JP2009171805A - ロータの製造方法及び電動パワーステアリング装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係るロータ22の製造方法では、セグメント磁石52が着磁処理される前の焼結磁性体51を、ロータ22のラジアル方向と平行に磁気配向させて複数製造しておく。このとき、製造上の誤差により、焼結磁性体51の磁気配向方向がロータ22のラジアル方向に対して回転方向に傾く。本発明では、それら磁気配向方向がロータ22のラジアル方向に対して回転方向に傾いた焼結磁性体51のなかから同じ回転方向に傾いた焼結磁性体51を所定複数以上、集めて、ロータ22に固定する。そして、ロータ22に固定した焼結磁性体51を着磁処理して磁気配向方向にNS極が分極したセグメント磁石52に変える。
【選択図】図6
Description
請求項1及び5の発明に係る製造方法で製造したロータでは、そのロータの外周面に固定された複数のセグメント磁石の分極方向が、ロータのラジアル方向に対して回転方向に傾いたとしても、それら傾きは全て同じ回転方向への傾きに統一される。これにより、同じロータに固定されたセグメント磁石同士の間で、ステータのティースに対して最も磁気吸引力が大きくなる電気角のばらつきが抑えられ、コギングトルクの低減を図ることができる。
同じロータに固定された複数のセグメント磁石の間で、ロータの回転方向における分極方向のばらつき角度と逆起電圧定数との関係をシミュレーションによって求めてグラフ化したところ、分極方向のばらつき角が約2度になったところを変曲点にして逆起電圧定数が悪化する(小さくなる)ことが分かった。また、分極方向のばらつき角度が大きくなるとコギングトルクが大きくなることも、シュミレーションによって確認することができた。そして、請求項2及び6の発明によれば、同じロータに固定された複数のセグメント磁石の間で、ロータの回転方向における分極方向のばらつき角度が2度以下に抑えられるので、コギングトルクの低減と共に逆起電圧定数の向上を図ることができる。
請求項3の発明によれば、磁気配向方向がロータの一方の回転方向に傾いた第1の焼結磁性体をその長手方向の両端部が入れ替わるように回転させることで、磁気配向方向がロータの他方の回転方向に傾いた第2の焼結磁性体になる。これにより、磁気配向方向が一方側に傾いた第1の焼結磁性体と、他方側に傾いた第2の焼結磁性体とを一纏めにすることができる。これと同様に、請求項7の発明によれば、分極方向が一方側に傾いた第1のセグメント磁石と、他方側に傾いた第2のセグメント磁石とを一纏めにすることができる。
請求項4の発明によれば、磁性粉体を成形金型にて断面長方形の角柱体に成形する際に、その角柱体は圧力と共に磁束を受ける。そして、角柱体が成形金型の内面から受ける摩擦によって、角柱体のうち磁束付与方向の両端部における磁気配向方向が磁束付与方向に対して斜めになり得る。そして、焼結後の角柱体が焼結磁性体に縦割り分割されるので、角柱体のうち磁束付与方向の一端部に位置した焼結磁性体を上記した第1の焼結磁性体とする一方、他端部に位置した焼結磁性体を上記した第2の焼結磁性体として扱うことができる。
請求項8の発明に係る電動パワーステアリング装置の製造方法によれば、電動パワーステアリング装置の操舵フィーリングを向上させることができる。
以下、本発明の一実施形態を図1〜図8に基づいて説明する。図1及び図2に示した成形金型60は、セグメント磁石52の母材となる角柱体50を成形するためのものである。この成形金型60は、ベース金型61と可動金型62とからなり、ベース金型61には角柱状の成形部屋63が形成されている。成形部屋63は、ベース金型61のうち可動金型62との対向面に開放した上面開口63Aを有しており、可動金型62に備えた角柱状の押圧突部64が上面開口63Aから成形部屋63内に嵌合挿入されて、成形部屋63内の磁性粉体を角柱体50に成形する。ここで、上面開口63Aは、図2に示すように、細長い長方形になっており、その上面開口63Aの長手方向が角柱体50の長軸方向Zになっている。
