JP2009195222A - 新規なアルカリアルギン酸リアーゼとその利用 - Google Patents

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Abstract

【課題】アルカリ領域に最適反応pHを有する新規なアルギン酸分解酵素ならびにこれをコードする遺伝子を提供する。
【解決手段】次の酵素学的性質を有する新規なアルカリアルギン酸リアーゼ。(1)作用:アルギン酸を構成するマンニュロン酸グルロン酸ブロック及びポリグルロン酸に作用し、β脱離によりアルギン酸を分解。(2)最適反応pH:50mMグリシン水酸化ナトリウム緩衝液中でpH10であり、また、0.2M塩化ナトリウムの存在下ではpH9。(3)最適反応温度は30℃付近。(4)分子量:SDS−PAGEによる分子量が約30,000。(5)pH安定性:30℃で60分間恒温した場合に、pH6〜9で安定。これは、アガリボランスエスピーJAM−A1mから生産される。
【選択図】図2

Description

本発明は、褐藻類に含まれる成分であり、食品添加物などに用いられるアルギン酸を分解し、低分子化することのできる新規なアルカリアルギン酸リアーゼとこれをコードする遺伝子に関する。
アルギン酸は、褐藻、紅藻などの海草類に多く含まれる多糖類で、食物繊維の一種である。市販のアルギン酸ナトリウムは、昆布、ジャイアントケルプなどの褐藻類から抽出されている。またシュードモナス属、アゾトバクター属などの細菌がアルギン酸を生産することも知られている。
日本ではアルギン酸ナトリウムが既存添加物とされ、アルギン酸プロピレングリコールエステルとアルギン酸ナトリウムが食品添加物に指定されている。これらは食品産業において、スープ、飲料、ゼリーなどの増粘安定剤、ゲル化剤として使われており、食物繊維としてダイエット食品にも配合されている。食品以外にも安定化剤として化粧品用に、繊維状ゲルが手術糸として、また、アルギン酸カルシウムゲルが創傷被覆材として歯科材料など医療分野にも用いられている。さらにアルギン酸塩は製紙工業や繊維工業でも使用され、アルギン酸カルシウムは細胞や酵素などの固定化・カプセル化にも使われており、発酵産業や化学産業において用いられる。
このように広く使用されているアルギン酸は、その分子量(糖鎖長)によって粘度や様々な性質が変化することが知られている。糖鎖長の調節にはアルギン酸分解酵素による方法が有効であること知られている(例えば、特許文献1参照)。また、アルギン酸はシュードモナス エルギノーサ(緑膿菌)の生産するバイオフィルムの主成分であることも知られており、バイオフィルムが関与する難治性感染症に対する酵素剤としてアルギン酸リアーゼを開発することも提唱されている(例えば、特許文献2参照)。
このようなアルギン酸を得るために、一般的には各種の藻類からアルギン酸をアルカリ性の条件下で抽出する方法が行われている。従って、従来のアルギン酸リアーゼより高アルカリ性の条件下で働く酵素があれば、抽出、分解、分画の操作がより簡便化できることが考えられる。また、バイオフィルムの除去にはアルカリ性条件下での効果が高いことが容易に推定できる。しかし、従来公知のアルギン酸リアーゼは、ペクチン酸リアーゼの類とは大きく異なり、その最適反応pHが中性付近にあることはよく知られており、高いものでもpH8.5付近の酵素が多い(例えば、非特許文献1参照)。細菌の生産するアルギン酸リアーゼの中で唯一、最もアルカリ性に最適反応pHを有するものは、バチルスNo.M−2株の生産するアルギン酸リアーゼであり、その最適pHは9付近である。この酵素はポリマンニュロン酸のβ−1,4結合を脱離分解すると報告されている(非特許文献2参照)。また、クロレラのウィルス(CVN1)によってコードされるアルギン酸リアーゼは最適反応pHが10.5という報告がなされている。この酵素は、分子量36800、反応にカルシウムイオンを必要とするが、ポリグルロン酸、ポリマンニュロン酸のどちらを切断するかは明確ではない(非特許文献3)。
従って、細菌によって生産され、高いアルカリ性条件下において良好に作用する高アルカリ性アルギン酸リアーゼ、特にマンニュロン酸グルロン酸ブロック及びポリグルロン酸を分解する酵素が望まれていた。
特許第2926249号公報 特開平9−9962公報 Wongら、"Annu Rev Microbiol", 54, 289-340, 2000 Horikoshi and Akiba、"Alkalophilic microorganisms, A new microbial world",Japan Scientific Societies Press, p.137,1982 SudaらFEMS Microbiol. Lett. , 180, 45-53, 1999
本発明は、以上のようなアルギン酸分解酵素に関する現状に鑑み、細菌によって生産される高アルカリ条件下で活性を有するアルギン酸分解酵素を提供すること、即ち、高アルカリ領域に最適反応pHを有する新規なアルギン酸分解酵素ならびにこれをコードする遺伝子を提供することをその目的とするものである。
