JP2008280621A - 溶融紡糸における冷却風の管理方法及びその装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】製品品質に重大な影響を与える円筒状の冷却風吹出面から吹き出される冷却風の風速及び風速分布を、生産現場において日常的に短時間かつ容易に実施でき、これらの管理をより効率的かつ正確にできる溶融紡糸における冷却風の管理方法と管理装置を提供する。
【解決手段】各錘毎に設けられた円筒状の冷却風吹出面3bから円筒中心に向って放射状に吹き出される冷却風中に熱可塑性ポリマーからなるマルチフィラメント糸条Yを口金1からそれぞれ紡出し、紡出された糸条を冷却風によって冷却して溶融紡糸する際の冷却風を管理する際に、冷却風吹出面を下降させて前記口金との間に空間を形成し、空間から前記冷却風吹出面の上端面に蓋をして冷却風の上端面からの漏れを気密に塞ぎ、風吹出面に対して予め設定した位置で冷却風の風速を測定し、測定した風速値または風速分布が所定の管理基準値内に収まるように管理する管理方法とその装置である。
【選択図】図1

Description

本発明は、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂からなる合成繊維を溶融紡糸する際に、紡出された糸条を冷却するために使用する冷却風を常に一定の条件に管理するための管理方法と管理装置に関する。
熱可塑性ポリマーを紡糸口金(以下、単に「口金」という)から紡出した後、紡出糸条を冷却する紡糸方法は、合成繊維を生産するために一般的に行なわれる溶融紡糸プロセスである。このような溶融紡糸では、紡出後の糸条の冷却プロセスが高品質の糸を得る上で重要な役割を果たしている。特に、衣料用長繊維の溶融紡糸プロセスにおいては、この冷却プロセスが紡糸後に得られる糸の強度や伸度、あるいは染織性に非常に大きな影響を持っていることが従来から知られている。
近年において、生産効率を向上させることを目的として、一つの口金から複数本の細いマルチフィラメント糸を紡出するようになってきており、そのフィラメント(以下、「単糸」ともいう)の繊度が0.3デシテックス以下の繊維の生産も可能になってきている。しかしながら、このように、一つの口金から複数本の細いマルチフィラメント糸(以下、単に「糸条」ともいう)を紡糸するプロセスにおいては、糸条を構成する単糸間に生じる繊度斑を抑制することが非常に重要であり、均質な単糸からなるマルチフィラメント糸を安定して生産するための冷却技術が必要とされる。
このような糸条の冷却技術としては、特許文献1や特許文献2に開示されているように、紡出された糸条の走行方向に対して、横方向から一方的に走行糸条に対して冷却風を吹き付けて、紡出糸条を冷却する横吹式の冷却技術がある。この従来技術では、口金の下方に糸条冷却装置を配置し、糸条の走行方向に沿って一定長さに亘って、均一で一定の風速を有する冷却風を紡出された糸条に大して吹き付けることが肝要である。また、走行する糸条の周りに発生する随伴気流の発達を抑制し、糸条冷却装置から吹き出される冷却風を整流する制御などの技術が主として行われてきた。
このような横吹式冷却技術は、一斉に各錘から紡出されたマルチフィラメント糸群の一団に対して、これらを一方向から吹き出された冷却風によってまとめて冷却することができる。このために、生産効率が高いという利点を有している。しかしながら、この横吹式冷却技術では、各錘毎に紡出されたマルチフィラメント糸間の錘間差を低減することに限界が生じている。
そこで、近年では、例えば、特許文献3や特許文献4に開示されているような縦吹式冷却技術が用いられるようになってきた。この技術では、各錘毎に独立した円筒状の冷却風吹出面が形成された冷却風吹出装置が設けられている。そして、円筒状の冷却風吹出面中に糸条群を通して、内部を走行する糸条に対して、その外周部全面から吹き出される冷却風によって、糸条を冷却しようとするものである。
