JP2009102576A - モノフルオロリン酸構造を有する高分子化合物の製造方法 - Google Patents

モノフルオロリン酸構造を有する高分子化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】(A)分子中に水酸基を有する高分子化合物と(B)ジフルオロリン酸又はその塩とを反応させる、(C)モノフルオロリン酸構造を有する高分子化合物の製造方法において、生成物のフッ素含有率を向上させることを目的とする。
【解決手段】(A)分子中に水酸基を有する高分子化合物と(B)ジフルオロリン酸又はその塩とを、(C)ジメチルスルホキシド、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチル及びリン酸トリフェニルから選ばれる1種又は2種以上の溶媒からなる非プロトン性溶媒中で反応させるモノフルオロリン酸構造を有する高分子化合物を製造する方法であって、(A)分子中に水酸基を有する高分子化合物の水酸基のモル数に対する(B)ジフルオロリン酸又はその塩のモル数の比が5以上である、モノフルオロリン酸構造を有する高分子化合物の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、モノフルオロリン酸構造を有する高分子化合物の製造方法に関するものである。
従来から、口腔の疾患の一つであるう蝕予防を目的に、フッ素化合物配合口腔用組成物が用いられている(特許文献1:特表2006−511553号公報参照)。このフッ素化合物を口腔内で効果的に放出させる技術が望まれていた。これに対して、本発明者らはモノフルオロリン酸構造を有する高分子化合物を提案した。さらに、反応に特定の溶媒を用いた場合に、フッ素含有率のさらなる向上が求められていた。
特表2006−511553号公報
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、分子中に水酸基を有する高分子化合物とジフルオロリン酸又はその塩とを反応させるモノフルオロリン酸構造を有する高分子化合物の製造方法において、生成物のフッ素含有率を向上させること、特に分子中に水酸基を有する高分子化合物として、親水性の高い高分子化合物と反応させる場合に、フッ素含有率を向上させることを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、分子中に水酸基を有する高分子化合物とジフルオロリン酸又はその塩とを、ジメチルスルホキシド、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチル及びリン酸トリフェニルから選ばれる1種又は2種以上の溶媒を有する非プロトン性溶媒中で反応させ、かつこの上記分子中に水酸基を有する高分子化合物の水酸基のモル数に対するジフルオロリン酸又はその塩のモル数の比(以下、DFP/OHと示す場合がある。)を5以上と、過剰にすることで、フッ素含有率が高いモノフルオロリン酸構造を有する高分子化合物が得られること、特に親水性の高い高分子化合物と反応させる場合に、この効果が高いことを知見し、本発明をなすに至ったものである。
従って、本発明は
[1].(A)分子中に水酸基を有する高分子化合物と(B)ジフルオロリン酸又はその塩とを、(C)ジメチルスルホキシド、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチル及びリン酸トリフェニルから選ばれる1種又は2種以上の溶媒を含有する非プロトン性溶媒中で反応させるモノフルオロリン酸構造を有する高分子化合物を製造する方法であって、(A)分子中に水酸基を有する高分子化合物の水酸基のモル数に対する(B)ジフルオロリン酸又はその塩のモル数の比が5以上である、モノフルオロリン酸構造を有する高分子化合物の製造方法。
[2].(A)分子中に水酸基を有する高分子化合物の25℃における溶解度が、テトラヒドロフランに対して5質量%未満であり、ジメチルスルホキシドに対して5質量%以上であることを特徴とする[1]記載のモノフルオロリン酸構造を有する高分子化合物の製造方法。
[3].(A)分子中に水酸基を有する高分子化合物が、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド及びビニルアルコールから選ばれるモノマーを構成単位として含む(共)重合体であることを特徴とする[1]又は[2]記載のモノフルオロリン酸構造を有する高分子化合物の製造方法を提供する。
本発明によれば、(A)分子中に水酸基を有する高分子化合物と(B)ジフルオロリン酸又はその塩とを反応させる、モノフルオロリン酸構造を有する高分子化合物の製造方法において、生成物のフッ素含有率を向上させることができる。
本発明のモノフルオロリン酸構造を有する高分子化合物の製造方法は、(A)分子中に水酸基を有する高分子化合物と(B)ジフルオロリン酸又はその塩とを、(C)ジメチルスルホキシド、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチル及びリン酸トリフェニルから選ばれる1種又は2種以上の溶媒を含有する非プロトン性溶媒中で反応させるモノフルオロリン酸構造を有する高分子化合物を製造する方法であって、(A)分子中に水酸基を有する高分子化合物の水酸基のモル数に対する(B)ジフルオロリン酸又はその塩のモル数の比が5以上である、モノフルオロリン酸構造を有する高分子化合物の製造方法である。
(A)分子中に水酸基を有する高分子化合物
分子中に水酸基を有する高分子化合物としては、水酸基を有する多糖類及びその誘導体、水酸基を有するタンパク質、水酸基を有する合成高分子化合物等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
水酸基を有する多糖類及びその誘導体としては、デンプン、ヒドロキシメチルデンプン、ヒドロキシエチルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、グリコーゲン、イヌリン、リケニン、セルロース、ヘミセルロース、アミロペクチン、ヘパリン、ヘパリチン硫酸、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ケラト硫酸、キチン、キトサン、寒天、カラギーナン、アルギン酸、ファーセレラン、ローカストビーンガム、ガラクトマンナン、グアガム、サイリュウガム、タマリンドガム、アラビアガム、トラガカントガム、カラヤガム、ペクチン、アラビノガラクタン、キサンタンガム、ジェランガム、プルラン、デキストラン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、及びこれらのカチオン化物等が挙げられる。これらの中でも、デンプン、ヒドロキシメチルデンプン、ヒドロキシエチルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、セルロース、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、キチン、キトサン、カラギーナン、アルギン酸、グアガム、タマリンドガム、キサンタンガム、デキストラン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カチオン化セルロース、カチオン化デンプンが好ましく、ヒドロキシプロピルデンプン、セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カチオン化セルロースがより好ましく、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースが特に好ましい。尚、ヒドロキシプロピルセルロースは低置換度のものでもよい。