本発明者らは、上述のような目的を達成するために鋭意研究を行い、深海底泥などの海洋性の種々のサンプルから新規なアルカリ性アルギン酸リアーゼを生産する菌株を取得し、さらにそのアルカリアルギン酸リアーゼを精製し、諸性質の検討を行うとともに本酵素をコードする遺伝子の取得に成功し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、次の酵素学的性質を有する新規なアルカリアルギン酸リアーゼを提供するものである。
(1) 作用:
アルギン酸を構成するマンニュロン酸グルロン酸ブロック及びポリグルロン酸に好んで作用し、β脱離によりアルギン酸を分解する。
(2) 最適反応pH:
50mMグリシン水酸化ナトリウム緩衝液中でpH10であり、また、0.2M塩化ナトリウムの存在下ではpH9である。
(3) 最適反応温度は30℃付近である。
(4) 分子量:
ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法による分子量が、約30,000である。
(5) pH安定性:
30℃で60分間恒温した場合に、pH6〜9で安定である。
また、本発明は、配列表の配列番号1で示されるアミノ酸配列、若しくはこの配列中の1個もしくは複数のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列を有する、又は配列表の配列番号1で示されるアミノ酸配列と60%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有する、上記の新規なアルカリアルギン酸リアーゼを提供するものである。
また、本発明は、アガリボランス エスピー JAM−A1m由来のものである、前記の新規なアルカリアルギン酸リアーゼを提供するものである。
更に、本発明は、下記(a)〜(d)からなる群、
(a)配列番号1に示すアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNA、
(b)配列番号1に示すアミノ酸配列の1個若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNA、
(c)配列番号2に示すヌクレオチド配列を有するDNA、又は
(d)配列番号2に示すヌクレオチド配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつアルカリアルギン酸リアーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA、
から選ばれるアルカリアルギン酸リアーゼをコードする遺伝子を提供するものである。
また、本発明は、上記いずれかの遺伝子を含有する組換えベクターおよび当該ベクターにより形質転換された微生物を提供するものである。
更に、また、本発明は、アガリボランス エスピー JAM−A1m、又は前記形質転換された微生物を培養し、その培養液よりアルカリアルギン酸リアーゼを採取することを特徴とする、前記酵素学的性質又は前記アミノ酸配列を有するアルカリアルギン酸リアーゼの製造方法を提供するものである。
本発明の新規なアルカリアルギン酸リアーゼは、pHが9〜10という高アルカリ領域において高いアルギン酸分解活性を有し、特にアルギン酸を構成するマンニュロン酸グルロン酸ブロック及びポリグルロン酸を好んで分解するという、従来のアルギン酸分解酵素に見られない特徴ある性質を有するものである。
本発明のアルカリアルギン酸リアーゼは、上に述べたような酵素学的性質、特にpH9〜10という高アルカリ領域に最適反応pHを有するアルギン酸分解酵素である。アルギン酸は、ポリグルロン酸、ポリマンニュロン酸およびマンニュロン酸とグルロン酸の入り混じったへテロポリマーであるマンニュロン酸グルロン酸ブロックから成る多糖であり、アルギン酸分解酵素がそのどれを分解するかによってグルロン酸リアーゼとマンニュロン酸リアーゼに分けられる。本発明のアルカリアルギン酸リアーゼは、アルギン酸を構成するマンニュロン酸グルロン酸ブロック、ポリグルロン酸に作用し、ポリマンニュロン酸にもわずかに作用することによって、β脱離によりアルギン酸を分解することができる。中でもマンニュロン酸グルロン酸ブロック及びグルロン酸のポリマーであるポリグルロン酸に対する分解速度が高いことから、主としてポリグルロン酸のα−1,4結合に作用すると考えられる。
また、本発明のアルカリアルギン酸リアーゼは、50mMグリシン水酸化ナトリウム緩衝液中でpH9〜10という高アルカリ領域でアルギン酸分解活性を有し、pH10で最大活性を示す。また、塩化ナトリウムを添加することによってpH7〜10の広い領域でアルギン酸分解活性が無添加の場合の最大で20倍以上と大幅に増加するとともに、この塩化ナトリウムの添加によって最適pHが10から9にシフトする。
