JP2009203246A - 水溶性高分子化合物及びこれを含有する水系コーティング剤組成物 - Google Patents
水溶性高分子化合物及びこれを含有する水系コーティング剤組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2009203246A JP2009203246A JP2006121914A JP2006121914A JP2009203246A JP 2009203246 A JP2009203246 A JP 2009203246A JP 2006121914 A JP2006121914 A JP 2006121914A JP 2006121914 A JP2006121914 A JP 2006121914A JP 2009203246 A JP2009203246 A JP 2009203246A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polymer compound
- water
- soluble polymer
- acid
- mass
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08F—MACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
- C08F8/00—Chemical modification by after-treatment
- C08F8/40—Introducing phosphorus atoms or phosphorus-containing groups
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K8/00—Cosmetics or similar toiletry preparations
- A61K8/18—Cosmetics or similar toiletry preparations characterised by the composition
- A61K8/30—Cosmetics or similar toiletry preparations characterised by the composition containing organic compounds
- A61K8/69—Cosmetics or similar toiletry preparations characterised by the composition containing organic compounds containing fluorine
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K8/00—Cosmetics or similar toiletry preparations
- A61K8/18—Cosmetics or similar toiletry preparations characterised by the composition
- A61K8/72—Cosmetics or similar toiletry preparations characterised by the composition containing organic macromolecular compounds
- A61K8/81—Cosmetics or similar toiletry preparations characterised by the composition containing organic macromolecular compounds obtained by reactions involving only carbon-to-carbon unsaturated bonds
- A61K8/8141—Compositions of homopolymers or copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and at least one being terminated by only one carboxyl radical, or of salts, anhydrides, esters, amides, imides or nitriles thereof; Compositions of derivatives of such polymers
- A61K8/8152—Homopolymers or copolymers of esters, e.g. (meth)acrylic acid esters; Compositions of derivatives of such polymers
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61Q—SPECIFIC USE OF COSMETICS OR SIMILAR TOILETRY PREPARATIONS
- A61Q11/00—Preparations for care of the teeth, of the oral cavity or of dentures; Dentifrices, e.g. toothpastes; Mouth rinses
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61Q—SPECIFIC USE OF COSMETICS OR SIMILAR TOILETRY PREPARATIONS
- A61Q11/00—Preparations for care of the teeth, of the oral cavity or of dentures; Dentifrices, e.g. toothpastes; Mouth rinses
- A61Q11/02—Preparations for deodorising, bleaching or disinfecting dentures
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C09—DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- C09D—COATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
