JP2009175210A - 位相差フィルム付き偏光板の製造方法 - Google Patents

位相差フィルム付き偏光板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高温又は高湿のいずれの条件下においても接着力に優れ、長時間の使用においても着色が少ない位相差フィルム付き偏光板の提供。
【解決手段】[1]下記活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を、偏光フィルム又は位相差フィルムに塗工する工程、[2]前記組成物を塗工した偏光フィルム又は位相差フィルムに、それぞれ位相差フィルム又は偏光フィルムを貼合する工程及び[3]フィルム貼合の後、いずれかの基材の表面から活性エネルギー線を照射する工程を含む位相差フィルム付き偏光板の製造方法。
○(A)ポリエステル骨格又はポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレート、(B)フェニル基中に少なくとも1個の基−C(CH32R(Rはアルキル基又はフェニル基を表す)を有するフェノール化合物、(C)イオウ系酸化防止剤及び(D)前記(A)成分以外のエチレン性不飽和化合物を含む活性エネルギー線硬化型接着剤組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶パネル等の画像表示装置等の製造に有用な位相差フィルム付き偏光板の製造方法に関する。
従来、プラスチックフィルム或いはシート等の薄層被着体同士、又はプラスチックフィルム或いはシート等の薄層被着体とこれと他の素材からなる薄層被着体とを貼り合わせるラミネート法においては、エチレン−酢酸ビニル共重合体やポリウレタン系重合体を含む溶剤型接着剤組成物を第1の薄層被着体に塗布して乾燥させた後、これに第2の薄層被着体をニップ・ローラー等にて圧着するドライラミネート法が主に行われている。
この方法で使用される接着剤組成物は、一般に組成物の塗布量を均一にするため溶剤を多く含むものであるが、このため乾燥時に多量の溶剤蒸気が揮散してしまい、毒性、作業安全性及び環境汚染性が問題となっている。
これらの問題を解決する接着剤組成物として、無溶剤系の接着剤組成物が検討されている。
無溶剤系接着剤組成物としては、2液型接着剤組成物及び紫外線又は電子線等の活性エネルギー線により硬化する接着剤組成物が広く用いられている。
2液型接着剤組成物としては、主に末端に水酸基を有するポリマーを主剤とし、末端にイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物を硬化剤とする、いわゆるポリウレタン系接着剤組成物が用いられている。しかしながら該組成物は、硬化に時間がかかりすぎるという欠点を有する。
これに対して、活性エネルギー線硬化型接着剤組成物は、硬化速度が速いことから生産性に優れ、最近注目されている。
一方、液晶表示装置をはじめとする薄型表示装置は、デジタル時計や各種電化製品における簡単な表示装置はもとより、テレビ、携帯型パソコン、携帯電話及びワープロ等の表示素子として幅広く用いられてきている。近年、当該液晶表示素子に使用される各種光学フィルムの貼り合わせにも、活性エネルギー線硬化型接着剤が使用されてきている。
当該光学フィルムで使用される接着剤組成物には、高温及び高湿条件下における厳しい条件で、その接着力を維持できる性能が要求されている。しかしながら、従来の活性エネルギー線硬化型接着剤組成物の大部分は、初期の接着強度には優れるものの、高温又は高湿条件下で長時間使用し続けると、接着強度が低下して剥がれの原因となったり、吸湿により白化することがあった。
本発明者らは、これまでにガラス転移温度が40℃以上の重合体を組成物に含有するような接着剤(特許文献1)を提案したり、イミド基を有する化合物の使用により高温及び高湿度下における接着性に優れる接着剤(特許文献2)を提案している。
又、本発明者らは、ポリメチルメタクリレート(PMMA)板とフィルムとの接着剤を提案しているが、フィルム同士のラミネート接着剤として用いた場合には、接着強度が不十分なものであった(特許文献3)。
特開2000−072833号公報(特許請求の範囲) 特開2001−064594号公報(特許請求の範囲) 特開2005−272775号公報(特許請求の範囲)
液晶パネル等で使用される偏光板においても、近年では、さらに高温や高湿度という厳しい条件下で使用したり、日光があたるような屋外で使用したり、又製品寿命のさらに長いものが求められるようになり、従来から提案されている接着剤では、接着強度低下、経時的な着色等の問題が発生し、満足できなくなってきている。
本発明者らは、高温又は高湿のいずれの条件下においても接着力に優れ、長時間の使用においても着色が少ない位相差フィルム付き偏光板を見出すため鋭意検討を行ったのである。
本発明者らは、種々の研究の結果、特定構造のウレタン(メタ)アクリレート、特定構造のフェノール化合物及びイオウ系酸化防止剤からなる接着剤組成物を使用して製造された位相差フィルム付き偏光板が、高温又は高湿のいずれの条件下においても接着力に優れ、着色が少なくそれが実用的なレベルにあることを見出し、本発明を完成した。
本発明の位相差フィルム付き偏光板によれば、高温又は高湿のいずれの条件下においても優れた接着力を維持することができ、経時的な着色も少ない。
本発明は、下記工程[1]〜[3]を含む位相差フィルム付き偏光板〔以下、単に偏光板という〕の製造方法に関する。
[1]下記活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を、偏光フィルム又は位相差フィルムに塗工する工程
[2]前記組成物を塗工した偏光フィルム又は位相差フィルムに、それぞれ位相差フィルム又は偏光フィルムを貼り合わせる工程
[3]いずれかのフィルムを貼り合わせた後、いずれかの基材の表面から活性エネルギー線を照射する工程
○活性エネルギー線硬化型接着剤組成物:下記(A)〜(D)成分を含む活性エネルギー線硬化型接着剤組成物。
(A)ポリエステル骨格又はポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレート
(B)フェニル基中に少なくとも1個の基−C(CH32R(Rはアルキル基又はフェニル基を表す)を有するフェノール化合物
(C)イオウ系酸化防止剤
(D)前記(A)成分以外のエチレン性不飽和基を有する化合物
以下、活性エネルギー線硬化型接着剤組成物、偏光フィルム及び位相差フィルムについて説明する。
尚、本明細書においては、アクリレート及び/又はメタクリレートを(メタ)アクリレートと、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を(メタ)アクリロイル基と、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を(メタ)アクリル酸と表す。
