JP2009195863A - 酸素分離膜エレメント - Google Patents

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Abstract

【課題】高い触媒活性を長期にわたり維持できる酸化触媒体を備える酸素分離膜エレメントを提供すること。
【解決手段】本発明により提供される酸素分離膜エレメント10は、酸素イオン伝導性セラミック体から成る酸素分離膜13と、当該酸素分離膜の少なくとも一方の表面に形成された酸化触媒体14とを備えた膜エレメントであって、上記酸化触媒体は、一般式ABB’O3−δ(δは電荷中性条件を満たすように定まる値。)で表わされるペロブスカイト型酸化物であり、ここでAは、Ln(ランタノイド)、Ba、Sr及びCaからなる群から選択される1種又は2種以上の元素であり、Bは、少なくともTiとFeとを包含するペロブスカイト型構造を構成し得る複数の金属元素であり、B’は、ニッケル、コバルト及び白金族元素からなる群から選択される1種又は2種以上の元素である。
【選択図】図1

Description

本発明は酸素イオン伝導体であるペロブスカイト型酸化物から成る酸素分離膜と、その利用に関し、詳しくは、ペロブスカイト型酸化物から成る酸化触媒体と、該酸化触媒体を備える酸素分離膜、ならびに該酸化分離膜を備える酸素分離膜エレメントとその利用に関する。
例えば500℃以上の高温下において、酸素イオン(典型的にはO2−;酸化物イオンとも呼ばれる。)を選択的に透過させる性質を有する酸素イオン伝導体として、ペロブスカイト型構造の酸化物セラミック体が知られている。特に、酸素イオン伝導体の中には、電子伝導性(ホール伝導性も含む。)を示すものがあり、酸素イオン−電子混合伝導体(以下、単に「混合伝導体」という。)と呼ばれる。かかる混合伝導体のペロブスカイト型酸化物から成る緻密なセラミック材、典型的には膜状に形成されたセラミック材は、その両面を短絡させるための外部電極や外部回路を用いることなく一方の面から他方の面に連続して酸素イオンを透過させることができる。このため、一方の面に供給された酸素含有ガス(空気等)から酸素を他方の面に選択的に透過させる酸素分離材(酸素分離膜エレメント)として、特に使用温度が800〜1000℃というような高温域で好適に利用することができる。
例えば、かかる構成の酸素分離膜エレメントは、酸素含有ガス(空気)と炭化水素ガスとを隔絶し、酸素を選択的に透過させて炭化水素の部分酸化反応を行うための酸化反応装置、いわゆる隔膜リアクタの構成要素として好適に利用することができる。即ち、酸素分離膜の一方側の表面に酸素含有ガス、他方側の表面に炭化水素ガス(例えばメタン)をそれぞれ接触させると、一方の表面から酸素分離膜内を透過して供給される酸素イオンによって、他方の面において炭化水素が部分酸化される。
このように酸素分離膜を利用して炭化水素を部分酸化する技術は、合成液体燃料(メタノール等)を製造するGTL(Gas To Liquid)技術、或いは燃料電池分野で好適に使用される。
この種の従来技術として、特許文献1〜4には、混合伝導体である幾つかのペロブスカイト型酸化物が記載されている。また、特許文献5〜9には、ペロブスカイト型酸化物から構成された酸素分離膜を備える酸素分離材(膜エレメント)が例示されている。
上記の炭化水素の部分酸化反応の効率を高めるために、通常は被酸化ガスとして炭化水素が接触する側の酸素分離膜表面に酸化反応を促進する触媒を形成する(付着させる)。酸化反応を促進する触媒(酸化触媒)として、典型的にはニッケル(Ni)、ロジウム(Rh)等の白金族金属、コバルト(Co)、等の金属触媒が使用される。
一方、担体に触媒金属を担持する従来の方法として、触媒金属を含む溶液に担体を含浸させて乾燥する含浸法や、担体に金属微粒子の分散液を塗布する等して担体に金属微粒子をそのまま担持する方法がある。特許文献10には、Al粒子表面がCeOで被われた担体に含浸法でNiを担持したものが、炭化水素の部分酸化触媒体として開示されている。しかし、このような方法で酸素分離膜表面に触媒金属を付着させた場合には、酸素分離膜の構成元素と触媒金属元素とが反応して酸素分離膜が破壊する虞がある。また、触媒の調製中や反応中に、触媒金属粒子が酸素分離膜内部に広がって孤立化したり、凝集して膜内部で局在したりすることによって、触媒活性が低下し、酸素分離膜の性能が劣化する問題があった。その他、特許文献11〜13には、ペロブスカイト型構造の触媒の従来例が記載されている。
特開2000−251534号公報 特開2000−251535号公報 特表2000−511507号公報 特開2001−93325号公報 国際公開第WO2003/040058号パンフレット 特開2006−82040号公報 特開2007−51032号公報 特開2007−51034号公報 特開2007−51035号公報 特開2007−237084号公報 特開2004−167485号公報 特表2004−511693号公報 特開2001−224963号公報
