本発明の目的は、エレベータケージの絶対位置を決定するための測定システムを備えた、導入部に記載された種類のエレベータを示すことであり、これは、費用をできるだけ低減しつつ、エレベータケージの長い移動経路にわたって高い分解能で位置認識を可能にする。
本発明によれば、この目的は、請求項1の特徴を有する絶対位置測定システムを備えたエレベータによって達成され、これは、絶対コードマークパターンおよび増分コードシンボルパターンが、マンチェスターコーディングのn桁の疑似ランダムシーケンスの単一トラックの組み合わせコードマークパターンとして表され、コード読取装置はn+1個の連続コードマークを走査するためのセンサを具備し、単一トラックの組み合わせコードマークパターンの各第2のコードマークが走査されるという事実によって特に特徴づけられる。
本発明の本質は、二進法n桁疑似ランダムシーケンスから、それによって2n−1の異なる位置値がコード化され、1が各0の後ろに挿入され0が各1の後ろに挿入される絶対長さ測定システム用の単一トラックコーディングにある。それによって得られた、二重長さを備えた本発明によるシーケンスは、いわば、n桁疑似ランダムシーケンスとマンチェスターコーディングとの擬似的な組み合わせを表す。そのため、本発明による組み合わせコードマークパターンに発生するすべてのコードワードは、互いに異なり、組み合わせコードマークパターンのそれぞれの第2のコードマークのn+1コードマークを走査しなければならない。
絶対単一トラックシステムの利点は、本発明にしたがったコーディングによって、絶対二重トラックまたは複数トラックシステムの高分解能の利点と組み合わされる。
本発明に係る組み合わされたコーディングによれば、不変の分解能を備えたn桁の疑似ランダムコーディングによって、それが導かれるn桁の疑似ランダムコーディングの全コードマークの長さλの合計に対応するものの2倍の長さの測定経路を表すことができる。その場合、排他的に、長さλを備えた個別コードマークおよび長さ2λのコードマークが、本発明にしたがって単一トラックの組み合わせコードマークパターンに発生する。結果として、コードマークの変化は、せいぜい2λの長さ後に発生し、コード読取装置によって検出されるかまたは走査されることができる。走査信号は、それによって単一トラック位置コードを検出するためのセンサが駆動装置内で制御され、準等距離コードマーク変化から導き出される。次いで、読み取られるべきコードマークに完全に一致してセンサが配置されるときに、読取りが常に発生する。単一トラックコードマークパターンは細く、したがって、移動経路に沿ってほんの小さな接着区域が必要なだけである。加えて、単一トラックコードキャリヤを簡単に経済的に作ることができる。
コード読取装置の単に1つの追加読取点によって、したがってn+1読取点のみによって、明白なまたは絶対シンボルパターンを、本発明にしたがって、組み合わせコードマークパターンの単一トラックで各回、読み取られることができる。
本発明にしたがって、n+1読取点のみを備えたコード読取装置は、経済的であり、同一の移動経路程度および匹敵する分解能用の従来のコード読取装置に比較して相対的に小さな構造を有する。単一トラックの組み合わせコードマークパターンを読み取るために、センサが、運動方向に直線上に2λの相互間隔あけで配列され、それによってコード読取装置は細く形成され、したがってガイドレールの側方向に隣接して場所を取らないように可動配列されることができる。
簡単なやり方で、始動時でさえ且つエレベータケージの移動なしで、その絶対位置を決定することができるが、それは、組み合わせコードマークパターンの各ビットについて2つのセンサが移動方向にコードマークの長さの半分の間隔あけで配列されるからである。2つのセンサの一方がコードマーク変化の近隣に配置され、およそ値ゼロのセンサ電圧を送出する場合には、それぞれの他方のセンサが、確かに、コードマークに一致して配置され、信頼のおける情報を送出する。第1のセンサおよび第2のセンサは、絶対読取用に、各場合にそれぞれのセンサ群に組み合わされる。コードマークの長さの半分だけずれた2つの交換センサ群から、交互に常に2つのセンサ群の一方のセンサの出力信号のみが、読取および評価用に選択される。2つのセンサ群のそれぞれの正しい一方への切り換えは、2つの異なるコードマーク間の反転の位置の決定によって実行され、2つのセンサ群は走査信号による。
