JP2009191203A - 硬化性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エポキシ樹脂(A)と、スチレン−ブタジエン−メチルメタクリレート三元共重合体(B)と、酸価が5KOHmg/g以下であるポリエステルウレタン、ポリエーテルエステルアミドおよびポリエステルアミドからなる群から選択される少なくとも1種の重合体(C)とを含有する硬化性樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
また、コア−シェル型のゴム粒子を添加するとポリイミドに対する接着性は多少向上するが、更に接着性を向上させる余地があった。また、電子回路等では接着面の幅が数μm程度になる場合があるが、コア−シェル型のゴム粒子を用いた樹脂組成物は、接着面が数μm程度になる箇所に適用される場合に接着性が低くなるという問題がある。
(1)エポキシ樹脂(A)と、スチレン−ブタジエン−メチルメタクリレート三元共重合体(B)と、酸価が5KOHmg/g以下であるポリエステルウレタン、ポリエーテルエステルアミドおよびポリエステルアミドからなる群から選択される少なくとも1種の重合体(C)とを含有する硬化性樹脂組成物。
本発明の硬化性樹脂組成物(以下「本発明の組成物」ともいう。)は、エポキシ樹脂(A)と、スチレン−ブタジエン−メチルメタクリレート三元共重合体(B)と、酸価が5KOHmg/g以下であるポリエステルウレタン、ポリエーテルエステルアミドおよびポリエステルアミドからなる群から選択される少なくとも1種の重合体(C)とを含有する硬化性樹脂組成物である。
三元共重合体(B)は、スチレン由来のブロック、ブタジエン由来のブロックおよびメチルメタクリレート由来のブロックで構成されるブロック共重合体である。即ち、下記式(S)で表される繰返し単位からなる構造と、下記式(B)で表される繰返し単位からなる構造と、下記式(M)で表される繰返し単位からなる構造とを有するブロック共重合体である。
上記S、BおよびMはそれぞれ上記式S、BおよびMで表される繰返し単位を表す。n、m、l、o、pおよびqは、それぞれ独立に、10〜1000の整数を表す。
三元共重合体(B)の重合方法の具体例としては、国際公開第96/24620号パンフレット、米国特許第6255448号明細書、国際公開第2000/071501、欧州特許出願公開第1142913号明細書、欧州特許出願公開第1178955号明細書、国際公開第2000/049027号パンフレット等に記載された方法等が挙げられる。
これに対し、三元共重合体(B)は、通常、分子の大きさが数nm〜数十nm程度であるため、本発明の組成物は、流動性に優れ、製膜性が良好になり、接着界面の状態が良好になり、接着面の幅が数μm程度になる箇所に適用される場合でもポリイミドに対する接着性に優れる。
本発明の組成物に用いられる重合体(C)は、酸価が5KOHmg/g以下であるポリエステルウレタン、ポリエーテルエステルアミドおよびポリエステルアミドからなる群から選択される少なくとも1種の重合体である。
本発明の組成物は、ポリイミドフィルムに対する接着性および耐湿熱性により優れる点から、重合体(C)として、酸価が5KOHmg/g以下であるポリエステルウレタンと、ポリエーテルエステルアミドおよび/またはポリエステルアミドとを含有するのが好ましい。
また、上記ポリエステルウレタンとしては、ジメチロールブタン酸残基および/またはジメチロールプロピオン酸残基を含むものがポリイミドに対する接着性に優れる点から好ましい。
なお、本明細書において、芳香族ジカルボン酸残基は、芳香族ジカルボン酸からカルボキシ基を除いた構造を意味する。ジメチロールブタン酸残基は、ジメチロールブタン酸からカルボキシ基とヒドロキシ基とを除いた構造を意味する。ジメチロールプロピオン酸残基は、ジメチロールプロピオン酸からカルボキシ基とヒドロキシ基とを除いた構造を意味する。
また、芳香族ジカルボン酸は、芳香環とこの芳香環に結合したカルボキシ基を2個有する化合物をいう。
上記ポリエステルポリオールの製造方法は、特に限定されず、公知の方法を採用できる。
上記長鎖ジカルボン酸は、炭素数20以上のジカルボン酸であり、例えば、エイコサン二酸、ドコサン二酸、ダイマー酸等が挙げられる。
上記長鎖グリコールは、重量平均分子量400〜6000のグリコールであり、例えば、ポリエチレングリコール、ポリ(1,3−プロピレングリコール)、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