酸素分離膜と金属触媒体との反応は、酸素分離膜が触媒金属元素を取り込み易いペロブスカイト型の結晶構造を有することに起因すると考えられる。その一方で、ペロブスカイト型結晶構造であるがゆえに、酸素分離膜は高い酸素透過性と還元耐久性を有する。このため、酸素分離膜の結晶構造を保持したままで、高い触媒活性能を長期にわたって維持できる触媒体を形成した酸素分離膜エレメントが求められている。
そこで、本発明は、高い触媒活性(例えば炭化水素を部分酸化する触媒活性)を長期にわたって維持できる酸化触媒体を形成した酸素分離膜及び該膜を備える膜エレメントの提供を目的とする。また、他の目的は、そのような目的に適する酸化触媒体(例えば炭化水素等の炭素質材料の部分酸化に適するもの)を提供することである。
本発明者は、ペロブスカイト型結晶構造中に触媒金属元素を導入した複合酸化物を、酸素イオン伝導性セラミック体から成る酸素分離膜の少なくとも一方の表面に形成することによって、触媒金属元素による膜内移動を抑制することを試みた。その結果、上記触媒金属元素は酸素分離膜中を移動せず、結果、触媒金属元素が導入されたペロブスカイト型複合酸化物は酸化触媒体として好適であり、当該酸化触媒体を酸素分離膜表面に付着させた酸素分離膜エレメントは優れた触媒活性能を有することを見出した。
即ち、本発明によって提供される酸素分離膜エレメントは、酸素イオン伝導性セラミック体(好ましくは酸素イオン−電子混合伝導性セラミック体)から成る酸素分離膜と、当該酸素分離膜の少なくとも一方の表面に形成された酸化触媒体とを備えた酸素分離膜エレメントであって、上記酸化触媒体は、一般式ABB’O3−δ(δは電荷中性条件を満たすように定まる値)で表わされるペロブスカイト型酸化物であり、ここでAは、ランタノイド即ちLn(典型的にはLa)、Ba、Sr及びCaからなる群から選択される1種又は2種以上の元素であり、Bは、少なくともTiとFeとを包含するペロブスカイト型構造を構成し得る複数の金属元素であり、B’は、ニッケル、コバルト及び白金族元素からなる群から選択される1種又は2種以上の元素(触媒金属元素、即ち酸化触媒を構成し得る金属元素)であることを特徴とする。
上記構成の酸化触媒体では、いずれかの触媒金属元素(典型的にはNi)が上記一般式のB’(即ちペロブスカイト型酸化物のBサイトの一部)として導入されている。即ち、Ni等の触媒金属元素が、ペロブスカイト結晶構造の一部(即ちBサイト)に取り込まれている。このため、当該酸化触媒体が、酸素イオン伝導性を有する緻密なセラミック体から成る酸素分離膜の少なくとも一方の表面に形成した場合には、上記酸化触媒体中の触媒金属元素(例えばNi)は、金属粒子として上記酸素分離膜内部に拡散、凝集して偏在したり、イオン化して膜内部へ移動したりすることなく、上記酸化触媒体中に均一に分散化した状態で存在し得る。
かかる構成により、本発明の酸素分離膜エレメントを炭化水素の部分酸化する用途(例えば上記GTL処理)に使用する場合、供給された炭化水素ガスの部分酸化反応中に炭素の酸化が進んで(即ち実質的な炭化反応が起こって)炭素が析出する(コーキング)といったような不具合の発生が防止される。従って、上記酸化触媒体を備える酸素分離膜エレメントによると、高い触媒活性を長期間にわたって安定的に維持し得、例えば高効率で炭化水素を部分酸化することができる。
また、上記BサイトにTiを必須構成元素として含むことにより、ペロブスカイト型結晶構造の強度が向上する。このため、かかる酸化触媒体が形成された(付着した)側でも酸素分離膜エレメントは良好な耐久性を示し、クラック発生等が抑制される。
また、上記BサイトにFe元素を必須構成元素として含むことにより、Tiの存在により低下する酸化触媒体の酸素イオン−電子混合伝導性を回復することができる。
また、ここで開示される酸素分離膜エレメントの好ましい一態様では、上記酸素分離膜を構成する酸素イオン伝導性セラミック体(好ましくは酸素イオン−電子混合伝導性セラミック体)は、該酸素分離膜の表面に形成された酸化触媒体の上記Aを構成する元素と上記Bを構成する元素とを全て含む組成のペロブスカイト型酸化物であることを特徴とする。
このように、酸素分離膜を構成するセラミック体がその表面にある酸化触媒体と同様の組成のペロブスカイト型酸化物であることによって、酸素分離膜と、当該酸素分離膜表面に形成した(付着させた)酸化触媒体から成る触媒層との熱膨張率(熱膨張係数)をほぼ均等にすることができる。これにより、膜と触媒層との界面における物理的安定性(接着強度、等)を向上させ、高強度の膜エレメントを提供することができる。
また、ペロブスカイト構造のBサイト(即ち上記BとB’とから成るサイト)をNi、Ti及びFeにより構成することによって、例えば、炭化水素の部分酸化反応中に炭素の酸化が進んで(実質的な炭化反応が起こって)炭素が析出する現象(コーキング)が生じるのを防止することができる。
また、Bサイト中のNi、Ti及びFe元素の含有率(モル比率)を変えることによって、酸化触媒体の酸素イオン伝導性(好ましくは酸素イオン−電子混合伝導性)、触媒活性、安定性、耐久性等をバランス良く調節できる。ここで開示される酸化触媒体として好ましい一態様では、
