JP2009178992A - 熱可塑性樹脂フィルムの製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂フィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】縦延伸を行った熱可塑性樹脂フィルムのRe・Rthが均一な熱可塑性樹脂フィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】テンター62内において、フィルム12’の上下面側に対向して設けられた複数の熱風吹出しノズルで加熱しながら、フィルム12’の両端部をテンターレール65、66の複数のクリップ70…で把持してフィルム搬送しながら幅方向に延伸する熱可塑性樹脂フィルム12’’の製造方法において、テンター入口76から延伸開始点80まで、延伸開始点80でのテンターレール幅W2が、テンター入口76でのテンターレール幅W1よりも広い状態でフィルム搬送しながら予熱する。
【選択図】図3

Description

本発明は熱可塑性樹脂フィルムの製造方法に係り、特に、テンター内において、フィルムの上下面側に該フィルムを介して対向して設けられた複数の熱風吹出しノズルで加熱しながら、該フィルムの両端部をテンターレールの複数のクリップで把持して幅方向に延伸する熱可塑性樹脂フィルムの製造方法に関する。
従来、フィルムを延伸し、面内のレターデーション(Re)、厚み方向のレターデーション(Rth)を発現させ、液晶表示装置の位相差フィルムとして使用し、視野角拡大を図ることが実施されている。
フィルムを延伸する方法としては、縦(長手)方向に延伸する方法(縦延伸)や、横(幅)方向に延伸する方法(横延伸)、或いは縦延伸と横延伸を順に行う方法(逐次2軸延伸)が挙げられる。
これらのうち、縦延伸は設備がコンパクトなため、従来から多く用いられてきた。通常、縦延伸は、2対以上のニップロールの間でフィルムをガラス転移温度(Tg)以上に加熱し、入口側のニップロールの搬送速度より出口側の搬送速度を速くすることで縦方向に延伸する。
また、横延伸はテンターを用いて幅方向に延伸する方法が知られている。幅方向に延伸することにより、光軸が幅方向になるため、偏光子との張り合わせがロールtoロールで行うことができるなどのメリットがある。
しかし、テンターでの横延伸では、Rth/Reが1以上となるため、Rth/Reが1未満の位相差フィルムを作成するには、幅方向に拘束しない自由端一軸延伸方法を用いるのが一般的であった。
一方、特許文献1には、長手方向のクリップ間隔を変更することが可能な同時二軸延伸装置を用いた位相差フィルムの製造方法が記載されている。このような装置を用いて製造することで、Rth/Reが1以下となる位相差フィルムの製造を行うことができる。
そして、特許文献2には、テンターによって縦方向と横方向に同時二軸延伸を行うフィルムの製造方法が開示されている。この方法によれば、フィルムが開放部材を通過する際に、各クリップ10同士の間隔が搬送方向と幅方向に拡げる製造方法が記載されている。これにより、フィルムを縦方向、および横方向に同時に延伸を行うことができる。
また、特許文献3及び4においては、テンターでのボーイングを改善する方法が記載されている。尚、ここで、ボーイングとは、テンターに入る前のフィルムの面上に幅方向に沿って直線を描いておくと、この直線は、テンター内で変形して、フィルムの進行方向に対して、延伸終了後には凹型に変形する現象をいう。
特開2007−108529号公報 特開2006−69192号公報 特開2007−1286号公報 特開2007−1287号公報
ところで、横延伸した熱可塑性樹脂フィルムを位相差フィルムとして用いる場合、これまでの汎用フィルムのような、厚みの均一性だけでなく、Re・Rthといった光学特性を高いレベルで均一化することが求められている。しかしながら、特許文献1〜4に記載されている方法においても、Re・Rthが不均一となってしまうという問題があった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、縦延伸を行った熱可塑性樹脂フィルムのRe・Rthが均一な熱可塑性樹脂フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
請求項1は、前記目的を達成するために、テンター内において、フィルムの上下面側に該フィルムを介して対向して設けられた複数の熱風吹出しノズルで加熱しながら、該フィルムの両端部をテンターレールの複数のクリップで把持してフィルム搬送しながら幅方向に延伸する熱可塑性樹脂フィルムの製造方法において、前記テンター入口から前記延伸開始点まで、該延伸開始点でのテンターレール幅が、前記テンター入口でのテンターレール幅よりも広い状態でフィルム搬送しながら予熱する予熱工程を設けたことを特徴とする。
本発明者は、上記課題に鑑みて鋭意研究した結果、テンター内での熱風によってフィルムが煽られることで、バタツキが生じたり幅方向に加熱ムラが生じたりして、フィルムに延伸ムラが生じてしまい、Re・Rthが不均一になることを見出した。特に、テンター内において横延伸する前の予熱を行う際に、フィルムがバタツキ、幅方向の加熱ムラも生じてしまうことで、Re・Rthが不均一になることを見出した。そこで、本発明者は、テンターの延伸開始点でのテンターレール幅をテンターの入口でのテンターレール幅よりも広くすることで、フィルムのバタツキを抑制することとした。尚、ちなみに、予熱工程で、延伸開始点でのテンターレール幅をテンター入口でのテンターレール幅よりも広い状態でフィルム搬送するという考えは無かった。
従って、請求項1によれば、テンターの延伸開始点でのテンターレール幅W2が、テンターの入口でのテンターレール幅W2よりも広いことで、Re・Rthが均一な熱可塑性樹脂フィルムの製造方法を提供することができる。尚、W1≧W2であると、予熱する際にフィルムが弛んでしまい、フィルムがバタツキ易くなり、延伸ムラが発生する。
請求項2は請求項1において、前記延伸開始点でのテンターレール幅は、前記テンター入口でのテンターレール幅の1.0倍より大きく、1.2倍より小さいことを特徴とする。
請求項2によれば、W1がW2の1.0倍より大きく、1.2倍より小さいことが好ましい。尚、W1はW2の1.01倍以上1.15倍以下であることがより好ましく、1.02倍以上1.1倍以下であることが更に好ましく、1.02倍以上1.08倍以下であることが最も好ましい。
請求項3は請求項1又は2において、前記熱風の温度が前記フィルムのガラス転移温度以上である前記熱風吹出しノズルにおいて、前記熱風吹出しノズルの出口での熱風風速が3.0m/s以上40.0m/s以下であることを特徴とする。
請求項3によれば、温度がフィルムのガラス転移温度以上で風速が3.0m/s以上40.0m/s以下の範囲である熱風でフィルムの加熱を行うことで、効果的にフィルムを加熱でき、フィルムのバタツキによる延伸ムラも抑制することができる。尚、好ましくは4.0m/s以上35.0m/s以下、より好ましくは5.0m/s以上30.0m/s
以下、更に好ましくは6.0m/s以上27.0m/s以下である。
請求項4は請求項1〜3の何れか1において、前記熱風の温度が前記フィルムのガラス転移温度以上である前記熱風吹出しノズルにおいて、フィルム下面側の熱風吹出しノズル出口での幅方向平均風速V1と、フィルム上面側の熱風吹出しノズル出口での幅方向の平均風速V2の比V1/V2が、0.7以上2.5以下の範囲であることを特徴とする。
請求項4は、フィルムを介して対向して設けられた一対の熱風吹出しノズルの風速について規定したものであり、請求項4によれば、フィルム下面側の熱風吹出しノズル出口での幅方向平均風速V1と、フィルム上面側の熱風吹出しノズル出口での幅方向の平均風速V2の比V1/V2を0.7以上2.5以下にすることで、フィルムのバタツキを抑え延伸ムラを抑制することができる。尚、好ましくは0.75以上2.0以下、より好ましくは0.8以上1.5以下である。
請求項5は請求項1〜4の何れか1において、前記熱風吹出しノズル出口での幅方向の風速ムラが、幅方向の平均風速に対して20%以下であることを特徴とする。
請求項5によれば、幅方向の風速ムラを平均風速の20%以下にすることで、幅方向の加熱ムラを抑え、延伸ムラを抑制することができる。尚、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、更に好ましくは3%以下である。また、ここで、幅方向の風速ムラは、以下の式により求める。
幅方向の風速ムラ△V〔%〕=(Vmax−Vmin)/Vav×100、(但し、Vmax:風速の最大値、Vmin:風速の最小値、Vav:風速の平均値)
請求項6は請求項1〜5の何れか1において、前記熱風吹出しノズルのスリット幅が、2mm以上40mm以下であることを特徴とする。
請求項6によれば、スリット幅を2mm以上40mm以下にすることで、流れ方向及び幅方向のフィルムの加熱ムラを抑え、延伸ムラを抑制することができる。尚、熱風吹出しノズルのスリット幅が2mm未満になるとフィルムに熱風があたる面積が小さくなるため、フィルム流れ方向に加熱ムラが生じ延伸ムラが発生する。そして、40mmを越えると幅方向で風速ムラが生じ、フィルム幅方向で加熱ムラが起こるため延伸ムラが生じる。また、スリット幅は、好ましくは4mm以上30mm以下、より好ましくは5mm以上25mm以下、更に好ましくは6mm以上20mm以下である。
請求項7は請求項1〜6の何れか1において、前記フィルムの厚みが150μm以下であるとともに、該フィルムのガラス転移温度における弾性率が2.0GPa以下であることを特徴とする。
本発明は、フィルムの厚みが150μm以下、フィルムのガラス転移温度における弾性率が2.0GPa以下のフィルムを横延伸する際に特に有効である。
