JPH08108467A - 延伸フィルムの弛緩熱処理方法 - Google Patents

延伸フィルムの弛緩熱処理方法

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JPH08108467A
JPH08108467A JP24522794A JP24522794A JPH08108467A JP H08108467 A JPH08108467 A JP H08108467A JP 24522794 A JP24522794 A JP 24522794A JP 24522794 A JP24522794 A JP 24522794A JP H08108467 A JPH08108467 A JP H08108467A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】加熱された熱可塑性樹脂延伸フィルムを走行速
度差を利用して弛緩熱処理する際に、フィルムの冷却過
程においてフィルムの走行方向(縦方向)に入るシワの
除去ないしシワの入るのを積極的に抑えると共に、フィ
ルム自重により縦方向のフィルム張力が上がることを防
ぎ、またフィルムの垂れ下がりを抑える、延伸フィルム
の弛緩熱処理方法を提供する。 【構成】加熱された熱可塑性樹脂延伸フィルムをフィル
ムの供給と引取りの速度差を利用して熱弛緩させる熱処
理方法において、(a)フィルムの幅を1m以上とし、
(b)この速度差の生じている弛緩ゾーンにフィルムの
端部を把持しかつフイルム幅方向に引張力を与えるニッ
プロールを有する幅出し装置をフィルム走行方向に沿っ
て1組以上設置してフィルムに幅方向の引張力を与え、
さらに(C)該弛緩ゾーンにフィルム自重を支える手段
を設けてフィルムの垂れ下がりを低減ないし防止するこ
とを特徴とする延伸フィルムの弛緩熱処理方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は延伸フィルムの弛緩熱処
理方法に関する。さらに詳しくは加熱された熱可塑性樹
脂延伸フィルムを走行速度差を利用して弛緩熱処理する
際にフィルムの冷却過程でフィルムの走行方向(縦方
向)にシワの入るのを防止ないし入ったシワを除去する
と共に、フィルム自重で縦方向のフィルム張力が上がる
ことを防止して弛緩効率を高めた延伸フィルムの弛緩熱
処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂フィルムは延伸された後、
必要に応じてスリットされて2次加工が施される。その
際フィルムは再熱処理が施される場合があり、寸法安定
性が要求される。この寸法安定性向上手段として延伸フ
ィルムを弛緩熱処理する方法が知られ、たとえば製膜工
程でこの弛緩熱処理を行うことが知られている。その際
フィルムに加熱、冷却を行う段階で縦方向のシワが発生
し、これが熱固定されてフィルムの平面性を悪化させて
いる。
【0003】この問題点を改善して弛緩熱処理時のフィ
ルムに発生する縦方向のシワを除去するため、テンター
内の弛緩ゾーンにフィルム両端を把持しながらフィルム
に横方向の引張り力を与えるニップロールを設置する方
法が考案されている(特公平3-80620 号、特公平4-5718
2 号)。しかし、この方法によれば縦方向のシワは抑え
られるが、ニップロール間のフィルムが自重により垂れ
下がるのを防止することはできない。フィルムの垂れ下
がりが過大な場合は、テンター内の加熱風ノズルに接触
してフィルムに擦り傷が入る。フィルムの垂れ下がりを
減少させるためにはフィルムにある程度の縦方向の張力
を与える必要があるが、張力が大きすぎると縦方向のフ
ィルムの寸法安定性の改善にはならず、むしろ悪化させ
ることもあり得る。
【0004】また、この問題点を解決する方法としてテ
ンター内のクリップの進行速度を徐々に遅くして弛緩熱
処理する方法(特公昭44-20240号)が知られている。し
かしこの方法ではテンター内でエッジが拘束された状態
でフィルムエッジ部分も含めて同時に熱処理するため、
厚肉のエッジ部分と薄い中央部分との熱収縮量に差が発
生して、フィルムの弛みが発生し、平面性が悪化した