一般式 A(NiTiFe)O3−δ
(ここでAは、Ln、Ba、Sr及びCaからなる群から選択される1種又は2種以上の元素であり、x+y+z=1であり、0.05≦x≦0.3であり、0.1≦y≦0.3であり、0.4≦z≦0.85であり、δは電荷中性条件を満たすように定まる値である)で示されるペロブスカイト型酸化物であることを特徴とする。
このような組成範囲を有する酸化触媒体をその表面に形成した(付着させた)酸素分離膜から成る酸素分離膜エレメントは、触媒活性、酸素イオン伝導性(好ましくは酸素イオン−電子混合伝導性)、安定性、及び耐久性(強度)がバランス良く備わっており、例えば炭化水素の部分酸化反応に好適に使用し得る。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項(例えば、酸化触媒体)以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、原料粉末の混合方法等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
本発明の酸素分離膜エレメントは、酸素イオン−電子混合伝導性セラミック体を膜状に形成した酸素分離膜と、当該酸素分離膜の少なくとも一方の表面に形成された(付着した)酸化触媒体とを備えた構成である。
まず、炭化水素の部分酸化のような用途に好適である酸化触媒体について説明する。
当該酸化触媒体は、一般式ABB’O3−δ(δは電荷中性条件を満たすように定まる値。以下、「一般式(C)」という。)で表わされるペロブスカイト型酸化物である。一般式(C)における酸素原子数はペロブスカイト型構造の一部を置換する原子の種類及び置換割合その他の条件により変動するため正確に表示することは困難である。このため、電荷中性条件を満たすように定まる値として、1を超えない正の数δ(0<δ<1)を採用し、本明細書中では酸素原子の数を3−δと表示する。当該分野において酸素原子の数を便宜的に3として表示している場合もあるが、異なる化合物を表しているわけではない。
一般式(C)のAは、Ln(典型的にはLa)、Ba、Sr及びCaからなる群より選ばれる1種又は2種以上の元素の組合せとする。好ましくはLa及び/又はSrである。一般式(C)のAとして2種以上の元素を選択し、ペロブスカイト型構造の一部の原子を置換することによって、Aサイトに格子欠陥が導入される。Aサイトの格子欠陥は、結晶構造中の酸素移動性の向上に寄与する。Aサイトの置換量は、格子欠陥の量と構造の安定化とのバランスを考慮して調節すると良い。
かかる酸化触媒体のBサイトを構成する上記Bの元素は、少なくともTiとFeとを包含するペロブスカイト型構造を構成し得る複数の金属元素であり得る。典型的には、TiとFeとから構成される。その他、例えばCr、Mn、Zr、Ga、Al、Zn、Mg等を含み得る。
また、上記B’の元素は、ニッケル、コバルト及び白金族元素からなる群から選択される1種又は2種以上の元素であり得る。好ましくはNiである。ここで、ニッケル、コバルト及び白金族元素は、炭化水素の部分酸化反応を促進する触媒として機能する触媒金属元素として好ましい。Ni等の触媒金属がBサイトに取り込まれた酸化触媒体を、後述の酸素分離膜の少なくとも一方の表面に付着させた場合、当該Ni等の金属元素がこの触媒体の結晶構造内に固定されているため、金属粒子として触媒体から酸素分離膜内部に分散又は凝集したり、イオン化して膜内部に移動したりすることはない。このため、ここで開示される酸化触媒体は長期にわたって安定的に高い触媒活性を維持することができる。なお、触媒金属としてCoや或いはPt、Pd、Rh等の白金族元素を用い得るが、これらの金属と比較して、Niの方が安価に入手し易く、経済的である。また、高い触媒活性を得ることができる。
また、BサイトにTiを必須構成元素として含むことにより、結晶構造の強度が向上する。このため、本発明に係る酸素分離膜は上記触媒体が形成された(付着した)側でも強度が低下することなく、クラック発生等が抑制されて良好な耐久性を示す。
さらに、BサイトにFeを必須構成元素として含むことにより、酸素イオン伝導性とともに電子伝導性が向上する。従って、BサイトにTiを含むことで酸化触媒体自体の混合伝導性が低下する虞があるが、Feの導入により低下した酸素イオン−電子混合伝導性を回復することが可能である。このため、Ni等の触媒金属、Ti及びFeの含有率(モル比率)を変えることによって、酸化触媒体の酸素イオン−電子混合伝導性、触媒活性、安定性、耐久性等をバランス良く調節できる。
かかる酸化触媒体として好適なペロブスカイト型酸化物:A(NiTiFe)O3−δにおけるNi、Ti及びFeのモル比率をx:y:z(但し、x+y+z=1)とすると、x、y及びzの取り得る範囲は0.05≦x≦0.3、0.1≦y≦0.3、0.4≦z≦0.85であることが好ましい。xの値が0.05より小さければ、この触媒体の触媒活性が低すぎ、0.3より大きければ触媒活性は向上するが、触媒体の強度が低下しすぎる虞がある。また、yの値が0.1より小さいか、或いはzの値が0.85より大きい場合には、触媒体の酸素イオン−電子混合伝導性は向上するが、強度が低下して耐クラック性が低下する。一方、yの値が0.3より大きいか、或いはzの値が0.4より小さい場合には、触媒体の強度は向上するが、酸素イオン−電子混合伝導性は低下する。
