JP2009178739A - 鍛造用金型及びその加工方法、並びに歯車鍛造装置及び歯車鍛造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】鍛造用金型2は、はすば歯車の冷間密閉鍛造を行うために用いるものである。鍛造用金型2は、つる巻き状の歯山部22を複数形成した成形穴21を有している。鍛造用金型2は、複数の歯山部22において、成形穴21の周方向Cの一方に位置する一方歯面221のねじれ角θ1と、成形穴21の周方向Cの他方に位置する他方歯面222のねじれ角θ2とを互いに異ならせて形成されている。
【選択図】図1
Description
該鍛造用金型は、つる巻き状の歯山部を複数形成した成形穴を有しており、
上記複数の歯山部において、当該成形穴の周方向の一方に位置する一方歯面と、当該成形穴の周方向の他方に位置する他方歯面とのねじれ角を互いに異ならせたことを特徴とする鍛造用金型にある(請求項1)。
これにより、本発明の鍛造用金型を用いてはすば歯車を成形した後、成形穴内から成形後のはすば歯車を払い出すときには、はすば歯車においては、払い出し方向側において、一対の歯面(一方歯面及び他方歯面)のうちねじれ角が大きい方の歯面によって成形した第1成形歯面側の面圧が高くなって、その塑性変形量が多くなる一方、払い出し方向とは反対側において、ねじれ角が小さい方の歯面によって成形した第2成形歯面側の面圧が低くなって、その塑性変形量が少なくなる。
それ故、本発明の鍛造用金型によれば、複数のつる巻き状の歯山部の両側の歯面に生じるねじれ角の相違を抑制したはすば歯車を容易に成形することができる。
上記鍛造用金型にするための金型用素材を素材側電極とし、上記金型用素材に上記一方歯面を加工するための第1電極型を加工側電極として放電加工を行って、上記金型用素材に上記一方歯面を形成し、
上記金型用素材を素材側電極とし、該金型用素材に上記他方歯面を加工するための第2電極型を加工側電極として放電加工を行って、上記金型用素材に上記他方歯面を形成することを特徴とする鍛造用金型の加工方法にある(請求項2)。
本発明においては、金型用素材に一方歯面を形成するための第1電極型と、金型用素材に他方歯面を形成するための第2電極型とを用いる。そして、第1電極型を用いて放電加工を行って一方歯面を形成した後、第2電極型を用いて放電加工を行って他方歯面を形成する。これにより、金型用素材に対して、ねじれ角が互いに異なる一方歯面及び他方歯面を有する複数のつる巻き状の歯山部を容易に形成することができる。
該鍛造用金型の上記成形穴に上方から螺合するパンチと、
上記鍛造用金型の上記成形穴に下方から螺合するダイスリーブとを有しており、
上記成形穴の軸方向に対する傾斜角度で表される上記ねじれ角は、上記一方歯面が上記他方歯面よりも大きくなっており、
上記鍛造用金型は、上記複数の歯山部において、上記一方歯面が下方を向き上記他方歯面が上方を向く状態であって、上記一方歯面と上記他方歯面との間の間隔が上記成形穴の上方に向かうほど狭くなる状態が形成される向きに配設してあることを特徴とする歯車鍛造装置にある(請求項4)。
本発明の歯車鍛造装置においては、成形穴の軸方向に対する傾斜角度で表されるねじれ角は、一方歯面が他方歯面よりも大きくなっている。また、歯車鍛造装置において、鍛造用金型は、複数の歯山部において、一方歯面が下方を向き他方歯面が上方を向く状態で、一方歯面と他方歯面との間の間隔が成形穴の上方に向かうほど狭くなる向きに配設してある。
これにより、第1成形歯面のねじれ角を、他方歯面によって成形された第2成形歯面のねじれ角に近づけることができる。
該鍛造用金型の上記成形穴に上方から螺合するパンチと、
上記鍛造用金型の上記成形穴に下方から螺合するダイスリーブとを用い、
上記成形穴の軸方向に対する傾斜角度で表される上記ねじれ角は、上記一方歯面が上記他方歯面よりも大きくなっており、上記鍛造用金型は、上記複数の歯山部において、上記一方歯面が下方を向き上記他方歯面が上方を向く状態であって、上記一方歯面と上記他方歯面との間の間隔が上記成形穴の上方に向かうほど狭くなる状態が形成される向きに配設しておき、
