JPH06118078A - 細胞膜老化度の判別方法 - Google Patents
細胞膜老化度の判別方法Info
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- JPH06118078A JPH06118078A JP28703692A JP28703692A JPH06118078A JP H06118078 A JPH06118078 A JP H06118078A JP 28703692 A JP28703692 A JP 28703692A JP 28703692 A JP28703692 A JP 28703692A JP H06118078 A JPH06118078 A JP H06118078A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 赤血球膜中の飽和極長鎖脂肪酸ヘキサコサン
酸(C26:0)を定量することにより、細胞および個
体の老化度を判別しうることを提供する。 【構成】 3才から94才までの95名の健常者から採取し
た血液より赤血球膜を調製し、その膜中の脂肪酸量を常
法により測定。その結果ヘキサコサン酸の含量が加齢に
伴って増加することを見いだした。
酸(C26:0)を定量することにより、細胞および個
体の老化度を判別しうることを提供する。 【構成】 3才から94才までの95名の健常者から採取し
た血液より赤血球膜を調製し、その膜中の脂肪酸量を常
法により測定。その結果ヘキサコサン酸の含量が加齢に
伴って増加することを見いだした。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は赤血球膜のヘキサコサン
酸(C26:0)を測定することにより、細胞膜又は個
体の老化度を判別する方法に関する。
酸(C26:0)を測定することにより、細胞膜又は個
体の老化度を判別する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、日本を含め先進国は医療技術の向
上などにより、急速に高齢者の人口が増え、それに伴
い、老化に伴う疫病が増え、その克服が大きな課題とな
ってきている。また国民の意識の変化により、老化に伴
う身体の変化、たとえば脱毛、皮膚の老人性変化が問題
となり、老化現象を押さえ身体の若さを保ちたいという
願望も高まっている。加齢に伴う疾病および身体の老化
現象は、細胞レベルでの何らかの変化により惹起されて
おこると思われる。細胞は細胞膜で形成される。細胞膜
は、種々の膜受容器を持ち、細胞の内外への情報の伝
達、物質の移送など、重要な役割を果たしている。細胞
膜の構成成分としては、タンパクと脂質が知られてい
る。この脂質を構成する重要な成分が脂肪酸であり、こ
の脂肪酸形成の変化は細胞膜の流動性のほか、細胞膜の
上記の機能に大きな影響を及ぼす。脂質代謝と老化の相
関については、これまでに加齢または老化と血清コレス
テロール値の変動(Rifkind, B. M. et al., Lipids, 1
4, 105-112, 1979)、血清トリグリセライド値の変動
(松本ら、臨床病理、38、530-533 、1990)、血清リン
脂質値の変動(宮本ら、日老医誌、24、115-121 、198
7)などの報告があり、さらに赤血球膜の脂肪酸組成値
の変動については老化により若干の飽和脂肪酸の増加と
多価不飽和脂肪酸の減少がみられる(今村ら、動脈硬
化、11、1447-1453、1984)ことが報告されているの
が、その相関ははっきりしていない。
上などにより、急速に高齢者の人口が増え、それに伴
い、老化に伴う疫病が増え、その克服が大きな課題とな
ってきている。また国民の意識の変化により、老化に伴
う身体の変化、たとえば脱毛、皮膚の老人性変化が問題
となり、老化現象を押さえ身体の若さを保ちたいという
願望も高まっている。加齢に伴う疾病および身体の老化
現象は、細胞レベルでの何らかの変化により惹起されて
おこると思われる。細胞は細胞膜で形成される。細胞膜
は、種々の膜受容器を持ち、細胞の内外への情報の伝
達、物質の移送など、重要な役割を果たしている。細胞
膜の構成成分としては、タンパクと脂質が知られてい
る。この脂質を構成する重要な成分が脂肪酸であり、こ
の脂肪酸形成の変化は細胞膜の流動性のほか、細胞膜の
上記の機能に大きな影響を及ぼす。脂質代謝と老化の相