また、必須構成元素のFeの一部をMgに置換しても良い。Mgが導入されることにより、酸化触媒体の強度を上げることができる。例えば、式:A(NiTiFeMgz’)O3−δにおいて(式中のAは上記一般式と同じ)、かかる触媒体の酸素イオン−電子混合伝導性と強度とのバランスを考慮して、Mgのモル比率をz’(ただし、x+y+z+z’=1)とすると、z及びz’の取り得る範囲は、0.4≦z+z’≦0.85であることが好ましく、例えば0.3≦z≦0.8且つ0.05≦z’≦0.1であることが好ましい。
次に、酸素分離膜について説明する。
まず、本明細書中で「膜」とは、特定の厚みに限定されず、酸素分離膜エレメントにおいて「酸素イオン伝導体(好ましくは混合伝導体)」として機能する膜状若しくは層状の部分をいう。
酸素分離膜を構成するセラミック体は、酸素イオン伝導体であるペロブスカイト型構造をとるものであればよく、特定の構成元素のものに限られないが、酸素イオン伝導性と電子伝導性の両方を有する混合伝導体である場合には、酸素分離膜の一方の側(酸素供給側)と他方の側(酸素透過側)とを短絡させるための外部電極や外部回路を用いることなく、一方から他方へと連続的に酸素イオンを透過させることができるとともに、酸素イオンの透過速度を上げることができるため好ましい。
この種のセラミック体として、典型的には、一般式Ln1−pAeMO3−δ(以下、「一般式(D)」という。)で表される組成の複合酸化物が挙げられる。ここで式中のLnはランタノイドから選択される少なくとも一種(典型的にはLa)であり、AeはSr,Ca及びBaからなる群から選択される少なくとも一種であり、Mは、Mg,Mn,Ga,Ti,Co,Ni,Al,Fe,Cu,In,Sn,Zr,V,Cr,Zn,Ge,Sc及びYからなる群から選択される少なくとも一種であり、0≦p≦1である。例えば、好適な混合伝導体として、式:(La1−pSr)(Ti1−qFe)O3−δ(但し0<p<1、0<q<1)で示される複合酸化物(以下「LSTF酸化物」ともいう。)が挙げられ、具体例として、La0.6Sr0.4Ti0.1Fe0.93−δ、La0.6Sr0.4Ti0.3Fe0.73−δ等が挙げられる。
かかる混合伝導性セラミック体は、上記の酸化触媒と類似の組成を有するペロブスカイト型酸化物が好ましい。即ち、上記一般式(D)のMは、触媒金属Ni以外のTi及びFeが含まれていることが好ましい。酸素分離膜と酸化触媒の組成が類似であることによって、酸素分離膜と、酸素分離膜に付着した酸化触媒体から成る触媒層との熱膨張率(熱膨張係数)をほぼ均等にすることができる。これにより、膜と触媒層との界面における物理的安定性(接着強度等)を向上させることができる。即ち、このような酸素分離膜エレメントは、酸素分離膜と上記触媒層の2層から構成されていても、上記触媒層の厚さ分に相当する表面下極近傍の深さ範囲にのみ触媒金属Niが分布した同一結晶構造の一体の酸素分離膜とみなすことができる。このことから、かかる酸素分離膜エレメントは、酸化触媒体の構成元素と酸素分離膜の構成元素とが反応する可能性も低い。従って、かかる酸化触媒体として好適なペロブスカイト型酸化物は、例えば、上記のLSTF酸化物のBサイト(上記一般式ではB’に相当する)にNiを導入したものが挙げられる。
かかる酸素分離膜の厚さ寸法については、後述するように、酸素分離膜が多孔質基材で支持されていない場合には、50〜5000μmの範囲内が好ましく、多孔質基材で支持されている場合には、1000μm以下の範囲内が好ましい。これらの範囲内であれば、酸素分離膜エレメントの機械的強度を確保できる範囲で酸素分離膜の膜厚は十分に薄くなっているので、上記膜厚が酸素透過速度の律速となることはない。特に、多孔質基材が設けられている場合には、酸素分離膜自体に機械的強度は要求されないので、酸素分離膜の緻密性が維持される範囲にあれば、上記の膜厚寸法下限は特に限定されない。
また、かかる酸素分離膜の一方の表面に上記酸化触媒体を形成し、もう一方の表面には、酸素の解離を促進するための触媒体を形成すると、より高効率に酸素イオンを透過させ得る酸素分離膜エレメントが得られるので好ましい。酸素の解離を促進するための解離触媒体として、La−Sr−Co系酸化物、La−Sr−Mn系酸化物、白金系元素が好ましい。例えば、後述する実施例に記載されているようなLa、Sr、Co、Feを構成元素とするペロブスカイト型酸化物が挙げられる。このような触媒体を酸素分離膜に付着させれば、当該酸素分離膜の一面側(空気極側)に供給された気体(空気)中の酸素が好適にイオン化され、酸素分離膜中を透過して酸化触媒体が付着しているもう一方の面側(燃料極側)に効率よく移動し得る。
次に、多孔質基材について説明する。