1.活性エネルギー線硬化型接着剤組成物
本発明で使用する活性エネルギー線硬化型接着剤組成物は、(A)ポリエステル骨格又はポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレート〔以下、(A)成分という〕、(B)フェニル基中に少なくとの1個の基−C(CH32R(Rはアルキル基又はフェニル基を表す)を有するフェノール化合物〔以下、(B)成分という〕、(C)イオウ系酸化防止剤〔以下、(C)成分という〕及び(D)前記(A)成分以外のエチレン性不飽和基を有する化合物〔以下、(D)成分という〕、を含有することを特徴とする。
以下、それぞれの成分について説明する。
尚、(A)〜(D)成分としては、後記するそれぞれの化合物を単独で、又は2種以上を併用して使用することができる。
1−1.(A)成分
(A)成分は、ポリエステル骨格又はポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートである。本発明では、(A)成分を含むことにより、得られる硬化物が高温又は高湿のいずれの条件下においても接着力に優れるものとなる。
一方、(A)成分とは異なるポリエステル骨格又はポリカーボネート骨格以外の骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートを含む組成物では、得られる硬化物の高温条件下及び高湿条件下における接着力が低下してしまう。
(A)成分としては、オリゴマー及びポリマーのいずれも使用可能であり、重量平均分子量500〜5万のものが好ましく、より好ましく3,000〜4万のものである。
尚、本発明において、重量平均分子量とは、ゲル・パーミエーションクロマトグラフィーにより測定した分子量をポリスチレン換算した値である。
(A)成分としては、種々の化合物が使用でき、ポリエステル骨格又はポリカーボネート骨格を有するポリオールと有機ポリイソシアネート反応物に、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを反応させた化合物等が挙げられる。
又、(A)成分としては、2個の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレート〔以下、2官能ウレタン(メタ)アクリレートという〕であることが好ましく、ポリエステル骨格又はポリカーボネート骨格を有するジオールと有機ジイソシアネートとの反応物に、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを反応させた2官能ウレタン(メタ)アクリレートであることがより好ましい。
ここで、ポリエステル骨格を有するポリオールとしては、低分子量ジオール又はポリカプロラクトンジオール等のジオールと、二塩基酸又はその無水物等の酸成分とのエステル化反応物等が挙げられる。
低分子量ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、及び、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。
二塩基酸又はその無水物としては、アジピン酸、コハク酸、フタル酸、テトラヒドルフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びテレフタル酸等、並びにこれらの無水物等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、前記低分子量ジオール又は/及びビスフェノールA等のビスフェノールと、エチレンカーボネート及び炭酸ジブチルエステル等の炭酸ジアルキルエステルの反応物等が挙げられる。
有機ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート3量体、水素化トリレンジイソシアネート、水素化4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシイレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート2量体、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート相互付加物、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリメチロールプロパントリス(トリレンジイソシアネート)付加物及びイソホロンジイソシアネート等が挙げられる。又、有機ポリイソシアネートとしては、有機ジイソシアネートが好ましい。
ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ、ジ又はモノ(メタ)アクリレート、及びトリメチロールプロパンジ又はモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらは、ジブチルスズジラウレート等の付加触媒存在下、使用する有機イソシアネートとポリオール成分を加熱撹拌し付加反応せしめ、さらにヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを添加し、加熱撹拌し付加反応せしめることにより得られる。
(A)成分としては、高湿度下の接着強度が特に優れ、硬化後の接着剤の経時的な着色が少ないという点で、非芳香族系のポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールを用いたウレタンアクリレートが好ましい。
1−2.(B)成分
(B)成分は、フェニル基中に少なくとも1個の基−C(CH32R(Rはアルキル基又はフェニル基を表す)を有するフェノール化合物である。本発明では、(B)成分を含むことにより、経時での着色を著しく低く抑えることができる。
Rのアルキル基としては、炭素数1〜10のものが挙げられ、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
フェニル基中の基−C(CH32Rの数としては、1個又は2個が好ましい。
(B)成分としては、下記式(1)で表される化合物を含むことが好ましく、1種又は2種以上の式(1)で表される化合物のみであることがより好ましい。
Figure 2009175210
〔式(1)において、Rはアルキル基又はフェニル基を表し、R1は水素原子、アルキル基又はフェニル基を表し、R2及びR3は水素原子又はメチル基を表し、Xはm価の基を表し、mは1〜4の整数を表す。〕
式(1)において、Xは1価又は2価の基で、mは1又は2の整数が好ましい。
