JP2009197146A - 赤外線遮蔽材料微粒子分散液、赤外線遮蔽膜と赤外線遮蔽光学部材およびプラズマディスプレイパネル用近赤外線吸収フィルター - Google Patents
赤外線遮蔽材料微粒子分散液、赤外線遮蔽膜と赤外線遮蔽光学部材およびプラズマディスプレイパネル用近赤外線吸収フィルター Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】赤外線遮蔽材料微粒子分散液は、タングステン酸化物微粒子または/および複合タングステン酸化物微粒子により構成される赤外線遮蔽材料微粒子と、Cs、Sr、Ba、Ti、Zr、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、In、Snの内から選択される1種類以上の元素から成る金属塩(但し、硫酸塩を除く)が溶媒中に含まれることを特徴とする。また、赤外線遮蔽膜は、紫外線硬化樹脂、熱可塑性樹脂等から選択される媒体が添加された上記赤外線遮蔽材料微粒子分散液を基材表面に塗布して塗布膜を形成しかつこの塗布膜から溶媒を蒸発させて得られることを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
赤外線遮蔽材料微粒子分散液において、
一般式WyOz(但し、Wはタングステン、Oは酸素、2.2≦z/y≦2.999)で表記されるタングステン酸化物微粒子、または/および、一般式MxWyOz(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iの内から選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3)で表記される複合タングステン酸化物微粒子により構成される赤外線遮蔽材料微粒子と、Cs、Sr、Ba、Ti、Zr、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、In、Snの内から選択される1種類以上の元素から成る金属塩(但し、硫酸塩を除く)が溶媒中に含まれることを特徴とする。
請求項1に記載の発明に係る赤外線遮蔽材料微粒子分散液において、
上記金属塩が、カルボン酸塩、カルボニル錯塩、炭酸塩、リン酸塩、過塩素酸塩、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩の内から選択される1種類以上の金属塩により構成されることを特徴とし、
請求項3に係る発明は、
請求項1または2に記載の発明に係る赤外線遮蔽材料微粒子分散液において、
上記金属塩の含有量が、上記赤外線遮蔽材料微粒子100重量部に対して0.01重量部以上20重量部以下であることを特徴とし、
請求項4に係る発明は、
請求項1〜3のいずれかに記載の発明に係る赤外線遮蔽材料微粒子分散液において、
上記タングステン酸化物微粒子または/および複合タングステン酸化物微粒子が、一般式WyOz(但し、Wはタングステン、Oは酸素、2.45≦z/y≦2.999)で表記される組成比のマグネリ相を含むことを特徴し、
請求項5に係る発明は、
請求項1〜4のいずれかに記載の発明に係る赤外線遮蔽材料微粒子分散液において、
一般式MxWyOzで表記される上記複合タングステン酸化物微粒子が、六方晶、正方晶若しくは立方晶の結晶構造の1つ以上を含むことを特徴とし、
請求項6に係る発明は、
請求項5に記載の発明に係る赤外線遮蔽材料微粒子分散液において、
上記M元素が、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snの内の1種類以上を含み、かつ、六方晶の結晶構造を有することを特徴とし、
請求項7に係る発明は、
請求項1〜6のいずれかに記載の発明に係る赤外線遮蔽材料微粒子分散液において、
金属塩を含有しかつ可視光透過率を40%から60%に設定した赤外線遮蔽材料微粒子分散液の波長360nm〜500nm領域における拡散透過プロファイルの極大値が、金属塩を含有せずかつ可視光透過率を40%から60%に設定した赤外線遮蔽材料微粒子分散液の波長360nm〜500nm領域における拡散透過プロファイルの極大値と較べて2%から22%低下していることを特徴とする。
