JP2009167989A - バルブタイミング制御装置及びバルブタイミング制御システム - Google Patents

バルブタイミング制御装置及びバルブタイミング制御システム Download PDF

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Abstract

【課題】内燃機関のオフ操作に伴いロック機構がロック状態となるよう正常に作動したか否かを判定する機能を備えた、バルブタイミング制御装置を提供する。
【解決手段】バルブタイミング調整機構が搭載されたエンジンに適用されており、当該調整機構は、クランク軸(駆動軸)とともに回転するハウジング(駆動側回転体)、カム軸(従動軸)とともに回転するロータ(従動側回転体)、及びロータを所定位置(最遅角位置)で相対回転不能にロックするロック機構、等を有する。そして、IGオフ操作を検出した場合に、ロータをロック位置に向けて相対回転させるよう作動油の供給状態を制御するロック制御手段と、エンジン始動時に、ロータがロック機構によりロックされたロック状態及び非ロック状態のいずれであるかの判定を、カム角センサの検出信号の挙動に基づき行うロック判定手段S23と、を備える。
【選択図】 図8

Description

本発明は、内燃機関に設けられた吸気バルブ及び排気バルブの少なくとも一方の開閉タイミングを調整するバルブタイミング調整機構の作動を制御する、バルブタイミング制御装置及びバルブタイミング制御システムに関する。
吸気バルブ及び排気バルブの少なくとも一方の開閉タイミングを調整する従来のバルブタイミング調整機構は、内燃機関のクランク軸(駆動軸)とともに回転する駆動側回転体と、カム軸(従動軸)とともに回転する従動側回転体とを備え、従動側回転体を駆動側回転体に対して相対回転させるよう油圧ポンプから作動油を供給する構成である。そして、作動油の供給先を制御バルブにより切り換え制御することで、従動側回転体を相対回転させる向きを制御している。
ここで、カム軸は、バルブスプリングから力を受けることに起因して、開弁作動時には回転を妨げる向きにトルクを受け、閉弁作動時には回転を促進する向きにトルクを受ける。つまり、周期的に変動するトルク(以下、変動トルクと呼ぶ)をカム軸は受けており、この変動トルクはカム軸を介して従動側回転体に伝達されることとなる。そして、内燃機関の始動時には、一方の回転体に供給される作動油の油圧が未だ低いため、従動側回転体が駆動側回転体に対して変動トルクにより揺れ動く状態(以下、バタツキ状態と呼ぶ)となる。すると、従動側回転体が駆動側回転体に衝突して打音が発生するといった問題や、一方の回転体を目標位置まで相対回転させるのに要する時間が長くなるといった問題が生じる。
これらの問題の対策として従来では、一方の回転体を所定位置(例えば最遅角位置)で相対回転不能にロックするロック機構を備えている(特許文献1等参照)。そして、内燃機関の停止を指令するためのイグニッションスイッチのオフ操作(以下、IGオフ操作と呼ぶ)を検出した場合に、一方の回転体をロック位置(最遅角位置)に向けて相対回転させるように制御バルブを制御するロック制御を実行している。これによれば、次回、イグニッションスイッチをオン操作して内燃機関を始動させる時には、従動側回転体はロック機構によりロックされているので、変動トルクを受けてもバタツキ状態にならない。よって、前述の打音発生や相対回転時間の短縮化を図ることができる。
特開2002−357136号公報
しかしながら、油圧ポンプは内燃機関を駆動源としているため、IGオフ操作後には油圧が低下する。すると、作動油の温度その他の各種条件によっては、前記ロック制御を行ったとしても一方の回転体がロック位置まで到達できない場合が生じる。そして、このようなロック位置まで到達できない不具合を抑制するといった観点の制御手法は従来より各種提案されているものの、ロック位置まで到達して正常にロック状態となっているか否かを判定する、といった観点の判定手法は一切提案されていない。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、内燃機関のオフ操作に伴いロック機構がロック状態となるよう正常に作動したか否かを判定する機能を備えた、バルブタイミング制御装置及びバルブタイミング制御システムを提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
請求項1記載の発明では、
吸気バルブ及び排気バルブの少なくとも一方の開閉タイミングを調整するバルブタイミング調整機構が搭載された内燃機関に適用され、
前記バルブタイミング調整機構は、前記内燃機関の駆動軸から前記バルブを開閉駆動する従動軸に駆動力を伝達する駆動力伝達系に設けられているとともに、前記駆動軸とともに回転する駆動側回転体、前記従動軸とともに回転する従動側回転体、前記内燃機関を駆動源とし、前記両回転体の一方を他方に対して相対回転させるよう作動油を供給する油圧ポンプ、及び前記一方の回転体を所定位置で相対回転不能にロックするロック機構、を有しており、
前記内燃機関の停止を指令するためのオフ操作を検出した場合に、前記一方の回転体を前記ロックの位置に向けて相対回転させるよう前記作動油の供給状態を制御するロック制御手段と、
前記内燃機関の始動時に、前記一方の回転体が前記ロック機構によりロックされたロック状態及び非ロック状態のいずれであるかの判定を、前記従動軸の回転角度を検出するカム角センサから出力される検出信号の挙動に基づき行うロック判定手段と、
を備えることを特徴とする。
ここで、本発明者らは、ロック状態で内燃機関を始動させた場合と、非ロック状態で内燃機関を始動させた場合とで、カム角センサから出力される検出信号の挙動が異なることに着目した。すなわち、非ロック状態では、先述の通り、従動側回転体が駆動側回転体に対して変動トルクにより揺れ動くバタツキ状態となる。すると、駆動軸から従動軸への回転トルク伝達が断続的になるため、従動軸が滑らかに回転することの妨げとなる。その結果、ロック状態で内燃機関を始動させた場合のカム角センサの検出信号(図7(d)参照)に対し、非ロック状態で始動させた場合の検出信号(図7(a)参照)は異なる挙動となる。