又、式(1)のR1におけるアルキル基としては、炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましい。
式(1)の化合物としては、下記式(1)’又は/及び式(1)”で表される化合物が好ましい。
Figure 2009175210
式(1)において、Xの具体例としては、以下に示す1価〜4価の基が挙げられる。
1価の基としては、アルキル基、1つ以上のエステル結合(−COO−及び/又は−OCO−)を有する基、ベンゾトリアゾイル基及びヒンダードアミノ骨格を含む基等が挙げられる。
アルキル基としては、炭素数2以上のアルキル基が、硬化物の着色防止に優れる点で好ましい。
1つ以上のエステル結合を有する基としては、アルコキシカルボニルアルキル基が例示でき、−R7COOR1で表される基であることが好ましい。ここで、R7は、エチレン基等の炭素数1〜12のアルキレン基であり、R1は炭素数1〜20のアルキル基を表す。R7としては、炭素数2〜6のアルキレン基が好ましい。
2価の基としては、アルキレン基及び1つ以上のエステル結合を有する基等が挙げられる。1つ以上のエステル結合を有する基としては、1価〜4価のアルキル基、エステル結合、及び、エーテル結合よりなる群から選ばれた構造を2以上連結し、かつ1つ以上のエステル結合を有する2価の基が例示でき、スピロオルソエーテル環及び1つ以上のエステル結合を有する2価の基であることが好ましい。
3価の基としては、イソシアヌル基(1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン−1,3,5−トリイル基)等が挙げられる。
4価の基としては、1つ以上のエステル結合を有する基等が挙げられ、1価〜4価のアルキル基、エステル結合、及び、エーテル結合よりなる群から選ばれた構造を2以上連結し、かつ1つ以上のエステル結合を有する4価の基が好ましく挙げられる。より具体的には、C(CH2OCOR7−)4等が挙げられる。R7は、前記と同様に、炭素数1〜12のアルキレン基を表し、前記と同様のものが好ましい。
又、前記式(1)で表される化合物としては、Xが1つ以上のエステル結合を有する基である化合物(B1)〔以下、(B1)成分という〕がより好ましい。
(B1)成分において、モノフェノール化合物の好ましい例としては、下記式(2)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2009175210
〔但し、式(2)において、R4は炭素数1〜20のアルキル基を表す。〕
式(2)において、R4の炭素数が1以上であると、組成物に対する溶解性が十分であり、又、炭素数が20以下であると、少量で所望の効果を得ることができ、均一な組成物が得られる。
モノフェノール化合物の具体例としては、R4が−C1837である化合物が、旭電化工業株式会社より、製品名AO−50として販売されているため入手が容易であり好ましい。
(B1)成分において、ジフェノール化合物の好ましい例としては、下記式(3)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2009175210
(B)成分としては、前記以外した化合物以外にも、紫外線吸収剤として知られている、フェニル基中に少なくとも1個の基−C(CH32R(Rはアルキル基又はフェニル基を表す)を有しさらにベンゾトリアゾール基を有する化合物(B2)〔以下、(B2)成分という〕、光安定剤として知られている、フェニル基中に少なくとも1個の基−C(CH32R(Rはアルキル基又はフェニル基を表す)を有しさらにヒンダードアミノ基を有する化合物(B3)〔以下、(B3)成分という〕を挙げることもできる。
(B2)成分としては、フェニル基中に少なくとも1個の基−C(CH32Rを有しさらにベンゾトリアゾール基を有する化合物であれば種々の化合物を使用することができる。当該化合物は市販されており、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のTINUVINシリーズを挙げることができる。
(B2)成分としては、下記式(4)で表される化合物がより好ましい。
Figure 2009175210
〔但し、R7は、炭素数1〜10のアルキル基又はフェニル基を表す。〕
前記式(4)において、R7としては、炭素数が4のアルキル基又はフェニル基のものが市販されており好適に使用できる。
(B3)成分としては、フェニル基中に少なくとも1個の基−C(CH32Rを有しさらにヒンダードアミノ基を有する化合物であれば種々の化合物を使用することができる。当該化合物は市販されており、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のTINUVINシリーズを挙げることができる。
(B3)成分としては、下記式(5)の化合物がより好ましい。
Figure 2009175210
(B)成分としては、前記した(B1)〜(B3)成分のいずれも使用することができる。
(B)成分の好ましい使用形態としては、(B1)成分を必須とし、さらに(B2)成分又は/及び(B3)成分を併用することが、接着剤層を光が透過して基材に到達する場合に基材の着色を抑えることができるため好ましい。
1−3.(C)成分
(C)成分は、イオウ系酸化防止剤である。
本発明では、(C)成分を含むことにより、特に積層体に光と熱が同時に加わるような場合の着色を抑える効果を奏する。
(C)成分としては、イオウ原子を有し酸化防止機能を有する化合物であれば種々の化合物が使用でき、着色抑制効果に優れるという理由で、ジエステル型チオエーテル化合物又は/及びテトラエステル型チオカーボネート化合物が好ましい。
(C)成分におけるジエステル型チオエーテル化合物又は/及びテトラエステル型カーボネート化合物としては、種々の化合物を使用することができ、低揮発であるという理由で、ジエステル型チオエーテル化合物としては、式(6)で表される化合物が好ましく、テトラエステル型カーボネート化合物としては、式(7)で表される化合物が好ましい。
Figure 2009175210
〔但し、式(6)において、R5は炭素数1〜20のアルキル基を表す。〕
Figure 2009175210
〔但し、式(7)において、R6は炭素数1〜20のアルキル基を表す。〕
前記式(6)及び(7)において、R5及びR6は炭素数1〜20のアルキル基である。R5やR6の炭素数が1以上であると、組成物に対する溶解性が十分であり、又、炭素数が20以下であると、少量で所望の効果を得ることができ、均一な組成物が得られる。
ジエステル型チオエーテル化合物の具体例としては、ジオクチルチオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3−チオジプロピオネート等を挙げることができる。
