材自体は30〜60℃程度と低い。このように、下部筒状風整流部材を通過した風は、25〜50℃にすぎない。
熱伝導率とは、物質内に温度差があると温度の高い部分から低い部分へ熱移動がおこる。熱伝導率とはこの熱移動のおこりやすさを表す係数で,単位長さ(厚み)あたり1(K)の温度差があるとき、単位時間に単位面積を移動する熱量である。機械実用便覧改訂第3版(日本機械学会発行)などにはこれらの数値が記載されている。なお、特殊な素材の試験方法は、JIS H7903などに記載されている。
本発明の筒状風整流部材の上部の長さは、20〜100mmのものとすることが好ましい。20mmより短いと熱風の量が不足し、100mmを越えると熱風の量が多すぎるために、糸条の表面固化点が冷却装置より下になるために糸の太さ斑が発生する。好ましい上部の長さは40〜80mmである。
下部の長さは、後述するように上部の長さと合計して、150〜250mmが好ましい。
また、本発明においては、複数錘の風吹出装置に共通する一体型の冷却風供給箱を設けることが重要である。この理由は、単位面積当たりの生産性を向上させるために紡糸機のコンパクト化が必須である。これに伴い列状に配列する紡糸パックのピッチが小さくなり、冷風を適量供給する均圧室なるものを個々に設けるスペースが無くなる。そこで、冷却風供給箱を一体化して、冷却風の入り口に近い錘のみに、多くの風が出てしまうことを防止するために、冷却風供給箱中に適切な邪魔板(図には記載なし)を設けることで各環状冷却装置に均等な冷風を供給する。
図5は、本発明の合成繊維の溶融紡糸装置の他の一実施態様を示す概略縦断面図であり、弾性体17を設けることで紡糸パックのバラツキにも対応できる様子を示す。
図5に示すように、弾性体17を下部筒状風整流部材の下端や、風吹出装置4の壁面の一部に設けることで、風吹出装置を自由に動かすことが可能となるため、紡糸パックが傾き、あるいは個々の高さが多少異なっていても、それに接触する部材が追従するように風吹出装置を動かすことのできる構造とすることで、紡糸パックから風吹出装置までが隙間ないようにすることが出来る。
また、本発明の紡糸パックと筒状風整流装置間に、熱伝導率が140〜360〔kcal/m・h・℃〕の風を通さない良伝導部材を設けることが重要である。加熱箱体から熱を伝達して紡糸パック及び紡糸口金が紡糸温度に加熱されている。そこに、環状冷却装置が直接接すると紡糸口金面が冷えて糸切れを誘発する。そこで、熱伝導率の良好なアルミニウム合金や銀をリング状にして加熱箱体から熱を伝導して口金面を加温する。好ましくは、熱伝導率が140〜360〔kcal/m・h・℃〕の純銅、黄銅、青銅や純アルミニウム、アルミニウム合金が経済的に良い。
図4は、本発明の合成繊維の溶融紡糸装置のさらに他の一実施態様を示す概略縦断面図であり、紡糸パックに内蔵された紡糸口金から筒状風吹出装置までが連続的に配置されている様子を示す。
本発明の紡糸パックに内蔵された紡糸口金から筒状風吹出装置までが図4に示すとおり、例えば上から順次に断熱板15、金属製(例えば、純銅)の良熱伝導部材、および保温筒16、断熱板15などが連続的に配置され、各錘糸条に外部から気流が入る、あるいは出ることがないよう遮断されていることが重要で、隙間があり冷風が抜けて徐冷効果を損なうようなことがあってはならない。これは、糸の太さ斑、強伸度バラツキなどに悪影響を与えることとなる。
また、本発明の溶融紡糸装置の筒状風整流部材の下端で、風の出口に当たる部分、すわち、図3に示す面積S1での下向きの風の単錘当たりの合計風速が0.8〜3m/秒となることが糸の太さ斑を起こさない為に好ましい。更に好ましくは、1〜2m/秒である。特に筒状風整流部材の上下合計長さが250mmを越えて長くなると悪影響が出やすく、風速を上げすぎると悪くなる。これは、糸揺れを誘発するからである。
風速測定は、糸条が無い状態で、風吹出装置の上面に蓋をして、筒状風整流部材の内側の風速を測定して、吹き出し面積を掛けて、合計風量を計算し、更に面積S1で割り、合計風速とする。