確かに、この従来技術では、各錘から紡出された糸条群の周りを囲繞すると共に、その外周側の近接した位置に設けられた冷却風吹出面から吹き出す冷却風を紡出された単糸群に吹き付けることができる。このため、冷却風吹出面と糸条との間の距離を小さく保っことができ、更に、走行糸条にたいして全周方向から放射状に冷却風を吹き出すことができる。
このため、冷却風の吹出流速を小さくしても、吹き出された冷却風が乱れることなく整流された状態で紡出された糸条を構成するフィラメント群間へ確実かつ容易に進入することができる。したがって、紡出されたフィラメント群に大きな糸揺れを発生させることもなく、極めて効率的に紡出糸条を冷却することができる。このため、この縦吹式冷却技術は、横吹式冷却技術と比較して、得られる糸条に発生する冷却斑を効果的に抑制できるので、均一な繊度を有するマルチフィラメントからなる糸条を得ることができる。
ところが、前述の円筒状の冷却風吹出面が形成された糸条冷却装置では、各糸条に対して放射状に冷却風を吹き付ける円筒状の冷却風吹出面には、吹き出す冷却風を均等にしたり吹出方向を揃えたりするために緻密な多孔質体で製作された整流体が設けられている。このため、長期に亘って使用を続けると、多孔質体に経時的な目詰まりが発生して、目詰まりによる風速の低下や風速分布の変化が懸念される。このため、日常的に風速や風速分布が正常かどうかを管理すると同時に、もし、目詰まりが生じた時には、正常な状態に復帰させるために、冷却風吹出面の交換周期及び交換時期を的確に捉える必要がある。
仮に、各糸条に供給される冷却風に関して、いずれかの錘での風速分布あるいは風速が低下すると、冷却斑を惹起するため品質の良い製品が得られず、冷却斑が抑制された製品との間の層別作業が必要となる。また、不良製品を市場に供給することはできないので、屑ロスの発生となって、生産工程における歩留まり低下と、生産コストの上昇を招く。
そこで、各錘毎に設けられた円筒状の冷却風吹出面の風速分布を常に一定にすると共に、各錘間での冷却風の風速斑を少なくすることが均質かつ優れた品質を有する糸条を得るための大きな管理項目となる。したがって、冷却風吹出面から吹き出される冷却風の風速及び風速分布を常に一定に管理するためには、各錘毎に対応して設けらた冷却風吹出面における風速分布を風速センサーにより測定して管理しなければならない。しかも、風速分布の測定は、一般的には溶融紡糸設備の立上げ時において、円筒状の冷却風吹出面の周方向と上下方向に沿って、それぞれ少なくとも数箇所で行なう必要があり、しかも、これを各錘毎に行なって全錘で実施しなければならない。
しかしながら、このような測定には多大な時間と人手を必要とし、日常的に簡単に行えないという問題があり、現実的に冷却風の風速測定や風速分布の管理が行なわれていないのが現状である。このため、冷却斑が発生した時点で、冷却風吹出面の更新を行なったり、問題が起らないうちに早めに短周期で冷却風吹出面の更新が行なわれたりしている。
特開平7−97709号公報 特開2000−34615号公報 特開2004−300614号公報 特開2003−253522号公報
本発明の目的は、以上に説明した従来技術が有する諸問題を解決することにある。より具体的には、製品品質に重大な影響を与える円筒状の冷却風吹出面から吹き出される冷却風の風速及び風速分布を、生産現場において日常的に短時間かつ容易に実施でき、これらの管理をより効率的かつ正確にできる溶融紡糸における冷却風の管理方法と管理装置を提供することにある。
ここに、前記課題を解決するための本発明として、請求項1に記載の「各錘毎に設けられた円筒状の冷却風吹出面から円筒中心に向って放射状に吹き出される冷却風中に熱可塑性ポリマーからなるマルチフィラメント糸条を口金からそれぞれ紡出し、紡出された糸条を前記冷却風によって冷却して溶融紡糸する際の冷却風の管理方法において、