テトラエステル型チオカーボネート化合物の具体例としては、ペンタエリスリトールテトラキス(β−ラウリルチオプロピオネート)等を挙げることができる。
ところで、フェノール化合物とチオエーテル化合物とを併用することにより、プラスチック材料の耐熱酸化劣化を抑制できることは、プラスチック成型材料の分野では広く知られている事実である(非特許文献1)。
JETI(Japan Energy & Technology Intelligence)、Vol.44、No.5、92−97(1996)
しかしながら、このような知見は活性エネルギー線硬化型組成物、ましてや活性エネルギー線硬化型接着剤組成物において、着色を低く抑えるという目的に適用されたことはなく、さらに、本願発明と異なる組み合わせでは、熱や光により着色が大きく促進されてしまう。
1−4.(D)成分
本発明の組成物には、組成物の粘度調整や目的の物性を調整する等の目的で、エチレン性不飽和基を有する化合物を配合する。
(D)成分としては、(A)成分以外のエチレン性不飽和基を有する化合物であれば種々の化合物が使用できる。(D)成分としては、モノマー、オリゴマー及びポリマーがある。
1)モノマー
モノマーとしては、(メタ)アクリロイル基を1個有する化合物が挙げられる。
当該化合物としては、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェニルエチル(メタ)アクリレート及びp−クミルフェニルエチル(メタ)アクリレート等の芳香族基含有(メタ)アクリレート;並びにイソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート等が挙げられる。
又、(メタ)アクリレート以外にも、N−メチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド及びアクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミド誘導体;N−ビニルホルムアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニルピロリドン及びN−ビニルカプロラクタム等のN−ビニル化合物等が挙げられる。
これらの中でも、基材との密着性を向上させることができるため、水酸基含有(メタ)アクリレートが好ましい。又、組成物を光学部材等に適用する場合、硬化物が屈折率に優れたものとなる点で、芳香族基含有(メタ)アクリレートが好ましく、2個の芳香族基を有する(メタ)アクリレートが好ましい。
(メタ)アクリロイル基を2個以上有する化合物としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、及びプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート及びトリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート及びネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等のグリコールジ(メタ)アクリレート;ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート又はそのハロゲン芳香核置換体及びビスフェノールFジ(メタ)アクリレート又はそのハロゲン芳香核置換体等のビスフェノール型ジ(メタ)アクリレート;ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のポリオールポリ(メタ)アクリレート;前記ポリオールのアルキレンオキサイド付加物のポリ(メタ)アクリレート;イソシアヌル酸アルキレンオキサイドのジ又はトリ(メタ)アクリレート等;これら以外にも、文献「最新UV硬化技術」((株)印刷情報協会、1991年発行)の53〜56頁に記載されているような化合物等が挙げられる。
2)オリゴマー
オリゴマーとしてはポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート及びポリエーテル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
2−1)ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー
ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリエステルポリオールと(メタ)アクリル酸との脱水縮合物等が挙げられる。
ここで、ポリエステルポリオールとしては、ポリオールとのカルボン酸又はその無水物との反応物等が挙げられる。
ポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリブチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール及びジペンタエリスリトール等の低分子量ポリオール、並びにこれらのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
カルボン酸又はその無水物としては、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸及びトリメリット酸等の二塩基酸又はその無水物等が挙げられる。
これら以外のポリエステルポリ(メタ)アクリレートとしては、前記文献「UV・EB硬化材料」の74〜76頁に記載されているような化合物等が挙げられる。
2−2)エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー
エポキシ(メタ)アクリレートは、エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を付加反応させた化合物であり、前記文献「UV・EB硬化材料」の74〜75頁に記載されているような化合物等が挙げられる。
エポキシ樹脂としては、芳香族エポキシ樹脂及び脂肪族エポキシ樹脂等が挙げられる。
芳香族エポキシ樹脂としては、具体的には、レゾルシノールジグリシジルエーテル;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールフルオレン又はそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル;フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;グリシジルフタルイミド;o−フタル酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。
