JP4604290B2 - セルロースアシレートフィルム及びその製造方法 - Google Patents
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Description
Re(nm)=|n(MD)−n(TD)|×T(nm)
Rth(nm)=|{(n(MD)+n(TD))/2}−n(TH)|×T(nm)
式中のn(MD)、n(TD)、n(TH)は長手方向、幅方向、厚み方向の屈折率を示し、Tはnm単位で表した厚みを示す。
上述した延伸を行う熱可塑性樹脂は特に制限されないが、より好ましいのがセルロースアシレートフィルム、および飽和ノルボルネン系フィルムである。これらは、延伸により適度なRe、Rth発現性を有している上、延伸むらが発現しにくく優れているためである。以下、セルロースアシレート樹脂と飽和ノルボルネン系樹脂について説明する。
本発明で用いるセルロースアシレートは以下の特徴を有するものが好ましい。アシレート基が、下記の置換度、
2.5≦A+B≦3.0
1.25≦B≦3
を満足することを特徴とするセルロースアシレートフィルム(Aはアセテート基の置換度、Bはプロピオネート基、ブチレート基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基の置換度の総和を示す)。より好ましい置換度は、Bの1/2以上がプロピオネート基の場合に、
2.6≦A+B≦2.95
2.0≦B≦2.95
であり、Bの1/2未満がプロピオネート基の場合に、
2.6≦A+B≦2.95
1.3≦B≦2.5、である。さらに好ましい置換度は、Bの1/2以上がプロピオネート基の場合に、
2.7≦A+B≦2.95
2.4≦B≦2.9
であり、Bの1/2未満がプロピオネート基の場合に、
2.7≦A+B≦2.95
1.3≦B≦2.0、である。
ベンゾトリアゾール系としてはTINUBIN P (チバ・スペシャリティ・ケミカルズ)、TINUBIN 234 (チバ・スペシャリティ・ケミカルズ)、TINUBIN 320 (チバ・スペシャリティ・ケミカルズ)、TINUBIN 326 (チバ・スペシャリティ・ケミカルズ)、TINUBIN 327 (チバ・スペシャリティ・ケミカルズ)、TINUBIN 328 (チバ・スペシャリティ・ケミカルズ)、スミソーブ340 (住友化学)などがある。また、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、シーソーブ100 (シプロ化成)、シーソーブ101 (シプロ化成)、シーソーブ101S(シプロ化成)、シーソーブ102 (シプロ化成)、シーソーブ103 (シプロ化成)、アデカスタイプLA-51 (旭電化)、ケミソープ111 (ケミプロ化成)、UVINUL D-49(BASF)などを挙げられる。オキザリックアシッドアニリド系紫外線吸収剤としては、TINUBIN 312 (チバ・スペシャリティ・ケミカルズ)やTINUBIN 315 (チバ・スペシャリティ・ケミカルズ)がある。またサリチル酸系紫外線吸収剤としては、シーソーブ201 (シプロ化成)やシーソーブ202 (シプロ化成)が上市されており、シアノアクリレート系紫外線吸収剤としてはシーソーブ501 (シプロ化成)、UVINUL N-539 (BASF)がある。
本発明で使用する飽和ノルボルネン系樹脂としては、例えば、(1)ノルボルネン系モノマーの開環(共)重合体を、必要に応じてマレイン酸付加、シクロペンタジエン付加のごときポリマー変性を行なった後に、水素添加した樹脂、(2)ノルボルネン系モノマーを付加型重合させた樹脂、(3)ノルボルネン系モノマーとエチレンやα−オレフィンなどのオレフィン系モノマーと付加型共重合させた樹脂などが挙げることができる。重合方法および水素添加方法は、常法により行なうことができる。
これらの樹脂は溶液製膜、溶融製膜いずれでもフィルム化することができるが、飽和ノルボルネン樹脂の場合は溶融製膜法が好ましく、セルロースアシレート樹脂の場合はどちらも好ましい。以下、溶液製膜と溶融製膜について説明する。
セルロースアシレート樹脂の溶液製膜に用いる溶剤は、下記の(a)塩素系溶剤、(b)非塩素系溶剤のいずれも用いることができる。
