以下に、本発明にかかる通信システムおよび通信装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1〜図7を用いてこの発明の実施の形態1を説明する。図1は、この発明を適用した無線通信システムの一例を示す図である。図1において、無線通信システムは、通常電力状態または省電力状態で動作する複数(この場合は4台)の通信装置1(1−1〜1−4を示す)を備え、無線通信によって相互通信を行うメッシュ型のネットワークを構成している。通常電力状態とは、受信機能を停止させることなく常にキャリアセンスを行って無線信号を受信待ちする通常受信動作を行う状態である。省電力状態とは、受信機能を停止させて無線信号の受信を不可とする受信停止期間と、受信機能を動作させて無線信号の受信を可能とする受信待ち期間とを繰り返す間欠受信動作を行う状態である。なお、図1においては、無線通信システムのネットワーク構成をメッシュ型としたが、ネットワークの構成はこれに限るものではない。
図2は、通信装置1が用いる通信フレームのフォーマットを示す図である。図2に示すように、通信フレームには、間欠受信を行う省電力状態の通信装置1を常にキャリアセンスを行う通常電力状態に切り替えるための起動フレームと、データ転送に用いるデータフレームとがある。起動フレームは、プリアンブルフィールドと、同期コードフィールドと、フレームコードフィールドとで構成され、データフレームは、プリアンブルフィールド、同期コードフィールド、フレームコードフィールド、ヘッダフィールド、およびデータフィールドで構成される。すなわち、データフレームは、起動フレームにヘッダフィールドとデータフィールドとが追加された構成となっている。
プリアンブルフィールドには、通信装置1がキャリアセンス時にキャリアの有無の判定に用いるプリアンブルが格納される。同期コードフィールドには、通信フレームの復調処理のタイミングと通信シンボルとの同期をとるための同期コードが格納される。フレームコードフィールドには、当該通信フレームの種別を示すフレームコードが格納される。たとえば、起動フレームの場合、フレームコードフィールドには起動フレームであることを示すフレームコード「01」が格納され、データフレームの場合、フレームコードにはデータフレームであることを示すフレームコード「00」が格納される。ヘッダフィールドには、データフレームの送信元や送信先、データ長などの情報が格納される。データフィールドには、送信すべきデータが格納される。
図3は、図1に示した通信装置1の構成を示すブロック図である。図3において、通信装置1は、アンテナ2、受信アンプ101と受信フィルタ102とADコンバータ103と復調器104とを有する受信回路10、フレーム解析部11、上位インターフェース部12、フレーム生成部13、変調器141とDAコンバータ142と送信フィルタ143と送信アンプ144とを有する送信回路14、受信停止時間計測タイマ15、受信待ち期間計測タイマ16、起動信号送信間隔計測タイマ17、起動信号送信リトライカウンタ18、制御部19、および電源回路20を備えている。
アンテナ2は、他の通信装置1が送信した無線信号を受信するとともに、他の通信装置1に送信する無線信号を送信する。受信アンプ101は、アンテナ2が受信した無線信号(受信信号)を増幅する。受信フィルタ102は、受信アンプ101によって増幅された受信信号から不要な周波数成分を除去する。ADコンバータ103は、受信フィルタ102によって不要な周波数成分が除去された受信信号を予め定められた間隔でサンプリングして振幅情報に変換する。復調器104は、ADコンバータ103によって変換されたデジタル信号に復調処理を施して振幅情報をビット列(通信フレーム)に変換する。
フレーム解析部11は、復調器104によって変換された通信フレームを解析する。具体的には、フレーム解析部11は、通信フレームのフレームコードに基づいて受信した通信フレームの種別(起動フレームであるのかデータフレームであるのか)を識別する。上位インターフェース部12は、図示しない上位レイヤ処理部とのインターフェース機能を有し、フレーム解析部11によってデータフレームであると識別されたデータフレームを上位レイヤ処理部に出力するとともに、上位レイヤ処理部から入力される送信データ情報をフレーム生成部13に出力する。
フレーム生成部13は、上位インターフェース部12または制御部19からの指示により他の通信装置1に送信する通信フレームを生成する。変調器141は、フレーム生成部13によって生成された通信フレームに予め定められた変調処理を施す。DAコンバータ142は、変調器141によって変調処理が施された通信フレームをアナログ信号に変換する。送信フィルタ143は、DAコンバータ142によってアナログ信号に変換された通信フレームから不要な周波数成分を除去する。送信アンプ144は、送信フィルタ143によって不要な周波数成分が除去されたアナログ信号を増幅する。
受信停止時間計測タイマ15は、制御部19からの指示によって省電力状態における受信機能を停止する受信停止時間を計測する。受信待ち期間計測タイマ16は、制御部19からの指示によって省電力状態においてキャリアセンスを行う受信待ち期間を計測する。起動信号送信間隔計測タイマ17は、起動フレームを送信する時間間隔である起動信号送信間隔を計測する。起動信号送信リトライカウンタ18は、起動フレームの送信のリトライ回数をカウントする。
電源回路20は、装置内に電源を供給する。制御部19は、装置内の各構成要素を統括的に制御するとともに、電源回路20を制御して省電力状態においては一定の間隔で受信回路10や送信回路14など通信フレームの送受信に関する構成要素への電力の供給を停止させて間欠受信を実行させる。
つぎに、この実施の形態1の通信装置1の動作について説明する。なお、起動フレームの無線信号を起動信号と呼び、データフレームの無線信号をデータ信号と呼ぶことがある。通信装置1が行なう処理には、通常電力状態においてデータフレームを送信するデータフレーム送信処理と、通常電力状態において通信フレームを受信する通常電力状態通信フレーム受信処理と、起動フレームを送信して省電力状態の他の通信装置1を通常電力状態に切り替える通信装置起動処理と、省電力状態で動作する省電力処理とがある。まず、データフレーム送信処理の動作について説明する。
上位インターフェース部12は、上位レイヤ処理部から入力された送信すべきデータ(送信データ)と付加情報とを含む送信データ情報をフレーム生成部13に出力する。ここで、付加情報とは、データの送信先となる通信装置1のアドレスや送信元となる自装置のアドレス、データ長などの情報である。また、上位インターフェース部12は、データを送信する旨を制御部19に通知する。この通知によって、制御部19は、他の通信装置1と通信を開始すること認識して、自装置が省電力状態である場合には、電源回路20を制御して送信回路14および受信回路10に電源の供給を開始させる。
フレーム生成部13は、送信データ情報に基づいてデータフレームを生成する。具体的には、フレーム生成部13は、先の図2に示したデータフレームのプリアンブルフィールドに予め定められたプリアンブルパタンを格納し、同期コードフィールドに予め定められた同期コードパタンを格納し、フレームコードフィールドに当該通信フレームがデータフレームであることを示すフレームコード「00」を格納する。また、フレーム生成部13は、ヘッダフィールドに送信データ情報に含まれる付加情報を格納し、データフィールドに送信データ情報に含まれる送信データを格納する。フレーム生成部13は、生成した通信フレームを変調器141に出力する。
変調器141は、データフレームに予め定められた変調処理を施す。変調処理は、たとえば、QPSK(Quadrate Phase Shift Keying)やQAM(Quadrate Amplitude Modulation)などの変調処理である。変調器141は、変調処理を施したデータフレームをDAコンバータ142に出力する。
DAコンバータ142は、変調処理が施されたデータフレームをアナログ信号に変換して送信フィルタ143に出力する。送信フィルタ143は、アナログ信号に変換されたデータフレームから不要な周波数成分を除去して送信アンプ144に出力する。送信アンプ144は、不要な周波数成分が除去されたアナログ信号を増幅してアンテナ2を介してデータ信号として送信する。
つぎに、通常電力状態通信フレーム受信処理の動作について説明する。受信アンプ101は、アンテナ2が受信した受信信号を増幅して受信フィルタ102に出力する。受信フィルタ102は、増幅された受信信号から不要な周波数成分を除去してADコンバータ103に出力する。ADコンバータ103は、不要な周波数成分が除去された受信信号を予め定められた間隔でサンプリングして振幅情報に変換する。
復調器104は、デジタル信号に変換された通信フレームに復調処理を施して振幅情報をビット列(通信フレーム)に変換する。具体的には、復調器104は、デジタル信号に変換された通信フレームの同期コードフィールドに格納された同期コードに基づいてタイミングと通信シンボルとの同期をとって、通信フレームに予め定められた復調処理を施す。復調処理は、送信元である通信装置1の変調器141によって変調された方式に対応する処理であり、たとえば、QPSKやQAMなどの復調処理である。復調器104は、復調処理を施した通信フレームをフレーム解析部11に出力する。
フレーム解析部11は、通信フレームのフレームコードフィールドに格納されたフレームコードに基づいて、通信フレームがデータフレームであるのか起動フレームであるのかを識別する。フレームコードがデータフレームであることを示す「00」の場合、フレーム解析部11は、データフレームを上位インターフェース部12を介して上位レイヤ処理部に出力する。上位レイヤ処理部は、データフレームのヘッダフィールドに格納された付加情報に基づいてデータフレームが自装置宛てであるか否かを判定し、自装置宛のデータフレームの場合には所定のデータ処理を実行する。
