JP2009167825A - 筒内噴射型内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】機関始動直後の所定時間は、圧縮行程において燃焼空燃比が理論空燃比近傍のリーンとなるように筒内に燃料を噴射する圧縮スライトリーン運転を実施し、所定期間後では、一部の気筒は吸気行程において燃焼空燃比がリッチとなるように筒内に燃料を噴射するリッチリーン運転を実施する一方、他の気筒は圧縮スライトリーン運転を継続する圧縮スライトリーン運転を継続する。
【選択図】図2
Description
圧縮スライトリーン運転は、圧縮行程において燃焼空燃比が理論空燃比よりややリーンとなるように燃料を噴射することで、筒内で成層燃焼が形成される。そして、燃料噴射時期及び点火時期を適宜制御することで、噴射した燃料を点火プラグの電極付近に集中させて局部的に空燃比をリッチとする。これにより不完全燃焼が生起されて一酸化炭素(CO)が多く発生する一方、局部的にリッチとなる領域以外では余剰酸素(O2)が多く存在することになり、このCOとO2とが同時に排気通路に排出される。そして、このCOとO2とが共に排気通路を経て排気浄化触媒に達すると、触媒の作用によって酸化反応を起こし、当該反応熱により排気浄化触媒が昇温する。
一方、上記のリッチリーン運転では、冷態始動直後に排気浄化触媒の温度が大幅に低下している場合には、HCが供給されても、むしろそのHCにより排気浄化触媒が冷却されてしまい、酸化反応が十分に行われず、HCが排気浄化触媒より下流に流出してしまう虞がある。
また請求項3の発明では、請求項2において、運転制御手段は、更に、リッチリーン運転において、全気筒の全体空燃比が理論空燃比近傍となるように、各気筒の筒内への燃料噴射量を制御することを特徴とする。
本発明の請求項3の筒内噴射型内燃機関の排気浄化装置によれば、リッチリーン運転時において、全気筒の全体空燃比が理論空燃比近傍となるので、排気浄化触媒における排気浄化効率を十分に確保することができる。
図1は、本発明に係る多気筒のエンジン(筒内噴射型内燃機関)1の概略構成図である。
図1に示すように、エンジン1のシリンダヘッド2には、各気筒毎に点火プラグ4とともに電磁式の燃料噴射弁6が取り付けられており、これにより、燃焼室8内に燃料を直接噴射可能とされている。
シリンダヘッド2には、各気筒毎に略直立方向に吸気ポートが形成されており、各吸気ポートと連通するようにして吸気マニホールド10の一端がそれぞれ接続されている。そして、吸気マニホールド10の他端にはスロットル弁11が接続されており、該スロットル弁11にはスロットル開度を検出するスロットルセンサ11aが設けられている。
排気浄化触媒30は、排気中のNOxをHC存在下で選択的に浄化する選択還元型NOx触媒(以下、NOx触媒という)30aと、理論空燃比下で排気中のNOx、HC及びCOを酸化還元反応させて無害物質に浄化する三元触媒30bとの2つの触媒を備えて構成されており、三元触媒30bがNOx触媒30aよりも下流側に配設されている。
エンジン1には、クランク角を検出するクランク角センサ13及びエンジン冷却水の水温を検出する水温センサ14が設けられている。
ECU(電子コントロールユニット)40は、入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)、中央処理装置(CPU)等を含んで構成されている。また、ECU40には、タイマカウンタが設けられており、始動後の経過時間を計測する機能を有している。
一方、ECU40の出力側には、燃料噴射弁6や点火コイル9を介して点火プラグ4等の各種出力デバイスが接続されている。ECU40は、スロットルセンサ11a等の各種センサ類からの検出情報に基づき、目標燃焼空燃比を実現する燃料噴射量、燃料噴射時期、点火時期等を例えばマップから読み出すことで演算して、各種出力デバイスを制御する。
また、ECU40(運転制御手段)は、上記スロットルセンサ11a等の各種センサ類からの検出情報に基づいて設定された燃料噴射量、燃料噴射時期、点火時期によって運転する通常運転の他に、圧縮スライトリーン運転及びリッチリーン運転が実現可能となっている。