前記冷却風吹出面を下降させて前記口金との間に空間を形成し、前記空間から前記冷却風吹出面の上端面に蓋をして冷却風の上端面からの漏れを気密に塞ぎ、前記風吹出面に対して予め設定した位置で冷却風の風速を測定し、測定した風速値または風速分布が所定の管理基準値内に収まるように管理することを特徴とする溶融紡糸における冷却風の管理方法」が提供される。
その際、本発明においては、請求項2に記載の発明のように、「前記冷却風の風速測定を紡出された前記糸条を前記空間から放流しながら行うことを特徴とする、請求項1に記載の溶融紡糸における冷却風の管理方法」とすることが好ましい。
また、本発明においては、請求項3に記載の発明のように、「前記風速測定を熱線式風速計で行なうことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の溶融紡糸における冷却風の管理方法」とすることが好ましい。
更に、本発明においては、請求項4に記載の発明のように、「前記風速測定を定期点検後や定期補修後における紡糸機の立上げなどの定期的な行事、あるいは断糸処理などの合間を利用して行なうことを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載の溶融紡糸における冷却風の管理方法」とすることが好ましい。
次に、本発明に係る溶融紡糸における冷却風の管理装置として、請求項5に記載の発明のように、「熱可塑性ポリマーを紡出する口金と、前記口金の下方に設けられた糸条冷却装置と、前記口金と前記糸条冷却装置との間に設けられる徐冷ゾーンを糸条走行方向以外に漏れ出さないように気密にシールすると共に前記糸条冷却装置の上部に固設されたシール構造体と、前記糸条冷却装置の上部に付設され且つ円筒状の形状を有してその円筒中心に向って放射状に冷却風を吹き出す冷却風吹出面と、前記糸条糸条冷却装置を昇降自在とする昇降装置と、前記昇降装置によって下降された糸条糸条冷却装置に付設された前記冷却風吹出面の上端面を気密に塞ぐ測定蓋と、前記測定蓋が取り付けられた前記冷却風吹出面から吹き出される冷却風の風速を予め設定された位置で測定する風速計とを備え、
前記風速計によって測定された冷却風の風速データが管理基準値内に収まるように冷却風の風速を管理する溶融紡糸における冷却風の管理装置」が提供される。
その際、本発明においては、請求項6に記載の発明のように、「溶融紡糸中に発生する断糸を検出する断糸検出器を備え、且つ前記昇降装置が断糸処理を行なうために前記断糸検出器からの断糸検出信号に基づいて前記糸条糸条冷却装置を下降させる装置であることを特徴とする、請求項5に記載の溶融紡糸における冷却風の管理装置」とすることが好ましい。
更に、本発明においては、請求項7に記載の発明のように、『前記風速計を所定の測定位置に位置決めする位置決め治具を備えたことを特徴とする、請求項5又は請求項6に記載の溶融紡糸における冷却風の管理装置』とすることが好ましい。
本発明は、以上に説明した構成を採用することによって、形状が円筒状である冷却風吹出面からその円筒中心へ向って放射状に吹き出される冷却風の風速を簡易且つ短時間で測定することができる。したがって、紡出された糸条を各錘毎に設けた前記冷却風吹出面から吹き出す冷却風によって冷却する溶融紡糸のように、冷却風吹出面が極めて多数形成されている場合の冷却風の風速管理を極めて効率的に行なうことができる。
しかも、本発明においては、口金と糸条冷却装置との間に、口金から紡出された糸条を放流するための空間を形成することができる。このため、口金から糸条を紡出したままでも、前記空間から糸条を放流し、且つ前記冷却風吹出面の上部開口(すなわち、上端面)を気密に塞ぐことによって、たいした問題もなく冷却風の風速測定を操業時と同様の状態を維持して実施することができる。また、加熱された口金から遠ざかった状態で冷却風の測定が可能となって、測定時において熱的外乱からなる悪影響を回避することができる。
このように、本発明に依れば、煩雑且つ人手の掛かる冷却風の風速測定作業を効率的に簡易、迅速、そして正確に作業者に依らずにデータのバラツキもなく行なうことができるようになり、冷却風の風速値及び風速分布を日常的に管理することが可能となる。しかも、風速測定に特別な技能を必要としないので、作業者間の測定ばらつきを少なくでき、更には冷却風を適切に管理できることとなって、冷却斑を抑制することができる。
