JP2009203442A - プレス加工用中間体製造方法、及び該方法により製造される光学部材用中間体 - Google Patents

プレス加工用中間体製造方法、及び該方法により製造される光学部材用中間体 Download PDF

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Abstract

【課題】高屈折率で線膨張率が小さい高品位な光学部品を、加熱プレス成形により高歩留まり、かつ高い生産性で製造することが可能なプレス加工用中間体及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】粉粒体として供給される無機微粒子含有の熱可塑性樹脂を、分散液に均一に混合して懸濁液9とし、更にこの懸濁液9を体積計量投下し、計量投下後の懸濁液9から分散液を加熱蒸発させて中間体17を得ることで、高精度に計量された中間体17を得ることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、高屈折率で線膨張率が小さい高品位なレンズ等の光学部品を、加熱プレス成形により高歩留まり、かつ高い生産性で製造することが可能なプレス加工用中間体製造方法、及び該方法により製造される光学部材用中間体に関する。
近年の携帯カメラやDVD,CD,MOドライブといった光情報記録機器の高性能化、小型化、低コスト化に伴って、これら記録機器に用いられる光学レンズやフィルタ等の光学部材に対しても、優れた材料や工程の開発が強く望まれている。
プラスチックレンズは、ガラスなどの無機材料に比べ軽量で割れにくく、様々な形状に加工でき、また、ガラス製レンズよりもコスト面で有利となるため、眼鏡レンズのみならず、上記の光学部材としても急速に普及しつつある。
これに伴い、レンズを小型・薄肉化するために素材自体を高屈折率化することや、熱膨張や温度変化の影響により光学屈折率が変動することを防止するために線膨張率を小さくすること、などが重要課題となっている。
そして、上記のレンズの高屈折率化や、線膨張率の低減を目的として、プラスチックレンズ用の樹脂材料として、熱可塑性樹脂中に金属酸化物微粒子などの無機微粒子を均一に分散させた無機微粒子含有の熱可塑性樹脂(ナノコンポジット樹脂とも呼ばれる)を使用することが研究されている。
ところで、これまで、プラスチックレンズ用の樹脂材料からレンズを大量生産する方法としては、射出成形による方法、又は、加熱プレス成形による方法が主流になっている。
ここに、射出成形による製造方法の場合では、樹脂材料に十分な加熱流動性を付与できれば、樹脂材料を成形金型内空間の隅々まで行き渡らせることで、均一の寸法と重量、光学特性を備えた高品位なレンズを比較的容易に得ることができる。
ところが、一般に、ナノコンポジット樹脂は、加熱時の流動性が悪く、樹脂材料を成形金型内空間の隅々まで行き渡らせることができないため、射出成形には適さない(例えば、特許文献1参照)。特に、高精度の転写が必要となる光学部品を作成する場合には射出成形は適さない。
そこで、粉末状のナノコンポジット樹脂を加熱プレス成形により所定のレンズ形状に成形する方法(例えば特許文献2参照)や、粉末状のナノコンポジット樹脂を一旦溶融状態にした後、押出機による押し出し成形により所定の大きさのプレス加工用中間体に形成し、このプレス加工用中間体を加熱プレス成形により最終のレンズ形状に成形する方法(例えば、特許文献3、特許文献4参照)が提案された。
特開2006−343387号公報 特開平7−133119号公報 特開2003−147090号公報 特開2005−146116号公報
ところで、近年急激に需要が増加している携帯電話用のレンズは、例えば、直径6mm、レンズ厚1mm程度のものが中心で、中心厚精度を±0.001mmの精度で成形することが要求される。その場合に、成形時に投入する材料の重量は概ね±0.1mg以下の精度で管理する必要がある。
しかし、上記のいずれの特許文献にも、ナノコンポジット樹脂の計量を±0.1mg以下の精度で実現することは困難であり、携帯電話用のレンズ等の小型の光学部品の製造に適用した場合には、成形金型への樹脂材料の投入量のばらつきにより、成形後の製品における光学特性にばらつきが生じるなどして、製品歩留まりが大きく低下するという問題が生じてしまう。
更に、粉末状のナノコンポジット樹脂を加熱プレス成形により所定のレンズ形状に成形する方法では、成形金型への樹脂材料の投入する際に飛散が生じ易いなど、取り扱い性(ハンドリング性)の点でも問題があった。
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたもので、携帯電話用のレンズ等の小型の光学部品の製造に適用した場合に、高屈折率で線膨張率が小さい高品位な光学部品を、加熱プレス成形により高歩留まり、かつ高い生産性で製造することが可能なプレス加工用中間体製造方法、及び該方法により製造される光学部材用中間体を提供することを目的としている。
本発明の上記目的は、下記プレス加工用中間体製造方法、及び光学部材用中間体によって達成される。
(1)無機微粒子含有の熱可塑性樹脂のプレス加工用中間体製造方法であって、
粉粒体として供給される無機微粒子含有の熱可塑性樹脂を分散液に均一に混合して懸濁液とし、
前記懸濁液を中間体受けへ体積計量投下し、
計量投下後の懸濁液から分散液を蒸発させて中間体を得ることを特徴とするプレス加工用中間体製造方法。
上記のプレス加工用中間体製造方法では、粉粒体として供給される無機微粒子含有の熱可塑性樹脂(ナノコンポジット樹脂粉粒体)は、そのままでは計量せず、分散液に均一に混合して懸濁液とした状態で体積計量するため、分散液への均一混合が守られていれば、分散液による希釈倍率に相応して計量精度を向上させることができ、ナノコンポジット樹脂粉粒体の計量としては、±0.1mg以下の精度で計量することも容易になる。