本発明による単一トラックの組み合わせコーディングを磁気測定システムに使用する場合には、隣接する大きな磁極による小さな磁極の抑制、すなわち、いわゆるシンボル間干渉が減少される。これは、コードマークパターンからコード読取装置の間隔あけが大きい場合には、読取信頼性に明確な効果を有する。組み合わせコードマークパターンからコード読取装置の間隔あけは、したがって、より大きな磁気測定システムの場合にはより大きく選択することができる。測定システムは、したがって、コードキャリヤの汚れに影響されることあまりなく、読取方向またはケージの移動方向に垂直な方向にコードマークパターンに対するコード読取装置の運動をあまり発生させない。コードマークの均一な長さは、さらに、平行して作動する経済的な構成要素によって迅速な評価を可能にする。
好適な実施形態において、磁気測定システムとして、特に、簡略で経済的なホールセンサが、線状位置コードを走査するために使用される。同様に、補間装置のホールセンサは、センサストリップに対する2つの異なるコードマークの間の反転の位置すなわち磁界のゼロ反転を決定するのに役立つ。補間装置は、2つのコードマークの長さ2λよりも長い長さを備えた領域にわたって移動方向に配列される。これらのホールセンサの間の間隔あけは、1つのコードマークの長さλよりも短い。
さらに、本発明の特に好適な展開において、ホールセンサに加えて、MRセンサを使用することが提案され、MRセンサによって本発明によるコーディングが走査され、したがって先の絶対単一トラックシステムに対する分解能が実質的に改善される。述べられた特性によって、磁気コードマークを備えた組み合わせコードマークパターンは、ほぼ正弦半波から構成される経路を備えた磁界を外部に形成する。これらの半波は各々が1つのコードマークの長さλかまたは2つのコードマークの長さ2λを有する。適切なMRセンサで走査するときに、センサ電圧のアークタンジェント補間によって、各場合に極内で移動比例する高分解能位置値を生成することができる。コードマーク長の分解能を備えた絶対位置値と組み合わせて、結果として高分解能位置が得られる。
位置コードを走査するためのコード読取装置が、冗長的なやり方で、評価ユニットを含めて作られる場合に、絶対ケージ位置を決定するための特に信頼のおける測定システムを得ることができる。第2のコード読取装置は、その場合、基本的に第1のコード読取装置と同一に作られ、中間読取ユニットおよび微細補間がこのシーケンスで移動方向において位置コード読取ユニットの後ろに配列されることのみが異なる。2つの位置コード読取ユニットのセンサペアは、読取の方向に平行である直線に配列され、コードマーク長λだけ互いに対してずれ、交換される。コード読取装置は、コンパクトな構造を有し、単に補間装置および微細補間装置だけ冗長さのない構造の測定システムよりも長い。
独自の評価ユニットが2つのコード読取装置の各々に関連づけられ、そのため、2つのコード読取装置のセンサの出力信号は互いから独立して評価され、エレベータの制御用に利用可能である。
単一トラック測定システムの冗長的な構造は、さらに、エレベータ業界における適用可能な安全要件を果たし、したがって、先の機械的に実行される安全装置を電気的な安全装置に替える可能性を提供する。さらに、これは、2つの測定システムの各々用のそれぞれの階センサとともに、図7に概略に示される包括的なシャフト情報システムの基本である。階センサの一方は、各評価ユニットに関連づけられる。階センサは、各階レベルでシャフトに配列された位置マーキングを検出するために、エレベータケージとともにシャフト内を動く。これらの信号は安全装置の出力信号とともに処理され、これは、位置情報と共通して、冗長的なやり方で同様に設けられ、エレベータ設備の制御に役立つ。
本発明の更なる特徴および利点は、添付図面を参照して以下に説明する好適な実施形態より明らかになる。
図1に概略的に例示される、エレベータシャフト1を備えたエレベータにおいて、エレベータケージ2およびカウンターウエイト3は数本のサポートケーブルで懸垂され、そのうちの1本のサポートケーブル4が典型としてここに例示されている。サポートケーブルは撓みローラー5上に導かれ、駆動された駆動プーリー6上にガイドされる。駆動プーリー6は、駆動モータ(ここでは図示せず)の駆動力をサポートケーブル4へ伝達し、サポートケーブル4はモータによって駆動され、カウンターウエイト3およびエレベータケージ2をガイドレール7に沿って上昇させ下降させる。エレベータケージ2に固定して接続されたガイドシュー9は、移動方向8において、ガイドレール7でエレベータケージ2を移動方向8に垂直な方向にガイドするよう機能する。磁気ストリップ10は、エレベータケージ2の移動経路全体に沿って且つエレベータケージ2の移動方向8に平行に、ガイドレール7の静止場所に装着される。磁気ストリップ10は、本実施形態による単一トラックの組み合わせコードマークパターン用のキャリヤとして働き、このパターンは、シャフト1におけるエレベータケージ2のゼロ点に対する絶対位置の数値コードを表す。