請求項8は請求項1〜7の何れか1において、前記熱可塑性樹脂フィルムのレターデーションReが20nm以上300nm以下、厚み方向のレターデーションRthが−100nm以上300nm以下であることを特徴とする。
本発明の製造方法により幅方向に延伸することで、Reが20nm以上300nm以下、Rthが−100nm以上300nm以下の熱可塑性樹脂フィルムを提供することができる。
請求項9は請求項1〜8の何れか1において、前記熱可塑性樹脂フィルムのReムラが10nm以下、Rthムラが20nm以下であることを特徴とする。
本発明の製造方法により幅方向に延伸することで、Reムラが10nm以下、Rthムラが20nm以下の熱可塑性樹脂フィルムを提供することができる。尚、Reムラが10nm、Rthムラが20nmよりも大きくなると、例えば、製造された熱可塑性樹脂フィルムを偏光板として液晶表示装置に取り付けると、光漏れや色ムラを生じてしまう。また、好ましくはReムラ8nm以下、Rthムラ15nm以下であり、より好ましくはReムラ6nm以下、Rthムラ10nm以下、更に好ましくはReムラ4nm以下、Rthムラ6nm以下である。
請求項10は請求項1〜9の何れか1において、前記熱可塑性樹脂は、セルロースアシレート樹脂であることを特徴とする。また、請求項11は請求項1〜9の何れか1において、前記熱可塑性樹脂は、飽和ノルボルネン系樹脂であることを特徴とする。
本発明の製造方法に用いるフィルムの素材である熱可塑性樹脂が、セルロースアシレート樹脂や飽和ノルボルネン系樹脂の場合に、本発明は特に有効である。
請求項12は、請求項1〜11の何れか1に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法で製造されたことを特徴とする熱可塑性樹脂フィルムである。請求項13は、請求項12に記載の熱可塑性樹脂フィルムを基材に用いたことを特徴とする偏光板である。請求項14は、請求項13に記載の偏光板を用いて作成することを特徴とする液晶表示装置である。
本発明の製造方法により製造された熱可塑性樹脂フィルムは、Re・Rthが均一であり、偏光板としても好適に使用することができる。従って、好適な液晶表示装置を提供することができる。
本発明によれば、縦延伸を行った熱可塑性樹脂フィルムのRe・Rthが均一な熱可塑性樹脂フィルムの製造方法を提供することができる。
以下、添付図面により本発明の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法の好ましい実施の形態について詳説する。
尚、本実施の形態では、セルロースアセテート樹脂フィルムであるセルロースアシレートフィルムを製造する例を示すが、本発明はこれに限定するものではなく、飽和ノルボルネン系樹脂フィルムなどの熱可塑性樹脂フィルムを製造する位相差フィルムの製造にも適用することができる。
図1は、熱可塑性樹脂フィルムの製造方法の概略構成の一例を示したものであり、セルロースアシレートフィルムを溶融製膜法により製造する場合で説明する。
図1に示すように熱可塑性樹脂フィルムの製造装置10は主として、延伸前のセルロースアシレートフィルム12を製膜する製膜工程部20と、製膜工程部20で製膜されたセルロースアシレートフィルム12を縦延伸する縦延伸工程部30、縦延伸されたセルロースアシレートフィルム12’を横延伸する横延伸工程部40と、縦・横延伸されたセルロースアシレートフィルム(熱可塑性樹脂フィルム)12’’を巻き取る巻取工程部50とで構成される。
製膜工程部20では、押出機14で溶融されたセルロースアシレート樹脂がダイ16からシート状に押し出され、回転するドラム18上にキャストされる。そして、ドラム18の表面で溶融樹脂が冷却固化されてセルロースアシレートフィルム12が得られる。このセルロースアシレートフィルム12はドラム18から剥離された後、縦延伸工程部30、横延伸工程部40に順に送られて延伸され、巻取工程部50でロール状に巻き取られる。これにより、セルロースアシレートフィルム(熱可塑性樹脂フィルム)12’’が製造される。
図2は、本発明に係る横延伸工程部40のゾーン構成の例を示す概略図である。そして、図3は、横延伸工程部40において幅方向に延伸を行うためのテンター62の平面図である。同図において、横延伸工程部40は、熱風などによって個々に温調可能で遮風カーテン42で区分された多数のゾーンから成り、入口より、予熱ゾーンZ1 、横延伸ゾーンZ2、冷却ゾーンZ3が配置される。また、図示しないが、冷却ゾーンZ3の後に熱処理ゾーンを設けても良い。
図3に示すテンター62は、フィルム(セルロースアシレートフィルム)12’を搬送方向Aに搬送しながら、幅方向Bに延伸し、走行方向Aに収縮する装置であり、二本のレール65、66と無端チェーン67、68を備えている。二本のレール65、66は、フィルム12を挟んで両側に配置されており、その間隔は、搬送方向Aの上流側よりも下流側が広くなるように形成されている。
無端チェーン67、68はそれぞれ、テンター入口76側の原動スプロケット71、72と、幅方向にフィルムが拡流する拡流部77に設けられる従動スプロケット73、74との間に掛け渡されるとともに、テンターレール65、66に案内されるようにして配置されている。そして、原動スプロケット71、72を駆動するようことによって、無端チェーン67、68がテンターレール65、66に案内されながら周回走行するようになっている。
無端チェーン67、68には、多数のクリップ70、70…が所定ピッチで多数取り付けられ、このクリップ70によってフィルム12の側縁部が把持される。クリップ70は無端チェーン67、68を走行させることによって、無端チェーン67、68とともに移動する。
前述した原動スプロケット71、72にはそれぞれ開放部材81、82が取り付けられており、従動スプロケット73、74にはそれぞれ開放部材83、84が取り付けられている。開放部材81〜84は、クリップ70に備えられたフラッパを把持位置から開放位置に変位させる装置であり、これによって、フラッパによるフィルム12の把持、開放動作が自動的に行われる。
上記のように構成されたテンター62において、無端チェーン67、68を走行させ、クリップ70、70…を周回移動させると、各クリップ70は、開放部材81、82の位置でフラップが開放位置になり、そして開放部材81、82を通過することでフラッパが把持位置になってフィルム12’の両側縁部が把持される。フィルム12’の両側縁部を把持した各クリップ70は搬送方向に進む過程で、クリップ70同士の間隔が幅方向Bに拡がる。これにより、フィルム12’が横方向に延伸される。フィルム12’を開放したクリップ70は、上流側の開放部材81、82まで戻され、再びフィルム12’を把持し、これを繰り返す。以上の動作を繰り返すことによって、フィルム12’は横方向に延伸される。尚、クリップ70の構成としては、例えば、特開2006−69192と同様の構成のものを用いることができる。
また、テンター62には、複数の熱風吹出しノズル46a、46b…がフィルム12’の上下面側にフィルムを介して対向して設けられている(図2参照)。熱風吹出しノズル46a、46b…には配管44a、44bを介して熱風が送られており、この熱風によってフィルム12’が煽られることで、バタツキが生じたり幅方向に加熱ムラが生じたりして、延伸ムラが生じてしまい、Re・Rthが不均一になる。特に、横延伸する前の予熱(予熱ゾーンZ1で予熱)を行う際に、フィルムがバタツキ、幅方向の加熱ムラも生じてしまうことで、Re・Rthが不均一となる。そこで、本発明では、テンターの延伸開始点80でのテンターレール幅W2は、テンター入口76でのテンターレール幅W1よりも広くしている。このように、テンターの延伸開始点でのテンターレール幅W2が、テンターの入口でのテンターレール幅W1よりも広いことで、Re・Rthが均一な熱可塑性樹脂フィルムの製造方法を提供することができる。尚、W1≧W2であると、予熱する際にフィルムが弛んでしまい、フィルムがバタツキ易くなり、延伸ムラが発生する。また、W2はW1の1.0倍より大きく、1.2倍より小さいことが好ましい。尚、W1はW2の1.01倍以上1.15倍以下であることがより好ましく、1.02倍以上1.1倍以下であることが更に好ましく、1.02倍以上1.08倍以下であることが最も好ましい。
そして、熱風の温度がフィルムのガラス転移温度以上である熱風吹出しノズルにおいて、熱風吹出しノズル46a、46bの出口での熱風風速が3.0m/s以上40.0m/s以下であるようにすることが好ましい。温度がフィルムのガラス転移温度以上で風速が3.0m/s以上40.0m/s以下の範囲である熱風でフィルムの加熱を行うことで、効果的にフィルムを加熱できるとともに、フィルムのバタツキによる延伸ムラも抑制することができる。尚、好ましくは4.0m/s以上35.0m/s以下、より好ましくは5.0m/s以上30.0m/s以下、更に好ましくは6.0m/s以上27.0m/s以下である。
また、熱風の温度がフィルムのガラス転移温度以上である熱風吹出しノズルにおいて、フィルム下面側の熱風吹出しノズル46b出口での幅方向平均風速V1と、フィルム上面側の熱風吹出しノズル46a出口での幅方向の平均風速V2の比V1/V2が、0.7以上2.5以下の範囲であることが好ましい。V1/V2を0.7以上2.5以下にすることで、フィルムのバタツキを抑え延伸ムラを抑制することができる。尚、好ましくは0.75以上2.0以下、より好ましくは0.8以上1.5以下である。
熱風吹出しノズル46a、46b出口での幅方向の風速ムラが、幅方向の平均風速に対して20%以下であることが好ましい。幅方向の風速ムラを平均風速の20%以下にすることで、幅方向の加熱ムラを抑え、延伸ムラを抑制することができる。尚、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、更に好ましくは3%以下である。また、ここで、幅方向の風速ムラは、以下の式により求める。