そして、体積計量により投下した懸濁液から分散液を蒸発させて得た中間体は、高精度に計量されたナノコンポジット樹脂粉粒体であるため、該中間体を成形金型に投入することで、成形金型への樹脂材料の投下量のばらつきを無くすことができる。
従って、上記のプレス加工用中間体製造方法で製造した中間体を加熱プレス成形することで、加熱プレス成形時における成形金型への樹脂材料の投下量のばらつきに起因した製品歩留まりの低下を防止して、ナノコンポジット樹脂の特性を活かした高屈折率で線膨張率が小さい高品位な光学部品を、高歩留まりで生産することができる。
(2)前記分散液が、少なくとも水とアルコールを含んでいることを特徴とする上記(1)に記載のプレス加工用中間体製造方法。
上記プレス加工用中間体製造方法で使用する分散液は、ナノコンポジット樹脂が溶解することなく、また、粉体を取り扱う際の防爆のための配慮が必要なく、設備を低価格で揃えることができる。
(3)前記懸濁液は、体積計量投下が完了するまで、撹拌して均一な混合状態を維持することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のプレス加工用中間体製造方法。
上記のプレス加工用中間体製造方法によれば、攪拌を続けることで、体積計量投下が完了するまで、懸濁液中のナノコンポジット樹脂粉粒体の沈殿によって均一混合状態が損なわれることが無くなり、懸濁液の体積計量によって、正確な量のナノコンポジット樹脂粉粒体の投下を実現することができる。
(4)前記懸濁液を冷却によりシャーベット状態にして均一な混合状態を維持することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のプレス加工用中間体製造方法。
上記のプレス加工用中間体製造方法によれば、懸濁液をシャーベット状態にしたことで、懸濁液中のナノコンポジット樹脂粉粒体の沈殿が生じ難くなり、懸濁液中のナノコンポジット樹脂粉粒体の均一混合状態を維持し易くなる。
また、シャーベット状態にしたことにより、流動性が調整し易くなり、例えば押出機を利用した押し出しにより、体積計量することも可能になる。
(5)計量投下前の前記懸濁液が、飽和蒸気を維持する容器内に収容されていることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか一つに記載のプレス加工用中間体製造方法。
上記のプレス加工用中間体製造方法によれば、計量投下前の懸濁液中の水分等の蒸発を抑制することができ、分散液とナノコンポジット樹脂粉粒体との混合比率が分散液の蒸発により変動して、体積計量の精度に影響を及ぼすことを防止することができる。
(6)前記体積計量が分注手段または押出切断手段により実施されることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか一つに記載のプレス加工用中間体製造方法。
上記のプレス加工用中間体製造方法によれば、懸濁液の粘度によって、体積計量の手段を選定することで、懸濁液の粘度に拘わらず、作業性の良い体積計量を行うことが可能になる。
例えば、粘度が低く流動性が高い懸濁液の場合は、ディスペンサを使った分注手段による体積計量を選定することにより、円滑に、作業性良く体積計量することができる。
また、粘度が高く流動性が低い懸濁液の場合は、押出機により懸濁液を一定断面の棒状に押し出し、押し出し長が規定量に達したときに切断する押出切断手段を選定することで、容易に体積計量することができる。
(7)計量投下後の前記懸濁液を前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg以上に加熱することで、前記熱可塑性樹脂を一部融着させて凝集体とすることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれか一つに記載のプレス加工用中間体製造方法。
上記のプレス加工用中間体製造方法によれば、ガラス転移温度Tg以上に加熱することで、ナノコンポジット樹脂粉粒体の粒子相互の緩やかな繋がりが発生して一塊に凝集化するため、粉体の場合の飛散が起こらず、取り扱い性(ハンドリング性)が向上する。
(8)上記(1)〜(7)のいずれか一つに記載のプレス加工用中間体製造方法により製造されたことを特徴とする光学部材用中間体。
上記の光学部材用中間体は、高精度に計量されているため、当該中間体を加熱プレス成形することで、加熱プレス成形時における成形金型への樹脂材料の投入量のばらつきに起因した製品歩留まりの低下を防止して、ナノコンポジット樹脂の特性を活かした高屈折率で線膨張率が小さい高品位な光学部品を、高歩留まり、かつ高い生産性で生産することができ、カメラ付き携帯電話の撮像ユニットに好適な微小なレンズ等の光学部品を、安価に提供することが可能になる。
本発明によれば、高精度に計量されたナノコンポジット樹脂粉粒体の中間体を得ることができるため、該中間体を加熱プレス成形することで、高屈折率で線膨張率が小さい高品位なレンズ等の光学部品を高歩留まり、かつ高い生産性で製造することが可能になる。
以下、本発明に係るプレス加工用中間体製造方法、及び該方法により製造される光学部材用中間体の好適な実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
図1(a)〜(c)は本発明に係るプレス加工用中間体製造方法の第1の実施の形態おける工程説明図である。
本実施の形態のプレス加工用中間体製造方法では、まず、図1(a)に示したように、粉粒体として供給されるナノコンポジット樹脂粉粒体(無機微粒子含有の熱可塑性樹脂粉粒体)2を混合容器5の上部に配置された投入機3により混合容器5に投入して、更に、混合容器5内へ分散液供給管路7から投入される分散液と均一に混合して懸濁液9を得る。
混合容器5内における分散液とナノコンポジット樹脂粉粒体2との均一混合は、混合容器5内に装備された撹拌用フィン11をモータ11aにより撹拌駆動して行う。