フレームコードが起動フレームであることを示す「01」の場合、フレーム解析部11は、起動フレームを制御部19に出力する。制御部19は、自装置が通常電力状態であるのか省電力状態であるのかを識別する。ここでは、自装置は通常電力状態である。よって、状態を切り替える必要がないため、制御部19は、起動フレームによる処理を行なわない。
つぎに、図4のフローチャートを参照して、通信装置起動処理の動作について説明する。この通信装置起動処理は、省電力状態の通信装置1を通常電力状態に切り替える親通信装置1として動作する通信装置1が行う処理である。この通信装置起動処理は、たとえば、最後に通信を行ってから(データフレームの受信または送信してから)予め定められた時間が経過した後にデータフレームを送信する前に実行する。なお、実行タイミングはこれに限るものではない。
制御部19は、起動信号送信リトライカウンタ18をリセット(カウント値nを0に)する(ステップS100)。制御部19は、フレーム生成部13および送信回路14を制御して起動信号を送信する(ステップS101)。具体的には、制御部19は、起動フレームを送信する旨をフレーム生成部13に通知する。フレーム生成部13は、プリアンブルフィールドに予め定められたプリアンブルパタンを格納し、同期コードフィールドに予め定められた同期コードパタンを格納し、フレームコードフィールドに当該通信フレームが起動フレームであることを示すフレームコード「01」を格納して起動フレームを生成する。フレーム生成部13は、生成した起動フレームを送信回路14に出力する。
送信回路14は、上述したデータフレーム送信処理の動作と同様に、変調器141が、起動フレームに変調処理を施し、DAコンバータ142が、変調処理が施された起動フレームをアナログ信号に変換し、送信フィルタ143が、アナログ信号に変換されたデータフレームから不要な周波数成分を除去し、送信アンプ144が、不要な周波数成分が除去されたアナログ信号を増幅してアンテナ2を介して送信する。これにより、起動信号が送信される。
一方、制御部19は、フレーム生成部13に起動フレームを送信する旨を通知した後、起動信号送信リトライカウンタ18のカウント値nをカウントアップ(n=n+1)する。制御部19は、起動信号送信リトライカウンタ18のカウント値nと予め定められたリトライ回数閾値Nとを比較する(ステップS103)。
起動信号送信リトライカウンタ18のカウント値nがリトライ回数閾値Nより小さい場合(ステップS103,No)、制御部19は、起動信号送信間隔計測タイマ17を起動して、起動フレームを送信する時間間隔である起動信号送信間隔T4の計測を開始させる(ステップS104)。起動信号送信間隔計測タイマ17による起動信号送信間隔T4の計測が完了すると(ステップS105,Yes)、制御部19は、フレーム生成部13および送信回路14を制御して起動信号を送信し、起動信号送信リトライカウンタ18のカウント値nをカウントアップし、起動信号送信リトライカウンタ18のカウント値nとリトライ回数閾値Nとを比較し、起動信号送信間隔計測タイマ17を起動する動作を、起動信号送信リトライカウンタ18のカウント値nがリトライ回数閾値N以上になるまで繰り返す(ステップS101〜S105)。これにより、親通信装置として動作する通信装置1は、起動信号(起動フレーム)を起動信号送信間隔T4毎にリトライ回数閾値N回送信する。
つぎに、図5のフローチャートを参照して、省電力処理の動作について説明する。制御部19は、通常電力状態から省電力状態に移行することを決定すると、電源回路20を制御して受信回路10や送信回路14など通信フレームの送受信に関わる構成要素への電力の供給を停止する(ステップS200)。これにより、通信装置1は、他の通信装置1が送信した信号を受信不可となる受信停止期間となる。
なお、通常電力状態から省電力状態への移行の決定は、たとえば、データフレーム送信処理または通常電力状態通信フレーム受信処理が終了してから、一定期間データフレーム送信処理または通常電力状態通信フレーム受信処理が発生しなかった場合などに行われるが、移行の条件はこれに限るものではない。
制御部19は、受信停止時間計測タイマ15を起動して、受信停止期間となる受信停止時間T1の計測を開始させる(ステップS201)。受信停止時間計測タイマ15による受信停止時間T1の計測が完了すると(ステップS202,Yes)、制御部19は、電源回路20を制御して、受信回路10など通信フレームの受信に関する構成要素への電力の供給を開始する(ステップS203)。制御部19は、受信待ち期間計測タイマ16を起動して、省電力状態においてキャリアセンスを行う受信待ち期間となる受信待ち時間T2の計測を開始させる(ステップS204)。
一方、受信回路10は、先のステップS203において電力が供給されたので、キャリアセンスを行い(ステップS205)、キャリアを検出した際には上述した通信フレーム受信処理の動作と同様の処理を行なう。すなわち、受信アンプ101が、アンテナ2が受信した受信信号を増幅し、受信フィルタ102が、増幅された受信信号から不要な周波数成分を除去してADコンバータ103に出力し、ADコンバータ103が、不要な周波数成分が除去された受信信号を予め定められた間隔でサンプリングして振幅情報に変換し、復調器104が、デジタル信号に変換された通信フレームに復調処理を施して振幅情報をビット列(通信フレーム)に変換してフレーム解析部11に出力する。
フレーム解析部11は、通信フレームのフレームコードフィールドに格納されたフレームコードに基づいて、通信フレームがデータフレームであるのか起動フレームであるのかを識別する。フレームコードがデータフレームであることを示す「00」の場合、フレーム解析部11は、データフレームを上位インターフェース部12を介して上位レイヤ処理部に出力する。
フレームコードが起動フレームであることを示す「01」の場合、フレーム解析部11は、起動フレームを制御部19に出力する。起動フレームを受けると、すなわち起動信号を受信すると(ステップS207,Yes)、制御部19は、受信待ち期間計測タイマ16を停止させて受信待ち時間の計測を停止し、自己の状態を省電力状態から通常電力状態に移行して処理を終了する。
一方、キャリアを検出したが受信した通信フレームが起動フレームではなかった場合(ステップS207,No)、または受信待ち期間計測タイマ16によって受信待ち期間T2の計測が完了した場合(ステップS206,Yes)、制御部19は、ステップS200の電源回路20を制御して受信回路10や送信回路14など通信フレームの送受信に関わる構成要素への電力の供給を停止する動作に戻って、受信停止時間計測タイマ15を起動して受信停止時間T1の計測を開始させ、受信停止時間T1が経過した後に電源回路20を制御して、受信回路10など通信フレームの受信に関する構成要素への電力の供給を開始し、受信待ち期間計測タイマ16に受信待ち期間T2の計測を開始させる動作を、起動フレームを受信するまで繰り返す(ステップS200〜S207)。
つぎに、図6および図7を用いてこの実施の形態1の通信装置1を適用した無線通信システムの動作について説明する。まず、図6は、この実施の形態1の通信装置1を適用した無線通信システムにおける間欠受信と起動信号送信とのタイミングを示す図である。図6においては、通信装置1−1は、先の図5のフローチャートを参照して説明した省電力状態処理によって受信待ち時間T2と受信停止時間T1とを繰り返して間欠受信を行っている。一方、通信装置1−2は、親通信装置であり先の図4のフローチャートを参照して説明した通信装置起動処理によって、起動信号を起動信号送信間隔T4でN回送信している。
ここで、起動信号の送信にかかる時間(起動信号の送信期間となる送信時間)をT3とし、リトライ回数閾値(リトライ回数)をN、起動信号送信間隔をT4とする。この通信システムにおいては、N回のレトライ中に、親通信装置以外の他の通信装置が受信待ち期間T2中に起動信号を受信することができるように、受信停止期間T1、受信待ち期間T2、起動信号の送信時間T3、起動信号の送信間隔T4および起動信号の送信回数Nのうちの少なくとも一つのパラメータを決定するようにしている。
具体的には、リトライ回数閾値(リトライ回数)N、受信停止時間T1、受信待ち時間T2、起動信号の送信時間T3、および起動信号送信間隔T4との関係を、下記の(式1)〜(式3)すべてが成り立つように設定する。
N≧(T1+T2)/|(T1+T2)−(T3+T4)| ・・・ (式1)
T2≧|(T1+T2)−(T3+T4)| ・・・ (式2)
T2≧T3 ・・・ (式3)
通信装置1−2が時間T3の起動信号を1回送信するごとに、通信装置1−1の受信待ち期間T2の開始時刻と、通信装置1−2による起動信号の送信開始時刻との時間差ΔT(1回目の送信による通信装置1−1の受信待ち期間T2の開始時刻と通信装置1−2による起動信号の送信開始時刻との時間差ΔT1〜N回目の送信による通信装置1−1の受信待ち期間T2の開始時刻と通信装置1−2による起動信号の送信開始時刻との時間差ΔTNを示す)は、「(T1+T2)−(T3+T4)」ずつ増加、または減少する。したがって、通信装置1−1と通信装置1−2とが非同期で動作しているため、通信装置1−2による1回目の起動信号送信時点における通信装置1−1の受信待ち開始との時間差はランダムであるが、通信装置1−2が起動信号を「(T1+T2)/|(T1+T2)−(T3+T4)|」回送信する間に、必ず通信装置1−1の受信待ち時間T2内に起動信号が送信されることになる。
図6においては、通信装置1−2が1回目と2回目に送信した起動信号は、通信装置1−1の受信停止時間T1ないであり通信装置1−1は起動信号を受信することはできないが、通信装置1−2が3回目に送信した起動信号は、通信装置1−1の受信待ち時間T2ないとなるので、通信装置1−1はこの3回目に送信された起動信号を受信して省電力状態から通常電力状態に切り替わる。
