JP3552513B2 - ヘリカルギヤ用金型の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ヘリカルギヤを鍛造するために用いる金型の製造方法に関し、特に、放電加工法により金型を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ヘリカルギヤの一種であるヘリカルピニオンギヤは、全体として円筒状をなすとともに、外周面に螺旋方向に傾斜した歯が形成され、その歯の一端側にテーパ部を介して円筒部が形成された構造である。この種のヘリカルピニオンギヤを切削加工によって製造したとすれば、工程数が多くなるうえに、加工機が高価なものとなるから、結局、コスト高になる不都合がある。また転造によりヘリカルピニオンギヤを加工したとすれば、奇数歯の場合に加工荷重の変動が生じ、これが原因となって歯形の精度が低下する不都合がある。
【0003】
そこで特開平7−308729号公報の発明には、円筒状の金型(ダイス)により、ヘリカルピニオンギヤを冷間鍛造する技術が記載されている。この金型の内周面には、螺旋方向に傾斜した複数の凹凸部が交互に形成されている。そして、粗材を金型の内部に軸線方向に圧入すると、金型の凹凸部により粗材の外周面が塑性変形され、粗材の外周面に螺旋方向に傾斜した歯が形成される。
【0004】
ところで、ヘリカルピニオンギヤを鍛造する場合、形成するべき歯が軸線方向に対して傾斜しているから、歯の側面と、歯の両側の面(歯面)とのなす角度が、各歯の一方の歯面と他方の歯面とで相違している。そのために、粗材の流動が歯の両側で相違し、これが原因となって歯形の精度が悪くなる。そこで上記の従来の発明では、鍛造時の粗材の流入方向を向く面の粗材流入側端部に、この歯上面の傾斜方向に対して反対方向に傾斜した面を有する三角形状の肉盛り部を形成している。
【0005】
また、このような形状の歯形を形成するため、金型の内周面の端部には、凹部に臨む三角形状の切欠面が形成されている。この切欠面は軸線方向に延びて形成されている。そして、粗材を金型の内部に圧入すると、切欠面によって粗材の流動方向が付与され、粗材の流動が歯面の両側で均等に生じ、その結果、歯形の精度が向上するとされている。
【0006】
一方、上記のようなヘリカルギヤ用金型の製造方法の一例が特開平4−152025号公報に記載されている。この公報に記載された製造方法においては、外周面に複数の螺旋状の歯および歯溝を備えた放電電極により、金型が製造される。具体的には、放電電極を回転させつつ軸線方向に移動して筒状の金型素材の孔の内部に挿入し、放電電極と金型素材との間に放電を起こし、金型素材を放電加工してその内周面に複数の螺旋状の凹凸部を形成する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、金型に形成される螺旋状の凸部の両側の歯面と切欠面とは、孔の軸線に対する角度が異なっている。このため、従来の放電加工法によりヘリカルギヤ用金型を製造する場合は、複数の螺旋状の凹凸部と切欠面とに対応して別々の放電電極を用いられ、別々の工程により放電加工が行われていた。
【0008】
すなわち、まず、複数の螺旋状の歯および歯溝を有する第1の放電電極を回転させつつ軸線方向に移動して金型素材の孔の内部に挿入し、放電加工により金型素材の孔の内周面に複数の螺旋状の凹凸部を形成する。そして、第1の放電電極を金型素材の外部に退出させ後、切欠面に対応する形状を備えた第2の放電電極を軸線方向に移動させて金型素材の内部に挿入して放電加工を行い、切欠面を形成する。
【0009】
このように、従来の放電加工法によりヘリカルギヤ用の金型を製造する場合は、形状の異なる2種類の放電電極を用い、かつ、放電電極を金型素材の孔に対して2往復させなければ、複数の螺旋状の凹凸部と切欠面とを放電加工することができなかった。このため、金型を製造するための設備および製造工数ならびに加工時間が増加し、金型の製造コストが上昇する問題があった。
【0010】
また第1の電極および第2の電極が別々に用いられているため、金型素材に対する第1の放電電極と第2の放電電極との同軸度(傾き)に相違が生じ、金型素材と放電電極との接触状態が不均一になる可能性がある。その結果、各金型毎に切欠面の寸法精度にバラツキが生じ、金型の品質が低下する問題があった。
【0011】
