JP2009167374A - 高分子量のヒドロキシ安息香酸エステル類の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、アルコール性ヒドロキシル基を有する化合物類とヒドロキシ安息香酸類を反応させて、ヒドロキシ安息香酸エステル類を製造するに際し、反応後の触媒除去を簡便に行うことが可能であり、着色もなく、高収率・高純度で目的化合物を得ることができる製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、アルコール性ヒドロキシル基を有する化合物類とヒドロキシ安息香酸類とを、固体酸触媒下で不活性溶媒中にて反応させて、反応液から前記固体酸触媒を除去して得てなるヒドロキシ安息香酸エステル類の製造方法を提供する。
【選択図】なし
【解決手段】本発明は、アルコール性ヒドロキシル基を有する化合物類とヒドロキシ安息香酸類とを、固体酸触媒下で不活性溶媒中にて反応させて、反応液から前記固体酸触媒を除去して得てなるヒドロキシ安息香酸エステル類の製造方法を提供する。
【選択図】なし
Description
本発明は、アルコール性ヒドロキシル基を有する化合物類とヒドロキシ安息香酸類を反応させて、ヒドロキシ安息香酸エステル類を製造するに際し、固体酸触媒を使用する製造方法に関する。
ヒドロキシ安息香酸エステル類を製造する方法については、様々な技術的検討がなされてきている。
特許文献1では、酸触媒としてp-トルエンスルホン酸や硫酸を用いて、不活性溶媒中で、エチレングリコール類とp-ヒドロキシ安息香酸類から、エチレングリコール-ジ-p-ヒドロキシ安息香酸エステル類を製造する方法が開示されている。しかしながら、この方法では、反応後に水洗や吸着剤による触媒の除去等の精製操作が必要になっている。このため、反応後のプロセスが複雑化するという難がある。
特許文献2では、ジ-p-ヒドロキシ安息香酸エステルの製造方法として、低級アルキルエステルを用いたエステル交換反応を行っているが、触媒として高価な有機スズ化合物が必要であり、副生成物や該触媒の除去が困難であるという欠点がある。
特許文献3では、ヒドロキシフェニル酢酸アルキルエステルの合成方法が開示されている。該文献では、副生成物の生成割合を抑えるため、系内の水分量の調節に対し、常時、多大なる注意を払わなければならず、合成プロセス全体として見た場合にハンドリング性が悪い。実際に、該文献では、反応途中で、含水量を規定したアルコールの滴下操作が行われている。
特許文献4では、ヒドロキシ安息香酸ヒドロキシアルキエステルとアクリル酸またはメタクリル酸とを有機酸の存在下で反応させる方法が開示されている。
該文献では、アルカリ水溶液を用いて、副生成物であるエーテル化合物の抽出操作を行っている。この抽出操作においては、アルカリ水溶液のpH、有機層中のエーテル含有量の管理が必要であり、また、抽出操作後には、水層が中性になるまで有機層の水洗を行っている。そのため、操作が複雑化している。
該文献では、アルカリ水溶液を用いて、副生成物であるエーテル化合物の抽出操作を行っている。この抽出操作においては、アルカリ水溶液のpH、有機層中のエーテル含有量の管理が必要であり、また、抽出操作後には、水層が中性になるまで有機層の水洗を行っている。そのため、操作が複雑化している。
特許文献5では、ヒドロキシ安息香酸類と脂肪族アルコールアルキレンオキシド付加物とをスズ化合物触媒下で反応させる、ヒドロキシ安息香酸エステル類の製造方法が開示されている。
該文献では、反応後に、無機酸を用いた触媒の分解工程を有しており、それに付随して、中和工程や水洗を行う必要がある。そのため、合成プロセス全体として見た場合にハンドリング性が悪い。
該文献では、反応後に、無機酸を用いた触媒の分解工程を有しており、それに付随して、中和工程や水洗を行う必要がある。そのため、合成プロセス全体として見た場合にハンドリング性が悪い。
また、高分子量のジオールとヒドロキシ安息香酸から、p-トルエンスルホン酸や硫酸を用いてヒドロキシ安息香酸エステルを製造する場合、以下のような問題が生ずる。
・反応後に、触媒除去のため水洗操作を行う際、高分子量化合物が存在していると、エマルジョンが発生し、収率低下につながる。
・p-トルエンスルホン酸は水にも有機溶媒にも可溶なため、触媒として用いると、水洗操作時にエマルジョン発生の原因の一つになる。
・水洗操作のみでは、十分に触媒を除去することが困難であるため、得られる目的化合物が着色する。
特開平5−51350号公報
特開昭52−39646号公報
特開昭60−94941号公報
特開2002−804256号公報
特開2004−59517号公報
・反応後に、触媒除去のため水洗操作を行う際、高分子量化合物が存在していると、エマルジョンが発生し、収率低下につながる。