り、熱収が下がりきらないといった難しい面がある。ま
た、設備コストが非常に高い問題点がある。
【0005】また他方、生産性の向上のため、広幅のフ
ィルムを高速で熱処理することが要求されている。この
場合には充分な処理時間を得るためフィルムの加熱、冷
却に要するゾーンの長さを長くする必要があり、必然的
にフィルム自重により縦、横方向の張力が増加し、上記
の方法ではフィルムの寸法安定性の改善ができなくなる
といった課題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的はフィル
ム縦方向のシワを抑え、広幅フィルムの高速熱処理にお
いても低い張力でかつフィルムの自重による垂れ下がり
の無い状態で弛緩熱処理することで、平面性の良い低熱
収縮フィルムを得る延伸フィルムの弛緩熱処理方法を提
供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、本発明
によれば、加熱された熱可塑性樹脂延伸フィルムを供給
と引き取りの速度差を利用して熱弛緩させる熱処理方法
において、(a)フィルムの幅を1m以上とし、(b)
この速度差の生じている弛緩ゾーンにフィルムの端部を
把持しかつフィルム幅方向に引張力を与えるニップロー
ルを有する幅出し装置をフィルム走行方向に沿って1組
以上設置してフィルムに幅方向の引張力を与え、さらに
(C)該弛緩ゾーンにフィルムの自重を支える手段を設
けてフィルムの垂れ下がりを低減ないし防止することを
特徴とする延伸フィルムの弛緩熱処理方法によって達成
される。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】本発明における熱可塑性樹脂フィルムと
は、例えばポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン
等の熱可塑性樹脂からなるフィルムである。これらのう
ちポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートから
なるフィルムが好ましい。また延伸フィルムとは少なく
とも1軸方向に延伸したフィルムであり、たとえば縦方
向に1軸延伸したフィルムや、縦及び横方向に2軸延伸
したフィルムを挙げることができる。この延伸フィルム
の製造は公知方法あるいは当業界に蓄積された技術によ
って行なうことができるが、特にテンターを用いる方法
が好ましい。
【0010】本発明において熱可塑性樹脂延伸フィルム
はその幅が1m以上である必要がある。フィルム幅が狭
くとも本発明の技術は適用できるが、効果は小さい。特
にフィルム幅が3m以上の場合に非常に大きな効果が得
られる。フィルム幅の上限は設備にもよるが、約8mで
あることが好ましい。
【0011】前記熱可塑性樹脂延伸フィルムの厚みは特
に制約を受けないが、薄いと腰が無くなり安定したフィ
ルム搬送が難しくなるため、10μm以上がよく、好ま
しくは20μm以上がよく、特に好ましくは40μm以
上がよい。この厚みの上限は300μmであることが好
ましい。
【0012】本発明において熱可塑性樹脂延伸フィルム
の加熱は任意の手段で行うことができ、たとえばロール
等により直接加熱する方法、電気ヒーター、赤外線ヒー
ター、蒸気ヒーター等により輻射加熱する方法、加熱気
体等により対流加熱する方法、これらの併用等の周知方
法で行うことができる。これらのうち、テンター内での
対流加熱が、該テンター内で熱固定処理した延伸フィル
ムをそのまま弛緩熱処理でき、また加熱気体をフィルム
に当ててエアーフローティングできることから好まし
い。
【0013】延伸フィルムは該フィルムを構成する熱可
塑性樹脂のガラス転移点温度(Tg:℃)より100℃
以上高い温度、好ましくは(Tg+100)〜(Tg+
180)℃の温度範囲に加熱する。
【0014】本発明において延伸フィルムの熱弛緩は加
熱された熱可塑性樹脂延伸フィルムを走行させ、フィル
ムの供給速度と引き取り速度の差、すなわち引き取り速
度を供給速度より遅くすることで生じる速度差を利用し
て行う。この方法は当業界でよく知られた方法であり、
フィルムの供給装置、引取り装置等は従来のものを用い
ることができる。本発明ではこの速度差のある弛緩ゾー