その結果として、品質に優れた熱可塑性マルチフィラメント糸条を安定に生産することができ、生産歩留まりの向上、生産コスト低減に大いに寄与する。しかも、冷却風の測定データに異常が見つかれば、問題となった冷却風吹出面を構成する部材を新品と交換することができるなど予防保全にも役立つものである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態例を模式的に示す概略装置構成図である。この図1において、図1(a)は、溶融紡糸が問題なく正常に行なわれている状態を示したものであり、図1(b)は、本発明に係る装置と方法を説明するための図であって、溶融紡糸を開始する前の状態、あるいは溶融紡糸を休止している状態において、後述する糸条冷却装置から吹き出される冷却風の状態を監視する装置とその方法を例示したものである。
この図1(a)及び(b)において、参照符号Yは熱可塑性ポリマーからなるマルチフィラメント糸条、参照符号1は紡糸口金1、参照符号2はシール構造体、参照符号3aは糸条冷却装置本体、参照符号3bは円筒状をした冷却風吹出面(通常、冷却風を整流したり均一化したりするための均圧部材からなる整流体を備えている)、参照符号4は紡糸筒、参照符号5aは傾斜板、参照符号5bは前記傾斜板5aの回動装置、参照符号6は油剤付与装置、参照符号7は糸条吸引装置、参照符号8は第1引取ローラ、参照符号9は第2引取ローラ、参照符号10は断糸検出器、参照符号11は糸条冷却装置本体3aを昇降自在の昇降装置、参照符号12はそして、をそれぞれ示している。
ここで、前記図1に示したように、紡糸筒4は、糸条冷却装置本体3aの下方に設けられており、極細繊維の溶融紡糸では、糸条の細化と冷却固化が口金1から吐出されてから早い時点で行われる。このために、油剤付与装置6は、通常の細さのフィラメントを紡糸する場合と比較して、より上方に位置することになる。したがって、0.3デシテックス以下の単繊維繊度を有するような極細糸条を紡糸する場合では、図示したように、油剤付与装置6は、紡糸筒4の内部に位置することになる。
また、シール構造体2は、口金1と糸条冷却装置本体3aとの間の紡出糸条Yの徐冷ゾーンに設けられる。なお、その役割は、下方の冷却風吹出面3bから吹出される冷却風が徐冷ゾーンに進入して、口金1のポリマー吐出面を冷却してしまわないようにすることにある。何故ならば、この徐冷ゾーンから空気が外部に排出されると、煙突効果によって、冷却風吹出面3bからの冷却風が、徐冷ゾーンにまで吹き上がるからである。
すなわち、シール構造体2は、口金1と糸条冷却装置との間に設けられる徐冷ゾーンへの冷却風の吹き上がりを防止するために、この徐冷ゾーンから糸条走行方向以外に空気が漏れ出さないように気密にシール役割を果たしている。なお、本発明においては、図1に例示したように、このシール構造体2は、糸条冷却装置3aに固設されており、糸条冷却装置3aが昇降すると、シール構造体2自体も昇降するようにされている。
以上のように構成される断糸処理装置を備えた溶融紡糸設備において、口金1より紡出された複数の糸条Yは糸条冷却装置本体3aの上部に付設された円筒状の冷却風吹出面3bに導入される。そして、この円筒状の冷却風吹出面3bからその円筒中心へ向って放射状に吹き出される冷却風により所定の温度(ポリエステルであればガラス転移温度)以下に冷却し、冷却装置2の下方に位置する油剤付与装置6で油剤を付与した後に、必要に応じて図示省略した糸条交絡装置(インターレース付与装置)によって、フィラメント同士を微小交絡させた後、第1引取ローラ8及び第2引取ローラ9によって所定の紡糸速度で引き取り、最終的に巻取機(図示せず)によって糸巻体として巻き取る。