・p-トルエンスルホン酸は水にも有機溶媒にも可溶なため、触媒として用いると、水洗操作時にエマルジョン発生の原因の一つになる。
・水洗操作のみでは、十分に触媒を除去することが困難であるため、得られる目的化合物が着色する。
上記事情に鑑み、本発明は、アルコール性ヒドロキシル基を有する化合物類とヒドロキシ安息香酸類を反応させて、ヒドロキシ安息香酸エステル類を製造するに際し、反応後の触媒除去を簡便に行うことが可能であり、着色もなく、高収率・高純度で目的化合物を得ることができる製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題に対して鋭意研究を行った結果、下記手段にて、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の請求項1に係る発明は、アルコール性ヒドロキシル基を有する化合物類とヒドロキシ安息香酸類とを、固体酸触媒下で不活性溶媒中にて反応させて、反応液から前記固体酸触媒を除去して得てなるヒドロキシ安息香酸エステル類の製造方法を提供するものである。
本発明の請求項2に係る発明は、前記アルコール性ヒドロキシル基を有する化合物類がアルコール性ヒドロキシル基を2以上有する化合物であり、かつ、当該化合物の分子量が、300以上500,000以下である、請求項1に記載の製造方法を提供するものである。
ここでいう分子量とは、
質量分析法等で測定した重量平均分子量(Mw)を指す。
質量分析法等で測定が困難な高分子量化合物の場合は、
粘度法で測定した粘度平均分子量
末端基定量法、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法、蒸気圧法、沸点上昇法、浸透圧法等で測定した数平均分子量
光散乱法、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法、沈降速度法等により求めた重量分子量
とすることが出来る。
質量分析法等で測定した重量平均分子量(Mw)を指す。
質量分析法等で測定が困難な高分子量化合物の場合は、
粘度法で測定した粘度平均分子量
末端基定量法、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法、蒸気圧法、沸点上昇法、浸透圧法等で測定した数平均分子量
光散乱法、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法、沈降速度法等により求めた重量分子量
とすることが出来る。
本発明の請求項3に係る発明は、前記アルコール性ヒドロキシル基を有する化合物の、2つのアルコール性ヒドロキシル基の間が、1種以上の単量体化合物の重合したポリマー構造になっている、請求項2に記載の製造方法を提供するものである。
本発明の請求項4に係る発明は、前記1種以上の単量体化合物の重合したポリマー構造がポリブタジエンまたはその水素添加物であることを特徴とする請求項3に記載の製造方法を提供するものである。
本発明の請求項5に係る発明は、前記単量体化合物が1,4−ブタジエンであることを特徴とする請求項4に記載の製造方法を提供するものである。
本発明の請求項6に係る発明は、前記固体酸触媒が、活性白土であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法を提供するものである。
本発明の請求項7に係る発明は、前記不活性溶媒が、ベンゼン、トルエン、及びキシレンからなる群より選ばれる1以上の溶媒あるいは混合溶媒であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、アルコール性ヒドロキシル基を有する合物類とヒドロキシ安息香酸類を反応させて、ヒドロキシ安息香酸エステル類を製造するに際し、固体酸触媒を使用することで、触媒の除去を簡便に行うことが可能であり、着色もなく、高収率・高純度で目的化合物を得ることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、発明の実施の形態)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施の形態の製造方法は、アルコール性ヒドロキシル基を有する化合物類とヒドロキシ安息香酸類を反応させて、ヒドロキシ安息香酸エステル類を製造するに際し、固体酸触媒を使用する。
[工程]
不活性溶媒中に、アルコール性ヒドロキシル基を有する化合物類とヒドロキシ安息香酸類、固体酸触媒を添加する。
その反応混合溶液を加温し、反応を進行させる。その際、反応の進行に伴い生成する水は、不活性溶媒と共沸させることにより系外へ留去してもよい。
反応終了後、反応溶液をろ過することで、固体酸触媒を除去する。