赤外線遮蔽膜において、
紫外線硬化樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化樹脂、常温硬化樹脂、金属アルコキシド、金属アルコキシドの加水分解重合物から選択される1種類以上の媒体が添加された請求項1〜7のいずれかに記載の赤外線遮蔽材料微粒子分散液を基材表面に塗布して塗布膜を形成し、かつ、この塗布膜から溶媒を蒸発させて得られることを特徴とし、
請求項9に係る発明は、
赤外線遮蔽膜において、
粘着剤が添加された請求項1〜7のいずれかに記載の赤外線遮蔽材料微粒子分散液を基材表面に塗布して塗布膜を形成し、かつ、この塗布膜から溶媒を蒸発させて得られることを特徴とし、
請求項10に係る発明は、
請求項8または9に記載の発明に係る赤外線遮蔽膜において、
金属塩を含有しかつ可視光透過率を40%から60%に設定した赤外線遮蔽膜の波長360nm〜500nm領域における拡散透過プロファイルの極大値が、金属塩を含有せずかつ可視光透過率を40%から60%に設定した赤外線遮蔽膜の波長360nm〜500nm領域における拡散透過プロファイルの極大値と較べて2%から22%低下していることを特徴とする。
赤外線遮蔽光学部材において、
基材と、この基材表面に形成された請求項8〜10のいずれかに記載の赤外線遮蔽膜とで構成されることを特徴とし、
請求項12に係る発明は、
プラズマディスプレイパネル用近赤外線吸収フィルターにおいて、
請求項11の赤外線遮蔽光学部材が組み込まれていることを特徴とする。
一般に、自由電子を含む材料は、プラズマ振動によって波長200nmから2600nmを有する太陽光線等の電磁波に反射吸収応答を示すことが知られている。このような材料の粉末を、光の波長より小さい微粒子とすると、可視光領域(波長380nmから780nm)の幾何学散乱が低減されて可視光領域の透明性が得られることが知られている。尚、本明細書において、「透明性」とは、可視光領域の光に対して散乱が少なく透過性が高いという意味で用いている。
一般式WyOzで表記されるタングステン酸化物微粒子、および、MxWyOzで表記される複合タングステン酸化物微粒子は、タングステン化合物出発原料を不活性ガス雰囲気若しくは還元性ガス雰囲気中で熱処理して得ることができる。
上記赤外線遮蔽材料微粒子分散液に含まれる金属塩が赤外線遮蔽材料微粒子分散液に作用してその赤外線遮蔽特性の経時的な低下を低減させる理由として、本発明者等は、以下のように推察している。すなわち、赤外線遮蔽材料微粒子分散液中において金属塩は赤外線遮蔽材料微粒子の近傍または/および表面に存在し、この金属塩の作用により、空気中等から浸入してきた水分を十分に捕捉し、また、紫外線等によって発生したラジカルも十分に捕捉して、有害ラジカルが連鎖的に発生するのを抑制する結果、上記赤外線遮蔽特性の経時的な低下を低減させていると推察している。但し、金属塩の作用については未解明な点も多く、上記以外の作用が働いている可能性もあるため、上記作用に限定されるわけではない。
次に、本発明に係る赤外線遮蔽材料微粒子分散液で適用される溶媒は、特に限定されることなく公知の有機溶剤を使用することができる。具体的には、メタノール(MA)、エタノール(EA)、1−プロパノール(NPA)、イソプロパノール(IPA)、ブタノール、ペンタノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系溶剤、3−メチル−メトキシ−プロピオネート(MMP)等のエステル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル(MCS)、エチレングリコールモノエチルエーテル(ECS)、エチレングリコールイソプロピルエーテル(IPC)、プロピレングリコールメチルエーテル(PGM)、プロピレングリコールエチルエーテル(PE)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート(PE−AC)等のグリコール誘導体、フォルムアミド(FA)、N−メチルフォルムアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等のアミド類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、エチレンクロライド、クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素類等を挙げることができる。