塩素系有機溶媒は、好ましくはジクロロメタン、クロロホルムである。特にジクロロメタンが好ましい。また、塩素系有機溶媒以外の有機溶媒を混合することも特に問題ない。その場合は、ジクロロメタンは少なくとも50質量%使用することが必要である。
・ジクロロメタン/アセトン/メタノール/プロパノール(80/10/5/5)
・ジクロロメタン/メタノール/ブタノール/シクロヘキサン(80/10/5/5)
・ジクロロメタン/メチルエチルケトン/メタノール/ブタノール(80/10/5/5)
・ジクロロメタン/アセトン/メチルエチルケトン/エタノール/イソプロパノール(72/9/9/4/6)
・ジクロロメタン/シクロペンタノン/メタノール/イソプロパノール(80/10/5/5)
・ジクロロメタン/酢酸メチル/ブタノール(80/10/10)
・ジクロロメタン/シクロヘキサノン/メタノール/ヘキサン(70/20/5/5)
・ジクロロメタン/メチルエチルケトン/アセトン/メタノール/エタノール(50/20/20/5/5)
・ジクロロメタン/1、3ジオキソラン/メタノール/エタノール(70/20/5/5)
・ジクロロメタン/ジオキサン/アセトン/メタノール/エタノール (60/20/10/5/5)
・ジクロロメタン/アセトン/シクロペンタノン/エタノール/イソブタノール/シクロヘキサン(65/10/10/5/5/5)
・ジクロロメタン/メチルエチルケトン/アセトン/メタノール/エタノール (70/10/10/5/5)
・ジクロロメタン/アセトン/酢酸エチル/エタノール/ブタノール/ヘキサン (65/10/10/5/5/5)
・ジクロロメタン/アセト酢酸メチル/メタノール/エタノール(65/20/10/5)
・ジクロロメタン/シクロペンタノン/エタノール/ブタノール(65/20/10/5)
(b)非塩素系溶剤
好ましい非塩素系有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテルから選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトンおよび、エーテルは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトンおよびエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、主溶媒として用いることができ、たとえばアルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する主溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが挙げられる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが挙げられる。炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが挙げられる。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが挙げられる。
・酢酸メチル/アセトン/メタノール/エタノール/ブタノール(75/10/5/5/5)
・酢酸メチル/アセトン/メタノール/エタノール/プロパノール(75/10/5/5/5)
・酢酸メチル/アセトン/メタノール/ブタノール/シクロヘキサン(75/10/5/5/5)
・酢酸メチル/アセトン/エタノール/ブタノール(81/8/7/4)
・酢酸メチル/アセトン/エタノール/ブタノール(82/10/4/4)
・酢酸メチル/アセトン/エタノール/ブタノール(80/10/4/6)
・酢酸メチル/メチルエチルケトン/メタノール/ブタノール(80/10/5/5)
・酢酸メチル/アセトン/メチルエチルケトン/エタノール/イソプロパノール(75/8/8/4/5)
・酢酸メチル/シクロペンタノン/メタノール/イソプロパノール(80/10/5/5)
・酢酸メチル/アセトン/ブタノール(85/10/5)
・酢酸メチル/シクロペンタノン/アセトン/メタノール/ブタノール(60/15/15/5/5)
・酢酸メチル/シクロヘキサノン/メタノール/ヘキサン(70/20/5/5)
・酢酸メチル/メチルエチルケトン/アセトン/メタノール/エタノール(50/20/20/5/5)
・酢酸メチル/1、3ジオキソラン/メタノール/エタノール(70/20/5/5)
・酢酸メチル/ジオキサン/アセトン/メタノール/エタノール(60/20/10/5/5)