この発明は、上記の事情を背景としてなされたものであり、金型の製造に必要な放電電極の数を可及的に抑制し、かつ、各金型毎に切欠面の加工精度を向上させることの可能なヘリカルギヤ用金型の製造方法を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段およびその作用】
上記の目的を達成するために、この発明は、外周面に複数の螺旋状の歯および歯溝が交互に形成された放電電極を有し、この放電電極を軸線を中心として回転させつつ軸線方向に移動して金型素材の孔に進入させるとともに、前記放電電極と前記金型素材との間に電圧を印加して前記金型素材を放電加工することにより、前記金型素材の内周面に複数の螺旋状の凸部および凹部を形成した後、前記放電電極を前記金型素材の孔に挿入する場合の回転方向とは逆方向に相対的に回転させつつ前記金型素材の孔の外部に退出させるヘリカルギヤ用金型の製造方法において、前記金型素材の孔に臨むテーパ面およびストレート面が形成され、このストレート面はテーパ面の下側に接続され、前記テーパ面は下側に向けて縮径する方向に傾斜しているとともに、前記放電電極を上昇して、前記金型素材の孔の外部に向けて退出させる過程で、前記放電電極の挿入方向の下端部が、前記ストレート面とテーパ面との境界部分に到達する前における前記軸線方向の移動量に対応する回転量の割合と、前記放電電極の挿入方向の下端部が、前記境界部分に到達した後における前記軸線方向の移動量に対応する回転量の割合とを異ならせて、前記放電電極の下端部が前記境界部分に到達した以降に、前記凸部の一部を放電加工により除去することにより、前記凸部の一部に、前記孔の軸線に対する傾斜角が、前記凸部の傾斜角とは異なる切欠面を形成することを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、放電電極を金型素材の孔に挿入する過程で、放電電極の歯および歯溝により金型素材の孔の内周面が放電加工され、孔の内周面に凹凸部が形成される。その後、放電電極を金型素材の外部に向けて退出させる場合に、放電電極の軸線方向における移動量に対する回転量の割合を変化させることにより、放電電極を金型素材の孔から退出させる過程で凸部の一部が除去される。このため、孔の軸線に対する凸部の傾斜角が、放電電極が所定位置に到達する前と後で異なり、切欠面が形成される。
【0014】
【発明の実施の形態】
つぎに、この発明を図に示す具体例を参照しつつ説明する。図1はこの発明に係るヘリカルギヤ用金型の製造方法で使用する放電電極1の一例を示す正面図である。この放電電極1は駆動機構(図示せず)により、その軸線A1を中心として回転可能に、かつ、軸線方向(図1の上下方向)に往復移動可能に構成されている。
【0015】
この放電電極1は、軸部2と、軸部2の先端に設けられた頭部3とから構成されている。頭部3には、複数の螺旋状の歯4および歯溝5が交互に形成されている。これらの歯4は、軸線A1を通る平面(図示せず)に対して所定のねじれ角(傾斜角)α1に設定されたはす歯であり、それぞれの歯4の歯先面6を挟んだ両側の歯面7,8はサイクロイド曲線を模した曲面に形成されている。この放電電極1をねじ部材として把握した場合、ねじれ角α1が、いわゆるリード角に相当する。この放電電極1の材料としては、加工性に優れ、かつ、消耗の少ない材料、例えば、鋼または黄銅またはタングステンと銅との合金が用いられる。
【0016】
つぎに、図2に基づいて、放電加工が行われる金型素材9について説明する。金型素材9は、製品となる金型に要求される機械的特性を備えた材料が用いられる。具体的には、強度および靱性の他に、耐熱性および耐摩耗性ならびに耐圧性を具備した材料、例えばニッケル−クロム−モリブデン鋼、またはクロム−モリブデン鋼などの工具鋼や、超硬合金が用いられる。この金型素材9は、予め機械加工により円筒形状に成形されている。また、金型素材9を超硬合金により構成する場合は、焼結体により金型素材9を製造し、この金型素材9を機械加工して円筒形状に成形する。
【0017】
この金型素材9の孔10に臨む内周面には、孔10の軸線方向に沿って第1テーパ面11と第1ストレート面12と第2テーパ面13と第2ストレート面14とが順次形成されている。この第1テーパ面11は、図2において下側に向けて縮径する方向に傾斜している。また、第1ストレート面12は、第1テーパ面11の小径側に接続され、かつ、その内径は、軸線方向においてほぼ均一に設定されている。なお、第1ストレート面12の内径は、放電電極1の外径、つまり、歯先円の直径とほぼ同一に設定されている。
