JP2009198347A - アンモニアガスセンサ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】酸素イオン伝導性の固体電解質層4と、固体電解質層の一方の面に接合される検知電極2と、検知電極の対極となる基準電極6と、検知電極を覆う多孔質からなる保護層9Aとを有し、保護層は、Al2O3,MgAl2O4,SiO2,SiO2/Al2O3,ゼオライト及びSiCの群から選ばれる少なくとも一種と、AxMyOzで表される酸化物(Aは1種以上の金属であり;Mはバナジウム、タングステン又はモリブデンであり;x、y、zは原子比である)とを含有し、検知電極は貴金属を主成分とし、かつ酸化物を含まないアンモニアガスセンサである。
【選択図】図2
Description
このようなアンモニアガスセンサとして、酸素イオン伝導体の表面に形成した基準電極と検知電極の間の起電力に基づいてアンモニア濃度を検出する起電力式センサが提案されている。
このため、ジルコニアからなる固体電解質層20上にアンモニア選択性が付与された反応電極21が配置され、反応電極21に参照電極(基準電極)22が対向し、さらに、反応電極21表面に多孔質からなる保護層23が配置された起電力式のセンサが開示されている(特許文献1参照)。この文献において、反応電極21の組成として、BiVO4等のAxMyOzで表される酸化物(Mはバナジウム、タングステン又はモリブデン)が記載されている。BiVO4等の酸化物は、アンモニア以外の可燃性ガスを酸化させる効果を有する。
また、貴金属を含む検知電極の表面に、Pdを含む多孔質体からなるPd触媒層を形成し、Pdによって可燃性ガスを酸化する技術が開示されている(特許文献2参照)。
一方、特許文献2記載のアンモニアガスセンサの場合、Pdの触媒性能が高いため、可燃性ガスに加えてアンモニアが触媒層中で燃焼することがあり、アンモニアの感度向上の点で改善の余地がある。
すなわち、本発明は、アンモニア選択性が高く、かつ長時間の使用によるアンモニアの測定感度の低下を抑制することができるアンモニアガスセンサの提供を目的とする。
このような構成とすると、保護層に含まれるAl2O3,MgAl2O4,SiO2,SiO2/Al2O3,ゼオライト及びSiCの群から選ばれる少なくとも一種が、AxMyOzの粒成長を抑制し、長時間の使用によるセンサの応答性やアンモニア選択性の低下を抑制する。さらに、保護層中では、アンモニアが燃焼することが殆ど無いため、アンモニアの感度も向上する。
そのうえ、保護層とは別に、貴金属を主成分としAxMyOzを含まない検知電極を設けているので、集電効果を十分に得ることができる。なお、本発明において「主成分」とは、その含有率が50%以上のことを指す。
このような構成とすると、アンモニア選択性がさらに向上する。
このような構成とすると、センサの応答性とアンモニア選択性を両立させることができる。
このような構成とすると、アンモニア選択性を示すAxMyOzが保護層の内部に多く存在し、保護層の表面側には保護層内部を保護する多孔質部分が多く存在するため、被測定ガスによるAxMyOzの粒成長が生じ難く、長時間の使用によりアンモニアの感度やアンモニア選択性が低下するのをさらに抑制することができる。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係るアンモニアガスセンサ100の長手方向に沿う断面図を示す。なお、図1の下側をアンモニアガスセンサ100の先端とし、図1の上側をアンモニアガスセンサ100の後端とする。
アンモニアガスセンサ100は、アンモニアを検出するセンサ素子部10Aを所定のハウジング内に組み付けたアッセンブリである。アンモニアセンサ100は、細長い有底筒状のセンサ素子部10Aと、排気管に固定されるためのねじ部111が外表面に形成された筒状の主体金具110と、センサ素子部10Aの径方向周囲を取り囲むように配置される筒状のセラミックスリーブ230と、外筒120と、軸線方向に貫通する挿通孔を有する筒状のセパレータ400等を備えている。センサ素子部10Aの筒内には、丸棒状のヒータ7が挿入されている。