これら以外にも、文献「エポキシ樹脂−最近の進歩−」(昭晃堂、1990年発行)2章や、文献「高分子加工」別冊9・第22巻増刊号エポキシ樹脂(高分子刊行会、昭和48年発行)の4〜6頁、9〜16頁に記載されている様な化合物を挙げることができる。
脂肪族エポキシ樹脂としては、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4ーブタンジオール及び1,6−ヘキサンジオール等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル;ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル;ネオペンチルグリコール、ジブロモネオペンチルグリコール及びそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル;トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン及びそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はトリグリシジルエーテル、並びにペンタエリスリトール及びそのアルキレンオキサイド付加体のジ、トリ又はテトラグリジジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル;水素添加ビスフェノールA及びそのアルキレンオキシド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル;テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエーテル;ハイドロキノンジグリシジルエーテル等が挙げられる。
これら以外にも、前記文献「高分子加工」別冊エポキシ樹脂の3〜6頁に記載されている化合物を挙げることができる。これら芳香族エポキシ樹脂及び脂肪族エポキシ樹脂以外にも、トリアジン核を骨格に持つエポキシ化合物、例えば、TEPIC(日産化学(株))、デナコールEX−310(ナガセ化成(株))等が挙げられ、又、前記文献「高分子加工」別冊エポキシ樹脂の289〜296頁に記載されているような化合物等が挙げられる。
上記において、アルキレンオキサイド付加物のアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が好ましい。
2−3)ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー
ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリアルキレングリコール(メタ)ジアクリレートがあり、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート及びポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
3)ポリマー
ポリマーとしては、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリル系ポリマー、官能基を有する(メタ)アクリル系ポリマーに、側鎖に(メタ)アクリロイル基を導入したものであり、前記文献「UV・EB硬化材料」の78〜79頁に記載されているような化合物等が挙げられる。
1−5.配合割合
本発明において、(A)、(B)、(C)及び(D)成分の割合としては、(A)、(B)、(C)及び(D)成分の合計量を100重量%とした場合、(A)成分5〜50重量%、(B)成分0.01〜5重量%、(C)成分0.01〜5重量%、(D)成分50〜95重量%が好ましい。より好ましい範囲は(A)成分15〜40重量%、(B)成分0.05〜1重量%、(C)成分0.05〜1重量%、(D)成分50〜80重量%である。(A)成分の割合が5重量%以上であると、高温下での接着力に優れるものとなり、他方50重量%以下であると、初期の接着力や高湿度下での接着力に優れるものとなる。(B)及び(C)成分がそれぞれ0.01重量%以上であると、組成物を硬化した硬化物において、熱や光による着色が少なく、5重量%以下であると、析出が起こらず、均一な組成物が得られ、又、硬化性に優れる。(D)成分が90重量%以下であると、初期の接着力や高温又は高湿度下での接着力が優れる。
又、本発明の組成物は、貼り合わせる基材フィルムのしわやそりといった外観不良を防ぐために、(A)及び(D)成分の合計量中にメタクリレート化合物を2〜30重量%含むことが好ましい。これらメタクリレート化合物が組成物中に含まれることにより組成物の硬化速度を調節することができる。2重量%以上であると、接着強度に優れるものとなり、30重量%以下であると、硬化性及び生産性に優れる。
当該メタクリレート化合物は、前記した(A)及び(D)成分の中から適宜選択すればよい。
又、初期の着色が小さいものが要求される用途においては、(A)成分及び(D)成分の合計量中に、芳香族基及びエチレン性不飽和基を有する化合物を50重量%未満とすることが好ましく、より好ましくは30重量%未満であり、最も好ましくは当該化合物を含まないものである。
一方、硬化物の屈折率等が要求される用途においては、(A)成分及び(D)成分の合計量中に、芳香族基及びエチレン性不飽和基を有する化合物を50重量%以上80重量%以下とすることが好ましい。
当該芳香族基及びエチレン性不飽和基を有する化合物としては、前記した(D)成分の中から適宜選択すればよい。
1−6.その他の成分
本発明の組成物を紫外線により硬化させる場合には、必要に応じて光重合開始剤を配合することもできる。
光重合開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインとそのアルキルエーテル;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及び2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等のアセトフェノン;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリ−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン及び2−アミルアントラキノン等のアントラキノン;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン及び2,4−ジイソピルチオキサントン等のチオキサントン;アセトフェノンジメチルケタール及びベンジルジメチルケタール等のケタール;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等のモノアシルホスフィンオキシド及びビスアシルホスフィンオキシド等のホスフィンオキシド;ベンゾフェノン等のベンゾフェノン;並びにキサントン等が挙げられる。これらの光重合開始剤は単独で使用することも、安息香酸系、アミン系等の光重合開始促進剤と組み合わせて使用することもできる。