タンパク質は水酸基を有する高分子化合物であり、アビジン、アルブミン、インスリン、エラスチン、カゼイン、グロブリン、ケラチン、コラーゲン、ゼラチン、セリシン、フィブロイン、ムチン、フェツイン、ラクトフェリン、リゾチーム等が挙げられる。また、タンパク質の分解物としては、カゼインペプチド、カゼインホスホペプチド、ラクトフェリン分解物等が挙げられる。
水酸基を有する合成高分子化合物としては、具体的には、水酸基を有するビニル系、ポリウレタン系、アルキド系、メラミン系、尿素系、フェノール系、ポリエステル系、ポリグリセリン系高分子化合物、また多分岐形状を有する水酸基を有する高分子化合物を用いることができる。これらの中でも、反応性と操作性の点から、水酸基を有するビニル系高分子化合物が好ましく、また、多数の水酸基を有する点から、ポリグリセリン系高分子化合物及び多分岐形状を有する水酸基を有する高分子化合物が好ましい。
水酸基を有する合成高分子化合物は、水酸基を有するモノマー、好ましくはビニル系モノマーの重合体、このモノマーと共重合可能な他のモノマーとの共重合体でもよい。水酸基を有する重合性モノマーは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができ、これらのビニル系モノマーと共重合可能な他のモノマーも1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
水酸基を有するビニル系モノマーとしては、ビニルアルコール、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、3−ヒドロキシメチルスチレン、o−ヒドロキシフェニルビニルケトン、4−ヒドロキシ桂皮酸、11−ヒドロキシ−1−ウンデセン、4−ビニルベンジル4−ヒドロキシブチルエーテル、4−(ヒドロキシメチルフェニルシリル)スチレン、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシメチル、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(ジエチレングリコール)(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(α−ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸2,3−ジヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、N−(4−ヒドロキシフェニル)(メタ)アクリルアミド、N−[2−ヒドロキシ−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル](メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸2−[2−(2−ヒドロキシエチル)エトキシ]エチル、(メタ)アクリル酸4−アセチル−3−ヒドロキシフェニル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリ(エチレングリコール−ポリプロピレングリコール)等の(メタ)アクリル酸ポリアルキレングリコール等が挙げられる。これらの中でも、ビニルアルコール、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリ(エチレングリコール−ポリプロピレングリコール)が好ましく、特に、ビニルアルコール、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミドが好ましい。ただし、ビニルアルコールについては、重合時のモノマーとしては酢酸ビニルを使用し、酢酸ビニル重合体を調製後、アセチル基を一部、又は全て加水分解することによりビニルアルコール重合体とする方法でもよく、本発明において、ポリビニルアルコールは、一部の構成単位が酢酸ビニルであるような部分ケン化物(ビニルアルコール/酢酸ビニル共重合体)を含む。また、本発明において「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸とメタクリル酸の一方又は両方を示し、「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミドとメタクリルアミドの一方又は両方を示す。
水酸基を有するビニル系モノマーからなる構成単位の(A)分子中に水酸基を有する高分子化合物に対する質量%は、フッ素含有率を増加させる観点から、30質量%以上が好ましく、より好ましくは50質量%以上であり、単独重合体(ホモポリマー)であることが好ましい。ただし、ポリビニルアルコールの場合は、上記の部分ケン化物(ビニルアルコール/酢酸ビニル共重合体)が好ましい。その際のビニルアルコールの(A)分子中に水酸基を有する高分子化合物に対する質量%は、フッ素含有率を増加させつつ、水溶性を維持する観点から、30質量%以上99質量%未満が好ましく、より好ましくは50質量%以上95%未満であり、さらに好ましくは70質量%以上90質量%未満である。また、これらにあたるポリビニルアルコールの市販品として、クラレ製のPVA−102、(以下、PVA−を省略)103、104A、105、110、117、120、124(以上、ビニルアルコール/酢酸ビニル共重合体に対するビニルアルコール96〜99質量%)、117H(同98質量%以上)、HC(同99質量%以上)、617、624、613、706、CST(同82〜94質量%)、203、205、210、217、220、224、235、217E、217EE、220E、224E(同76〜81質量%)、403、405、417、420、420H、424H(同64〜72質量%)、L−8、L−9、L−9−78、L−10、505(同53〜66質量%)等が挙げられる。
水酸基を有するモノマーと共重合体可能な他のモノマーとしては、任意のものを用いることができる。例えば、粘膜への吸着性を向上させるためのイオン性モノマー、水溶性を向上させるための水溶性モノマー、滞留性を向上させるための疎水性モノマー等が挙げられる。なお、上記水酸基を有するモノマーは除かれる。
イオン性モノマーとしては、カチオン性モノマーや、アニオン性モノマー、両性モノマーが挙げられる。
カチオン性モノマーとしては、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド(又はそのアンモニウム4級化物)、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド(又はそのアンモニウム4級化物)、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル等が挙げられる。また、アンモニウム4級化物として、具体的には、トリメチルアンモニウムクロライド、エチルジメチルクロライド等が挙げられる。
アニオン性モノマーとしては、アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のリン酸基を有するモノマー、(メタ)アクリル酸、マレイン酸等のカルボン酸基を有するモノマー、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸基を有するモノマーが挙げられる。