ろ液から、不活性溶媒を除去し、目的化合物類を得る。
不活性溶媒中に、アルコール性ヒドロキシル基を有する化合物類とヒドロキシ安息香酸類、固体酸触媒を添加する。
その反応混合溶液を加温し、反応を進行させる。その際、反応の進行に伴い生成する水は、不活性溶媒と共沸させることにより系外へ留去してもよい。
反応終了後、反応溶液をろ過することで、固体酸触媒を除去する。
ろ液から、不活性溶媒を除去し、目的化合物類を得る。
本実施の形態において用いられるアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物類としては、特に限定はされないが、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算重量平均分子量Mwが300以上500,000以下であり、アルコール性ヒドロキシル基を2以上有する化合物、特にアルコール性ヒドロキシル基を2つ有するジオール化合物等が好ましく挙げられる。ジオール化合物としては、脂肪族ジオール化合物、芳香族ジオール化合物等が挙げられる。
分子量の測定方法は特に限定されないが、例えばGPCで測定したポリスチレン換算重量平均分子量Mwが300以上500000以下であるとは、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により求めたポリスチレン換算重量平均分子量Mwが300以上500,000以下であることを意味する。
脂肪族ジオール化合物としては、飽和又は不飽和であってもよく、直鎖又は分岐していてもよいアルカンジオール化合物、アルケンジオール化合物、アルキンジオール化合物、シクロアルカンジオール化合物などの脂環式脂肪族ジオール化合物等の脂肪族ジオール化合物が挙げられる。脂肪族部分は、酸素原子、窒素原子等の炭素原子以外の原子が1つ以上挿入されていてもよく、また、脂肪族部分がエステル結合、エーテル結合、アミド結合、カルボネート結合、カルバメート結合等の炭素原子と酸素原子又は窒素原子等の炭素原子以外の原子とで形成される種々の結合を1つ以上有していてもよい。脂環式脂肪族ジオール化合物としては、脂肪族環に直接ヒドロキシル基が結合していてもよく、脂肪族環に脂肪族部分を介してヒドロキシル基が結合していてもよい。
そして、脂肪族ジオール化合物としては、1種以上の単量体化合物が重合したポリマー化合物のうちアルコール性ヒドロキシル基を2つ有する化合物も含まれる。
そして、脂肪族ジオール化合物としては、1種以上の単量体化合物が重合したポリマー化合物のうちアルコール性ヒドロキシル基を2つ有する化合物も含まれる。
R':2個のカルボニル炭素原子が直接結合せず、それら2つの炭素原子が1個以上の炭化水素基と結合していれば特に限定されない。例えば、飽和又は不飽和であってもよく、直鎖又は分岐していてもよいアルカン、アルケン、アルキン構造が挙げられる。また、シクロアルカン構造などの脂環式脂肪族構造も挙げられる。脂肪族部分は、酸素原子、窒素原子等の炭素原子以外の原子が1つ以上挿入されていてもよく、また、脂肪族部分がエステル結合、エーテル結合、アミド結合、カルボネート結合、カルバメート結合等の炭素原子と酸素原子又は窒素原子等の炭素原子以外の原子とで形成される種々の結合を1つ以上有していてもよい。
(例えば、宇部興産製「ポリエステルポリオール」)、
ポリカーボネートジオール
R:2個の酸素原子がそれぞれ異なる炭化水素基と結合していれば特に限定されない。例えば、飽和又は不飽和であってもよく、直鎖又は分岐していてもよいアルカン、アルケン、アルキン構造が挙げられる。また、シクロアルカン構造などの脂環式脂肪族構造も挙げられる。脂肪族部分は、酸素原子、窒素原子等の炭素原子以外の原子が1つ以上挿入されていてもよく、また、脂肪族部分がエステル結合、エーテル結合、アミド結合、カルボネート結合、カルバメート結合等の炭素原子と酸素原子又は窒素原子等の炭素原子以外の原子とで形成される種々の結合を1つ以上有していてもよい。
(例えば、宇部興産製「PCD」、旭化成製「PCDL」、ダイセル化学製「プラクセルCD」)等が挙げられる。
(例えば、宇部興産製「PCD」、旭化成製「PCDL」、ダイセル化学製「プラクセルCD」)等が挙げられる。
芳香族ジオール化合物としては、アルコール性ヒドロキシル基を2つ有する芳香族化合物であれば、特に限定はされない。アルコール性ヒドロキシル基を2つ有する芳香族化合物としては、アルコール性ヒドロキシル基が結合している脂肪族構造を有する2つの基で置換される、分子内に置換基を有する又は無置換のベンゼン環、ナフタレン環等のアリール構造を有する化合物、置換基を有する又は無置換のヘテロアリール構造を有する化合物が挙げられ、2つ以上の、アルコール性ヒドロキシル基が結合している脂肪族構造を有するアリール環又はヘテロアリール環が、直接結合又は脂肪族構造を介して結合している化合物であってもよい。