次いで、分散液にナノコンポジット樹脂粉粒体2が均一に混合された懸濁液9を、混合容器5にチューブ12により接続された分注手段としてのディスペンサ13により体積計量して、中間体受け15に投下する。
連続した投下作業を行う場合、複数の中間体受け15をベルトコンベヤ14により搬送して、実施することができる。これ以外の構成としては、例えば、中間体受け15を格子位置に並べ、ディスペンサ13を移動することにより投下作業を実施することもできる。このような中間体受け15は、専用の受け部品で構成してもよく、プレス工程でのプレス駒で構成してもよい。
そして、図1(b)に示したように中間体受け15に投下された所定体積の懸濁液9は、図示していない蒸発処理部に移して分散液を加熱蒸発させて、図1(c)に示したように所定重量のナノコンポジット樹脂粉粒体2である中間体17を得る。この所定重量としては、目標とするレンズの重さであっても良く、また、レンズよりも小さい一定単位の中間体とすることもできる。従って、この場合、複数の中間体によってレンズを加熱プレス成形することとなる。
図1(c)に示した中間体受け15はその底部をレンズ形状面としており、このまま、乾燥・プレス成形により、光学レンズを提供することができる。なお、中間体受け15は底部をレンズ形状面とする以外にも、単なる平板や窪みを有する器程度の物など、投下される懸濁液9を一塊りとして受け取れる形状であればよい。また、表面は撥水性であることで、懸濁液9は表面張力で球体に近くなるため、ハンドリング性、プレス性に有利に働き、さらに分散液の蒸発後も中間体が中間体受け15から剥がれやすい。具体的には、撥水加工でも良く、また、吸水性の布(ベンコットン)なども蒸発に吸水が加わるので、蒸発が早くなる。
ここに、ナノコンポジット樹脂粉粒体2とは、熱可塑性樹脂中に所定粒子径の無機微粒子を均一に分散させた材料で、用途によって、分散させる無機微粒子の粒子径が異なってくる。
例えば、ナノコンポジット樹脂粉粒体2が、レンズ等の光学部品用粉粒体の場合は、分散させる無機微粒子の平均粒子径は1〜15nmとされ、それ以外の用途の場合の樹脂粉粒体では、分散させる無機微粒子の平均粒子径は1〜300nm程度とされる。
ここで、投入機3は各種粉供給機が利用可能であり、スクリュー式、振動式などが好ましい。そして、分散液との混合前に用意される粉体としては、その乾燥としては、蒸発乾固や再沈など、特に限定は無いが、良好に分散し、沈殿を防ぐために粒径は小さいほど良く、また粉の真密度は分散媒と近い方が良い。ナノコンポジット材料の場合、比重は分散媒より高くなる傾向があるので、嵩高い粉とすることが望ましい。従って、スプレードライや凍結乾燥で粉体化した物が好適である。
このようなナノコンポジット樹脂粉粒体2の詳細については後述する。
[分散液について]
本実施の形態の場合、ナノコンポジット樹脂粉粒体2を混合させる分散液は、少なくとも水とアルコールを含んでいる。これらの混合液が分散性、扱いやすさ(防爆不要)、揮発しやすさの点で好ましい。
また、分散液において、ナノコンポジット樹脂粉粒体2の含有濃度は、濃度が高すぎるとナノコンポジット樹脂粉粒体2の分散性が悪くなり、濃度が低すぎると粘度が低くなり過ぎて、直ぐに沈殿する傾向が強くなり、こちらも分散性が悪化する。好ましくは30〜90wt%に設定すると良く、より好ましくは、40〜75wt%に設定すると良い。この範囲で攪拌を強くすると、懸濁液9をクリーム状とすることができ、計量およびハンドリングが良好に行える。
アルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブチルアルコールなどを利用することができる。これ以外の分散液混合物としては、アミド系でDMF(ジメチルフォムドアミド),NMP(N-メチルピロリドン)が利用でき、これ以外にアセトニトリル、アセトン、DMSO(ジメチルスルホキシド)、THF(テトラヒドロフラン)などが利用できる。また、分散媒の組成としては、例えば、水とメタノールの場合、水:メタノール=4:1の比率が分散性が比較的よい。
本実施の形態の場合、混合容器5内の懸濁液9は、ディスペンサ13による体積計量投下が完了するまで、撹拌用フィン11による撹拌を継続して、均一な混合状態を維持する。
本実施の形態の場合、懸濁液9を貯留している混合容器5には、該容器の上方開口部を密封する蓋18と、蓋18で覆われた混合容器5内の空間21を飽和蒸気に維持する調湿機23とが装備されている。
調湿機23は、混合容器5内に貯留している全懸濁液9の体積計量投下が完了するまで、混合容器5内の空間21を飽和蒸気に維持する。
換言すると、本実施の形態の場合、計量前の懸濁液9は、飽和蒸気を維持する容器5内に収容されている。
図1(b),(c)に示すように、体積計量された中間体受け15内の懸濁液9から分散液を蒸発させる処理は、加熱することによって行う。
この時の加熱温度は、熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg〜Tg+150℃の範囲、好ましくはTg〜Tg+100℃、更に好ましくはTg〜Tg+75℃で行う。この加熱により分散液を蒸発させると、加熱時の熱でナノコンポジット樹脂粉粒体2の粒子相互の緩やかな繋がりが発生して一塊に凝集化するため、ナノコンポジット樹脂粉粒体2の粉粒状態を残したまま一塊に凝集した中間体17が得られる。
この中間体17は、粉体の場合のように飛散が起こらず、取り扱い性(ハンドリング性)が向上する。更に、加熱による流動性を持つので加熱プレス成形する際の成形性をも有する。
なお、分散液を蒸発させる時の加熱温度をTgより低くすると、粉粒体相互の融着が起こらず、凝集ができない。また、加熱温度がTg+150℃を超えると材料熱劣化が起こる。
蒸発処理にかかる時間は、サイズや処理温度にも依るが、10秒以上60分以下、より好ましくは、30s以上10分以下である。短いと完全に蒸発せずプレスの工程で透明性低下など諸問題を起こしたり、材料間の融着力が弱く、ハンドリングが難しいといった問題がある。逆に長すぎると、材料が熱劣化する問題がある。一般に温度が高いほど蒸発は短時間で済む。ナノコンポジット樹脂を溶解する溶媒を用いた場合、乾燥時間は長くなり、好ましくない。