- C09D143/00—Coating compositions based on homopolymers or copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and containing boron, silicon, phosphorus, selenium, tellurium, or a metal; Coating compositions based on derivatives of such polymers
- C09D143/02—Homopolymers or copolymers of monomers containing phosphorus
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K2800/00—Properties of cosmetic compositions or active ingredients thereof or formulation aids used therein and process related aspects
- A61K2800/40—Chemical, physico-chemical or functional or structural properties of particular ingredients
- A61K2800/57—Compounds covalently linked to a(n inert) carrier molecule, e.g. conjugates, pro-fragrances
Landscapes
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Animal Behavior & Ethology (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Public Health (AREA)
- Veterinary Medicine (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Birds (AREA)
- Epidemiology (AREA)
- Oral & Maxillofacial Surgery (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Wood Science & Technology (AREA)
- Materials Engineering (AREA)
- General Chemical & Material Sciences (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Polymers & Plastics (AREA)
- Paints Or Removers (AREA)
- Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
- Cosmetics (AREA)
- Dental Preparations (AREA)
- Polysaccharides And Polysaccharide Derivatives (AREA)
Abstract
【課題】口腔内に適用することにより、フッ素を口腔内に長時間滞留させうる水溶性高分子化合物、及びこれを含有する水系コーティング剤、ならびにこの水溶性高分子化合物の製造方法を提供する。
【解決手段】モノフルオロリン酸構造を、共有結合を介して分子中に有する水溶性高分子化合物。
【選択図】なし
【解決手段】モノフルオロリン酸構造を、共有結合を介して分子中に有する水溶性高分子化合物。
【選択図】なし
Description
本発明は、新規の水溶性高分子化合物及びその製造方法、ならびにこの水溶性高分子化合物を含有する水系コーティング剤組成物に関するものである。
従来から、口腔の疾患の一つであるう蝕予防を目的に、フッ素化合物配合歯磨剤の使用が日常のセルフケア行動として推奨されている。フッ素化合物のう蝕予防機構は、初期の虫歯部位を再石灰化により修復し、元の健康な歯質に回復させることである。ここでフッ素化合物としては、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸及びフッ化スズが挙げられる。また、この種の歯磨剤においては、その効果を向上させるために、フッ素イオン供給化合物の口腔内滞留性を上げる技術の開発が行われているが、さらに効果的にフッ素の口腔内滞留性を向上させることが要望されている。
一方、水系で処理できる水系コーティング剤組成物が提案されている。水系コーティング剤組成物の場合、洗浄剤に入れてもよい等の処理が簡単であることや、家庭で処理できる等のメリットがある。水系のフッ化物の歯面作用に関する技術としては、カチオン性高分子のフッ化物を配合し、う蝕予防効果を高める技術(例えば特許文献1:特開平3−5417号公報)、フッ素化合物とカチオン化セルロースに特定の香料成分を配合することで、フッ素化合物の口腔内滞留性、歯磨剤の使用感、安定性を向上させる技術(例えば特許文献2:特開2001−163743号公報)が提案されている。
しかしながら、これらの方法ではフッ素が唾液によって希釈して流出し、う蝕予防効果が短時間で消失してしまうといった問題点があり、口腔内にフッ素をさらに長時間滞留させうる手段が望まれていた。なお、本発明に関連する先行技術文献としては下記が挙げられる。
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、口腔内に適用することにより、フッ素を口腔内に長時間滞留させうる水溶性高分子化合物、及びこれを含有する水系コーティング剤組成物、ならびにこの水溶性高分子化合物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、モノフルオロリン酸基を、分子中に共有結合を介して有する水溶性高分子化合物を口腔内に適用すると、フッ素を口腔内に長時間滞留させることができることを知見した。また、水酸基を有する高分子化合物とジフルオロリン酸とを反応させ、水酸基含有高分子をモノフルオロリン酸化することにより、効率よく高分子化合物の分子中にモノフルオロリン酸基を共有結合させることができることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
従って、下記発明を提供する。
[1].モノフルオロリン酸構造を、共有結合を介して分子中に有する水溶性高分子化合物。
[2].[1]記載の高分子化合物を含有する水系コーティング剤組成物。
[3].水酸基を有する高分子化合物とジフルオロリン酸とを反応させることを特徴とする[1]記載の高分子化合物の製造方法。
[1].モノフルオロリン酸構造を、共有結合を介して分子中に有する水溶性高分子化合物。