光重合開始剤の好ましい配合割合は、組成物100重量%に対して0.1重量%以上10重量%以下であり、より好ましくは0.5重量%以上5重量%以下である。
経時的な着色が少ないという理由で、α−ヒドロキシアセトフェノン系又はホスフィンオキシド系の光重合開始剤が好ましい。
又、本発明の組成物には、(A)〜(D)成分及び必要に応じて(E)成分の合計100重量%当たり、5重量%までの量で、その他の酸化防止剤、(B2)成分以外の紫外線吸収剤、(B3)成分以外の光安定剤(HALS(ヒンダードアミン系光安定剤)等)等の耐久性向上剤を、又、塗工膜厚を均一にするためのレベリング剤、泡かみを抑制するための消泡剤を添加することができる。
1−7.製造及び使用方法
本発明の組成物の製造方法は特に限定されず、通常行われている方法により、本発明の必須成分を、又は必須成分及び必要に応じてその他の成分を撹拌又は混合することにより得られる。
組成物の硬化後のガラス転移温度(以下Tgという)としては、10℃以上70℃以下が好ましい。Tgが10℃以上であると、耐熱試験時の接着強度が十分得られ、Tgが70℃以下であると、初期の剥離強度が十分得られる。
尚、本発明において、Tgとは、1Hzにおいて測定した硬化物の粘弾性スペクトルの損失正接(tanδ)の主ピークが最大となる温度を意味する。
2.偏光フィルム
本発明に用いる偏光フィルムとは、自然光からある一方向の直線偏光を選択的に透過する機能を有するものである。
偏光フィルムの具体例としては、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を吸着、配向させたヨウ素系偏光フィルム、ポリビニルアルコール系フィルムに二色性の染料を吸着、配向させた染料系偏光フィルム、(リオトロピック)液晶状態の色素をコーティングし、配向、固定化した塗布型偏光子等が挙げられる。
これら、ヨウ素系偏光フィルム、染料系偏光フィルム、塗布型偏光子は、自然光からある一方向の直線偏光を選択的に透過し、他の一方向の直線偏光を吸収する機能を有するもので、吸収型偏光子と呼ばれている。
上記ヨウ素系偏光フィルム及び染料系偏光フィルムでは、通常、その片面又は両面に保護層を設けたものも使用することができる。
片面にのみ保護層を設けた偏光板は、位相差フィルムと接着する面が、保護層のある面であっても、保護層のない面であっても良い。
保護層としては、例えば、トリアセチルセルロースやジアセチルセルロースのようなセルロースアセテート樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、ポリエステル樹脂フィルム、ポリアリレート樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン樹脂フィルム、ノルボルネンのような環状オレフィンをモノマーとする環状ポリオレフィン樹脂フィルム等を貼合したものが挙げられる。
保護層はフィルム状のものに限定されない。例えば、コーティングによって形成された保護層であっても構わない。
本発明に用いる偏光フィルムは、前述した吸収型偏光フィルムだけではなく、自然光からある一方向の直線偏光を選択的に透過し、他の一方向の直線偏光を反射又は散乱する機能を有する反射型偏光子、散乱型偏光子と呼ばれているものでも構わない。又、上記に具体的に挙げた偏光子は、必ずしもこれらによって限定されるものではなく、自然光からある一方向の直線偏光を選択的に透過する機能を有するものであればよい。
これらの偏光フィルムの中でも、視認性に優れている吸収型偏光板を用いるのが好ましく、その中でも、偏光度、透過率が優れているヨウ素系偏光板を用いるのが最も好ましい。
3.位相差フィルム
位相差フィルムとしては、種々のものが使用でき、一軸又は二軸延伸等の加工が施された光学用フィルム、ないしは液晶性の化合物等を基材に塗布し、配向、固定化の加工をした光学用フィルム等が挙げられ、三次元屈折率の大小関係(屈折率楕円体)を使用条件に合わせて制御したものである。主に、液晶ディスプレイの液晶層の着色による補償や視野角による位相差の変化を補償するために用いられる。
位相差フィルムの具体例を挙げると、延伸等の加工が施される光学フィルムの素材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィンのようなポリオレフィンや、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリアリレート及びポリアミド等が例示できる。
前記した環状ポリオレフィンは、ノルボルネン、テトラシクロドデセンや、それらの誘導体等の環状オレフィンから得られる樹脂の一般的な総称であり、たとえば、特開平3−14882号公報、特開平3−122137号公報等に記載されているものが挙げられる。
具体的には環状オレフィンの開環重合体、環状オレフィンの付加重合体、環状オレフィンとエチレン、プロピレン等のα−オレフィンとのランダム共重合体、又これらを不飽和カルボン酸やその誘導体等で変性したグラフト変性体等が例示できる。さらには、これらの水素化物があげられる。商品としては、日本ゼオン(株)製のゼオネックス、ゼオノア、JSR(株)製のアートン、TICONA社製のトーパス等が挙げられる。
又、液晶性の化合物等を基材に塗布し、配向、固定化の加工をした光学用フィルムとしては、“WVフィルム”(富士写真フイルム株式会社製)、“LCフィルム”、“NHフィルム”(いずれも新日本石油株式会社製)等が挙げられる。
4.偏光板の製造方法
本発明は、下記工程[1]〜[3]を含む偏光板の製造方法に関する。
[1]下記活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を、偏光フィルム又は位相差フィルムに塗工する工程
[2]前記組成物を塗工した偏光フィルム又は位相差フィルムに、それぞれ位相差フィルム又は偏光フィルムを貼り合わせる工程
[3]いずれかのフィルムを貼り合わせた後、いずれかの基材の表面から活性エネルギー線を照射する工程
第[1]工程では、前記活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を、偏光フィルム又は位相差フィルムに塗工する。
組成物の塗工方法としては、従来知られている方法に従えばよく、ナチュラルコーター、ナイフベルトコーター、フローティングナイフ、ナイフオーバーロール、ナイフオンブランケット、スプレー、ディップ、キスロール、スクイーズロール、リバースロール、エアブレード、カーテンフローコーター及びグラビアコーター等の方法が挙げられる。
又、組成物の塗布厚さは、使用する偏光フィルム、位相差フィルム及び用途に応じて選択すればよいが、好ましくは0.1〜1,000μmであり、より好ましくは1〜50μmである。