以上に説明した第1の実施の形態のプレス加工用中間体製造方法では、粉粒体として供給されるナノコンポジット樹脂粉粒体2は、そのままでは計量せず、分散液に均一に混合して懸濁液9とした状態で体積計量するため、分散液への均一混合が守られていれば、分散液による希釈倍率に相応して計量精度を向上させることができ、ナノコンポジット樹脂粉粒体2の計量としては、±0.1mg以下の精度で計量することも容易になる。
そして、図1(b),(c)に示すように、体積計量により投下した懸濁液9から分散液を蒸発させて得た中間体17は、高精度に計量されたナノコンポジット樹脂粉粒体2であるため、該中間体17を成形金型に投入することで、成形金型への樹脂材料の投入量のばらつきを高精度に抑制することができる。
従って、上記のプレス加工用中間体製造方法で製造した中間体17を加熱プレス成形に用いることで、樹脂材料の投入量のばらつきに起因した製品歩留まりの低下を防止して、ナノコンポジット樹脂の特性を活かした高屈折率で線膨張率が小さい高品位な光学部品を、高歩留まり、かつ高い生産性で生産することができる。
また、以上に説明した第1の実施の形態のプレス加工用中間体製造方法の場合、ナノコンポジット樹脂粉粒体2を混合する分散液は、少なくとも水とアルコールを含んでいる構成のため、ナノコンポジット樹脂が溶解することがないことで、蒸発が短時間で済み、さらに、取り扱いの際に防爆のための配慮が必要なく、設備を低価格で揃えることができる。さらに、水やアルコールは表面張力が大きいため、計量後の懸濁液は球になりやすく、ハンドリング性、プレス性に優れる。
また、以上に説明した第1の実施の形態のプレス加工用中間体製造方法の場合、混合容器5内の懸濁液9は、体積計量投下が完了するまで、撹拌して均一な混合状態を維持する。
そのため、体積計量投下が完了するまで、懸濁液9中のナノコンポジット樹脂粉粒体2の沈殿によって均一混合状態が損なわれることが無くなり、懸濁液9の体積計量によって、正確にナノコンポジット樹脂粉粒体2の重量計測を実現することができる。
なお、第1の実施の形態では、撹拌には撹拌用フィン11を使用しているが、撹拌素子の回転、容器そのものの回転、超音波振動(ホモジナイザー)などの構成としても良く、またこれ以外にも、ニーダーや混練機(1軸、2軸のどちらでもよい)などを利用可能であり、均一な分散が実現できれば他の撹拌手段を利用してもよい良い。
また、以上に説明した第1の実施の形態のプレス加工用中間体製造方法の場合、懸濁液9が、調湿機23により飽和蒸気を維持する容器5内に収容されている。そのため、懸濁液9中の水分等の蒸発を抑制することができ、分散液とナノコンポジット樹脂粉粒体2との混合比率が水分等の蒸発により変動して、体積計量の精度に影響を及ぼすことを防止することができる。
また、以上に説明した第1の実施の形態のプレス加工用中間体製造方法の場合、計量投下後の懸濁液9を加熱することによって分散液を蒸発させる。
そのため、分散液を蒸発させた時の加熱により、ナノコンポジット樹脂粉粒体2相互が融着して一塊に凝集する凝集化が起こるため、粉体の場合の飛散が起こらず、取り扱い性(ハンドリング性)が向上する。
そして、第1の実施の形態のプレス加工用中間体製造方法により製造された中間体17が光学部材用中間体であるとき、当該中間体17を加熱プレス成形することで、加熱プレス成形時における成形金型への樹脂材料の投入量のばらつきに起因した製品歩留まりの低下を防止して、ナノコンポジット樹脂の特性を活かした高屈折率で線膨張率が小さい高品位な光学部品を、高歩留まり、かつ高い生産性で生産することができ、カメラ付き携帯電話の撮像ユニットに好適な微小なレンズ等の光学部品を、安価に提供することが可能になる。
なお、本発明のプレス加工用中間体製造方法において、混合容器5内の懸濁液9は、冷却によりシャーベット状態にして均一な混合状態を維持するようにしても良い。
懸濁液9をシャーベット状態にすると、懸濁液9中のナノコンポジット樹脂粉粒体2の沈殿が生じ難くなり、懸濁液9中のナノコンポジット樹脂粉粒体2の均一混合状態を維持し易くなる。
また、シャーベット状態にしたことにより、流動性が調整し易くなり、例えば押出機を利用した押し出しにより、体積計量することも可能になる。
また、本発明に係るプレス加工用中間体製造方法において、中間体受け15に計量投下後の懸濁液9に対して、分散液を蒸発させる方法は上記の第1の実施の形態に示した加熱に限らない。例えば、真空蒸発により分散液を蒸発させるようにしても良い。その場合には、加熱による乾燥を促進することができ、乾燥後直ちに次の段階に進むとができ、工程の迅速化が図れる。
本発明のプレス加工用中間体製造方法において、懸濁液9を体積計量する方法は、第1の実施の形態に示した分注による方法に限らず、ナノコンポジット樹脂粉粒体2の含有濃度によっては、上記のように押出機を利用した体積計量も選択可能である。
即ち、例えば、含有濃度が50wt%より低く流動性が高い懸濁液9の場合は、第1の実施の形態のようにディスペンサ13を使った分注手段による体積計量を選定することにより、円滑に、作業性良く体積計量することができる。
ディスペンサ13は、各種方式(体積式、エア式、非接触式など)があるが、本件では体積式が精度が高く、安定しているので好ましい。
また、含有濃度が50wt%より高く流動性が低い懸濁液9の場合は、押出機により懸濁液9を一定断面の棒状に押し出し、押し出し長が規定量に達したときに切断する押出切断手段を選定することで、容易に体積計量することができる。
図2は本発明に係るプレス加工用中間体製造方法の第2の実施形態おける概略構成図、図3は図2のA矢視図である。なお、図1と同様の構成・作用を有する要素には同じ番号を付して、説明を流用する。