中でも極性の低い有機溶剤が好ましく、特にMIBK、MEK等のケトン類や、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、PGMEA、PE−AC等のグリコールエーテルアセテート類等、疎水性の高いものがより好ましい。これ等溶媒は1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に係る赤外線遮蔽材料微粒子分散液の好ましい使用方法としては、この分散液に、紫外線硬化樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化樹脂、常温硬化樹脂、金属アルコキシド、金属アルコキシドの加水分解重合物から選択された1種類以上の媒体を添加して塗布液を構成し、かつ、この塗布液(赤外線遮蔽材料微粒子分散液)を基材表面に塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜から溶媒を蒸発させて赤外線遮蔽膜を得る方法がある。
本発明の赤外線遮蔽材料微粒子分散液において上記赤外線遮蔽材料微粒子に対する金属塩の配合割合は、上述したように一般式WyOzで表記されるタングステン酸化物微粒子または/および一般式MxWyOzで表記される複合タングステン酸化物微粒子により構成される赤外線遮蔽材料微粒子100重量部に対して、金属塩が0.01重量部以上20重量部以下であることが好ましい。
近年、ディスプレイの大型化、薄型化に伴い、PDPが注目を集めている。PDPの発光原理は、放電空間において、電圧を印加することにより放電させ、放電空間に導入していたキセノンとネオンの混合ガスを励起して真空紫外線を放射させ、これが、赤、緑、青のそれぞれの蛍光体を発光させてカラー表示を可能にさせている。
[実施例1]
Cs0.33WO3粉末を100重量部、メチルイソブチルケトン320重量部、分散剤80重量部を混合し、分散処理を行い、平均分散粒子径50nmの分散液(A液)とした。
[実施例2]
オクチル酸ニッケルの添加量を0.01重量部とした以外は、実施例1と同様にして赤外線遮蔽膜を作製した。
[実施例3]
オクチル酸ニッケルの添加量を5重量部とした以外は、実施例1と同様にして赤外線遮蔽膜を作製し、かつ、実施例1と同様の評価を行った。
[実施例4]
オクチル酸ニッケルの添加量を20重量部とした以外は、実施例1と同様にして赤外線遮蔽膜を作製し、かつ、実施例1と同様の評価を行った。
[実施例5]
オクチル酸ニッケルの添加量を30重量部とした以外は、実施例1と同様にして赤外線遮蔽膜を作製し、かつ、実施例1と同様の評価を行った。
[実施例6]
金属塩を酢酸ニッケルに換えて添加量を0.01重量部とした以外は、実施例1と同様にして赤外線遮蔽材料微粒子分散液を作製し、かつ、実施例1と同様の評価を行った。
[実施例7]
金属塩を酢酸ニッケルに換えて添加量を5重量部とした以外は、実施例1と同様にして赤外線遮蔽膜を作製し、かつ、実施例1と同様の評価を行った。
[実施例8]
金属塩を酢酸ニッケルに換えて添加量を20重量部とした以外は、実施例1と同様にして赤外線遮蔽膜を作製し、かつ、実施例1と同様の評価を行った。
[実施例9]
金属塩を過塩素酸ニッケルに換えて添加量を0.1重量部とした以外は、実施例1と同様にして赤外線遮蔽膜を作製し、かつ、実施例1と同様の評価を行った。
[実施例10]
金属塩をオクチル酸亜鉛に換えて添加量を0.01重量部とした以外は、実施例1と同様にして赤外線遮蔽膜を作製し、かつ、実施例1と同様の評価を行った。
[実施例11]
金属塩をオクチル酸亜鉛に換えて添加量を5重量部とした以外は、実施例1と同様にして赤外線遮蔽膜を作製し、かつ、実施例1と同様の評価を行った。
[実施例12]