本発明の酸素分離膜エレメントは、多孔質基材が設けられていない構成であってもよいが、多孔質基材の表面に上記酸素分離膜が設けられた構成であることが好ましい。このとき、かかる酸素分離膜の表面の一部又は全体は多孔質基材によって支持されている。多孔質基材が設けられていても、その内部を気体が容易に透過できるので、酸素透過速度を下げることなく酸素分離膜エレメント全体の機械的強度を増すことができる。
多孔質基材として、従来のこの種の膜エレメントで採用されている種々の性状のセラミック多孔質体を使用できる。膜エレメントの使用温度域(通常500℃以上、典型的には800〜1000℃)において安定な耐熱性を有する材質から成るものが好ましく用いられる。例えば、ペロブスカイト型構造の酸素分離膜と同様の組成を有するセラミック多孔体、或いはマグネシア、ジルコニア、窒化ケイ素、炭化ケイ素等を主体とするセラミック多孔体を用いることができる。或いは、金属材料を主体とする金属質多孔体を用いてもよい。特に限定しないが、使用する多孔質基材の水銀圧入法に基づく平均細孔径は0.1μm〜20μm程度が適当であり、水銀圧入法に基づく気孔率は5〜60%程度が適当である。
多孔質基材と、多孔質基材で支持された酸素分離膜と、酸素分離膜の表面に形成された(付着した)触媒体から構成される酸素分離膜エレメントにおいて、この酸素分離膜エレメントの形状は、ほぼ多孔質基材の形状によって決まる。例えば、板状(平面状、球面状等を含む。)や、管状(両端が開口した開管状、一端が開口し他端が閉じている閉管状等を含む。)に成形された多孔質基材上に、一方の触媒体(例えば酸素解離触媒体)、酸素分離膜、もう一方の触媒体(例えば酸化触媒体)が順に積層されたものがある。
次に、酸素分離膜エレメントの製造方法について説明する。
まず、製造したいセラミック体(多孔質基材)の製造方法について説明する。セラミック体を構成する金属原子を含む化合物の粉末(原料粉末)を、所望のセラミック体の組成比で混合し、当該混合物を成形し、酸化性雰囲気(例えば大気中)又は不活性ガス雰囲気で焼成して所望する形状のセラミック体を得る。原料粉末としては、セラミック体を構成する金属原子を含む酸化物或いは加熱により酸化物となり得る化合物(当該金属原子の炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、ハロゲン化物、水酸化物、オキシハロゲン化物等)の一種以上を含有するものを用いることができる。原料粉末は、上記セラミック体を構成する金属原子のうち二種以上の金属原子を含む化合物(複合金属酸化物、複合金属炭酸塩等)を含有してもよい。
適切な焼成温度は、セラミック体の組成等によっても異なるが、典型的には1000〜1800℃(好ましくは1200〜1600℃)である。また、焼成工程は、一回以上の仮焼工程と、その後に行われる本焼成工程とを包含することができる。この場合、本焼成工程は上記のような焼成温度で行い、仮焼工程は本焼成工程よりも低い焼成温度(例えば800〜1500℃)で行うことが好ましい。
例えば、原料粉末を仮焼し、湿式ボールミル等を用いて当該仮焼原料を粉砕することにより、仮焼粉末(本焼成用原料粉末)を得ることができる。さらに原料粉末(又は仮焼粉末)に、水、有機バインダー等の成形助剤、及び分散剤を添加・混合してスラリーを調製し、スプレードライヤー等の造粒機を用いて所望する粒径(例えば平均粒径が10〜100μm)に造粒することができる。
なお、原料粉末や仮焼物を粉砕して得られた仮焼粉末(本焼成用原料粉末)の成形には、一軸圧縮成形、静水圧プレス、押出成形等の従来公知の成形法を採用することができる。また、かかる成形のために従来公知のバインダー、分散剤等を使用することができる。
上記の方法で作られた多孔質基材の表面に、ペロブスカイト型酸化物の酸素分離膜を形成する手法は特に限定されず、従来公知の種々の手法を採用することができる。例えば、上記ペロブスカイト型酸化物(例えばLSTF酸化物)を構成する金属原子を含む原料粉末を、所望するペロブスカイト型酸化物の組成比で混合して得られた混合粉末を適当なバインダー、分散剤、可塑剤、溶媒等と混合してスラリーを調製し、一般的なディップコーティング等の手法によって該スラリーを多孔質基材表面に付与(塗布)する。これで得られた多孔質基材上の塗布物(皮膜)を適当な温度(典型的には60〜100℃)で乾燥させ、次いで、上記のような温度域で焼成することによって、多孔質基材の表面にペロブスカイト型酸化物から成る酸素分離膜を形成することができる。なお、上記混合粉末の代わりに、所定組成比から成るペロブスカイト型酸化物粉末の市販品を使用しても良い。