ンの長さに制約はないが、フィルムの冷却に必要とされ
る長さは確保する必要がある。処理速度は、フィルムの
昇温さえ間に合えば特に制約を受けないが、20〜20
0m/minが実用的であり、好ましくは150m/min以下が
よい。
【0015】本発明におけるフィルム幅出し装置とは、
フィルムの両端部を把持するニップロールを有し、この
ニップロールはロール軸がフィルム幅方向に対し水平面
内で1〜5゜の角度を持つように設置する。ニップロー
ルがフィルムと平行でなく上記角度で傾いていることで
該ニップロールで端部が固定されている走行フィルムに
はロール軸に対して垂直な方向に力が与えられ、この力
の幅方向成分がフィルムを幅方向に引っ張る作用をす
る。フィルム幅出し装置はフィルム両端部に設けた1セ
ットを1組とし、フィルム走行方向に1組以上を設け
る。フィルム幅出し装置のフィルム走行方向の設置ピッ
チはフィルム自重を支える手段があるため特に制約を受
けないが、10m以下がよく、フィルム走行安定性の面
から5m以下が好ましく、さらに好ましくはフィルム自
重を支える手段が無理なく設置できる範囲で短くするの
が良い。ニップロールの材質は、ゴム、金属等何でも良
いが、フィルムや周囲の温度が高いことから耐熱性のあ
る材質、たとえばシリコーンゴムやバイトンゴム等を使
用することが好ましい。
【0016】本発明の弛緩熱処理は延伸フィルムの延伸
工程中で行ってもよく、また該製造工程と切り放した場
所で行っても良い。前者はインライン処理であり、後者
はオフライン処理である。これらのうちインライン処理
が好ましい。殊に熱可塑性樹脂延伸フィルムをテンター
の熱処理ゾーンで熱固定した後、テンターのオーブンの
中またはテンター引き取り側のオーブンの外の適切なと
ころでフィルムの両端部を切断分離し、その後フィルム
を冷却すると同時に両端部を切り放した中央部のフィル
ムを引き取り速度の減速によって弛緩する方法において
有用である。そのときのフィルムの両端を切り放した所
から引き取りロールまでの間にフィルム幅出し装置を1
組以上設けて中央部フィルムの弛緩、冷却中のフィルム
に発生する縦方向のシワを抑える。
【0017】本発明においては、フィルムの供給と引き
取りの速度差のある弛緩ゾーンで、1組以上のフィルム
幅出し装置で走行フィルムに横方向の力を与えながら強
制冷却する。この冷却は、最終のフィルム幅出し装置を
通過した後のフィルム温度が(Tg+50)℃以下、さ
らには(Tg+30)℃以下、特にTg以下になるまで
行うのが好ましい。
【0018】本発明ではフィルム供給と引き取りの速度
差のある弛緩ゾーンでフィルム自重を支える手段を設け
る。このフィルム自重を支える手段としては、温度調整
された空気によりフィルムをフローティングさせる方法
が好ましく適用できる。また、搬送ロールによってフィ
ルムを支えてもよく、搬送ロールとエアーフローティン
グを併用しても良い。エアーフローティングの方法とし
てはコーティングラインによく使われるフローティング
ドライヤーの手法が適用できる。本発明ではエッジニッ
プを行うので、フィルム全幅にフローティングエアーを
吹き付ける必要はなく、フィルムの中央部を中心にフィ
ルム幅に対して1/2以上の幅で吹き付ければよい。好
ましくは2/3以上の幅で吹き付けるのがよい。フロー
ティングエアーの風量は、弛緩処理するフィルムの厚さ
によって変化させる必要があるので一概には言えない
が、フィルムがばたつかない程度に抑えておくとよい。
エアーフローティング装置は新規に設置しても良いが、
既存のテンターに付いているプレナムダクトの先端部の
みの改造でも充分対応可能である。この場合、ブロワ
ー、温度調節設備等はそのまま使うことができ、改造費
用を大幅に節減することができる。
【0019】前記搬送ロールはフリーロールであっても
良いし、駆動させても良い。フリーロールにした場合、
フィルムとの滑りを起こさせないために回転慣性を小さ
くしておく必要があるが、この搬送ロールにはほとんど
力がかからないので、小径、薄肉構造にすることが可能
なため問題ない。材質はゴムでも金属でも良いが、耐久
性の面から金属ロールに表面メッキ処理をしたものが好
ましい。
