JP2009200208A - 製造設備の診断装置及び方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数の製造プロセスを経由して製品を製造する製造設備の診断装置及び方法であり、マハラノビス距離を利用して製品の品質の評価及び製造設備の診断を行う。ここで、複数の製造プロセスにおける状態を示す計測値は、複数の計測手段によってそれぞれ所定の時間間隔で連続的に計測され、記憶手段に記憶される。この記憶手段に記憶された複数の計測値から診断用の一群の計測値を収集する場合に、実際の計測時刻に対して予め推定又は計測した遅れ時間ずつずらした各計測時刻に対応する計測値をそれぞれ収集する。この収集された一群の計測値と所定の基準空間(基準空間の作成元の複数群の計測値も遅れ時間分ずらす)とに基づいてマハラノビス距離を算出する。
【選択図】 図5
Description
図1は本発明に係る製造設備の診断装置を含む製造設備の全体構成を示す概略図であり、特に樹脂フィルムの製造設備に関して示している。
このように構成された横延伸プロセス部18で横延伸が行われるが、横延伸プロセス部18は、縦延伸PETフィルムをテンター内に通し、横延伸ゾーンでガラス転移点(Tg)以上、ガラス転移点(Tg)+70℃以下の範囲で横延伸し、好ましくはガラス転移点(Tg)+25℃以上、ガラス転移点(Tg)+60℃以下の範囲で横延伸する。
図1に示す診断装置100は、主として診断装置本体110と、製造設備10の各プロセス部等に配設された各種の計測器150A,150B,150C,150D,150E,150F,…(以下、総称して「計測器群150」ともいう)と、PETフィルム12の品質を検査する品質検査装置152とで構成されている。
図4は、診断装置本体110による診断処理の流れを示すフローチャートである。
[一群の計測値の収集方法]
まず、ある時刻に製造された評価対象(PETフィルム12)に関連した、一群の計測値を、ハードディスク装置120から収集する(ステップS10)。
次に、ハードディスク装置120に記憶されているマハラノビス空間(基準空間)を読み出す(図4のステップS20)。
[数1]
X’(i,j)=(X(i,j)−μj)/σj
ここで、μjは計測値毎のP個の平均値、σjは計測値毎のP個の標準偏差である。
y=[y1 y2 ・・・・・ yn]
続いて、ベクトルの各成分を次式に示すように正規化する。
Yj=(yj−μj)/σj
尚、μj,σjは、[数1]式と同じものである。
Y=[Y1 Y2 ・・・・・ Yn]
そして、診断対象のMDは、YT をYの転置行列とすると、次式によって算出することができる。
MD=Y*R-1*YT/n
このようにして算出したMDは、モニタ装置130に出力され、図示しないプリンタに出力される(ステップS40)。また、図7に示すようにMDは、ハードディスク装置120に保存される。
次に、基準空間を更新する場合について説明する。
[一群の計測値の収集方法の変形例]
図5に示した計測値は、説明を簡単にするために計測器群150が1分間隔で同時に計測した場合に関して示しているが、各計測器150A,150B,…は、種類の異なる計測値(圧力、温度、ライン速度、テンション等)を計測しているため、計測の時間間隔が異なる。即ち、温度と圧力とは変化速度が異なり、例えば、温度を1分の時間間隔で計測し、圧力を10秒の時間間隔で計測することが考えられる。
各計測値の計測時間差(遅れ時間)の対応を予め推定し、遅れ時間を考慮して一群の計測値を収集し、基準空間の作成及びMDの算出を行った。
各計測値の計測時間差(遅れ時間)の算出に当たり、押出機22の回転数を変化させ、各測定値の変動が出現するまでの時間を計測し、これを遅れ時間として採用した。そして、この採用した遅れ時間を考慮して一群の計測値を収集し、基準空間の作成及びMDの算出を行った。
各計測値の遅れ時間を考慮せずに一群の計測値を収集し(図13参照)、基準空間の作成及びMDの算出を行った。
PETフィルムの膜厚変動の発生について検証した。膜厚変動が発生したときと、正常なときを10点ずつサンプリングし、それぞれMDをプロットして比較した。