触媒体を酸素分離膜の表面に形成する(付着させる)方法は特に限定されない。例えば、触媒粉末を含むスラリーを調製し、このスラリーを酸素分離膜の表面に塗布して乾燥させることにより目的の触媒体を膜表面に形成する(付着させる)ことができる。その後、形成された触媒体をさらに焼成してもよい。また、酸素分離膜の一方又は両方の表面に、表面全体又は一部の領域に付着させることができる。触媒体が酸素分離膜の表面全体を覆うように付着(コート)されているものが好ましいが、一部領域のみに、例えば点状、ストライプ状、格子状等に形成されていてもよい。なお、酸素分離膜の片側面に酸素解離触媒体、他方の面に酸化触媒体を設ける場合、各触媒体を酸素分離膜表面に直接形成する必要はなく、当該酸素分離膜の表面近傍に配置されていれば、好適に各触媒機能が発揮される。従って、多孔質基材上に、一方の触媒体、酸素分離膜、もう一方の触媒体を順次形成して積層させる際は、一方の触媒体を多孔質基材上に付着させても良い。一方の触媒体を多孔質基材上に形成する(付着させる)方法は、酸素分離膜の場合と同じでよい。
以下、本発明に関する実施例を説明するが、本発明を以下の実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<MgOから成る多孔質基材の作製>
市販のマグネシア(MgO)粉末にバインダー等の成形助剤を混合し、ボールミル等で混練した。その後、100MPaの圧力下でプレス成形して直径18mm、厚さ(壁厚)2mm程度の円筒状の成形体を得た。次に、当該成形体を大気中にて350℃で2時間程度の仮焼成を行って脱バインダーをした後、さらに大気中で1400℃で6時間程度の本焼成を行って、焼結体(多孔質基材)を得た。
<酸素解離触媒体La0.6Sr0.4Co0.8Fe0.23−δから成る触媒層の形成>
原料粉末としてのLa、SrCO、Co及びFeを、焼成後に得られる焼結体(酸素解離触媒体)の組成の化学量論比で混合した。即ち、Laは0.6、Srは0.4、Coは0.8、Feは0.2モルとなるように混合した。この混合物を大気中において1250℃で焼成後、この焼成体を粉砕し有機溶剤と混合して成膜用スラリー(平均粒径約2μm程度)を調製し、多孔質基材の表面に塗布した後、1000℃程度で多孔質基材の外周面上に酸素解離触媒層(後述する図1の符号12参照)を焼き付けた。
<LSTF酸化物から成る酸素分離膜の作製>
平均粒径が約1μmのLa0.6Sr0.4Ti0.3Fe0.73−δ(LSTF酸化物)粉末に、適当量の一般的なバインダーと水をそれぞれ添加し、混合して成膜用スラリーを調製した。
次いで、酸素解離触媒体を付着させた多孔質基材表面に、上記スラリーを塗布した。これを80℃で乾燥後、大気中において1000〜1600℃の温度域(ここでは焼成温度:約1400℃)まで昇温し、最高焼成温度で3時間保持して焼成した。これにより、多孔質基材外周面上の酸素解離触媒層の表面に、LSTF酸化物から成る酸素分離膜(平均膜厚100μm)が形成された。
<酸化触媒体La0.6Sr0.4NiTiFe3−δから成る触媒層の形成>
原料粉末としてのLa、SrCO、NiCO、TiO及びFeを、焼成後に得られる焼結体(酸化触媒体)の組成の化学量論比で混合した。即ち、Laは0.6、Srは0.4、Niはx、Tiはy、及びFeはzモル(ただし、x+y+z=1)となるように混合した。この混合物を、大気中においてまず200〜500℃の温度域(ここでは約500℃)まで昇温し、10時間保持した。これにより有機物を分解除去した。その後、大気中において1300〜1600℃の温度域(ここでは最高焼成温度:約1400℃)まで昇温し、そして、最高焼成温度で3時間保持して焼成し、ペロブスカイト型酸化物から成る焼成体La0.6Sr0.4NiTiFe3−δを得た。次に、この焼成体を粉砕して適当量の一般的なバインダーと水をそれぞれ添加し、混合して成膜用スラリー(平均粒径約1μm)を調製した。上記酸素分離膜表面に、上記スラリーを塗布し、これを80℃で乾燥後、大気中において1000〜1600℃の温度域(ここでは最高焼成温度:約1400℃)まで昇温し、最高焼成温度で1時間保持して酸素分離膜表面に酸化触媒層を焼き付けた。
ここで、x、y、zの組合せを以下に示すように変えた酸化触媒体をそれぞれ実験例1〜4とした。
実験例1:x=0.15、y=0.15、z=0.7
実験例2:x=0.3、 y=0.3、 z=0.4
実験例3:x=0、 y=0.3、 z=0.7
実験例4:x=0.3、 y=0、 z=0.7
以上のようにして、図1に模式的に示すように、多孔質基材11上に酸素解離触媒層12、酸素分離膜13及び酸化触媒層14が順に積層した酸素分離膜エレメント10を作製した。なお、図1において酸素解離触媒層12及び酸化触媒層14の厚さは、多孔質基材11及び酸素分離膜13の厚さに対して見易さを考慮して実際よりも大きく描かれている。
<比較例1>
市販の酸化ニッケル(NiO)粉末に適当量の一般的なバインダーと水を添加して、スラリーを調製した。このスラリーを上記の方法で作製したMgOの多孔質基材の表面に塗布した後、水素雰囲気で1000℃で加熱してNiOをNiに還元した。これにより、触媒金属粒子Niをそのまま表面に塗布して担持した多孔質基材を作製した。
<比較例2>
市販のLa0.6Sr0.4Ti0.3Fe0.73−δ粉末(LSTF酸化物)とNi粉末を混合し、一般的なバインダーを添加してスラリーを調製した。このスラリーを多孔質基材表面に上記の方法で形成された酸素分離膜にコートし、1000℃で加熱して上記担体にNiを担持した。これにより、触媒金属Niが担持されたLSTF酸化物を得た。