図7は、この実施の形態1の通信装置1を適用した無線通信システムにおける間欠受信と起動信号送信とのタイミングを示す図であり、複数の通信装置1が省電力状態で間欠受信を行っている例を示している。図7においては、通信装置1−1〜1−3が省電力状態による間欠受信で動作しており、通信装置1−4が親通信装置として動作している。通信装置1−1〜1−3は、それぞれ非同期に間欠受信を行っているため、異なるタイミングで受信待ちとなる。このような場合も、先の図5を参照して説明した間欠受信を行っている通信装置1が1台の場合と同様に、通信装置1−1〜1−3の受信待ち期間T2の開始時刻と、通信装置1−3による起動信号の送信開始時刻との時間差は、「(T1+T2)−(T3+T4)」ずつ増加、または減少する。したがって、通信装置1−4が、N回起動信号を送信する間に、通信装置1−1〜1−3は必ず起動信号を受信可能となる。
図7においては、通信装置1ー4が1回目に送信した起動信号は、通信装置1ー1〜1−3の受信停止時間T1内であるため、通信装置1−1〜1−3は起動信号を受信することはできないが、通信装置1−4が2回目に送信した起動信号は、通信装置1ー2の受信待ち時間T2内であるため、通信装置1−2は、2回目の起動信号によって省電力状態から通常電力状態に切り替わる。また、通信装置1−4が3回目に送信した起動信号は、通信装置1−1の受信待ち時間T2内であるため、通信装置1−1は、3回目の起動信号によって省電力状態から通常電力状態に切り替わる。そして、通信装置1−4がN回目に送信した起動信号は、通信装置1−3の受信待ち時間T2内であるため、通信装置1−3は、N回目の起動信号によって省電力状態から通常電力状態に切り替わる。
以上説明したように、この実施の形態1においては、N回のレトライ中に、親通信装置以外の他の通信装置が受信待ち期間T2中に起動信号を受信することができるように、受信停止期間T1、受信待ち期間T2、起動信号の送信時間T3、起動信号の送信間隔T4および起動信号の送信回数Nのうちの少なくとも一つのパラメータを決定するようにしているので、送信する親通信装置として動作する通信装置1が間欠受信のタイミングを規定する信号を送信することなく、かつ間欠受信を行っている通信装置1の受信タイミングを親通信装置として動作する通信装置1が送信する起動信号の送信タイミングに同期させる回路を用いることなく間欠受信を行って消費電力を低減することができる。具体的には、通信装置1の制御部19は、電源回路20から受信部5を含む受信処理に関する構成要素への電力の供給を停止させて無線信号の受信を不可とする受信停止期間T1と、電源回路20から受信部5を含む受信処理に関する構成要素へ電力を供給させて無線信号の受信を可能とする受信待ち期間T2とを繰り返す間欠受信動作を制御するとともに、受信待ち期間T2の間に起動信号を受信した場合には、間欠受信を行う省電力状態から常にキャリアセンスを行って無線信号を受信待ちする通常受信を行う通常電力状態に切り替える。一方、通信装置1のなかで親通信装置として動作する通信装置1の制御部19は、間欠受信を行う省電力状態から通常受信を行う通常電力状態に切り替えるための送信時間T3の起動信号を、起動信号送信間隔T4間隔毎にN回送信するさいに、間欠受信動作から通常受信動作に切り替えるための送信時間T3の起動信号を、起動信号送信間隔T4間隔毎にN回送信する機能をさらに備え、
N≧(T1+T2)/|(T1+T2)−(T3+T4)|
T2≧|(T1+T2)−(T3+T4)
T2≧T3
の3つの条件がすべて成立する起動信号送信間隔T4で起動信号をN回送信するようにしているため、送信する親通信装置として動作する通信装置1が間欠受信のタイミングを規定する信号を送信することなく、かつ間欠受信を行っている通信装置1の受信タイミングを親通信装置として動作する通信装置1が送信する起動信号の送信タイミングに同期させる回路を用いることなく間欠受信を行って消費電力を低減することができる。
実施の形態2.
図8および図9を用いてこの発明の実施の形態2を説明する。先の実施の形態1では、起動信号を一定の間隔でN回繰り返して送信するようにした場合について説明したが、この実施の形態2では、起動信号をN回繰り返して送信する間に、他の通信装置1からの通信フレームを受信した際にはそれまでの送信回数に依存することなく、再度起動信号をN回送信するものである。
この実施の形態2の無線通信システムは、先の図1に示した実施の形態1の無線通信システムと同じであるので、ここではその説明を省略する。また、この実施の形態2の無線通信システムの通信装置1は、先の図3に示した通信装置1の構成と同じであるが、親通信装置1として動作する際の通信装置起動処理の動作が異なる。その他のデータフレーム送信処理、通常電力状態通信フレーム受信処理、および省電力処理は、先の実施の形態1で説明した動作と同じであるので、ここではその説明を省略し、図8のフローチャートを参照して、通信装置起動処理の動作のみを説明する。なお、先の図4のフローチャートを参照して説明した実施の形態1の通信装置1の通信装置起動処理と同じ動作には同一ステップを付し、その詳細な説明は省略する。
制御部19は、起動信号送信リトライカウンタ18をリセットし(ステップS100)、起動信号を送信した後に(ステップS101)、起動信号送信リトライカウンタ18のカウント値nをカウントアップする(ステップS102)。制御部19は、起動信号送信リトライカウンタ18のカウント値nと予め定められたリトライ回数閾値Nとを比較し(ステップS103)、起動信号送信リトライカウンタ18のカウント値nがリトライ回数閾値Nより小さい場合には(ステップS103,No)、起動信号送信間隔計測タイマ17に起動信号送信間隔T4の計測を開始させる(ステップS104)。
一方、受信回路10は、この通信装置起動処理を実行中もキャリアセンスを行い、キャリアを検出した際には通信フレームを受信する。制御部19は、起動信号送信間隔T4の間、すなわち起動信号送信間隔計測タイマ17による起動信号送信間隔T4の計測が完了するまでの間に、他の通信装置1が送信した通信フレームを受信したか、すなわち受信回路10が信号を受信したか否かを判定する(ステップS300)。
具体的には、フレーム解析部11は、復調器104から入力される通信フレームのフレームコードフィールドに格納されたフレームコードに依存することなく、通信フレームを受信した旨を制御部19に通知する。制御部19は、この通知によって信号を受信したことを認識し、起動信号送信間隔計測タイマ17が起動信号送信間隔T4の計測中に通知を受けた場合には他の通信装置1からの信号を受信したと判定する。
他の通信装置1からの信号を受信することなく(ステップS300,No)起動信号送信間隔T4の計測が完了した場合(ステップS105,Yes)、制御部19は、ステップS101に戻って起動信号を送信し、起動信号送信リトライカウンタ18のカウント値nをカウントアップし、起動信号送信リトライカウンタ18のカウント値nとリトライ回数閾値Nとを比較し、起動信号送信間隔計測タイマ17を起動する動作を、起動信号送信リトライカウンタ18のカウント値nがリトライ回数閾値N以上になるか、起動信号送信間隔T4の間に他の通信装置1からの信号を受信するまで繰り返す。
一方、起動信号送信間隔T4の計測中に他の通信装置1からの信号を受信した場合(ステップS300,Yes)、制御部19は、ステップS100に戻って起動信号送信リトライカウンタ18のカウント値をリセットし、起動信号を送信し、起動信号送信リトライカウンタ18のカウント値nをカウントアップし、起動信号送信リトライカウンタ18のカウント値nとリトライ回数閾値Nとを比較し、起動信号送信間隔計測タイマ17を起動する動作を、起動信号送信リトライカウンタ18のカウント値nがリトライ回数閾値N以上になるか、起動信号送信間隔T4の間に他の通信装置1からの信号を受信するまで繰り返す。
このように、この実施の形態2の通信装置1の通信装置起動処理では、起動信号送信間隔T4の間に他の通信装置1からの信号を受信した場合には、起動信号送信リトライカウンタ18のカウント値nをリセットして、通信装置起動処理を最初からやり直す。
つぎに、図9を用いてこの実施の形態2の通信装置1を適用した無線通信システムの動作について説明する。図9は、この実施の形態2の通信装置1を適用した無線通信システムにおける間欠受信と起動信号送信とのタイミングを示す図である。図9においては、通信装置1−1が省電力状態による間欠受信で動作しており、通信装置1−2が親通信装置として動作しており、通信装置1−3と通信装置1−4とは通常電力状態であり、通信装置1−4がデータフレームを送信し、通信装置1−3がデータフレームを受信している。
親通信装置として動作する通信装置1−2は、起動信号をN回送信し終える前(この場合は2回目の送信を終了し3回目の送信までの起動信号送信間隔T4の計測中)に通信装置1−4が送信したデータ信号を受信したため、起動信号送信リトライカウンタ18のカウント値nをリセットして、通信装置1−4が送信したデータ信号を受信する前に送信した起動信号の回数に関わらず、通信装置1−4が送信したデータ信号を受信した後に最初に送信した起動信号を1回目として再度N回起動信号を起動信号送信間隔T4毎に送信する。
以上説明したように、この実施の形態2においては、親通信装置として動作する通信装置1の制御部19は、起動信号送信間隔T4の間に、他の通信装置1が送信した無線信号を検出した場合には、他の通信装置1が送信した無線信号を検出した後に最初に送信する起動信号を1回目として、他の通信装置が送信した無線信号を検出した後に起動信号をN回送信するようにしているため、メッシュ型のネットワークのように無線通信システム内の通信装置1が相互に独立した通信を行う無線通信システムであっても、他の通信装置1の通信により阻害されることなく起動信号によって間欠受信中の通信装置1の間欠受信を終了させ、省電力状態から通常電力状態に切り替えることができる。
また、親通信装置としで動作する通信装置1が、起動信号送信間隔T4の間に他の通信装置1からの無線信号を受信可能にしているため、N回の起動信号の送信動作中であっても、起動信号送信間隔T4においては他の通信装置1との通信が可能となり、起動信号の送信動作によるスループットの低下を抑制することができる。
実施の形態3.