[2].[1]記載の高分子化合物を含有する水系コーティング剤組成物。
[3].水酸基を有する高分子化合物とジフルオロリン酸とを反応させることを特徴とする[1]記載の高分子化合物の製造方法。
本発明の水溶性高分子化合物及びその製造方法、ならびにこの水溶性高分子化合物を含有する水系コーティング剤組成物によれば、フッ素を口腔内に長時間滞留させることができる。
本発明の水溶性高分子化合物は、モノフルオロリン酸構造を、共有結合を介して分子中に有する水溶性高分子化合物である。モノフルオロリン酸構造としては、モノフルオロリン酸又はその塩を示す。モノフルオロリン酸塩としては、モノフルオロリン酸ナトリウム、モノフルオロリン酸カリウム等が挙げられる。具体的には、下記構造式(1)で表されるモノフルオロリン酸構造を、共有結合を介して分子中に有する水溶性高分子化合物である。
本発明の水溶性高分子化合物は、モノフルオロリン酸構造を、共有結合を介して有するモノマーからなる構成単位を有しているものであればよく、モノフルオロリン酸構造は主鎖に有していてもよく、側鎖に有していてもよい。水溶性高分子化合物中のフッ素導入量は、0.5〜40質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜20質量%、さらに好ましくは1〜10質量%である。なお、フッ素導入量については、後述する試験例に記載する。また、水溶性高分子化合物の全モノマーからなる構成単位に対するモノフルオロリン酸構造を、共有結合を介して有するモノマーからなる構成単位の割合は、20〜100質量%が好ましく、より好ましくは50〜100%である。
本発明の水溶性高分子化合物は、種々の方法を用いることができる。例えば、モノフルオロリン酸構造を、共有結合を介して有するモノマーを重合させる方法、分子中に水酸基を有する高分子化合物とジフルオロリン酸とを反応させる方法が挙げられる。モノフルオロリン酸構造を有するモノマーを重合させる方法では、重合反応中にモノフルオロリン酸が加水分解を受けて脱離するおそれがあるため、モノフルオロリン酸の導入量を高くさせるためには、分子中に水酸基を有する高分子化合物とジフルオロリン酸とを反応させる方法が好ましい。
分子中に水酸基を有する高分子化合物としては、水酸基含有天然高分子化合物、水酸基含有合成高分子化合物が挙げられる。水酸基含有天然高分子化合物としては、分子中に水酸基を有する天然高分子化合物であれば特に限定されるものではなく、具体的には、例えば、分子中に水酸基を有する多糖類、タンパク質、糖タンパク質及びこれらの分解物等が挙げられる。
多糖類としては、デンプン、グリコーゲン、イヌリン、リケニン、セルロース、ヘミセルロース、アミロペクチン、ヘパリン、ヘパリチン硫酸、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ケラト硫酸、キチン、キトサン、寒天、カラギーナン、アルギン酸、ファーセレラン、ローカストビーンガム、ガラクトマンナン、グアガム、サイリュウガム、タマリンドガム、アラビアガム、トラガカントガム、カラヤガム、ペクチン、アラビノガラクタン、キサンタンガム、プルラン、デキストラン等が挙げられる。これらの中でも、セルロース、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、キチン、キトサン、カラギーナン、アルギン酸、グアガム、タマリンドガム、キサンタンガム、デキストランが好ましい。
タンパク質としては、アビジン、アルブミン、インスリン、エラスチン、カゼイン、グロブリン、ケラチン、コラーゲン、ゼラチン、セリシン、フィブロイン、ムチン、フェツイン、ラクトフェリン、リゾチーム等が挙げられる。これらの中でも、カゼイン、ケラチン、ゼラチン、ムチン、ラクトフェリン、リゾチームが好ましい。
合成高分子化合物としては、分子中に水酸基を有する合成高分子化合物であれば特に限定されるものではなく、具体的には、例えば、分子中に水酸基を有するビニル系、ポリウレタン系、アルキド系、メラミン系、尿素系、フェノール系及びポリエステル系高分子化合物を用いることができる。これらの中でも、反応性と操作性の点から、水酸基を有するビニル系高分子化合物が好ましい。
分子中に水酸基を有するビニル系高分子化合物の合成に必須である水酸基を有するビニル系モノマーとしては、酢酸ビニル、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、3−ヒドロキシメチルスチレン、o−ヒドロキシフェニルビニルケトン、4−ヒドロキシ桂皮酸、11−ヒドロキシ−1−ウンデセン、4−ビニルベンジル4−ヒドロキシブチルエーテル、4−(ヒドロキシメチルフェニルシリル)スチレン、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(α−ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸2,3−ジヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、N−(4−ヒドロキシフェニル)(メタ)アクリルアミド、N−[2−ヒドロキシ−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル](メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸2−[2−(2−ヒドロキシエチル)エトキシ]エチル、(メタ)アクリル酸4−アセチル−3−ヒドロキシフェニル等が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルが好ましい。ただし、酢酸ビニルについては重合後、アセチル基を一部、又は全て加水分解することにより水酸基含有合成高分子化合物とする。なお、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸とメタクリル酸の一方又は両方を示し、「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミドとメタクリルアミドの一方又は両方を示す。
分子中に水酸基を有する合成高分子化合物は、上記水酸基を有するモノマーの重合体、このモノマーと他のモノマーとの共重合体でもよい。この場合、水酸基を有するモノマー以外の構成モノマーとしては、任意のものを用いてよい。例えば、粘膜への吸着性を向上させるためのイオン性モノマー、水溶性を向上させるための水溶性モノマー、滞留性を向上させるための疎水性モノマー等が挙げられる。