・酢酸メチル/アセトン/シクロペンタノン/エタノール/イソブタノール/シクロヘキサン(65/10/10/5/5/5)
・ギ酸メチル/メチルエチルケトン/アセトン/メタノール/エタノール(50/20/20/5/5)
・ギ酸メチル/アセトン/酢酸エチル/エタノール/ブタノール/ヘキサン(65/10/10/5/5/5)
・アセトン/アセト酢酸メチル/メタノール/エタノール(65/20/10/5)
・アセトン/シクロペンタノン/エタノール/ブタノール(65/20/10/5)
・アセトン/1,3ジオキソラン/エタノール/ブタノール(65/20/10/5)
・1、3ジオキソラン/シクロヘキサノン/メチルエチルケトン/メタノール/ブタノール(55/20/10/5/5/5)
さらに下記のように、溶解後、一部の溶剤をさらに追加添加し、多段で溶解することも好ましい(括弧内の数字は質量部を示す)。
・酢酸メチル/アセトン/エタノール/ブタノール(81/8/7/4)でセルロースアシレート溶液を作製し、ろ過・濃縮後に2質量部のブタノールを追加添加
・酢酸メチル/アセトン/エタノール/ブタノール(81/10/4/2)でセルロースアシレート溶液を作製し、ろ過・濃縮後に4質量部のブタノールを追加添加
・酢酸メチル/アセトン/エタノール(84/10/6)でセルロースアシレート溶液を作製し、ろ過・濃縮後に5質量部のブタノールを追加添加
本発明では、塩素系、非塩素系溶剤いずれの場合でも、溶媒にセルロースアシレートを10〜40質量%溶解していることが好ましく、より好ましくは13〜35質量%であり、特には15〜30質量%である。溶解に先立ち、0℃〜50℃で0.1時間〜100時間膨潤させることが好ましい。なお、種々の添加剤は膨潤工程の前に添加しても良く、膨潤工程中あるいは後でもよく、さらには、この後冷却溶解中あるいは後でも構わない。
(a)セルロースアシレートフィルム
[乾燥]
樹脂は粉体のまま用いても良いが、製膜の厚み変動を少なくするためにはペレット化したものを用いるのがより好ましい。この樹脂は含水率を1%以下、より好ましくは0.5%以下にした後、溶融押出し機のホッパーに投入する。このときホッパーをTg−50℃以上Tg+30℃以下、より好ましくはTg−40℃以上Tg+10℃以下、さらに好ましくはTg−30℃以上Tg以下にする。これによりホッパー内での水分の再吸着を抑制し、上記乾燥の効率をより発現し易くできる。
[混練押出し]
120℃以上250℃以下、より好ましくは140℃以上220℃以下、さらに好ましくは150℃以上200℃以下で混練し溶融する。この時、溶融温度は一定温度で行ってもよく、いくつかに分割して制御しても良い。好ましい混練時間は2分以上60分以下であり、より好ましくは3分以上40分以下であり、さらに好ましくは4分以上30分以下である。さらに、溶融押出し機内を不活性(窒素等)気流中、あるいはベント付き押出し機を用い真空排気しながら実施するのも好ましい。
[キャスト]
熔融した樹脂をギヤポンプに通し、押し出し機の脈動を除去した後、金属メッシュフィルター等でろ過を行い、この後ろに取り付けたT型のダイから冷却ドラム上にシート状に押し出す。押出しは単層で行ってもよく、マルチマニホールドダイやフィードブロックダイを用いて複数層押出しても良い。この時、ダイのリップの間隔を調整することで幅方向の厚みむらを調整することができる。
飽和ノルボルネン樹脂のペレットを熔融押出し機に入れ、100℃以上200℃以下で1分以上10時間以下脱水した後、混練押出しする。混練は1軸あるいは2軸の押出し機を使用できる。
上述の方法で2軸に延伸した延伸熱可塑性フィルムは単独で使用してもよく、これらと偏光板とを組み合わせて使用してもよく、これらの上に液晶層や屈折率を制御した層(低反射層)やハードコート層を設けて使用しても良い。これらは以下の工程により達成できる。