上記ポリエステルウレタンの酸価は、3KOHmg/g以下であるのが好ましく、0KOHmg/g(即ち、カルボキシ基を有さない)であるのがより好ましい。
また、上記ポリエステルウレタンの重量平均分子量は、他の成分との相溶性を損なわないという点から1,000,000以下が好ましい。
これらの中でも、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸とから製造されるポリアミド、ヘキサメチレンジアミンと重合脂肪酸とアゼライン酸またはセバシン酸とから製造されるポリアミド、12−アミノドデカン酸から製造されるポリアミド、カプロラクタムから製造されるポリアミドが好ましい。
具体的には、例えば、プリポール1009、プリポール1004、プリポール1010(以上ユニケマ社製)やエンポール1010(ヘンケル社製)等が好適に挙げられる。
これらポリオキシアルキレングリコールの数平均分子量は200〜3000であることが好ましい。
R2は、炭素数6〜22の脂肪族または芳香族ジカルボン酸からカルボキシ基を除いた残基を表す。
R4は、炭素数20〜48のダイマー酸(二量体化脂肪酸)を主成分とする重合脂肪酸からカルボキシ基を除いた残基を表す。
R6は、炭素数6〜22の脂肪族もしくは芳香族ジカルボン酸からカルボキシ基を除いた残基、または、炭素数20〜48のダイマー酸(二量体化脂肪酸)を主成分とする重合脂肪酸からカルボキシ基を除いた残基を表す。
特に、ポリエステルアミドの溶剤への溶解性および力学的性質に優れる点から、脂環族ジアミン類が好ましい。
特に、ポリエステルアミドの溶剤への溶解性および力学的性質に優れる点から、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカ二酸が好ましい。
特に、プリポール1004,1009,プリポール1010(以上ユニケマ社製)やエンポール1008(コグニス社製)等の市販品が好ましい。これらの混合物およびエステル誘導体も好ましい。
この範囲であると、コポリアミド成分(a)とポリエステル成分(b)との相溶性、コポリアミド成分(a)の凝集性(結晶性)、得られる組成物のポリイミドに対する接着性に優れる。
特に、ポリエステルアミドの溶剤への溶解性、力学的性質に優れる点から、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ダイマージオールが好ましい。好ましく用いられる重合脂肪酸の誘導体であるダイマージオールとしては、ベスポールHP−1000(東亞合成社製),Pripol2033(ユニケマ社製),SpeziolC36/2(コグニス社製)等の市販品が挙げられる。
本明細書で、「重合脂肪酸の誘導体」と記載する場合には、上記のようなダイマージオールを含む場合がある。
ポリエステル成分(b)としては、炭素数2〜6の置換または非置換の脂肪族ジオールおよび/または脂環式ジオールと、炭素数20〜48のダイマー酸(二量体化脂肪酸)を主成分とする重合脂肪酸およびそのエステル誘導体より得られるポリエステル成分、ならびに、炭素数6〜22の脂肪族ジカルボン酸または芳香族ジカルボン酸およびそのエステル誘導体と、炭素数20〜48のダイマー酸(二量体化脂肪酸)を主成分とする重合脂肪酸から誘導されるダイマージオールより構成されるポリエステル成分が好適に挙げられる。
この範囲であると、ポリエステルアミドの溶剤に対する溶解性、耐水性、柔軟性、ポリイミドに対する接着性等に優れる。
例えば、上記コポリアミド構成成分を重縮合反応により進行させ、末端に官能基を有したコポリアミドを合成した後、コポリアミドの存在下、上記ポリエステル構成成分を重合させる方法等によって行う事ができる。この重縮合反応は、通常、第一段階としてアミド化反応を進行させ、第二段階にエステル化反応を進行させる事により実施される。
コポリアミド成分とポリエステル成分との反応は、透明で均質な溶液状態で進行させるのが好ましく、不均一で濁った状態では、反応が効率よく進行しない。
このように、コポリアミド成分とポリエステル成分とを効率よく反応させるためには、減圧下、好ましくは、10mmHg以下で反応を進行させるのが好ましい。反応温度が180℃未満であると、反応速度が小さく、また、系の重合粘度が高くなるので、効率的な重縮合反応が困難となる。一方、反応温度が270℃を超えると、分解、着色反応が起こりやすくなり、好ましくない。