【0018】
さらに、第2テーパ面13は、図2において第1ストレート面12の下側に接続され、かつ、図2の下側に向けて縮径する方向に傾斜している。孔10の軸線A1に対する第2テーパ面13の鋭角側の傾斜角は、軸線A1に対する第1テーパ面11の鋭角側の傾斜角よりも小さく設定されている。さらにまた、第2ストレート面14は、図2において第2テーパ面13の下側に接続され、その内径が軸線方向においてほぼ均一に設定されている。つまり、第2ストレート面14の内径は、第1ストレート面12の内径未満に設定されている。
【0019】
つぎに、図2ないし図5に基づいて、放電電極1により金型素材9を放電加工して、ヘリカルギヤ用金型を製造する方法を説明する。図2に示された金型素材9は、加工液漕(図示せず)の加工液中に浸漬され、金型素材9には電源(図示せず)の陽極が接続されている。また、金型素材9の上方に放電電極1が配置され、放電電極1の回転中心と、金型素材9の孔10の中心とが同一軸線A1上に配置される。なお、放電電極1には電源の陰極が接続されている。
【0020】
そして、駆動機構の動作により、放電電極1を矢印方向に回転させつつ軸線方向に下降させる。つまり、放電電極1を歯4のリード角に沿うように移動させつつ金型素材9の孔10に進入させる。この放電電極1の下降に伴って、電源から放電電極1と金型素材9との間に所定の電圧が印加される。すると、放電電極1と金型素材9とが接近して両者の間に放電が生じる。その結果、金型素材9の孔10の内周面が、放電電極1の歯4および歯溝5の形状に対応する形状に放電加工される。ここで、放電を行わせる方式としては、蓄電器法と振動法と低電圧交流法とが例示される。このようにして、図3に示すように、孔10の内周面に複数の螺旋状の凹部15および凸部16が交互に形成される。すなわち、軸線A1に対する凸部16の側面の傾斜角が、歯4のねじれ角α1とほぼ同一に設定される。
【0021】
その後、図3に示すように、放電電極1の下端が金型素材9の下端に到達した時点で放電電極1の下降が停止する。ついで、放電電極1に対して、孔10に進入する場合とは逆方向の回転が与えられつつ、孔10から退出する方向に上昇する。そして、図4に示すように、放電電極1が孔10の内部で所定位置に到達する前と、所定位置に到達した以降とでは、軸線方向における放電電極1の移動量に対する回転量の割合を変化させる制御が行われる。
【0022】
具体的には放電電極1の下端が、第2テーパ面13と第2ストレート面14との境界部分B1に到達した時点以降の放電電極1の回転量(回転速度)が、放電電極1の下端が、第2テーパ面13と第2ストレート面14との境界部分B1に到達する前の放電電極1の回転量よりも減少する制御が行われる。このため、図5に示すように、既に形成されている凸部16の一部が、放電電極1の歯4により除去されて凹部15に臨む切欠面17が形成されて金型(ダイス)18が製造される。その後、放電電極1が孔10から退出してから軸線方向の移動が停止する。
【0023】
図6ないし図8は、金型18に形成される凸部16の部分的な拡大図である。凸部16は頂面16Aの両側に側面16B,16Cが形成されている。そして、側面16B,16Cのうち、図6ないし図8において上側を向いている側面16Bと、凸部16の端面9とが切欠面17により接続されている。
【0024】
図6ないし図8において、凸部16の形状の相違は、放電電極1の下端が、第2テーパ面13と第2ストレート面14との境界部分B1に到達した時点以降の放電電極1の回転量の割合いの変化内容に基づいて決定される。図6は、放電電極1の回転を停止させ、かつ、放電電極1を軸線方向にのみ移動させた場合における凸部16の形状を示している。つまり、凸部16の端面19と切欠面17との境界の稜線C1が、孔10の軸線A1とほぼ平行に設定されている。言い換えれば、切欠面17が軸線A1とほぼ平行に設定される。
【0025】
また、図7は、放電電極1を図3と同様の方向に回転させた場合の凸部16の形状を示している。つまり、凸部16の端面19と切欠面17との境界の稜線C2と、孔10の軸線A1との間隔が、図7の上側に向けて狭くなるように設定されている。
【0026】