両性モノマーとしては、3−ジメチル((メタ)アクリロイルオキシエチル)アンモニウムエタンホスフェート等のリン酸基を有するモノマー、3−ジメチル(メタクリロイルオキシエチル)アンモニウムエタンカルボキシレート等のカルボン酸基を有するモノマー、3−ジメチル(メタクリロイルオキシエチル)アンモニウムプロパンスルホネート等のスルホン酸基を有するモノマー等が挙げられる。
モノフルオロリン酸構造を有する高分子化合物の全モノマーからなる構成単位に対する、イオン性モノマーからなる構成単位の割合の下限は0質量%でもよく、上限は50質量%でもよい。好ましくは0.5〜30質量%であり、より好ましくは1〜20質量%である。50質量%を超えると、フッ素含有率の低下をもたらすおそれがある。
水溶性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール(p=2〜50;EO(エチレンオキサイド)付加モル数が2〜50個)等が挙げられる。モノフルオロリン酸構造を有する高分子化合物の全モノマーからなる構成単位に対する、水溶性モノマーからなる構成単位の割合の下限は0質量%でもよく、0.5〜50質量%が好ましく、さらに好ましくは1〜30質量%である。50質量%を超えると、フッ素含有率の低下をもたらすおそれがある。
疎水性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、スチレン等が挙げられる。ただし、疎水性モノマーはモノフルオロリン酸構造を有する高分子化合物の水溶性を損ねない程度の比率で共重合させるのが好ましい。モノフルオロリン酸構造を有する高分子化合物の全モノマーからなる構成単位に対する、疎水性モノマーからなる構成単位の割合の下限は0質量%でもよく、0.05〜50質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜30質量%である。50質量%を超えると、フッ素含有率の低下と溶解性の低下をもたらすおそれがある。
モノマーを重合させる重合方法は、特に限定されるものではなく、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、固相重合法等が用いられる。溶液重合法によって重合する場合、溶媒としては、例えば水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、ヘキサン、テトラヒドロフラン等の芳香族、脂肪族又は複素環式化合物、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン等の各種有機溶剤が使用できる。重合濃度は特に制限されないが、通常溶媒中のモノマー合計濃度が10〜50質量%で重合するのがよい。なお、共重合はランダム共重合であってもブロック共重合であってもよい。
モノマー重合の際に用いる重合開始剤としては、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロリルパーオキサイド等のパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。重合開始剤濃度は、通常、使用するモノマー合計量に対して0.1〜10モル%が好ましい。さらに、分子量を規制するためにアルキルメルカプタンのような連鎖移動剤、ルイス酸化合物等の重合促進剤、リン酸、クエン酸、酒石酸、乳酸等のpH調整剤を使用してもよい。重合温度は、用いられる溶媒、重合開始剤により適宜定められるが、通常、室温(25℃)〜150℃がよい。重合時間は、1〜10時間である。なお、本発明の高分子化合物は、使用する開始剤の量、重合溶媒の種類、重合時のモノマー濃度等の重合条件を調整することで、分子量を制御することができる。なお、モノフルオロリン酸構造を、共有結合を介して有するモノマーを重合させる場合も同様の重合方法によって得ることができる。
本発明の(A)分子中に水酸基を有する高分子化合物としては、25℃において(C)ジメチルスルホキシド、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチル及びリン酸トリフェニルから選ばれる1種又は2種以上の溶媒からなる非プロトン性溶媒に溶解すればよく、DFP/OH(モル比)5以上とすることによるフッ素含有率向上効果が顕著に現れる。なお、本発明においては、溶解とは660nmにおける透過率が90%以上であることをいう。また、25℃における溶解度が、テトラヒドロフランに対して5質量%未満であり、ジメチルスルホキシドに対して5質量%以上であるものがより好ましく、テトラヒドロフランに対して5質量%未満であり、ジメチルスルホキシドに対して10質量%以上であるものが特に好ましい。(C)非プロトン性溶媒に対する溶解度の上限は特に限定されず、例えば99.99質量%であり、テトラヒドロフランに対する溶解度の下限は0.00質量%である。
本発明の分子中に水酸基を有する高分子化合物としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド及びビニルアルコールから選ばれるモノマーを構成単位として含む(共)重合体が好ましく、かつ25℃における溶解度が、テトラヒドロフランに対して5質量%未満であり、ジメチルスルホキシドに対して5質量%以上であるものが好ましい。特に、ホモポリマーである(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル重合体、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド重合体、ビニルアルコール重合体が好ましい。
分子中に水酸基を有する高分子化合物の重量平均分子量は、モノフルオロリン酸構造を有する高分子化合物の重量平均分子量に合わせて適宜選定される。高分子化合物に結合するモノフルオロリン酸基の酵素反応性の観点から、1,000〜80万が好ましく、より好ましくは4,000〜40万、さらに好ましくは1万〜25万である。なお、分子中に水酸基を有する高分子化合物の重量平均分子量は、使用する開始剤の量、重合溶媒の種類、重合時のモノマー濃度等の重合条件を調整することで、制御することができる。
なお、重量平均分子量の測定方法は、重量平均分子量の測定方法は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、高分子化合物を試料とし、10mM硝酸ナトリウム、20vol%アセトニトリルを含む水を溶離液とし、プルラン標準にて換算して分子量を算出する。具体的には、後述する実施例の記載による。
(B)ジフルオロリン酸又はその塩
ジフルオロリン酸の塩としては、ジフルオロリン酸ナトリウム、ジフルオロリン酸カリウム等のアルカリ金属との塩が挙げられるが、これらの塩よりジフルオロリン酸が好ましい。モノフルオロリン酸構造を有する高分子化合物中のフッ素含有率向上の点から、ジフルオロリン酸の水和物数は0.5水和物又は無水物が好ましい。ジフルオロリン酸の0.5水和物の市販品として、Strem Chemicals製、SynQuest Laboratories製、ABCR製等が挙げられ、無水物の市販品として、Fluorochem製等が挙げられる。
(C)ジメチルスルホキシド、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチル及びリン酸トリフェニルから選ばれる1種又は2種以上の溶媒を含有する非プロトン性溶媒
この非プロトン性溶媒において、ジメチルスルホキシド、リン酸トリメチル、リン酸トリフェニルが好ましく、ジメチルスルホキシドとリン酸トリメチルがより好ましく、ジメチルスルホキシドがさらに好ましい。