ナノコンポジット樹脂粉粒体2の含有濃度が50wt%より濃く流動性が比較的低い懸濁液9が、混合容器5内で第1の実施形態と同様の工程を経て作成される。この懸濁液9は、押出機200に投下される。
そして、押出機200内に投入された懸濁液9は、押出機200内で攪拌され、押出機200内から気泡なく押し出される。この攪拌された懸濁液9を押し出す際に、所定押し出し量で懸濁液9を切断することで泥状の懸濁液9が所定の量だけ正確に取り出される。なお、混合する分散液は第1の実施形態に使用する液体と同じでよい。
図2に示した押出機200の構成・動作を更に具体的に説明する。この押出機200は、先端にノズル32を有するシリンダ33を備え、このシリンダ33内には、シリンダ33内に投入された材料をノズル32側に送り出す押出スクリュ34が配設されている。また、シリンダ33の基端側には、材料として懸濁液9を混合容器5からシリンダ33内に投入する際に懸濁液9を導くホッパ36が取り付けられている。
ホッパ36の上方には、混合容器5下部に接続されたチューブ6が配置され、チューブ6の中間位置にバルブ8が配置され、このバルブ8の調整により適度な落下容量を維持しつつ、懸濁液9がホッパ36に導かれてシリンダ33内へ投入される。
ホッパ36にはナノコンポジット樹脂粉粒体2を含む懸濁液9が残留することを避けるために、振動手段36aが側面位置に配置されていてもよい。この振動手段36a以外でもホッパ36内での懸濁液9の残留を抑制できる手段であればよい。
押出スクリュ34の後端には、該スクリュ34を回転させ、スクリュ34に押し出し回転動作をさせるモータ・減速機セット39と、ノズル32の先端内部に配置された樹脂圧センサ32aからの信号を受けて押し出し圧力を検出し、更にモータ・減速機セット39のモータ回転負荷を検出する為のロードセル38とが配設されている。
また、ノズル32の先端には、ノズル32から押し出された懸濁液9を所定の量で切断するカッター30が設けられている。
押出機200は、シリンダ33内に2本の押出スクリュ34を互いに平行に装備した2軸型のものと、1本の押出スクリュ34を装備した単軸型のものとがあるが、特に限定しない。また、懸濁液9の分散性が悪くすぐにナノコンポジット粉粒体が沈殿するような場合には、混練作用の強い2軸型の押出機を使用することが望ましい。
更に、押出スクリュ34は、混練りに適した形状がよく、例えば、ニーディングディスクや、逆ねじ型と言われるひねった形状のものが望ましい。また、脱気が押出機200の目的の一つなので、短軸、2軸にかかわらず、ある程度圧縮力のかかる形状のスクリュが望ましい。
また、押出機200が設置されている場所の雰囲気を窒素置換し、窒素雰囲気中での懸濁液9の押出しを実行しても良い。
ノズル32の開口部の断面形状(ダイ形状)は、円形、多角形、星形など押し出し可能であれば、限定はない。そして、ダイ形状が円形の場合は、直径0.5〜4mmとすると良い。
ノズル32の開口部が円形断面の場合、直径が0.5mm以下では、押し出す懸濁液9が長くなりすぎて、プリフォームとして使いにくくなる。また、直径が4mm以上では、微小な計量調整が難しくなり、計量精度の向上が難しくなる。
また、吐出流量をより安定させるために、ノズル32とカッター30との間に、ギアポンプを設けてもよい。
次に、図3のように、カッター30は、定速回転する円板30aの外周に、一枚の切断刃30bを設けたもので、ノズル32の開口部から一定速度で懸濁液9が押し出されている時に、ノズル32の開口部を切断刃30bが一定時間間隔で通過することで、一定長さのプレス加工用中間体41に切断していく。
このカッター30としては、円板30aの外周に、等間隔で複数枚の切断刃30bを放射状に設けた構成のものを使用しても良い。また、ファンカッター式カッターを使用する構成としても良い。更に、切断線平行軸回り回転のカッターとしても良い。
なお、本実施の形態では、懸濁液9がノズル32から所定長押し出されたときに、切断刃30bがノズル32の開口を通過して切断するもので、懸濁液9の切断がゾル状態で行われている。これにより、切断時に粉が発生し難くなっている。
また、本実施の形態では、押出機200における懸濁液9の押し出し速度を一定にしておいて、円板30aの定速回転により切断刃30bを一定時間間隔でノズル32の直前を通過させることで、一定長のプレス加工用中間体41を得る方式である。
しかし、ノズル32からの懸濁液9の押し出し長を監視していて、押し出し長が一定長に達したときに切断刃30bがノズル32の直前を通過するように、カッター30を間欠動作させる方式にしても良い。
ただし、前者の方式の方が、制御が容易になり、生産性が向上する。
更に、押し出される懸濁液9の太さについてもレーザー検出等により測定することが可能であり、切断のタイミングをより正確に設定することが可能となる。
カッター30の前方には、切断されたプレス加工用中間体41を受ける中間体受け25と、該中間体受け25を図3の矢印B方向に搬送するベルト式の搬送手段26とが装備されている。
なお、本実施形態では、中間体受け25と搬送手段26を設けているが、単に、コンベヤ上に切断されたプレス加工用中間体41をキャッチしても良い。
ここで、カッター30による切断後は、第1の実施形態と同様の乾燥処理を行ってもよい。その場合には、懸濁液9の濃度が高いために、乾燥時間は短縮される。
本実施の形態のプレス加工用中間体41によれば、粉粒体として供給されるナノコンポジット樹脂粉粒体2は、そのままでは計量せず、分散液に均一に混合して懸濁液9とした状態で体積計量するため、分散液への均一混合が守られていれば、分散液による希釈倍率に相応して計量精度を向上させることができ、ナノコンポジット樹脂粉粒体2の計量としては、±0.1mg以下の精度で計量することも容易になる。
本実施形態では、懸濁液9が高濃度であるため、乾燥の時間が短くて済む。
また、上記のプレス加工用中間体41は、加熱することで一塊の中間体となるため、取り扱い性(ハンドリング性)や計量性に優れ、製品化のための加熱プレス成形の際に、成形金型への樹脂材料の投入量を均一に管理することが容易にできる。