熱可塑性フィルムは表面処理を行うことによって、各機能層(例えば、下塗層およびバック層)との接着の向上させることができる。例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸またはアルカリ処理を用いることができる。ここでいうグロー放電処理とは、10−3〜20Torrの低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、更にまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類及びそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて30頁〜32頁に詳細に記載されている。なお、近年注目されている大気圧でのプラズマ処理は、例えば10〜1000Kev下で20〜500Kgyの照射エネルギーが用いられ、より好ましくは30〜500Kev下で20〜300Kgyの照射エネルギーが用いられる。
本発明の熱可塑性フィルムに、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて32頁〜45頁に詳細に記載されている機能性層を組み合わせることが好ましい。中でも好ましいのが、偏光層の付与(偏光板)、光学補償層の付与(光学補償シート)、反射防止層の付与(反射防止フィルム)である。
(イ−1)使用素材
現在、市販の偏光層は、延伸したポリマーを、浴槽中のヨウ素もしくは二色性色素の溶液に浸漬し、バインダー中にヨウ素、もしくは二色性色素を浸透させることで作製されるのが一般的である。偏光膜は、Optiva Inc.に代表される塗布型偏光膜も利用できる。偏光膜におけるヨウ素および二色性色素は、バインダー中で配向することで偏向性能を発現する。二色性色素としては、アゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素あるいはアントラキノン系色素が用いられる。二色性色素は、水溶性であることが好ましい。二色性色素は、親水性置換基(例、スルホ、アミノ、ヒドロキシル)を有することが好ましい。例えば、発明協会公開技法、公技番号2001−1745号、58頁(発行日2001年3月15日)に記載の化合物が挙げられる。
偏光膜は、偏光膜を延伸するか(延伸法)、もしくはラビングした(ラビング法)後に、ヨウ素、二色性染料で染色することが好ましい。
延伸に先立ち、PVAフィルムを膨潤させる。膨潤度は1.2〜2.0倍(膨潤前と膨潤後の重量比)である。この後、ガイドロール等を介して連続搬送しつつ、水系媒体浴内や二色性物質溶解の染色浴内で、15〜50℃、就中17〜40℃の浴温で延伸する。延伸は2対のニップロールで把持し、後段のニップロールの搬送速度を前段のそれより大きくすることで達成できる。延伸倍率は、延伸後/初期状態の長さ比(以下同じ)に基づくが前記作用効果の点より好ましい延伸倍率は1.2〜3.5倍、就中1.5〜3.0倍である。この後、50℃から90℃において乾燥させて偏光膜を得る。
これには特開2002−86554号公報に記載の斜め方向に傾斜め方向に張り出したテンターを用い延伸する方法を用いることができる。この延伸は空気中で延伸するため、事前に含水させて延伸しやすくすることが必用である。好ましい含水率は5%以上100%以下、より好ましくは10%以上100%以下である。
上記鹸化後のセルロースアシレートフィルムと、延伸して調製した偏光層を貼り合わせ偏光板を調製する。張り合わせる方向は、セルロースアシレートフィルムの流延軸方向と偏光板の延伸軸方向が45度になるように行うのが好ましい。
光学異方性層は、液晶表示装置の黒表示における液晶セル中の液晶化合物を補償するためのものであり、セルロースアシレートフィルムの上に配向膜を形成し、さらに光学異方性層を付与することで形成される。
上記表面処理したセルロースアシレートフィルム上に配向膜を設ける。この膜は、液晶性分子の配向方向を規定する機能を有する。しかし、液晶性化合物を配向後にその配向状態を固定してしまえば、配向膜はその役割を果たしているために、本発明の構成要素としては必ずしも必須のものではない。即ち、配向状態が固定された配向膜上の光学異方性層のみを偏光子上に転写して本発明の偏光板を作製することも可能である。
棒状液晶性分子としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。
円盤状(ディスコティック)液晶性分子には、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physicslett,A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルが含まれる。