関については、これまでに加齢または老化と血清コレス
テロール値の変動(Rifkind, B. M. et al., Lipids, 1
4, 105-112, 1979)、血清トリグリセライド値の変動
(松本ら、臨床病理、38、530-533 、1990)、血清リン
脂質値の変動(宮本ら、日老医誌、24、115-121 、198
7)などの報告があり、さらに赤血球膜の脂肪酸組成値
の変動については老化により若干の飽和脂肪酸の増加と
多価不飽和脂肪酸の減少がみられる(今村ら、動脈硬
化、11、1447-1453、1984)ことが報告されているの
が、その相関ははっきりしていない。
【0003】細胞膜に加齢と明らかに関係のある変化が
あれば、その変化は細胞膜の老化度を測る指標となり、
間接的に個体の老化度の指標ともなり、細胞レベルでの
老化の診断が可能となる。また、加齢による変化を改善
させうる物質は細胞膜の老化現象を押さえることになり
老化防止剤となるが、その老化防止剤の効果判定に利用
できることになる。また既存の老化防止、若返り、健康
維持、増進をねらった機能性食品あるいは健康法やエク
ササイズなどの効果の判定が可能となる。またスポーツ
医学にも応用できる。これらの観点から老化の明確な指
標の確立が望まれている。
あれば、その変化は細胞膜の老化度を測る指標となり、
間接的に個体の老化度の指標ともなり、細胞レベルでの
老化の診断が可能となる。また、加齢による変化を改善
させうる物質は細胞膜の老化現象を押さえることになり
老化防止剤となるが、その老化防止剤の効果判定に利用
できることになる。また既存の老化防止、若返り、健康
維持、増進をねらった機能性食品あるいは健康法やエク
ササイズなどの効果の判定が可能となる。またスポーツ
医学にも応用できる。これらの観点から老化の明確な指
標の確立が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は老化を判定す
る指標として、赤血球細胞膜の脂肪酸組成、特にヘキサ
コサン酸(C26:0)の含量が明確な相関性を有する
ことを提示することにある。
る指標として、赤血球細胞膜の脂肪酸組成、特にヘキサ
コサン酸(C26:0)の含量が明確な相関性を有する
ことを提示することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記現状に鑑み、本発明
者らは老化と赤血球膜脂肪酸含量の変動相関を見いだす
ため鋭意研究を積み重ねた結果、加齢に伴って細胞膜に
炭素数26の飽和極長鎖脂肪酸、ヘキサコサン酸が増加し
たヒトが増えていくことを初めて見出した。すなわち本
発明は赤血球細胞膜のヘキサコサン酸(C26:0)の
含量を測定することにより細胞膜または個体の老化度を
判別する指標とすることに関するものである。
者らは老化と赤血球膜脂肪酸含量の変動相関を見いだす
ため鋭意研究を積み重ねた結果、加齢に伴って細胞膜に
炭素数26の飽和極長鎖脂肪酸、ヘキサコサン酸が増加し
たヒトが増えていくことを初めて見出した。すなわち本
発明は赤血球細胞膜のヘキサコサン酸(C26:0)の
含量を測定することにより細胞膜または個体の老化度を
判別する指標とすることに関するものである。
【0006】以下に本発明を詳細に説明する。まず採血
した血液を遠心分離により赤血球を分離した後、低張緩
衝液にて処理することにより赤血球膜浮遊液を作製す
る。赤血球膜からの脂肪酸の抽出はFolch の方法(Folc
h, J., J, Biol. Chem., 226, 479-509, 1957)に準じて
メタノール、クロロホルムで抽出する。脂質が含まれる
クロロホルム層を加水分解した後、再度クロロホルム抽
出操作を行い遊離脂肪酸を蛍光ラベルした後、高速液体
クロマトグラフィにて分析すればよい。分析の際、移動
相に用いるアセトニトリルと水は高速液体クロマト用を
使用する。また、脂肪酸の同定には、それぞれの標準物
質(Serdary Res Lad, London, Canada ;フナコシ)を
使い、そのretention timeにより同定する。分析条件は
クロマトグラフ上脂肪酸ピークがうまく分離する条件で
あれば限定されない。
した血液を遠心分離により赤血球を分離した後、低張緩
衝液にて処理することにより赤血球膜浮遊液を作製す
る。赤血球膜からの脂肪酸の抽出はFolch の方法(Folc