さらに、センサ素子部10Aの軸方向におけるセラミックホルダ210と滑石リング220の間の位置に、径方向外側に突出するフランジ部11が形成されている。従って、上記した加締めによって滑石リング220がフランジ部11を押圧しつつ圧縮されることにより、貫通孔116とセンサ素子部10Aの間が気密充填されてセンサ素子部10Aが保持される。
なお、セパレータ400と外筒120との間には略円筒状の保持金具610が介装され、セパレータ400の軸方向中央に形成されたフランジ部410が保持金具610の後端に係合され、保持金具610を介してセパレータ400が外筒120に保持されている。
センサ素子部10Aは、略半球状の底を有し筒状をなす酸素イオン伝導性の固体電解質層4と、固体電解質層4の内面に形成される基準電極6と、固体電解質層4の外面の先端球状部に形成される検知電極2と、検知電極2を覆う多孔質からなる保護層9Aと、固体電解質層4の内側に挿入される丸棒状のヒータ7とを有する。
検知電極2が露出しないよう、保護層9Aは検知電極2の表面及び側端面を覆っている。従って、センサ素子部10Aの先端は、略半球状の保護層9Aがセンサ素子部10A本体から径方向外側に張り出すように構成されている。
保護層9Aは、Al2O3,MgAl2O4,SiO2,SiO2/Al2O3,ゼオライト及びSiCの群から選ばれる少なくとも一種(以下、必要に応じて「無機成分」と称する)と、AxMyOzで表される酸化物(Aは1種以上の金属であり;Mはバナジウム、タングステン又はモリブデンであり;x、y、zは原子比である)とを含有する。このうち、上記無機成分を含むことで被測定ガス中の成分による検知電極2の被毒を防止している。また、AxMyOzで表される酸化物を含むことで、CO、HC等は酸化物と燃焼(反応)するのに対して、NH3は保護層9Aで燃焼せずに通過し、検知電極2と固体電解質層4との界面で反応するため、アンモニアのみを検知できる。
なお、無機成分は、多孔質を構成するための成分である。
又、長期間の使用によりAxMyOzが粒成長すると、アンモニア以外の可燃性ガスに対する触媒効果が低下し、アンモニア選択性も低下する可能性がある。
そこで、本発明者らが鋭意検討した結果、AxMyOzを単独で使用せず、Al2O3,MgAl2O4,SiO2,SiO2/Al2O3,ゼオライト及びSiCの群から選ばれる少なくとも一種と混合すると、AxMyOzの粒成長が抑制され、センサの応答性やアンモニア選択性を低下させないことが判明した。
従って、このような組成の保護層を検知電極表面に設けると、アンモニア選択性が高く、かつアンモニアの測定感度が長期間に渡って低下しない。
AxMyOzとして具体的には、V2O5、Cu2(VO3)2、WO3、MoO3、BiVO4が例示できる。BiVO4は、酸化バナジウム(V2O5)と酸化ビスマス(Bi2O3)を1:1(モル比)で混合して得られる。
検知電極2は固体電解質層4を介して基準電極6と対向し、基準電極6はグロメット500(図1)のフィルタ840を介して外気(基準大気)に曝されている。従って、被測定ガス中のアンモニア濃度に応じて、検知電極2と基準電極6との間に生じる起電力(電位差)からセンサ出力が得られ、アンモニア濃度を検出することができる。
次に、固体電解質層4の内面に無電解Ptめっきを施し、基準電極6となるPt層を形成する。一方、Au粉末、ジルコニア粉末、有機溶剤及び分散剤を分散混合した後、バインダ、粘度調整剤を所定量添加し、更に湿式混合を行ってペーストを作製する。そして、このペーストを、固体電解質層4の外面における検知電極2及びリードとなる部分に印刷して乾燥後、全体を焼成(例えば1000℃で1時間)して検知電極2及びリードを形成する。