触媒については、特に限定されるものではなく、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、マグルシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、コバルト、ゲルマニウム、タングステン、スズ、アンチモン、セリウム、ホウ素、マンガン、ジルコニウム等の金属;有機金属化合物;有機酸塩;金属アルコキシド;金属酸化物;等が挙げられる。より好ましいものとしては、テトラブトキシチタン、酢酸カルシウム、炭酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニル、ジアシル第一スズ、テトラアシル第二スズ、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレート、スズジオクタノエート、スズテトラアセテート、トリイソブチルアルミニウム、テトラブチルチタネート、テトラプロポキシチタネート、チタン(オキシ)アセチルアセトネート、二酸化ゲルマニウム、タングステン酸、酸化アンチモン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
このような安定剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,3−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニロキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等のヒンダードフェノール系酸化防止剤;トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、2−t−ブチル−α−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−クメニルビス(p−ノニルフェニル)ホスファイト、ジミリスチル−3,3′−チオジプロピオネート、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ジトリデシル−3,3′−チオジプロピオネート等の熱安定剤;が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記硬化剤としては、例えば、アミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノール系化合物、チオール系化合物、イミダゾール、3フッ化ホウ素−アミン錯体、グアニジン誘導体等を使用することができ、アミン系化合物、酸無水物系化合物、チオール系化合物等が好ましい。
チオコール(東レ・ファインケミカル社製)、カップキュア3−800(ジャパンエポキシレジン社製)、エピキュアQX40(ジャパンエポキシレジン社製)等のポリチオール等のチオール化合物が挙げられる。中でも、エポメートQX10、エポメートQX11、カップキュア3−800、エピキュアQX40等が、市販の速硬化性ポリチオールとして好適に用いられる。
湿気潜在性硬化剤としては、ケチミン化合物、オキサゾリジン化合物等が挙げられる。
熱潜在性硬化剤としては、アミン等の硬化剤をエポキシ樹脂等の樹脂で被覆したもの(例えば、旭化成社製のノバキュア等)が挙げられる。
硬化触媒としては、具体的には、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の第三級アミン類、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類、オクチル酸スズ等の金属化合物、第四級ホスホニウム塩等が挙げられる。
低温かつ短時間で硬化できる理由は、製膜性の高い三元共重合体(B)や重合体(C)を含むためであると考えられる。
ポリイミドに対する接着性および耐湿熱性に優れる理由は、エポキシ樹脂(A)、三元共重合体(B)および重合体(C)が相溶性に優れ、均一に分散できるので接着界面の状態が良好になるため、および、上記樹脂成分に含まれるアミド結合等とポリイミドフィルムとの間に相互作用が働くためであると考えられる。
したがって、本発明の組成物は、ポリイミド材料同士あるいはポリイミド材料と他の材料とを接合するための接着剤として好適に用いられる。
(実施例1〜11および比較例1〜6)
下記第1表に示す各成分を、第1表に示す割合(質量部)で、撹拌機を用いて混合し、第1表に示される各組成物を得た。
得られた各組成物について、下記に示す方法により、ポリイミドに対する接着性(初期)および耐湿熱性を評価した。
結果を第1表に示す。なお、第1表中のポリエステルウレタン(C1)およびポリエステルウレタン1は溶剤混合品であるが、これらの配合量は固形分の量で示す。