このとき、各錘毎に設けられた円筒状の冷却風吹出面3bからその円筒中心に向って放射状に冷却風を吹き出して,各錘糸条をそれぞれに冷却する糸条冷却方式では、冷却風が適切に吹き出されているかどうかを各錘毎に管理しなければならない。しかしながら、冷却の管理は、図1(a)に例示したような正常な操業状態にできるだけ近い条件で実施する必要がある。
そこで、図1(a)の運転状態で冷却風の吹出風速分布を測定して、これを管理することが好ましいが、この状態では、冷却風を測定する雰囲気温度が口金からの伝熱によって高くなる。このため、特に熱線式風速計を使用する場合には、風速測定センサーの抵抗値に誤差が生じ易く、正確な速度値を検知できない。そこで、図1(b)に例示したように、糸条冷却装置本体3aを昇降装置11によって下降させて、温度の影響を回避することが好ましい。
なお、図1(b)では、溶融紡糸を休止して糸条Yが口金1から紡出されていない状態を例示したが、前述のように、糸条冷却装置本体3aを下降させることによって、図1(b)に示すように、口金1とシール構造体2との間に、空間を形成することができる。したがって、その詳細については図2を援用しながら後述するが、口金1から紡出される糸条をこの空間から放流させることによって、口金1から糸条Yが紡出された状態であっても、これも後述する冷却風の風速測定を円滑に行なうことができる。
次に、以上に説明したように昇降装置11によって下降させた糸条冷却装置本体3aの上端面、つまり、走行糸条Yが通過する入口側に測定蓋10を設置して、上端面を確実に気密に塞ぐ。このようにして、糸条冷却装置本体3aの上端面を気密に塞ぐことによって、冷却風が前記上端面から漏れ出るのを防止する。したがって、この測定蓋10の設置によって、冷却風吹出面3bから吹き出された冷却風の流れ方向を実際に操業している時と同様に維持することができ、操業時に使用する、糸条冷却装置本体3aの上部に設けられるシール構造体2と同様の作用を果たさせることができる。
その後、円筒状糸条冷却装置本体3aに供給される流量が変化していないかどうかを上流側の冷却風供給口に設けた流量計(図示せず)によって確認し、供給される風量が設定された運転条件と同一条件であることを確認する。そして、このような準備が完了すると、風速計13を用いて風速測定を実施する。
図1(b)は概略側面図をであるが、この図1(b)を正面から見た場合には、各錘から糸条群Yがそれぞれ紡出されており、しかも、円筒状冷却風吹出面3bは、各錘に対応する数分、糸条冷却装置本体3aの内部に設置されている。したがって、風速測定はこれら全ての錘で行なわなければならない。このため、風速計は、作業者が簡易に持ち運びできるように、携帯用に軽量化されていることが必要であり、しかも、短時間で簡易に測定できることが要求される。そこで、この風速の計測方法について以下に説明する。
作業者は、定期点検後や定期補修後における紡糸機の立上げなどの定期的な行事、あるいは断糸処理などの合間を利用して、風速測定を行う。このとき、作業者は、図1(b)に示した携帯用の風速計13を手に持ち、この風速計13のプローブ部(風速測定用センサーが設けられた部分)を円筒状冷却風吹出面3bに対して予め設定した規定の位置まで挿入する。
以上のような条件下で作業者は、冷却風の測定を行うのであるが、このとき、前記プローブ部が全ての錘で同一の位置に来るようにすることが好ましい。そこで、これを実現するために、例えば、糸条冷却装置本体3aの下面に設けられる底板3cに位置決め孔を加工しておき、その一方で、測定治具12には、この位置決め孔と嵌合するピンを設けておく。
そうすると、位置決め孔にピンを嵌合させることによって、プローブ部が全ての錘で同一の位置に来るようにすることが可能となる。その際、これまでに測定しておいた冷却風吹出面3bから吹き出される冷却風の風速データと糸品質との間に成立する関係を基にして管理基準値を設定する。その際、物性に最も影響を与える冷却風吹出面3bに対する代表測定位置でのみ風速を測定するようにすることもできる。このような代表位置としては、通常1〜5箇所程度設定すれば良いが、最も効果的な方法は、実験により最適化して代表測定位置を一箇所にすることであって、このようにすれば、測定時間をより短縮することができる。