リッチリーン運転は、一部の気筒(例えば4気筒エンジンであれば、2番、3番気筒)を燃焼空燃比がリッチ(例えば空燃比13.5)となるように、他の気筒(例えば1番、4番気筒)を燃焼空燃比がリーン(例えば空燃比15.5)となるように燃料噴射量を設定する。更に、このリーンに設定する気筒は、上記圧縮スライトリーン運転を採用する。また、本実施形態では、圧縮スライトリーン運転時には、全気筒の全体空燃比(排気マニホールド12の集合部での空燃比)を理論空燃比に設定するとともに、点火時期をリタードする(点火時期制御手段)。なお、本実施形態ではリッチリーン運転におけるリッチ気筒とリーン気筒とを同数にしているが、これに限定するものではなく、少なくとも夫々1つずつあればよい。
本ルーチンはエンジン運転中、繰り返し行われる。
ステップS10では、タイマカウンタから始動後経過時間Tを入力し、これが所定時間B内であるか否かを判別する。始動後経過時間Tが所定時間B内(T≦B)である場合は、ステップS20に進む。所定時間Bは、圧縮スライトリーン運転及びリッチリーン運転の両方の設定実施時間であって、冷態始動時において排気浄化触媒30での浄化効率が十分に確保されるのに必要な時間に設定すればよい。
ステップS20において、始動後経過時間Tが所定時間Aを経過した(T>A)と判定された場合は、ステップS40に進む。
ステップS40では、リッチリーン運転を選択する。
ステップS50では、通常運転を選択する。そして本ルーチンをリターンする。
次に、図3及び図4を用いて本実施形態の作用及び効果について説明する。
図3は、始動時における運転モード、燃料噴射(終了)時期、触媒温度、排気中のHC濃度及びCO濃度の推移を示すタイムチャートである。なお、図中実線が本実施形態を示し、破線が圧縮スライトリーン運転のみの場合を参考として示す。
図4は、リッチリーン運転時間に伴う触媒入口温度及び触媒温度の推移を示すグラフである。図4に示すように、触媒入口温度はリッチリーン運転時間の経過に伴い上昇する。そして、触媒温度は、触媒入口温度の上昇に伴って、更に排気浄化触媒30での酸化反応により上昇する。
そして、経過時間Aが経過して触媒でのHCの酸化能力が確保された時点で、一部の気筒でリッチ運転が実施される。したがって、HCが触媒に供給され、HCの酸化によってより高い昇温効果が得られる。リッチリーン運転時では、全気筒の全体空燃比が理論空燃比に設定されているので、排気浄化触媒30(三元触媒30b)での排気浄化効率を最大限発揮させることができ、NOx、HC等の有害物質を効率よく除去することができる。また、リッチリーン運転時におけるリッチ気筒では点火リタードするので、空気量が増大し触媒温度を更に上昇させることができる。
また、バルブオーバーラップを大きくすることで内部EGRが増加するので、触媒温度が未だ低下している状態であっても、HCの排出を低下させることができる。なお、バルブオーバーラップは過度に拡大すると燃焼悪化して逆にHCの増加を招いてしまうので適宜制限する必要はある。また、バルブオーバーラップを拡大する際には、排気側を大きく(排気弁の閉弁タイミングを遅く)するとよい。吸気側の開弁タイミングを早くしてバルブオーバーラップを拡大する場合と比較すると、HCの排出量を抑制しつつ排気温度をより上昇させることができる。
4 三元触媒
6 燃料噴射弁
14 点火プラグ
40 ECU
Claims (3)
- 多気筒の筒内噴射型内燃機関の排気通路に設けられ、理論空燃比近傍の雰囲気下で排気中の有害成分を浄化する排気浄化触媒と、
機関始動直後の所定期間では、圧縮行程において燃焼空燃比が理論空燃比近傍のリーンとなるように筒内に燃料を噴射する圧縮スライトリーン運転を実施し、前記所定期間後では、一部の気筒は吸気行程において燃焼空燃比がリッチとなるように筒内に燃料を噴射するリッチリーン運転を実施する一方、他の気筒は前記圧縮スライトリーン運転を継続する運転制御手段と、
を備えたことを特徴とする筒内噴射型内燃機関の排気浄化装置。 - 前記運転制御手段におけるリッチリーン運転時に前記一部の気筒の点火時期をリタードする点火時期制御手段を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の筒内噴射型内燃機関の排気浄化装置。
- 前記運転制御手段は、更に、前記リッチリーン運転において、全気筒の全体空燃比が理論空燃比近傍となるように、各気筒の筒内への燃料噴射量を制御することを特徴とする請求項2に記載の筒内噴射型内燃機関の排気浄化装置。
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