幅方向の風速ムラ△V〔%〕=(Vmax−Vmin)/Vav×100、(Vmax:風速の最大値、Vmin:風速の最小値、Vav:風速の平均値)
更に、熱風吹出しノズル46a、46bのスリット幅が、2mm以上40mm以下の範囲であることが好ましい。スリット幅を2mm以上40mm以下にすることで、流れ方向及び幅方向のフィルムの加熱ムラを抑え、延伸ムラを抑制することができる。尚、熱風吹出しノズルのスリット幅が2mm未満になるとフィルムに熱風があたる面積が小さくなるため、フィルム流れ方向に加熱ムラが生じ延伸ムラが発生する。そして、40mmを越えると幅方向で風速ムラが生じ、フィルム幅方向で加熱ムラが起こるため延伸ムラが生じる。また、スリット幅は、好ましくは4mm以上30mm以下、より好ましくは5mm以上25mm以下、更に好ましくは6mm以上20mm以下である。
クリップ70を開放すると同時に冷却手段86(冷却ゾーンZ3)でフィルム12’の
冷却を行う。フィルムは、長手方向に搬送されているため、常に長手方向に引っ張られていることになる。クリップ70がフィルム12’を開放すると、長手方向に引っ張られ、フィルムが長手方向に延伸し、収縮させた意味がなくなってしまう。したがって、開放と同時に冷却することにより、フィルムを固化させ、走行方向に延伸することを防ぐことができる。
冷却手段86としては金属ロール、セラミックロールを挙げることができる。なかでも金属ロールで冷却することが好ましい。冷却ロールで冷却することにより、効率よく冷却を行うことができる。冷却ロールを用いて行う場合は、冷却ロールをTg以下の温度に制御して行うことができる。さらに、金属ロールの表面はメッキされ、鏡面仕上げされていることが好ましく、ハードクロムでメッキされていることが好ましい。金属ロールの表面をメッキすることにより、フィルムを冷却ロールから剥がし易くすることができる。
好ましい延伸倍率は幅方向に1.2倍以上2.5倍以下、より好ましくは、1.3倍以上2.0倍以下である。
上記のごとく延伸を行うことにより、レターデーションRe、Rthを発現させることができる。Reを20nm以上300nm以下、厚み方向のレターデーションRthを−100nm以上300nm以下にすることができる。
ここで、レターデーションRe、Rthは以下の式により求めることができる。
Re=(nx−ny)/2×d
Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
(nx:延伸方向の屈折率、ny:延伸方向と垂直な方向の屈折率、nz:厚み方向の屈折率、d:厚み)
また、本発明の製造方法により幅方向に延伸することで、Reムラが10nm以下、Rthムラが20nm以下の熱可塑性樹脂フィルムを提供することができる。尚、Reムラが10nm、Rthムラが20nmよりも大きくなると、例えば、製造された熱可塑性樹脂フィルムを偏光板として液晶表示装置に取り付けると、光漏れや色ムラを生じてしまう。また、好ましくはReムラ8nm以下、Rthムラ15nm以下であり、より好ましくはReムラ6nm以下、Rthムラ10nm以下、更に好ましくはReムラ4nm以下、Rthムラ6nm以下である。
ここで、Re・Rthムラの測定には、例えばKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)を用いる。測定方法については以下手順に従う。(1)延伸後フィルムのうちテンター延伸時のクリップ耳部を含めて端部から200mmの位置まで切り落とす。(2)幅方向はフィルム両端から均等に20点、流れ方向は長さ10m間で均等に20点、合計400点(20×20)を切り出しRe、Rthを測定する。(3)その際の、Reの最大値をRemax・最小値をRemin、Rthの最大値をRthmax・最小値をRthminとし、Reムラ=Remax−Remin、Rthムラ=Rthmax−Rthminから算出される。
本発明において、テンター62内で、フィルムの上下面側に該フィルムを介して対向して設けられた複数の熱風吹出しノズルで加熱しながら、フィルムの両端部をテンターレールの複数のクリップで把持して幅方向に延伸する熱可塑性樹脂フィルムの製造方法において、テンターの延伸開始点でのテンターレール幅を、テンターの入口でのテンターレール幅よりも広くするので、フィルムのバタツキを抑制することができ、Re・Rthが均一な熱可塑性樹脂フィルムの製造方法を提供することができる。
このような効果は、フィルム12の厚みが150μm以下、フィルムのガラス転移温度における弾性率が2.0GPa以下のフィルムを横延伸する際に特に有効である。また、
フィルムとしてセルロースアシレートフィルム、或いは飽和ノルボルネン系フィルムを用いた場合に特に有効である。
尚、上述した実施の形態は、フィルム12’からクリップ70を外すことにより、フィルム12’を開放するテンター62について説明したが、クリップ70に把持されたフィルム12’の側縁部を切断することにより開放することも可能である。切断方法としては、レーザー、カッターなどにより切断する方法を挙げることができる。
以下、本発明に適した熱可塑性樹脂、製膜方法、フィルム加工方法について説明する。
(1)熱可塑性樹脂
上述した延伸を行う熱可塑性樹脂は特に制限されないが、より好ましくはセルロースアシレートまたは環状オレフィン系の樹脂からなることが好ましく、環状オレフィン系の樹脂としては、飽和ノルボルネン系の樹脂であることが好ましい。これらは、延伸により適度なRe、Rth発現性を有している上、延伸むらが発現しにくく優れているためである。以下、セルロースアシレート樹脂と飽和ノルボルネン系樹脂について説明する。
(セルロースアシレート樹脂)
本発明で用いるセルロースアシレートは以下の特徴を有するものが好ましい。アシレート基が、下記の置換度、
2.5≦A+B≦3.0
1.25≦B≦3
を満足することを特徴とするセルロースアシレートフィルム(Aはアセテート基の置換度、Bはプロピオネート基、ブチレート基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基の置換度の総和を示す)。より好ましい置換度は、Bの1/2以上がプロピオネート基の場合に、
2.6≦A+B≦2.95
2.0≦B≦2.95
であり、Bの1/2未満がプロピオネート基の場合に、
2.6≦A+B≦2.95
1.3≦B≦2.5、である。さらに好ましい置換度は、Bの1/2以上がプロピオネート基の場合に、
2.7≦A+B≦2.95
2.4≦B≦2.9
であり、Bの1/2未満がプロピオネート基の場合に、
2.7≦A+B≦2.95
1.3≦B≦2.0、である。
本発明においては、アセテート基の置換度を少なくし、プロピオネート基、ブチレート基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基の置換度の総和を多くすることが好ましい。これにより、延伸中に伸びむらが発生し難く、Re、Rthむらが発現しにくい上、結晶融解温度(Tm)を下げることができ、溶融製膜の熱による分解で発生する黄変を抑制することもできる。これらの効果は、なるべく大きな置換基を用いることで達成できるが、大きすぎるとガラス転移温度(Tg)や弾性率を低下させすぎるため好ましくない。このためアセチル基より大きなプロピオネート基、ブチレート基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基が好ましく、より好ましくはプロピオネート基、ブチレート基であり、さらに好ましくはブチレート基である。
これらのセルロースアシレートの合成方法の基本的な原理は、右田他、木材化学180〜190頁(共立出版、1968年)に記載されている。代表的な合成方法は、カルボン酸無水物−酢酸−硫酸触媒による液相酢化法である。具体的には、綿花リンターや木材パルプ等のセルロース原料を適当量の酢酸で前処理した後、予め冷却したカルボン酸化混液
に投入してエステル化し、完全セルロースアシレート(2位、3位および6位のアシル置換度の合計が、ほぼ3.00)を合成する。上記カルボン酸化混液は、一般に溶媒としての酢酸、エステル化剤としての無水カルボン酸および触媒としての硫酸を含む。無水カルボン酸は、これと反応するセルロースおよび系内に存在する水分の合計よりも、化学量論的に過剰量で使用することが普通である。アシル化反応終了後に、系内に残存している過剰の無水カルボン酸の加水分解およびエステル化触媒の一部の中和のために、中和剤(例えば、カルシウム、マグネシウム、鉄、アルミニウムまたは亜鉛の炭酸塩、酢酸塩または酸化物)の水溶液を添加する。次に、得られた完全セルロースアシレートを少量の酢化反応触媒(一般には、残存する硫酸)の存在下で、50〜90℃に保つことによりケン化熟成し、所望のアシル置換度および重合度を有するセルロースアシレートまで変化させる。所望のセルロースアシレートが得られた時点で、系内に残存している触媒を前記のような中和剤を用いて完全に中和するか、あるいは中和することなく水または希硫酸中にセルロースアシレート溶液を投入(あるいは、セルロースアシレート溶液中に、水または希硫酸を投入)してセルロースアシレートを分離し、洗浄および安定化処理によりセルロースアシレートを得る。
本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度200〜700、好ましくは250〜550、更に好ましくは250〜400であり、特に好ましくは粘度平均重合度250〜350である。平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。更に特開平9−95538号公報に詳細に記載されている。