具体的には、イオン性モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド(又はそのアンモニウム4級化物)、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド(又はそのアンモニウム4級化物)、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル(又はそのアンモニウム4級化物)、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性モノマー、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アシッドホスホオキシエチルアクリレート、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノメタクリレート、等のアニオン性モノマー、3−ジメチル(メタクリロイルオキシエチル)アンモニウムプロパンスルホネート、3−ジメチル(メタクリロイルオキシエチル)アンモニウムエタンカルボキシレート、3−ジメチル(メタクリロイルオキシエチル)アンモニウムエタンホスフェート等の両性モノマーが挙げられる。
本発明の水溶性高分子化合物の全モノマーからなる構成単位に対するイオン性モノマーからなる構成単位の割合は、0.5〜80質量%が好ましく、より好ましくは1〜50質量%である。
水溶性モノマーとしては、メトキシポリエチレングリコール(p=2〜50;EO(エチレンオキサイド)付加モル数が2〜50個)(メタ)アクリレート等が挙げられる。本発明の水溶性高分子化合物の全モノマーからなる構成単位に対する水溶性モノマーからなる構成単位の割合は、0.5〜80質量%が好ましく、より好ましくは1〜50質量%である。
疎水性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、スチレン等が挙げられる。ただし、疎水性モノマーは高分子化合物の水溶性を損ねない程度の比率で共重合させる必要がある。本発明の水溶性高分子化合物の全モノマーからなる構成単位に対する疎水性モノマーからなる構成単位の割合は、0.01〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%である。
モノマーを重合させる重合方法は、特に限定されるものではなく、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、固相重合法等が用いられる。溶液重合法によって重合する場合、溶媒としては、例えば水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、ヘキサン等の芳香族、脂肪族又は複素環式化合物、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン等の各種有機溶剤が使用できる。重合濃度は特に制限されないが、通常溶媒中のモノマー合計濃度が10〜50質量%で重合するのがよい。なお、重合はランダム共重合であってもブロック共重合であってもよい。
モノマー重合の際に用いる重合開始剤としては、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロリルパーオキサイド等のパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。重合開始剤濃度は、通常、使用するモノマー合計量に対して0.1〜10モル%が好ましい。さらに、分子量を規制するためにアルキルメルカプタンのような連鎖移動剤、ルイス酸化合物等の重合促進剤、リン酸、クエン酸、酒石酸、乳酸等のpH調整剤を使用してもよい。重合温度は、用いられる溶媒、重合開始剤により適宜定められるが、通常、室温〜150℃がよい。重合時間は、1〜10時間である。なお、本発明の高分子化合物は、使用する開始剤の量、重合溶媒の種類、重合時のモノマー濃度等の重合条件を調整することで、分子量を制御することができる。なお、モノフルオロリン酸構造を、共有結合を介して有するモノマーを重合させる場合も同様の重合方法によって得ることができる。
このようにして得られた分子中に水酸基を有する高分子化合物と、ジフルオロリン酸又はその塩とを反応させるにあたり、上記分子中に水酸基を有する高分子化合物から、水、エタノール等のプロトン供与性溶剤を除去することが望ましい。十分に除去されない場合、ジフルオロリン酸が加水分解を受けて、分子中に水酸基を有する高分子化合物と効果的に反応できなくなる。プロトン供与性溶剤の除去の方法としては、減圧下又は真空下へ放置することによる除去、シリカゲル等の乾燥剤を用いた除去等が挙げられる。
分子中に水酸基を有する高分子化合物と、ジフルオロリン酸又はその塩との反応は、外界からの水、エタノール等のプロトン供与性溶剤の混入を防止するため、窒素又はアルゴン等不活性雰囲気下で行うことが好ましい。また、水酸基とジフルオロリン酸との反応は発熱を伴うため、氷浴で冷却しながら、反応温度−20〜50℃、好適には−10〜30℃で、ジフルオロリン酸を徐々に滴下することによって行うことが好ましい。分子中に水酸基を有する高分子化合物と、ジフルオロリン酸又はその塩とのモル比率は、高分子化合物中のモノフルオロリン酸構造の割合に応じて適宜変更できるが、分子中に水酸基を有する高分子化合物:ジフルオロリン酸又はその塩=5:1〜1:5が好ましく、より好ましくは2:1〜1:2である。
分子中に水酸基を有する高分子化合物と、ジフルオロリン酸又はその塩との反応物には、未反応のジフルオロリン酸が残存しているため、減圧乾燥によって除くことが好ましい。その後、透析によって精製してもよい。
本発明の水溶性高分子化合物の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜10,000,000であり、より好ましくは、5,000〜50,000,000である。なお、重量平均分子量は、プルランを基準物質としたゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)による測定値である。
本発明の高分子化合物は水溶性であり、具体的には後述する試験例での水溶性評価方法において、80%以上の数値を示すものをいう。
本発明の水溶性高分子化合物は、例えば口腔に適用し、具体的には塗布することにより、口腔内で成膜して吸着することにより、口腔内でフッ素を長時間滞留させることができる。
本発明の水溶性高分子化合物は歯のコーティング剤として有用であり、水溶性高分子化合物を含有する水系コーティング剤組成物として用いることができる。水系コーティング剤組成物を口腔内に適用することにより、上記効果を得ることができる。水系コーティング剤組成物は、歯磨き剤、歯面コーティング剤、義歯洗浄剤等の口腔用組成物に適用することができる。