上記成形穴と上記パンチと上記ダイスリーブとによって囲まれて形成された密閉鍛造空間において、はすば歯車を成形した後、上記ダイスリーブを上昇させて、上記鍛造用金型の上記成形穴から成形後のはすば歯車を取り出すときに、該成形後のはすば歯車において上記一方歯面によって成形された第1成形歯面が、下方に位置する部分ほど上記一方歯面に長い時間押し当てられて多く塑性変形することにより、当該第1成形歯面のねじれ角を、上記他方歯面によって成形された第2成形歯面のねじれ角に近づけることを特徴とする歯車鍛造方法にある(請求項5)。
本発明においても、上記歯車鍛造装置の場合と同様に、鍛造用金型を配設しておき、鍛造用金型の成形穴から成形後のはすば歯車を取り出したときには、第1成形歯面のねじれ角を、他方歯面によって成形された第2成形歯面のねじれ角に近づけることができる。
該鍛造用金型の上記成形穴に螺合する押出パンチとを用い、
上記成形穴の軸方向に対する傾斜角度で表される上記ねじれ角は、上記一方歯面が上記他方歯面よりも大きくなっており、上記鍛造用金型は、上記複数の歯山部において、上記一方歯面と上記他方歯面との間の間隔が上記押出パンチの押出方向に向かうほど狭くなる状態が形成される向きに配設しておき、
上記押出パンチによって歯車用素材を上記成形穴内に押出成形して、はすば歯車を成形すると同時に取り出すときには、該成形後のはすば歯車において上記一方歯面によって成形された第1成形歯面が、上記押出方向とは反対方向に位置する部分ほど上記一方歯面に長い時間押し当てられて多く塑性変形することにより、当該第1成形歯面のねじれ角を、上記他方歯面によって成形された第2成形歯面のねじれ角に近づけることを特徴とする歯車鍛造方法にある(請求項6)。
本発明の歯車鍛造方法においても、成形穴の軸方向に対する傾斜角度で表されるねじれ角は、一方歯面が他方歯面よりも大きくなっている。また、鍛造用金型は、複数の歯山部において、一方歯面と他方歯面との間の間隔が押出パンチの押出方向に向かうほど狭くなる状態が形成される向きに配設しておく。
第2の発明においては、上記第1電極型及び上記第2電極型として、上記金型用素材に粗加工を行うための粗加工電極型と、上記粗加工を行った金型用素材に仕上げ加工を行う仕上げ加工電極型とを用い、上記粗加工電極型によって放電加工を行った後、上記仕上げ加工電極型によって放電加工を行うことが好ましい(請求項2)。
この場合には、粗加工と仕上げ加工との段階を追って放電加工を行うことにより、複数の歯山部における一対の歯面の加工精度をより向上させることができる。
本例の鍛造用金型2は、図2、図4に示すごとく、はすば歯車6の冷間密閉鍛造を行うために用いるものである。鍛造用金型2は、図1に示すごとく、つる巻き状の歯山部22を複数形成した成形穴21を有している。また、鍛造用金型2は、複数の歯山部22において、成形穴21の周方向Cの一方に位置する一方歯面221のねじれ角θ1と、成形穴21の周方向Cの他方に位置する他方歯面222のねじれ角θ2とを互いに異ならせて形成されている。なお、ねじれ角θ1、θ2は、成形穴21の軸方向Lと歯筋とがなす角度をいい、歯筋とは、複数の歯山部22の歯面221、222とピッチ円との交線のことをいう。また、はすば歯車6においては、ねじれ角は、その軸線と歯筋とがなす角度で表され、歯筋は、歯面とピッチ円との交線で表される。
各図において、成形穴21又はこれに対応する部位の軸方向を矢印Lで示し、成形穴21又はこれに対応する部位の周方向を矢印Cで示す。
図9に示すごとく、本例の鍛造用金型2の成形穴21において、複数の歯山部22における一方歯面221のねじれ角θ1は、他方歯面222のねじれ角θ2よりも大きくなっている。また、歯山部22とは、成形穴21の内周側に突出した部分のことをいう。
図4、図5に示すごとく、歯車鍛造装置1は、パンチ31を、はすば歯車6の成形時に加圧力を発生させながら下降するよう構成し、鍛造用金型2を上方への付勢力を与えた状態で回転可能に配設し、ダイスリーブ32を、はすば歯車6の成形時には固定する一方、成形後のはすば歯車6を上方へ払い出すよう構成している。