MDの算出を行いながら、PETフィルムの膜厚変動の評価結果との対照を行った。
MDの算出を行いながら、PETフィルムの膜厚変動の評価結果との対照を行った。
基準空間を更新せずに、MDを算出した。
PETフィルムの膜厚変動の発生について検証した。膜厚変動が発生したときと、正常なときを10点ずつサンプリングし、それぞれMDをプロットして比較した。
この実施の形態の製造設備10によって製造されるPETフィルムは、ベースフィルム(半製品)であり、このベースフィルム上に各種の機能性膜が塗布されて完成品となる。
Claims (21)
- 複数の製造プロセスを経由して製品を製造する製造設備の診断装置であって、マハラノビス距離を利用した製造設備の診断装置において、
前記複数の製造プロセスにおける状態を示す計測値を所定の時間間隔で連続的に計測する複数の計測手段と、
前記複数の計測手段によってそれぞれ計測された複数の計測値から診断用の一群の計測値を収集する計測値収集手段であって、実際の計測時刻に対して予め設定した時間ずつずらした各計測時刻に対応する計測値をそれぞれ収集する計測値収集手段と、
前記計測値収集手段によって収集された一群の計測値と所定の基準空間とに基づいてマハラノビス距離を算出するマハラノビス距離算出手段と、
を備えたことを特徴とする製造設備の診断装置。 - 前記所定の基準空間は、品質の良い製品が製造された期間内に前記計測値収集手段によって収集された複数群の計測値に基づいて算出されたマハラノビス空間であることを特徴とする請求項1に記載の製造設備の診断装置。
- 前記製造設備によって製造された製品に対して所望の品質を満たしているか否かを判定する品質判定手段と、
前記品質判定手段によって所望の品質を満たしていると判定された製品の製造期間内に、前記計測値収集手段によって収集された複数群の計測値に基づいてマハラノビス空間を算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出した最新のマハラノビス空間によって前記所定の基準空間を更新する更新手段と、
を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の製造設備の診断装置。 - 前記品質判定手段は、前記製造設備によって製造された製品から1乃至複数の品質項目の品質を検査する品質検査手段を含み、この品質検査手段によって検査された検査結果に基づいて前記検査した製品が所望の品質を満たしているか否かを判定することを特徴とする請求項3に記載の製造設備の診断装置。
- 前記品質判定手段は、前記マハラノビス距離算出手段によって算出されたマハラノビス距離が所定の閾値以内か否かによって前記製品が所望の品質を満たしているか否かを判定することを特徴とする請求項3に記載の製造設備の診断装置。
- 前記予め設定した時間は、複数の製造プロセスでの各処理時間に相当する時間であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の製造設備の診断装置。
- 前記予め設定した時間は、所定の被処理対象が前記複数の計測手段を順次通過するときの各通過時刻の時間差に相当する時間であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の製造設備の診断装置。
- 前記予め設定した時間を各測定値に関連づけて記憶する第1の記憶手段と、
前記複数の計測手段によってそれぞれ計測された複数の計測値を、測定した時刻に関連付けて記憶する第2の記憶手段と、を備え、
前記計測値収集手段は、前記第1の記憶手段に記憶された任意の時刻と、前記第2の記憶手段に記憶された各測定値毎の時間とを加算し、これらの加算した時刻に基づいて前記第1の記憶手段から任意の時刻の一群の計測値を読み出すことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の製造設備の診断装置。 - 前記複数の計測手段は、計測する計測値の種類に応じて異なる時間間隔で計測し、