コード読取装置12は、移動方向8にエレベータケージ2に固定して装着される。これは本質的にセンサブロック13から構成され、センサブロック13は、コード読取センサシステム11を担持し、移動方向8に垂直に変位可能であるようにマウント14によって装着される。コード読取装置12がエレベータケージ2とともに動くときにローラーガイド15はセンサブロック13をガイドレール7にガイドする。同一の配列はエレベータケージ2の側方向にまたはその下にも可能である。
コード読取装置12は、読み取られたコード化された情報を接続線16によって評価ユニット17へ転送する。評価ユニット17は、たとえばエレベータケージ2の位置決めのため、ぶらさがったケーブル19によってエレベータ制御装置18へ送られる前に、読み取られたコードされた化情報を絶対位置ステートメントに変換するが、これは、エレベータ制御18が理解できるよう二進法で表されている。
図2は、磁気測定システムを備えた本発明の第1の実施形態を示す。単一トラックの組み合わせコードマークパターン20を備えた磁気ストリップ10は、ガイドレール7のセクションに装着される。コードマーク21は、長さが等しい矩形セクションでシンボル化され、磁気ストリップ10の長手方向にトラック状に配列され、各々がλ=4mmの長さを有し、磁気N極22としてまたは磁気S極23としてのいずれかで磁化される。個々のN極22およびS極23は、外部にそれぞれに対応する向きの磁界を形成する。各場合に、2つの相互に隣接するコードマーク12が、いわゆるコーディングのビットを規定する。N極22が移動方向8でS極23の前に配置される場合には、値「0」がこのビットに関連づけられ、一方、値「1」はS/N反転に関連づけられる。状態変化によって規定されるビットの重みづけのこの形態は、いわゆるマンチェスターコーディングとして知られている。明瞭化のため、対応する二進数またはビットは、図2において個別の極反転24の上に記録される。
図3は、組み合わせコードマークパターン20の個別ビットの配列のシーケンス示す。個別の極反転24は、それぞれの対応するコーディングのビットによって取って代わられる。本発明によるコーディングは、二進法疑似ランダムシーケンス25から作られ、これは、それ自体が公知であり、その逆の極反転26と組み合わされる。
疑似ランダムシーケンスは、n個の二進数の桁を備えた、ギャップなしで次々と配列されるビットシーケンスから構成される。次いで、公知のように、二進法疑似ランダムシーケンスにおいて1ビットによる各運動前進時に、新しいn桁の二進法ビットシーケンスが各回に発生する。次々と配置されるビットのそのようなシーケンスnは、下記においてコードワードと称される。二進法疑似ランダムコーディングのコードワードは、公知のように、線形フィードバックシフトレジスタの補助で生成することができる。その場合、シフトレジスタの桁の数は、二進法ビットシーケンスのまたはコードワードの桁の数に対応する。一般に、mビット疑似ランダムコーディングにおいて、n=xexp(m)の異なるコードワードを識別することができ、xはコードワード数の大きさであり、mはコードワードの桁またはビットの数である。表すことができる最大の数は、結果としてN=xexp(m)−1になる。ビットの数が大きくなればなるほど、より多くのコードワードを互いから識別することができる。
図3に例示された本発明の実施形態は、n=17桁を備えたコードワード27の疑似ランダムシーケンス25に基づいている。これは、2exp(17)−1ビット長であり、したがって、合計でn=2exp(17)=131,072の異なるコードワード27から構成される。本発明にしたがって、上述の疑似ランダムシーケンス25の移動方向8において、「1」の大きさを有するビットは、「0」の大きさを有する各ビットの後に挿入され、逆疑似ランダムシーケンスの「0」ビットは、各「1」ビットの後に挿入される。したがって、単一トラックの組み合わせコードマークパターン20において、ビット変化は遅くとも2つのビット後に発生する。図3によると、これは磁気ストリップ10上に表れるが、それは、長さλ=4mmおよび二重長さL=2λ=8mmの磁極22、23のみが存在し、N極22からS極23へのまたは逆の極反転24は、多くて、L=2λ=8mm後に発生するからである。