このような重合度の調整には低分子量成分を除去することでも達成できる。低分子成分が除去されると、平均分子量(重合度)が高くなるが、粘度は通常のセルロースアシレートよりも低くなるため有用である。低分子成分の除去は、セルロースアシレートを適当な有機溶媒で洗浄することにより実施できる。さらに重合方法でも分子量を調整できる。例えば、低分子成分の少ないセルロースアシレテートを製造する場合、酢化反応における硫酸触媒量を、セルロース100重量に対して0.5〜25質量部に調整することが好ましい。硫酸触媒の量を上記範囲にすると、分子量部分布の点でも好ましい(分子量分布の均一な)セルロースアシレートを合成することができる。
本発明で用いられるセルロースアシレートは、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn比が1.5〜5.5のものが好ましく用いられ、特に好ましくは2.0〜5.0であり、更に好ましくは2.5〜5.0であり、更に好ましくは3.0〜5.0のセルロースアシレートが好ましく用いられる。
これらのセルロースアシレートは1種類のみを用いてもよく、2種以上混合しても良い。また、セルロースアシレート以外の高分子成分を適宜混合したものでもよい。混合される高分子成分はセルロースエステルと相溶性に優れるものが好ましく、フィルムにしたときの透過率が80%以上、更に好ましくは90%以上、更に好ましくは92%以上であることが好ましい。
本発明では、セルロースアシレートに可塑剤を添加することにより、セルロースアシレートの結晶融解温度(Tm)を下げることができる。本発明に用いる可塑剤の分子量は特に限定されるものではなく、低分量でもよく高分子量でもよい。可塑剤の種類は、リン酸エステル類、アルキルフタリルアルキルグリコレート類、カルボン酸エステル類、多価アルコールの脂肪酸エステル類などが挙げられる。それらの可塑剤の形状としては固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。溶融製膜を行う場合は、不揮発性を有するものを特に好ましく使用することができる。
リン酸エステルの具体例としては、例えばトリフェニルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリナフチルホスフェート、トリキシリルオスフェート、トリスオルト−ビフェニルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ビフェニルジフェニルホスフェート、1,4―フェニレンーテトラフェニル燐酸エステル等を挙げることができる。また特表平6−501040号公報の請求項3〜7に記載のリン酸エステル系可塑剤を用いることも好ましい。
アルキルフタリルアルキルグリコレート類としては、例えばメチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等が挙げられる。
カルボン酸エステルとしては、例えばジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートおよびジエチルヘキシルフタレート等のフタル酸エステル類、およびクエン酸アセチルトリメチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル等のクエン酸エステル類、ジメチルアジペート、ジブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ビス(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソデシルアジペート、ビス(ブチルジグリコールアジペート)等のアジピン酸エステル類、テトラオクチルピロメリテート、トリオクチルトリメリテートなどの芳香族多価カルボン酸エステル類、ジブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、ジオクチルセバケート、ジエチルアゼレート、ジブチルアゼレート、ジオクチルアゼレートなどの脂肪族多価カルボン酸エステル類、グリセリントリアセテート、ジグリセリンテトラアセテート、アセチル化グリセライド、モノグリセライド、ジグリセライドなどの多価アルコールの脂肪酸エステル類などを挙げることができる。またその他、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、トリアセチン等を単独あるいは併用するのが好ましい。
また、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートなどのグリコールと二塩基酸とからなる脂肪族ポリエステル類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸などのオキシカルボン酸からなる脂肪族ポリエステル類、ポリカプロラクトン、ポリプロピオラクトン、ポリバレロラクトンなどのラクトンからなる脂肪族ポリエステル類、ポリビニルピロリドンなどのビニルポリマー類などの高分子量系可塑剤が挙げられる。可塑剤はこれらを単独もしくは低分量可塑剤と併用して使用することができる。
多価アルコール系可塑剤は、セルロース脂肪酸エステルとの相溶性が良く、また熱可塑化効果が顕著に現れるグリセリンエステル、ジグリセリンエステルなどグリセリン系のエステル化合物やポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールの水酸基にアシル基が結合した化合物などである。
具体的なグリセリンエステルとして、グリセリンジアセテートステアレート、グリセリンジアセテートパルミテート、グリセリンジアセテートミスチレート、グリセリンジアセテートラウレート、グリセリンジアセテートカプレート、グリセリンジアセテートノナネ
ート、グリセリンジアセテートオクタノエート、グリセリンジアセテートヘプタノエート、グリセリンジアセテートヘキサノエート、グリセリンジアセテートペンタノエート、グリセリンジアセテートオレート、グリセリンアセテートジカプレート、グリセリンアセテートジノナネート、グリセリンアセテートジオクタノエート、グリセリンアセテートジヘプタノエート、グリセリンアセテートジカプロエート、グリセリンアセテートジバレレート、グリセリンアセテートジブチレート、グリセリンジプロピオネートカプレート、グリセリンジプロピオネートラウレート、グリセリンジプロピオネートミスチレート、グリセリンジプロピオネートパルミテート、グリセリンジプロピオネートステアレート、グリセリンジプロピオネートオレート、グリセリントリブチレート、グリセリントリペンタノエート、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリンプロピオネートラウレート、グリセリンオレートプロピオネートなどが挙げられるがこれに限定されず、これらを単独もしくは併用して使用することができる。
この中でも、グリセリンジアセテートカプリレート、グリセリンジアセテートペラルゴネート、グリセリンジアセテートカプレート、グリセリンジアセテートラウレート、グリセリンジアセテートミリステート、グリセリンジアセテートパルミテート、グリセリンジアセテートステアレート、グリセリンジアセテートオレートが好ましい
ジグリセリンエステルの具体的な例としては、ジグリセリンテトラアセテート、ジグリセリンテトラプロピオネート、ジグリセリンテトラブチレート、ジグリセリンテトラバレレート、ジグリセリンテトラヘキサノエート、ジグリセリンテトラヘプタノエート、ジグリセリンテトラカプリレート、ジグリセリンテトラペラルゴネート、ジグリセリンテトラカプレート、ジグリセリンテトララウレート、ジグリセリンテトラミスチレート、ジグリセリンテトラパルミテート、ジグリセリントリアセテートプロピオネート、ジグリセリントリアセテートブチレート、ジグリセリントリアセテートバレレート、ジグリセリントリアセテートヘキサノエート、ジグリセリントリアセテートヘプタノエート、ジグリセリントリアセテートカプリレート、ジグリセリントリアセテートペラルゴネート、ジグリセリントリアセテートカプレート、ジグリセリントリアセテートラウレート、ジグリセリントリアセテートミスチレート、ジグリセリントリアセテートパルミテート、ジグリセリントリアセテートステアレート、ジグリセリントリアセテートオレート、ジグリセリンジアセテートジプロピオネート、ジグリセリンジアセテートジブチレート、ジグリセリンジアセテートジバレレート、ジグリセリンジアセテートジヘキサノエート、ジグリセリンジアセテートジヘプタノエート、ジグリセリンジアセテートジカプリレート、ジグリセリンジアセテートジペラルゴネート、ジグリセリンジアセテートジカプレート、ジグリセリンジアセテートジラウレート、ジグリセリンジアセテートジミスチレート、ジグリセリンジアセテートジパルミテート、ジグリセリンジアセテートジステアレート、ジグリセリンジアセテートジオレート、ジグリセリンアセテートトリプロピオネート、ジグリセリンアセテートトリブチレート、ジグリセリンアセテートトリバレレート、ジグリセリンアセテートトリヘキサノエート、ジグリセリンアセテートトリヘプタノエート、ジグリセリンアセテートトリカプリレート、ジグリセリンアセテートトリペラルゴネート、ジグリセリンアセテートトリカプレート、ジグリセリンアセテートトリラウレート、ジグリセリンアセテートトリミスチレート、ジグリセリンアセテートトリパルミテート、ジグリセリンアセテートトリステアレート、ジグリセリンアセテートトリオレート、ジグリセリンラウレート、ジグリセリンステアレート、ジグリセリンカプリレート、ジグリセリンミリステート、ジグリセリンオレートなどのジグリセリンの混酸エステルなどが挙げられるがこれらに限定されず、これらを単独もしくは併用して使用することができる。