ポリイミドフィルム(カプトン(登録商標)、東レ・デュポン社製、厚さ25μm)を2枚用意し、一方のポリイミドフィルムに各組成物を塗布し、80℃のオーブン中で5分間乾燥して溶剤を除去した。次に、このフィルムの組成物塗布面に、他方のポリイミドフィルムを貼り合わせ、3MPa、160℃の条件で20秒間熱プレスして接着させた後、サンプルを1cm幅に切り出し、試験片を作製した。
得られた試験片にて、剥離試験機(イマダ社製)により、試験温度23℃、引張速度50mm/minで180度剥離試験を行い、剥離強度を測定した。この値を剥離強度(初期)とした。
上記<ポリイミドに対する接着性(初期)>と同様の要領で作製した試験片を85℃、85%RHの条件下で500時間放置した後、上記と同様の測定方法にて剥離強度を測定した。
第1表中の各成分は下記のとおりである。
・エポキシ樹脂(A):エピクロンHP4032D、大日本インキ化学工業社製
・三元共重合体(B1):E40、アルケマ社製、−(S)n−(B)m−(M)l−で表されるSBM構造のブロック共重合体と−(M)o−(B)p−(S)q−で表されるMBS構造のブロック共重合体との混合物、S:B:M=(n+q):(m+p):(l+o)=0.47:0.26:0.27、重量平均分子量5000〜50000
・三元共重合体(B2):A−012、アルケマ社製、−(S)n−(B)m−(M)l−で表されるSBM構造のブロック共重合体と−(M)o−(B)p−(S)q−で表されるMBS構造のブロック共重合体との混合物、S:B:M=(n+q):(m+p):(l+o)=0.16:0.41:0.43、重量平均分子量5000〜50000
・ポリエステルウレタン(C1):テレフタル酸に由来する構造を含むポリエステルウレタン、バイロンUR1400、東洋紡績社製、酸価1KOHmg/g未満、重量平均分子量110,000、ガラス転移温度83℃、樹脂固形分濃度30質量%(溶剤 メチルエチルケトン/トルエン=50/50)
・ポリエステルウレタン1:テレフタル酸に由来する構造を含むポリエステルウレタン、バイロンUR3500、東洋紡績社製、酸価35KOHmg/g、重量平均分子量110,000、ガラス転移温度10℃、樹脂固形分濃度40質量%(溶剤 トルエン)
・ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体(C2):TPAE−32、富士化成工業社製
・ポリエステルアミドブロック共重合体(C3):TPAE−617、富士化成工業社製
・フェノキシ樹脂:フェノトートYP−50、東都化成社製
・潜在性硬化剤:ノバキュア3941、旭化成社製、エポキシ樹脂を70質量%含む
・シリカ:エクセリカUF−103、トクヤマ社製
実施例1〜11は160℃、20秒の硬化条件でポリイミドに対して高い接着性を示し、耐湿熱性にも優れていた。
Claims (7)
- エポキシ樹脂(A)と、スチレン−ブタジエン−メチルメタクリレート三元共重合体(B)と、酸価が5KOHmg/g以下であるポリエステルウレタン、ポリエーテルエステルアミドおよびポリエステルアミドからなる群から選択される少なくとも1種の重合体(C)とを含有する硬化性樹脂組成物。
- 前記重合体(C)として、前記ポリエステルウレタンと、前記ポリエーテルエステルアミドおよび/またはポリエステルアミドとを含有する請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記スチレン−ブタジエン−メチルメタクリレート三元共重合体(B)の含有量が、前記エポキシ樹脂(A)100質量部に対して1〜65質量部である請求項1または2に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記ポリエステルウレタンの含有量が、前記エポキシ樹脂(A)100質量部に対して1〜65質量部である請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記ポリエーテルエステルアミドおよび/またはポリエステルアミドの含有量が、前記エポキシ樹脂(A)100質量部に対して1〜65質量部である請求項1〜4のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
- 更に、硬化剤を含有する請求項1〜5のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記硬化剤が、潜在性硬化剤である請求項6に記載の硬化性樹脂組成物。
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