本発明のアルカリアルギン酸リアーゼは、5〜40℃の反応温度で活性を有するが、30℃付近が最適反応温度である。塩化ナトリウムの添加によって各温度で分解活性の2.5〜5倍の増加が認められるが、最適反応温度は30℃で変化はない。
本発明のアルカリアルギン酸リアーゼの分子量は、ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法による測定で約30,000である。
また、本発明のアルカリアルギン酸リアーゼは、30℃で60分間恒温という条件の下で、pH6からpH9付近までという比較的広いpH領域で安定な活性を有する。このpH安定性は、塩化ナトリウムを添加することによって逆に低下するという現象を示し、無添加の場合に比べて活性が最小でも60%程度に低下し、安定な範囲もpH5からpH8まで狭くなる。
このような本発明のアルカリアルギン酸リアーゼは、以下に示す方法に特に限定されるものではないが、例えば、アルギン酸リアーゼ生産菌として、アガリボランス属に属する微生物のある種のものが産生する酵素の中から見出されることがわかった。
即ち、本発明者らによって深海底泥などの種々の海洋性サンプルからスクリーニングされた微生物の一例として、鹿児島湾付近の海底泥から分離された細菌であるアガリボランス エスピー JAM−A1m株を挙げることができる。
このJAM−A1m株は、マリンアガー上で白色の小さなコロニーとして生育するとともに非常に強力な寒天分解酵素を生産し、生育中から冷蔵庫で保管中に寒天培地を溶解してしまうことがその特徴の一つとして挙げられる。
このJAM−A1m株の16SrRNA遺伝子をコードする塩基配列を基に、本菌株の特定化を行った結果、アガリボランス アルバス MKT187株の16SrRNA遺伝子配列と98.6%(1473塩基中1453塩基が一致)、アガリボランス エスピー JAMB−A11株の配列と98.4%(1434塩基中1411塩基が一致)、さらにアガリボランス アルバス MKT89株の16SrRNA遺伝子配列と99.9%(1379塩基中1377塩基が一致)、アガリボランス アルバス MKT82株の配列と99.6%(1379塩基中1373塩基が一致)が一致するが、いずれも完全に一致することはなく新規な菌株であることが判明した。そこで本菌をアガリボランス エスピー JAM−A1m株(Agarivorans sp.JAM-A1m)として、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(所在地:郵便番号305-8566、茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に、寄託番号FERM P−21397として寄託した。
本発明のアルカリアルギン酸リアーゼは、上述したアルカリアルギン酸リアーゼ生産菌であるアガリボランス属に属する微生物、好ましくはアガリボランス エスピー JAM−A1m株を、資化可能な炭素源、窒素源その他の必須栄養素を含むアルギン酸を添加した培地を用いて培養し、その培養上清から得ることができる。ただし、本発明のアルカリアルギン酸リアーゼは誘導酵素であるため、培養に必要な炭素源としては、アルギン酸あるいはアルギン酸の酸加水分解物が必須である。さらに生育を促進させるために資化可能なグルコース、シュークロース、マルトースなどを添加することができる。また、資化可能な窒素源としては、魚肉エキス、ポリペプトン、トリプトン、カザミノ酸、スキムミルク、コーングルテンミール、コーンスティープリカー、大豆粉、NZアミンなどを使用することができる。
培養温度は5〜30℃、特に30℃が好ましく、pHは6〜9、特に7〜8.5が好ましく、この条件下において通常1〜2日間で培養が完了する。
また、本発明のアルカリアルギン酸リアーゼは、アガリボランス エスピー JAM−A1m株の染色体DNAからクローニングし、適当なベクターと宿主菌を用いることによって大量に生産することができる。
このようにして得られる本発明のアルカリアルギン酸リアーゼは、配列表の配列番号1のアミノ酸配列、または当該アミノ酸配列において、1若しくは2以上のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であって、依然としてアルカリアルギン酸リアーゼ活性を保持するタンパク質である。アミノ酸の欠失は1〜10個の範囲であることが好ましく、アミノ酸の付加には、両末端への1〜数個のアミノ酸が付加したものも含まれる。
また、本発明のアルカリアルギン酸リアーゼは、配列番号1のアミノ酸配列と60%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質であって、かつアルカリアルギン酸リアーゼ活性を保持するものも包含される。
なお、これらの等価のアミノ酸配列は、例えば、Lipman−Pearson法(Science, 227,1435,1985)等の公知のアルゴリズムを用いてアミノ酸配列を比較することにより行うことができる。具体的にはGENENTYX−MAC(ソフトウエァ開発製)のサーチホモロジーやマキシマムマッチングプログラムを用いて相同性を求めることができる。