第[2]工程では、前記組成物を塗工した偏光フィルム又は位相差フィルムに、それぞれ位相差フィルム又は偏光フィルムを貼り合わせる。
これらフィルムを貼り合わせる方法としては、常法に従えば良い。
第[3]工程では、いずれかのフィルムを貼り合わせた後、いずれかの基材の表面から活性エネルギー線を照射する。
活性エネルギー線の照射は、使用するフィルムの種類に応じて、偏光フィルム側からでも、位相差フィルム側からでもかまわない。
活性エネルギー線としては、紫外線、X線及び電子線等が挙げられるが、安価な装置を使用することができるため、紫外線が好ましい。紫外線により硬化させる場合の光源としては、様々のものを使用することができ、例えば、加圧或いは高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、無電極放電ランプ及びカーボンアーク灯等が挙げられる。電子線により硬化させる場合には、使用できるEB照射装置としては種々の装置が使用でき、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフ型及び共振変圧器型の装置等が挙げられ、電子線としては50〜1,000eVのエネルギーを持つものが好ましく、より好ましくは100〜300eVである。
本発明の偏光板を円偏光板として使用する場合、広帯域に渡り円偏光状態にするためには、得られた複合偏光板の位相差フィルム側に、位相差の異なる位相差フィルムをさらに貼り合せることもできる。
具体的には、偏光フィルムに対して、各波長に対して1/2波長を有する位相差フィルムを貼り合せ、さらに各波長に対して1/4波長を有する位相差フィルムを貼り合せる方法がある。
以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。尚、以下の各例における「部」は重量%を意味する。
○製造例1〜同7
下記表1に示す(A)〜(E)成分及び光重合開始剤を、60℃で1時間加熱撹拌して溶解させ、活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を製造した。尚、表2には、各組成物の(A)及び(D)成分の合計部数中におけるメタクリレートの割合(重量%)(以下、「MA比率」ともいう。)をまとめた。
得られた組成物を、下記の試験方法に従い評価した。それらの結果を表3に示す。
Figure 2009175210
表1において、各数字は部数を意味し、各略号は、以下を意味する。
1)M-1200:非芳香族系のポリエステル骨格を有するウレタンアクリレート、重量平均分子量約5,000〔東亞合成(株)製アロニックスM-1200〕
2)UN-9200:非芳香族系のポリカーボネート骨格を有するウレタンアクリレート、重量平均分子量約2万〔根上工業(株)製アートレジンUN-9200A〕
3)AO-50:オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〔旭電化工業(株)製AO-50、式(3)においてR1がオクタデシル基である化合物〕
4)AO-80:3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニロキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン〔旭電化工業(株)製AO-80、式(4)の化合物〕
5)TV900:2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製TINUVIN900、式(5)においてR4がフェニル基である化合物〕
6)TV928:2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1−ジメチル−3,3−ジメチルブチル−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製TINUVIN928、式(5)においてR4がメチル基である化合物〕
7)TV144:ビス(1,2,2,6,6−ペンタエチル−4−ピペリジル)[3,5−ビス(1,1−ジメチル)−4−ヒドロキシフェニル]ブチルマロネート〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製TINUVIN144、式(6)の化合物〕
8)Sum:ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート〔住友化学(株)製SumilizerTPM〕
9)AO-412:ペンタエリスリトールテトラキス(β−ラウリルチオプロピオネート)〔旭電化工業(株)製AO-412S〕
10)IBX:イソボルニルメタクリレート〔共栄社化学(株)製ライトエステルIB-X〕
11)IBXA:イソボルニルアクリレート〔共栄社化学(株)製ライトアクリレートIB-XA〕
12)HEMA:ヒドロキシエチルメタクリレート〔共栄社化学(株)製ライトエステルHO〕
13)OPPA:オルトフェニルフェノールアクリレート〔東亞合成(株)製アロニックスTO-2344〕
14)Irg184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製イルガキュア184〕
15)TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド〔BASF社製ルシリンTPO〕
Figure 2009175210
○実施例1〜7(両面TAC付き偏光フィルムと位相差フィルムの接着を想定した実験)
厚さ180μmのシクロオレフィン樹脂フィルム〔日本ゼオン(株)製。商品名ゼオノア。〕フィルム上に、得られた組成物をバーコーターにより10μmの厚みに塗布した。これに厚さ100μmのトリアセチルセルロース〔(株)ロンザ製。以下、TACと略す。)フィルムをニップロールにより貼りあわせた後、これを120W/cm、集光型のメタルハライドランプの下から10cm位置で、コンベアスピード5m/minの条件でランプの下を2回繰り返し通過させ、フィルム同士を接着させ、ラミネートフィルム(積層フィルム)を製造した。これを試験体Aという。
上記において、得られた積層フィルムのTACフィルム側に、厚み50μmのポリエチレンテレフタレート(以下PETと略す)フィルムを重ねた。これを試験体Bという。
得られた試験体Aを用い、以下の条件で放置した後、剥離強度を評価した。
・初期:室温で30分放置
・高温試験後:90℃で500時間
・高湿試験後:70℃、95%RHの条件で500時間
又、得られた試験体Bを用い、以下の条件で放置した後、着色の評価を行った。
・高温試験後:90℃で500時間
・高湿試験後:70℃、95%RHの条件で500時間