なお、AxMyOzを含む保護層をペースト印刷後に焼成して形成する場合、焼成温度は650〜1000℃の間で調整することが好ましい。
又、検知電極及びリードとなる部分にAu系ペーストを印刷後に焼成せず、続いてペーストを用いて保護層前駆体を印刷した後、全体を高温(例えば1000℃で1時間程度)で焼成し、検知電極2と保護層9Aを同時に形成することもできる。
次に、本発明の第2の実施形態に係るアンモニアガスセンサについて説明する。第2の実施形態に係るアンモニアガスセンサは、センサ素子部10Bの構成が異なること以外は第1の実施形態に係るアンモニアガスセンサと同一である。又、センサ素子部10Bは保護層9Bの構成が異なること以外は第1の実施形態におけるセンサ素子部10Aと同一であるので説明を省略する。
図3は、センサ素子部10Bにおける保護層9Bの構成を示す断面図である。検知電極2の表面を覆う保護層9Bは、検知電極2側の第1保護層9B1と、第1保護層9B1の表面を覆う第2保護層9B2とを積層してなる。
又、本発明は上記した実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。
まず、固体電解質層の材料(4.5モル%のY2O3を含む部分安定化ジルコニア)粉末を充填し、この粉末を有底筒状に加圧成形して焼成(1490℃程度)し、固体電解質層4を得た。次に、固体電解質層4の内面に無電解Ptめっきを施し、基準電極6となるPt層を形成した。そして、Au粉末、ジルコニア粉末、有機溶剤及び分散剤を乳鉢に入れ、らいかい機で4時間分散混合した後、バインダ、粘度調整剤を所定量添加し、更に4時間湿式混合を行ってAu系ペーストを作製した。なお、Auペースト中、Au粉末100重量%に対して、ジルコニア粉末を10重量%含有させた。このAu系ペーストを、固体電解質層4の外面における検知電極2及びリードとなる部分に印刷して乾燥後、全体を焼成(1000℃で1時間)して検知電極2及びリードを形成した。
そして、全体を750℃で10分間焼成して保護層9Aを形成し、センサ素子部10Aを製造した。得られたセンサ素子部10Aを、上述したようにしてアンモニアガスセンサ100として組み付けた。
まず、実施例1とまったく同様にして、固体電解質層、基準電極及び検知電極を形成した。
次に、1:1(モル比)で用意した酸化バナジウム(V2O5)粉末及び酸化ビスマス(Bi2O3)粉末、有機溶剤並びに分散剤を乳鉢に入れ、らいかい機で4時間分散混合した後、バインダ、粘度調整剤を所定量添加し、更に4時間湿式混合を行ってBiVO4ペーストを作製した。このBiVO4ペーストを、検知電極を覆うように15μm厚で印刷して乾燥し、選択反応層前駆体を形成した。
そして、全体を750℃で10分間焼成して選択反応層及び保護層を形成し、センサ素子部を製造した。得られたセンサ素子部を、上述のようにしてアンモニアガスセンサとして組み付け、比較例とした。
Oxidation Catalyst)マフラー及びDPF(黒煙除去装置)の後流に取付けた。
エンジンを10分間アイドル後、2000rpmで30分稼働する工程を1サイクルとし、このサイクルを200時間繰り返した実機試験を行った。
実機試験終了後、センサを実機エンジンから取り外し、上記したモデルガス発生装置のガス流中にセンサを再度取り付け、上記モデルガスを流してτ90応答時間(90%応答時間)を耐久後応答性として求めた。
結果を図4に示す。
具体的には、BiVO4-スピネル混合ペースト1において、V2O5粉末とBi2O3粉末の合計量と、スピネルの量との比を10:0〜0:10(モル比)とした複数のアンモニアガスセンサを作製した。つまり、保護層中のBiVO4濃度は0〜100mol%となる。
さらに、モデルガスにNH3又はC3H6を100ppm加えたとき、検知電極と基準電極の間の電位差(測定時の起電力)を測定した。そして、初期センサ感度を、ベース起電力−測定時の起電力で定義した。