水溶性高分子化合物の水系コーティング剤組成物中の配合量は、0.1〜30質量%が好ましく、より好ましくは0.2〜10質量%である。水系コーティング剤組成物としては、本発明の水溶性高分子化合物以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の成分を1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、本発明において、水系とは組成物に含まれる全溶媒中において、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール及びグリセリンの合計割合が最も多い組成物をいう。
任意成分としては、例えば、界面活性剤、洗浄剤、保湿剤、増粘剤、研磨剤、粘結剤、粘稠剤、油分、アルコール類、本発明の高分子化合物以外の高分子化合物、防腐剤、包接化合物、酸化防止剤・抗酸化剤、キレート剤、無機粉体、ガムベース、酸味料、軟化剤、着色料、光沢剤、乳化剤、甘味剤、pH調整剤、香料、色素、生薬、糖類、塩類、アミノ酸類、上記以外の薬効成分、抗菌剤、水等が挙げられる。水系コーティング剤組成物は、上記高分子化合物、必要に応じて任意成分、及び水(残部)を混合し、常法に基づいて得ることができる。
以下、製造例及び試験例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
[製造例1]
セルロースEC−N50(商品名:ハーキュレス製;粘度40〜52mPa・s(トルエン:エタノール=80:20(質量比)の混合溶媒に5%溶解させたときの粘度)・エトキシル含有率48.0〜49.5質量%)1gを50mLの2つ口ナスフラスコに入れ、トルエン10gに懸濁させ、窒素ガスを導入した。氷浴で冷却しながら、ジフルオロリン酸1.5mLを徐々に滴下した。12時間撹拌したのち、エバポレーターで未反応のジフルオロリン酸及びトルエンを除去した。残留物を24時間流水中で透析を行い、最後に水を減圧乾燥で除くことによって、高分子1P(モノフルオロリン酸変性セルロースEC−N50)を得た。
セルロースEC−N50(商品名:ハーキュレス製;粘度40〜52mPa・s(トルエン:エタノール=80:20(質量比)の混合溶媒に5%溶解させたときの粘度)・エトキシル含有率48.0〜49.5質量%)1gを50mLの2つ口ナスフラスコに入れ、トルエン10gに懸濁させ、窒素ガスを導入した。氷浴で冷却しながら、ジフルオロリン酸1.5mLを徐々に滴下した。12時間撹拌したのち、エバポレーターで未反応のジフルオロリン酸及びトルエンを除去した。残留物を24時間流水中で透析を行い、最後に水を減圧乾燥で除くことによって、高分子1P(モノフルオロリン酸変性セルロースEC−N50)を得た。
[製造例2]
撹拌機、環流冷却器及び窒素導入管を取り付けた300mLの4つ口セパラブルフラスコに、エタノール70gを入れ、撹拌しながら窒素導入管より窒素ガスを導入した。次いで、80℃のオイルバスで加温しながら、ここにメタクリル酸2−ヒドロキシエチル60g、及びエタノール40gを混合したモノマー溶液と、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(V−59)0.9gをエタノール30gに溶解した重合開始剤溶液とを2時間かけて連続的に滴下して重合反応を行った。
滴下終了後、窒素を導入しながら3時間加温を続けた後、(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル重合体)を得た。重量平均分子量Mwは50,000であった。
得られたメタクリル酸2−ヒドロキシエチル重合体から、減圧乾燥で溶媒のエタノールを除去し、残った粉末のうち1gを50mLの2つ口ナスフラスコに入れ、窒素ガスを導入した。氷浴で冷却しながら、ジフルオロリン酸2mLを徐々に滴下した。12時間撹拌したのち、エバポレーターで未反応のジフルオロリン酸を除去した。残留物を24時間流水中で透析を行い、最後に水を減圧乾燥で除くことによって、高分子2P(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル−モノフルオロリン酸エステル重合体)を得た。高分子2Pは、下記(2)及び(3)で表されるモノマーからなる構成単位を有し、式(2)で表されるモノマーからなる構成単位の全モノマーからなる構成単位に対する質量%は52質量%であり、(3)で表されるモノマーからなる構成単位の全モノマーからなる構成単位に対する質量%は48質量%である。
撹拌機、環流冷却器及び窒素導入管を取り付けた300mLの4つ口セパラブルフラスコに、エタノール70gを入れ、撹拌しながら窒素導入管より窒素ガスを導入した。次いで、80℃のオイルバスで加温しながら、ここにメタクリル酸2−ヒドロキシエチル60g、及びエタノール40gを混合したモノマー溶液と、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(V−59)0.9gをエタノール30gに溶解した重合開始剤溶液とを2時間かけて連続的に滴下して重合反応を行った。
滴下終了後、窒素を導入しながら3時間加温を続けた後、(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル重合体)を得た。重量平均分子量Mwは50,000であった。
得られたメタクリル酸2−ヒドロキシエチル重合体から、減圧乾燥で溶媒のエタノールを除去し、残った粉末のうち1gを50mLの2つ口ナスフラスコに入れ、窒素ガスを導入した。氷浴で冷却しながら、ジフルオロリン酸2mLを徐々に滴下した。12時間撹拌したのち、エバポレーターで未反応のジフルオロリン酸を除去した。残留物を24時間流水中で透析を行い、最後に水を減圧乾燥で除くことによって、高分子2P(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル−モノフルオロリン酸エステル重合体)を得た。高分子2Pは、下記(2)及び(3)で表されるモノマーからなる構成単位を有し、式(2)で表されるモノマーからなる構成単位の全モノマーからなる構成単位に対する質量%は52質量%であり、(3)で表されるモノマーからなる構成単位の全モノマーからなる構成単位に対する質量%は48質量%である。
[製造例3]
撹拌機、環流冷却器及び窒素導入管を取り付けた300mLの4つ口セパラブルフラスコに、エタノール70gを入れ、撹拌しながら窒素導入管より窒素ガスを導入した。次いで、80℃のオイルバスで加温しながら、ここにメタクリル酸2−ヒドロキシエチル54g、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート(以下、ホスマーMという)6g、及びエタノール40gを混合したモノマー溶液と、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(V−59)0.8gをエタノール30gに溶解した重合開始剤溶液とを2時間かけて連続的に滴下して重合反応を行った。