金属塩をオクチル酸亜鉛に換えて添加量を20重量部とした以外は、実施例1と同様にして赤外線遮蔽膜を作製し、かつ、実施例1と同様の評価を行った。
[実施例13]
金属塩を酢酸亜鉛に換えて添加量を0.01重量部とした以外は、実施例1と同様にして赤外線遮蔽膜を作製し、かつ、実施例1と同様の評価を行った。
[実施例14]
金属塩を酢酸亜鉛に換えて添加量を5重量部とした以外は、実施例1と同様にして赤外線遮蔽膜を作製し、かつ、実施例1と同様の評価を行った。
[実施例15]
金属塩を酢酸亜鉛に換えて添加量を20重量部とした以外は、実施例1と同様にして赤外線遮蔽膜を作製し、かつ、実施例1と同様の評価を行った。
[実施例16]
金属塩を過塩素酸亜鉛に換えて添加量を1重量部とした以外は、実施例1と同様にして赤外線遮蔽膜を作製し、かつ、実施例1と同様の評価を行った。
[実施例18]
金属塩をオクチル酸バリウムに換えて添加量を10重量部とした以外は、実施例1と同様にして赤外線遮蔽膜を作製し、かつ、実施例1と同様の評価を行った。
[実施例19]
金属塩をオクチル酸ジルコニウムに換えて添加量を5重量部とした以外は、実施例1と同様にして赤外線遮蔽膜を作製し、かつ、実施例1と同様の評価を行った。
[実施例20]
金属塩をオクチル酸クロムに換えて添加量を0.01重量部とした以外は、実施例1と同様にして赤外線遮蔽膜を作製し、かつ、実施例1と同様の評価を行った。
[実施例21]
金属塩をオクチル酸マンガンに換えて添加量を20重量部とした以外は、実施例1と同様にして赤外線遮蔽膜を作製し、かつ、実施例1と同様の評価を行った。
[実施例22]
金属塩をオクチル酸銅に換えて添加量を10重量部とした以外は、実施例1と同様にして赤外線遮蔽膜を作製し、かつ、実施例1と同様の評価を行った。
[実施例23]
金属塩をオクチル酸インジウムに換えて添加量を15重量部とした以外は、実施例1と同様にして赤外線遮蔽膜を作製し、かつ、実施例1と同様の評価を行った。
[実施例24]
金属塩をオクチル酸スズに換えて添加量を0.05重量部とした以外は、実施例1と同様にして赤外線遮蔽膜を作製し、かつ、実施例1と同様の評価を行った。
[実施例25]
実施例1と同様に平均分散粒子径50nmの分散液(A液)を調製した。このA液500重量部とアクリル樹脂系粘着剤(PSA)3000重量部、オクチル酸ニッケル0.01重量部とを混合して赤外線遮蔽材料微粒子分散液とした。
[実施例26]
Cs0.33WO3粉末をRb0.33WO3粉末に換えると共に、オクチル酸ニッケルの添加量を0.01重量部とした以外は、実施例1と同様にして赤外線遮蔽膜を作製し、かつ、実施例1と同様の評価を行った。
[実施例27]
Cs0.33WO3粉末をRb0.33WO3粉末に換えると共に、オクチル酸ニッケルの添加量を5重量部とした以外は、実施例1と同様にして赤外線遮蔽膜を作製し、かつ、実施例1と同様の評価を行った。
[実施例28]
Cs0.33WO3粉末をRb0.33WO3粉末に換えると共に、オクチル酸ニッケルの添加量を20重量部とした以外は、実施例1と同様にして赤外線遮蔽膜を作製し、かつ、実施例1と同様の評価を行った。
可視光透過率を53%(40%から60%の範囲)とした以外は、実施例1と同様にして赤外線遮蔽膜を作製し、かつ、上述した拡散透過プロファイルの測定原理に従って波長360nm〜500nm領域における透過散乱プロファイルの極大値を測定したところ、図4のグラフ図に示すように3.7%であった。
[実施例30]
可視光透過率を50%(40%から60%の範囲)とし、かつ、オクチル酸ニッケルの添加量を5重量部とした以外は、実施例1と同様にして赤外線遮蔽膜を作製した。
[実施例31]
可視光透過率を52%(40%から60%の範囲)とし、かつ、オクチル酸ニッケルの添加量を20重量部とした以外は、実施例1と同様にして赤外線遮蔽膜を作製した。
[比較例2]
実施例1と同様に平均分散粒子径50nmの分散液(A液)を調製した。このA液500重量部とアクリル樹脂系粘着剤(PSA)3000重量部とを混合してオクチル酸ニッケル(金属塩)が添加されていない赤外線遮蔽材料微粒子分散液とした。
[比較例3]