【0020】フィルム縦方向の張力は、よく知られたダ
ンサーロールやフィルムからロールの受ける反力を検出
する事によって測定できる。弛緩ゾーンでのフィルムの
縦方向の張力は2〜50kg/cm2であればよいが、好まし
くは5〜20kg/cm2、さらに好ましくは10〜15kg/c
m2にするのがよい。この範囲以下の張力ではフィルムが
弛んで垂れ下がったり、エアーフローティングでは吹き
上げられて平面性を乱す要因となる。一方これ以上の張
力では寸法安定性の向上は期待できない。フィルム横方
向の張力は縦方向ほど正確な設定は必要ないが、縦方向
と同程度にするのが好ましい。
【0021】本発明の実施態様の一例を図面を用いて説
明する。
【0022】図1はテンター内にフィルム幅出し装置
(以下、クロスガイダーと呼ぶ)と、フィルム自重を支
持する手段(この場合エアーフローティングノズル)と
を設置した状態を示す平面図である。図2は図1のA−
A矢視断面図である。矢視6の方向に走る延伸フィルム
1の両端を固定カッター2、2’によりカットし、フィ
ルムをエッジフィルム3、3’と中央フィルム4に分離
し、分離された中央フィルム4はテンター内のテンター
クリップの把持が及ばない状態となっている。クロスガ
イダー5、5’はそれぞれニップロール5(a)、
(b)によって該中央フィルム4の両端をニップし、か
つフィルムの横方向と角度θをなすよう取り付けられ、
中央フィルムの縦方向のシワを取り除く。さらに該中央
フィルム4はフィルム自重を支える手段(この場合はエ
アーフローティングノズル7から吹き出す温度調節され
たエアー)により垂れ下がりのない状態で弛緩熱処理さ
れる。
【0023】図3はテンター内での弛緩熱処理において
発生するシワを防止するため設置された2組のクロスガ
イダーと、フィルム自重を支持する手段として設置され
たエアーフローティングノズルとの位置関係を示す、テ
ンターから引き取り系ロールまでの概略平面図である。
図4はこの側面図である。縦延伸された熱可塑性樹脂フ
ィルム11はテンターレール12のクリップに把持さ
れ、予熱ゾーン13で予熱され、延伸ゾーン14で横延
伸される。引き続き熱処理ゾーン15で熱固定され冷却
ゾーン16で冷却され、張力検出手段22(この場合ダ
ンサーロール)を通った後、やや減速した引き取りロー
ル23、24で引き取られる。またフィルム11はクリ
ップの把持から切り離すために設けられたカッター1
7、17’によりエッジフィルム25、25’と中央フ
ィルム26と切り離され、ダンサーロールには中央フィ
ルム26のみ通し、中央フィルムの張力のみを正確に測
定する。
【0024】切り離された中央フィルム26の両端を把
持する1組以上のクロスガイダー(この場合はセット1
8、18’と19、19’の2組)が冷却ゾーン16を
挟んで設けられている。2組のクロスガイダー間にフィ
ルム自重を支える手段(この場合はエアーフローティン
グノズル20、21)が設置されている。これによって
速度弛緩と冷却過程で発生する縦方向のシワを防止し、
フィルム縦方向の張力を低く抑えても垂れ下がりのな
い、安定して平面性の良い低熱収フィルムを作ることが
できる。
【0025】図5は2組のクロスガイダーとフィルム自
重を支持する手段として設置されたフリーロールの位置
関係を示す、テンター後部の概略平面図である。図6は
この側面図である。フィルム自重を支持する手段がフリ
ーロール27、28、29であること以外図3、図4に
示した装置と同一の構成であり、同様な効果を得ること
ができる。
【0026】クロスガイダーの設置位置は図3〜図6に
示すように厳密に冷却ゾーンを挟んでいなくてもよく、
主要冷却部が少なくとも2組のクロスガイダー間に設け
られていればシワ防止に有効であり、たとえばクロスガ
イダー18、18’より前で冷却ゾーンが始まっていて
もよく、またクロスガイダー19、19’より後ろまで
冷却ゾーンが続いていてもよい。さらにクロスガイダー
間に設けられた冷却ゾーンは場合によってはフィルム両
端を切り離すカット位置以前に延長することも可能であ
る。
【0027】本発明における弛緩はフィルム特性にもよ
るが、通常5%以下、好ましくは0.1〜3%、特に好