なお、これらの等価のアミノ酸配列をコードする塩基配列は、部位特異的突然変異誘発法等の公知の手法を利用して調製することができる。例えば、部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット(Mutan-super Express Km キット:タカラバイオ製)等を用いて変異を導入し調製することができる。
上記の手法に従って、本発明の配列番号1に示すアミノ酸配列からなるアルカリアルギン酸リアーゼと他の公知であるアルカリアルギン酸リアーゼのアミノ酸配列と比較した場合、クレブシラ ノイモニア(Klebsiella pneumonia)の生産するアルギン酸リアーゼと53.2%、ビブリオ スペレンディダス 12B01株(Vibrio spelendidus 12B01)のゲノム解析から得られたアルギン酸リアーゼと52%、サッカロファガス デグラデンス2−40株(Saccharophagus degradans 2-40)のゲノム解析から得られたアルギン酸リアーゼと49.6%の相同性を示すにすぎなかった。また、先のクロレラのウィルス(CVN1)によってコードされるアルカリアルギン酸リアーゼとは25%以下の相同性であった。
これらの結果から、本発明の配列番号1に示すアミノ酸配列からなるアルカリアルギン酸リアーゼは新規な酵素であると判断される。即ち、本発明は、配列番号1に示すアミノ酸配列において相当する配列を適切にアライメントした時、60%以上の相同性を有し、かつアルカリアルギン酸リアーゼ活性を有するものを包含するものである。また、本発明のアルカリアルギン酸リアーゼは、配列番号1に示すアミノ酸配列における相同性が、70%以上であることがより好ましい。さらに好ましくは80%以上の、最も好ましくは90%以上の相同性を包含するものが望ましい。
次に、本発明のアルカリアルギン酸リアーゼ遺伝子は、上記のとおり、配列番号1に示すアミノ酸配列からなるタンパク質又はこのアミノ酸配列と等価のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするものであればよいが、配列番号2に示す塩基配列、又は配列番号2に示す塩基配列からなるDNAをストリンジエントな条件下でハイブリダイズしたアルカリアルギン酸リアーゼをコードするDNAを含有する遺伝子であるものが好ましい。
ここで「ストリンジエントな条件下」とは、例えばMolecular cloning - a Laboratory manual 2nd edition (Sambrookら、1989)に記載の条件等が挙げられる。例えば、6XSSC(1XSSCの組成:0.15M塩化ナトリウム、0.015Mクエン酸ナトリウム、pH7.0)、0.5%SDS、5Xデンハート及び100mg/mLニシン精子DNAを含む溶液にプローブとともに65℃で8〜16時間恒温し、ハイブリダイズさせる、という条件が挙げられる。
本発明のアルカリアルギン酸リアーゼをコードする遺伝子は、上述したアルカリアルギン酸リアーゼ生産菌として、例えばアガリボランス属に属する微生物、好ましくはアガリボランス エスピー JAM−A1m株から、例えばショットガン法、PCR法を用いることよりクローニングすることができる。
本発明の遺伝子を用いてアルカリアルギン酸リアーゼを生産するには、目的とする宿主内で遺伝子を発現するのに適した任意のベクターに、上記アルカリアルギン酸リアーゼ遺伝子を組込み、この組換えベクターを用いて宿主を形質転換し、得られた形質転換体を培養し、当該培養液からアルカリアルギン酸リアーゼを採取すればよい。
培養は宿主微生物の資化可能な炭素源、窒素源その他の必須栄養素を含む培地に接種し、常法に従って行えばよい。
培養によって得られた培養物の中からのアルカリアルギン酸リアーゼの採取及び精製は、一般の方法に準じて行なうことができる。本発明のアルカリアルギン酸リアーゼは、培養上清中に蓄積したものであり、培養液から遠心分離又は濾過によって菌体を除き、分離した残りの培養上清液から硫安沈殿、限外濾過などの常法手段によって目的酵素を濃縮することができる。このようにして得られた酵素液をそのままで、又はこれを乾燥して粉末として利用することができる。さらに、これらの酵素液を各種カラムクロマトグラフィーの組合せによる精製、更に公知の方法により結晶化や造粒化することができる。
この粗酵素液の分離・精製は、更に具体的には、例えば必要に応じて、塩析法、沈澱法、限外濾過法等の分離手段、イオン交換クロマトグラフィー、等電点クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー等の公知の方法を組み合わせて、更に分離精製したものを使用することができる。
次に、実施例によって本発明を更に詳しく説明する。実施例中で特に注記しないものは「%」表示は質量%である。
なお、以下の実施例において、アルカリアルギン酸リアーゼの活性は以下の方法によって測定して求めた。