この中でも、ジグリセリンテトラアセテート、ジグリセリンテトラプロピオネート、ジグリセリンテトラブチレート、ジグリセリンテトラカプリレート、ジグリセリンテトララウレートが好ましい。
ポリアルキレングリコールの具体的な例としては、平均分子量が200〜1000のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが挙げられるがこれらに限定されず、これらを単独もしくは併用して使用することができる。
ポリアルキレングリコールの水酸基にアシル基が結合した化合物の具体的な例として、ポリオキシエチレンアセテート、ポリオキシエチレンプロピオネート、ポリオキシエチレンブチレート、ポリオキシエチレンバリレート、ポリオキシエチレンカプロエート、ポリオキシエチレンヘプタノエート、ポリオキシエチレンオクタノエート、ポリオキシエチレンノナネート、ポリオキシエチレンカプレート、ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンミリスチレート、ポリオキシエチレンパルミテート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンオレート、ポリオキシエチレンリノレート、ポリオキシプロピレンアセテート、ポリオキシプロピレンプロピオネート、ポリオキシプロピレンブチレート、ポリオキシプロピレンバリレート、ポリオキシプロピレンカプロエート、ポリオキシプロピレンヘプタノエート、ポリオキシプロピレンオクタノエート、ポリオキシプロピレンノナネート、ポリオキシプロピレンカプレート、ポリオキシプロピレンラウレート、ポリオキシプロピレンミリスチレート、ポリオキシプロピレンパルミテート、ポリオキシプロピレンステアレート、ポリオキシプロピレンオレート、ポリオキシプロピレンリノレートなどが挙げられるがこられに限定されず、これらを単独もしくは併用して使用することができる。
可塑剤の添加量は、0〜20重量%とするものが好ましく、より好ましくは2〜18重量%、最も好ましくは4〜15重量%である。可塑剤の含有量が20重量%より多い場合、セルロースアシレートの熱流動性は良好になるもの、可塑剤が溶融製膜したフィルムの表面にしみ出したり、また耐熱性であるガラス転移温度Tgが低下する。
更に、本発明におけるセルロースアシレートには、要求される性能を損なわない範囲内で、必要に応じて熱劣化防止用、着色防止用の安定剤を添加することができる。
安定剤として、フォスファイト系化合物、亜リン酸エステル化合物、フォスフェイト、チオフォスフェイト、弱有機酸、エポキシ化合物等を単独または2種類以上混合して添加してもよい。フォスファイト系安定剤の具体例としては、特開2004−182979の段落〜[0039]に記載の化合物をより好ましく用いることが出来る。亜リン酸エステル系安定剤の具体例としては、特開昭51−70316号公報、特開平10−306175号公報、特開昭57−78431号公報、特開昭54−157159号公報、特開昭55−13765号公報に記載の化合物を用いることが出来る。
本発明における安定剤の添加量は、セルロースアシレートに対し0.005〜0.5重量%であるのが好ましく、より好ましくは0.01〜0. 4重量%以上、さらに好ましくは0.05〜0. 3重量%である。添加量を0.005重量%未満の場合、溶融製膜時の劣化防止及び着色抑制の効果が不十分であるため、好ましくない。一方、0.5重量%以上の場合、溶融製膜したセルロースアシレートフィルムの表面にしみ出し、好ましくない。
また、劣化防止剤及び酸化防止剤を添加することも好ましい。フェノール系化合物、チオエーテル系化合物、リン系化合物などは劣化防止剤もしくは酸化防止剤として添加することにより、劣化及び酸化防止に相乗効果が現れる。さらに、その他の安定剤としては、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)17頁〜22頁に詳細に記載されている素材を好ましく用いることができる。
更に、本発明におけるセルロースアシレートには、紫外線防止剤を含有することができ、1種または2種以上の紫外線吸収剤を含有させてもよい。液晶用紫外線吸収剤は、液晶の劣化防止の観点から、波長380nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ、液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられる。特に好ましい紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系化合物やベンゾフェノン系化合物である。中でも、ベンゾトリアゾール系化合物は、セルロースエステルセルロースアシレートに対する不要な着色が少ないことから、好ましい。
好ましい紫外線防止剤として、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイトなどが挙げられる。
また、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。また例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジンなどのヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイトなどの燐系加工安定剤を併用してもよい。これらの化合物の添加量は、セルロースエステルセルロースアシレートに対して質量割合で1ppm〜3.0%が好ましく、10ppm〜2%がさらに好ましい。
これらの紫外線吸収剤は、市販品として下記のものがあり利用できる。
ベンゾトリアゾール系としてはTINUBIN P(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ)、TINUBIN 234(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ)、TINUBIN
320(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ)、TINUBIN 326(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ)、TINUBIN 327(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ)、TINUBIN 328(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ)、スミソーブ340(住友化学)などがある。また、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、シーソーブ100(シプロ化成)、シーソーブ101(シプロ化成)、シーソーブ101S(シプロ化成)、シーソーブ102(シプロ化成)、シーソーブ103(シプロ化成)、アデカスタイプLA−51(旭電化)、ケミソープ111(ケミプロ化成)、UVINUL D−49(BASF)などを挙げられる。オキザリックアシッドアニリド系紫外線吸収剤としては、TINUBIN 312(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ)やTINUBIN
315(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ)がある。またサリチル酸系紫外線吸収剤としては、シーソーブ201(シプロ化成)やシーソーブ202(シプロ化成)が上市されており、シアノアクリレート系紫外線吸収剤としてはシーソーブ501(シプロ化成)
、UVINUL N−539(BASF)がある。
(飽和ノルボルネン系樹脂)
本発明で使用する飽和ノルボルネン系樹脂としては、例えば、(1)ノルボルネン系モノマーの開環(共)重合体を、必要に応じてマレイン酸付加、シクロペンタジエン付加のごときポリマー変性を行なった後に、水素添加した樹脂、(2)ノルボルネン系モノマーを付加型重合させた樹脂、(3)ノルボルネン系モノマーとエチレンやα−オレフィンなどのオレフィン系モノマーと付加型共重合させた樹脂などが挙げることができる。重合方法および水素添加方法は、常法により行なうことができる。
ノルボルネン系モノマーとしては、例えば、ノルボルネン、およびそのアルキルおよび/またはアルキリデン置換体、例えば、5−メチル−2−ノルボルネン、5−ジメチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン等、これらのハロゲン等の極性基置換体;ジシクロペンタジエン、2,3−ジヒドロジシクロペンタジエン等;ジメタノオクタヒドロナフタレン、そのアルキルおよび/またはアルキリデン置換体、およびハロゲン等の極性基置換体、例えば、6−メチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチリデン−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−クロロ−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−シアノ−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−ピリジル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−メトキシカルボニル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン等;シクロペンタジエンとテトラヒドロインデン等との付加物;シクロペンタジエンの3〜4量体、例えば、4,9:5,8−ジメタノ−3a,4,4a,5,8,8a,9,9a−オクタヒドロ−1H−ベンゾインデン、4,11:5,10:6,9−トリメタノ−3a,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a,11,11a−ドデカヒドロ−1H−シクロペンタアントラセン;等が挙げられる。