このような知見に鑑み、上記請求項1記載の発明では、内燃機関の始動時におけるカム角センサの検出信号の挙動に基づき、ロック状態及び非ロック状態のいずれであるかを判定する。よって、内燃機関のオフ操作に伴いロック機構がロック状態となるよう正常に作動したか否かを判定する機能を備えさせることができる。
請求項2記載の発明では、前記ロック機構は、前記一方の回転体を進角させるよう前記作動油の供給状態を進角制御することに伴い、前記ロック状態を解除するよう構成され、前記ロック判定手段により前記非ロック状態であると判定されている期間中、前記進角制御を禁止することを特徴とする。
ところで、非ロック状態で内燃機関を始動させてバタツキ状態となった時に、従動側回転体が駆動側回転体に対して揺れ動いた結果、従動側回転体がロック位置となりロック状態に移行する可能性がある。しかしながら、バタツキ状態の時に進角制御を実行すると、進角制御することに伴いロック状態を解除するようロック機構は構成されているため、前述の如くロック状態に移行する可能性が低くなり、バタツキ状態の長期化を招くおそれがある。
これに対し上記請求項2記載の発明では、非ロック状態であると判定されている期間中、進角制御を禁止するので、ロック状態に移行し易い状態にできる。よって、バタツキ状態の長期化抑制を図ることができる。
ここで、ロック制御手段による制御を実行しても正常にロック状態にならない要因の一つとして、作動油の温度が低いことに起因して一方の回転体を相対回転させる力が低くなっていることが挙げられる。したがって、外気温度が低い冬期においては、正常にロック状態にできない非ロックになる状況が、内燃機関を始動させる度に繰り返し発生する場合がある。そして、バタツキ状態が繰り返し発生すると、従動側回転体が駆動側回転体に繰り返し衝突することにより、バルブタイミング調整機構が損傷することが懸念される。
これに対し請求項3記載の発明では、ロック位置としての前記所定位置は、前記一方の回転体の最遅角位置に設定されており、前記内燃機関の始動時に前記非ロック状態であると判定された場合には、次回の前記オフ操作を検出するまでの間、前記一方の回転体の相対回転位置の目標値を遅角側に補正する進角抑制手段を備えることを特徴とする。
このような進角抑制手段によれば、一方の回転体の相対回転位置をロック位置である最遅角位置に近づけることができる。よって、ロック位置に近い状態で内燃機関をオフ操作することとなるので、一方の回転体がロック位置まで到達できずに非ロック状態となることを抑制できる。そして、内燃機関の始動時に非ロック状態を検出した場合に次回のオフ操作までの間、進角抑制手段による遅角側への補正を実行するので、上述の如くバタツキ状態が繰り返し発生することを抑制できる。
ここで、過去にロック位置まで到達できなかった時の作動油温度と同じ又はそれ以下であれば、以後においてロック制御手段を実行した時にも同じようにロック位置まで到達できない可能性が高い。そこで、請求項4記載の発明では、前記オフ操作を検出した時に、前記作動油の温度又は当該温度と相関のある物理量を検出して記憶し、前記内燃機関の運転中の前記作動油温度又は物理量が、前記オフ操作時に検出した前記作動油温度又は物理量の値以下であることを条件として、前記進角抑制手段による補正を実行することを特徴とする。
よって、ロック位置まで到達できない可能性が高い場合にのみ進角抑制手段による遅角側への補正を実行するので、前記可能性が高くない場合にまで進角抑制手段を実行させる制御に比べ、遅角側に補正することによる内燃機関の運転性能ダウンを招く機会を少なくできる。
請求項5記載の発明では、前記カム角センサは、前記従動軸に備えられたロータの突起部が当該カム角センサに近づくことに伴い増大するとともに遠ざかることに伴い減少するよう前記検出信号の出力値を変化させるものであり、前記ロック判定手段は、基準値に対する前記検出信号の増大量の積分値(図9(b)参照)と、前記基準値に対する前記検出信号の減少量の積分値(図9(c)参照)とを比較して、前記両積分値が所定量以上異なる値となっている異常状態を検出した場合に前記非ロック状態であると判定することを特徴とする。これによれば、検出信号の挙動(図7(a)(d)参照)が、バタツキ状態に起因した挙動になっているか否かを容易に判定することができる。
請求項6記載の発明では、前記ロック判定手段は、前記異常状態を複数回検出した場合に前記非ロック状態であると判定することを特徴とする。これによれば、検出信号にノイズが含まれる等の原因によりロック状態であるにも拘わらず非ロック状態であると誤判定するおそれを低減できる。
請求項7記載の発明は、上記バルブタイミング制御装置と、内燃機関の吸気バルブ及び排気バルブの少なくとも一方の開閉タイミングを調整するバルブタイミング調整機構と、を備えることを特徴とするバルブタイミング制御システムである。このバルブタイミング制御システムによれば、上述の各種効果を同様に発揮することができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、車両に搭載されて走行駆動源となる内燃機関にはガソリンエンジン11が適用され、該エンジン11はダブルオーバヘッドカム式である。そして、クランク軸12(駆動軸)からの動力がタイミングチェーン13により各スプロケット14,15を介して吸気側カム軸16(従動軸)と排気側カム軸17とに伝達されるようになっている。但し、吸気側カム軸16には、クランク軸12に対する吸気側カム軸16の進角量を調整するバルブタイミング調整装置18が設けられている。また、吸気側カム軸16の外周側には、カム角を検出するカム角センサ19が設置され、一方、クランク軸12の外周側には、クランク角を検出するクランク角センサ20が設置されている。