疑似ランダムシーケンス25のn1=2exp(17)−1ビットおよび逆の極反転26のそれに対して逆であるn2=2exp(17)−1ビットが合計され、合計nK=2x(2exp(17)−1)ビットを形成する。これは、ここに選択されたコードマーク長λ=4mmの場合、Lmax=nK×λ=262,144×4mm=1048.576mの単一トラックの組み合わせコードマークパターン20の幾何学的全体長に対応する。
分析的に考えると、その組み合わせは、合計NK=2(2exp(17)−1)−36=2exp(18)−2)−36=262,106コードワードにおいて、各場合に、18桁が識別される組み合わせコードマークパターン20を生成する。このようにして、本発明による組み合わせは、ビットまたは磁極22、23の数を二倍にするのを別にして、コード桁ゲインも産する。結果として、組み合わせコードマークパターン20のそれぞれの第2のビットの各18の連続したものを同時走査して、明白な18桁読取パターン33が、このようにしてコードワードの繰り返しなしで読み取られる(図2)。
対応して、18ビット位置コードまたはコードワード33を読み取るための図2によるコード読取センサシステム11は、18センサペア29を備えた位置コード読取装置28を具備し、これは、図4により具体的に例示される。18センサペア29は、2つの磁極22、23の長さ2λ=8mmに対応する間隔あけ20で、直線上に移動方向8に配列される。センサペア29の各々の2つのセンサ31、31’は、半コードマーク長λ/2=2mmのサイズの相互間隔あけ32によって分離される。2つのセンサ31、31’の一方が磁極変化24の近隣に配置され、およそ値ゼロのセンサ電圧を送出する場合には、それぞれの他方のセンサ31、31’は、磁極22、23の一方に確実に一致して配置され信頼のおける情報を送出する。全18の第1のセンサ31は第1のセンサ群に組み合わされ、全18の第2のセンサ31’は第2のセンサ群に組み合わされる。第1のセンサ群のセンサ31のうち、および移動方向に半コードマーク長λ/2=2mmだけずれる第2のセンサ群のセンサ31’のうち、交互に常に、位置読取のために2つのセンサ群の一方のセンサの出力信号のみが選択され評価される。図2の位置コード読取装置28の読取パターン33はしたがって、18の同時に読み取られたビットから構成されるが、組み合わせコードマークパターン20の各第2のビットのみが読み取られる。
上述のやり方で位置コード読取装置28によって同時に読み取られる読取パターン33の18ビットは、18桁コードワードとして共通に評価ユニット17によって解釈される。エレベータケージ2の絶対位置値35は、正しいシーケンスで二進数として出され、固定値記憶ここではEPROMに記憶された変換またはデコーディング表によって、組み合わせコードマークパターン20のこれらのn=2×(2exp(17)−1)−36=262,106の18桁コードワードの各々に明らかに関連づけられる。位置コード読取装置28の分解能はここでは4mmであり、これは、コードマーク21の長さλに対応する。
位置コード読取装置28の2つのセンサ群のそれぞれの正しい方への切り換えは、補間装置36の補助でS極23とN極22との間の極反転24の位置を決定することによって行われる。補間装置36は、移動方向8に、コードマーク21の長さλ=4mmの整数倍の間隔あけ37で位置コード読取装置28の、図2のように前か、または図3のように後ろかのいずれかに、配列される。補間装置36は、6個のホールセンサS0からS5の群を具備し、これは、各場合にλ/2=2mmの間隔あけで移動方向8に互いの後ろに配置され、そのため、10mmの間隔あけがしたがって第1のホールセンサS0および最後のホールセンサS5を分離する。ゼロ位置は、すなわち、上述の組み合わせコードマークパターン20の極反転24は、必然的に第1のホールセンサS0と最後のホールセンサS5との間の領域に配置される。補間読取装置36は、本発明によって形成される準等距離極反転24か、または、2つの連続するN極22またはS極23の間の磁界のゼロ反転を検出する。
補間装置36の6つのホールセンサS0からS5の、移動方向8の移動に対するミリメートル間隔での出力電圧の例は、図5に例示される。十分に知られたコンパレータ回路が、個別のセンサS0からS5の電圧の下記の比較を行い、これは下記のように重みづけられる。
等から
までである。
これは、図5に例示される実施例では、数値的シーケンス:001111111111111111を与える。これは、したがって、S極23が第1の補間センサS0にその0.5mm後ろまで延在するのが表される。N極22は、第1の補間センサS0の後ろ1.0mmから9mmに配置される。