ましくは0.2〜2%の熱収縮によって得られる。
【0028】
【実施例】以下、実施例によって本発明をさらに説明す
る。なお、例中において各物性値は次の方法によって測
定したものである。
【0029】(1)熱収縮率 縦方向、横方向に30cmの距離をあけてマーキングし
たフィルムを150℃に温度調節された炉のなかに30
分間保持し、収縮率を測定する。
【0030】(2)平面性 平らで、微細な空気抜き穴を多数設けたテーブル上に2
×2m四方の大きさに切り出したフィルムを広げ、フィ
ルムの波打ち状態から評価する。品質上問題のないレベ
ルを○、問題のあるレベルを×とする。
【0031】(3)ガラス転移温度(Tg) DSC(差動走査型熱量計)を用いて測定する。
【0032】(4)固有粘度 ο−クロロフェノール溶媒を用いて35℃の条件で求め
る。
【0033】[実施例1]固有粘度=0.72、Tg=
69〜70℃のポリエチレンテレフタレートを従来の方
法により成膜して未延伸フィルムを得、これを縦方向に
延伸した後、図3、図4に示すテンターによって横延
伸、熱固定および弛緩熱処理を行った。縦延伸後のフィ
ルム速度は150m/minとした。熱固定ゾーンの温度を
220℃とし、冷却ゾーン(ゾーン長3m、エッジカッ
ト位置から引き取りロールまでの距離9m)の熱風温度
を60℃とした。熱固定ゾーンで両端をカットした中央
フィルムは引き取り速度を減速し、ダンサーロールによ
り張力を7〜9kg/cm2に保ち、フィルム走行方向の間隔
を3mとした2組のフィルム幅出し装置で横方向に引張
りつつ弛緩熱処理した。フィルム自重を支持する手段と
して、エアーフローティングノズル2台を60cmの間
隔でフィルム幅出し装置間に設置し、使用した。幅がフ
ィルム中央部の幅の70%で、開度3mmのスリット4
ヶ所を持つフローティングノズルから風速10m/secの
加熱空気を吹き、フィルムを浮遊させた。
【0034】弛緩処理中の速度差のあるゾーンでのフィ
ルムは縦シワ、垂れ下がり、バタツキがなく安定して走
行していた。
【0035】得られた厚さ60μmの2軸配向フィルム
の平面性はシワがなく良好で、縦方向、及び横方向の熱
収縮率はそれぞれ0.2%、0.2%であった。
【0036】[実施例2]フィルム自重を支持する手段
として搬送ロール4本を30cm間隔で設置した以外は
実施例1と同様に製膜、熱処理を行った。搬送ロールの
直径は40mmでフリーロールとした。材質はステンレ
スで表面にハードクロームメッキを施したロールを使用
した。ロールの長さは中央フィルムを全幅カバーできる
長さとした。
【0037】弛緩処理中の速度差のあるゾーンでのフィ
ルムは搬送ロール間で若干の垂れ下がりが見られたが、
テンターのプレナムダクトに接触することはなく、縦シ
ワ、バタツキなく安定して走行していた。
【0038】得られた厚さ60μmの二軸配向フィルム
の平面性はシワがなく良好で、縦方向、及び横方向の熱
収縮率はそれぞれ0.3%、0.2%であった。
【0039】[比較例1]フィルム自重を支持する手段
を設置しない以外は実施例1と同様に製膜、熱処理を行
った。中央フィルムの引き取り速度を減速していき、張
力が10〜15kg/cm2の状態でフィルムが大幅に垂れ下
がりテンターのプレナムダクトに接触した。このためフ
ィルムに擦り傷が入り、製品にならなかった。
【0040】[比較例2]比較例1の状態でフィルム垂
れ下がりをダクトに触れないようになるまで引き取り速
度を増速した。その結果、張力は20kg/cm2より低くで
きなかった。
【0041】得られた2軸配向フィルムの平面性は、中
央部が弛み、横方向にシワが入った状態であった。縦方
向、及び横方向の熱収縮率はそれぞれ0.9%、0%と
縦方向の熱収縮率がほとんど下がらなかった。
【0042】これらの結果を表1にまとめて示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、加熱された熱可塑性樹
脂延伸フィルムを速度差を用いて熱弛緩させる際に、縦
方向に発生するシワを抑えることができ、平面性の良い
フィルムを得ることができる。さらにフィルム自重を支
えることで、フィルムの垂れ下がりの心配なく速度差を