さらに、図8は、放電電極1の回転量が、図6の例よりも増大された場合における凸部16の形状を示している。つまり、凸部16の端面19と切欠面17との境界の稜線C3と、孔10の軸線A1との間隔が、図8の下側に向けて広くなるように設定されている。
【0027】
つまり、この実施例においては、図9に示すように軸線A1に対する切欠面17の傾斜角β1と、放電電極1が所定位置に到達する以前の凸部16の側面16Bの傾斜角α1とが異なる値に設定される。このため、この実施例においては、放電電極1の回転量を制御することにより、切欠面17の形状を変更することが可能である。そして、軸線A1に対する切欠面17の傾斜角β1に基づいて、ヘリカルギヤの鍛造時における材料の流動方向性が制御される。つまり、切欠面17が粗材導入面として機能する。
【0028】
図10は、上記の金型18を使用した鍛造装置20を概略的に示している。図10において、上下動させられるラム21の下方には定盤22が配置されている。この定盤22の中心部に円筒形状のホルダー23が配置され、金型18がその軸線を上下方向に向けた状態でホルダー23により保持されている。また、金型18の内部には、ノックアウトピン24が、スプリングあるいはアクチュエータ(それぞれ図示せず)によって上下動するように配置されている。
【0029】
またラム21の下面には、円筒形状のパンチ25と、棒状のマンドレル26とが下向きに取り付けられている。このパンチ25の外径は、金型18における第1ストレート部12の内径とほぼ等しく設定されている。またパンチ25の内径は、冷間鍛造されるヘリカルギヤの中心部に形成する孔の内径とほぼ等しい内径に設定されている。また、マンドレル26はパンチ25の内部に密着して嵌合させた中実軸状の部材であり、このマンドレル26の先端部は、パンチ25の先端部から所定寸法が突出している。なお、金型18およびノックアウトピン24ならびにパンチ25、マンドレル26は、それぞれ同一軸線A1上に配置されている。
【0030】
上記構成の鍛造装置20によりヘリカルギヤを製造する場合は、先ず、円筒状の粗材27を金型18の第1ストレート部13内に挿入する。つぎに、ラム21と共にパンチ25およびマンドレル26を下降させると、パンチ25の先端部が粗材27の中心部に嵌合し、ついでパンチ25の先端部が粗材27の上端部に接触し、パンチ25が粗材27を次第に押し下げ始める。この場合、先ず、粗材27の先端部が金型18の第2テーパ部13によって縮径する方向に塑性変形され、ついで凸部16が粗材27の外周面に食い込んで、歯(図示せず)および歯溝(図示せず)が形成される。すなわち凸部16および凹部15に沿った材料の流動が生じる。
【0031】
より具体的には、粗材27のうち凸部16に対応する部分は、材料が押し退けられて凹部15に供給・充填される。ここで、凸部16に当接した材料の一部は切欠面17により流動方向が付与され、流動抵抗が抑制される。その結果、凸部16の両側面16B,16Cにおける粗材27の流動がほぼ均等に行われ、ヘリカルギヤの歯形の精度が良好になる。
【0032】
このようにして、粗材27の全量を金型18の内部に押し込むことにより鍛造が終了し、ヘリカルギヤ(図示せず)が製造される。その後、ラム21を上昇させるとともに、ノックアウトピン24を上昇させることにより、金型18からヘリカルギヤを離型させる。こうして得られたヘリカルギヤは、その外周面に複数の歯および歯溝が形成される。
【0033】
以上のように、この実施例によれば、放電電極1を回転しつつ軸線方向に移動させて金型素材9の孔10に挿入する過程で、金型素材9の内周面に複数の螺旋状の凹凸部15,16が放電加工される。そして、放電電極1を挿入時とは逆方向に相対的に回転しつつ孔10から退出させる過程で、放電電極1の挿入方向の下端部が、境界部分B1に到達した時点以降の放電電極1の回転量の割合が、放電電極1の挿入方向の下端部が境界部分B1に到達する前の放電電極1の回転量の割合よりも減少され、金型素材9の凹部15に臨む切欠面17が放電加工される。
【0034】