生成された数字シーケンスは、たとえばEPROMに記憶される表によって、実施例の場合には3mmである補間値46(図2)を表す3桁の二進数シーケンスにデコードされる。これは、コードマーク長λで周期的であり、第1のホールセンサS0の位置から計算されたストリップの極性をたとえば0.5mmずつ示す。この補間値46のピーク値ビット24は、2mmの間隔で反転し、走査信号として、位置コード読取装置28のセンサ31と31’との間の上述の切り換えのためにそれを引き受ける。
補間値46の3つのビット24は、さらに全体位置情報53に含まれる。ホールセンサS0からS5の電圧は、0mT用に閾値と比較しなければならないだけであり、その目的のために、位置コード読取装置28の6つのホールセンサS0からS5の各々にコンパレータが設けられる。その結果として得られるデジタルビット24から、正しいビット24が、2から1の数のマルチプレクサによって選択され、これらは、補間装置36の2mmビット24によって制御される。依然として必要であるのは、数百kHzに達することができる同期パルスだけである。位置値は、パルスサイクル(<10ns)後に実現される。
その程度まで記載された単一トラック測定システムは、非常に経済的な構成要素で作ることができる。これは、16m/秒を超える高い移動速度を可能にする。測定速度は、実質的に、インターフェースの速度のみに依存する。この絶対単一トラックシステムのシステム分解能は、0.5mmであるが、微細補間装置47をさらに使用することによって実質的に増加することができる。
微細補間ユニット47は、ホールセンサ31、31’、S0からS5に加えて、MRセンサ49(磁気抵抗=誘導抵抗センサ)によって組み合わせコードマークパターン20を走査する。MR角度センサ49は、コードマーク21の長さの倍数に対応する固定した間隔あけ1=kλでコード読取装置12に、図2による実施形態の場合には移動方向8で補間装置36の前に、また図4による実施形態の場合には移動方向8で補間装置36の後ろに、配列され、それと一緒に磁気ストリップ10に沿って動く。その場合、MR角度センサ49は、単一トラックの組み合わせコードマークパターン20の磁界の経路を検出し、これは、およそ、N極22およびS極23によって形成される磁界の長さλ=4mmまたは2λ=8mmの正弦半波から構成される。
図6は、MR角度センサ49の出力信号48の変化を示し、これはここでは、移動方向8の経路に沿って記録された、組み合わせコードマークパターン20の半波を走査するためにIMO社の表示LK28とともに使用される。MRセンサ49のサイン形状およびコサイン形状の出力電圧は、補間チップによってまたはマイクロコントローラのソフトウェア(図示せず)によって、既にアークタンジェント補間され、最小値50が0mmにあり最大値51が4mmにあるように標準化される。出力信号48は、N極22若しくはS極23の長さλ=4mm内にまたは同一符号の相互に隣接する2つの磁極の2λ=8mm内に移動比例する高分解能位置情報を生成する。
MR角度センサ49の出力信号48の変化から、0mmから8mmの間の領域54に8mmの磁極があり、8mmから12mmの間の領域55に4mmの磁極があることが推察することができる。
この高分解能位置情報は、下記のようにさらに処理される。
MR角度センサ49が4mm磁極の上に配置されるならば、微細補間装置47の補間された位置情報は、高分解能位置値として引き受けられる。MRセンサ49が8mm磁極の上に配置されるならば、補間された位置情報に2が掛けられる。その結果として得られた値が、ここで磁極の長さλ=4mmによって予め定められた最大値よりも大きい場合には、最大値が引かれる。
この計算ルールから、結果として位置値52が得られ、これはコードマーク長λで周期的であり、分解能はほぼ50:mの大きさであり、先に、従来の二重トラックシステムの増分トラックからのみ得られたようなものである。
MR角度センサ49が4mm磁極の上かまたは8mm磁極の上かに配置されるかの情報は、デコーディング表にファイルすることができる。当初、コードワード33は位置コード読取装置28によって決定され、コードワード33によって示されるデコーディング表のアドレスによって、絶対位置35だけではなく、MR角度センサ49の瞬時位置下の磁極の配列も、読み取られる。
高分解能全体位置53の計算のために、微細補間装置47によって決定される周期的な高分解能位置値52、および、位置コード読取装置28によって決定される分解能λ=4mmの絶対位置値35は、マイクロコントローラ40内で互いに同期される。これは、問題のないやり方で可能であるが、それは、絶対位置35が、上述のように、0.5mmの分解能で利用可能であるからである。