上記の液晶性分子と共に、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー等を併用して、塗工膜の均一性、膜の強度、液晶分子の配向性等を向上することが出来る。液晶性分子と相溶性を有し、液晶性分子の傾斜角の変化を与えられるか、あるいは配向を阻害しないことが好ましい。
光学異方性層は、液晶性分子および必要に応じて後述の重合性開始剤や任意の成分を含む塗布液を、配向膜の上に塗布することで形成できる。
配向させた液晶性分子を、配向状態を維持して固定することができる。固定化は、重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。
このような光学補償フィルムが用いられる各液晶モードについて説明する。
(TNモード液晶表示装置)
カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。TNモードの黒表示における液晶セル中の配向状態は、セル中央部で棒状液晶性分子が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性分子が寝た配向状態にある。
(OCBモード液晶表示装置)
棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルである。ベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置は、米国特許4583825号、米国特許5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend) 液晶モードとも呼ばれる。
(VAモード液晶表示装置)
電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向しているのが特徴であり、VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
(その他液晶表示装置)
ECBモードおよびSTNモードの液晶表示装置に対しては、上記と同様の考え方で光学的に補償することができる。
反射防止膜は、一般に、防汚性層でもある低屈折率層、及び低屈折率層より高い屈折率を有する少なくとも一層の層(即ち、高屈折率層、中屈折率層)とを透明基体上に設けて成る。
基体上に少なくとも中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層(最外層)の順序の層構成から成る反射防止膜は、以下の関係を満足する屈折率を有する様に設計される。
反射防止膜の高い屈折率を有する層は、平均粒径100nm以下の高屈折率の無機化合物超微粒子及びマトリックスバインダーを少なくとも含有する硬化性膜から成る。高屈折率の無機化合物微粒子としては、屈折率1.65以上の無機化合物が挙げられ、好ましくは屈折率1.9以上のものが挙げられる。例えば、Ti、Zn、Sb、Sn、Zr、Ce、Ta、La、In等の酸化物、これらの金属原子を含む複合酸化物等が挙げられる。
低屈折率層は、高屈折率層の上に順次積層して成る。低屈折率層の屈折率は1.20〜1.55である。好ましくは1.30〜1.50である。
例えば、特開平9−222503号公報明細書段落番号[0018]〜[0026]、特開平11−38202号公報明細書段落番号[0019]〜[0030]、特開2001- 40284号公報明細書段落番号[0027]〜[0028]、特開2000−284102号公報等に記載の化合物が挙げられる。
低屈折率層の膜厚は、30〜200nmであることが好ましく、50〜150nmであることがさらに好ましく、60〜120nmであることが最も好ましい。
ハードコート層は、反射防止フィルムに物理強度を付与するために、透明支持体の表面に設ける。特に、透明支持体と前記高屈折率層の間に設けることが好ましい。
前方散乱層は、液晶表示装置に適用した場合の、上下左右方向に視角を傾斜させたときの視野角改良効果を付与するために設ける。上記ハードコート層中に屈折率の異なる微粒子を分散することで、ハードコート機能と兼ねることもできる。
上記の層以外にプライマー層、帯電防止層、下塗り層や保護層等を設けてもよい。
反射防止フィルムの各層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート、マイクログラビア法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書)により、塗布により形成することができる。