図10〜図12を用いてこの発明の実施の形態3を説明する。先の実施の形態1および実施の形態2では、他の通信装置1を省電力状態から通常電力状態に切り替える場合には、必ず起動信号を一定の間隔でN回送信するようにしたが、他の通信装置1が起動信号を受信して省電力状態から通常電力状態に切り替えた場合には、起動信号をN回の送信することなく通信装置起動処理を終了するものである。
この実施の形態3の無線通信システムは、先の図1に示した実施の形態1の無線通信システムと同じであるので、ここではその説明を省略する。また、この実施の形態2の無線通信システムの通信装置1は、先の図3に示した通信装置1の構成と同じであるが、通信フレームとして、応答フレームが追加される。ここで、応答フレームとは、起動信号を受信して省電力状態から通常電力状態に切り替えた通信装置1が、その旨を親通信装置として動作する通信装置1に通知するフレームである。応答フレームは、先の図2に示した起動フレームと同様に、プリアンブルフィールドと、同期コードフィールドと、フレームコードフィールドとで構成され、応答フレームであることを示すフレームコードは「10」である。
フレーム解析部11は、先の実施の形態1のフレーム解析部11の機能に加えて、通信フレームのフレームコードフィールドにフレームコード「10」が格納されている場合には、応答フレームを受信した旨を制御部19に通知する機能を有する。
フレーム生成部13は、先の実施の形態1のフレーム生成部13の機能に加えて、制御部19から応答フレームを送信する指示を受けると、プリアンブルフィールドにプリアンブルコードを格納し、同期コードフィールドに同期コードパタンを格納し、フレームコードフィールドに応答フレームであることを示すフレームコード「10」を格納する機能を有する。
つぎに、この実施の形態3の通信装置1の動作を説明する。なお、親通信装置1として動作する際の通信装置起動処理の動作と、省電力状態時の省電力処理の動作が異なる。データフレーム送信処理、および通常電力状態通信フレーム受信処理は、先の実施の形態1で説明した動作と同じであるので、ここではその説明を省略する。
まず、図10のフローチャートを参照して、この実施の形態3の通信装置1の省電力処理の動作を説明する。なお、先の図5のフローチャートを参照して説明した実施の形態1の通信装置1の省電力処理と同じ動作には同一ステップを付し、その詳細な説明は省略する。
制御部19は、通常電力状態から省電力状態に移行することを決定すると、電源回路20を制御して受信回路10や送信回路14など通信フレームの送受信に関わる構成要素への電力の供給を停止する(ステップS200)。制御部19は、受信停止時間計測タイマ15を起動して、受信停止期間となる受信停止時間T1の計測を開始させ(ステップS201)、受信停止時間計測タイマ15による受信停止時間T1の計測が完了すると(ステップS202,Yes)、電源回路20を制御して、受信回路10など通信フレームの受信に関する構成要素へ電力を供給し(ステップS203)、受信待ち期間計測タイマ16を起動して、省電力状態においてキャリアセンスを行う受信待ち期間T2の計測を開始させる(ステップS204)。
一方、受信回路10は、先のステップS203において電力が供給されたので、キャリアセンスを行い(ステップS205)、キャリアを検出した際には上述した通信フレーム受信処理の動作と同様の処理を行なう。
フレーム解析部11は、通信フレームのフレームコードフィールドに格納されたフレームコードに基づいて、通信フレームがデータフレームであるのか起動フレームであるのかを識別して、通信フレームがデータフレームであると識別した場合にはデータフレームを上位インターフェース部12を介して上位レイヤ処理部に出力し、通信フレームが起動フレームであると識別した場合には起動フレームを制御部19に出力する。
起動フレームを受けると、すなわち自装置が起動信号を受信すると(ステップS207,Yes)、制御部19は、フレーム生成部13および送信回路14を制御して応答信号を送信する(ステップS400)。具体的には、制御部19は、応答フレームを送信する旨をフレーム生成部13に通知する。フレーム生成部13は、プリアンブルフィールドにプリアンブルパタンを格納し、同期コードフィールドに同期コードパタンを格納し、フレームコードフィールドに当該通信フレームが応答フレームであることを示すフレームコード「10」を格納して送信回路14に出力する。
送信回路14は、上述したデータフレームの送信処理の動作と同様に、変調器141が、起動フレームに変調処理を施し、DAコンバータ142が、変調処理が施された起動フレームをアナログ信号に変換し、送信フィルタ143が、アナログ信号に変換されたデータフレームから不要な周波数成分を除去し、送信アンプ144が、不要な周波数成分が除去されたアナログ信号を増幅してアンテナ2を介して送信する。これにより、無線によって応答信号が送信される。
フレーム生成部13に応答フレームを送信する旨を通知した後、制御部19は、受信待ち期間計測タイマ16を停止させて受信待ち期間の計測を停止し、自装置の状態を省電力状態から通常電力状態に移行して処理を終了する。
このように、この実施の形態3の通信装置1の省電力処理では、起動信号を受信して省電力状態から通常電力状態に状態を切り替える際に、起動信号を受信したこと、すなわち省電力状態から通常電力状態に状態を切り替えることを示す応答信号を送信する。
つぎに、図11のフローチャートを参照して、この実施の形態3の通信装置1の通信装置起動処理の動作を説明する。なお、先の図4のフローチャートを参照して説明した実施の形態1の通信装置1の通信装置起動処理と同じ動作には同一ステップを付し、その詳細な説明は省略する。
制御部19は、起動信号送信リトライカウンタ18をリセットし(ステップS100)、起動信号を送信した後に(ステップS101)、起動信号送信リトライカウンタ18のカウント値nをカウントアップする(ステップS102)。制御部19は、起動信号送信リトライカウンタ18のカウント値nと予め定められたリトライ回数閾値Nとを比較し(ステップS103)、起動信号送信リトライカウンタ18のカウント値nがリトライ回数閾値Nより小さい場合には、起動信号送信間隔計測タイマ17に起動信号送信間隔T4の計測を開始させる(ステップS104)。
一方、受信回路10は、この通信装置起動処理を実行中もキャリアセンスを行い、キャリアを検出した際には無線信号(通信フレーム)を受信する。制御部19は、起動信号送信間隔T4の間、すなわち起動信号送信間隔計測タイマ17による起動信号送信間隔T4の計測が完了するまでの間に、他の通信装置1が送信した応答信号を受信したかを判定する(ステップS500)。
具体的には、フレーム解析部11は、復調器104から入力される通信フレームのフレームコードフィールドに格納されたフレームコードに基づいて応答フレームであるか否かを判定する。フレームコードが応答フレームであると判定した場合、フレーム解析部11は、制御部19に応答フレームを受信した旨を制御部19に通知する。起動信号送信間隔計測タイマ17が起動信号送信間隔T4の計測中に応答フレームを受信した旨の通知を受けた場合に、制御部19は、応答信号を受信したと判定する。
応答信号を受信することなく(ステップS500,No)起動信号送信間隔T4の計測が完了した場合(ステップS105,Yes)、制御部19は、ステップS101に戻って起動信号を送信し、起動信号送信リトライカウンタ18のカウント値nをカウントアップし、起動信号送信リトライカウンタ18のカウント値nとリトライ回数閾値Nとを比較し、起動信号送信間隔計測タイマ17を起動する動作を、起動信号送信リトライカウンタ18のカウント値nがリトライ回数閾値N以上になるか、起動信号送信間隔T4の間に応答信号を受信するまで繰り返す。
一方、起動信号送信リトライカウンタ18のカウント値nがリトライ回数閾値N以上になった場合(ステップS103,Yes)、または起動信号送信間隔T4の計測中に応答信号を受信した場合(ステップS500,Yes)、制御部19は、起動信号送信間隔計測タイマ17を停止して通信装置起動処理を終了する。
このように、実施の形態3の通信装置1の通信装置起動処理では、起動信号を受信したことを示す応答信号を受信した時点で起動信号の送信回数に依存することなく通信装置起動処理を終了する。
図12は、この実施の形態3の通信装置1を適用した無線通信システムにおける間欠受信と起動信号送信とのタイミングを示す図である。図12においては、通信装置1−1は、先の図10のフローチャートを参照して説明した省電力状態処理によって受信待ち期間T2と受信停止時間T1とを繰り返して間欠受信を行っている。一方、通信装置1−2は、親通信装置であり先の図12のフローチャートを参照して説明した通信装置起動処理によって、起動フレーム(起動信号)を起動信号送信間隔T4で送信している。
図12においては、通信装置1−1は、通信装置1−2が3回目に送信した起動信号を受信して、応答信号を送信する。通信装置1−2は、通信装置1−1が送信した応答信号を受信して起動信号の送信を停止している。
以上説明したように、この実施の形態3においては、間欠受信動作を行っている低電力状態の通信装置1の制御部19は、受信待ち期間T2の間に起動信号を受信した場合には間欠受信動作を行う省電力状態から通常受信動作を行う通常電力状態に切り替えたことを通知する応答信号を送信し、親通信装置として動作する通信装置1の制御部19は、応答信号を受信した場合には、起動信号の送信回数に依存することなく起動信号の送信を停止すようにしているため、不要な起動信号の送受信を行うことがなくなり、消費電力を抑制するとともに、起動信号によるスループットの低下を抑制することができる。
実施の形態4.