即ち、100mMグリシン-水酸化ナトリウム緩衝液(pH10)、0.1%アルギン酸ナトリウムからなる反応液に酵素を添加し(全量0.5mL)、30℃で15分間反応を行った。その後、2mLの5mM塩酸を添加して反応を停止し、この反応液の235nmにおける吸光度を測定した。酵素1単位(1U)は、上記の条件下で1分間に吸光度を0.01上昇させる量とした。また、タンパク質は牛血清アルブミンを標準としてプロテインアッセイキット(バイオラッド)を用いて測定した。
実施例1:アルギン酸分解酵素生産菌のスクリーニング
マリンアガー2216(Difco製)に0.2%w/vアルギン酸ナトリウム(和光純薬製)を添加した培地に、鹿児島湾付近から採取された25種類の深海底泥の一定量をそれぞれ塗抹し、30℃の恒温槽にて培養を行った。コロニーの出現したプレートに0.2%アルギン酸ナトリウム、0.8%寒天および50mMモルホリノプロパンスルホン酸−水酸化ナトリウム(以下「MOPS」という)緩衝液(pH7)からなる軟寒天溶液を注ぎ、固化させた後、30℃で24時間放置した。アルギン酸リアーゼ生産菌は、0.2%セチルピリジニウムクロライド溶液を流し込み、ハローを形成したコロニーを選抜した。選抜したコロニーをマリンアガーに数回植継ぐことで菌株を純化した。次に0.2%アルギン酸ナトリウムを含むマリンブロスの入った試験管に選抜した菌株を植菌し、30℃で1〜3日振盪培養を行い、その後酵素活性を測定した。明らかに活性を認めた培養液について、反応pHを緩衝液によってpH5(酢酸緩衝液)、pH7(MOPS緩衝液)、pH9(グリシン-水酸化ナトリウム緩衝液)として活性測定を行い、アルカリ性領域で最も高い活性を示す酵素の生産菌としてA1m株を選抜した。
実施例2:JAM−A1m株の16SrRNA遺伝子配列の決定
実施例1のスクリーニングにより得られたJAM−A1m株の16SrRNA遺伝子を次のようにして決定した。即ち、マリンアガー上に生育したシングルコロニーを爪楊枝で採り25μLのPCR用緩衝液に懸濁し、鋳型とした。バクテリア16SrRNA遺伝子共通配列から設計された27F(5’−AGAGTTTGATCCTGGCTCAG−3‘)、1492R(5’−GGCTACCTTGTTACGACTT−3‘)をプライマーとし、DNAサーマルサイクラー(Gene Amp PCR system 9700: ABI PRISM製)中にてLA Taq DNAポリメラーゼ(タカラバイオ製)を用いてPCRを行った。反応条件は96℃で2分間処理したのち、96℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃1.5分を1サイクルとし30サイクル反応させ、最後に72℃で7分間保持した。PCR産物は、シュリンプアルカリホスファターゼ及びエキソヌクレアーゼ(GEヘルスケア製)処理により精製し、DYEnamic ET Terminal Sequencingキット(GEヘルスケア製)及びDNAシークエンサー(Mega BACE 1000:GEヘルスケア製)を用いて塩基配列を決定した。得られた塩基配列を配列番号3に示した。
実施例3:アルカリアルギン酸リアーゼの精製
実施例1で選抜されたJAM−A1m株を、0.5%ポリペプトンS(日本製薬)、0.5%酵母エキス、2%塩化ナトリウム、0.02%硫酸マグネシウム7水塩、0.002%塩化マンガン、0.01%リン酸1カリウム、0.2%アルギン酸ナトリウムを添加した液体培地(pH7)で30℃、24時間振盪培養した。培養上清(2L)をホローファイバーにて濃縮し、さらに10mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)にて希釈、濃縮を行った後、50mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)にて平衡化したスーパーQ トヨパールカラム(東ソー)へ添着させ、塩化カリウムによる濃度勾配溶出法により酵素を溶出させた。活性画分を集め、最終濃度が2Mとなるように硫酸アンモニウム添加し、2M硫安を含む10mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)にて平衡化しておいたブチルトヨパールカラム(東ソー)に添着させた。2Mから0.5M硫安の濃度勾配により酵素を溶出させた。この精製操作を繰り返し、SDS―ポリアクリルアミドゲル電気泳動的に1本のタンパク質バンドを得た。その結果を図1に示す。
実施例4:アルカリアルギン酸リアーゼの酵素学的性質
(1)作用
アルギン酸は、ポリグルロン酸、ポリマンニュロン酸およびマンニュロン酸グルロン酸ブロックから成る多糖であり、アルギン酸分解酵素がそのどれを分解するかによってグルロン酸リアーゼとマンニュロン酸リアーゼに分けられる。さらに双方ともに分解できるリアーゼも存在する。そこでアルギン酸をHaug らの方法(Acta Chem.Scand., 20, 183-190,1966)に従い、酸加水分解し、ポリグルロン酸とポリマンニュロン酸の画分に分けた。また、マンニュロン酸グルロン酸ブロックの画分はHaug らの別法(Acta Chem.Scand., 21, 691-704,1967)に従い調製した。