本実施形態では、懸濁液9が高濃度のため、乾燥の時間が短くて済むほか、高濃度であるが故に粉粒体間の接触点が増え、加熱乾燥した際の融着力が強くなり、よりハンドリング性が向上する。
即ち、製品化のための加熱プレス成形の際に、成形金型への樹脂材料の投入量を均一に管理することがより容易であり、且つ、成形金型内に投入した樹脂材料は成形金型内の隅々まで行き渡らせることができるため、加熱プレス成形により高精度な樹脂成形品を安定して生産することが可能になり、無機微粒子含有の熱可塑性樹脂の特質を活かした樹脂成形品を高歩留まり、かつ高い生産性で製造することが可能になる。
更に、上記実施の形態のプレス加工用中間体41において、無機微粒子含有の熱可塑性樹脂の成分が光学部品用粉粒体として調製されたものである場合には、加熱プレス成形により良好な光学特性を有する高精度な光学部品を安定して生産することが可能になり、例えば、ディジタルカメラやカメラ付き携帯に使用される微小なレンズ等の光学部品の高精度化を実現すると同時に、製品歩留まりを向上させることができる。
また、上記のプレス加工用中間体41からレンズを製造する場合に、プレス加工用中間体41に流動性が確保されているために、加熱プレス成形等に材料に局部的な応力等が作用しない。そのため、製造するレンズに複屈折や着色等の欠陥が発生せず、無機微粒子含有の熱可塑性樹脂の特質を活かして高屈折率で線膨張率が小さい高品位なレンズを高歩留まり、かつ高い生産性で製造することが可能になる。
図4は本発明に係るプレス加工用中間体製造方法の第3の実施形態おける概略構成図である。なお、図2,3と同様の構成・作用を有する要素には同じ番号を付して、説明を流用する。
本実施形態では、第2の実施形態に準ずる押出機に対して、ナノコンポジット樹脂粉粒体2と分散液とを別々に投入する構成としている。
この押出機300は、先端にノズル32を有するシリンダ33を備え、このシリンダ33内には、シリンダ33内に投入された材料をノズル32側に送り出す押出スクリュ34が配設されている。シリンダ33の外周にはヒータ35が取り付けられている。また、シリンダ33の基端側には、材料としてナノコンポジット樹脂粉粒体2をシリンダ33内に投入するホッパ36が取り付けられている。ホッパ36のノズル32側位置には、分散液供給口37が配置され、分散液供給口37には分散液の貯留された分散液タンク37aが接続されている。
また、加熱押出の際にナノコンポジット樹脂粉粒体2から揮発する残留溶媒、低分子揮発成分や分散媒を除くために、シリンダ33にベント穴31を設けたり、更にベント穴31を利用して減圧することで、より積極的に揮発成分を除去することもできる。ヒータ35による加熱は、分散媒の沸点以下として、懸濁液9を濃縮する程度にする。
なお、ヒータ35は混練の効果をより向上するために配置されているが、ヒータ35が配置されていなくても、混練及びプレス加工用中間体41の押出しは可能である。
また、ヒータ35を配置して加熱押出をする場合には、切断刃30bの温度は、ガラス転移温度Tg〜Tg+50℃の範囲に保つことが望ましい。刃先の温度は、低すぎると材料の温度が低下し、割れてしまい高精度切断が出来ない。高すぎると、刃先に材料が付着し、精度が低下したり、生産性が低下したりする。
ホッパ36がシリンダ33に接している部分は熱くなって、ナノコンポジット樹脂粉粒体2が融着することも考えられるので、この部分には冷却手段36aを配置してもよい。また、ホッパ36には、ナノコンポジット樹脂粉粒体2が残留することを避けるために、振動手段が例えば側面位置に配置されていてもよい。これは振動手段以外でもホッパ36内での粉粒体の残留を抑制できる手段であればよい。
押出スクリュ34の後端には、該スクリュ34を回転させ、スクリュ34に押し出し回転動作をさせるモータ・減速機セット39と、ノズル32の先端内部に配置された樹脂圧センサ32aからの信号を受けて押し出し圧力を検出し、更にモータ・減速機セット39のモータ回転負荷を検出する為のロードセル38とが配設されている。
また、ノズル32の先端には、ノズル32から押し出された懸濁液9を所定の長さのプレス加工用中間体41とするように切断するカッター30が設けられている。
ホッパ36から一定量の供給速度で供給されるナノコンポジット樹脂粉粒体2が、シリンダ33内で押出スクリュ34によりノズル32の方向に移動され、分散液供給口37からの分散液供給を受ける。この時、ナノコンポジット樹脂粉粒体2の含有濃度が50wt%より濃くなる程度の一定値に分散液が供給され、懸濁液状態となる。
この押出スクリュ34による懸濁液9の押出しに合わせて、投入機3からのナノコンポジット樹脂粉粒体2と分散液供給口37からの分散液とを定量連続供給することで、懸濁液9への均質な押し出し力をより確実に一定に安定させることができる。
ここで、押出スクリュ34は、混練りに適した形状がよく、例えば、ニーディングディスクや回転方向が異なる逆ねじ型などがある。この場合も、ある程度圧縮のかかる形状のスクリュが望ましい。
投入機3は振動式が最も安定してナノコンポジット樹脂粉粒体2を供給できるが、テーブル式、スクリュ式など、懸濁液9の押出に合わせて一定量の供給速度でナノコンポジット樹脂粉粒体2を供給できる方式であれば、いずれの方式でもよい。
カッター30による切断以降については、前述の図3の説明と同様である。また、分散液の構成、凝集体の条件、押出機300の各部寸法、配置、細部構成については、図2の押出機200に準ずる。
尚、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。例えば、本実施形態では、粉粒体を供給した後に分散液を押出機に添加しているが、逆でも良い。また、本発明を適用可能な光学部材としては、各種レンズだけでなく、液晶ディスプレイなどの導光板、偏光フィルムや位相差フィルムなどの光学フィルム、などが挙げられる。