このようにして、作業者は、測定治具12を糸条冷却冷却装置本体3aにセットして、セットした風速計13により、数秒間で風速を測定し、得られた風速値を記録する。そして、このような作業を、測定する必要がある錘数に対応する冷却風吹出面3bの数だけ実施するが、一回の測定に要する時間は、測定にある程度熟練すれば十秒〜数十秒であるので、全測定時間は短時間で良い。また、測定した風速データから冷却風吹出面3bの良否を瞬時に判断可能であるので、冷却風吹出面3bが劣化傾向にあることも直ぐに把握することができ、これによって、その交換タイミングを的確に判断することも可能となる。
以上に説明したようにして、全錘に対して測定治具12を用いた風速測定が完了した後、その測定データが適正とする管理基準値内に収まっていない場合には、交換が必要と判断する。そして、交換が必要と判断された冷却風吹出面3bについては、新品と交換する。このようにして交換を行なった後に、再度前述と同様の手順にて風速測定を実施し、風速値が規定の管理基準値内に収まっているかどうかを再確認して、測定データは記録しておく。
このようにして、全ての風速値あるいは風速分布が管理基準値内に収まっているかどうかを確認して、記録作業が完了すると、測定蓋10を取外し、糸条冷却装置本体3aの上部から糸通しを順次行う。そして、全ての錘に対して糸通しが完了すると、昇降装置11により糸条冷却装置本体3aを上昇させ、紡糸を再開する。
以上に説明した本発明による冷却風の測定方法及び測定装置を用いることにより、作業者間の風速測定のばらつきを抑制でき、しかも、正確且つ短時間で効率的に冷却風吹出面3bからの吹出し風速の測定が可能となる。このため、このような風速管理を日常的に行なうことによって、紡出された糸条んの冷却斑に起因する繊度斑や染斑を抑制することができる。その結果として、生産品の品質安定して確保することが可能となり、製品歩留まりの改善と生産コストの低減が可能となる。
本発明においては、既に説明したように、昇降装置11を作動させて、糸条冷却装置本体3aを降下させてから風速測定を行なう。しかしながら、昇降装置11を作動させて、糸条冷却装置本体3aを降下させることについては、風速測定のみを目的として行なう必要はない。以下、この点について、図2を参照しながら詳細に説明する。
図1(a)に例示したような正常な状態での溶融紡糸中において、断糸が発生すると、図2に示すように、糸条Yが走行する方向を下流側としたとき、この下流側へ向かってその最下流箇所に設けた断糸検出器10により断糸を検出する。そして、検出された断糸信号に基づいて、図2には図示省略した制御装置へと直ちにこの断糸検出信号が伝えられる。
そうすると、この制御装置(図示せず)は、直ちに糸条吸引装置7及び傾斜板5aを作動させ、断糸した糸条Yを吸引すると共に、傾斜板5aを回動させて糸条走行路を横切って鉛直下方へ傾斜した状態で傾斜板5aを糸道上に突出させる。また、これと同時に、糸条冷却装置本体3aの背面部の設けられた昇降装置11が作動して、糸条冷却装置本体3aを降下させる。なお、この糸条冷却装置本体3aの下降は、前述のように風速分布の測定において行なわれる手順でもある。
以上に述べたような一連の動作によって、糸条吸引装置7に断糸した糸条Yを吸引することに成功した場合は、吸引した錘の糸条Yを、糸条吸引装置7より携帯用糸掛け具であるサクションガン12などへ受け渡す。そして、作業者は、このサクションガン12に吸引した糸条Yを第1引取ローラ8及び第2引取ローラ9へ巻回して糸掛けを完了した後に、最終的に巻取機(図示せず)へ糸条Yに受け渡して、溶融紡糸設備の運転を継続する。