本発明の効果を確認するために、「磁場解析ソフトJ−Mag」というシミュレーションソフトを用いて、10極12スロット(10個のセグメント磁石と、12個のティースとを有した)のモータにおいて、ロータに固定された複数のセグメント磁石同士の間の分極方向のばらつき角度と逆起電圧定数との関係、及び、前記ばらつき角度とコギングトルクとの関係を求めてグラフ化し、図9に示した。ここで、図9のグラフの横軸において、ばらつき角度がθ[deg]とは、ロータに固定された複数のセグメント磁石の分極方向とロータのラジアル方向との間の傾斜角が、0〜θ[deg]の範囲でばらついていることを意味する。
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
20 モータ
21 ステータ
22 ロータ
50 角柱体
51 焼結磁性体
52 セグメント磁石
60 成形金型
Claims (8)
- モータにおけるステータの内側に回転可能に組み付けられ、所定複数のセグメント磁石を外周面に固定して備えたロータの製造方法であって、
前記セグメント磁石が着磁処理される前の焼結磁性体を、前記ロータのラジアル方向と平行に磁気配向させて複数製造する磁性体製造工程と、
製造上の誤差により、前記磁気配向方向が前記ロータのラジアル方向に対して回転方向に傾いた前記複数の焼結磁性体のなかから同じ回転方向に傾いた前記焼結磁性体を前記所定複数以上、集める磁性体選定工程と、
前記磁性体選定工程で集めた前記焼結磁性体を前記ロータに固定する磁性体組付工程と、
前記ロータに固定した前記焼結磁性体を着磁処理して前記磁気配向方向にNS極が分極した前記セグメント磁石に変える着磁工程とを行うことを特徴とするロータの製造方法。 - 前記磁性体選定工程では、前記磁気配向方向が前記ロータの前記ラジアル方向に対して同じ回転方向に0〜2度の範囲で傾いた前記焼結磁性体を前記所定複数以上、集めることを特徴とする請求項1に記載のロータの製造方法。
- 前記磁性体選定工程では、前記磁気配向方向が前記ロータの前記ラジアル方向に対して一方の回転方向に傾いた第1の焼結磁性体と、他方の回転方向に傾いた第2の焼結磁性体とに区別し、前記第1の焼結磁性体をその長手方向の両端部が入れ替わるように回転させてから前記第2の焼結磁性体と共に一纏めにすることを特徴とする請求項1又は2に記載のロータの製造方法。
- 前記磁性体製造工程には、磁性粉体を成形金型にて断面長方形の角柱体に成形すると共に、その成形中に前記角柱体の断面形状である長方形の短辺方向を向いた圧力と長辺方向を向いた磁束とを付与する成形工程と、
前記成形された前記角柱体を焼結する焼結工程と、
前記焼結後の前記角柱体をその断面形状である長方形の長辺方向で3つ以上の前記焼結磁性体に縦割り分割する加工工程とが含められ、
前記磁性体選定工程では、前記角柱体のうち磁束付与方向の一端部に位置した前記焼結磁性体を前記第1の焼結磁性体とする一方、他端部に位置した前記焼結磁性体を前記第2の焼結磁性体とすることを特徴とする請求項3に記載のロータの製造方法。 - モータにおけるステータの内側に回転可能に組み付けられ、所定複数のセグメント磁石を外周面に固定して備えたロータの製造方法であって、
前記ロータのラジアル方向と平行にNS極が分極したセグメント磁石を複数製造する磁石製造工程と、
製造上の誤差により、前記分極方向が前記ロータの前記ラジアル方向に対して回転方向に傾いた前記複数のセグメント磁石のなかから同じ回転方向に傾いた前記セグメント磁石を前記所定複数以上、集める磁石選定工程と、
前記磁石選定工程で集めた前記セグメント磁石を、前記ロータに固定する磁性体組付工程とを行うことを特徴とするロータの製造方法。 - 前記磁石選定工程では、前記分極方向が前記ロータの前記ラジアル方向に対して同じ回転方向に0〜2度の範囲で傾いた前記セグメント磁石を前記所定複数以上、集めることを特徴とする請求項5に記載のロータの製造方法。
- 前記磁石選定工程では、前記分極方向が前記ロータの前記ラジアル方向に対して一方の回転方向に傾いた第1のセグメント磁石と、他方の回転方向に傾いた第2のセグメント磁石とに区別し、前記第1のセグメント磁石をその長手方向の両端部が入れ替わるように回転させてから前記第2のセグメント磁石と共に一纏めにすることを特徴とする請求項5又は6に記載のロータの製造方法。
- 請求項1乃至7の何れかに記載の製造方法で製造した前記ロータを備えたモータを電動パワーステアリング装置の駆動源として組み付けることを特徴とする電動パワーステアリング装置の製造方法。
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