これらクランク角センサ20及びカム角センサ19の出力信号は、エンジン制御手段としてのエンジンECU21に入力される。そして、エンジンECU21によって図示しない吸気バルブの実バルブタイミングが演算されると共に、クランク角センサ20の出力パルスの周波数からエンジン回転速度が演算される。また、エンジン運転状態を検出する各種センサ(吸気圧センサ22、水温センサ23、スロットルセンサ24等)の出力信号や、イグニッションスイッチ25の出力信号がエンジンECU21に入力される。なお、イグニッションスイッチ25が車両ドライバによりオフ操作されると、エンジン11を停止させる停止指令信号がエンジンECU21に入力される。
このエンジンECU21は、これら各種の入力信号に基づいて燃料噴射制御や点火制御を行うと共に、後述する可変バルブタイミング制御を行い、吸気バルブの実バルブタイミング(吸気側カム軸16の実進角量)を目標バルブタイミング(目標進角量)に一致させるようにバルブタイミング調整装置18のバルブタイミングをフィードバック制御する。
このバルブタイミング調整装置18の油圧回路には、オイルパン27内のオイルが油圧ポンプ28により作動油として供給される。油圧ポンプ28はエンジン11を駆動源としており、クランク軸12からの動力がタイミングチェーンにより伝達されるようになっている。
そして、油圧ポンプ28による作動油の供給先を油圧制御バルブ29により切り換えることで、バルブタイミングを進角側及び遅角側のいずれに変化させるかを制御する。また、油圧制御バルブ29により作動油の供給量を制御することで、吸気側カム軸16の実進角量(実バルブタイミング)が制御される。
また、エンジンECU21の電源端子には、メインリレー71のスイッチ72を介してバッテリ73のプラス端子側が接続されている。エンジンECU21は、イグニッションスイッチ25からオン信号が入力されると、メインリレー71のリレー駆動コイル74に通電してメインリレー71のスイッチ72をオンし、バッテリ73から電源の供給を受ける。メインリレー71を通して供給される電源は、エンジンECU21の他に、油圧制御バルブ29等、制御系全体に供給される。メインリレー71は、イグニッションスイッチ25のオフ後も、引き続き所定時間オン状態に保持され、その期間に、後述するロック制御を実行できるようになっている。
次に、図2〜図4に基づいてバルブタイミング調整装置18の構成を説明する。
バルブタイミング調整装置18のハウジング31(駆動側回転体(他方の回転体))は、吸気側カム軸16の外周に回動自在に支持されたスプロケット14にボルト32で締め付け固定されている。これにより、クランク軸12の回転がタイミングチェーン13を介してスプロケット14とハウジング31に伝達され、スプロケット14とハウジング31がクランク軸12と同期して回転するようになっている。
一方、吸気側カム軸16は、シリンダヘッド33とベアリングキャップ34により回転可能に支持され、この吸気側カム軸16の一端部に、ロータ35(従動側回転体(一方の回転体))がストッパ36を介してボルト37で締め付け固定されている。このロータ35は、ハウジング31内に相対回転自在に収納されている。
図3及び図4に示すように、ハウジング31の内部には、複数の油圧室40が形成され、各油圧室40が、ロータ35の外周部に形成されたベーン41によって進角室42と遅角室43とに区画されている。そして、ロータ35の外周部とベーン41の外周部には、それぞれシール部材44が装着され、各シール部材44が板ばね45(図2参照)によって外周方向に付勢されている。これにより、ロータ35の外周面とハウジング31の内周面との隙間及びベーン41の外周面と油圧室40の内周面との隙間がシール部材44でシールされている。
図2に示すように、吸気側カム軸16の外周部に形成された環状の進角溝46と遅角溝47が、それぞれ油圧制御バルブ29の所定ポートに接続され、エンジン11の動力で油圧ポンプ28が駆動されることにより、オイルパン27から汲み上げたオイル(作動油)が油圧制御バルブ29を介して進角溝46や遅角溝47に供給される。進角溝46に接続された進角油路48は、吸気側カム軸16の内部を貫通してロータ35に形成された円弧状進角油路49(図3参照)に連通するように形成され、この円弧状進角油路49が各進角室42に連通している。一方、遅角溝47に接続された遅角油路50は、吸気側カム軸16の内部を貫通してロータ35に形成された円弧状遅角油路51(図4参照)に連通するように形成され、この円弧状遅角油路51が各遅角室43に連通している。
油圧制御バルブ29は、ソレノイド53とスプリング54で弁体を駆動する4ポート3位置切換弁であり、弁体の位置を、進角室42に作動油を供給する進角供給位置と、遅角室43に作動油を供給する遅角供給位置と、進角室42と遅角室43のいずれにも作動油を供給しない保持位置との間で切り換えるようになっている。ソレノイド53の通電停止時には、スプリング54によって弁体が進角室42に作動油を供給する位置に自動的に切り換えられ、カム軸位相を進角させる方向に油圧が働くようになっている。なお、図1及び図2に示す油圧制御バルブ29は、ソレノイド53の通電時における作動状態を示している。
進角室42と遅角室43に所定圧以上の油圧が供給された状態では、進角室42と遅角室43の油圧でベーン41が固定されて、クランク軸12の回転によるハウジング31の回転が作動油を介してベーン41に伝達される。これにより、前述した変動トルクによりロータ35がハウジング31に対して揺れ動いてしまうこと(バタツキ)が抑制された状態で、クランク軸12と吸気側カム軸16とは一体的に回転する。