<炭化水素酸化反応装置の構築>
上記方法により得られた触媒層14が付着した円筒状の酸素分離膜エレメント10を使用して、図2に示す構成の酸化反応モジュール2を作製した。さらに、これらのモジュール2を用いて図3に示すような炭化水素酸化反応装置1を構築した。なお、酸素解離触媒層(図1の符号12参照)は多孔質基材11と酸素分離膜13の間に形成されているが、図2には示していない。また、酸化触媒層14、多孔質基材11及び酸素分離膜13の厚さ寸法は、実際の寸法関係を反映するものではない。
この酸化反応モジュール2は、金属チャンバ31、該金属チャンバ31内に収容された酸素分離膜エレメント10、該酸素分離膜エレメント10を固定する金属ホルダ32、及び酸素分離膜エレメント10の円筒内部に挿入された酸素導入管21から構成される。金属チャンバ31には炭化水素を含む気体(本実施例ではCH)が上記チャンバ31内に流入する流入口31aと流出する流出口31bとが設けられている。酸素分離膜エレメント10は、軸方向の一方の開口端部は閉塞されており、その他方の開口端部はシール剤41で気密に接合された状態で金属ホルダ32に固定されている。金属ホルダ32は、酸素分離膜エレメント10を固定する台座部32aと、該台座部分を支持する支持部32bとから構成されている。台座部32aと支持部32bとの中央部分には、酸素分離膜エレメント10の内径と同程度の開口が金属ホルダ32を貫通するように形成されている。支持部32bにおいて台座部32aとは反対側の開口端部は金属チャンバ31から突出して外側に臨んでいる。従って、上記突出した開口端部から酸素分離膜エレメント10の閉塞された側の端部まで管状の空洞部が形成されている。酸素導入管21は該空洞部に挿入される。即ち、酸素導入管21は、金属チャンバ31から突出した金属ホルダ32の開口端部から挿入され、金属ホルダ32内に挿通され、酸素分離膜エレメント10の閉塞された端部近くまで挿入されている。
空気(酸素を含む気体)は、酸素導入管21内を流れて酸素分離膜エレメント10内に導入され、酸素導入管21から流出した空気は、酸素導入管21の外周面と酸素分離膜エレメント10の内周面10a(多孔質基材11の内壁面)との間に形成される空間20(酸素源供給空間20)内を流れて、金属チャンバ31(上記支持部の開口端部)から流出する。上記一方、CH(炭化水素を含む気体)は、金属チャンバ31の内壁面と酸素分離膜エレメント10の外周面とで形成される空間30(酸化反応空間30)内を流れる。従って、円筒状の酸素分離膜エレメント10において、その外周面10bにおける酸化触媒層14はCHと接触し、一方、その内周面10a(多孔質基材11の内壁面)は空気(Air)と接触する。
図3は、かかる構成のモジュール2を用いて構築された炭化水素酸化反応装置1を示す模式図である。この装置1は、モジュール2、酸素源供給手段52及び炭化水素ガス供給手段53とからなる。該炭化水素酸化反応装置1において、モジュール2の酸素導入管21には酸素源供給手段52が接続されている。一方、金属チャンバ31には、その流入口31aにおいて炭化水素ガス供給手段53が接続されている。このため、炭化水素酸化反応装置1は、モジュール2に対して空気(Air)及びCHがそれぞれ供給される構成になっている。なお、図3には酸素源供給手段52及び炭化水素ガス供給手段53とモジュール2との間の流入及び流出経路については図示していない。また、図3に示される炭化水素酸化反応装置1は、酸素分離エレメント10(特に酸素分離膜13)を所望の温度に加熱するための加熱手段(ヒータ等)54を備える。
この加熱手段54により酸素分離膜13を所定の使用温度(例えば500℃以上)に維持しつつ、酸素源供給手段52及び炭化水素ガス供給手段53によって空気(Air)及びCHをモジュール2に流通させる。これにより、酸素分離膜エレメント10の内周面10a(多孔質基材11の内壁面)に接触した空気中の酸素が、多孔質基材11の内部を透過し、酸素分離膜13の表面13a(多孔質基材11側の表面)において電子を受容して酸素イオンとなり、この酸素イオンが酸素分離膜13中を透過して他方の表面13b(酸素分離膜エレメント10の外周面10b側の表面)に到達すると、ここでCHと接触して酸化し、CO,CO,H等の反応物が生じる。このようにして炭化水素の酸化反応(ここでは、CHの部分酸化反応)が行われる。
<酸素分離膜エレメントの酸素透過性能の評価>
上記炭化水素酸化反応装置1において、酸素分離エレメント10(酸素分離膜13)を1000℃に加熱し、酸素源供給空間20には空気を4000mL/分、酸化反応空間30にはCHガスを1000mL/分の流量でそれぞれ供給した。
上記の条件で300時間の連続運転を行い、その間に金属チャンバ31(酸素反応空間30)の流出口31bから排出されたガスの組成をガスクロマトグラフにより測定した。排出ガスの組成からメタン(CH)の転化率をそれぞれ算出した。なお、メタン転化率とは、CHの総供給量から排出ガス中のCH量を引いた差における上記総供給量に対する比(百分率)である。