本発明においては、本発明の目的を損なわない範囲内において、開環重合可能な他のシクロオレフィン類を併用することができる。このようなシクロオレフィンの具体例としては、例えば、シクロペンテン、シクロオクテン、5,6−ジヒドロジシクロペンタジエンなどのごとき反応性の二重結合を1個有する化合物が例示される。
本発明で使用する飽和ノルボルネン系樹脂は、トルエン溶媒によるゲル・パーミエーション・クロマトグラフ(GPC)法で測定した数平均分子量が通常25000〜100000、好ましくは30000〜80000、より好ましくは35000〜70000の範囲のものである。数平均分子量が小さすぎると物理的強度が劣り、大きすぎると成形の際の操作性が悪くなる。
本発明では、飽和ノルボルネン樹脂のガラス転位温度(Tg)は100℃以上250℃以下が好ましく、より好ましくは115℃以上220℃以下、さらに好ましくは130℃以上200℃以下である。
本発明で用いる熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂には、所望により、フェノール系やリン系などの老化防止剤、耐電防止剤、紫外線吸収剤などの各種添加剤を添加してもよい。特に、液晶は通常、紫外線により劣化するので、ほかに紫外線防護フィルターを積層するなどの防護手段を取らない場合は、紫外線吸収剤を添加することが好ましい。紫外線吸収
剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾル系紫外線吸収剤、アクリルニトリル系紫外線吸収剤などを用いることができ、それらの中でもベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましく、添加量は、通常10〜100000ppm、好ましくは100〜10000ppmである。また、溶液流延法によりシートを作製する場合は、表面粗さを小さくするため、レベリング剤の添加が好ましい。レベリング剤としては、例えば、フッ素系ノニオン界面活性剤、特殊アクリル樹脂系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤など塗料用レベリング剤を用いることができ、それらの中でも溶媒との相溶性の良いものが好ましく、添加量は、通常5〜50000ppm、好ましくは10〜20000ppmである。
(2)製膜
これらの樹脂は溶液製膜、溶融製膜いずれでもフィルム化することができるが、飽和ノルボルネン樹脂の場合は溶融製膜法が好ましく、セルロースアシレート樹脂の場合はどちらも好ましい。以下、溶液製膜と溶融製膜について説明する。
(溶液製膜)
セルロースアシレート樹脂の溶液製膜に用いる溶剤は、下記の(a)塩素系溶剤、(b)非塩素系溶剤のいずれも用いることができる。
(a)塩素系溶剤
塩素系有機溶媒は、好ましくはジクロロメタン、クロロホルムである。特にジクロロメタンが好ましい。また、塩素系有機溶媒以外の有機溶媒を混合することも特に問題ない。その場合は、ジクロロメタンは少なくとも50質量%使用することが必要である。
本発明の併用される非塩素系有機溶媒について以下に記す。すなわち、好ましい非塩素系有機溶媒としては、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテル、アルコール、炭化水素などから選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトン、エーテルおよびアルコールは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトンおよびエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も溶媒として用いることができ、たとえばアルコール性水酸基のような他の官能基を同時に有していてもよい。二種類以上の官能基を有する溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが挙げられる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが挙げられる。炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが挙げられる。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが挙げられる。
また塩素系有機溶媒と併用されるアルコールとしては、好ましくは直鎖であっても分枝を有していても環状であってもよく、その中でも飽和脂肪族炭化水素であることが好ましい。アルコールの水酸基は、第1級〜第三級のいずれであってもよい。アルコールの例には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノールおよびシクロヘキサノールが含まれる。なおアルコールとしては、フッ素系アルコールも用いられる。例えば、2−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールなども挙げられる。さらに炭化水素は、直鎖であっても分岐を有していても環状であってもよい。芳香族炭化水素と脂肪族炭化水
素のいずれも用いることができる。脂肪族炭化水素は、飽和であっても不飽和であってもよい。炭化水素の例には、シクロヘキサン、ヘキサン、ベンゼン、トルエンおよびキシレンが含まれる。
塩素系有機溶媒と併用される非塩素系有機溶媒については、特に限定されないが、酢酸メチル、酢酸エチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、アセトン、ジオキソラン、ジオキサン、炭素原子数が4〜7のケトン類またはアセト酢酸エステル、炭素数が1〜10のアルコールまたは炭化水素から選ばれる。なお好ましい併用される非塩素系有機溶媒は、酢酸メチル、アセトン、蟻酸メチル、蟻酸エチル、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、アセチル酢酸メチル、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、およびシクロヘキサノール、シクロヘキサン、ヘキサンを挙げることができる。
本発明の好ましい主溶媒である塩素系有機溶媒の組み合わせとしては以下を挙げることができるが、これらに限定されるものではない(下記の括弧内の数字は質量部を示す)。・ジクロロメタン/メタノール/エタノール/ブタノール(80/10/5/5)
・ジクロロメタン/アセトン/メタノール/プロパノール(80/10/5/5)
・ジクロロメタン/メタノール/ブタノール/シクロヘキサン(80/10/5/5)
・ジクロロメタン/メチルエチルケトン/メタノール/ブタノール(80/10/5/5)
・ジクロロメタン/アセトン/メチルエチルケトン/エタノール/イソプロパノール(72/9/9/4/6)
・ジクロロメタン/シクロペンタノン/メタノール/イソプロパノール(80/10/5/5)
・ジクロロメタン/酢酸メチル/ブタノール(80/10/10)
・ジクロロメタン/シクロヘキサノン/メタノール/ヘキサン(70/20/5/5)
・ジクロロメタン/メチルエチルケトン/アセトン/メタノール/エタノール(50/20/20/5/5)
・ジクロロメタン/1、3ジオキソラン/メタノール/エタノール(70/20/5/5)
・ジクロロメタン/ジオキサン/アセトン/メタノール/エタノール (60/20/10/5/5)
・ジクロロメタン/アセトン/シクロペンタノン/エタノール/イソブタノール/シクロヘキサン(65/10/10/5/5/5)
・ジクロロメタン/メチルエチルケトン/アセトン/メタノール/エタノール (70/10/10/5/5)
・ジクロロメタン/アセトン/酢酸エチル/エタノール/ブタノール/ヘキサン (65/10/10/5/5/5)
・ジクロロメタン/アセト酢酸メチル/メタノール/エタノール(65/20/10/5)
・ジクロロメタン/シクロペンタノン/エタノール/ブタノール(65/20/10/5)
(b)非塩素系溶剤
好ましい非塩素系有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテルから選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトンおよび、エーテルは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトンおよびエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、主溶媒として用いることができ、たとえばアルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する主溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロ
ピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが挙げられる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが挙げられる。炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが挙げられる。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが挙げられる。