エンジン運転中は、進角室42と遅角室43の油圧を油圧制御バルブ29で制御してロータ35をハウジング31に対して相対回転させることで、クランク軸12に対する吸気側カム軸16の回転位相(カム軸位相)を制御して吸気バルブのバルブタイミングを可変する。具体的には、油圧制御バルブ29を前述の進角供給位置又は遅角供給位置に作動させてロータ35を相対回転させ、目標相対回転位置に到達したら、油圧制御バルブ29を保持位置に作動させてロータ35の相対回転位置を保持させる。
ここで、吸気側カム軸16が吸気バルブを駆動する場合に、吸気バルブを閉弁方向に付勢するバルブスプリングから吸気側カム軸16は正・負に変動する変動トルクを受ける。正方向の変動トルクは、ロータ35を遅角側に相対回転させる方向のトルクを表し、負方向の変動トルクは、ロータ35を進角側に相対回転させる方向のトルクを表している。そして、変動トルクの平均は正方向、つまり遅角方向に働いている。そこで、ロータ35を進角側に相対回転させる場合に、遅角側に相対回転させる場合に比べて相対回転の応答性が悪化することを回避するために、進角方向に相対回転させる油圧力をばね力で補助するばね部材としてのコイルばね55(図2参照)を備えている。このコイルばね55はスプロケット14に収容されている。
また、図3及び図4に示すように、いずれか1つのベーン41に形成されたロックピン収容孔57には、ハウジング31に対してロータ35を相対回転不能にロックするためのロックピン58(ロック機構)が出没可能に収容され、このロックピン58がハウジング31に設けられた図2に示すロック穴59(ロック機構)に嵌り込むことで、カム軸位相がその調整可能範囲の最遅角位置(ロック位置)でロックされる。
図5及び図6に示すように、ロックピン58は、ロックピン収容孔57の内周に嵌合された円筒部材61内に摺動可能に挿入され、スプリング62によってロック方向(突出方向)に付勢されている。また、ロックピン58の中央外周部に形成された弁部63によって、円筒部材61とロックピン58との隙間が、ロック油圧室64とロック解除保持用の解除保持油圧室65とに区画されている。そして、ロック油圧室64と解除保持油圧室65に進角室42から作動油を供給するために、ベーン41には、進角室42に連通するロック油路66とロック解除保持用の油路67が形成されている。また、ハウジング31には、ロック穴59と遅角室43とを連通するロック解除油路68が形成されている。
図5に示すように、ロックピン58のロック時には、ロックピン58の弁部63がロック解除保持用の油路67を塞いで、ロック油路66をロック油圧室64に連通させた状態となる。これにより、進角室42からロック油圧室64に油圧が供給され、この油圧とスプリング62によってロックピン58がロック穴59に嵌まり込んだ状態に保持され、カム軸位相が最遅角位置でロックされる。
エンジン停止中は、ロック油圧室64の油圧(進角室42の油圧)が低下するが、スプリング62によってロックピン58がロック位置に保持される。したがって、エンジン始動は、ロックピン58がロック位置に保持された状態(最遅角位置)で行われ、エンジン始動後に、ロック穴59の油圧(遅角室43の油圧)が高くなると、その油圧によって次のようにしてロックピン58のロックが解除される。エンジン始動後に、遅角室43からロック解除油路68を通してロック穴59に供給される油圧(ロック解除方向の力)が、ロック油圧室64の油圧(進角室42の油圧)とスプリング62のばね力との合力(ロック方向の力)よりも大きくなると、ロック穴59の油圧によってロックピン58がロック穴59から押し出されて図6のロック解除位置に移動し、ロックピン58のロックが解除される。
このロック解除状態では、図6に示すように、ロックピン58の弁部63がロック油路66を塞いで、ロック解除保持用の油路67を解除保持油圧室65に連通させた状態となる。これにより、進角室42から解除保持油圧室65に油圧が供給され、この解除保持油圧室65の油圧(進角室42の油圧)とロック穴59の油圧(遅角室43の油圧)とによってロックピン58がスプリング62に抗してロック解除位置に保持される。そして、エンジン運転中は、進角室42と遅角室43のいずれかの油圧が高くなっているため、その油圧でロックピン58がロック解除位置に保持され、ロータ35が相対回転可能な状態(つまりバルブタイミング制御が可能な状態)に保持される。
エンジンECU21は、ソレノイド53の作動を制御することにより油圧制御バルブ29の作動を制御する進遅角位置制御手段としても機能し、クランク角センサ20及びカム角センサ19の出力信号に基づいて吸気バルブの実バルブタイミング(吸気側カム軸16の実進角量)を演算すると共に、吸気圧センサ22、水温センサ23等のエンジン運転状態を検出する各種センサの出力に基づいて吸気バルブの目標バルブタイミング(吸気側カム軸16の目標進角量)を演算する。そして、吸気バルブの実バルブタイミングを目標バルブタイミングに一致させるようにバルブタイミング調整装置18の油圧制御バルブ29をフィードバック制御する。
換言すれば、エンジンECU21は、進角室42と遅角室43の油圧を制御して、ハウジング31に対するロータ35の実相対回転位置(実進角量に相当)を目標相対回転位置(目標進角量に相当)まで相対回転させることで、吸気バルブの実バルブタイミングが目標バルブタイミングに一致するよう、カム軸位相を変化させる。
その後、エンジン11を停止させる際に、エンジン回転速度が低下すると、油圧ポンプ28の吐出圧が低下するため、進角室42や遅角室43の油圧が低下してくる。これにより、解除保持油圧室65の油圧(進角室42の油圧)とロック穴59の油圧(遅角室43の油圧)が低下して、スプリング62のばね力がこれらの油圧に打ち勝つようになると、スプリング62のばね力によってロックピン58が突出してロック穴59に嵌まり込むようになる。但し、ロックピン58がロック穴59に嵌まり込むには、両者の位置が一致していること、つまり、ロータ35が最遅角位置に一致していることが条件となる。