反射防止膜は、外光を散乱させるアンチグレア機能を有していてもよい。アンチグレア機能は、反射防止膜の表面に凹凸を形成することにより得られる。反射防止膜がアンチグレア機能を有する場合、反射防止膜のヘイズは、3〜30%であることが好ましく、5〜20%であることがさらに好ましく、7〜20%であることが最も好ましい。
サンプルフィルムを黒色の平坦な布の上に置き、タングステンランプの下で反射光で目視観察する。表面に確認される数mm程度の「ハ」字状(鳥の足型状)の模様を20m2 観察し、その個数を数え、1m2 あたりの平均値として表す。
MD方向(長手方向)サンプリングは、長手方向に0.5m間隔で100点、1cm角の大きさに切り出した。TD方向(幅方向)サンプリングは、製膜全幅にわたり1cm角の大きさに50点、等間隔で切り出した。Re、Rth測定は、上記サンプルフィルムを25℃60%rhに3時間以上調湿後、自動複屈折計(KOBRA-21ADH/PR:王子計測器(株)製)を用いて、25℃60%rhにおいて、サンプルフィルム表面に対し垂直方向および、フィルム面法線から±40°傾斜させた方向から波長550nmにおけるレターデーション値を測定した。垂直方向から面内のレターデーション(Re)、垂直方向±40°方向の測定値からRthを算出した。上記サンプリング点の全平均をRe、Rthとした。
セルロースアシレートのアシル置換度は、Carbohydr.Res.273(1995)83−91(手塚他)に記載の方法で13C−NMRにより求めた。
(1)セルロースアシレート
表1(図4)に記載のアシル基の種類、置換度の異なるセルロースアシレートを調製した。これは、触媒として硫酸(セルロース100重量部に対し7.8重量部)を添加し、アシル置換基の原料となるカルボン酸を添加し40℃でアシル化反応を行った。この時、カルボン酸の種類、量を調整することで、アシル基の種類、置換度を調整した。またアシル化後の40℃で熟成を行った。このようにして得たセルロースアシレートの重合度は下記の方法で求め、表1、2に記載した。
ηrel =T/T0
[η]=(1nηrel )/C
DP=[η]/Km
ただし、T:測定試料の落下秒数、T0 :溶剤単独の落下秒数、C:濃度(g/l)、Km:6×10-4とする。
6−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレンに、重合触媒としてトリエチルアルミニウムの15%シクロヘキサン溶液10部、トリエチルアミン5部、および四塩化チタンの20%シクロヘキサン溶液10部を添加して、シクロヘキサン中で開環重合し、得られた開環重合体をニッケル触媒で水素添加してポリマー溶液を得た。このポリマー溶液をイソプロピルアルコール中で凝固させ、乾燥し、粉末状の樹脂を得た。この樹脂の数平均分子量は40000、水素添加率は99.8%以上、Tgは139℃であった。
特開2003−29040の実施例1に従い、9,9−ビス(3−メチルー4−ヒドロキシフェニル)フルオレンで変性したPC樹脂を得た。このPC樹脂のTgは215℃であった。
(1)溶融製膜
上記セルロースアシレート、飽和ノルボルネン樹脂を直径3mm長さ5mmの円柱状のペレットに成形した。この際、可塑剤は以下の中から選定し(表1に記載)ペレットに混練した。これを110℃の真空乾燥機で乾燥し、含水率を0.1%以下とした後、Tg−10℃になるように調整したホッパーに投入した。
(セルロースアシレート)
(イ)仕込み
上記セルロースアシレート樹脂を含水率が0.1wt%以下になるように乾燥した後、表1記載の可塑剤を添加し、下記から選んだ溶剤で溶解した後、セルロースアシレートが25重量%となるように溶解した。
・非塩素系:酢酸メチル/アセトン/メタノール/エタノール/ブタノール(80/5/7/5/3、質量部)
・塩素系 :ジクロロメタン/メタノール/エタノール/ブタノール(85/6/5/4、質量部)
可塑剤は上記TPP,BDP、DOA、PTPから選定し表2(図5)に記載した。これ以外にも、各水準に下記添加剤を加えた。
・光学異方性コントロール剤;特開2003−66230に記載の(化1)に記載の板状化合物(3wt%)