そして、芳香族ジオール化合物としては、1種以上の単量体化合物が重合したポリマー化合物のうちアルコール性ヒドロキシル基を2つ有する化合物も含まれる。
そして、芳香族ジオール化合物としては、1種以上の単量体化合物が重合したポリマー化合物のうちアルコール性ヒドロキシル基を2つ有する化合物も含まれる。
これらジオール化合物は、単独で用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。ジオール化合物はアルコール性ヒドロキシル基を2つもつ化合物であるが、本発明の目的を逸脱しない範囲であれば、1つまたは3つ以上の アルコール性ヒドロキシル基を有する化合物が含まれていてもよい。
本実施の形態において用いられるヒドロキシ安息香酸類としては、特に限定されず、例えば、下記一般式(2)で表される構造を有する化合物を用いることができる。
ベンゼン環を構成する炭素原子において、カルボキシル基が結合していない炭素原子に、ヒドロキシル基を一つ以上有している。
ベンゼン環を構成する炭素原子において、ヒドロキシル基およびカルボキシル基が結合していない炭素原子に対しては、ハロゲン基、アルキル基、フェニル基、ヘテロ原子等を含む置換基が結合していてもよい。
ベンゼン環を構成する炭素原子において、ヒドロキシル基およびカルボキシル基が結合していない炭素原子に対しては、ハロゲン基、アルキル基、フェニル基、ヘテロ原子等を含む置換基が結合していてもよい。
上記式(2)で表されるような化合物類としては、例えば、o-ヒドロキシ安息香酸、m-ヒドロキシ安息香酸、p-ヒドロキシ安息香酸等が挙げられ、中でも、汎用性に優れていることから、p-ヒドロキシ安息香酸が好ましい。
これらの化合物類は、単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
これらの化合物類は、単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
上記式(2)で表されるような化合物類の使用量は、アルコール性ヒドロキシル基を2つ有する高分子量化合物類の、アルコール性ヒドロキシル基1molに対して、カルボキシル基が0.9〜2.0molとなるのが好ましく、1.0〜1.5molとなるのがより好ましい。0.9mol未満であると、未反応のアルコール性ヒドロキシル基を有する高分子量化合物が、2.0molを超えると未反応のヒドロキシ安息香酸類が生成物中に混在することになり、純度低下につながる可能性がある。
本発明においては、前記1種以上の単量体化合物の重合したポリマー構造がポリブタジエンまたはその水素添加物であることが好ましい。特に、柔軟性付与の点で、ゴム骨格が望ましく、電気特性の点では、ヘテロ原子を含まないことが望ましく、酸化耐性、耐オゾン性、光劣化に対する安定性の面から、水素添加物がさらに望ましい。
単量体化合物としては、1,4−ブタジエンであることが、コスト、汎用性の面で望ましい。
本実施の形態において用いられる固体酸触媒としては、特に限定されないが、例えば、イオン交換樹脂、活性白土等が挙げられる。溶媒との相性など樹脂系触媒の欠点がなく、汎用性、コストの面から活性白土を用いるのが好ましい。
ここでいう活性白土とは、天然の酸性白土(一般にモンモリロナイト系粘土、化学式は一般にAl2O3・4SiO2・nH2O)を鉱酸(例えば硫酸)で処理し、アルミナ・鉄・マグネシウムの一部を溶出させ、比表面積、吸着脱色能を増大させた化合物のことである。
活性白土等の例としては、日本活性白土株式会社製「活性白土T」、水澤化学工業株式会社製「ガレオンアース」等が挙げられる。イオン交換樹脂の例としては、三菱化学製「ダイヤイオン」、ローム・アンド・ハース・ジャパン製「アンバーリスト」等が挙げられる。
これら固体酸触媒は、単独で用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。
固体酸触媒類の使用量は、ヒドロキシル基を有する化合物とカルボキシル基を有する化合物の混合物に対して、2〜50wt%が好ましく、5〜30wt%がより好ましく、10〜15 wt%がさらに好ましい。2wt%以下では充分な触媒作用が得られない可能性があり、50wt%以上では、溶液粘度が増加し、反応後のろ過操作時に収率の低下につながる。
本実施の形態において用いられる不活性溶媒としては、特に限定されず、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、中でも、環境及び人体への負荷が小さく、かつ、汎用性が高く安価であり、反応温度を100℃以上に上げられ、反応中に生成する水を共沸により系外へ留去することで反応の効率化が図れる、トルエン、キシレンが好ましい。上記不活性溶媒は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