Cs0.33WO3粉末をRb0.33WO3粉末に換えると共に、オクチル酸ニッケルを添加しない以外は、実施例1と同様にして赤外線遮蔽膜を作製し、かつ、実施例1と同様の評価を行った。
[比較例4]
金属塩をオクチル酸カリウム(本発明に係る金属塩を構成する元素:Cs、Sr、Ba、Ti、Zr、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、In、Sn以外のカリウム塩)に換え、その添加量を0.01重量部とした以外は、実施例1と同様にして赤外線遮蔽膜を作製し、かつ、実施例1と同様の評価を行った。
[比較例5]
比較例4と同様に金属塩をオクチル酸カリウムに換え、その添加量を20重量部とした以外は、実施例1と同様にして赤外線遮蔽膜を作製し、かつ、実施例1と同様の評価を行った。
[比較例6]
金属塩を硫酸ニッケル(本発明に係る金属塩を構成するカルボン酸塩、カルボニル錯塩、炭酸塩、リン酸塩、過塩素酸塩、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩以外の硫酸塩)に換え、その添加量を0.01重量部とした以外は、実施例1と同様にして赤外線遮蔽膜を作製し、かつ、実施例1と同様の評価を行った。
可視光透過率を48%(40%から60%の範囲)かつ金属塩であるオクチル酸ニッケルを添加しないこと以外は、実施例1と同様にして赤外線遮蔽膜を作製し、かつ、上述した拡散透過プロファイルの測定原理に従って波長360nm〜500nm領域における透過散乱プロファイルの極大値を測定したところ、図4のグラフ図に示すように3.8%であった。
(1)本発明に係る実施例1から実施例5ではオクチル酸ニッケル(金属塩)を添加しているため、金属塩が添加されていない比較例1と較べて温水浸漬による加速試験での近赤外線遮蔽特性の劣化が抑制されていることが表1と表4の上昇量(ΔT)から確認される。すなわち、本発明による赤外線遮蔽膜(赤外線遮蔽光学部材)が従来にない赤外線遮蔽特性の経時安定性を有することが分かる。
(2)実施例6から実施例8は添加する金属塩を酢酸ニッケルとし、実施例10から実施例12は金属塩をオクチル酸亜鉛とし、実施例13から実施例15は金属塩を酢酸亜鉛にした実施例であり、表1の上昇量(ΔT)から確認されるように金属塩の添加量を、赤外線遮蔽材料微粒子100重量部に対して0.01重量部以上20重量部以下に設定することにより、耐温水性改良効果と良好なヘイズ値が得られることが分かる。
(3)実施例1から実施例9は添加する金属塩の有機酸の種類を変更した実施例である。実施例1から実施例5ではオクチル酸ニッケル塩を、実施例6から実施例8では酢酸ニッケル塩を、実施例9では過塩素酸ニッケル塩を添加したものであり、表1の上昇量(ΔT)から近赤外線遮蔽特性の劣化が抑制されていることが確認される。
(4)実施例1から実施例5、実施例10から実施例12、実施例17から実施例24は添加する金属塩の金属元素の種類を変更した実施例であり、表1と表2の上昇量(ΔT)から近赤外線遮蔽特性の劣化が抑制されていることが確認される。
(5)実施例26、実施例27、実施例28は、赤外線遮蔽材料をRb0.33WO3に変更した実施例である。そして、これ等実施例26−28においてもオクチル酸ニッケル(金属塩)を添加しているため、同様にRb0.33WO3粉末が適用されかつ金属塩が添加されない比較例3と較べて近赤外線遮蔽特性の劣化が抑制されていることが確認される。
(6)比較例4と比較例5は金属塩の金属元素を「カリウム」に変更し、比較例6は金属塩の酸を「硫酸」に変更した比較例である。
(7)実施例29、実施例30および実施例31は、比較例7との関係から赤外線遮蔽膜中における金属塩(オクチル酸ニッケル)の含有量が適正範囲にあるか否かを確認するためになされている。
2 測定試料
3 受光器
4 積分球
5 標準反射板
6 ライトトラップ部品
10 WO6単位
20 元素M
Claims (12)