以上に説明したように断糸処理がスムースに行われる場合は良いとして、断糸処理に失敗した場合について説明する。この場合には、断糸検出器10によって断糸が検出されると同時に、糸条冷却装置本体3aを昇降装置11によって降下させているので、例え、円筒状冷却風吹出面3bの直上部に設けたシール構造体2と口金1との間に、断糸した紡出糸条Yを排出するための排出空間を形成することができる。したがって、この排出空間から断糸した糸条Yを自然放流することができる。
なお、この自然放流状態では、断糸した当該錘の紡糸機台への作業者の到着が遅れた場合であったり、あるいは、作業者が他錘の紡糸機台で作業中であったりしても、糸条Yが糸条冷却装置本体3a内の円筒状冷却風吹出面3bの内部に滞留すること無く系外へ円滑に排出されるため、糸条Yが紡糸筒内に蓄積されるなどの問題とならない。したがって、口金1のポリマー吐出面、あるいは糸条冷却装置本体3aの円筒状冷却風吹出面3bの内面にポリマーが融着するような事態を防ぐことができる。
次に、以上に説明した糸条Yの糸是何放流状態から正常な紡糸状態に復帰させるためには、紡糸筒4の下部でサクションガン12によって、断糸した糸条Yを受け取り、第1引取ローラ8及び第2引取ローラ9への糸掛けを実施して行くことができる。この作業に関して、断糸処理に成功した場合の作業と比較して異なる作業は、自然放流されている糸条Yを糸条冷却装置本体3aの円筒状の冷却風吹出面3b内部に通す作業のみであり、時間的には前述の断糸処理に成功した場合とほとんど大差の無い作業である。
最後に、断糸処理に失敗した場合における、傾斜板5aが果たす役割について、図2を参照しながら、以下に詳細に説明する。ただし、この図2では、説明が錯綜するのを回避するために、図1(a)及び図1(b)に例示した昇降装置11については、前記回動装置5bとその記載が重なってしまうので図示省略し、その代わりに、傾斜板5aの回動装置5bを図示してある。
前述のように断糸が発生し、断糸検出器10によって断糸が検出されると、断糸検出信号が糸条吸引装置7と傾斜板5aの制御装置(図示せず)へと送信される。そして、この断糸検出信号が前記制御装置(図示せず)に受信されると、図2に例示したように、この制御装置(図示せず)から電磁弁などの空気流制御機器(図示せず)を操作することによって、糸条吸引装置7を作動させる。そして、糸条Yを吸引可能な状態にして、断糸した糸条Yを吸引する。また、これと共に、回動装置5aを作動させ、紡糸筒4内に設けられた傾斜板5aを糸道方向(図1(a)の位置から図1(b)及び図2の位置)へ回動させて、糸道を横切って鉛直下方へ傾斜した状態で突出させる。
なお、前記傾斜板5aは、糸条冷却装置本体3aの下端と油剤付与装置6の上端との間に設けられており、鉛直下方へ傾斜した状態で油剤付与装置6の上方へ覆い被さるように回動自在である。また、この傾斜板5aは、図2に例示したように、紡糸筒4の壁面を回動中心として、下方へ向かって傾斜する板状部材で形成されている。
したがって、断糸した糸条Yは傾斜板5aの上方側で滞留することなく、傾斜板5aの傾斜面に沿って滑り落ちることができる。なお、傾斜板5aが形成する、鉛直下方への傾斜角度は、糸条Yが円滑に滑り落ちることができるような角度とされている。また、少なくともその上端面は、フッ素樹脂(4フッ化エチレン樹脂等)などの摩擦係数が小さな材質で形成することが好ましい。
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、断糸が発生すると直ちに前述の傾斜板5aを糸道上に回動させて突出させることにより、油剤付与装置6と接触走行している糸条Yを、その係合状態から強制的に解除することができる。つまり、油剤付与装置6から係合する糸条Yが外れる方向へとその糸道が移動させることができる。したがって、口金1から次々に紡出される糸条Yは、油剤付与装置6に引っ掛かることなく、下方へそのまま走行するか、もしくは傾斜板5aの上を滑落する。