さらに、本発明のセルロースアシレートの好ましい溶媒は、異なる3種類以上の混合溶媒であって、第1の溶媒が酢酸メチル、酢酸エチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、アセトン、ジオキソラン、ジオキサンから選ばれる少なくとも一種あるいは或いはそれらの混合液であり、第2の溶媒が炭素原子数が4〜7のケトン類またはアセト酢酸エステルから選ばれ、第3の溶媒として炭素数が1〜10のアルコールまたは炭化水素から選ばれ、より好ましくは炭素数1〜8のアルコールである。なお第1の溶媒が、2種以上の溶媒の混合液である場合は、第2の溶媒がなくてもよい。第1の溶媒は、さらに好ましくは酢酸メチル、アセトン、蟻酸メチル、蟻酸エチルあるいはこれらの混合物であり、第2の溶媒は、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、アセチル酢酸メチルが好ましく、これらの混合液であってもよい。
第3の溶媒であるアルコールの好ましくは、直鎖であっても分枝を有していても環状であってもよく、その中でも飽和脂肪族炭化水素であることが好ましい。アルコールの水酸基は、第一級〜第三級のいずれであってもよい。アルコールの例には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノールおよびシクロヘキサノールが含まれる。なおアルコールとしては、フッ素系アルコールも用いられる。例えば、2−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールなども挙げられる。さらに炭化水素は、直鎖であっても分岐を有していても環状であってもよい。芳香族炭化水素と脂肪族炭化水素のいずれも用いることができる。脂肪族炭化水素は、飽和であっても不飽和であってもよい。炭化水素の例には、シクロヘキサン、ヘキサン、ベンゼン、トルエンおよびキシレンが含まれる。これらの第3の溶媒であるアルコールおよび炭化水素は単独でもよいし2種類以上の混合物でもよく特に限定されない。第3の溶媒としては、好ましい具体的化合物は、アルコールとしてはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、およびシクロヘキサノール、シクロヘキサン、ヘキサンを挙げることができ、特にはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールである。
以上の3種類の混合溶媒は、第1の溶媒が20〜95質量%、第2の溶媒が2〜60質量%さらに第3の溶媒が2〜30質量%の比率で含まれることが好ましく、さらに第1の溶媒が30〜90質量%であり、第2の溶媒が3〜50質量%、さらに第3のアルコールが3〜25質量%含まれることが好ましい。また特に第1の溶媒が30〜90質量%であり、第2の溶媒が3〜30質量%、第3の溶媒がアルコールであり3〜15質量%含まれることが好ましい。なお、第1の溶媒が混合液で第2の溶媒を用いない場合は、第1の溶媒が20〜90質量%、第3の溶媒が5〜30質量%の比率で含まれることが好ましく、さらに第1の溶媒が30〜86質量%であり、さらに第3の溶媒が7〜25質量%含まれることが好ましい。以上の本発明で用いられる非塩素系有機溶媒は、さらに詳細には発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて12頁〜16頁に詳細に記載されている。
本発明の好ましい非塩素系有機溶媒の組み合わせは以下挙げることができるが、これらに限定されるものではない(括弧内の数字は質量部を示す)。
・酢酸メチル/アセトン/メタノール/エタノール/ブタノール(75/10/5/5/5)
・酢酸メチル/アセトン/メタノール/エタノール/プロパノール(75/10/5/5/5)
・酢酸メチル/アセトン/メタノール/ブタノール/シクロヘキサン(75/10/5/5/5)
・酢酸メチル/アセトン/エタノール/ブタノール(81/8/7/4)
・酢酸メチル/アセトン/エタノール/ブタノール(82/10/4/4)
・酢酸メチル/アセトン/エタノール/ブタノール(80/10/4/6)
・酢酸メチル/メチルエチルケトン/メタノール/ブタノール(80/10/5/5)
・酢酸メチル/アセトン/メチルエチルケトン/エタノール/イソプロパノール(75/8/8/4/5)
・酢酸メチル/シクロペンタノン/メタノール/イソプロパノール(80/10/5/5)
・酢酸メチル/アセトン/ブタノール(85/10/5)
・酢酸メチル/シクロペンタノン/アセトン/メタノール/ブタノール(60/15/15/5/5)
・酢酸メチル/シクロヘキサノン/メタノール/ヘキサン(70/20/5/5)
・酢酸メチル/メチルエチルケトン/アセトン/メタノール/エタノール(50/20/20/5/5)
・酢酸メチル/1、3ジオキソラン/メタノール/エタノール(70/20/5/5)
・酢酸メチル/ジオキサン/アセトン/メタノール/エタノール(60/20/10/5/5)
・酢酸メチル/アセトン/シクロペンタノン/エタノール/イソブタノール/シクロヘキサン(65/10/10/5/5/5)
・ギ酸メチル/メチルエチルケトン/アセトン/メタノール/エタノール(50/20/20/5/5)
・ギ酸メチル/アセトン/酢酸エチル/エタノール/ブタノール/ヘキサン(65/10/10/5/5/5)
・アセトン/アセト酢酸メチル/メタノール/エタノール(65/20/10/5)
・アセトン/シクロペンタノン/エタノール/ブタノール(65/20/10/5)
・アセトン/1,3ジオキソラン/エタノール/ブタノール(65/20/10/5)
・1、3ジオキソラン/シクロヘキサノン/メチルエチルケトン/メタノール/ブタノール(55/20/10/5/5/5)
さらに下記のように、溶解後、一部の溶剤をさらに追加添加し、多段で溶解することも好ましい(括弧内の数字は質量部を示す)。
・酢酸メチル/アセトン/エタノール/ブタノール(81/8/7/4)でセルロースアシレート溶液を作製し、ろ過・濃縮後に2質量部のブタノールを追加添加
・酢酸メチル/アセトン/エタノール/ブタノール(81/10/4/2)でセルロースアシレート溶液を作製し、ろ過・濃縮後に4質量部のブタノールを追加添加
・酢酸メチル/アセトン/エタノール(84/10/6)でセルロースアシレート溶液を作製し、ろ過・濃縮後に5質量部のブタノールを追加添加
本発明では、塩素系、非塩素系溶剤いずれの場合でも、溶媒にセルロースアシレートを10〜40質量%溶解していることが好ましく、より好ましくは13〜35質量%であり、特には15〜30質量%である。溶解に先立ち、0℃〜50℃で0.1時間〜100時間膨潤させることが好ましい。なお、種々の添加剤は膨潤工程の前に添加しても良く、膨潤工程中あるいは後でもよく、さらには、この後冷却溶解中あるいは後でも構わない。
本発明では、セルロースアシレートを溶解するために、冷却・昇温法を用いても良い。冷却・昇温法は、特開平11−323017号公報、特開平10−67860号公報、特開平10−95854号公報、特開平10−324774号公報、特開平11−302388号公報に記載のような方法を用いることができる。即ち、溶剤とセルロースアシレートを混合し膨潤させたものを、冷却ジャケットを付与したスクリュウ型混練機を用い溶解する。
さらに本発明のドープは、濃縮,ろ過を実施することが好ましく、これらは発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて25頁に詳細に記載されているものを使用できる。
(溶融製膜)
(a)セルロースアシレートフィルム
[乾燥]
樹脂は粉体のまま用いても良いが、製膜の厚み変動を少なくするためにはペレット化したものを用いるのがより好ましい。この樹脂は含水率を1%以下、より好ましくは0.5%以下にした後、溶融押出し機のホッパーに投入する。このときホッパーをTg−50℃以上Tg+30℃以下、より好ましくはTg−40℃以上Tg+10℃以下、さらに好ましくはTg−30℃以上Tg以下にする。これによりホッパー内での水分の再吸着を抑制し、上記乾燥の効率をより発現し易くできる。
[混練押出し]
120℃以上250℃以下、より好ましくは140℃以上220℃以下、さらに好ましくは150℃以上200℃以下で混練し溶融する。この時、溶融温度は一定温度で行ってもよく、いくつかに分割して制御しても良い。好ましい混練時間は2分以上60分以下であり、より好ましくは3分以上40分以下であり、さらに好ましくは4分以上30分以下である。さらに、溶融押出し機内を不活性(窒素等)気流中、あるいはベント付き押出し機を用い真空排気しながら実施するのも好ましい。
[キャスト]
熔融した樹脂をギヤポンプに通し、押し出し機の脈動を除去した後、金属メッシュフィルター等でろ過を行い、この後ろに取り付けたT型のダイから冷却ドラム上にシート状に押し出す。押出しは単層で行ってもよく、マルチマニホールドダイやフィードブロックダイを用いて複数層押出しても良い。この時、ダイのリップの間隔を調整することで幅方向の厚みむらを調整することができる。
この後キャスティングドラム上に押出す。この時、静電印加法、エアナイフ法、エアーチャンバー法、バキュームノズル法、タッチロール法等の方法を用い、キャスティングドラムと溶融押出ししたシートの密着を上げることが好ましい。このような密着向上法は、溶融押出しシートの全面に実施してもよく、一部に実施しても良い。
キャスティングドラムは60℃以上160℃以下が好ましく、より好ましくは70℃以上150℃以下、さらに好ましくは80℃以上150℃以下である。この後、キャスティングドラムから剥ぎ取り、ニップロールを経た後巻き取る。巻き取り速度は10m/分以上100m/分以下が好ましく、より好ましくは15m/分以上80m/分以下、さらに好ましくは20m/分以上70m/分以下である。