この条件を満たすべく、イグニッションスイッチ25のオフ操作(IGオフ操作)を検出した場合に、エンジンECU21は、ロータ35をロック位置(最遅角位置)に向けて相対回転させるように油圧制御バルブ29を制御するロック制御を実行している。このロック制御によりロータ35を最遅角位置に到達させることができれば、ロックピン58がロック穴59に嵌まり込んだロック状態で、次回、IGオン操作してエンジン11を始動させることができる。
ここで、エンジン始動時には、進角室42及び遅角室43に作動油が供給されていないため、仮に、ロックピン58がロック穴59に嵌まり込んでいない非ロック状態であったとすれば、前述した変動トルクによりロータ35がハウジング31に対して揺れ動いてしまう状態(バタツキ状態)となり、ロータ35がハウジング31に衝突して異音発生及びバルブタイミング調整装置18の損傷を招くおそれがある。しかしながら、上述のロック制御によりエンジン始動時にロック状態になっていれば、ロータ35は相対回転不能にロックされるので、前記バタツキ状態を回避できる。
また、油圧ポンプ28はエンジン11を駆動源としているため、IGオフ操作後には油圧が低下する。すると、作動油の温度その他の各種条件によっては、前記ロック制御を行ったとしてもロータ35がロック位置まで到達できないことが懸念される。そこで、IGオフ操作後、所定時間Ta,Tb(図11参照)は燃料噴射を継続することで油圧低下開始時期を遅らせて、上記懸念の解消を図っている。
但し、前記所定時間Ta,Tbを長くするほどロック位置まで到達できない懸念を低減できるものの、車両運転者に対しては、IGオフ操作したにも拘わらず即座にエンジン11が停止しないことに対する違和感を与えてしまう。よって、前記所定時間Ta,Tbを十分には長くできないことが実情であり、ロック制御を行ってもロック状態にできない場合が生じうる。
本実施形態では、エンジン始動時に、ロック状態及び非ロック状態のいずれであるかを判定するロック判定処理を実行する。以下、エンジンECU21のマイクロコンピュータが実行する、図7及び図8に示すロック判定処理のプログラムについて説明する。なお、これら図7及び図8の処理は、所定周期(例えばマイコンが有するCPUの演算周期)毎又は所定のクランク角度毎に繰り返し実行される。
先ず、図7のステップS10においてIGオフ操作の有無を検出する。つまり、イグニッションスイッチ25がオンからオフに切り替わったか否かを判定する。IGオフ操作が検出された場合(S10:YES)には、続くステップS11において、IGオフ操作時のエンジン冷却水の温度、及びロータ35の進角量を、上記マイコンが有する不揮発性記憶手段(例えばEEPROM)に記憶させる。冷却水の温度は水温センサ23により取得し、進角量は、ロータ35のハウジング31に対する実相対回転位置を検出する位相センサ(図示せず)により取得する。なお、進角量は、ロータ35の最遅角位置を0度とする。以上により、IGオフ操作時の冷却水温度及び進角量が記憶保持される。
次に、図8のステップS20において、IGオンの状態になっているか否かを判定する。IGオン状態であると判定(S20:YES)された場合、続くステップS21において、エンジン11が始動を開始してクランク軸12が回転している状態であるか否か、具体的には、クランク角センサ20の検出値に基づき算出されたエンジン回転速度がゼロより大きいか否かを判定する。
エンジン回転速度がゼロより大きいと判定(S21:YES)された場合、続くステップS22において、カム角センサ19から出力される検出信号の挙動を算出する。ここで、図9に示すカム角センサ19の構造、及び、カム角センサ19から出力される検出信号の挙動(図10参照)について詳細に説明する。
吸気側カム軸16には、突起部16bを有するロータ16aが取り付けられており、当該ロータ16aは吸気側カム軸16と一体的に回転する。本実施形態に係るカム角センサ19には電磁ピックアップ方式のセンサが採用されており、鉄心19a、鉄心19aに巻き回されたコイル19b、及び鉄心19aの一端に隣接配置された磁石19cを備えて構成されている。鉄心19a他端面は、コイル19bとともに検出面19dを形成する。
そして、ロータ16aの回転に伴い突起部16bが検出面19dに近づくと、コイル19bからの出力電圧が上昇する。一方、突起部16bが検出面19dから遠ざかると出力電圧が下降する。このような出力電圧の変化がカム角センサ19の検出信号となる。図10(d)は、ロック状態でありバタツキ状態となっていない場合の検出信号の経過時間に伴う変化(挙動)を示している。
具体的には、t10時点から突起部16bが検出面19dに近づき始めるとともに、カム角センサ19の出力電圧がゼロからプラス側に上昇を開始する。その後、出力電圧が下降を開始した後、突起部16bが検出面19dに最も近づくt20時点にて出力電圧がゼロとなる。その後、突起部16bが検出面19dから遠ざかり始めるとともに、出力電圧がゼロからマイナス側にさらに下降を続ける。その後、出力電圧が上昇を開始した後、突起部16bが、カム角センサ19に与える磁界変化が無くなるほど検出面19dから遠ざかったt30時点にて出力電圧がゼロとなる。
なお、突起部16bはロータ16aの1箇所のみに形成されているため、出力電圧がゼロからプラスに変化しその後マイナスに変化する波形は、吸気側カム軸16が1回転する毎に1回出現する。また、吸気側カム軸16が上死点に位置する時に突起部16bが検出面19dに最も近づくよう、ロータ16aは吸気側カム軸16に固定されている。よって、出力電圧がプラスとなる期間MAからマイナスとなる期間MBに切り替わる時点を検出すれば、このように検出したt20時点が吸気側カム軸16の上死点であると特定できる。