ジメチルスルホキシド、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチル及びリン酸トリフェニルから選ばれる1種又は2種以上の溶媒の非プロトン性溶媒中における含有量は70質量%以上が好ましく、より好ましくは80質量%以上であり、100質量%でジメチルスルホキシド、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチル及びリン酸トリフェニルから選ばれる1種又は2種以上の溶媒からなる非プロトン性溶媒が好ましい。上記以外の非プロトン性溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル等のエステル類、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。
本発明においては、(A)分子中に水酸基を有する高分子化合物と(B)ジフルオロリン酸又はその塩とを、(C)ジメチルスルホキシド、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチル及びリン酸トリフェニルから選ばれる1種又は2種以上の溶媒を含有する非プロトン性溶媒中で反応させる。この反応により、分子中の水酸基の水素原子の一部又は全部がモノフルオロリン酸基で置換され、共有結合を介してモノフルオロリン酸基を分子中に有する高分子化合物が得られる。
上記反応において、DFP/OH(モル比)5以上とすることによるフッ素含有率向上効果が現れる。この比は7以上が好ましく、より好ましくは7〜100、さらに好ましくは11〜60である。この範囲で、モノフルオロリン酸構造を有する高分子化合物中のフッ素含有率が特に向上する。なお、上記比率は小数点第1位を四捨五入した値である。
(A)分子中に水酸基を有する高分子化合物と(B)ジフルオロリン酸又はその塩とを、(C)ジメチルスルホキシド、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチル及びリン酸トリフェニルから選ばれる1種又は2種以上の溶媒を含有する非プロトン性溶媒中で反応させる方法としては、(A)分子中に水酸基を有する高分子化合物を(C)非プロトン性溶媒に溶解させた高分子化合物溶解液と、(B)ジフルオロリン酸又はその塩とを混合する方法が挙げられる。混合は、高分子化合物溶解液と(B)ジフルオロリン酸又はその塩のいずれか、又は両方を徐々に滴下しながら混合することが好ましい。高分子化合物溶解液と、(B)ジフルオロリン酸又はその塩とを混合して得られた反応液中のジフルオロリン酸の割合は、30〜95質量%が好ましく、より好ましくは35〜90質量%である。この範囲とすることで、反応液中のジフルオロリン酸濃度増大による、モノフルオロリン酸構造を有する高分子化合物中のフッ素含有率の向上をより図ることができる。
反応温度は、20〜50℃が好ましく、より好ましくは30〜40℃であり、反応時間は1〜72時間が好ましく、より好ましくは10〜24時間である。この範囲とすることで、低温による(C)非プロトン性溶媒の凝固を防ぎ、また、反応性を向上させることによる、フッ素含有率の向上を効果的に図ることができる。
反応物には、未反応のジフルオロリン酸が残存しているため、減圧乾燥によって除く、又は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基性水溶液等の添加によってモノフルオロリン酸塩へと反応させることが好ましい。また、反応液は、ろ過しても、ろ過しなくてもよいが、微量不溶分を除去するためにろ過することが好ましい。ろ過を行う手順は、モノフルオロリン酸構造を有する高分子化合物を、透析後にろ過した後に中和してもよいし、透析し中和した後にろ過してもよい。
本発明の製造方法で得られたモノフルオロリン酸構造を有する高分子化合物は、モノフルオロリン酸構造を、共有結合を介して分子中に有する高分子化合物である。このような高分子化合物を口腔内に適用することにより、酵素反応によってフッ素が放出・徐放され、モノフルオロリン酸構造を有する高分子化合物の口腔内への付着性によって、フッ素を滞留させることができる。一方、分子中に水酸基を有する高分子化合物とモノフルオロリン酸とが、単に混合したり、イオン結合で結合していると、水溶液、特にイオン含有水溶液と混合した際には、モノフルオロリン酸イオンが容易に脱離する。
モノフルオロリン酸構造としては、モノフルオロリン酸又はその塩を示す。モノフルオロリン酸塩としては、モノフルオロリン酸ナトリウム、モノフルオロリン酸カリウム等が挙げられる。具体的には、モノフルオロリン酸構造を有する高分子化合物としては、下記一般式(1)で表されるモノフルオロリン酸基を、共有結合を介して分子中に有する高分子化合物、高分子化合物中の水酸基の水素原子の一部又は全部が下記モノフルオロリン酸基で置換されてなる高分子化合物が挙げられる。
Figure 2009102576
(式中、Mは水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン又はトリエチルアミンを示す。)
なお、高分子化合物中には一般式(1)で表されるモノフルオロリン酸基を1種単独で又は2種以上有することができ、部分中和物でもよい。
また、モノフルオロリン酸構造を有する高分子化合物が(共)重合体の場合、全構成単位に対するモノフルオロリン酸構造を有する構成単位の割合は、5質量%以上が好ましく、より好ましくは20質量%以上である。上限は100質量%が好ましく、このモノマー以外の構成単位の割合に応じて適宜選択され、例えば、上限は95質量%、80質量%等に適宜選択される。
本発明のモノフルオロリン酸構造を有する高分子化合物の重量平均分子量は、高分子化合物に結合したモノフルオロリン酸基の酵素反応性の観点から、1,000〜100万が好ましく、より好ましくは5,000〜50万、さらに好ましくは1万〜30万である。なお、重量平均分子量の測定方法は、上記、水酸基を有する高分子化合物における測定方法と同様である。
モノフルオロリン酸構造を有する高分子化合物のフッ素導入率は0.4〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%である。0.4質量%未満の場合、十分なフッ素放出量が得られない場合がある。また、フッ素導入率は、反応溶媒の種類、ジフルオロリン酸の量、反応時間、反応温度を選定することで、適宜調整することができる。
なお、本発明におけるフッ素導入率は下記測定法による。モノフルオロリン酸構造を有する高分子化合物0.1質量%水溶液1.6gに、1mol/L過塩素酸水溶液2.4gを添加し、密封したPE製蓋付チューブ中に入れて、105℃で10分加熱する。その後、液0.4gを採取し、1.6gの1mol/Lクエン酸カリウム緩衝液(pH5.5)と混合した後、フッ素電極計によりフッ素量:Xp(ppm)を定量する。高分子化合物全質量に対するフッ素の質量濃度(フッ素導入率:F(質量%))を、以下の式により算出する。
F=Xp×1.25
より具体的には、実施例の「フッ素導入率」測定方法による。
本発明のモノフルオロリン酸構造を有する高分子化合物は水溶性であることが好ましい。なお、本発明において「水溶性」とは、下記水溶性評価方法において、80%以上の数値を示すものをいう。また、上記ろ過は、水溶性高分子化合物を得るための好適な手段として用いられる。
<水溶性>