製膜幅は1m以上5m以下、さらに好ましくは1.2m以上4m以下、さらに好ましくは1.3m以上3m以下が好ましい。このようにして得られた未延伸フイルムの厚みは30μm以上400μm以下が好ましく、より好ましくは40μm以上300μm以下、さ
らに好ましくは50μm以上200μm以下である。
このようにして得たシートは両端をトリミングし、巻き取ることが好ましい。トリミングされた部分は、粉砕処理された後、或いは必要に応じて造粒処理や解重合・再重合等の処理を行った後、同じ品種のフィルム用原料として又は異なる品種のフィルム用原料として再利用してもよい。また、巻き取り前に、少なくとも片面にラミフィルムを付けることも、傷防止の観点から好ましい。
(b)飽和ノルボルネンフィルム
飽和ノルボルネン樹脂のペレットを熔融押出し機に入れ、100℃以上200℃以下で1分以上10時間以下脱水した後、混練押出しする。混練は1軸あるいは2軸の押出し機を使用できる。
溶融温度を240〜320℃、より好ましくは250〜310℃、さらに好ましくは260〜300℃にし、キャスティングドラムの温度を80〜170℃、より好ましくは90℃以上160℃以下、さらに好ましくは100℃以上150℃以下とする以外は、上記セルロースアシレートフィルムと同様に製膜することができる。
上記方法で製膜した熱可塑性樹脂フィルムの厚みむらは長手方向、幅方向いずれも0%以上2%以下が好ましく、より好ましくは0%以上1.5%以下、さらに好ましくは0%以上1%以下であり、これらを上記方法で延伸し、本発明の熱可塑性樹脂フィルムを得ることができる。
図4の表に示すように、セルロースアシレート樹脂フィルムと飽和ノルボルネン樹脂フィルムを本発明に係る製造方法によって横延伸を行い本発明の熱可塑性樹脂フィルムの製造を行った。フィルムのガラス転移温度は、セルロースアシレート樹脂フィルムが145℃、飽和ノルボルネン樹脂フィルムが138℃であり、フィルムガラス転移温度での弾性率は、セルロースアシレート樹脂フィルムが1.3GPa、飽和ノルボルネン樹脂フィルムが1.7GPaであった。フィルムの厚みはどちらも80μmのものを用いた。
横延伸に用いたテンターは、図3に示したテンター62を用いた。予熱ゾーンZ1の長さは3.0m、横延伸ゾーンZ2の長さは3.0m、冷却ゾーンZ3の長さは3.0mとした。また、このテンター62は、テンター入口76のテンターレール幅W1を700mmとし、テンターの延伸開始点80でのテンターレール幅W2を表の実施例1〜10及び比較例1〜4に示すように設定した。そして、テンターにおいて上下に設けられた熱風吹出しノズル46a、46bのノズル出口での風速V1、V2、及び、スリット幅を、表に記載した条件に設定した。また、この際のノズル出口での幅方向の風速ムラを測定し表に記載した。熱風の温度を、セルロースアシレート樹脂フィルムの場合は160℃、飽和ノルボルネン樹脂フィルムの場合は150℃とし、横延伸倍率を、セルロースアシレート樹脂フィルムの場合は25%、飽和ノルボルネン樹脂フィルムの場合は80%とした。
製造された熱可塑性樹脂フィルムのRe、Rthの測定を行った。Re、Rthの測定には、KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)を用いた。測定は、それぞれ製造された熱可塑性樹脂フィルムのうちテンター延伸時のクリップ耳部を含めて端部から200mmの位置まで切り落とし、残りのフィルムを幅方向にフィルム両端から均等に20点、流れ方向は長さ10m間で均等に20点、合計400点(20×20)を切り出したサンプルで行った。その際の平均値をRe、Rthとし、Reの最大値をRemax、最小値をRemin、Rthの最大値をRthmax、最小値をRthminとしたとき、Reムラ=Remax−Remin、Rthムラ=Rthmax−Rthminとした。また、総合評価としてR
eムラが4nm以下かつRthムラが6nm以下のものを◎、Reムラが6nm以下かつRthムラが10nm以下のものを○、Reムラが10nm以下かつRthムラが20nm以下のものを△、Reムラが10nmより大きくかつRthムラが20nmより小さいものを×とした。
図4の表から分かるように、テンターの延伸開始点でのテンターレール幅をテンターの入口でのテンターレール幅よりも広いようにして製造した実施例1〜10は、比較例1〜4よりもReムラ、Rthムラが小さかった。そして、実施例3は、熱風吹出しノズルの出口での熱風風速が3.0m/s以上40.0m/s以下の範囲ではなく、実施例4及び5は、V1/V2が、0.7以上2.5以下の範囲ではなく、実施例6及び8は、風速ムラが幅方向の平均風速に対して20%以下でなく、実施例7及び8は、風吹出しノズルのスリット幅が2mm以上40mm以下の範囲ではないため、これらの条件の範囲を全て満たす実施例1及び2に比べると悪い結果となった。また、本発明により製造されていない熱可塑性樹脂フィルムである比較例1〜4は、Reムラが10nm以上、Rthムラ20nm以上となってしまうことが分かった。
本発明に係るフィルム製造装置の構成図である。 横延伸工程部のゾーン構成を示す概略図である。 本発明の製造方法に用いられるテンターの平面図である。 実施例の結果を示す表図である。
符号の説明
10…フィルム製造装置、12…フィルム、12’…(縦延伸)フィルム、12’’…(縦・横延伸)熱可塑性樹脂フィルム、14…押出機、16…ダイ、18…ドラム、20…製膜工程部、30…縦延伸工程部、34…ニップローラ、36…ニップローラ、40…横延伸工程部、42…遮風カーテン、44a、44b…熱風吹出しノズル、50…巻取工程部、62…テンター、65、66…テンターレール、67、68…無端チェーン、70…クリップ、71、72…原動スプロケット、73、74…従動スプロケット、76…テンター入口、77…拡流部、81、82、83、84…開放部材、86…冷却手段、Z1…予熱ゾーン、Z2…横延伸ゾーン、Z3…冷却ゾーン

Claims (14)

  1. テンター内において、フィルムの上下面側に該フィルムを介して対向して設けられた複数の熱風吹出しノズルで加熱しながら、該フィルムの両端部をテンターレールの複数のクリップで把持してフィルム搬送しながら幅方向に延伸する熱可塑性樹脂フィルムの製造方法において、
    前記テンター入口から前記延伸開始点まで、該延伸開始点でのテンターレール幅が、前記テンター入口でのテンターレール幅よりも広い状態でフィルム搬送しながら予熱する予熱工程を設けたことを特徴とする熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  2. 前記延伸開始点でのテンターレール幅は、前記テンター入口でのテンターレール幅の1.0倍より大きく、1.2倍より小さいことを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  3. 前記熱風の温度が前記フィルムのガラス転移温度以上である前記熱風吹出しノズルにおいて、前記熱風吹出しノズルの出口での熱風風速が3.0m/s以上40.0m/s以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  4. 前記熱風の温度が前記フィルムのガラス転移温度以上である前記熱風吹出しノズルにおいて、フィルム下面側の熱風吹出しノズル出口での幅方向平均風速V1と、フィルム上面側の熱風吹出しノズル出口での幅方向の平均風速V2の比V1/V2が、0.7以上2.5以下の範囲であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  5. 前記熱風吹出しノズル出口での幅方向の風速ムラが、幅方向の平均風速に対して20%以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  6. 前記熱風吹出しノズルのスリット幅が、2mm以上40mm以下であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  7. 前記フィルムの厚みが150μm以下であるとともに、該フィルムのガラス転移温度における弾性率が2.0GPa以下であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  8. 前記熱可塑性樹脂フィルムのレタデーションReが20nm以上300nm以下、厚み方向のレタデーションRthが−100nm以上300nm以下であることを特徴とする請求項1〜7の何れか1に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  9. 前記熱可塑性樹脂フィルムのReムラが10nm以下、Rthムラが20nm以下であることを特徴とする請求項1〜8の何れか1に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  10. 前記熱可塑性樹脂は、セルロースアシレート樹脂であることを特徴とする請求項1〜9の何れか1に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  11. 前記熱可塑性樹脂は、飽和ノルボルネン系樹脂であることを特徴とする請求項1〜9の何れか1に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  12. 請求項1〜11の何れか1に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法で製造されたことを特徴とする熱可塑性樹脂フィルム。
  13. 請求項12に記載の熱可塑性樹脂フィルムを基材に用いたことを特徴とする偏光板。
  14. 請求項13に記載の偏光板を用いて作成することを特徴とする液晶表示装置。
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