図10(d)に示す正常時の検出信号挙動に対し、図10(a)は、非ロック状態でありバタツキ状態となっている場合の検出信号の経過時間に伴う変化(挙動)を示している。具体的には、t10時点から突起部16bが検出面19dに近づき始めるとともに、出力電圧がプラス側に上昇を開始する。その後、出力電圧が下降を開始した後、突起部16bが検出面19dに最も近づくt20時点にて出力電圧がゼロとなる。
しかしながら、t20時点直後、出力電圧の絶対値は僅かであり、図10(d)に示す如く出力電圧のマイナス値が大きく現れることがない。これは、エンジン始動直後のため進角室42及び遅角室43に作動油が供給されていないことに加え、非ロック状態であるため、t20時点近傍から、ロータ35がハウジング31に対して揺れ動くバタツキ状態となっていることに起因すると考察される。バタツキ状態になると、クランク軸12の回転力をハウジング31からロータ35に常時伝達することはできなくなるため、吸気側カム軸16の回転は不安定となり、回転速度の変化が一定ではなく脈動することとなる。
図10(a)の例では、t21時点で、ロータ35が揺れ動いて最遅角位置に相対回転し、ロックピン58がロック穴59に嵌り込んでロック状態となっている。したがって、t21時点後、出力電圧のマイナス値が大きく現れている。よって、このようにマイナス値が大きく現れるタイミング(図10の例ではt30近傍)は、エンジン始動時から正常にロック状態となっている図10(d)においてマイナス値が大きく現れるタイミング(図10の例ではt20直後)に比べて遅い。このように、エンジン始動時において正常にロック状態となっている場合と非ロック状態の場合とで、出力電圧の挙動に違いが生じる。
この点に着目し、ステップS22では、カム角センサ19による出力電圧の、基準値(0V)に対する増大量の積分値(プラス電圧側の積分値)と、基準値(0V)に対する減少量の積分値(マイナス電圧側の積分値)とを算出している。図10(b)(c)は非ロック状態の場合(異常時)におけるプラス電圧側及びマイナス電圧側の積分値の変化をそれぞれ示す。また、図10(e)(f)はロック状態の場合(正常時)におけるプラス電圧側及びマイナス電圧側の積分値の変化をそれぞれ示す。
上記着目点に基づき、本発明者らは以下の知見を得た。すなわち、異常時における出力電圧のマイナス値は、非ロック状態であれば先述の如く大きくは現れない。また、途中でロック状態に移行したとしてもその出現タイミングは遅くなる。よって、図10(b)(c)に示す如く、所定期間MA,MBにおける異常時のマイナス電圧側積分値B1はプラス電圧側積分値A1に比べて小さい。一方、図10(e)(f)に示す如く、正常時のマイナス電圧側積分値B2はプラス電圧側積分値A2と略同一である。
なお、前述の所定期間MA,MBは、正常時において出力電圧がゼロから増大して再度ゼロに戻るまでに要する時間、及びゼロから減少して再度ゼロに戻るまでに要する時間となるよう設定されている。
続くステップS23(ロック判定手段)では、上記知見に基づき、マイナス電圧側積分値の絶対値A1とプラス電圧側積分値の絶対値B1とが所定量以上異なる場合に、異常状態(つまり非ロックによるバタツキ状態)であると判定する。具体的には、積分値B1に対する積分値A1の割合(A1/B1)が所定値より大きい場合に、両積分値A1,B1が所定量以上異なるとして上述の異常状態であると判定する。
バルブタイミング調整装置18の現在の状態がバタツキ状態(異常状態)であると判定(S23:YES)された場合には、続くステップS24において、バタツキ回数をカウントアップする。両積分値A1,B1は所定期間MA,MB毎に算出されるため、ステップS23によるバタツキ有無の最終的な判定はカム軸16が1回転する毎に行われる。このような最終的判定にてバタツキ有りと判定された回数が、上記バタツキ回数である。なお、ステップS20にてIGオフ状態であると判定(S20:NO)されると、カウントアップしたバタツキ回数はリセットされる。
続くステップS25では、ロータ35をハウジング31に対して進角側に相対回転させるよう、油圧制御バルブ29の作動をECU21が制御する進角制御を、禁止する。一方、現在の状態がバタツキ状態(異常状態)でない正常状態であると判定(S23:NO)された場合には、ステップS28にて進角制御の実行を許可する。
また、正常状態であると判定(S23:NO)された場合には、ステップS26において、ステップS24でカウントアップされたバタツキ回数が所定回数以上(本実施形態では5回以上)であるか否かを判定する。バタツキ回数≧5回であると判定(S26:YES)された場合にはステップS27(進角抑制手段)に処理は進む。
ステップS27では、現在のエンジン冷却水温度が、図7のステップS11にて記憶された前回エンジン停止時に記憶した冷却水温度より低い領域である場合に限り、目標進角量を所定値だけ減らすよう補正する。或いは、ステップS11にて記憶された実進角量を超えないように目標進角量を補正する。バタツキ回数≧5回でないと判定(S26:NO)された場合、或いはステップS27の処理後、続くステップS28において、前述の如く進角制御の実行を許可する。
次に、図7及び図8の処理による実進角量の変化等の一態様を、図11を用いて説明する。図11(a)はイグニッションスイッチ25のオンオフ状態、(b)はエンジンオイル温度、つまりバルブタイミング調整装置18に用いる作動油の温度、(c)はエンジン回転速度、(d)は目標エンジン回転速度、(e)は、燃焼室への吸気量を調整するスロットルバルブの開度、(f)は、クランク軸12に対する吸気側カム軸16の実進角量の変化をそれぞれ示す。
図11の態様ではエンジン11の運転を2回行っている。すなわち、t1時点にてイグニッションスイッチ25をオン操作してエンジン11を始動させ、1回目の運転(前回運転)を行った後、t2時点にてイグニッションスイッチ25をオフ操作してエンジン11を停止させる。その後再び、t5時点にてIGオン操作してエンジン11を始動させ、2回目の運転(今回運転)を行った後、t8時点にてIGオフ操作してエンジン11を停止させている。