本発明酵素がこれらのどのポリウロン酸に対して作用を示す酵素であるかの特定化を、段落番号[0037]に示す酵素活性測定法に準じて、各基質を0.1%として酵素反応を行ない評価した。その結果、アルギン酸ナトリウムに対する分解活性を100%とした場合、マンニュロン酸グルロン酸ブロック、ポリグルロン酸、ポリマンニュロン酸に対する分解活性はそれぞれ131.7±16.5%、83.3±16.9%、及び27.3±13.4%であった。従って、本発明酵素のアルカリアルギン酸リアーゼは、マンニュロン酸グルロン酸ブロック及びポリグルロン酸をより好んでβ脱離によって分解していく酵素であることが判った。このことから本酵素はアルギン酸を構成するマンニュロン酸グルロン酸ブロック、ポリグルロン酸のα−1,4結合に作用している可能性が高いと考えられる。
(2)分子量
実施例3で得られた精製酵素のSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動から、図1からわかるように、本発明酵素の分子量は約30000であった。尚、分子量マーカーはPrecision Plus Protein Standards(バイオラッド製)を用いた。
(3)アミノ末端アミノ酸配列
精製酵素のSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動後、酵素をPVDF膜(イモブロンP;ミリポア製)にブロットした。ブロットされたタンパク質部分をアミノ酸シークエンサー(497HT型;アプライド バイオシステムズ製)にかけ、アミノ酸配列を決定した。その結果、アミノ末端アミノ酸配列は、Ala−Thr−Thr−Thr−Pro−Ala−Glu−Val−Leu−Asp−Leu−Serであった。
(4)最適反応pH
100mM MOPS緩衝液(pH6〜8)、100mMトリス−塩酸緩衝液(pH7〜9)、100mMグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液(pH8〜11)の種々の緩衝液の中において、30℃、15分間、本発明酵素によるアルギン酸分解反応を行ない、その酵素活性を測定した。その結果を、酵素活性の最大値を100%とする相対活性で、図2に示す。図2において、「●:実線」が100mMの各種緩衝液のみの場合を、「○:点線」が100mM緩衝液に0.2Mの塩化ナトリウムを添加した場合を示す。
本発明のアルカリアルギン酸リアーゼは、100mMグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液中でpH9〜10の範囲で活性を有し、pH10において最も高い活性を示した。また、反応液に0.2M塩化ナトリウムを添加した場合、pH7〜10の範囲で酵素が活性化され活性が最大で20倍と大幅に増加し、100mMグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液でpH9において最も高い活性を示し、最適反応pH値がpH9にシフトした。
(5)最適反応温度
100mMグリシン-水酸化ナトリウム緩衝液(pH10)中で、5〜45℃までの各温度で活性測定を行った。その結果を、酵素活性の最大値を100%とする相対活性で、図3に示す。図3において、「●:実線」が100mMグリシン-水酸化ナトリウム緩衝液のみの場合を、「○:点線」が100mMグリシン-水酸化ナトリウム緩衝液に0.2Mの塩化ナトリウムを添加した場合を示す。
この結果からわかるように、本発明のアルカリアルギン酸リアーゼは、5〜40℃の温度で活性を有し、その最適反応温度は30℃であった。同様に0.2M塩化ナトリウムを含む100mMグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液(pH9)中では酵素の大幅な活性化が認められ、30℃での活性が約2.5倍に増加したが、最適反応温度は30℃で変化はなかった。
(6)pH安定性
20mMの各種緩衝液中に0.2M塩化ナトリウムを添加あるいは無添加の系に本発明の酵素を加え、30℃で60分間恒温後、氷水中で急冷した。その後、段落番号[0037]に示した方法により残存活性を測定した。
但し、各pHの緩衝液は次のものを用いた:
pH4〜6 : 酢酸緩衝液、
pH6〜8 : MOPS緩衝液、
pH7〜9 : トリス塩酸緩衝液、
pH9〜11: グリシン−水酸化ナトリウム緩衝液、
pH11〜12.5: リン酸−水酸化ナトリウム緩衝液、
その結果を、残存活性の最大値を100%とする相対活性で、図4に示す。図4において、「●:実線」が20mMの各種緩衝液の場合を、「○:点線」が20mMの各種緩衝液に0.2Mの塩化ナトリウムを添加した場合を示す。