滴下終了後、窒素を導入しながら3時間加温を続けた後、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル・ホスマーM共重合体を得た。重量平均分子量Mwは60,000であった。
製造例2と同様の方法で、得られたメタクリル酸2−ヒドロキシエチル・ホスマーM共重合体にジフルオロリン酸を反応させ、高分子3P(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル−モノフルオロリン酸エステル・ホスマーM共重合体)を得た。高分子3Pは、下記(2)、(3)、及び(4)で表されるモノマーからなる構成単位を有し、式(2)で表されるモノマーからなる構成単位の全モノマーからなる構成単位に対する質量%は87質量%であり、式(3)で表されるモノマーからなる構成単位の全モノマー単位に対する質量%は3質量%であり、式(4)で表されるモノマーからなる構成単位の全モノマーからなる構成単位に対する質量%は10質量%である。
撹拌機、環流冷却器及び窒素導入管を取り付けた300mLの4つ口セパラブルフラスコに、エタノール70gを入れ、撹拌しながら窒素導入管より窒素ガスを導入した。次いで、80℃のオイルバスで加温しながら、ここにメタクリル酸2−ヒドロキシエチル54g、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート(以下、ホスマーMという)6g、及びエタノール40gを混合したモノマー溶液と、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(V−59)0.8gをエタノール30gに溶解した重合開始剤溶液とを2時間かけて連続的に滴下して重合反応を行った。
滴下終了後、窒素を導入しながら3時間加温を続けた後、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル・ホスマーM共重合体を得た。重量平均分子量Mwは60,000であった。
製造例2と同様の方法で、得られたメタクリル酸2−ヒドロキシエチル・ホスマーM共重合体にジフルオロリン酸を反応させ、高分子3P(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル−モノフルオロリン酸エステル・ホスマーM共重合体)を得た。高分子3Pは、下記(2)、(3)、及び(4)で表されるモノマーからなる構成単位を有し、式(2)で表されるモノマーからなる構成単位の全モノマーからなる構成単位に対する質量%は87質量%であり、式(3)で表されるモノマーからなる構成単位の全モノマー単位に対する質量%は3質量%であり、式(4)で表されるモノマーからなる構成単位の全モノマーからなる構成単位に対する質量%は10質量%である。
[比較製造例1]
撹拌機、環流冷却器及び窒素導入管を取り付けた300mLの4つ口セパラブルフラスコに、エタノール70gを入れ、撹拌しながら窒素導入管より窒素ガスを導入した。次いで、80℃のオイルバスで加温しながら、ここにメタクリル酸2−ヒドロキシエチル20g、メタクリル酸メチル40g、及びエタノール40gを混合したモノマー溶液と、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(V−59)1.5gとをエタノール30gに溶解した重合開始剤溶液を2時間かけて連続的に滴下して重合反応を行った。
滴下終了後、窒素を導入しながら3時間加温を続けた後、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル・メタクリル酸メチル共重合体を得た。重量平均分子量Mwは20,000であった。製造例2と同様の方法で、得られたメタクリル酸2−ヒドロキシエチル・メタクリル酸メチル共重合体にジフルオロリン酸を反応させ、比較高分子1P(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル−モノフルオロリン酸エステル・メタクリル酸メチル共重合体)を得た。
比較高分子1Pは、下記(2)、(3)、及び(5)で表されるモノマーからなる構成単位を有し、式(2)で表されるモノマーからなる構成単位の全モノマーからなる構成単位に対する質量%は2質量%であり、式(3)で表されるモノマーからなる構成単位の全モノマー単位に対する質量%は31質量%であり、式(5)で表されるモノマーからなる構成単位の全モノマーからなる構成単位に対する質量%は67質量%である。
撹拌機、環流冷却器及び窒素導入管を取り付けた300mLの4つ口セパラブルフラスコに、エタノール70gを入れ、撹拌しながら窒素導入管より窒素ガスを導入した。次いで、80℃のオイルバスで加温しながら、ここにメタクリル酸2−ヒドロキシエチル20g、メタクリル酸メチル40g、及びエタノール40gを混合したモノマー溶液と、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(V−59)1.5gとをエタノール30gに溶解した重合開始剤溶液を2時間かけて連続的に滴下して重合反応を行った。
滴下終了後、窒素を導入しながら3時間加温を続けた後、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル・メタクリル酸メチル共重合体を得た。重量平均分子量Mwは20,000であった。製造例2と同様の方法で、得られたメタクリル酸2−ヒドロキシエチル・メタクリル酸メチル共重合体にジフルオロリン酸を反応させ、比較高分子1P(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル−モノフルオロリン酸エステル・メタクリル酸メチル共重合体)を得た。
比較高分子1Pは、下記(2)、(3)、及び(5)で表されるモノマーからなる構成単位を有し、式(2)で表されるモノマーからなる構成単位の全モノマーからなる構成単位に対する質量%は2質量%であり、式(3)で表されるモノマーからなる構成単位の全モノマー単位に対する質量%は31質量%であり、式(5)で表されるモノマーからなる構成単位の全モノマーからなる構成単位に対する質量%は67質量%である。
[試験例1]
製造例で得られた高分子化合物について、フッ素導入量、フッ素放出性、水溶性の評価を、以下に示す方法で行った。評価結果を表1に示す。