h, J., J, Biol. Chem., 226, 479-509, 1957)に準じて
メタノール、クロロホルムで抽出する。脂質が含まれる
クロロホルム層を加水分解した後、再度クロロホルム抽
出操作を行い遊離脂肪酸を蛍光ラベルした後、高速液体
クロマトグラフィにて分析すればよい。分析の際、移動
相に用いるアセトニトリルと水は高速液体クロマト用を
使用する。また、脂肪酸の同定には、それぞれの標準物
質(Serdary Res Lad, London, Canada ;フナコシ)を
使い、そのretention timeにより同定する。分析条件は
クロマトグラフ上脂肪酸ピークがうまく分離する条件で
あれば限定されない。
【0007】この老化度の判別方法に用いる材料として
は、各種組織の細胞形質膜が利用できるが、赤血球がそ
の採取が容易であることと、もともと純粋な細胞形質膜
のみからなる細胞であることから、もっとも望ましい。
赤血球膜の作製法、脂質抽出法、脂肪酸抽出法に関して
は、前述の方法以外の一般に利用されている方法でもか
まわない。脂肪酸分析法も高速液クロマトグラフィーの
他、ガスクロマトグラフィーや薄層クロマトグラフィー
でもよい。老化の判定基準もここに示したヘキサコサン
酸の割合以外に絶対量、他の脂肪酸との比などを使って
もよい。老化度は、さらにいくつかの段階に区分けして
もよい。本発明は細胞レベルでの個体の老化度を測定す
る全く新しい方法であり、外観からは分からない個体の
細胞レベルでの老化度の情報を提供することが可能とな
る。
は、各種組織の細胞形質膜が利用できるが、赤血球がそ
の採取が容易であることと、もともと純粋な細胞形質膜
のみからなる細胞であることから、もっとも望ましい。
赤血球膜の作製法、脂質抽出法、脂肪酸抽出法に関して
は、前述の方法以外の一般に利用されている方法でもか
まわない。脂肪酸分析法も高速液クロマトグラフィーの
他、ガスクロマトグラフィーや薄層クロマトグラフィー
でもよい。老化の判定基準もここに示したヘキサコサン
酸の割合以外に絶対量、他の脂肪酸との比などを使って
もよい。老化度は、さらにいくつかの段階に区分けして
もよい。本発明は細胞レベルでの個体の老化度を測定す
る全く新しい方法であり、外観からは分からない個体の
細胞レベルでの老化度の情報を提供することが可能とな
る。
【0008】本発明の効果は下記の実施例に示される
が、赤血球膜中のヘキサコサン酸高値例の出現率は高齢
者の群になるにつれて増加した。この変化は血漿では認
められなかった。この事実は、飽和型極長鎖脂肪酸であ
るヘキサコサン酸が、加齢の過程で細胞膜に蓄積してい
き、その蓄積の時期には個体差があることを意味してい
る。ヘキサコサン酸は非常に炭素鎖の長い飽和脂肪酸で
あるので、この脂肪酸が細胞膜に蓄積すると、細胞膜は
流動性、変形能(細胞膜の柔軟性を意味する)が低下す
ることになる。ヘキサコサン酸は微量脂肪酸であるが細
胞膜に比較的局在する脂肪酸である(若年者の赤血球膜
では0.17%前後に対し、血しょうでは0.01%未満と極端
に少ない)。また赤血球膜では、膜において重要な役割
を担っている膜タンパクの周辺にある脂肪酸群に多く含
まれるため(発明者らのデータでは膜タンパク周辺では
その他の部位に比べ約4倍、Exp.Neurol., 87, 206-2
11, 1985)、細胞膜の機能、構造の維持に重要な役割を
果たしている脂肪酸成分であることがわかる。これらの
ことから、加齢に伴っておこる細胞膜へのヘキサコサン
酸の蓄積は細胞膜の機能に大きな影響を及ぼし、その結
果細胞自体、さらに個体の影響を及ぼすことが示唆され
る。以上のことから、赤血球ヘキサコサン酸の蓄積は、
加齢に伴っておこる細胞レベルでの老化現象であり、個
体の暦上の年齢と異なる細胞レベルでの老化度の指標と
なり、その検定は老化度判別法として活用できることに
なる。
が、赤血球膜中のヘキサコサン酸高値例の出現率は高齢
者の群になるにつれて増加した。この変化は血漿では認
められなかった。この事実は、飽和型極長鎖脂肪酸であ
るヘキサコサン酸が、加齢の過程で細胞膜に蓄積してい
き、その蓄積の時期には個体差があることを意味してい
る。ヘキサコサン酸は非常に炭素鎖の長い飽和脂肪酸で
あるので、この脂肪酸が細胞膜に蓄積すると、細胞膜は
流動性、変形能(細胞膜の柔軟性を意味する)が低下す
ることになる。ヘキサコサン酸は微量脂肪酸であるが細