この結果からわかるように、本発明のアルカリアルギン酸リアーゼは、塩化ナトリウム無添加の系でpH6〜9付近まで安定であった。一方、塩化ナトリウム存在下では意外にも安定性は保持されず、残存活性はpH6〜7という狭い範囲においても塩化ナトリウム無添加系での60%程度の活性しか示さなかった。塩化ナトリウムは酵素の活性化には寄与するが、安定性には寄与しないことが判った。
実施例5:アルギン酸リアーゼ遺伝子のクローニングおよび塩基配列の決定
マリンブロス2216を用いて30℃、1昼夜振盪培養したアガリボランス エスピー JAM−A1m株から、斎藤と三浦の方法(Biochim. Biophys. Acta, 72, 619-629, 1963)に準じ、染色体DNAを調製した。これを制限酵素Sau3AI(ロッシュ製)にて完全分解し、0.75kb〜3kbのDNA断片を得た。予め制限酵素BamHI(ロッシュ製)にて切断しておいたベクターpUC18にこれらの断片を結合し、遺伝子ライブラリーを作製した後、大腸菌(Escherichia coli DH5α)を形質転換した。形質転換株はLB培地に0.1%アルギン酸、100ppmのアンピシリンを含むLB培地上に生育させた。
本発明の酵素の発現は以下に示す重層法により確認した。即ち、形質転換株が生育した後、0.2%アルギン酸、50mMグリシン-水酸化ナトリウム(pH9)、0.2M塩化ナトリウム及び0.8%寒天から成る軟寒天溶液を重層し、固化後、30℃で1昼夜放置した。0.1%セチルピリジニウムクロライド溶液を流し込みコロニーの周辺にアルギン酸分解による溶解斑ができた菌株を選抜した。選抜した形質転換体を100ppmのアンピシリンを含むLB培地に植え継ぎ純化した後、液体培養を行い、High Pure Plasmid Isolationキット(ロッシュ製)を用いプラスミドを抽出した。挿入断片を得るためにpUC18のマルチクローニングサイトの外側の配列を基に設計したプライマーA(配列番号4:5‘−CAAGGCGATTAAGTTGGGTAACG−3’)及びプライマーB(配列番号5:5‘−CTTCCGGCTCGTATGTTGTGTG−3’)を用いて抽出したプラスミドを鋳型にPCRにて挿入断片を増幅した(96℃で2分間の熱変性後、96℃で20秒間、68℃で3分間を1サイクルとし30サイクル)後に、TAクローニングを行った(TA cloning キット:インビトロジェン製)。得られたプラスミドを用いて大腸菌TOP10を形質転換し、X−gal、アンピシリンを含むLB培地上で生育させ、β―ガラクトシダーゼ生産の有無を指標に形質転換株を選抜した。得られた形質転換体に対し先のプライマーA及びBを用いてコロニーPCRを行い増幅された遺伝子断片をシュリンプアルカリホスファターゼ及びエキソヌクレアーゼ(GEヘルスケア製)処理により精製し、DYEnamic ET Terminal Sequencingキット(GEヘルスケア製)及びDNAシークエンサー(Mega BACE 1000:GEヘルスケア製)を用いて塩基配列を決定した。
得られた塩基配列を基に設計したプライマーを用いてアガリボランス エスピー JAM−A1m株の染色体DNAを鋳型とし増幅した断片の塩基配列を決定し、その中にシグナル配列を含むアルカリアルギン酸リアーゼをコードする配列表の配列番号2に示す930塩基対から成るオープンリーディングフレームを見出した。この塩基配列から配列表の配列番号1に示したアミノ酸配列を決定した。決定された309個のアミノ酸より構成される配列中には、実施例4(2)で得た精製酵素のN末端アミノ酸配列(配列表の配列番号1の21〜32番目のアミノ酸)が見出された。
実施例6:大腸菌形質転換体によるアルカリアルギン酸リアーゼの生産
実施例5にて決定したアルカリアルギン酸リアーゼをコードする遺伝子の上流部をプライマーC(配列番号6:5’−AATGGATCCATCGGGTCTAATCCAGTTTGATGTC−3‘、下線部は新たに付加したBamHIサイトを示す)、プライマーD(配列番号7:5’−AATGGATCCTTCCGCTTTAGCGTTGGTAAACGC−3‘、下線部は新たに付加したBamHIサイトを示す)を用い、アガリボランス エスピー JAM−A1m株の染色体DNAを鋳型としPCRを行った。PCR条件は96℃で2分間の熱変性後、96℃で20秒間、68℃で3分間を1サイクルとし30サイクル行なった。得られたPCR増幅断片をWizard SV Gel and PCR Clean−up system(プロメガ製)にて精製し、制限酵素BamHIにて分解した後、同様に処理したベクターpUC18に結合し、組換えプラスミドを調製した。これを用いて大腸菌DH5α株を形質転換した。得られた形質転換株を100ppmのアンピシリンを含むLB培地上に生育させた後、実施例5に示した重層法によりアルカリアルギン酸リアーゼの生産を確認した。