高分子化合物0.5gと水10gとの混合液(a)を調製し、これをガラス容器に入れて25℃で24時間振とうさせた後、遠心分離操作(3000G(29419.95m/s2)、15分)を行い、高分子化合物溶液部分(b)と、不溶部分(c)とに分ける。高分子化合物溶液部分(b)の質量M[g]を測定する。高分子化合物溶液部分(b)適量約2gを、赤外線水分計に移し、温度110℃で2分間の水分(質量%)変動幅が0.1質量%以下になった時を終点(高分子化合物溶液部分(b)中の水分が失われ、高分子化合物のみとなった状態)とするという条件で、高分子化合物溶液部分(b)中の高分子化合物質量を測定し、赤外線水分計に使用した高分子化合物溶液部分(b)の質量から、高分子化合物溶液部分(b)中の高分子化合物濃度D[%]を算出する。この赤外線水分計を用いた測定においては、測定開始時の高分子化合物溶液部分(b)の質量を100として、測定終了後の高分子化合物溶液部分(b)中の水分が失われ、高分子化合物のみとなった質量を相対値で表示する。従って、例えばこの相対値で表示された値が「1」であれば、高分子化合物溶液部分(b)中の高分子化合物濃度D[%]は1質量%となる。
このようにして得られた高分子化合物溶液部分(b)中の高分子化合物濃度D[%]に、高分子化合物溶液部分(b)の質量M[g]を掛け合わせることによって、高分子化合物溶液部分(b)中の溶解している高分子化合物の質量Wd[g]を求める。
d[g]=M[g]×D[%]
得られたWd[g]の値から、高分子化合物0.5gの水10gに対する溶解率Rを下記式で算出する。
R=Wd/0.5×100
本発明のモノフルオロリン酸構造を有する高分子化合物は、例えば口腔内に簡便に適用することができる。具体的には塗布することにより、口腔内でフッ素を放出することができる。歯磨き剤、洗口剤、歯面コーティング剤、義歯洗浄剤等の口腔用組成物に添加して用いることができる。
以下、調製例、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
[調製例1]N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(HEAA)重合体の調製
撹拌機、環流冷却器及び窒素導入管を取り付けた300mLの4つ口セパラブルフラスコに、エタノール85gを入れ、撹拌しながら窒素導入管より窒素ガスを導入した。次いで、90℃のオイルバスで加温しながら、ここにN−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(興人製)30gをエタノール50gに混合したモノマー溶液と、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(商品名V−59:和光純薬製)0.50gをエタノール35gに溶解した重合開始剤溶液とを、それぞれ1時間かけて連続的に滴下して重合反応を行った。
滴下終了後、窒素を導入しながら5時間加温を続けた後、その反応液を3日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量14,000、三光純薬株式会社製)、最後に、水をエバポレータおよび凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(HEAA)重合体25gを得た。
[調製例2]メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)重合体の調製
撹拌機、環流冷却器及び窒素導入管を取り付けた300mLの4つ口セパラブルフラスコに、エタノール85gを入れ、撹拌しながら窒素導入管より窒素ガスを導入した。次いで、90℃のオイルバスで加温しながら、ここにメタクリル酸2−ヒドロキシエチル(東京化成製)30gをエタノール50gに混合したモノマー溶液と、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(商品名V−59:和光純薬製)0.44gをエタノール35gに溶解した重合開始剤溶液とを、それぞれ1時間かけて連続的に滴下して重合反応を行った。
滴下終了後、窒素を導入しながら5時間加温を続けた後、その反応液を3日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量14,000、三光純薬株式会社製)、最後に、水をエバポレータおよび凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)重合体25gを得た。
[調製例3]アクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEA)重合体の調製
撹拌機、環流冷却器及び窒素導入管を取り付けた300mLの4つ口セパラブルフラスコに、エタノール85gを入れ、撹拌しながら窒素導入管より窒素ガスを導入した。次いで、90℃のオイルバスで加温しながら、ここにアクリル酸2−ヒドロキシエチル(東京化成製)30gをエタノール50gに混合したモノマー溶液と、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(商品名V−59:和光純薬製)0.50gをエタノール35gに溶解した重合開始剤溶液とを、それぞれ1時間かけて連続的に滴下して重合反応を行った。
滴下終了後、窒素を導入しながら5時間加温を続けた後、その反応液を3日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量14,000、三光純薬株式会社製)、最後に、水をエバポレータおよび凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEA)重合体26gを得た。
上記製造例で得られた重合体及び下記表1中の高分子化合物について、下記方法で溶媒溶解性を評価した。結果を表中に併記する。
[THF溶解度の評価]
高分子化合物0.5gとテトラヒドロフラン(THF)9.5gを混合し、室温で24時間撹拌した。その後、24時間静置した後、吸光光度計にて660nmにおける透過率を測定した。透過率が90%以上である場合を溶解とすることで、5質量%THF溶液における水酸基含有高分子の溶解性を評価した。
[DMSO溶解度の評価]
上記THF溶解度の評価法において、THFをジメチルスルホキシド(DMSO)にした以外は同様にして、5質量%DMSO溶液における水酸基含有高分子の溶解性を評価した。さらに、5%溶液が溶解した場合に、水酸基含有高分子1.0gとDMSO9.0gを混合し、10質量%DMSO溶液における水酸基含有高分子の溶解性を評価した。以上の溶媒溶解性の評価結果を以下の表に示す。
Figure 2009102576
[実施例1:モノフルオロリン酸ナトリウム化N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(HEAA)重合体、モル比14]
上記調製例1により調製されたN−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(HEAA)重合体1gをジメチルスルホキシド(ドライ:MERCK製)9gに溶解させてから、50mLの2つ口ナスフラスコに入れ、窒素ガスを導入した。25℃の水浴中にフラスコを浸漬しながら、ジフルオロリン酸(0.5水和物、シンクエスト製、比重1.58)8mLを徐々に滴下した(HEAA重合体の水酸基とジフルオロリン酸とのモル比は、水酸基:ジフルオロリン酸=1:14.3)。5時間撹拌したのち、25質量%水酸化ナトリウム水溶液を滴下しpH7に中和した。反応液を72時間流水中で透析し(透析膜の分画分子量14,000、三光純薬株式会社製)、ろ紙(101、アドバンテック東洋株式会社製)を用いてろ過した後、水酸化ナトリウム水溶液によりpH8に調整した。最後に、水をエバポレータ、及び凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、モノフルオロリン酸ナトリウム化N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド重合体0.8gを得た。重量平均分子量Mwは95,000であった。