胞膜に比較的局在する脂肪酸である(若年者の赤血球膜
では0.17%前後に対し、血しょうでは0.01%未満と極端
に少ない)。また赤血球膜では、膜において重要な役割
を担っている膜タンパクの周辺にある脂肪酸群に多く含
まれるため(発明者らのデータでは膜タンパク周辺では
その他の部位に比べ約4倍、Exp.Neurol., 87, 206-2
11, 1985)、細胞膜の機能、構造の維持に重要な役割を
果たしている脂肪酸成分であることがわかる。これらの
ことから、加齢に伴っておこる細胞膜へのヘキサコサン
酸の蓄積は細胞膜の機能に大きな影響を及ぼし、その結
果細胞自体、さらに個体の影響を及ぼすことが示唆され
る。以上のことから、赤血球ヘキサコサン酸の蓄積は、
加齢に伴っておこる細胞レベルでの老化現象であり、個
体の暦上の年齢と異なる細胞レベルでの老化度の指標と
なり、その検定は老化度判別法として活用できることに
なる。
【0009】
【実施例】以下の実施例により本発明を詳細に且つ具体
的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。
的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。
【0010】(1)赤血球膜の調製 ヘパリン入り真空採血管に静脈血10ml採取。以後の操作
は4℃下で行う。まず2000rpm ×10分遠心分離後、血漿
を除去、さらに赤血球層の上に重なるbuffy coat(白血
球などからなる)を除去した。次いで生理食塩水を加え
てかくはんし、遠心分離洗浄(2000rpm ×10分)を3回
行い、上層の生理食塩水を捨て赤血球浮遊液を作製し
た。アングルローター用のポリアロマースピッツ(29mm
×103mm)に赤血球浮遊液を移し10mM トリス−塩酸緩衝
液(pH 7.4)を加えて溶血させ、12000rpm×20分遠心分
離(冷却遠沈機 日立20PR-52D、ロータ RPR20-2)、下
層の赤色の赤血球膜を残し、水流ポンプにバスツールピ
ペットを接続して、上層の緩衝液を捨てた。さらに同緩
衝液を加え、ボルテックスミキサーで十分撹拌し、1200
0rpm×20分遠心分離後、上層の緩衝液を捨てる。この洗
浄を4回くりかえし、1〜2mlの白色の赤血球膜浮遊液
を作製した(Mawatari, et al., J. Neurol, Sci., 53,
23-28, 1982)。
は4℃下で行う。まず2000rpm ×10分遠心分離後、血漿
を除去、さらに赤血球層の上に重なるbuffy coat(白血
球などからなる)を除去した。次いで生理食塩水を加え
てかくはんし、遠心分離洗浄(2000rpm ×10分)を3回
行い、上層の生理食塩水を捨て赤血球浮遊液を作製し
た。アングルローター用のポリアロマースピッツ(29mm
×103mm)に赤血球浮遊液を移し10mM トリス−塩酸緩衝
液(pH 7.4)を加えて溶血させ、12000rpm×20分遠心分
離(冷却遠沈機 日立20PR-52D、ロータ RPR20-2)、下
層の赤色の赤血球膜を残し、水流ポンプにバスツールピ
ペットを接続して、上層の緩衝液を捨てた。さらに同緩
衝液を加え、ボルテックスミキサーで十分撹拌し、1200
0rpm×20分遠心分離後、上層の緩衝液を捨てる。この洗
浄を4回くりかえし、1〜2mlの白色の赤血球膜浮遊液
を作製した(Mawatari, et al., J. Neurol, Sci., 53,
23-28, 1982)。
【0011】(2)脂肪酸の抽出 50μl の赤血球膜浮遊液をデイスポーザブルガラススピ
ッツ(18mm×160mm )に移し、液クロ用メタノールを2
ml加え、ボルテックスミキサーで、30秒撹拌した。静置
30分後、液クロ用クロロホルムを2ml加え、再び30秒で
ボルテックスミキサーで攪拌し、さらに30分後、クロロ
ホルムを2ml加えボルテックスミキサーで30秒攪拌、こ
れに水1ml加え、さらにボルテックスミキサーで30秒撹
拌後、このガラススピッツをアルミホイールでふたを
し、4℃の保冷庫内に一晩静置した。なおメタノールと
クロロホルムには酸化防止剤のButylated Hydroxytolue
ne(BHT)を5mg/dlの濃度になるように添加した。
翌日、スピッツ内の溶液は二層に分かれているので、赤
血球膜の大半の脂質が含まれる下層のクロロホルム層
を、ネジ付きガラススピッツ(16mm×150mm テフロンパ