図7、図8に示すごとく、本例の型彫放電加工装置4においては、鍛造用金型2にするための金型用素材20に一方歯面221を加工するための第1電極型51と、金型用素材20に他方歯面222を加工するための第2電極型52とを用いる。本例においては、第1電極型51における複数の歯山部(歯筋)511のねじれ角(軸方向Lに対する傾斜角度)は、第2電極型52における複数の歯山部521(歯筋)のねじれ角(軸方向Lに対する傾斜角度)よりも大きくなっている。
また、図8に示すごとく、第2粗加工電極型52Aを加工側電極5として放電加工を行って、上記金型用素材20に粗加工状態の他方歯面222を形成する。
次いで、図7に示すごとく、第1本仕上げ加工電極型51Cを加工側電極5として放電加工を行って、中仕上げ加工状態の一方歯面221に本仕上げ加工を行う。また、図8に示すごとく、第2本仕上げ加工電極型52Cを加工側電極5として放電加工を行って、中仕上げ加工状態の他方歯面222に本仕上げ加工を行う。
なお、本例においては、ねじれ角が大きい方の一方歯面221を他方歯面222よりも先に放電加工したが、これとは逆に、ねじれ角が小さい方の歯面を一方歯面221として放電加工した後、他方歯面222を放電加工することもできる。また、金型用素材20に対して、粗加工、中仕上げ加工及び本仕上げ加工を行って一方歯面221を形成した後、当該金型用素材20に対して、粗加工、中仕上げ加工及び本仕上げ加工を行って他方歯面222を形成することもできる。
本例の歯車鍛造方法においては、まず、図3に示すごとく、ダイスリーブ32を螺合させた状態の鍛造用金型2の成形穴21内に、歯車用素材60を配置する。次いで、図4に示すごとく、パンチ31を下降させ、鍛造用金型2を複数の歯山部(歯筋)22に沿って回転させながら下降させて、鍛造用金型2の成形穴21とパンチ31とダイスリーブ32とによって囲まれた密閉鍛造空間25を形成すると共に、この密閉鍛造空間25内において、パンチ31とダイスリーブ32とによって歯車用素材60を加圧する。
これにより、第1成形歯面611のねじれ角α1を、他方歯面222によって成形された第2成形歯面612のねじれ角α2に近づけることができる。
本例は、図13に示すごとく、複数の歯山部22における一方歯面221のねじれ角θ1が他方歯面222のねじれ角θ2よりも大きい鍛造用金型2を用いて、押出成形を行う歯車鍛造装置1A及び歯車鍛造方法について示す例である。
本例の歯車鍛造装置1は、鍛造用金型2と、鍛造用金型2の成形穴21に螺合する押出パンチ35とを用いて構成してある。本例においても、一方歯面221のねじれ角(成形穴21の軸方向Lに対する傾斜角度)θ1が、他方歯面222のねじれ角θ2よりも大きくなっている。また、鍛造用金型2は、複数の歯山部22において、一方歯面221と他方歯面222との間の間隔が押出パンチ35の押出方向Fに向かうほど狭くなる状態が形成される向きに配設してある。
また、本例の鍛造用金型2は、複数の歯山部22における一対の歯面のねじれ角が同じである他の鍛造用金型(図示略)によって、粗成形を行った後の歯車用素材60に対して、仕上げ成形を行うために用いる。なお、鍛造用金型2は、仕上げ成形前の予備成形において用いることもできる。
本例においても、その他の構成は上記実施例1と同様であり、上記実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
2 鍛造用金型
2 金型用素材
21 成形穴
22 歯山部
221 一方歯面
222 他方歯面
31 パンチ
32 ダイスリーブ
35 押出パンチ
4 型彫放電加工装置
5 加工側電極
51 第1電極型
52 第2電極型
6 はすば歯車
60 歯車用素材
61 歯山部
611 第1成形歯面
612 第2成形歯面
θ1、θ2、α1、α2 ねじれ角
C 周方向
L 軸方向
Claims (6)
- はすば歯車を鍛造するために用いる鍛造用金型であって、
該鍛造用金型は、つる巻き状の歯山部を複数形成した成形穴を有しており、
上記複数の歯山部において、当該成形穴の周方向の一方に位置する一方歯面と、当該成形穴の周方向の他方に位置する他方歯面とのねじれ角を互いに異ならせたことを特徴とする鍛造用金型。 - つる巻き状の歯山部を複数形成した成形穴を有し、上記複数の歯山部において、当該成形穴の周方向の一方に位置する一方歯面と、当該成形穴の周方向の他方に位置する他方歯面とのねじれ角を互いに異ならせてなる鍛造用金型を加工する方法であって、