[実施例2:モノフルオロリン酸ナトリウム化N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(HEAA)重合体、モル比29]
上記実施例1による方法において、ジフルオロリン酸(0.5水和物、シンクエスト製、比重1.58)を16mL(HEAA重合体の水酸基とジフルオロリン酸とのモル比は、水酸基:ジフルオロリン酸=1:28.5)とした以外は同様にして、モノフルオロリン酸ナトリウム化N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド重合体0.7gを得た。重量平均分子量Mwは100,000であった。
[実施例3:モノフルオロリン酸ナトリウム化N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(HEAA)重合体、モル比57]
上記実施例1による方法において、ジフルオロリン酸(0.5水和物、シンクエスト製、比重1.58)を32mL(HEAA重合体の水酸基とジフルオロリン酸とのモル比は、水酸基:ジフルオロリン酸=1:57.0)とした以外は同様にして、モノフルオロリン酸ナトリウム化N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド重合体0.9gを得た。重量平均分子量Mwは100,000であった。
[実施例4:モノフルオロリン酸ナトリウム化N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(HEAA)重合体、モル比11]
上記実施例1による方法において、ジフルオロリン酸(0.5水和物、シンクエスト製、比重1.58)を6mL(HEAA重合体の水酸基とジフルオロリン酸とのモル比は、水酸基:ジフルオロリン酸=1:11.0)とした以外は同様にして、モノフルオロリン酸ナトリウム化N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド重合体0.8gを得た。重量平均分子量Mwは92,000であった。
[実施例5:モノフルオロリン酸ナトリウム化N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(HEAA)重合体、モル比7]
上記実施例1による方法において、ジフルオロリン酸(0.5水和物、シンクエスト製、比重1.58)を4mL(HEAA重合体の水酸基とジフルオロリン酸とのモル比は、水酸基:ジフルオロリン酸=1:7.1)とした以外は同様にして、モノフルオロリン酸ナトリウム化N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド重合体0.8gを得た。重量平均分子量Mwは90,000であった。
[実施例6:モノフルオロリン酸ナトリウム化N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(HEAA)重合体、モル比5]
上記実施例1による方法において、ジフルオロリン酸(0.5水和物、シンクエスト製、比重1.58)を3mL(HEAA重合体の水酸基とジフルオロリン酸とのモル比は、水酸基:ジフルオロリン酸=1:5.3)とした以外は同様にして、モノフルオロリン酸ナトリウム化N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド重合体0.7gを得た。重量平均分子量Mwは86,000であった。
[実施例7:モノフルオロリン酸ナトリウム化N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(HEAA)重合体、モル比14、反応時間18h]
上記実施例1による方法において、ジフルオロリン酸滴下後の撹拌時間(反応時間)を18時間とした以外は同様にして、モノフルオロリン酸ナトリウム化N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド重合体0.9gを得た。重量平均分子量Mwは110,000であった。
[実施例8:モノフルオロリン酸ナトリウム化N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(HEAA)重合体、モル比14、反応温度35℃]
上記実施例1による方法において、水浴温度(反応温度)を35℃とした以外は同様にして、モノフルオロリン酸ナトリウム化N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド重合体0.8gを得た。重量平均分子量Mwは110,000であった。
[実施例9:モノフルオロリン酸ナトリウム化N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(HEAA)重合体、モル比14、リン酸トリメチル]
上記実施例1による方法において、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド重合体1gをジメチルスルホキシド(ドライ:MERCK製)9gに溶解させる代わりに、リン酸トリメチル9gに部分溶解(分散)させた以外は同様にして、モノフルオロリン酸ナトリウム化N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド重合体0.9gを得た。重量平均分子量Mwは80,000であった。
[実施例10:モノフルオロリン酸ナトリウム化N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(HEAA)重合体、モル比14、リン酸トリフェニル]
上記実施例9による方法において、リン酸トリメチルをリン酸トリフェニルとした以外は同様にして、モノフルオロリン酸ナトリウム化N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド重合体0.8gを得た。重量平均分子量Mwは76,000であった。
[実施例11:モノフルオロリン酸ナトリウム化メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)重合体、モル比18]
上記実施例1による方法において、調製例1により得られたN−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド重合体を調製例2により得られたメタクリル酸2−ヒドロキシエチル重合体(HEMA)とした(HEMA重合体の水酸基とジフルオロリン酸とのモル比は、水酸基:ジフルオロリン酸=1:18.4)以外は同様にして、モノフルオロリン酸ナトリウム化メタクリル酸2−ヒドロキシエチル重合体0.7gを得た。重量平均分子量Mwは75,000であった。
[実施例12:モノフルオロリン酸ナトリウム化アクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEA)重合体、モル比16]
上記実施例1による方法において、調製例1により得られたN−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド重合体を調製例3により得られたアクリル酸2−ヒドロキシエチル重合体(HEA)とした(HEA重合体の水酸基とジフルオロリン酸とのモル比は、水酸基:ジフルオロリン酸=1:16.4)以外は同様にして、モノフルオロリン酸ナトリウム化アクリル酸2−ヒドロキシエチル重合体0.9gを得た。重量平均分子量Mwは141,000であった。