製造例で得られた高分子化合物について、フッ素導入量、フッ素放出性、水溶性の評価を、以下に示す方法で行った。評価結果を表1に示す。
<水溶性の評価>
高分子化合物0.5gと水10gとの混合液(a)を調製し、これをガラス容器に入れて25℃で24時間振とうさせた後、高分子化合物溶液部分(b)と、不溶部分(c)とに分けた。高分子化合物溶液部分(b)の質量M[g]を測定した。高分子化合物溶液部分(b)適量約2gを、赤外線水分計((株)ケットエレクトリックラボラトリー製、FD−620)に移し、温度110℃で2分間の水分(%)変動幅が0.1%以下になった時を終点(高分子化合物溶液部分(b)中の水分が失われ、高分子化合物のみとなった状態)とするという条件で、高分子化合物溶液部分(b)中の高分子化合物質量を測定し、赤外線水分計に使用した高分子化合物溶液部分(b)質量から、高分子化合物溶液部分(b)中の高分子化合物濃度D[%]を算出した。この赤外線水分計を用いた測定においては、測定開始時の高分子化合物溶液部分(b)の質量を100として、測定終了後の高分子化合物溶液部分(b)中の水分が失われ、高分子化合物のみとなった質量を相対値で表示する。従って、例えばこの相対値で表示された値が「1」であれば、高分子化合物溶液部分(b)中の高分子化合物濃度D[%]は1質量%となる。
このようにして得られた高分子化合物溶液部分(b)中の高分子化合物濃度D[%]に、高分子化合物溶液部分(b)の質量M[g]を掛け合わせることによって、高分子化合物溶液部分(b)中の溶解している高分子化合物の質量Wd[g]を求めた。
Wd[g]=M[g]×D[%]
得られたWd[g]の値から、高分子化合物0.5gの水10gに対する溶解率Rを下記式で算出した。
R=Wd/0.5×100
高分子化合物0.5gと水10gとの混合液(a)を調製し、これをガラス容器に入れて25℃で24時間振とうさせた後、高分子化合物溶液部分(b)と、不溶部分(c)とに分けた。高分子化合物溶液部分(b)の質量M[g]を測定した。高分子化合物溶液部分(b)適量約2gを、赤外線水分計((株)ケットエレクトリックラボラトリー製、FD−620)に移し、温度110℃で2分間の水分(%)変動幅が0.1%以下になった時を終点(高分子化合物溶液部分(b)中の水分が失われ、高分子化合物のみとなった状態)とするという条件で、高分子化合物溶液部分(b)中の高分子化合物質量を測定し、赤外線水分計に使用した高分子化合物溶液部分(b)質量から、高分子化合物溶液部分(b)中の高分子化合物濃度D[%]を算出した。この赤外線水分計を用いた測定においては、測定開始時の高分子化合物溶液部分(b)の質量を100として、測定終了後の高分子化合物溶液部分(b)中の水分が失われ、高分子化合物のみとなった質量を相対値で表示する。従って、例えばこの相対値で表示された値が「1」であれば、高分子化合物溶液部分(b)中の高分子化合物濃度D[%]は1質量%となる。
このようにして得られた高分子化合物溶液部分(b)中の高分子化合物濃度D[%]に、高分子化合物溶液部分(b)の質量M[g]を掛け合わせることによって、高分子化合物溶液部分(b)中の溶解している高分子化合物の質量Wd[g]を求めた。
Wd[g]=M[g]×D[%]
得られたWd[g]の値から、高分子化合物0.5gの水10gに対する溶解率Rを下記式で算出した。
R=Wd/0.5×100
<フッ素導入量の評価>
高分子化合物の100ppm(質量)水溶液を、誘導結合プラズマ発光分析(ICP)を用いてリン原子の含有量を測定した(λ=214.914nm)。モノフルオロリン酸構造では、フッ素原子が同数あることから、得られた数値をフッ素原子の含有量に換算し、高分子化合物中のフッ素導入量(質量%)とした。ただし、モノフルオロリン酸構造以外にリン酸原子を含むモノマーを共重合した共重合体の場合、その分を差し引いて計算を行う。
高分子化合物の100ppm(質量)水溶液を、誘導結合プラズマ発光分析(ICP)を用いてリン原子の含有量を測定した(λ=214.914nm)。モノフルオロリン酸構造では、フッ素原子が同数あることから、得られた数値をフッ素原子の含有量に換算し、高分子化合物中のフッ素導入量(質量%)とした。ただし、モノフルオロリン酸構造以外にリン酸原子を含むモノマーを共重合した共重合体の場合、その分を差し引いて計算を行う。
<フッ素放出性の評価>
直径30mmのアクリル樹脂に高分子化合物1質量%水溶液を0.1g塗布乾燥させた。これをイモホスファターゼ0.02mg/mLのリン酸緩衝液(pH7)10mLに漬け、24時間、37℃で振とうさせた。溶液のフッ素濃度を、フッ素濃度計を用いて測定し、フッ素放出性を下記評価基準に従って評価した。
評価基準
○:フッ素濃度が0.3ppmを超えていた。
△:フッ素濃度が0.1ppmを超えて0.3ppm以下だった。
×:フッ素濃度が0.1ppm以下だった。
直径30mmのアクリル樹脂に高分子化合物1質量%水溶液を0.1g塗布乾燥させた。これをイモホスファターゼ0.02mg/mLのリン酸緩衝液(pH7)10mLに漬け、24時間、37℃で振とうさせた。溶液のフッ素濃度を、フッ素濃度計を用いて測定し、フッ素放出性を下記評価基準に従って評価した。
評価基準
○:フッ素濃度が0.3ppmを超えていた。
△:フッ素濃度が0.1ppmを超えて0.3ppm以下だった。
×:フッ素濃度が0.1ppm以下だった。
[試験例2]
製造例で得られた高分子化合物についてコーティング性を評価した。
<コーティング性の評価>
鏡面研磨した旭光学(株)製ハイドロキシアパタイト平板(φ7mm;以下、HAP板に高分子化合物1質量%水溶液を0.1g塗布し、乾燥させた。コーティング性を下記評価基準に従って目視で評価した。評価結果を表1に示す。
評価基準
○:平滑な塗膜が均一に形成されている。
△:塗膜の一部が欠損または隆起している。
×:表面が凸凹であり、塗膜は形成されていない。
製造例で得られた高分子化合物についてコーティング性を評価した。
<コーティング性の評価>
鏡面研磨した旭光学(株)製ハイドロキシアパタイト平板(φ7mm;以下、HAP板に高分子化合物1質量%水溶液を0.1g塗布し、乾燥させた。コーティング性を下記評価基準に従って目視で評価した。評価結果を表1に示す。
評価基準
○:平滑な塗膜が均一に形成されている。
△:塗膜の一部が欠損または隆起している。
×:表面が凸凹であり、塗膜は形成されていない。
表1に示されるように、高分子1P〜3Pは、比較高分子1Pと比べて、モノフルオロリン酸構造の導入に優れ、且つ、ホスファターゼによるフッ素放出性を示した。また、優れたコーティング性を示した。
Claims (3)
- モノフルオロリン酸構造を、共有結合を介して分子中に有する水溶性高分子化合物。