ッキン付き、Pyrex)にパスツールピペットで移し、窒素
ガス流下に乾固させ、この中に塩酸−アセトニトリル−
水混液(HCl 0.5mol /l 、アセトニトリル:水=
9:1、vol /vol)を1ml加え、98℃、45分、密閉した
ウォターバス中で煮沸した。冷却後、クロロホルムと水
を1mlずつ加え、ボルテックスミキサーで30秒攪拌し、
30分静置後、下層の遊離脂肪酸の含まれるクロロホルム
層をディスポーザブルガラススピッツに移し、窒素ガス
流下で乾燥させた。
ッツ(18mm×160mm )に移し、液クロ用メタノールを2
ml加え、ボルテックスミキサーで、30秒撹拌した。静置
30分後、液クロ用クロロホルムを2ml加え、再び30秒で
ボルテックスミキサーで攪拌し、さらに30分後、クロロ
ホルムを2ml加えボルテックスミキサーで30秒攪拌、こ
れに水1ml加え、さらにボルテックスミキサーで30秒撹
拌後、このガラススピッツをアルミホイールでふたを
し、4℃の保冷庫内に一晩静置した。なおメタノールと
クロロホルムには酸化防止剤のButylated Hydroxytolue
ne(BHT)を5mg/dlの濃度になるように添加した。
翌日、スピッツ内の溶液は二層に分かれているので、赤
血球膜の大半の脂質が含まれる下層のクロロホルム層
を、ネジ付きガラススピッツ(16mm×150mm テフロンパ
ッキン付き、Pyrex)にパスツールピペットで移し、窒素
ガス流下に乾固させ、この中に塩酸−アセトニトリル−
水混液(HCl 0.5mol /l 、アセトニトリル:水=
9:1、vol /vol)を1ml加え、98℃、45分、密閉した
ウォターバス中で煮沸した。冷却後、クロロホルムと水
を1mlずつ加え、ボルテックスミキサーで30秒攪拌し、
30分静置後、下層の遊離脂肪酸の含まれるクロロホルム
層をディスポーザブルガラススピッツに移し、窒素ガス
流下で乾燥させた。
【0012】(3)脂肪酸の分析と判定 蛍光ラベル剤(9−anthryldiazomethane 、フナコシ)
を液クロ用メタノールに5mg/10mlの濃度になるように
溶解し、その1mlを前過程で得られた乾燥遊離脂肪酸の
入ったガラススピッツに入れ、よく攪拌した後、1時間
以上室温にて反応させ、その5μlを高速液クロマトグ
ラフィーで分析した。 高速液クロマトグラフィーの条件 高速液クロ装置:島津LC−9A 2台、システムコン
トローラー(SCL-6B)、自動試料注入装置(SIL-6B) 、
カラムオーブン(CTO-6A)、脱気装置(DGU-3A)、自動
解析装置(CR-4A)、蛍光分光光度計(RF540) カラム:Zorbax C8 (デュポン)、25cm×4.6mm id、カ
ラム温度60℃ 移動相:アセトニトリルと水の混液(濃度勾配法;0
分、アセトニトリル80%、20分 80%、60分 100%、70
分 100%と設定し直線的な濃度勾配をかける) 移動相の流量:1.6ml /min 蛍光分光度計の波長設定:ex 365nm、em 412nm 脂肪酸はクロマトグラフ上、C20:5、C18:3、C2
2:6、C20:4、C18:2、C20:3、C16:0、C2
2:4、C18:1、C18:0、C20:1、C20:0、C2
2:1、C22:0、C24:1、C24:0、C25:0、C2
6:0などの同定された脂肪酸ピークとともに未同定の
ピークも検出されるが、C20:5の後C26:0(ヘキサ
コサン酸)までのすべてのピークの面積の総和に対する
C26:0の面積百分率(%)を、自動分析器を使い算出
する。この数値を小数点三位以下は四捨五入し、それに
100を掛けたものを老化指数とする。たとえば、面積百
分率が0.16%であれば老化指数は16となる。表1に従い
最終的な老化度の判定を行う。
を液クロ用メタノールに5mg/10mlの濃度になるように
溶解し、その1mlを前過程で得られた乾燥遊離脂肪酸の
入ったガラススピッツに入れ、よく攪拌した後、1時間
以上室温にて反応させ、その5μlを高速液クロマトグ
ラフィーで分析した。 高速液クロマトグラフィーの条件 高速液クロ装置:島津LC−9A 2台、システムコン
トローラー(SCL-6B)、自動試料注入装置(SIL-6B) 、
カラムオーブン(CTO-6A)、脱気装置(DGU-3A)、自動
解析装置(CR-4A)、蛍光分光光度計(RF540) カラム:Zorbax C8 (デュポン)、25cm×4.6mm id、カ