このとき、紡糸筒4の下方の階下に設けられた糸条吸引装置7は、前述のように既に糸条Yを吸引できる状態にされているので、断糸した糸条Yは、この糸条吸引装置7に捕捉されて吸引される。このようにして、断糸が発生すると、口金1から次々と紡出されてくる糸条Yは、傾斜板5aによって油剤付与装置6との係合が解除された状態で糸条吸引装置7に吸引される。それ故に、紡糸筒4の上部に糸条Yが蓄積されることもなく、紡糸筒4の外へと円滑に断糸した糸条Yが排出される。したがって、当然のことながら、断糸した糸条Yが油剤付与装置6に絡みつくこともなくなる。
本発明の実施形態例を模式的に示す概略装置構成図である。 断糸処理の一例を示した概略説明図である。
符号の説明
1:口金
2:シール構造体
3a:糸条冷却装置本体
3b:冷却風吹出面
3c:底板
4:紡糸筒
5a:傾斜板
5b:回動装置
6:油剤付与装置
7:糸条吸引装置
8:第1引取ローラ
9:第2引取ローラ
10:断糸検出器
11:昇降装置
12:風速計
13:測定治具
Y:マルチフィラメント糸条

Claims (7)

  1. 各錘毎に設けられた円筒状の冷却風吹出面から円筒中心に向って放射状に吹き出される冷却風中に熱可塑性ポリマーからなるマルチフィラメント糸条を口金からそれぞれ紡出し、紡出された糸条を前記冷却風によって冷却して溶融紡糸する際の冷却風の管理方法において、
    前記冷却風吹出面を下降させて前記口金との間に空間を形成し、前記空間から前記冷却風吹出面の上端面に蓋をして冷却風の上端面からの漏れを気密に塞ぎ、前記風吹出面に対して予め設定した位置で冷却風の風速を測定し、測定した風速値または風速分布が所定の管理基準値内に収まるように管理することを特徴とする溶融紡糸における冷却風の管理方法。
  2. 前記冷却風の風速測定を紡出された前記糸条を前記空間から放流しながら行うことを特徴とする、請求項1に記載の溶融紡糸における冷却風の管理方法。
  3. 前記風速測定を熱線式風速計で行なうことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の溶融紡糸における冷却風の管理方法。
  4. 前記風速測定を定期点検後や定期補修後における紡糸機の立上げなどの定期的な行事、あるいは断糸処理などの合間を利用して行なうことを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載の溶融紡糸における冷却風の管理方法。
  5. 熱可塑性ポリマーを紡出する口金と、前記口金の下方に設けられた糸条冷却装置と、前記口金と前記糸条冷却装置との間に設けられる徐冷ゾーンを糸条走行方向以外に漏れ出さないように気密にシールすると共に前記糸条冷却装置の上部に固設されたシール構造体と、前記糸条冷却装置の上部に付設され且つ円筒状の形状を有してその円筒中心に向って放射状に冷却風を吹き出す冷却風吹出面と、前記糸条糸条冷却装置を昇降自在とする昇降装置と、前記昇降装置によって下降された糸条糸条冷却装置に付設された前記冷却風吹出面の上端面を気密に塞ぐ測定蓋と、前記測定蓋が取り付けられた前記冷却風吹出面から吹き出される冷却風の風速を予め設定された位置で測定する風速計とを備え、
    前記風速計によって測定された冷却風の風速データが管理基準値内に収まるように冷却風の風速を管理する溶融紡糸における冷却風の管理装置。
  6. 溶融紡糸中に発生する断糸を検出する断糸検出器を備え、且つ前記昇降装置が断糸処理を行なうために前記断糸検出器からの断糸検出信号に基づいて前記糸条糸条冷却装置を下降させる装置であることを特徴とする、請求項5に記載の溶融紡糸における冷却風の管理装置。
  7. 前記風速計を所定の測定位置に位置決めする位置決め治具を備えたことを特徴とする、請求項5又は請求項6に記載の溶融紡糸における冷却風の管理装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN102899760A (zh) * 2012-09-24 2013-01-30 江苏中润纤维科技股份有限公司 一种复合纤维的生产工艺及其工艺设备

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