〈ナノコンポジット樹脂粉粒体〉
次に、本発明において、光学部品用中間体に成形される光学材料用粉粒体としてのナノコンポジット樹脂粉粒体(無機微粒子が熱可塑性樹脂に結合されたナノコンポジット素材)について、以下に詳細に説明する。
[無機微粒子]
本発明に用いられる有機無機複合材料には、数平均粒子サイズが1〜15nmの無機微粒子としている。無機微粒子の数平均粒子サイズは、小さすぎると該微粒子を構成する物質固有の特性が変化する場合があり、逆に大きすぎるとレイリー散乱の影響が顕著となり、有機無機複合材料の透明性が極端に低下する場合がある。従って、本発明における無機微粒子の数平均粒子サイズは1〜15nmにすることが必要であり、好ましくは2〜13nmであり、より好ましくは3〜10nmである。
本発明に用いられる無機微粒子としては、例えば、酸化物微粒子、硫化物微粒子、セレン化物微粒子、テルル化物微粒子等が挙げられる。より具体的には、チタニア微粒子、酸化亜鉛微粒子、ジルコニア微粒子、酸化錫微粒子、硫化亜鉛微粒子等を挙げることができ、好ましくは、チタニア微粒子、ジルコニア微粒子、硫化亜鉛微粒子であり、より好ましくはチタニア微粒子、ジルコニア微粒子であるが、これらに限定されるものではない。本発明では、1種類の無機微粒子を用いてもよいし、複数種の無機微粒子を併用してもよい。
本発明に用いられる無機微粒子の波長589nmにおける屈折率は、1.90〜3.00であることが好ましく、1.90〜2.70であることがより好ましく、2.00〜2.70であることがさらに好ましい。屈折率が1.90以上である無機微粒子を用いれば屈折率が1.65より大きい有機無機複合材料を作成しやすくなり、屈折率が3.00以下の無機微粒子を用いれば透過率が80%以上の有機無機複合材料を作成しやすい傾向がある。なお、本発明における屈折率は、アッベ屈折計(アタゴ社DR−M4)にて波長589nmの光について25℃で測定した値である。
[熱可塑性樹脂]
本発明で用いられる熱可塑性樹脂の構造には特に制限がなく、たとえば、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ポリビニルカルバゾール、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリチオウレタン、ポリイミド、ポリエーテル、ポリチオエーテ、ポリエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等の公知の構造を有する樹脂を例示することができるが、本発明では少なくとも、高分子鎖末端、または側鎖に無機微粒子と任意の化学結合を形成しうる官能基を有する熱可塑性樹脂が特に好ましい。このような熱可塑性樹脂としては、
(1)高分子鎖末端、または側鎖に下記から選ばれる官能基を有する熱可塑性樹脂
Figure 2009203442
[R11、R12、R13、R14は、それぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、あるいは、置換または無置換のアリール基を表す。]、−SO3H、−OSO3H、−CO2H、または−Si(OR15m116 3-m1[R15、R16はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、あるいは、置換または無置換のアリール基を表し、m1は1〜3の整数を表す。];
(2)疎水性セグメントおよび親水性セグメントで構成されるブロック共重合体;
が好ましい例として挙げられる。
以下、熱可塑性樹脂(1)について、詳細に説明する。
熱可塑性樹脂(1)
本発明で用いられる熱可塑性樹脂(1)は、高分子鎖末端、側鎖に無機微粒子と化学結合を形成しうる官能基を有する。ここで、「化学結合」とは、例えば、共有結合、イオン結合、配位結合、水素結合等が挙げられ、官能基が複数存在する場合は、それぞれ無機微粒子と異なる化学結合を形成しうるものであってもよい。化学結合を形成しうるか否かは、有機溶媒中において熱可塑性樹脂と無機微粒子とを混合したときに、熱可塑性樹脂の官能基が無機微粒子と化学結合を形成しうるか否かで判定する。熱可塑性樹脂の官能基は、そのすべてが無機微粒子と化学結合を形成していてもよいし、一部が無機微粒子と化学結合を形成していてもよい。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するコポリマーであることが特に好ましい。このようなコポリマーは、下記一般式(2)で表わされるビニルモノマーを共重合することにより得ることができる。
一般式(1)
Figure 2009203442
一般式(2)
Figure 2009203442
一般式(1)および一般式(2)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、Xは−CO2−、−OCO−、−CONH−、−OCONH−、−OCOO−、−O−、−S−、−NH−、および、置換または無置換のアリーレン基からなる群より選ばれる2価の連結基を表し、より好ましくは−CO2−またはp−フェニレン基である。
Yは炭素数が1〜30である2価の連結基を表す。炭素数は1〜20が好ましく、2〜10がより好ましく、2〜5がさらに好ましい。具体的には、アルキレン基、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アリーレン基、アリーレンオキシ基、アリーレンオキシカルボニル基、およびこれらを組み合わせた基を挙げることができ、好ましくはアルキレン基である。
qは0〜18の整数を表す。より好ましくは0〜10の整数であり、さらに好ましくは0〜5の整数であり、特に好ましくは0〜1の整数である。
Zは、前記[化1]に示される官能基である。
以下に一般式(2)で表されるモノマーの具体例を挙げるが、本発明で用いることができるモノマーはこれらに限定されるものではない。
Figure 2009203442