・耐光性試験:高圧水銀ランプを用いて、ラミネートフィルムに対して250J/cm2(UV−A)のUV照射を行った。
(2)剥離強度
試験体Aを、上記条件で高温試験又は高湿試験を行った後、下記の条件で剥離強度を引張試験機により測定した。
試験片:25mm×100mm
剥離角度:180度
剥離速度:200mm/min
尚、接着強度が十分強く、剥離強度測定時に基材が破れる場合は、母材破壊と記した。
(3)着色の測定
積分球式分光透過率測定器(村上色材技術研究所社製DOT-3C)を使用し、試験前の試験体BのYI値、並びに、高温試験、高湿試験及び耐光性試験後の試験体BのYI値を測定した。尚、後記表においては、各試験後の着色について、ΔYI(各試験後の試験体BのYI値と各試験前の試験体BのYI値との差)で示した。
Figure 2009175210
○実施例8〜14(両面TAC付き偏光フィルムと位相差フィルムの接着を想定した実験)
実施例1〜同7において、ゼオノアフィルムに代え、100μmのアートンフィルム〔(株)JSR製〕を使用した以外は同様の方法で、積層フィルムを製造した。
得られた積層フィルムを使用して前記と同様に試験した結果を表4に示す。
Figure 2009175210
○比較製造例1〜同7
下記表5に示す成分を使用する以外は、製造例と同様の方法に従い、活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を製造した。尚、表6には、各組成物のMA比率をまとめた。
得られた組成物を、実施例と同様に評価を行った。それらの結果を表5に示す。
Figure 2009175210
表5において、各数字は部数を意味し、各略号は、以下を除き表1と同様の意味を示す。
16)M-1600:ポリエーテル系ウレタンアクリレート、重量平均分子量約3,000〔東亞合成(株)製アロニックスM-1600〕
17)SZ-3:1,2−ビス(2−ヒドロキシエチルチオ)エタン〔淀化学(株)製SZ-3〕
Figure 2009175210
○比較例1〜7
実施例1〜同7において、比較製造例で得られた組成物を使用した以外は同様の方法で、積層フィルムを製造した。
得られた積層フィルムを使用して前記と同様に試験した結果を表7に示す。
Figure 2009175210
○実施例15〜21
市販の偏光フィルム及び位相差フィルムを使用する以外は実施例1〜7と同様の方法で、偏光板を製造した結果、前記と同様の接着性を有するものであった。
本発明の偏光板は、種々の用途に使用可能で有り、特に液晶パネル等の画像表示装置等の製造に好ましく使用できる。

Claims (12)

  1. 下記工程[1]〜[3]を含む位相差フィルム付き偏光板の製造方法。
    [1]下記活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を、偏光フィルム又は位相差フィルムに塗工する工程
    [2]前記組成物を塗工した偏光フィルム又は位相差フィルムに、それぞれ位相差フィルム又は偏光フィルムを貼り合わせる工程
    [3]いずれかのフィルムを貼り合わせた後、いずれかの基材の表面から活性エネルギー線を照射する工程
    ○活性エネルギー線硬化型接着剤組成物:下記(A)〜(D)成分を含む活性エネルギー線硬化型接着剤組成物。
    (A)ポリエステル骨格又はポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレート
    (B)フェニル基中に少なくとも1個の基−C(CH32R(Rはアルキル基又はフェニル基を表す)を有するフェノール化合物
    (C)イオウ系酸化防止剤
    (D)前記(A)成分以外のエチレン性不飽和基を有する化合物
  2. 前記組成物が、(A)、(B)、(C)及び(D)成分の合計量を100重量%とした場合、(A)成分5〜50重量%、(B)成分0.01〜5重量%、(C)成分0.01〜5重量%及び(D)成分50〜95重量%を含むものである請求項1記載の位相差フィルム付き偏光板の製造方法。
  3. 前記(B)成分が、下記式(1)で表される化合物を含む請求項1又は請求項2記載の位相差フィルム付き偏光板の製造方法。
    Figure 2009175210
    〔式(1)において、Rはアルキル基又はフェニル基を表し、R1は水素原子、アルキル基又はフェニル基を表し、R2及びR3は水素原子又はメチル基を表し、Xはm価の基を表し、mは1〜4の整数を表す。〕
  4. 前記(B)成分が、上記式(1)においてXが1つ以上のエステル結合を有する基である化合物(B1)を含む請求項3記載の位相差フィルム付き偏光板の製造方法。
  5. 前記(B1)が、下記式(2)で表される化合物である請求項4記載の位相差フィルム付き偏光板の製造方法。
    Figure 2009175210
    〔但し、式(2)において、R4は炭素数1〜20のアルキル基を表す。〕
  6. 前記(B1)が、下記式(3)で表される化合物である請求項4記載の位相差フィルム付き偏光板の製造方法。
    Figure 2009175210
  7. 前記(B)成分が、前記(B1)と、フェニル基中に少なくとも1個の基−C(CH32R(Rはアルキル基又はフェニル基を表す)を有しさらにベンゾトリアゾイル基を有する化合物(B2)又は/及びフェニル基中に少なくとも基−C(CH32R(Rはアルキル基又はフェニル基を表す)を有しさらにヒンダードアミノ基を有する化合物(B3)とを含む請求項4〜請求項6のいずれか1つに記載の位相差フィルム付き偏光板の製造方法。
  8. 前記(C)成分が、ジエステル型チオエーテル化合物又は/及びテトラエステル型チオカーボネート化合物である請求項1〜請求項7のいずれか1つに記載の位相差フィルム付き偏光板の製造方法。
  9. 前記ジエステル型チオエーテル化合物が、下記式(6)で表される化合物である請求項8に記載の位相差フィルム付き偏光板の製造方法。
    Figure 2009175210
    〔但し、式(6)において、R5は炭素数1〜20のアルキル基を表す。〕
  10. 前記テトラエステル型チオカーボネート化合物が、下記式(7)で表される化合物である請求項8に記載の位相差フィルム付き偏光板の製造方法。
    Figure 2009175210
    〔但し、式(7)において、R6は炭素数1〜20のアルキル基を表す。〕
  11. さらに光重合開始剤を含む請求項1〜請求項10のいずれか1つに記載の位相差フィルム付き偏光板の製造方法。
  12. (A)成分及び(D)成分の合計量中にメタクリレート化合物を2〜30重量%含む請求項1〜請求項11のいずれか1つに記載の位相差フィルム付き偏光板の製造方法。
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