図13〜図16を用いてこの発明の実施の形態4を説明する。先の実施の形態1〜3では、起動信号を受信すると、すべての省電力状態の通信装置1が省電力状態から通常電力状態に切り替わったが、この実施の形態4では、省電力状態から通常電力状態に切り替わる通信装置1の種別を限定するものである。
この実施の形態4の無線通信システムは、先の図1に示した実施の形態1の通信装置1の代わりに通信装置1aを備えている。
図13は、この実施の形態4の通信装置1aの構成を示すブロック図である。図13に示したこの実施の形態4の通信装置1aは、先の図3に示した実施の形態1の通信装置1に装置種別コード記憶部21が追加されている。先の図3に示した実施の形態1の通信装置1と同じ機能を持つ構成要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
装置種別コード記憶部21は、自己の装置種別を識別するための識別子である装置種別コードを記憶する。装置種別コードは、予め設定されており、たとえば、センサや照明、空調機、携帯端末などの装置種別を識別するための識別子である。ここでは、通信装置1aがセンサの場合には装置種別コード記憶部21はセンサを示す装置種別コード「00」を記憶し、通信装置1aが照明の場合には装置種別コード記憶部21は照明を示す装置種別コード「01」を記憶し、通信装置1aが空調機の場合には装置種別コード記憶部21は空調機を示す装置種別コード「10」を記憶し、通信装置1aが携帯端末の場合には装置種別コード記憶部21は携帯端末を示す装置種別コード「11」を記憶する。なお、装置種別コードはこれに限るものではない。
図14は、通信装置1aが用いる通信フレームのフォーマットを示す図である。図14に示した通信フレームは、先の図2に示した通信装置1が用いる通信フレームのフレームコードフィールドの後ろに、装置種別コードフィールドを備えている。
すなわち、通信装置1aが用いる起動フレームは、プリアンブルフィールド、同期コードフィールド、フレームコードフィールド、および装置種別コードフィールドで構成され、データフレームは、プリアンブルフィールド、同期コードフィールド、フレームコードフィールド、装置種別コードフィールド、ヘッダフィールド、およびデータフィールドで構成される。装置種別コードフィールドには、起動フレームによって省電力状態から通常電力状態に切り替える通信装置1aの装置種別を示す装置種別コードが格納される。
つぎに、この実施の形態4の通信装置1aの動作について説明する。なお、この実施の形態4の通信装置1aのデータフレーム送信処理、および通常電力状態通信フレーム受信処理は、先の実施の形態1とほぼ同じである。相違点は、データフレーム送信処理においては、フレーム生成部13がデータフレームを生成する際に装置種別コードフィールドに所定のコードを格納し、通常電力状態通信フレーム受信処理においては、フレーム解析部11が通信フレームに装置種別コードフィールドが存在することを認識して通信フレームの解析を行うことであるが、装置種別コードフィールドに格納される装置種別コードは、データフレームの送受信時には特に意識する必要がないため、ここではその説明を省略する。
つぎに、この実施の形態4の通信装置1aの通信装置起動処理の動作について説明する。この実施の形態4の通信装置1aの通信装置起動処理の動作は、先の図4のフローチャートを参照して説明した実施の形態1の通信装置1の通信装置起動処理の動作と同じであるが、起動フレームのフォーマットが異なるため、図4のフローチャートのステップS101の起動信号送信処理、すなわち、制御部19が、フレーム生成部13および送信回路14を制御して起動信号を送信する動作における起動フレームの生成の処理のみが異なる。
この実施の形態4の通信装置1aの起動信号送信処理では、制御部19は、起動フレームを送信する旨をフレーム生成部13に通知する際に、対象となる(省電力状態から通常電力状態に切り替えるべき)通信装置1aの装置種別を示す装置種別コードも通知する。
フレーム生成部13は、プリアンブルにプリアンブルパタンを格納し、同期コードフィールドに同期コードパタンを格納し、フレームコードフィールドに起動フレームであることを示すフレームコード「01」を格納し、装置種別コードフィールドに制御部19から通知された装置種別コードを格納して起動フレームを生成する。フレーム生成部13は、生成した起動フレームを送信回路14に出力する。
送信回路14は、上述したデータフレーム送信処理の動作と同様に、変調器141が、起動フレームに変調処理を施し、DAコンバータ142が、変調処理が施された起動フレームをアナログ信号に変換し、送信フィルタ143が、アナログ信号に変換されたデータフレームから不要な周波数成分を除去し、送信アンプ144が、不要な周波数成分が除去されたアナログ信号を増幅してアンテナ2を介して送信する。これにより、無線によって起動フレームが送信される。
つぎに、図15のフローチャートを参照して、この実施の形態4の通信装置1aの省電力処理の動作を説明する。なお、先の図5のフローチャートを参照して説明した実施の形態1の通信装置1の省電力処理と同じ動作には同一ステップを付し、その詳細な説明は省略する。
制御部19は、通常電力状態から省電力状態に移行することを決定すると、電源回路20を制御して受信回路10や送信回路14など通信フレームの送受信に関わる構成要素への電力の供給を停止する(ステップS200)。制御部19は、受信停止時間計測タイマ15を起動して、受信停止期間となる受信停止時間T1の計測を開始させ(ステップS201)、受信停止時間計測タイマ15による受信停止時間T1の計測が完了すると(ステップS202,Yes)、電源回路20を制御して、受信回路10など通信フレームの受信に関する構成要素への電力の供給し(ステップS203)、受信待ち期間計測タイマ16を起動して、省電力状態においてキャリアセンスを行う受信待ち期間T2の計測を開始させる(ステップS204)。
一方、受信回路10は、先のステップS203において電力が供給されたので、キャリアセンスを行ってキャリアを検出した際には上述した通信フレーム受信処理の動作と同様の処理を行なう。
フレーム解析部11は、通信フレームのフレームコードフィールドに格納されたフレームコードに基づいて、通信フレームがデータフレームであるのか起動フレームであるのかを識別して、通信フレームがデータフレームであると識別した場合にはデータフレームを上位インターフェース部12を介して上位レイヤ処理部に出力し、通信フレームが起動フレームであると識別した場合には起動フレームを制御部19に出力する。
起動フレームを受けると、すなわち自己が起動信号を受信すると(ステップS500,Yes)、制御部19は、起動フレームが示す装置種別コードと自己の装置種別コードとが一致するか否かを判定する(ステップ501)。具体的には、制御部19は、起動フレームの装置種別コードフィールドに格納された装置種別コードを抽出する。制御部19は、装置種別コード記憶部21に記憶された装置種別コードを読み出す。制御部19は、起動フレームから抽出した装置種別コードと、装置種別コード記憶部21から読み出した装置種別コードとが一致するか否かを判定する。