大きく取ることができ、低張力熱処理できるため、非常
に低い熱収縮率を得ることができる。また低張力下にお
いても垂れ下がりを防止することができるため、擦り傷
によるリジェクト率を低減することができる。特に広幅
化、高速化された製膜熱処理機では装置の幅、ゾーン長
増加によりフィルム自重の影響が大きくなるため、本発
明の効用はさらに増大する。
【図面の簡単な説明】
【図1】フィルム幅出し装置(クロスガイダー)、フィ
ルム自重支持手段(ここではエアーフローティングノズ
ル)の取付状態を示す平面図である。
【図2】図1のA−A矢視断面図である。
【図3】クロスガイダー、エアーフローティングノズル
の位置関係を示すテンターから引き取りロールまでの概
略平面図である。
【図4】図3の側面図である。
【図5】クロスガイダー、フィルム搬送ロールの位置関
係を示すテンター後部の概略平面図である。
【図6】図5の側面図である。
【符号の説明】 1:熱可塑性樹脂フィルム 2、2’:固定カッター 3、3’:カット後のエッジフィルム 4:カット後の中央フィルム 5、5’:クロスガイダーのニップロール 5(a)、5(b):1つのクロスガイダーが有する1
対のニップロール 6:フィルム進行方向矢視 7:エアーフローティングノズル 11:熱可塑性樹脂フィルム 12:テンターレール 13:予熱ゾーン 14:延伸ゾーン 15:熱処理ゾーン 16:冷却ゾーン 17、17’:固定カッター 18、18’、19、19’:クロスガイダーのニップ
ロール 18(a)、18(b)、19(a)、19(b):1
つのクロスガイダーが有する1対のニップロール 20、21:エアーフローティングノズル 22:ダンサーロール 23、24:引き取りロール 25、25’:カット後のエッジフィルム 26:カット後の中央フィルム 27、28、29:フィルム搬送ロール

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加熱された熱可塑性樹脂延伸フィルムを
    フィルムの供給と引き取りの速度差を利用して熱弛緩さ
    せる熱処理方法において、(a)フィルムの幅を1m以
    上とし、(b)この速度差の生じている弛緩ゾーンにフ
    ィルムの端部を把持しかつフィルム幅方向に引張力を与
    えるニップロールを有する幅出し装置をフィルム走行方
    向に沿って1組以上設置してフィルムに幅方向の引張力
    を与え、さらに(C)該弛緩ゾーンにフィルムの自重を
    支える手段を設けてフィルムの垂れ下がりを低減ないし
    防止することを特徴とする延伸フィルムの弛緩熱処理方
    法。
  2. 【請求項2】 フィルムの幅が3〜8mである請求項1
    記載の弛緩熱処理方法。
  3. 【請求項3】 フィルムの厚みが10〜300μmであ
    る請求項1又は2記載の弛緩熱処理方法。
  4. 【請求項4】 フィルム自重を支える手段として、空気
    力を使用する請求項1記載の弛緩熱処理方法。
  5. 【請求項5】 フィルム自重を支える手段として、回転
    可能なロールを使用する請求項1記載の弛緩熱処理方
    法。
  6. 【請求項6】 弛緩ゾーンでのフィルムの走行方向の張
    力を2〜50kg/cm 2 とする請求項1記載の弛緩熱処理
    方法。
  7. 【請求項7】 弛緩ゾーンとしてテンター内に設けたフ
    ィルム両端部を切断分離する位置と中央部のフィルムを
    減速下で引き取る引き取りロールとの間を用いる請求項
    1記載の弛緩熱処理方法。
  8. 【請求項8】 加熱された熱可塑性樹脂延伸フィルムが
    テンターの熱固定ゾーンを出た二軸延伸熱固定フィルム
    である請求項1記載の弛緩熱処理方法。
  9. 【請求項9】 加熱された熱可塑性樹脂延伸フィルムの
    温度が該樹脂のガラス転移温度(Tg)より100℃以
    上高い温度であり、弛緩ゾーンでフィルムを強制冷却
    し、弛緩ゾーン終端位置でのフィルム温度をTg+50
    ℃より低くする請求項1記載の弛緩熱処理方法。
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