合計24ビット24から構成されるエレベータケージ2の高分解能全体位置53の計算は、非常に素早く実行することができるが、それは、ほんの少数の簡単な操作、たとえば、比較、ビット変位、加算および減算しか必要ないからである。
本発明によるコーディングおよび位置コード読取装置28によって可能な高い移動速度は、補間された位置情報の平行出力を備えた補間チップが使用され、且つ、高分解能位置値52が、絶対位置値35に同期して、中間的に記憶され、同期パルスによって制御されるならば、微細補間装置47によって損害をもたらされることはない。
微細補間によって得られた補間された位置値の変化48の図6に認めることができる歪みは、それぞれ4mm磁極および8mm磁極用の歪みのない表によって歪みをなくすことができ、それによって正確度が実質的に改良される。同一の長さλまたは2λの磁極の歪みは、組み合わせコードマークパターン20のすべての点で酷似しているため、これが可能である。
図7において、コード読取センサシステム11が冗長的なやり方で作られる本発明の実施形態が例示される。第2のコード読取センサシステム11’は、図4による実施形態の先に記載された第1の実施例のコード読取センサシステム11と基本的に同一的なやり方で作られる。コード読取センサシステム11の第1の実施形態とは対称的に、第2のコード読取センサシステム11’の場合には、補間装置36’および微細補間装置47’は、このシーケンスでは移動方向8に位置コード読取装置28の前に配列される。
第2のコード読取センサシステム11’は、第1のコード読取センサシステム11に鏡対称に配置され、2つの位置コード読取装置28、28’のセンサペア29、29’は、移動/読取方向8に平行に直線状に係合し、コードマーク長λ=4mmだけ互いに対してずれる。この位置で、第2の位置コード読取装置29の18センサペア29’は、組み合わせコードマークパターン20のそれぞれの第1のビットの18の読取パターン33を検出する。
図8に示されるように、独自の評価ユニット17、17’が2つのコード読取センサシステム11、11’の各々に関連づけられ、そのため、2つのコード読取センサシステム11、11’のセンサの出力信号は互いから独立して評価され、互いから独立して決定される全体位置53、53の2つの高分解能値は、エレベータの制御用の24桁の二進数として利用可能である。
多数の機能を備えた包括的なシャフト情報システムは、このようにして、追加のエレベータセンサシステムと協働して、本発明にしたがって形成される絶対ケージ位置を決定するための絶対測定システムの冗長性から、得ることができる。
絶対ケージ位置の決定から進むシャフト情報システムのそのような機能の例として、シャフト端減速、シャフト端限定、階認識、レベル補償、ドア橋架け、および、非常に多様な移動規制等が挙げられる。
図7は、シャフト情報システムの基礎として、単一トラック測定システムの構造を冗長なやり方で示す。
単一トラック測定システムの冗長構造は、それぞれの階センサ41、41’とともに、図7に概略的に例示される包括的なシャフト情報システムの基礎である。階センサ41、41’の一方は、各評価ユニット17、17’に関連づけられる。階センサ41、41’は、各階レベルでシャフト1に配列された位置マーキング42、42’を検出するために、エレベータケージ2と一緒にシャフト内を動く。階センサ41、41’の信号は、安全装置43、43’の出力信号と一緒に処理され、これは、位置情報53と共通して同様に冗長形態に設けられ、エレベータの制御に役立つ。
磁気ストリップ10の長さコードマークパターン20は、この実施形態では、異なる極に磁化されたセクションによって表され、磁界に感度を有するコード読取装置12のセンサ31、31’、S0からS6によって読み取られる。基本的に、長さコーディングを表す他の物理的原則も考えられる。したがって、コードマークは、異なる誘導体数を有することもでき、これは、容量性効果を検出するセンサによって読み取られる。さらに、個別コードマークのそれぞれの大きさに依存して、より多い光量または少ない光量が照明装置からセンサとしての反射光バリアへ反射される反射コードマークパターンも可能である。
本発明は、位置コードを読み取るために経済的なホールセンサの使用を可能にする。しかし、原理的には、よりコストのかかるトランスミッタすなわちいわゆるGMRセンサ、または、磁界の方向を検出する磁気抵抗センサすなわちいわゆるMRセンサで実現することも可能である。これらのセンサの各々のうち、数個の個別センサおよび/または一群の異なるセンサが、コード読取装置で互いに組み合わせて存在することができる。