本発明において一般式(2)で表わされるモノマーと共重合可能な他の種類のモノマーとしては、Polymer Handbook 2nd ed.,J.Brandrup,Wiley lnterscience (1975) Chapter 2 Page 1〜483に記載のものを用いることができる。
具体的には、例えば、スチレン誘導体、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、ビニルカルバゾール、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、イタコン酸ジアルキル類、前記フマール酸のジアルキルエステル類またはモノアルキルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等を挙げることができる。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂(1)の重量平均分子量は1,000〜500,000であることが好ましく、3,000〜300,000であることがさらに好ましく、10,000〜100,000であることが特に好ましい。前記熱可塑性樹脂(1)の重量平均分子量を500,000以下とすることにより、成形加工性が向上する傾向にあり、1,000以上とすることにより力学強度が向上する傾向にある。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂(1)において、無機微粒子と結合する上記官能基はポリマー鎖1本あたり平均0.1〜20個であることが好ましく、0.5〜10個であることがより好ましく、1〜5個であることが特に好ましい。前記官能基の含有量がポリマー鎖一本あたり平均20個以下であれば、熱可塑性樹脂(1)が複数の無機微粒子に配位して溶液状態で高粘度化やゲル化が起こるのを防ぎやすい傾向がある。また、ポリマー鎖一本あたり平均官能基の数が0.1個以上であれば、無機微粒子を安定に分散させやすい傾向がある。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂(1)のガラス転移温度は80℃〜400℃であることが好ましく、130℃〜380℃であることがより好ましい。ガラス転移温度が80℃以上の樹脂を用いれば十分な耐熱性を有する光学部品が得られやすくなり、また、ガラス転移温度が400℃以下の樹脂を用いれば成形加工が行いやすくなる傾向がある。
上記のように、本発明に係る光学部材の材料であるナノコンポジット樹脂素材は、特定の構造を有する単位構造を樹脂中にもたせることにより、無機微粒子が分散している有機無機複合材料の高屈折性と高透明性を損なうことなく、成形金型からの離型性を向上させることができる。
上記の材料によれば、優れた離型性と高屈折性と透明性とを併せ持つ有機無機複合材料、およびそれを含んで構成される、高精度と高透明性と高屈折性とを併せ持つ光学部品を提供できる。
(a)〜(c)は本発明に係るプレス加工用中間体製造方法の第1の実施の形態おける工程説明図である。 本発明に係るプレス加工用中間体製造方法の第2の実施の形態おける概略構成である。 図2のA方向矢視図である。 本発明に係るプレス加工用中間体製造方法の第3の実施の形態おける概略構成図である。
符号の説明
2 ナノコンポジット樹脂粉粒体(粉粒体として供給される無機微粒子含有の熱可塑性樹脂)
3 投入機
5 混合容器
7 分散液供給管路
8 バルブ
9 懸濁液
11 撹拌用フィン
11a モータ
12 チューブ
13 ディスペンサ(分注手段)
15 中間体受け
17 中間体
18 蓋
21 空間
23 調湿機
25 中間体受け
30 カッター
30a 円板
30b 切断刃
32 ノズル
33 シリンダ
34 押出スクリュ
35 ヒータ
36 ホッパ
41 中間体
200,300 押出機

Claims (8)

  1. 無機微粒子含有の熱可塑性樹脂のプレス加工用中間体製造方法であって、
    粉粒体として供給される無機微粒子含有の熱可塑性樹脂を分散液に均一に混合して懸濁液とし、
    前記懸濁液を中間体受けへ体積計量投下し、
    計量投下後の懸濁液から分散液を蒸発させて中間体を得ることを特徴とするプレス加工用中間体製造方法。
  2. 前記分散液が、少なくとも水とアルコールを含んでいることを特徴とする請求項1記載のプレス加工用中間体製造方法。
  3. 前記懸濁液は、体積計量投下が完了するまで、撹拌して均一な混合状態を維持することを特徴とする請求項1又は2記載のプレス加工用中間体製造方法。
  4. 前記懸濁液を冷却によりシャーベット状態にして均一な混合状態を維持することを特徴とする請求項1又は2記載のプレス加工用中間体製造方法。
  5. 計量投下前の前記懸濁液が、飽和蒸気を維持する容器内に収容されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のプレス加工用中間体製造方法。
  6. 前記体積計量が分注手段または押出切断手段により実施されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のプレス加工用中間体製造方法。
  7. 計量投下後の前記懸濁液を前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg以上に加熱することで、前記熱可塑性樹脂を一部融着させて凝集体とすることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のプレス加工用中間体製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のプレス加工用中間体製造方法により製造されたことを特徴とする光学部材用中間体。
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