紡出糸条の単繊維繊度は特に限定するものではないが、好ましくは、紡糸引き取り後の単繊維繊度が5.0デシテックス以下、0.1デシテックス以上。さらに好ましくは、紡糸引き取り後の単繊維繊度が2.5デシテックス以下、0.1デシテックス以上の合成繊維を製造する場合に好適である。
本発明で製造し得る合成繊維は、ポリエステルやポリアミドなどの溶融紡糸できる合成繊維であれば、特に、限定されるものではない。例えば、顔料、染料、艶消し剤、防汚剤、蛍光増白剤、難燃剤、安定剤、紫外線吸収剤、滑剤等を含んでいてもよい。
本発明で用いられる合成繊維は、単一成分で構成しても、複数成分で構成してもよく、複数成分の場合には、例えば、芯鞘、サイドバイサイド等の構成が挙げられる。また繊維の断面形状は、丸、三角、扁平等の異形状や中空であってもよい。本発明において対象とする合成繊維、単繊維繊度、フィラメント数は、目的に応じて適宜選択される。
以下、本発明の合成繊維の製造装置、製造方法の一実施例について、図面により説明する。
図1は、本発明の合成繊維の溶融紡糸装置の一実施態様を示す概略縦断面図である。
溶融紡糸装置は、紡糸パック1、紡糸口金2、加熱箱体3、風吹出装置4、上部筒状風整流部材5、下部筒状風整流部材6、一体型の風供給箱7、良熱伝導部材9を備えている。
加熱箱体3は、溶融されたポリマー、紡糸パック1、紡糸口金2などの最適温度を保つことを役割とするものであり、通常290〜300℃の温度である。良熱伝導部材9は、該加熱箱体3から熱を受けて紡糸口金2の温度を下げにくくすることと、上部筒状風整流部材5へも熱を伝える役割がある。上部・下部筒状風整流部材を通過することで得られた風の流れ方向8。上部のみ風温をより高温とするために筒状風整流部材の外側に設けた熱交換部材18を備えている。
整流部材は、#40メッシュから#80メッシュ金網を積層したものや、セルロースリボンを螺旋状に巻いて熱硬化成形した多孔性部材などが挙げられる。この多孔性部材は、例えば、セルロースリボン(材質:紙)に特殊な紙をフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸後、加熱硬化することで、リボン層に隙間(孔:40μm程度の大きさ)が形成されるものである。
風供給箱4の風は、露点15〜25℃に保たれ、温度は常温で供給される。
図2は、図1に示す本発明の合成繊維の溶融紡糸装置にさらに引取ローラを付設した概略縦断面図である。
図2において、図1の装置にさらに、油剤付与装置11、引取ローラ12、13および巻取装置14を備えている。紡糸口金2の吐出孔から紡出された糸条10は、風吹出装置4から吹き出される冷却風で冷却され、油剤付与装置11で油剤を付与された後、一対の引取ローラ12、13を介して巻取装置14により巻き取られる。
図3は、本発明の合成繊維の溶融紡糸装置の一実施態様を示す概略縦断面図であり、溶融紡糸装置の筒状風整流部材の下端で、風の出口に当たる部分での下向きの風の単錘当たりの合計風を示す。
以下、ポリエステルマルチフィラメントを例にとり、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。実施例中の各特性値は次の測定方法により求めた。
〔糸太さ斑〕
ZELLWEGER USTER社のUSTER TESTER UT−4を用い、糸速100m/分、給糸張力1/30g/dtex、S撚り、ツイスター回転数8000rpmで5分間測定し、HInertで評価し、U%(H)で示した。
[強度・伸度・タフネス]
ORIENTEC社のTENSILON RTC−1210Aを用い、試長200mm、引張速度200mm/分で測定し、次式より求めた強伸度積を用いタフネスを評価した。
強伸度積=強度(cN/dtex)×〔(伸度(%))/100+1〕
[製糸性]
36錘紡糸で、24時間の紡糸を行い、この間の糸切れ回数評価を実施し、「1回未満」を○○、「1回以上2回未満」を○、「2回以上3回未満」を×、「3回以上」を××として評価した。
実施例1、2および比較例1〜3