起動フレームが示す装置種別コードと自己の装置種別コードとが一致した場合(ステップS501,Yes)、制御部19は、受信待ち期間計測タイマ16を停止させて受信待ち期間の計測を停止し、自装置の状態を省電力状態から通常電力状態に移行して処理を終了する。
起動フレームが示す装置種別コードと自己の装置種別コードとが不一致の場合ステップS501,NO)、または、受信待ち期間計測タイマ16によって受信待ち期間T2の計測が完了した場合(ステップS206,Yes)、制御部19は、ステップS200の電源回路20を制御して受信回路10や送信回路14など通信フレームの送受信に関わる構成要素への電力の供給を停止する動作に戻って、受信停止時間計測タイマ15を起動して受信停止時間T1の計測を開始させ、受信停止時間T1が経過した後に電源回路20を制御して、受信回路10など通信フレームの受信に関する構成要素への電力の供給を開始し、受信待ち期間計測タイマ16に受信待ち期間T2の計測を開始させる動作を、起動フレームが示す装置種別コードと自己の装置種別コードとが一致する起動フレームを受信するまで繰り返す(ステップS200〜S204,S206,S500,S501)。
このように、この実施の形態4の通信装置1aの省電力処理では、自己の装置種別コードと一致する装置種別コードを含む起動フレームを受信した場合のみ、省電力状態から通常電力状態に切り替える。
つぎに、図16を用いてこの実施の形態4の通信装置1aを適用した無線通信システムの動作について説明する。図16は、この実施の形態4の通信装置1aを適用した無線通信システムにおける間欠受信と起動信号送信とのタイミングを示す図である。図16においては、通信装置1−1〜1−3が先の図15のフローチャートを参照して説明した省電力処理による間欠受信で動作しており、通信装置1−4が親通信装置として動作している。
通信装置1−2は、通信装置1−4が2回目に送信した起動信号を受信し、受信した起動信号に含まれる装置種別コードと自己の装置種別コードとが一致したために省電力状態から通常電力状態に切り替わり、省電力状態が終了する。
通信装置1−1と通信装置1−3は、通信装置1−4が3回目に送信した起動信号を受信する。通信装置1−1は、受信した起動信号に含まれる装置種別コードと自己の装置種別コードとが一致したために省電力状態から通常電力状態に切り替わり、省電力状態が終了する。
一方、通信装置1−3は、受信した起動信号に含まれる装置種別コードと自己の装置種別コードとが不一致であるので省電力状態から通常電力状態に切り替わることなく、省電力状態が継続する。
以上説明したように、この実施の形態4においては、親通信装置として動作する通信装置1aの制御部19が、間欠受信動作を行う省電力状態から通常受信動作を行う通常電力状態に切り替える対象となる通信装置1aの種別を示す識別子である装置種別コードを含んだ起動信号を送信し、省電力状態の通信装置1aの制御部19は、受信した起動信号に含まれる装置種別コードと予め装置種別コード記憶部21が記憶している自己の装置種別コードとが一致した場合に、間欠受信動作を行う省電力状態から通常受信動作を行う通常電力状態に切り替えるようにしているため、起動信号によって通常電力状態に切り替える通信装置1aを装置種別で限定することが可能となり、通常電力状態に切り替わる必要のない通信装置1aについては省電力状態を継続させて不要な電力の消費を抑制することができる。
なお、この実施の形態4では、先の実施の形態1の通信装置1の省電力処理の動作において、受信した起動信号に含まれる装置種別コードと自己の装置種別コードとが一致した場合に省電力所帯から通常電力状態に切り替わる場合を例に挙げて説明したが、先の実施の形態2の通信装置1のように親通信装置として動作する通信装置1aが他の通信装置1aの信号を受信するようにしてもよいし、先の実施の形態3の通信装置1のように親通信装置として動作する通信装置1aが応答信号を受信すると起動信号の再送を停止するようにしてもよい。
具体的には、先の実施の形態2のように親通信装置として動作する通信装置1aが他の通信装置1aを受信する場合には、先の図8のフローチャートを参照して説明した実施の形態2の通信装置起動処理のステップS101の起動信号送信処理の代わりに、この実施の形態4の通信装置起動処理の起動信号送信処理を実行すればよい。
これにより、起動信号によって通常電力状態に切り替える通信装置1aを装置種別で限定することが可能となり、通常電力状態に切り替わる必要のない通信装置1aについては省電力状態を継続させて不要な電力の消費を抑制するとともに、メッシュ型のネットワークのように無線通信システム内の通信装置1aが相互に独立した通信を行う無線通信システムであっても、他の通信装置1aの通信により阻害されることなく起動信号によって間欠受信中の通信装置1aの間欠受信を終了させ、省電力状態から通常電力状態に切り替えることができる。
また、N回の起動信号の送信動作中であっても、起動信号送信間隔T4においては他の通信装置1aとの通信が可能となり、起動信号の送信動作によるスループットの低下を抑制することができる。
また、先の実施の形態3のように親通信装置として動作する通信装置1aが応答信号を受信すると起動信号の再送を停止する場合には、親通信装置として動作する通信装置1aは、先の図11のフローチャートを参照して説明した実施の形態3の通信装置起動処理のステップS101の起動信号送信処理の代わりに、この実施の形態4の通信装置起動処理の起動信号送信処理を実行すればよい。
一方、省電力状態で動作する通信装置1aは、先の図10のフローチャートを参照して説明した実施の形態3の省電力処理において、ステップS207の起動信号を受信したか否かの判定と、ステップS400の応答信号送信処理との間に、先の図15のフローチャートを参照して説明したステップS501の装置種別コード識別処理を行なえばよい。
より具体的には、起動信号を受信したと判定すると(図10のステップS207,Yes)、制御部19は、起動フレームが示す装置種別コードと自己の装置種別コードとが一致するか否かを判定する。起動フレームが示す装置種別コードと自己の装置種別コードとが一致した場合、制御部19は、フレーム生成部13および送信回路14を制御して応答信号を送信し、受信待ち期間計測タイマ16を停止させて受信待ち期間の計測を停止し、自装置の状態を省電力状態から通常電力状態に移行して処理を終了する。
一方、起動フレームが示す装置種別コードと自己の装置種別コードとが不一致の場合、制御部19は、受信待ち期間計測タイマ16を停止させて受信待ち期間の計測を停止し、図10のステップS200の電源回路20を制御して受信回路10や送信回路14など通信フレームの送受信に関わる構成要素への電力の供給を停止する動作に戻る。
これにより、不要な起動信号の送受信を行うことがなくなり、消費電力を抑制するとともに、起動信号によるスループットの低下を抑制することができる。
実施の形態5.