ラム温度60℃ 移動相:アセトニトリルと水の混液(濃度勾配法;0
分、アセトニトリル80%、20分 80%、60分 100%、70
分 100%と設定し直線的な濃度勾配をかける) 移動相の流量:1.6ml /min 蛍光分光度計の波長設定:ex 365nm、em 412nm 脂肪酸はクロマトグラフ上、C20:5、C18:3、C2
2:6、C20:4、C18:2、C20:3、C16:0、C2
2:4、C18:1、C18:0、C20:1、C20:0、C2
2:1、C22:0、C24:1、C24:0、C25:0、C2
6:0などの同定された脂肪酸ピークとともに未同定の
ピークも検出されるが、C20:5の後C26:0(ヘキサ
コサン酸)までのすべてのピークの面積の総和に対する
C26:0の面積百分率(%)を、自動分析器を使い算出
する。この数値を小数点三位以下は四捨五入し、それに
100を掛けたものを老化指数とする。たとえば、面積百
分率が0.16%であれば老化指数は16となる。表1に従い
最終的な老化度の判定を行う。
【表1】 なお、副腎白質ジストロフィー症など、極長鎖脂肪酸の
代謝異常でのヘキサコサン酸の赤血球膜への蓄積がみら
れる疾患の除外は血しょうのヘキサコサン酸の測定をも
って行う。すなわち、赤血球膜で老化指数を測り、21以
上の場合は血しょうでヘキサコサン酸の測定を行い、そ
の蓄積がなければ、極長鎖脂肪酸代謝異常は除外できる
ことになる(Antoku, Y., et al., J. Neurol. Sci., 9
4, 193-200, 1989)。
代謝異常でのヘキサコサン酸の赤血球膜への蓄積がみら
れる疾患の除外は血しょうのヘキサコサン酸の測定をも
って行う。すなわち、赤血球膜で老化指数を測り、21以
上の場合は血しょうでヘキサコサン酸の測定を行い、そ
の蓄積がなければ、極長鎖脂肪酸代謝異常は除外できる
ことになる(Antoku, Y., et al., J. Neurol. Sci., 9
4, 193-200, 1989)。
【0013】 (4)健常人赤血球膜のヘキサコサン酸の分析 3歳から94歳までの95名の健康な男女の静脈血より赤血
球膜を分離精製後、総脂質を抽出し、加水分解により総
脂肪酸を抽出、高速液クロマトグラフィーにより脂肪酸
分析を行い、総脂肪酸中のヘキサコサン酸(C26:0)
の割合をみた。20歳以下では赤血球膜のヘキサコサン酸
はすべて0.20%以下であったため、対象者を0〜20歳、
21歳〜30歳、31歳〜40歳、41歳〜60歳、61歳以上の5群
に分け、それぞれの世代における、赤血球膜ヘキサコサ
ン酸が0.21%以上(ヘキサコサン酸高値例)の出現率を
比較した。結果は表2の如く、ヘキサコサン酸高値例の
出現は20歳以下では0%であるが、21歳以降から高値例
は出現し、高齢の群になるにつれてその出現率は増加し
た。この変化は血しょうでは認められなかった。
球膜を分離精製後、総脂質を抽出し、加水分解により総
脂肪酸を抽出、高速液クロマトグラフィーにより脂肪酸
分析を行い、総脂肪酸中のヘキサコサン酸(C26:0)
の割合をみた。20歳以下では赤血球膜のヘキサコサン酸
はすべて0.20%以下であったため、対象者を0〜20歳、
21歳〜30歳、31歳〜40歳、41歳〜60歳、61歳以上の5群
に分け、それぞれの世代における、赤血球膜ヘキサコサ
ン酸が0.21%以上(ヘキサコサン酸高値例)の出現率を
比較した。結果は表2の如く、ヘキサコサン酸高値例の
出現は20歳以下では0%であるが、21歳以降から高値例
は出現し、高齢の群になるにつれてその出現率は増加し
た。この変化は血しょうでは認められなかった。
【表2】
【0014】
【発明の効果】本発明は細胞レベルでの個体の老化度を
測定するまったく新しい方法であり、外観からはわから
ない個体の細胞レベルでの老化度の情報を提供すること
が可能となる。
測定するまったく新しい方法であり、外観からはわから
ない個体の細胞レベルでの老化度の情報を提供すること
が可能となる。
Claims (2)
- 【請求項1】 採取した細胞膜中の脂肪酸量を測定する
に当たり、脂肪酸中のヘキサコサン酸の割合を測定する
ことにより、細胞膜又は個体の老化度を判別する方法 - 【請求項2】 採取した細胞膜が赤血球膜である請求項
1記載の細胞膜又は個体の老化度を判別する方法