溶融温度255℃のポリエチレンテレフタレートを溶融紡糸し、それぞれの冷却装置条件で、紡糸速度2600m/分で引き取った糸条の特性を表1に示す。
実施例1は、本発明に適した冷却装置、上部筒状風整流部材を純銅(熱伝導率332〔kcal/m・h・℃〕)で、長さを50mm、下部筒状風整流部材を紙(熱伝導率0.12〔kcal/m・h・℃〕)で長さを150mmとした。良熱伝導部材9として純アルミニウム(熱伝導率196〔kcal/m・h・℃〕)(の、長さ10mmを使用。
実施例2は、本発明に適した冷却装置、上部筒状風整流部材をステンレス(熱伝導率 14〔kcal/m・h・℃〕)で、長さを50mm、下部筒状風整流部材を紙(熱伝導率0.12〔kcal/m・h・℃〕)で長さを150mm。良熱伝導部材9として純アルミニウム(熱伝導率196〔kcal/m・h・℃〕)、長さ10mmを使用した。
これらは、U%、タフネス、製糸性とも優れていた。
比較例1は、実施例1の上部筒状風整流部材を紙(熱伝導率0.12〔kcal/m・h・℃〕)とし、良熱伝導部材9は使用しなかったので、タフネスがかなり劣位であった。
比較例2は、実施例1の上部筒状風整流部材を紙(熱伝導率0.12〔kcal/m・h・℃〕)とした上、下部筒状風整流部材の長さを250mm。筒状風整流部材の合計長さが300mmとした。また、良熱伝導部材9を使用しなかったので、U%、タフネス共にかなり劣位であった。
比較例3は、実施例1の上下部筒状風整流部材を全て純銅(熱伝導率332〔kcal/m・h・℃〕)としたのでタフネスは上昇したが、冷却が不足してU%がかなり劣位であった。
実施例3および比較例4
溶融温度255℃のポリエチレンテレフタレートを溶融紡糸し、それぞれの冷却装置条件で、紡糸速度6000m/分で引き取った糸条の特性を表1に示す。
実施例3は、本発明に適した冷却装置、上部筒状風整流部材を純銅(熱伝導率332〔kcal/m・h・℃〕)で、長さを100mm、下部筒状風整流部材を紙(熱伝導率0.12〔kcal/m・h・℃〕)で長さを100mmとした。また、良熱伝導部材9として純アルミニウム(熱伝導率196〔kcal/m・h・℃〕)、長さ40mmとした。その結果、U%、タフネス、製糸性とも優れていた。
比較例4は、実施例3の上部筒状風整流部材を紙(熱伝導率0.12〔kcal/m・h・℃〕)、長さ合計200mmとした。良熱伝導部材9は、使用しない条件で実施した結果、糸切れが多発した。
実施例4および比較例5
溶融温度255℃のポリエチレンテレフタレートと溶融温度228℃のポリトリエチレンテレフタレートをバイメタル複合として溶融紡糸し、それぞれの冷却装置条件で、紡糸速度1250m/分、延伸倍率3.36で延伸後、巻き取った糸条の特性を表1に示す。
実施例4は、本発明に適した冷却装置、上部筒状風整流部材を純銅(熱伝導率332〔kcal/m・h・℃〕)で、長さを80mm、下部筒状風整流部材を紙(熱伝導率0.12〔kcal/m・h・℃〕)で長さを120mmとした。また、良熱伝導部材9として純アルミニウム(熱伝導率196〔kcal/m・h・℃〕)、長さ30mmを使用した。その結果、U%、タフネス、製糸性とも優れていた。
比較例5は、実施例4の上部筒状風整流部材を紙(熱伝導率0.12〔kcal/m・h・℃〕)、長さ合計200mmを使用した。また、良熱伝導部材9は使用しなかったので、紡糸口金吐出直後の曲がりがひどくて連続して紡糸出来なかった。
実施例5は、付いていた熱交換部材の開口率40%の多孔板を外した結果である。ここに示すようにタフネス(強伸度積)が低下した。また、熱風も20℃低下していた。
Figure 2011174214
1:紡糸パック
2:紡糸口金
3:加熱箱体
4:風吹出装置
5:上部筒状風整流部材
6:下部筒状風整流部材
7:一体型の風供給箱
8:風の流れ方向
9:良熱伝導部材
10:糸条
11:油剤付与装置
12:第1引取ローラ
13:第2引取ローラ
14:巻取装置
15:断熱板
16:保温筒
17:弾性体
18:熱交換部材