図17〜図19を用いてこの発明の実施の形態5を説明する。先の実施の形態4では、省電力状態から通常電力状態に切り替わる通信装置1aの装置種別を限定して、必要な通信装置1aのみを省電力状態から通常電力状態に切り替えるようにしたが、この実施の形態5では、予め通信装置をグループ化しておき、省電力状態から通常電力状態に切り替える通信装置1をグループで限定するものである。
この実施の形態5の無線通信システムは、先の図1に示した実施の形態1の通信装置1の代わりに通信装置1bを備えている。図17は、この実施の形態5の通信装置1bの構成を示すブロック図である。図17に示したこの実施の形態5の通信装置1bは、先の図13に示した実施の形態4の通信装置1aの装置種別コード記憶部21の代わりにグループコード記憶部22を備えている。先の図13に示した実施の形態4の通信装置1aと同じ機能を持つ構成部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
グループコード記憶部22は、自己が属するグループを識別するための識別子であるグループコードを記憶する。グループコードは、予め定められており、たとえば、全グループを示すグループコードを「00」とし、自己がグループ1に属する場合にはグループコード記憶部22はグループコード「01」を記憶し、自己がグループ2に属する場合にはグループコード記憶部22はグループコード「10」を記憶し、自己がグループ3に属する場合にはグループコード記憶部22はグループコード「11」を記憶する。なお、グループコードはこれに限るものではない。
図18は、通信装置1bが用いる通信フレームのフォーマットを示す図である。図18に示した通信フレームは、先の図14に示した実施の形態4の通信装置1aが用いる通信フレームの装置種別コードフィールドの代わりに、起動フレームによって省電力状態から通常電力状態に切り替える通信装置1bの装置種別を示すグループコードが格納されるグループコードフィールドを備えている。
つぎに、この実施の形態5の通信装置1bの動作について説明する。なお、この実施の形態5の通信装置1bのデータフレーム送信処理、および通常電力状態通信フレーム受信処理は、先の実施の形態1とほぼ同じである。相違点は、データフレーム送信処理においては、フレーム生成部13がデータフレームを生成する際にグループコードフィールドに所定のコードを格納し、通常電力状態通信フレーム受信処理においては、フレーム解析部11が通信フレームにグループコードフィールドが存在することを認識して通信フレームの解析を行うことであるが、グループコードフィールドに格納されるグループコードは、データフレームの送受信時には特に意識する必要がないため、ここではその説明を省略する。
つぎに、この実施の形態5の通信装置1bの通信装置起動処理の動作について説明する。この実施の形態5の通信装置1bの通信装置起動処理の動作は、先の実施の形態4の通信装置1aとほぼ同じであり、相違点は、先の実施の形態4の通信装置1aが起動フレームの装置種別コードフィールドに対象となる装置種別コードを格納したのに対して、この実施の形態5の通信装置1aでは起動フレームのグループコードフィールドに対象となるグループコードを格納することであるので、ここではその説明を省略する。
つぎに、図19のフローチャートを参照して、この実施の形態5の通信装置1bの省電力処理の動作を説明する。なお、先の図5のフローチャートを参照して説明した実施の形態1の通信装置1の省電力処理と同じ動作には同一ステップを付し、その詳細な説明は省略する。
制御部19は、通常電力状態から省電力状態に移行することを決定すると、電源回路20を制御して受信回路10や送信回路14など通信フレームの送受信に関わる構成要素への電力の供給を停止する(ステップS200)。制御部19は、受信停止時間計測タイマ15を起動して、受信停止期間となる受信停止時間T1の計測を開始させ(ステップS201)、受信停止時間計測タイマ15による受信停止時間T1の計測が完了すると(ステップS202,Yes)、電源回路20を制御して、受信回路10など通信フレームの受信に関する構成要素への電力の供給し(ステップS203)、受信待ち期間計測タイマ16を起動して、省電力状態においてキャリアセンスを行う受信待ち期間T2の計測を開始させる(ステップS204)。
一方、受信回路10は、先のステップS203において電力が供給されたので、キャリアセンスを行ってキャリアを検出した際には上述した通信フレーム受信処理の動作と同様の処理を行なう。
フレーム解析部11は、通信フレームのフレームコードフィールドに格納されたフレームコードに基づいて、通信フレームがデータフレームであるのか起動フレームであるのかを識別して、通信フレームがデータフレームであると識別した場合にはデータフレームを上位インターフェース部12を介して上位レイヤ処理部に出力し、通信フレームが起動フレームであると識別した場合には起動フレームを制御部19に出力する。
起動フレームを受けると、すなわち自装置が起動信号を受信すると(ステップS600,Yes)、制御部19は、起動フレームが示すグループコードと自己の装置種別コードとが一致するか否かを判定する(ステップ601)。具体的には、制御部19は、起動フレームのグループコードフィールドに格納されたグループコードを抽出する。制御部19は、グループコード記憶部22に記憶された装置種別コードを読み出す。制御部19は、起動フレームから抽出した装置種別コードと、グループコード記憶部22から読み出したグループコードとが一致するか否かを判定する。
起動フレームが示すグループコードと自己のグループコードとが一致した場合(ステップS601,Yes)、制御部19は、受信待ち期間計測タイマ16を停止させて受信待ち期間の計測を停止し、自装置の状態を省電力状態から通常電力状態に移行して処理を終了する。
起動フレームが示すグループコードと自己のグループコードとが不一致の場合ステップS601,No)、または、受信待ち期間計測タイマ16によって受信待ち期間T2の計測が完了した場合(ステップS206,Yes)、制御部19は、ステップS200の電源回路20を制御して受信回路10や送信回路14など通信フレームの送受信に関わる構成要素への電力の供給を停止する動作に戻って、受信停止時間計測タイマ15を起動して受信停止時間T1の計測を開始させ、受信停止時間T1が経過した後に電源回路20を制御して、受信回路10など通信フレームの受信に関する構成要素への電力の供給を開始し、受信待ち期間計測タイマ16に受信待ち期間T2の計測を開始させる動作を、起動フレームが示すグループコードと自己のグループコードとが一致する起動フレームを受信するまで繰り返す(ステップS200〜S204,S206,S600,S601)。
このように、この実施の形態5の通信装置1bの省電力処理では、自己のグループコードと一致するグループコードを含む起動フレームを受信した場合のみ、省電力状態から通常電力状態に切り替える。
以上説明したように、この実施の形態5においては、親通信装置として動作する通信装置1bの制御部19が、間欠受信動作を行う省電力状態から通常受信動作を行う通常電力状態に切り替える対象となる通信装置1bが属するグループを示す識別子であるグループコードを含んだ起動信号を送信し、省電力状態の通信装置1bの制御部19は、受信した起動信号に含まれるグループコードと予めグループコード記憶部22が記憶している自己のグループコードとが一致した場合に、間欠受信動作を行う省電力状態から通常受信動作を行う通常電力状態に切り替えるようにしているため、起動信号によって通常電力状態に切り替える通信装置1bをグループで限定することが可能となり、通常電力状態に切り替わる必要のない通信装置1bについては省電力状態を継続させて不要な電力の消費を抑制することができる。
なお、この実施の形態5では、先の実施の形態1の通信装置1の省電力処理の動作において、受信した起動信号に含まれるグループコードと自己のグループコードとが一致した場合に省電力所帯から通常電力状態に切り替わる場合を例に挙げて説明したが、先の実施の形態2の通信装置1のように親通信装置として動作する通信装置1bが他の通信装置1bの信号を受信するようにしてもよいし、先の実施の形態3の通信装置1のように親通信装置として動作する通信装置1bが応答信号を受信すると起動信号の再送を停止するようにしてもよい。
具体的には、先の実施の形態2のように親通信装置として動作する通信装置1bが他の通信装置1bを受信する場合には、先の図8のフローチャートを参照して説明した実施の形態2の通信装置起動処理のステップS101の起動信号送信処理の代わりに、この実施の形態5の通信装置起動処理の起動信号送信処理を実行すればよい。
これにより、起動信号によって通常電力状態に切り替える通信装置1bを装置種別で限定することが可能となり、通常電力状態に切り替わる必要のない通信装置1bについては省電力状態を継続させて不要な電力の消費を抑制するとともに、メッシュ型のネットワークのように無線通信システム内の通信装置1bが相互に独立した通信を行う無線通信システムであっても、他の通信装置1bの通信により阻害されることなく起動信号によって間欠受信中の通信装置1bの間欠受信を終了させ、省電力状態から通常電力状態に切り替えることができる。
また、先の実施の形態3のように親通信装置として動作する通信装置1bが応答信号を受信すると起動信号の再送を停止する場合には、親通信装置として動作する通信装置1bは、先の図11のフローチャートを参照して説明した実施の形態3の通信装置起動処理のステップS101の起動信号送信処理の代わりに、この実施の形態5の通信装置起動処理の起動信号送信処理を実行すればよい。
一方、省電力状態で動作する通信装置1bは、先の図10のフローチャートを参照して説明した実施の形態3の省電力処理において、ステップS207の起動信号を受信したか否かの判定と、ステップS400の応答信号送信処理との間に、先の図15のフローチャートを参照して説明したステップS601のグループコード識別処理を行なえばよい。
より具体的には、起動信号を受信したと判定すると(図10のステップS207,Yes)、制御部19は、起動フレームが示すグループコードと自己のグループコードとが一致するか否かを判定する。起動フレームが示すグループコードと自己のグループコードとが一致した場合、制御部19は、フレーム生成部13および送信回路14を制御して応答信号を送信し、受信待ち期間計測タイマ16を停止させて受信待ち期間の計測を停止し、自装置の状態を省電力状態から通常電力状態に移行して処理を終了する。
一方、起動フレームが示すグループコードと自己のグループコードとが不一致の場合、制御部19は、受信待ち期間計測タイマ16を停止させて受信待ち期間の計測を停止し、図10のステップS200の電源回路20を制御して受信回路10や送信回路14など通信フレームの送受信に関わる構成要素への電力の供給を停止する動作に戻る。
これにより、不要な起動信号の送受信を行うことがなくなり、消費電力を抑制するとともに、起動信号によるスループットの低下を抑制することができる。
実施の形態6.