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04287036A JP3124130B2 (ja) | 1992-10-02 | 1992-10-02 | 老化度の判定方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04287036A JP3124130B2 (ja) | 1992-10-02 | 1992-10-02 | 老化度の判定方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06118078A true JPH06118078A (ja) | 1994-04-28 |
JP3124130B2 JP3124130B2 (ja) | 2001-01-15 |
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ID=17712216
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP04287036A Expired - Fee Related JP3124130B2 (ja) | 1992-10-02 | 1992-10-02 | 老化度の判定方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3124130B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2002040014A1 (fr) * | 2000-11-16 | 2002-05-23 | Morinaga Milk Industry Co., Ltd. | Composition lipidique destinee a l'administration par voie orale ou enterale et neurodepresseur a base d'acide hexacosanoique |
JP2009175210A (ja) * | 2008-01-22 | 2009-08-06 | Toagosei Co Ltd | 位相差フィルム付き偏光板の製造方法 |
JP2010025880A (ja) * | 2008-07-24 | 2010-02-04 | Takashi Omori | 生体細胞の機能の評価方法 |
-
1992
- 1992-10-02 JP JP04287036A patent/JP3124130B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2002040014A1 (fr) * | 2000-11-16 | 2002-05-23 | Morinaga Milk Industry Co., Ltd. | Composition lipidique destinee a l'administration par voie orale ou enterale et neurodepresseur a base d'acide hexacosanoique |
US6867234B2 (en) | 2000-11-16 | 2005-03-15 | Morinaga Milk Industry Co., Ltd. | Fat composition for oral or enternal administration and hexacosanoic acid depressant |
JP2009175210A (ja) * | 2008-01-22 | 2009-08-06 | Toagosei Co Ltd | 位相差フィルム付き偏光板の製造方法 |
JP2010025880A (ja) * | 2008-07-24 | 2010-02-04 | Takashi Omori | 生体細胞の機能の評価方法 |
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Publication number | Publication date |
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JP3124130B2 (ja) | 2001-01-15 |
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