Claims (9)

  1. 溶融紡糸用の加熱箱体に紡糸パックを装着し、その下方に風吹出装置を設けるとともに、該風吹出装置内に紡出糸条を囲繞するように紡出糸条の最外周側から最内周側へ向かって冷却風を発生させる円筒状の風整流部材を設けた溶融紡糸装置において、該筒状風整流部材を上部と下部に分けて設け、該筒状風整流部材の上部は熱伝導率が10〜360〔kcal/m・h・℃〕の材質からなり、下部は熱伝導率が0.04〜0.5〔kcal/m・h・℃〕の材質からなることを特徴とする合成繊維の溶融紡糸装置。
  2. 前記筒状風整流部材の上部の長さが20〜100mmであることを特徴とする請求項1に記載の合成繊維の溶融紡糸装置。
  3. 複数錘の風吹出装置に共通する一体型の冷却風供給箱を設けることを特徴とする請求項1または2に記載の合成繊維の溶融紡糸装置。
  4. 紡糸パックと筒状風整流部材との間に、熱伝導率が140〜360〔kcal/m・h・℃〕の良伝導部材を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の合成繊維の溶融紡糸装置。
  5. 紡糸パックに内蔵された紡糸口金から筒状風吹出装置までが連続的に配置され、各錘糸条に外部から気体の流入、あるいは流出が遮断されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の合成繊維の溶融紡糸装置。
  6. 溶融紡糸用の加熱箱体に複数錘の紡糸パックを列状に配列するように装着し、その下方に前記複数錘の紡糸パックに対応して風吹出装置を設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の合成繊維の溶融紡糸装置。
  7. 熱交換部材を前記筒状風整流部材の外側に設けた請求項1〜6のいずれかに記載の合成繊維の溶融紡糸装置
  8. 請求項1〜7のいずれか1項記載の合成繊維の溶融紡糸装置を用いて紡糸することを特徴とする合成繊維の溶融紡糸方法。
  9. 溶融紡糸装置の筒状風整流部材の下端で、風の出口に当たる部分での下向きの風の単錘当たりの合計風速が0.8〜3m/秒となるように紡糸することを特徴とする請求項8に記載の合成繊維の溶融紡糸方法。
JP2011013097A 2010-01-29 2011-01-25 合成繊維の溶融紡糸装置 Active JP5585469B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011013097A JP5585469B2 (ja) 2010-01-29 2011-01-25 合成繊維の溶融紡糸装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010018727 2010-01-29
JP2010018727 2010-01-29
JP2011013097A JP5585469B2 (ja) 2010-01-29 2011-01-25 合成繊維の溶融紡糸装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011174214A true JP2011174214A (ja) 2011-09-08
JP5585469B2 JP5585469B2 (ja) 2014-09-10