- 請求項1記載の高分子化合物を含有する水系コーティング剤組成物。
- 分子中に水酸基を有する高分子化合物と、ジフルオロリン酸又はその塩とを反応させることを特徴とする請求項1記載の高分子化合物の製造方法。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006121914A JP2009203246A (ja) | 2006-04-26 | 2006-04-26 | 水溶性高分子化合物及びこれを含有する水系コーティング剤組成物 |
PCT/JP2007/059023 WO2007125980A1 (ja) | 2006-04-26 | 2007-04-26 | 水溶性高分子化合物及びこれを含有する水系コーティング剤組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006121914A JP2009203246A (ja) | 2006-04-26 | 2006-04-26 | 水溶性高分子化合物及びこれを含有する水系コーティング剤組成物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009203246A true JP2009203246A (ja) | 2009-09-10 |
Family
ID=38655505
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006121914A Pending JP2009203246A (ja) | 2006-04-26 | 2006-04-26 | 水溶性高分子化合物及びこれを含有する水系コーティング剤組成物 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009203246A (ja) |
WO (1) | WO2007125980A1 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019199467A (ja) * | 2018-05-09 | 2019-11-21 | ライオン株式会社 | 義歯床用組成物及び義歯床の装着方法 |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2009054492A1 (ja) * | 2007-10-25 | 2009-04-30 | Lion Corporation | モノフルオロリン酸化高分子化合物 |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS59129278A (ja) * | 1983-01-14 | 1984-07-25 | Kuraray Co Ltd | 歯科・整形外科用接着剤 |
JPS60166363A (ja) * | 1984-02-07 | 1985-08-29 | Kuraray Co Ltd | 耐水性に優れた接着剤 |
JP2653908B2 (ja) * | 1990-09-14 | 1997-09-17 | 大倉工業株式会社 | 成形用化学修飾セルロース材組成物 |
JPH1161032A (ja) * | 1997-08-22 | 1999-03-05 | Kao Corp | 歯のコーティング用ポリマーの製造法 |
-
2006
- 2006-04-26 JP JP2006121914A patent/JP2009203246A/ja active Pending
-
2007
- 2007-04-26 WO PCT/JP2007/059023 patent/WO2007125980A1/ja active Application Filing
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019199467A (ja) * | 2018-05-09 | 2019-11-21 | ライオン株式会社 | 義歯床用組成物及び義歯床の装着方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2007125980A1 (ja) | 2007-11-08 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN107406723B (zh) | 加成-断裂低聚物 | |
JPH10510531A (ja) | フルオロカーボン含有コーティング組成物および使用法 | |
US6063832A (en) | Method of setting a dental cement composition | |
TWI623554B (zh) | 高折射率加成-分裂劑 | |
JP6839566B2 (ja) | 酸性ハイブリッドモノマーおよびそれをベースとする歯科材料 | |
CN103119050A (zh) | 取代的糖类化合物和牙科用组合物 | |
JP4788903B2 (ja) | 共重合体及びこれを含有する組成物 | |
JP2009203246A (ja) | 水溶性高分子化合物及びこれを含有する水系コーティング剤組成物 | |
JP6408683B2 (ja) | 歯科用接着性組成物 | |
JP2015067551A (ja) | 歯科用接着性組成物 | |
JP2010235553A (ja) | リン酸エステル化合物及びそれを含む重合性組成物 | |
JP2007077071A (ja) | 歯科用硬化性材料 | |
JP5552812B2 (ja) | モノフルオロリン酸化高分子化合物 | |
JP4098010B2 (ja) | 口腔用ポリマー | |
JP2009102576A (ja) | モノフルオロリン酸構造を有する高分子化合物の製造方法 | |
JP6988463B2 (ja) | 歯面用微生物付着抑制剤 | |
JP5306697B2 (ja) | 重合性単量体、重合性組成物及び歯科用材料 | |
JP2006151850A (ja) | 義歯床用コーティング材 | |
JP5546790B2 (ja) | 歯科用組成物 | |
JP6292706B2 (ja) | 毛髪化粧料 | |
JP2024045938A (ja) | 歯科用接着性組成物及びポリマー | |
KR101236420B1 (ko) | (메타)아크릴레이트 중합체 제조용 조성물 | |
JP2011026442A (ja) | モノフルオロリン酸化高分子化合物の製造方法 | |
JP4171142B2 (ja) | 水系美爪料 | |
KR101236423B1 (ko) | (메타)아크릴레이트 중합체 제조방법 및 (메타)아크릴레이트 중합체, 이를 포함하는 오일제제 |