上記鍛造用金型にするための金型用素材を素材側電極とし、上記金型用素材に上記一方歯面を加工するための第1電極型を加工側電極として放電加工を行って、上記金型用素材に上記一方歯面を形成し、
上記金型用素材を素材側電極とし、該金型用素材に上記他方歯面を加工するための第2電極型を加工側電極として放電加工を行って、上記金型用素材に上記他方歯面を形成することを特徴とする鍛造用金型の加工方法。 - 請求項2において、上記第1電極型及び上記第2電極型として、上記金型用素材に粗加工を行うための粗加工電極型と、上記粗加工を行った金型用素材に仕上げ加工を行う仕上げ加工電極型とを用い、
上記粗加工電極型によって放電加工を行った後、上記仕上げ加工電極型によって放電加工を行うことを特徴とする鍛造用金型の加工方法。 - つる巻き状の歯山部を複数形成した成形穴を有し、上記複数の歯山部において、当該成形穴の周方向の一方に位置する一方歯面と、当該成形穴の周方向の他方に位置する他方歯面とのねじれ角を互いに異ならせてなる鍛造用金型と、
該鍛造用金型の上記成形穴に上方から螺合するパンチと、
上記鍛造用金型の上記成形穴に下方から螺合するダイスリーブとを有しており、
上記成形穴の軸方向に対する傾斜角度で表される上記ねじれ角は、上記一方歯面が上記他方歯面よりも大きくなっており、
上記鍛造用金型は、上記複数の歯山部において、上記一方歯面が下方を向き上記他方歯面が上方を向く状態であって、上記一方歯面と上記他方歯面との間の間隔が上記成形穴の上方に向かうほど狭くなる状態が形成される向きに配設してあることを特徴とする歯車鍛造装置。 - つる巻き状の歯山部を複数形成した成形穴を有し、上記複数の歯山部において、当該成形穴の周方向の一方に位置する一方歯面と、当該成形穴の周方向の他方に位置する他方歯面とのねじれ角を互いに異ならせてなる鍛造用金型と、
該鍛造用金型の上記成形穴に上方から螺合するパンチと、
上記鍛造用金型の上記成形穴に下方から螺合するダイスリーブとを用い、
上記成形穴の軸方向に対する傾斜角度で表される上記ねじれ角は、上記一方歯面が上記他方歯面よりも大きくなっており、上記鍛造用金型は、上記複数の歯山部において、上記一方歯面が下方を向き上記他方歯面が上方を向く状態であって、上記一方歯面と上記他方歯面との間の間隔が上記成形穴の上方に向かうほど狭くなる状態が形成される向きに配設しておき、
上記成形穴と上記パンチと上記ダイスリーブとによって囲まれて形成された密閉鍛造空間において、はすば歯車を成形した後、上記ダイスリーブを上昇させて、上記鍛造用金型の上記成形穴から成形後のはすば歯車を取り出すときに、該成形後のはすば歯車において上記一方歯面によって成形された第1成形歯面が、下方に位置する部分ほど上記一方歯面に長い時間押し当てられて多く塑性変形することにより、当該第1成形歯面のねじれ角を、上記他方歯面によって成形された第2成形歯面のねじれ角に近づけることを特徴とする歯車鍛造方法。 - つる巻き状の歯山部を複数形成した成形穴を有し、上記複数の歯山部において、当該成形穴の周方向の一方に位置する一方歯面と、当該成形穴の周方向の他方に位置する他方歯面とのねじれ角を互いに異ならせてなる鍛造用金型と、
該鍛造用金型の上記成形穴に螺合する押出パンチとを用い、
上記成形穴の軸方向に対する傾斜角度で表される上記ねじれ角は、上記一方歯面が上記他方歯面よりも大きくなっており、上記鍛造用金型は、上記複数の歯山部において、上記一方歯面と上記他方歯面との間の間隔が上記押出パンチの押出方向に向かうほど狭くなる状態が形成される向きに配設しておき、
上記押出パンチによって歯車用素材を上記成形穴内に押出成形して、はすば歯車を成形すると同時に取り出すときには、該成形後のはすば歯車において上記一方歯面によって成形された第1成形歯面が、上記押出方向とは反対方向に位置する部分ほど上記一方歯面に長い時間押し当てられて多く塑性変形することにより、当該第1成形歯面のねじれ角を、上記他方歯面によって成形された第2成形歯面のねじれ角に近づけることを特徴とする歯車鍛造方法。
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