不活性溶媒の使用量は、ヒドロキシル基を有する化合物とカルボキシル基を有する化合物の混合物に対して、50〜500wt%が好ましく、100〜300wt%がより好ましく、150〜200wt%がさらに好ましい。
反応に伴い生成する水を系外へ留去できるよう、反応温度は100℃〜150℃の範囲とするのが好ましく、110〜140℃がより好ましい。反応温度が100℃未満では、エステル化反応の十分な反応速度が得られず、生成する水の除去も不十分となり、収率の低下につながる可能性がある。反対に、150℃以上では、ヒドロキシ安息香酸のフェノール性ヒドロキシル基のエステル化という副反応が増加する。
加温処理の継続時間は、特に制限されないが、加温開始後1時間〜50時間程度加温を継続させるのが好まく、5時間〜10時間がより好ましい。なお、合成反応中に、反応混合溶液の一部を抜き出し、例えばゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定を行うことで、反応の進行状況を確認することができる。その後、反応媒体を、油浴等の温度調節器の接触から開放する。
放冷後は、必要があれば反応溶液を反応溶媒で希釈し、触媒である固体酸触媒を除去する。除去の方法は公知の方法により行うことができる。
本実施の形態において、固体触媒を用いるため、例えば、自然ろ過、減圧ろ過、加圧ろ過等の簡素な設備で、触媒を除去することができる。
本実施の形態において、固体触媒を用いるため、例えば、自然ろ過、減圧ろ過、加圧ろ過等の簡素な設備で、触媒を除去することができる。
ろ過後の溶液から目的とするヒドロキシ安息香酸エステル化合物を取り出す方法は特に限定されないが、例えば、溶媒減圧留去、スプレードライ法等が挙げられる。
〔実施例〕
以下に実施例を示して、本実施の形態をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[Mw(重量平均分子量)の測定]
メーカー:SHIMADZU 型番:228-35150-91 装置名:CTO-10ASVP
カラム:Shodex KF804L(排除限界分子量400,000)×2(直列) カラム温度:40℃
流量:1ml/min. eluent:THF(和光純薬製、安定剤不含、HPLC用)
サンプル:0.7wt% 圧力:2.4MPa 検出器:RI
分子量計算方法:標準ポリスチレン換算
(Mw(Mw/Mn)がそれぞれ354,000(1.02)、189,000(1.04)、98,900(1.01)、37,200(1.01)、17,100(1.02)、9,830(1.02)、5,870(1.05)、2,500(1.05)、1,050(1.13)、500(1.14)の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成し、計算)
以下に実施例を示して、本実施の形態をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[Mw(重量平均分子量)の測定]
メーカー:SHIMADZU 型番:228-35150-91 装置名:CTO-10ASVP
カラム:Shodex KF804L(排除限界分子量400,000)×2(直列) カラム温度:40℃
流量:1ml/min. eluent:THF(和光純薬製、安定剤不含、HPLC用)
サンプル:0.7wt% 圧力:2.4MPa 検出器:RI
分子量計算方法:標準ポリスチレン換算
(Mw(Mw/Mn)がそれぞれ354,000(1.02)、189,000(1.04)、98,900(1.01)、37,200(1.01)、17,100(1.02)、9,830(1.02)、5,870(1.05)、2,500(1.05)、1,050(1.13)、500(1.14)の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成し、計算)
キシレン320g、p-ヒドロキシ安息香酸37.2g(0.27mol)、GI-1000 204g(0.11mol、日本曹達製、OH価 69.2mgKOH/g OH価基準分子量 1865)、活性白土 21g(水澤化学工業株式会社製「ガレオンアース」粒径100〜200μm程度)を還流管、コック付きの等圧滴下ロート及びジムロート冷却器がセットされた1000mlのフラスコ内で、室温下で一括して添加混合した。その後、反応混合溶液を133℃まで加温し、反応を進行させた。反応中生成する水は、キシレンと共沸させることで除去した。加温開始後、9時間進行させ、得られた反応溶液を室温まで冷却した(反応は、GPCにより進行を確認しながら行った)。その後、反応溶媒であるキシレン173gで希釈し、得られた溶液を自然ろ過して、活性白土を除去した。