図20〜図22を用いてこの発明の実施の形態6を説明する。先の実施の形態4では、省電力状態から通常電力状態に切り替わる通信装置の装置種別を限定し、先の実施の形態5では、省電力状態から通常電力状態に切り替わる通信装置のグループを限定することで、必要な通信装置のみを省電力状態から通常電力状態に切り替えるようにしたが、この実施の形態6では、通信装置を特定するものである。
この実施の形態6の無線通信システムは、先の図1に示した実施の形態1の通信装置1の代わりに通信装置1cを備えている。図20は、この実施の形態6の通信装置1cの構成を示すブロック図である。図20に示したこの実施の形態6の通信装置1cは、先の図13に示した実施の形態4の通信装置1aの装置種別コード記憶部21の代わりに装置コード記憶部23を備えている。先の図13に示した実施の形態4の通信装置1aと同じ機能を持つ構成部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
装置コード記憶部23は、装置を識別するための識別子である装置コードを記憶する。装置コードは、たとえば、通信フレームの宛先や送信元を識別するために用いられる装置固有の識別子である。
図21は、通信装置1cが用いる通信フレームのフォーマットを示す図である。図21に示した通信フレームは、先の図2に示した実施の形態1の通信フレームのフォーマットとほぼ同じであるが、当該通信フレームの宛先となる通信装置1cの装置コードが格納される宛先識別子フィールド、当該通信フレームの送信元となる通信装置1cの装置コードが格納される送信元識別子フィールド、および当該フレームのデータ長が登録されるデータ長からなるヘッダまでを起動フレームとする点が異なる。すなわち、通信装置1cが用いる起動フレームは、プリアンブルフィールド、同期コードフィールド、フレームコードフィールド、およびヘッダフィールドで構成される。
つぎに、この実施の形態6の通信装置1cの動作について説明する。なお、この実施の形態6の通信装置1cのデータフレーム送信処理、および通常電力状態通信フレーム受信処理は、先の実施の形態1とほぼ同じであるので、ここではその説明を省略する。
つぎに、この実施の形態6の通信装置1cの通信装置起動処理の動作について説明する。この実施の形態6の通信装置1cの通信装置起動処理の動作は、先の図11のフローチャートを参照して説明した実施の形態3の通信装置1の通信装置起動処理の動作と同じであるが、起動フレームのフォーマットが異なるため、図11のフローチャートのステップS101の起動信号送信処理、すなわち、制御部19が、フレーム生成部13および送信回路14を制御して起動信号を送信する動作における起動フレームの生成の処理のみが異なる。
この実施の形態6の通信装置1cの起動信号送信処理では、制御部19は、起動フレームを送信する旨をフレーム生成部13に通知する際に、対象となる通信装置1cの装置を特定するための装置コードも通知する。
フレーム生成部13は、プリアンブルにプリアンブルパタンを格納し、同期コードフィールドに同期コードパタンを格納し、フレームコードフィールドに起動フレームであることを示すフレームコード「01」を格納し、宛先識別子フィールドに制御部19から通知された対象となる通信装置1cの装置コードを格納し、送信元識別子フィールドに自己に付与された装置コードを格納し、データ長フィールドに当該起動フレームのデータ長を格納して起動フレームを生成する。フレーム生成部13は、生成した起動フレームを送信回路14に出力する。
送信回路14は、上述したデータフレーム送信処理の動作と同様に、変調器141が、起動フレームに変調処理を施し、DAコンバータ142が、変調処理が施された起動フレームをアナログ信号に変換し、送信フィルタ143が、アナログ信号に変換されたデータフレームから不要な周波数成分を除去し、送信アンプ144が、不要な周波数成分が除去されたアナログ信号を増幅してアンテナ2を介して送信する。これにより、無線によって起動フレームが送信される。
つぎに、図22のフローチャートを参照して、この実施の形態6の通信装置1cの省電力処理の動作を説明する。なお、先の図10のフローチャートを参照して説明した実施の形態3の通信装置1の省電力処理と同じ動作には同一ステップを付し、その詳細な説明は省略する。
制御部19は、通常電力状態から省電力状態に移行することを決定すると、電源回路20を制御して受信回路10や送信回路14など通信フレームの送受信に関わる構成要素への電力の供給を停止する(ステップS200)。制御部19は、受信停止時間計測タイマ15を起動して、受信停止期間となる受信停止時間T1の計測を開始させ(ステップS201)、受信停止時間計測タイマ15による受信停止時間T1の計測が完了すると(ステップS202,Yes)、電源回路20を制御して、受信回路10など通信フレームの受信に関する構成要素への電力の供給し(ステップS203)、受信待ち期間計測タイマ16を起動して、省電力状態においてキャリアセンスを行う受信待ち期間T2の計測を開始させる(ステップS204)。
一方、受信回路10は、先のステップS203において電力が供給されたので、キャリアセンスを行ってキャリアを検出した際には上述した通信フレーム受信処理の動作と同様の処理を行なう。
フレーム解析部11は、通信フレームのフレームコードに格納されたフレームコードに基づいて、通信フレームがデータフレームであるのか起動フレームであるのかを識別して、通信フレームがデータフレームであると識別した場合にはデータフレームを上位インターフェース部12を介して上位レイヤ処理部に出力し、通信フレームであると識別した場合には起動フレームを制御部19に出力する。
起動フレームを受けると、すなわち自己が起動信号を受信すると(ステップS700,Yes)、制御部19は、起動フレームが示す装置コードと自己の装置コードとが一致するか否かを判定する(ステップS701)。具体的には、制御部19は、起動フレームの装置コードフィールドに格納された装置コードを抽出する。制御部19は、装置コード記憶部23に記憶された装置コードを読み出す。制御部19は、起動フレームから抽出した装置コードと、装置コード記憶部23から読み出した装置コードとが一致するか否かを判定する。
起動フレームが示す装置コードと自己の装置コードとが一致した場合(ステップS701,Yes)、制御部19は、フレーム生成部13および送信回路14を制御して応答信号を送信する(ステップS400)。具体的には、制御部19は、応答フレームを送信する旨をフレーム生成部13に通知する。フレーム生成部13は、プリアンブルフィーフィールドにプリアンブルパタンを格納し、同期コードフィールドに同期コードパタンを格納し、フレームコードフィールドに当該通信フレームが応答フレームであることを示すフレームコード「10」を格納し、宛先識別子フィールドに起動フレームの送信元の通信装置1cの装置コードを格納し、送信元識別子フィールドに自己の装置コードを格納し、データ長フィールドに応答フレームのデータ長を格納して送信回路14に出力する。
送信回路14は、上述したデータフレームの送信処理の動作と同様に、変調器141が、起動フレームに変調処理を施し、DAコンバータ142が、変調処理が施された起動フレームをアナログ信号に変換し、送信フィルタ143が、アナログ信号に変換されたデータフレームから不要な周波数成分を除去し、送信アンプ144が、不要な周波数成分が除去されたアナログ信号を増幅してアンテナ2を介して送信する。これにより、無線によって応答信号が送信される。
フレーム生成部13に応答フレームを送信する旨を通知した後、制御部19は、受信待ち期間計測タイマ16を停止させて受信待ち期間の計測を停止し、自装置の状態を省電力状態から通常電力状態に移行して処理を終了する。
一方、起動フレームが示す装置コードと自己の装置コードとが不一致の場合(ステップS701,No)、または受信待ち期間計測タイマ16によって受信待ち期間T2の計測が完了した場合(ステップS206,Yes)、制御部19は、ステップS200の電源回路20を制御して受信回路10や送信回路14など通信フレームの送受信に関わる構成要素への電力の供給を停止する動作に戻って、受信停止時間計測タイマ15を起動して受信停止時間T1の計測を開始させ、受信停止時間T1が経過した後に電源回路20を制御して、受信回路10など通信フレームの受信に関する構成要素への電力の供給を開始し、受信待ち期間計測タイマ16に受信待ち期間T2の計測を開始させる動作を、起動フレームが示す装置コードと自己の装置コードとが一致する起動フレームを受信するまで繰り返す(ステップS200〜S204,S206,S700,S701,S400)。
以上説明したように、この実施の形態6においては、親通信装置として動作する通信装置1cの制御部19が、間欠受信動作を行う省電力状態から通常受信動作を行う通常電力状態に切り替える対象となる通信装置1cを示す識別子である装置コードを含んだ起動信号を送信し、省電力状態の通信装置1cの制御部19は、受信した起動信号に含まれる装置コードと予め装置コード記憶部23が記憶している自己の装置コードとが一致した場合に、間欠受信動作を行う省電力状態から通常受信動作を行う通常電力状態に切り替えるようにしているため、起動信号によって通常電力状態に切り替える通信装置1cを指定することが可能となり、通常電力状態に切り替わる必要のない通信装置1cについては省電力状態を継続させて不要な電力の消費を抑制することができる。
また、この実施の形態6においては、間欠受信動作を行っている低電力状態の通信装置1cの制御部19は、受信待ち期間T2の間に起動信号を受信した場合には間欠受信動作を行う省電力状態から通常受信動作を行う通常電力状態に切り替えたことを通知する応答信号を送信し、親通信装置として動作する通信装置1cの制御部19は、応答信号を受信した場合には、起動信号の送信回数に依存することなく起動信号の送信を停止すようにしているため、不要な起動信号の送受信を行うことがなくなり、消費電力を抑制するとともに、起動信号によるスループットの低下を抑制することができる。
なお、通信装置1cの制御部19は、通信装置起動処理において起動信号送信間隔T4の期間中に他の通信装置1cからの無線信号を受信した場合、起動信号送信リトライカウンタ18をリセットして再度N回起動信号を送信するようにしてもよい。これにより、N回の起動信号の送信動作中であっても、起動信号送信間隔T4においては他の通信装置1aとの通信が可能となり、起動信号の送信動作によるスループットの低下を抑制することができる。
なお、先の実施の形態1〜6の起動信号送信処理を実行する機能は、無線通信システム内のすべての通信装置が備えてもよいし、親通信装置として指定された通信装置のみが備えるようにしてもよい。
また、先の実施の形態1〜6では、起動信号として起動フレームを送信するようにしたが、起動信号はこれに限るものではなく、特定のパターンの無線信号であってもよい。