また、酸素分離膜エレメント10の酸化反応空間30側の表面13bにコーキングが生じているかについても調べた。
比較例1及び比較例2については、それぞれ、Ni粒子を担持したMgOの多孔質基材11及びNi粒子を担持したLSTF酸化物を上記の酸化分離膜エレメント10の代わりに用いて上記と同様の評価を行った。
実験例1〜4及び比較例1、2のメタン転化率、及びコーキングの発生の有無についての結果を表1に示す。
<酸素分離膜エレメントの電気伝導度評価>
酸素分離膜エレメント10の電気伝導度を実験例1〜4について測定した。まず、各酸素分離膜エレメント10の表面に電極となる白金ペーストを塗布した後、白金線を接続して850〜1100℃で10〜60分間焼き付け、任意の酸素分圧と温度に調整可能な装置内で、直流四端子法又は交流二端子法で抵抗値を測定することにより、電気伝導度を求めた。
一定の温度条件(800℃)下における実験例1〜4の電気伝導度の測定結果を表2に示す。
Figure 2009195863
Figure 2009195863
表1に示されるように、La0.6Sr0.4NiTiFe3−δで表されるペロブスカイト型酸化物から成る酸化触媒体を用いた酸素分離膜エレメント10において、NiがBサイトに所定の割合で含まれている場合には、メタンの酸化反応が促進されてメタン転化率が大きい。一方、Tiが所定の割合でBサイトに含まれていない場合には、ペロブスカイト型酸化物の強度が低下して、クラックが発生し易いことが本実施例により確認された。
また、所定のモル比率でNiを含有する上記ペロブスカイト型酸化物から成る酸化触媒体は、Niを担持した従来の酸化触媒体と比較して触媒活性が向上し、メタン転化率が大きくなると共に、コーキング発生を効果的に防止できる。さらに、実験例1及び2では、300時間の連続運転を実施してもかかる酸化触媒体は失活せずに、安定した触媒活性能を発揮した。
表2に示されるように、La0.6Sr0.4NiTiFe3−δで表されるペロブスカイト型酸化物から成る酸化触媒体を用いた酸素分離膜エレメント10において、特に実験例1〜3では、20S/cm前後の電気伝導度が得られた。従って、ここで開示される酸素分離膜エレメントは、十分な電子伝導性を有することが確認された。
以上のとおり、上記組成の酸化触媒体は、耐クラック性を有し、十分な電子伝導性を示し、高温での連続使用によっても高い触媒活性能を安定して長期間にわたって維持して、効率よくメタンを部分酸化できる触媒体である。従って、ここで開示される酸素分離膜エレメントは、このような用途に特に適する膜材である。
以上、本発明を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、本発明は、さらに別の態様でも実施でき、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加えうるものである。
一実施例に係る酸素分離膜エレメントの構成を模式的に示す分解斜視図である。 酸素分離膜エレメントの酸素透過性能を評価するための炭化水素酸化反応装置を構成する酸化反応モジュールを模式的に示した断面図である。 炭化水素酸化反応装置の概略構成を示した模式図である。
符号の説明
1 炭化水素酸化反応装置
2 酸化反応モジュール
10 酸素分離膜エレメント
11 多孔質基材
13 酸素分離膜
14 酸化触媒層

Claims (3)

  1. 酸素イオン伝導性セラミック体から成る酸素分離膜と、当該酸素分離膜の少なくとも一方の表面に形成された酸化触媒体とを備えた酸素分離膜エレメントであって、
    前記酸化触媒体は、一般式 ABB’O3−δ(δは電荷中性条件を満たすように定まる値)で表わされるペロブスカイト型酸化物であり、
    ここでAは、Ln(ランタノイド)、Ba、Sr及びCaからなる群から選択される1種又は2種以上の元素であり、Bは、少なくともTiとFeとを包含するペロブスカイト型構造を構成し得る複数の金属元素であり、B’は、ニッケル、コバルト及び白金族元素からなる群から選択される1種又は2種以上の元素であることを特徴とする酸素分離膜エレメント。
  2. 前記酸素分離膜を構成する酸素イオン伝導性セラミック体は、該酸素分離膜の表面に形成された酸化触媒体の前記Aを構成する元素と前記Bを構成する元素とを全て含む組成のペロブスカイト型酸化物であることを特徴とする請求項1に記載の酸素分離膜エレメント。
  3. 前記酸化触媒体は、一般式 A(NiTiFe)O3−δ
    ここでAは、Ln(ランタノイド)、Ba、Sr及びCaからなる群から選択される1種又は2種以上の元素であり、x+y+z=1であり、0.05≦x≦0.3であり、0.1≦y≦0.3であり、0.4≦z≦0.85であり、δは電荷中性条件を満たすように定まる値である;
    で示されるペロブスカイト型酸化物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の酸素分離膜エレメント。
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