[実施例13:モノフルオロリン酸ナトリウム化ポリビニルアルコール(PVA)/酢酸ビニル重合体、モル比26]
上記実施例1による方法において、調製例1により得られたN−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド重合体をポリビニルアルコール/酢酸ビニル共重合体(PVA/酢酸ビニル=70/30質量%、PVA−405、クラレ製)とした(PVA/酢酸ビニル共重合体の水酸基とジフルオロリン酸とのモル比は、水酸基:ジフルオロリン酸=1:25.8)以外は同様にして、モノフルオロリン酸ナトリウム化ポリビニルアルコール/酢酸ビニル共重合体0.7gを得た。重量平均分子量Mwは81,000であった。
[比較例1:モノフルオロリン酸ナトリウム化N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(HEAA)重合体、モル比4]
上記実施例1による方法において、ジフルオロリン酸(0.5水和物、シンクエスト製)を2mL(HEAA重合体の水酸基とジフルオロリン酸とのモル比は、水酸基:ジフルオロリン酸=1:3.6)とした以外は同様にして、モノフルオロリン酸ナトリウム化N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド重合体0.7gを得た。重量平均分子量Mwは74,000であった。
実施例1〜10のモノフルオロリン酸ナトリウム化HEAA重合体は下記式(2),(3)で表される構成単位を有するものである。
実施例1の式(2)で表される構成単位の全構成単位(高分子化合物)に対する質量%は27質量%であり、式(3)で表される構成単位の全構成単位(高分子化合物)に対する質量%は73質量%である。以下同様に、式(2)で表される構成単位の全構成単位(高分子化合物)に対する質量%、式(3)で表される構成単位の全構成単位(高分子化合物)に対する質量%は、実施例2:29質量%、71質量%、実施例3:29質量%、71質量%、実施例4:23質量%、77質量%、実施例5:21質量%、79質量%、実施例6:9質量%、91質量%、実施例7:33質量%、67質量%、実施例8:32質量%、68質量%、実施例9:8質量%、92質量%、実施例10:6質量%、94質量%である。
実施例11のモノフルオロリン酸ナトリウム化HEMA重合体は下記式(4)及び(5)で表される構成単位を有するものである。また、実施例11の式(4)で表される構成単位の全構成単位(高分子化合物)に対する質量%は25質量%であり、式(5)で表される構成単位の全構成単位(高分子化合物)に対する質量%は75質量%である。
実施例12のモノフルオロリン酸ナトリウム化HEA重合体は下記式(6)及び(7)で表される構成単位を有するものである。また、実施例12の式(6)で表される構成単位の全構成単位(高分子化合物)に対する質量%は37質量%であり、式(7)で表される構成単位の全構成単位(高分子化合物)に対する質量%は63質量%である。
実施例13のモノフルオロリン酸ナトリウム化PVA/酢酸ビニル共重合体は下記式(8)、(9)及び(10)で表される構成単位を有するものである。また、実施例13の式(8)で表される構成単位の全構成単位(高分子化合物)に対する質量%は5質量%であり、式(9)で表される構成単位の全構成単位(高分子化合物)に対する質量%は65質量%であり、式(10)で表される構成単位の全構成単位(高分子化合物)に対する質量%は30質量%である。
比較例1のモノフルオロリン酸ナトリウム化HEAA重合体は、下記式(2)及び(3)で表される構成単位を有するものである。また、比較例1の式(2)で表される構成単位の全構成単位(高分子化合物)に対する質量%は3質量%であり、式(3)で表される構成単位の全構成単位(高分子化合物)に対する質量%は97質量%である。
Figure 2009102576
調製例1で得られたN−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド重合体、実施例1で得られたモノフルオロリン酸ナトリウム化N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド重合体、調製例3で得られたアクリル酸2−ヒドロキシエチル重合体、及び実施例12で得られたモノフルオロリン酸ナトリウム化アクリル酸2−ヒドロキシエチル重合体を、重水に1質量%溶解させ、プロトン核磁気共鳴分光法(1H−NMR;270MHz)による測定を行った。結果を図1〜4に示す。分子中に水酸基を有する高分子化合物は、ジフルオロリン酸との反応によりモノフルオロリン酸エステルを形成した場合、水酸基隣接メチレンのプロトンのピークがシフトするため、1H−NMR測定により共有結合形成を判定することが可能である。
「N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド重合体」の場合、水酸基隣接メチレンのプロトンピークは、3.5〜3.7ppmに現れたが(ピーク面積相対値:2.00)、ジフルオロリン酸との反応物である「モノフルオロリン酸ナトリウム化N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド重合体」の場合には、3.5〜3.7ppmのピークが減少し(ピーク面積相対値:1.23)、代わりに3.7〜4.1ppmにピークが出現した(ピーク面積相対値:0.57)。そして、他のピークはシフトしなかった。
「アクリル酸2−ヒドロキシエチル重合体」の場合、水酸基隣接メチレンのプロトンピークは、3.6〜3.8ppmに現れたが(ピーク面積相対値:2.00)、ジフルオロリン酸との反応物である「モノフルオロリン酸ナトリウム化アクリル酸2−ヒドロキシエチル重合体」場合には、3.6〜3.8ppmのピークが減少し(ピーク面積相対値:1.14)、代わりに4.1〜4.3ppmにピークが出現した(ピーク面積相対値:0.81)。そして、他のピークはシフトしなかった。
この結果から、実施例1で得られたモノフルオロリン酸ナトリウム化N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド重合体は、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド重合体の水酸基が、モノフルオロリン酸と共有結合を形成し、モノフルオロリン酸ナトリウム化アクリル酸2−ヒドロキシエチル重合体は、アクリル酸2−ヒドロキシエチル重合体の水酸基が、モノフルオロリン酸と共有結合を形成していることが確認された。
[比較例2:N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド重合体とモノフルオロリン酸の混合物]
上記調製例1により得られたN−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド重合体8.26gとモノフルオロリン酸2ナトリウム(SMFP、ローディア日華製)1.74gを均一に混合し、比較例2とした。(比較例2のフッ素濃度:2.3質量%)
実施例及び比較例で得られた、ジフルオロリン酸又はその塩と反応後の高分子化合物について、下記測定及び評価を行った。結果を表2に示す。
<水溶性>