つまり、放電電極1を孔10に挿入して金型素材9の孔10の内周面に複数の螺旋状の凹凸部15,16を形成した後、その放電電極1を孔10から退出させる過程で、凸部16の一部を除去して切欠面17を放電加工することができる。言い換えれば、単一の放電電極1を1回往復移動する過程で、孔10の内周面に螺旋状の凹凸部15,16を放電加工する動作と、切欠面17を放電加工する動作とを両方行うことができる。したがって、金型18を製造するための設備および製造工数ならびに加工時間が減少して、金型18の製造コストを抑制することができる。また、金型18に対する切欠面17の位置精度が均一になり、各金型の品質が向上する。その結果、金型により冷間鍛造されるヘリカルギヤの加工精度が向上する。
【0035】
なお、上記実施例において、放電電極1が所定位置に到達する前における軸線方向の移動量に対応する回転量の割合よりも、放電電極1が所定位置に到達した後における軸線方向の移動量に対応する回転量の割合を増大させて金型を製造することも可能である。この製造方法を採用した場合は、凸部16の側面16C側に切欠面が形成される。この製造方法を採用した場合においても、上記実施例と同様の効果を得られる。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、放電電極を孔に挿入して金型素材の孔の内周面に複数の螺旋状の凹凸部を形成した後、その放電電極を孔から退出させる過程で、凸部の一部を除去して切欠面を放電加工することができる。言い換えれば、単一の放電電極を1回往復移動する過程で、孔の内周面に複数の螺旋状の凹凸部を放電加工する動作と、切欠面を放電加工する動作とを両方行うことができる。したがって、金型を製造するための設備および製造工数ならびに加工時間が減少して、金型の製造コストを抑制することができる。また、金型に対する切欠面の位置精度が均一になり、各金型の品質が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のヘリカルギヤ用金型の製造に用いる放電電極の正面図である。
【図2】図1に示された放電電極により金型素材を放電加工し、金型を製造する過程を示す略示的正面断面図である。
【図3】図1に示された放電電極により金型素材を放電加工し、金型を製造する過程を示す略示的正面断面図である。
【図4】図1に示された放電電極により金型素材を放電加工し、金型を製造する過程を示す略示的正面断面図である。
【図5】図1に示された放電電極により金型素材を放電加工し、金型を製造する過程を示す略示的正面断面図である。
【図6】この発明の実施例により製造された金型の凸部を示す部分的な図である。
【図7】この発明の実施例により製造された金型の凸部を示す部分的な図である。
【図8】この発明の実施例により製造された金型の凸部を示す部分的な図である。
【図9】この発明の実施例により製造された金型の凸部を示す部分的な断面図である。
【図10】図5に示す金型を用いた鍛造装置の一例を示す概略的な断面図である。
【符号の説明】
1…放電電極、 4…歯、 5…歯溝、 9…金型素材、 10…孔、 15…凹部、 16…凸部、 18…金型、 A1…軸線、 α1,β1…傾斜角。
Claims (1)
- 外周面に複数の螺旋状の歯および歯溝が交互に形成された放電電極を有し、この放電電極を軸線を中心として回転させつつ軸線方向に移動して金型素材の孔に進入させるとともに、前記放電電極と前記金型素材との間に電圧を印加して前記金型素材を放電加工することにより、前記金型素材の内周面に複数の螺旋状の凸部および凹部を形成した後、前記放電電極を前記金型素材の孔に挿入する場合の回転方向とは逆方向に相対的に回転させつつ前記金型素材の孔の外部に退出させるヘリカルギヤ用金型の製造方法において、
前記金型素材の孔に臨むテーパ面およびストレート面が形成され、このストレート面はテーパ面の下側に接続され、前記テーパ面は下側に向けて縮径する方向に傾斜しているとともに、前記放電電極を上昇して、前記金型素材の孔の外部に向けて退出させる過程で、前記放電電極の挿入方向の下端部が、前記ストレート面とテーパ面との境界部分に到達する前における前記軸線方向の移動量に対応する回転量の割合と、前記放電電極の挿入方向の下端部が、前記境界部分に到達した後における前記軸線方向の移動量に対応する回転量の割合とを異ならせて、前記放電電極の下端部が前記境界部分に到達した以降に、前記凸部の一部を放電加工により除去することにより、前記凸部の一部に、前記孔の軸線に対する傾斜角が、前記凸部の傾斜角とは異なる切欠面を形成することを特徴とするヘリカルギヤ用金型の製造方法。
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