以上のような本発明酵素と従来公知のアルギン酸リアーゼの性質を比較すると以下の通りである。即ち、アミノ酸配列において最も相同性の高いクレブシラ ノイモニア サブスピーシーズ アエロゲネス type25 (Klebsiella pneumonia subsp. aerogenes)(非特許文献3,4)の生産するアルギン酸リアーゼでは、その分子量が31400であり、ポリグルロン酸をβ脱離により分解するが、その最適反応pHは7付近であり、最適反応温度は36℃付近である。また、この酵素も食塩によって活性化されることが示されているが、その活性化の程度は0.3Mの食塩存在下で約1.6倍程度に過ぎない。これに対して、本発明酵素は分子量が約30,000で、最適反応pHは10であり、最適反応温度は30℃である。そして、本発明酵素は0.2M食塩添加により、pH9において10倍以上の活性化が認められる。
また、先に述べたクロレラのウィルス(CVN1)由来の高アルカリアルギン酸リアーゼは、分子量36800、最適反応pHは10.5ではあるものの、反応にカルシウムを必要とするというものであるが、本発明酵素は、反応にカルシウムは不要であり、またアミノ酸配列においても両者に相同性は認められず、本発明酵素とは本質的に異なった酵素と考えられる。
以上のように本発明酵素は、従来公知のアルギン酸リアーゼとはその性質が大きく異なる新規な酵素である。
本発明のアルカリアルギン酸リアーゼは、従来知られているアルギン酸リアーゼと異なり、pH9〜10というアルカリ領域に高いアルギン酸分解活性を有する。アルギン酸は一般的に海藻類からアルカリ条件下で抽出のよって生産されているが、本発明酵素を利用することによって、アルカリ条件下でアルギン酸を分解し、低分子量化することができ、アルギン酸の抽出、分解、分画の操作をより簡便に行なうことができる。このため、種々の食品分野、化粧品・医療分野などにおいても、本発明の酵素を利用することによって、使用するアルギン酸の粘度やその他の性質を調節することができ、有用である。
本発明酵素のSDS−PAGEの結果を示す図である。 本発明酵素の酵素活性とpHの関係を示す図である。 本発明酵素の酵素活性と温度の関係を示す図である。 本発明酵素のpH安定性を評価するための酵素活性とpHの関係を示す図である。

Claims (7)

  1. 次の酵素学的性質を有する新規なアルカリアルギン酸リアーゼ:
    (1) 作用:
    アルギン酸を構成するマンニュロン酸グルロン酸ブロック及びポリグルロン酸に好んで作用し、β脱離によりアルギン酸を分解する。
    (2) 最適反応pH:
    50mMグリシン水酸化ナトリウム緩衝液中でpH10であり、また、0.2M塩化ナトリウムの存在下ではpH9である。
    (3) 最適反応温度は30℃付近である。
    (4) 分子量:
    ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法による分子量が、約30,000である。
    (5) pH安定性:
    30℃で60分間恒温した場合に、pH6〜9で安定である。
  2. 配列表の配列番号1で示されるアミノ酸配列、若しくはこの配列中の1個もしくは複数のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列を有する、又は配列表の配列番号1で示されるアミノ酸配列と60%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有する、請求項1に記載の新規なアルカリアルギン酸リアーゼ。
  3. アガリボランス エスピー JAM−A1m由来のものである、請求項1又は2に記載の新規なアルカリアルギン酸リアーゼ。
  4. 下記(a)〜(d)からなる群、
    (a)配列番号1に示すアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNA、
    (b)配列番号1に示すアミノ酸配列の1個若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNA、
    (c)配列番号2に示すヌクレオチド配列を有するDNA、又は
    (d)配列番号2に示すヌクレオチド配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつアルカリアルギン酸リアーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA、
    から選ばれるアルカリアルギン酸リアーゼをコードする遺伝子。
  5. 請求項4に記載のいずれかの遺伝子を含有する組換えベクター。
  6. 請求項5に記載のベクターにより形質転換された微生物。
  7. アガリボランス エスピー JAM−A1m、又は請求項6に記載の形質転換された微生物を培養し、その培養液よりアルカリアルギン酸リアーゼを採取することを特徴とする、前記酵素学的性質又は前記アミノ酸配列を有するアルカリアルギン酸リアーゼの製造方法。

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