Family

ID=44687314

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011013097A Active JP5585469B2 (ja) 2010-01-29 2011-01-25 合成繊維の溶融紡糸装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5585469B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015145880A1 (ja) * 2014-03-28 2015-10-01 光弘 高橋 ナノファイバー製造装置
CN106811812A (zh) * 2017-03-19 2017-06-09 东台奥力芬化纤有限公司 化纤拉丝风冷成型装置
US10266967B2 (en) 2012-10-22 2019-04-23 Korea Institute Of Industrial Technology Method and apparatus for fabricating conjugate fiber, and conjugate fiber fabricated thereby
WO2021255971A1 (ja) * 2020-06-17 2021-12-23 日本フイルコン株式会社 整流部材

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS59123169U (ja) * 1983-02-08 1984-08-18 日本エステル株式会社 センタ−吹付式溶融紡糸装置
JP2007284857A (ja) * 2006-03-22 2007-11-01 Toray Ind Inc ポリエステルの溶融紡糸方法および溶融紡糸装置
JP2009150037A (ja) * 2007-11-29 2009-07-09 Toray Ind Inc 紡糸用冷却装置および溶融紡糸方法
JP2009228178A (ja) * 2008-03-25 2009-10-08 Toray Ind Inc フィラメント糸の製造装置および製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS59123169U (ja) * 1983-02-08 1984-08-18 日本エステル株式会社 センタ−吹付式溶融紡糸装置
JP2007284857A (ja) * 2006-03-22 2007-11-01 Toray Ind Inc ポリエステルの溶融紡糸方法および溶融紡糸装置
JP2009150037A (ja) * 2007-11-29 2009-07-09 Toray Ind Inc 紡糸用冷却装置および溶融紡糸方法
JP2009228178A (ja) * 2008-03-25 2009-10-08 Toray Ind Inc フィラメント糸の製造装置および製造方法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10266967B2 (en) 2012-10-22 2019-04-23 Korea Institute Of Industrial Technology Method and apparatus for fabricating conjugate fiber, and conjugate fiber fabricated thereby
WO2015145880A1 (ja) * 2014-03-28 2015-10-01 光弘 高橋 ナノファイバー製造装置
CN106133213A (zh) * 2014-03-28 2016-11-16 高桥光弘 纳米纤维制造装置
JPWO2015145880A1 (ja) * 2014-03-28 2017-07-13 光弘 高橋 ナノファイバー製造装置
US10151050B2 (en) 2014-03-28 2018-12-11 Zetta Nano Technology Co., Ltd. Nanofiber production apparatus
CN106811812A (zh) * 2017-03-19 2017-06-09 东台奥力芬化纤有限公司 化纤拉丝风冷成型装置
WO2021255971A1 (ja) * 2020-06-17 2021-12-23 日本フイルコン株式会社 整流部材

Also Published As

Publication number Publication date
JP5585469B2 (ja) 2014-09-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5585469B2 (ja) 合成繊維の溶融紡糸装置
JP2010077553A (ja) フィラメント糸の製造装置および方法
JP2010106393A (ja) マルチフィラメント糸の製造装置および製造方法
TWI294926B (en) Polyester fine false twisting textured yarn, and methods for producing the same
JP2007284857A (ja) ポリエステルの溶融紡糸方法および溶融紡糸装置
JP2009150037A (ja) 紡糸用冷却装置および溶融紡糸方法
JP2008231607A (ja) 紡糸用環状冷却装置および溶融紡糸方法
JP5428979B2 (ja) 紡糸パックおよびフィラメント糸の製造方法
JP2007063690A (ja) 糸条冷却装置
JP2006241611A (ja) 合成繊維の溶融紡糸装置
JP4962361B2 (ja) ポリフェニレンサルファイド繊維の製造方法およびポリフェニレンサルファイド繊維
JP5906808B2 (ja) 合成繊維の製造方法
JP2007247121A (ja) 糸条冷却装置
JP2007186810A (ja) 溶融紡糸装置及び溶融紡糸方法
JP4904943B2 (ja) ポリエステル繊維の溶融紡糸装置
JP4988318B2 (ja) 多錘の溶融紡糸装置およびそれから得られる極細マルチフィラメント糸条
JP2012136797A (ja) ポリフェニレンサルファイド繊維の製造方法
JP2009097119A (ja) 熱可塑性繊維の溶融紡糸装置
JP2007063689A (ja) 糸条冷却装置
JP2010077570A (ja) 溶融紡糸方法および溶融紡糸装置
JPS6250566B2 (ja)
JP2009068154A (ja) 糸条冷却装置
JP2007031892A (ja) 糸条冷却装置
JP3561101B2 (ja) ポリエステル繊維の製造装置と製造方法
JP5925657B2 (ja) 溶融紡糸装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20131209

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140610

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140624

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140707

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5585469

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151