ろ紙:桐山ロート用ろ紙No.5A保留粒子7μm、厚さ0.22mm、配分含有量0.00004g/5.5cm円形
溶媒を加熱下で減圧留去し、無色透明の粘調物を得た。NMR測定を行い、目的化合物が得られたことを確認した(純度96%)。
収率89.6%
NMR
メーカー:JEOL 装置名:ECX400(400MHz)
溶媒:重クロロホルム(CIL製、0.05vol%TMS含有)
サンプル:0.01wt%
収率89.6%
NMR
メーカー:JEOL 装置名:ECX400(400MHz)
溶媒:重クロロホルム(CIL製、0.05vol%TMS含有)
サンプル:0.01wt%
(比較例1)
キシレン174g、p-ヒドロキシ安息香酸52.96g(0.38mol)、GI-1000 259.52g(0.16mol)、p-トルエンスルホン酸 3.0g(0.02mol)を還流管、コック付きの等圧滴下ロート及びジムロート冷却器がセットされた1000mlのフラスコ内で、室温下で一括して添加混合した。その後、反応混合溶液を180℃まで加温し、反応を進行させた。反応中生成する水は、キシレンと共沸させることで除去した。加温開始後、8時間進行させ、得られた反応溶液を室温まで冷却した(反応は、GPCにより進行を確認しながら行った)。その後、キシレン180gを添加・希釈し、得られた溶液を自然ろ過した。500mlのイオン交換水を添加し、得られたろ液中から水層へp-トルエンスルホン酸を抽出しようと試みたが、エマルジョンが発生し、操作が困難になったため、中断した。
キシレン174g、p-ヒドロキシ安息香酸52.96g(0.38mol)、GI-1000 259.52g(0.16mol)、p-トルエンスルホン酸 3.0g(0.02mol)を還流管、コック付きの等圧滴下ロート及びジムロート冷却器がセットされた1000mlのフラスコ内で、室温下で一括して添加混合した。その後、反応混合溶液を180℃まで加温し、反応を進行させた。反応中生成する水は、キシレンと共沸させることで除去した。加温開始後、8時間進行させ、得られた反応溶液を室温まで冷却した(反応は、GPCにより進行を確認しながら行った)。その後、キシレン180gを添加・希釈し、得られた溶液を自然ろ過した。500mlのイオン交換水を添加し、得られたろ液中から水層へp-トルエンスルホン酸を抽出しようと試みたが、エマルジョンが発生し、操作が困難になったため、中断した。
本発明は、アルコール性ヒドロキシル基を有する化合物類とヒドロキシ安息香酸類を反応させて、ヒドロキシ安息香酸エステル類を製造するに際し、反応後の触媒除去を簡便に行うことが可能であり、着色もなく、高収率・高純度で目的化合物を得ることができる製造方法として、産業上の利用可能性を有する。
Claims (7)
- アルコール性ヒドロキシル基を有する化合物類とヒドロキシ安息香酸類とを、固体酸触媒下で不活性溶媒中にて反応させて、
反応液から前記固体酸触媒を除去して
得てなるヒドロキシ安息香酸エステル類の製造方法。 - 前記アルコール性ヒドロキシル基を有する化合物類がアルコール性ヒドロキシル基を2以上有する化合物であり、
かつ、当該化合物の分子量が、300以上500,000以下であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。 - 前記アルコール性ヒドロキシル基を2以上有する化合物の、2つのアルコール性ヒドロキシル基の間が、1種以上の単量体化合物の重合したポリマー構造になっていることを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
- 前記1種以上の単量体化合物の重合したポリマー構造がポリブタジエンまたはその水素添加物であることを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
- 前記単量体化合物が1,4−ブタジエンであることを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
- 前記固体酸触媒が、活性白土であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- 前記不活性溶媒が、ベンゼン、トルエン、及びキシレンからなる群より選ばれる1以上の溶媒あるいは混合溶媒であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
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2008
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