前記計測値収集手段は、予め設定した基準の時間間隔で計測される計測値よりも短い間隔で計測される計測値に対しては、前記基準の時間間隔内に計測される複数の計測値の代表値を、前記基準の時間間隔で計測される計測値とすることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の製造設備の診断装置。 - 複数の製造プロセスを経由して製品を製造する製造設備の診断方法であって、マハラノビス距離を利用した製造設備の診断方法において、
前記複数の製造プロセスにおける状態を示す計測値を複数の計測手段によってそれぞれ所定の時間間隔で連続的に計測する計測ステップと、
前記計測ステップによって計測された複数の計測値から診断用の一群の計測値を収集する収集ステップであって、実際の計測時刻に対して予め設定した時間ずつずらした各計測時刻に対応する計測値をそれぞれ収集する収集ステップと、
前記収集ステップによって収集された一群の計測値と所定の基準空間とに基づいてマハラノビス距離を算出するマハラノビス距離算出ステップと、
を含むことを特徴とする製造設備の診断方法。 - 前記所定の基準空間は、品質の良い製品が製造された期間内に前記収集ステップによって収集された複数群の計測値に基づいて算出されたマハラノビス空間であることを特徴とする請求項10に記載の製造設備の診断方法。
- 前記製造設備によって製造される製品に対して所望の品質を満たしているか否かを判定する品質判定ステップと、
前記品質判定ステップによって所望の品質を満たしている期間内に、前記収集ステップによって収集された複数群の計測値に基づいてマハラノビス空間を算出する算出ステップと、
前記算出ステップによって算出した最新のマハラノビス空間によって前記所定の基準空間を更新する更新ステップと、
を更に含むことを特徴とする請求項10に記載の製造設備の診断方法。 - 前記品質判定ステップは、前記製造設備によって製造された製品から1乃至複数の品質項目の品質を検査する品質検査ステップを含み、この品質検査ステップによって検査された検査結果に基づいて前記検査した製品が所望の品質を満たしているか否かを判定することを特徴とする請求項12に記載の製造設備の診断方法。
- 前記品質判定ステップは、前記マハラノビス距離算出ステップによって算出されたマハラノビス距離が所定の閾値以内か否かによって前記製品が所望の品質を満たしているか否かを判定することを特徴とする請求項12に記載の製造設備の診断方法。
- 前記更新ステップは、前記検査した製品が所望の品質を満たしていると判定され、かつ前記マハラノビス距離算出ステップによって算出されたマハラノビス距離が所定の閾値を越えると、前記算出ステップによって算出した最新のマハラノビス空間によって前記所定の基準空間を更新することを特徴とする請求項13に記載の製造設備の診断方法。
- 前記所定の閾値は100よりも大きいことを特徴とする請求項15に記載の製造設備の診断方法。
- 前記更新ステップによって前記所定の基準空間を更新する間隔は、10時間から10日間であることを特徴とする請求項12から16のいずれかに記載の製造設備の診断方法。
- 前記予め設定した時間は、複数の製造プロセスでの各処理時間に相当する時間であることを特徴とする請求項10から17のいずれかに記載の製造設備の診断方法。
- 前記予め設定した時間は、所定の被処理対象が前記複数の計測手段を順次通過するときの各通過時刻の時間差に相当する時間であることを特徴とする請求項10から17のいずれかに記載の製造設備の診断方法。
- 前記所定の被処理対象はトレーサを含有したものであり、
前記所定の被処理対象が前記複数の計測手段を順次通過するときの各通過時刻は、前記トレーサを追跡することによって測定することを特徴とする請求項19に記載の製造設備の診断方法。 - 前記複数の計測手段は、計測する計測値の種類に応じて異なる時間間隔で計測し、
前記収集ステップは、予め設定した基準の時間間隔で計測される計測値よりも短い間隔で計測される計測値に対しては、前記基準の時間間隔内に計測される複数の計測値の代表値を、前記基準の時間間隔で計測される計測値とすることを特徴とする請求項10から20のいずれかに記載の製造設備の診断方法。
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