高分子化合物0.5gと水10gとの混合液(a)を調製し、これをガラス容器に入れて25℃で24時間振とうさせた後、遠心分離操作(3000G(29419.95m/s2)、15分)を行い、高分子化合物溶液部分(b)と、不溶部分(c)とに分けた。高分子化合物溶液部分(b)の質量M[g]を測定した。高分子化合物溶液部分(b)適量約2gを、赤外線水分計((株)ケットエレクトリックラボラトリー製、FD−620)に移し、温度110℃で2分間の水分(質量%)変動幅が0.1質量%以下になった時を終点(高分子化合物溶液部分(b)中の水分が失われ、高分子化合物のみとなった状態)とするという条件で、高分子化合物溶液部分(b)中の高分子化合物質量を測定し、赤外線水分計に使用した高分子化合物溶液部分(b)の質量から、高分子化合物溶液部分(b)中の高分子化合物濃度D[%]を算出した。この赤外線水分計を用いた測定においては、測定開始時の高分子化合物溶液部分(b)の質量を100として、測定終了後の高分子化合物溶液部分(b)中の水分が失われ、高分子化合物のみとなった質量を相対値で表示する。従って、例えばこの相対値で表示された値が「1」であれば、高分子化合物溶液部分(b)中の高分子化合物濃度D[%]は1質量%となる。
このようにして得られた高分子化合物溶液部分(b)中の高分子化合物濃度D[%]に、高分子化合物溶液部分(b)の質量M[g]を掛け合わせることによって、高分子化合物溶液部分(b)中の溶解している高分子化合物の質量Wd[g]を求めた。
d[g]=M[g]×D[%]
得られたWd[g]の値から、高分子化合物0.5gの水10gに対する溶解率Rを下記式で算出した。R=80%以上を「○」とする。
R=Wd/0.5×100
<高分子化合物の重量平均分子量Mwの測定>
高分子化合物の分子量は、10mM硝酸ナトリウム、20vol%アセトニトリルを含む水を溶離液とし、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定、分子量5,800〜853,000のプルラン標準(P−82、昭和電工製)にて換算して重量平均分子量を算出した。具体的には、乾燥物を10mM硝酸ナトリウム、20vol%アセトニトリルを含む水に溶解させ、0.5質量%溶液を調製した。カラムには東ソー(株)製TSK−GelG2500PWXLとTSK−GelGMPWXLを連結して設置し、カラムオーブン設定温度40℃、溶離液は10mM硝酸ナトリウムと20vol%アセトニトリルを含む水を用い、流速0.5mL/min、検出はRIにて行った。
<フッ素導入率>
高分子化合物0.1質量%水溶液1.6gに、1mol/L過塩素酸水溶液2.4gを添加し、密封したPE製蓋付チューブ中に入れて、105℃で10分加熱した。その後、液0.4gを採取し、1.6gの1mol/Lクエン酸カリウム緩衝液(pH5.5)と混合した後、フッ素電極計(Expandable Ion Analyzer EA920,Orion社製)によりフッ素量:Xp(ppm)を定量した。高分子化合物全質量に対するフッ素の質量濃度(フッ素導入率:F(質量%))を、以下の式により算出した。
F=Xp×1.25
<フッ素放出性>
0.1質量%高分子化合物の水溶液4.9gに、70units/g酸性ホスファターゼ(イモ由来)リン酸緩衝液(pH7)0.1gを添加し、24時間、37℃で振とうしながら保存した。その後、液0.4gを採取し、1.6gの1mol/Lクエン酸カリウム緩衝液(pH5.5)と混合した後、フッ素電極計(Expandable Ion Analyzer EA920,Orion社製)により液中のフッ素量:Xe(ppm)を測定した。また、これとは別に、0.1質量%高分子化合物水溶液0.4gを採取し、1.6gの1mol/Lクエン酸カリウム緩衝液(pH5.5)と混合した後、フッ素電極計により液中のフッ素量:X0(ppm)を測定した。フッ素放出性を下記評価基準に従って評価した。
評価基準
◎:Xe−X0が0.3ppmを超える
○:Xe−X0が0.1ppmを超えて、0.3ppm以下
△:Xe−X0が0.05ppmを超えて0.1ppm以下
×:Xe−X0が0.05ppm以下
Figure 2009102576
上記実施例1及び比較例2で得られた高分子化合物について、下記記フッ素徐放性の評価を行った。結果を表3に示す。
<フッ素徐放出性の評価>
0.1質量%高分子化合物の水溶液4.9gに、70units/g酸性ホスファターゼ(イモ由来)リン酸緩衝液(pH7)0.1gを添加し(2つ作製)、1つは12時間、もう1つは24時間、37℃で振とうしながら保存した。その後、それぞれ液0.4gを採取し、1.6gの1mol/Lクエン酸カリウム緩衝液(pH5.5)と混合した後、フッ素電極計(Expandable Ion Analyzer EA920,Orion社製)により液中のフッ素量(12時間後:X12、24時間後X24(ppm))を測定した。また、これとは別に、0.1質量%高分子化合物水溶液0.4gを採取し、1.6gの1mol/Lクエン酸カリウム緩衝液(pH5.5)と混合した後、フッ素電極計により液中のフッ素量:X0(ppm)を測定した。フッ素徐放出性:Sを下記評価基準に従って評価した。
S(%)=(X12−X0)/(X24−X0)×100
評価基準
○:Sが50%以上90%未満であり、フッ素放出は24時間にわたり比較的均一に起こる(徐放出性が高い)。
△:Sが90%以上95%未満であり、フッ素放出は24時間にわたり比較的やや不均一に起こる(徐放出性が低い)。
×:Sが95%以上100%以下であり、フッ素放出は24時間にわたり比較的不均一に起こる(徐放出性がほぼ見られない)。
Figure 2009102576
調製例1で得られたN−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド重合体の1H−NMRスペクトルチャートである。 実施例1で得られたモノフルオロリン酸ナトリウム化N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド重合体の1H−NMRスペクトルチャートである。 調製例3で得られたアクリル酸2−ヒドロキシエチル重合体の1H−NMRスペクトルチャートである。 実施例12で得られたモノフルオロリン酸ナトリウム化アクリル酸2−ヒドロキシエチル重合体の1H−NMRスペクトルチャートである。

Claims (3)

  1. (A)分子中に水酸基を有する高分子化合物と(B)ジフルオロリン酸又はその塩とを、(C)ジメチルスルホキシド、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチル及びリン酸トリフェニルから選ばれる1種又は2種以上の溶媒を含有する非プロトン性溶媒中で反応させるモノフルオロリン酸構造を有する高分子化合物を製造する方法であって、(A)分子中に水酸基を有する高分子化合物の水酸基のモル数に対する(B)ジフルオロリン酸又はその塩のモル数の比が5以上である、モノフルオロリン酸構造を有する高分子化合物の製造方法。
  2. (A)分子中に水酸基を有する高分子化合物の25℃における溶解度が、テトラヒドロフランに対して5質量%未満であり、ジメチルスルホキシドに対して5質量%以上であることを特徴とする請求項1記載のモノフルオロリン酸構造を有する高分子化合物の製造方法。
  3. (A)分子中に水酸基を有する高分子化合物が、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド及びビニルアルコールから選ばれるモノマーを構成単位として含む(共)重合体であることを特徴とする請求項1又は2記載のモノフルオロリン酸構造を有する高分子化合物の製造方法。
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