- 一般式WyOz(但し、Wはタングステン、Oは酸素、2.2≦z/y≦2.999)で表記されるタングステン酸化物微粒子、または/および、一般式MxWyOz(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iの内から選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3)で表記される複合タングステン酸化物微粒子により構成される赤外線遮蔽材料微粒子と、Cs、Sr、Ba、Ti、Zr、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、In、Snの内から選択される1種類以上の元素から成る金属塩(但し、硫酸塩を除く)が溶媒中に含まれることを特徴とする赤外線遮蔽材料微粒子分散液。
- 上記金属塩が、カルボン酸塩、カルボニル錯塩、炭酸塩、リン酸塩、過塩素酸塩、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩の内から選択される1種類以上の金属塩により構成されることを特徴とする請求項1に記載の赤外線遮蔽材料微粒子分散液。
- 上記金属塩の含有量が、上記赤外線遮蔽材料微粒子100重量部に対して0.01重量部以上20重量部以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の赤外線遮蔽材料微粒子分散液。
- 上記タングステン酸化物微粒子または/および複合タングステン酸化物微粒子が、一般式WyOz(但し、Wはタングステン、Oは酸素、2.45≦z/y≦2.999)で表記される組成比のマグネリ相を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の赤外線遮蔽材料微粒子分散液。
- 一般式MxWyOzで表記される上記複合タングステン酸化物微粒子が、六方晶、正方晶若しくは立方晶の結晶構造の1つ以上を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の赤外線遮蔽材料微粒子分散液。
- 上記M元素が、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snの内の1種類以上を含み、かつ、六方晶の結晶構造を有することを特徴とする請求項5に記載の赤外線遮蔽材料微粒子分散液。
- 金属塩を含有しかつ可視光透過率を40%から60%に設定した赤外線遮蔽材料微粒子分散液の波長360nm〜500nm領域における拡散透過プロファイルの極大値が、金属塩を含有せずかつ可視光透過率を40%から60%に設定した赤外線遮蔽材料微粒子分散液の波長360nm〜500nm領域における拡散透過プロファイルの極大値と較べて2%から22%低下していることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の赤外線遮蔽材料微粒子分散液。
- 紫外線硬化樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化樹脂、常温硬化樹脂、金属アルコキシド、金属アルコキシドの加水分解重合物から選択される1種類以上の媒体が添加された請求項1〜7のいずれかに記載の赤外線遮蔽材料微粒子分散液を基材表面に塗布して塗布膜を形成し、かつ、この塗布膜から溶媒を蒸発させて得られることを特徴とする赤外線遮蔽膜。
- 粘着剤が添加された請求項1〜7のいずれかに記載の赤外線遮蔽材料微粒子分散液を基材表面に塗布して塗布膜を形成し、かつ、この塗布膜から溶媒を蒸発させて得られることを特徴とする赤外線遮蔽膜。
- 金属塩を含有しかつ可視光透過率を40%から60%に設定した赤外線遮蔽膜の波長360nm〜500nm領域における拡散透過プロファイルの極大値が、金属塩を含有せずかつ可視光透過率を40%から60%に設定した赤外線遮蔽膜の波長360nm〜500nm領域における拡散透過プロファイルの極大値と較べて2%から22%低下していることを特徴とする請求項8または9に記載の赤外線遮蔽膜。
- 基材と、この基材表面に形成された請求項8〜10のいずれかに記載の赤外線遮蔽膜とで構成されることを特徴とする赤外線遮蔽光学部材。
- 請求項11の赤外線遮蔽光学部材が組み込まれていることを特徴とするプラズマディスプレイパネル用近赤外線吸収フィルター。
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