1回目運転始動時(t1時点)には、バルブタイミング調整装置18がロック状態となっているため、t1時点ではカム軸位相が最遅角位置となっている(図11(f)参照)。その後、暖機運転期間が経過して進角量が徐々に増大し、最進角位置となった状態でt2時点にてIGオフ操作している。IGオフ操作後、t3時点までの所定時間Taは燃料噴射を継続して、先述の如く油圧低下開始時期を遅らせている。t3時点から噴射カットに伴いエンジン回転速度を徐々に低下させ、少なくとも所定時間Taを含むt2時点以降の期間中、ロータ35を強制的に最遅角位置まで相対回転させるロック制御を行う。図11の態様では、1回目のロック制御ではロータ35を最遅角位置まで到達させることができず、t4時点において非ロック状態となっている。
2回目運転始動時(t5時点)には、非ロック状態となっているためバタツキ状態となり、ロータ35がハウジング31に対して揺れ動くことに起因して実進角量が変動する。その後、ロータ35が揺れ動いてt6時点(図10(a)の例では、t21時点)でロック状態に移行している。したがって、t5時点からt6時点までの間に、図8のステップS23にてバタツキ有りと判定され、t6時点以降はステップS28にて進角制御の実行が許可されることとなる。その後、暖機運転期間の経過に伴いt7時点にてロック状態が解除され、進角量が徐々に増大し、最進角位置となった状態でt8時点にてIGオフ操作している。
なお、t5時点以降のバタツキが所定回数以上有った場合には、図8のステップS26にて肯定判定されることとなる。そして、前回エンジン停止時に記憶した冷却水温度より低い領域であれば、ステップS27により目標進角量が所定値だけ減補正され、進角量が抑制されることとなる(図11(f)参照)。なお、図11(f)中の一点鎖線は進角量が抑制されなかった場合の実進角量の変化を示す。
このように進角量が抑制された状態でt8時点にてIGオフ操作した後、t9時点までの所定時間Tbは燃料噴射を継続して油圧低下開始時期を遅らせている。t9時点から噴射カットに伴いエンジン回転速度を徐々に低下させ、少なくとも所定時間Tbを含むt8時点以降の期間中、ロック制御を行う。1回目のロック制御ではロータ35を最遅角位置まで到達させることができなかったのに対し、2回目のロック制御では、ロック制御を開始するt8時点において最進角位置となっていないため、最遅角位置までに要するロータ35の相対回転量が少ない。よって、エンジン11が停止するt10時点までの間にロータ35を最遅角位置まで到達させることができ、t10時点までにはロック状態となっている。よって、次回エンジン11を始動させる時にはロック状態となっているため、バタツキ状態が回避される。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)エンジン始動時に非ロック状態(異常状態)となっている場合には、所定期間MA,MBにおけるマイナス電圧側積分値B1はプラス電圧側積分値A1に比べて小さくなる。一方、エンジン始動時にロック状態(正常状態)となっている場合には、両積分値B2,A2は略同一である。この知見を鑑み、本実施形態では、カム角センサ19の検出信号挙動に基づき非ロック状態の有無を判定している。すなわち、両積分値が所定量以上異なっていることを検出した場合に非ロック状態であると判定するので、検出信号の挙動(図7(a)(d)参照)が、バタツキ状態に起因した挙動になっているか否かを容易に判定することができる。
(2)非ロック状態であると判定(S23:YES)されている期間(t5〜t6)中、ステップS25の処理により進角制御を禁止するので、ロック状態に移行し易い状態にできる。よって、バタツキ状態期間(t5〜t6)の長期化抑制を図ることができる。
(3)エンジン始動時に非ロック状態であると判定された場合には、次回IGオフ操作に係るt8時点までの期間(t7〜t8)、ステップS27の処理により目標進角量を遅角側に補正して進角量を抑制するので、エンジン11が停止するt10時点までの間に最遅角位置まで到達させてロック状態にできる。よって、次回エンジン11を始動させる時にはロック状態となっているため、バタツキ状態を回避できる。
(4)上記進角量抑制の処理は、前回エンジン停止時に記憶した冷却水温度より低い領域である場合に限り実行するので、エンジン停止時のロック制御によりロック位置まで到達できない可能性が高い場合にのみ進角量が抑制される。よって、前記可能性が高くない場合にまで進角量を抑制させる制御に比べ、遅角側に補正することによるエンジン11の運転性能ダウンを招く機会を少なくできる。
(5)上記進角量抑制の処理は、ステップS23にて検出されたバタツキ回数が所定回数以上であったことを条件として実行する。よって、カム角センサ19の検出信号にノイズが含まれる等の原因によりロック状態であるにも拘わらず非ロック状態であると誤判定した場合にまで、進角量を抑制してしまうことを回避できる。
(他の実施形態)
上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。また、本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、各実施形態の特徴的構造をそれぞれ任意に組み合わせるようにしてもよい。
・上記実施形態では、エンジン冷却水温度に基づきステップS27による進角量抑制の実行可否を判定しているが、エンジン冷却水温度に替えて作動油温度に基づき、進角量抑制の実行可否を判定するようにしてもよい。また、作動油温度と相関のある物理量であれば、エンジン冷却水温度に限らず、例えば外気温度に基づき前記判定を行ってもよい。