・UV剤a:2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン(0.5wt%)
・UV剤b:2(2’−ヒドロキシ−3’,5‘−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール(0.2wt%)
・UV剤c:2(2’−ヒドロキシ−3’,5‘−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール(0.1wt%)
・微粒子:二酸化ケイ素(粒径20nm)、モース硬度 約7(0.25wt%)
・クエン酸エチルエステル(モノエステルとジエステルが1:1混合、0.2wt%)
ただし、上記添加量(wt%)は全てセルロースアシレートに対する割合である。
これらのセルロースアシレート、溶剤、添加剤を溶剤中に撹拌しながら投入した。投入が終わると撹拌を停止し、25℃で3時間膨潤させスラリーを作成した。これを再度撹拌し、完全にセルロースアシレートを溶解した。
この後、絶対濾過精度0.01mmの濾紙(東洋濾紙(株)製、#63)でろ過し、さらに絶対濾過精度2.5μmの濾紙(ポール社製、FH025)にて濾過した。
上述のドープを35℃に加温し、下記いずれかの方法で流延した(表2に記載)。
ギーサーを通して、15℃に設定したバンド長60mの鏡面ステンレス支持体上に流延した。使用したギーサーは、特開平11−314233号に記載の形態に類似するものを用いた。なお流延スピードは60m/分でその流延幅は250cmとした。
ギーサーを通して、−15℃に設定した直径3mの鏡面ステンレスのドラムに流延した。使用したギーサーは、特開平11−314233号に記載の形態に類似するものを用いた。なお流延スピードは100m/分でその流延幅は250cmとした。
特開2003−29040の実施例1に準じ、ジクロロメタンに19wt%で溶解した後、T−ダイからバンド上に押出し、残留溶剤が35wt%となったところで剥ぎ取り、この後延伸に用いた。
(同時二軸延伸)
上記溶融製膜、溶液製膜で得た熱可塑性フィルムを上述の残留揮発分を保持したまま表2に記載した条件で延伸した。また延伸温度はいずれも各水準の素材(可塑剤が入っているものはこの状態で測定したもの)のTgに対し、何℃高いか、低いかをそれぞれ+、−の温度で表1に「対Tg」として示した。このようにして得た延伸フィルムの評価結果を表1、2に示した。このようにして得た延伸フィルムのRe、Rth(平均値)、配向角およびこれらの変動率を上記の方法で測定し、表1、2に表示した。併せて粘着ムラも上述の方法で測定し、表1、2に表示した。
(1)表面処理
(1-1 )セルロースアシレートフィルム
延伸後のセルロースアシレートフィルムを下記のいずれかの方法で鹸化を行い、表1,2に記載した。
iso- プロパノール80重量部に水20重量部を加え、これにKOHを1.5規定となるように溶解し、これを60℃に調温したものを鹸化液として用いた。これを60℃のセルロースアシレートフィルム上に10g/m2 塗布し、1分間鹸化した。この後、50℃の温水をスプレーを用い、10l/m2 ・分で1分間吹きかけ洗浄した。
NaOHの1.5規定水溶液を鹸化液として用いた。これを60℃に調温し、セルロースアシレートフィルムを2分間浸漬した。この後、0.1Nの硫酸水溶液に30秒浸漬した後、水洗浴を通した。
表面の水との接触角が60度になるように、フィルム表面にコロナ処理を行った。
下記方法のいずれか(表1,2に記載)厚み20μmの偏光層を調製した。なお、本発明では、延伸し偏光能を付与したフィルムを偏光層と呼び、これを少なくとも2枚の保護フィルムあるいは位相差フィルムで挟みこんだものを偏光板と呼び区別した。
特開2002−86554の実施例1に従い、テンターを用い延伸軸が斜め45度となるように延伸した。
特開2001−141926の実施例1に従い、2対のニップロール間に周速差を与え、長手方向に延伸した。