Oxidation Catalyst)マフラー及びDPF(黒煙除去装置)の後流に取付けた。エンジンを10分間アイドル後、2000rpmで30分稼働する工程を1サイクルとし、このサイクルを200時間繰り返した実機試験を行った。
実機試験終了後、センサを実機エンジンから取り外し、上記した検知電極と基準電極の間の電位差(ベース起電力)を測定した。さらに、モデルガスにNH3又はC3H6を100ppm加えたとき、ベース起電力及び測定時の起電力を測定し、耐久試験後(実機試験後)センサ感度を定義した。
結果を図5に示す。
又、保護層中のBiVO4濃度が30〜70mol%の場合、C3H6の感度が低いと共に実機試験後もC3H6の感度は変化しなかった。C3H6の感度が高くなるとアンモニア以外のガスを検知してしまい、NH3を選択的に測定し難くなる。つまり、保護層中のBiVO4濃度が30〜70mol%の場合、アンモニア選択性が高く、実機試験後もアンモニア選択性が低下しない。
以上より、BiVO4濃度を30〜70mol%とすると、NH3の感度及び選択性が低下しないことがわかる。
まず、実施例1、2とまったく同様にして、固体電解質層4、基準電極6及び検知電極2を形成した。
次に、1:1(モル比)で用意した酸化バナジウム(V2O5)粉末及び酸化ビスマス(Bi2O3)粉末、スピネル(MgAl2O4)粉末、有機溶剤並びに分散剤を乳鉢に入れ、らいかい機で4時間分散混合した後、バインダ、粘度調整剤を所定量添加し、更に4時間湿式混合を行ってBiVO4-スピネル混合ペースト2を作製した。このBiVO4-スピネル混合ペースト2を、検知電極2を覆うように15μm厚で印刷して乾燥し、第1保護層前駆体を形成した。なお、BiVO4-スピネル混合ペースト2において、V2O5粉末とBi2O3粉末の合計量と、スピネルの量との比は7:3(モル比)であった。つまり、第1保護層中のBiVO4の含有量は70mol%となる。
そして、全体を750℃で10分間焼成して保護層9Bを形成し、センサ素子部10Bを製造した。得られたセンサ素子部10Bを、上述したようにしてアンモニアガスセンサとして組み付けた。
結果を図6(NH3の場合)及び図7(C3H6の場合)に示す。
4 固体電解質層
6 基準電極
8 選択反応層
9A、9B 保護層
10A、10B センサ素子部
100 アンモニアガスセンサ
Claims (7)
- 酸素イオン伝導性の固体電解質層と、前記固体電解質層の一方の面に接合される検知電極と、前記検知電極の対極となる基準電極と、前記検知電極を覆う多孔質からなる保護層とを有し、前記保護層は、Al2O3,MgAl2O4,SiO2,SiO2/Al2O3,ゼオライト及びSiCの群から選ばれる少なくとも一種と、AxMyOzで表される酸化物(Aは1種以上の金属であり;Mはバナジウム、タングステン又はモリブデンであり;x、y、zは原子比である)とを含有し、前記検知電極は貴金属を主成分とし、かつ前記酸化物を含まないアンモニアガスセンサ。
- 前記保護層中のAxMyOzにおいて、Aはビスマス、ランタン、ストロンチウム、カルシウム、銅、ガドリニウム、ネオジム、イットリウム、サマリウム及びマグネシウムの群から選ばれる1種以上である請求項1記載のアンモニアガスセンサ。
- 前記酸化物がBiVO4である請求項1又は2記載のアンモニアガスセンサ。
- 前記保護層中のAxMyOzの含有量が30〜70mol%である請求項1〜3のいずれかに記載のアンモニアガスセンサ。
- 前記保護層中のAxMyOzの含有量が前記検知電極側から表面側に向かって低くなっている請求項1〜4のいずれかに記載のアンモニアガスセンサ。
- 前記保護層を複数積層してなる請求項1〜5のいずれかに記載のアンモニアガスセンサ。
- 前記複数の保護層のうち、前記検知電極側の保護層中のAxMyOzの含有量は、表面側の保護層中のAxMyOzの含有量より少ない請求項6に記載のアンモニアガスセンサ。
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