・上記実施形態では、ステップS27による進角量抑制は、バタツキ回数が所定回数以上であったことを条件として実行しているものの、ステップS25の進角制御禁止は、バタツキ回数に拘わらず実行している。これに対し、進角制御禁止についてもバタツキ回数が所定回数以上であったことを条件として実行するようにしてもよい。また、バタツキ有無を判定するにあたり、両積分値が所定量以上異なるとともに、バタツキ回数が所定回数以上であった場合に、バタツキ有りと判定するようにしてもよい。
・上記実施形態では、ステップS11にて実進角量及び水温を検出して記憶させているが、水温のみを記憶させるようにしてもよい。また、実進角量を検出記憶させる場合には、当該記憶した実進角量に応じて、ステップS27における進角量の減量補正量、或いは、実進角量の制限値を可変設定するようにしてもよい。
・上記実施形態では、バタツキ有りと判定された場合に、ステップS25の進角制御禁止及びステップS27の進角抑制の両制御を実行するが、これら両制御のうちいずれか一方を廃止し、他方のみを実行するようにしてもよい。
・バタツキ有りと判定された場合に、車両に搭載されたOBD(onboard diagnosis)装置により異常処理(例えば異常報知等)を実行させるようにしてもよい。
本発明の一実施形態に係る制御システム全体を示す概略構成図。 図1のバルブタイミング調整装置を示す縦断面図。 図2のI−I断面図。 図2のII−II断面図。 図2のロック機構によるロック状態を示す断面図。 図2のロック機構によるロック解除状態を示す断面図。 図1のエンジンECUによるロック判定処理の制御内容を示すフローチャート。 図1のエンジンECUによるロック判定処理の制御内容を示すフローチャート。 図1のカム角センサの構造を示す概略図。 図1のカム角センサから出力される検出信号の挙動を示すタイムチャート。 図7及び図8の処理による実進角量の変化等の一態様を示すタイムチャート。
符号の説明
11…ガソリンエンジン(内燃機関)、12…クランク軸(駆動軸)、16…カム軸(従動軸)、18…バルブタイミング調整装置(バルブタイミング調整機構)、21…エンジンECU(ロック制御手段)、28…油圧ポンプ(バルブタイミング調整機構)、31…ハウジング(駆動側回転体)、35…ロータ(従動側回転体)、58…ロックピン(ロック機構)、59…ロック穴(ロック機構)、S23…ロック判定手段、S27…進角抑制手段。

Claims (7)

  1. 吸気バルブ及び排気バルブの少なくとも一方の開閉タイミングを調整するバルブタイミング調整機構が搭載された内燃機関に適用され、
    前記バルブタイミング調整機構は、前記内燃機関の駆動軸から前記バルブを開閉駆動する従動軸に駆動力を伝達する駆動力伝達系に設けられているとともに、前記駆動軸とともに回転する駆動側回転体、前記従動軸とともに回転する従動側回転体、前記内燃機関を駆動源とし、前記両回転体の一方を他方に対して相対回転させるよう作動油を供給する油圧ポンプ、及び前記一方の回転体を所定位置で相対回転不能にロックするロック機構、を有しており、
    前記内燃機関の停止を指令するためのオフ操作を検出した場合に、前記一方の回転体を前記ロックの位置に向けて相対回転させるよう前記作動油の供給状態を制御するロック制御手段と、
    前記内燃機関の始動時に、前記一方の回転体が前記ロック機構によりロックされたロック状態及び非ロック状態のいずれであるかの判定を、前記従動軸の回転角度を検出するカム角センサから出力される検出信号の挙動に基づき行うロック判定手段と、
    を備えることを特徴とするバルブタイミング制御装置。
  2. 前記ロック機構は、前記一方の回転体を進角させるよう前記作動油の供給状態を進角制御することに伴い、前記ロック状態を解除するよう構成され、
    前記ロック判定手段により前記非ロック状態であると判定されている期間中、前記進角制御を禁止することを特徴とする請求項1に記載のバルブタイミング制御装置。
  3. ロック位置としての前記所定位置は、前記一方の回転体の最遅角位置に設定されており、
    前記内燃機関の始動時に前記非ロック状態であると判定された場合には、次回の前記オフ操作を検出するまでの間、前記一方の回転体の相対回転位置の目標値を遅角側に補正する進角抑制手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のバルブタイミング制御装置。
  4. 前記オフ操作を検出した時に、前記作動油の温度又は当該温度と相関のある物理量を検出して記憶し、
    前記内燃機関の運転中の前記作動油温度又は物理量が、前記オフ操作時に検出した前記作動油温度又は物理量の値以下であることを条件として、前記進角抑制手段による補正を実行することを特徴とする請求項3に記載のバルブタイミング制御装置。
  5. 前記カム角センサは、前記従動軸に備えられたロータの突起部が当該カム角センサに近づくことに伴い増大するとともに遠ざかることに伴い減少するよう前記検出信号の出力値を変化させるものであり、
    前記ロック判定手段は、基準値に対する前記検出信号の増大量の積分値と、前記基準値に対する前記検出信号の減少量の積分値とを比較して、前記両積分値が所定量以上異なる値となっている異常状態を検出した場合に前記非ロック状態であると判定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のバルブタイミング制御装置。
  6. 前記ロック判定手段は、前記異常状態を複数回検出した場合に前記非ロック状態であると判定することを特徴とする請求項5に記載のバルブタイミング制御装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1つに記載のバルブタイミング制御装置と、
    内燃機関の吸気バルブ及び排気バルブの少なくとも一方の開閉タイミングを調整するバルブタイミング調整機構と、
    を備えることを特徴とするバルブタイミング制御システム。
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