このようにして得た偏光層を、上記鹸化処理した延伸熱可塑性フィルム(位相差板)と鹸化処理した偏光板保護フィルム(商品名:フジタック)の間に挟み込んだ。この際、位相差板と偏光層の接着は、位相差板がセルロースアシレートの場合はPVA((株)クラレ製PVA−117H)3%水溶液を接着剤とし、位相差板がこれ以外の場合はエポキシ系接着剤を用いて貼り合せた。またフジタックと偏光層の間は上述のPVA水溶液を接着剤として貼り合わせた。貼り合わせ方向は、偏光軸と位相差板の長手方向が45度となるようした。このようにして得た偏光板は位相差板を液晶側に、フジタックを外側(目視側)になるようにして、特開2000−154261号公報の図2〜9に記載の20インチVA型液晶表示装置液晶表示装置に取り付け、目視評価し表示むらの単位面積あたりの発生頻度を表1、2に記載した。本発明を実施したものは均一で良好な性能が得られた。
特開平11−316378号の実施例1の液晶層を塗布したセルロースアセテートフィルムの代わりに、本発明の延伸熱可塑性フィルムを使用したところ、表3に示すような(光学補償フィルムA と記載)良好な光学補償フィルムを作成できた。
本発明の延伸熱可塑性フィルムを発明協会公開技報(公技番号2001−1745)の実施例47に従い本発明の延伸熱可塑性フィルムを用いて低反射フィルムを作成したところ、均一で良好な光学性能が得られた。
上記本発明の偏光板を、特開平10−48420号公報の実施例1に記載の液晶表示装置、特開平9−26572号公報の実施例1に記載のディスコティック液晶分子を含む光学的異方性層、ポリビニルアルコールを塗布した配向膜、特開2000−154261号公報の図2〜9に記載の20インチVA型液晶表示装置、特開2000−154261号公報の図10〜15に記載の20インチOCB型液晶表示装置に用いた。さらに、本発明の低反射フィルムをこれらの液晶表示装置の最表層に貼り評価を行ったところ、表1、2に示したように粘着跡由来の表示むらの無い、均一で良好な液晶表示素子を得た。
表1は溶融製膜フィルムで延伸を行った結果を示している。表1において、実施例1−1〜6は、セルロースアシレートフィルムで同時二軸延伸を行った結果であり、Re、Rth、及び粘着跡がそれぞれ適切な範囲に収まったフィルムを製造することができた。これに対して、比較例1−1は、逐次二軸延伸を行ったため、Re、Rthの変動率が大きくなり、さらに粘着跡も増加して不適切な範囲になった。
Claims (6)
- 溶融製膜法又は溶液製膜法で製膜されたセルロースアシレートフィルムを延伸して製造すると共に、粘着跡が7点/m2未満、面内のレターデーションReが0nm以上500nm以下、厚み方向のレターデーションRthが30nm以上500nm以下であるセルロースアシレートフィルムの製造方法であって、
前記セルロースアシレートフィルムは、アシレート基が置換度、2.5≦A+B<3.0、1.25≦B<3.0、(A:アセテート基の置換度、B:プロピオネート基、ブチレート基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基の置換度の総和)、を満足し、
且つ前記延伸する前のセルロースアシレートフィルムの幅方向の両端部をクリップで把持して、該フィルムを縦方向と横方向に延伸倍率が1倍以上2.5倍以下の範囲において同時に延伸すると共に、
前記延伸のゾーン温度を、前記セルロースアシレートのガラス転移温度Tg+1℃〜Tg+40℃の範囲で行うことを特徴とするセルロースアシレートフィルムの製造方法。 - アシレート基が置換度、2.5≦A+B<3.0、1.25≦B<3.0、(A:アセテート基の置換度、B:プロピオネート基、ブチレート基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基の置換度の総和)、を満足するセルロースアシレートフィルムであって、
粘着跡が7点/m2未満、面内のレターデーションReが0nm以上500nm以下、厚み方向のレターデーションRthが30nm以上500nm以下であることを特徴とするセルロースアシレートフィルム。 - 前記レターデーションRe、Rthは幅方向、長手方向における変動がそれぞれ5%以下であることを特徴とする請求項2に記載のセルロースアシレートフィルム。
- 請求項2又は3の発明に記載のセルロースアシレートフィルムを少なくとも1層積層したことを特徴とする偏光板。
- 請求項2又は3の発明に記載のセルロースアシレートフィルムを基材に用いたことを特徴とする液晶表示板用光学補償フィルム。
- 請求項2又は3の発明に記載のセルロースアシレートフィルムを基材に用いたことを特徴とする反射防止フィルム。
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