JP2009167354A - 多官能アクリレートを含む硬化性組成物 - Google Patents

多官能アクリレートを含む硬化性組成物 Download PDF

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知弘 吉田
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善人 安藤
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Abstract

【課題】本発明は、ガラス転移温度が高く、かつ、架橋密度を大きくすることができる、低屈折率の多官能アクリレートと、多官能アクリレートと相溶性を有する低屈折率の含フッ素ポリマーを含む硬化性組成物を提供する。
【解決手段】(A)硬化性含フッ素ポリマー、および(B)アクリロイル基を2個以上含み、かつ脂環式構造を含む多官能アクリレートを含む硬化性組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、アクリロイル基を2個以上含む、脂環式構造を有する多官能アクリレートを含む硬化性組成物に関する。
従来、硬化剤として多官能アクリレートを有し、含フッ素ポリマーを含む硬化性組成物が知られている。多官能アクリレートとしては例えば、活性エネルギー線硬化樹脂組成物の硬化剤として、(メタ)アクリロイル基と水酸基を分子内に有する化合物(例えば、特許文献1参照)や、光硬化性液状樹脂組成物の硬化剤として、多官能性モノマー(例えば、特許文献2参照)が知られている。しかしながら、これらの化合物は、分子内にフッ素原子を有さず、含フッ素ポリマーとは相溶しないという問題があった。
また、含フッ素ポリマーとの相溶性との向上の観点から、例えば、特許文献3や4には、硬化性組成物における硬化剤として、アクリロイル基およびフッ素原子を有する、脂環式構造を含む化合物が例示されている。これらの化合物は、特許文献3ではノルボルナン化合物、特許文献4ではフッ素含有率が40質量%以上であるために、フッ素系以外の材料との相溶性において、さらなる向上が求められる。
特開2002−338628号公報 特開2006−36825号公報 国際公開第06/082845号パンフレット 特開2005−325318号公報
本発明は、ガラス転移温度が高く、かつ、架橋密度を大きくすることができる、低屈折率の多官能アクリレートと、多官能アクリレートと相溶性を有する低屈折率の含フッ素ポリマーを含む硬化性組成物を提供することを目的とする。
本発明は、(A)硬化性含フッ素ポリマー、および
(B)アクリロイル基を2個以上含み、かつ脂環式構造を含む多官能アクリレートを含む硬化性組成物であって、
多官能アクリレート(B)が、式(1):
Figure 2009167354
式(2):
Figure 2009167354
式(3):
Figure 2009167354
式(4):
Figure 2009167354
式(5):
Figure 2009167354
(式中、A1、A2およびA3は、同じかまたは異なり、いずれも式(6):
Figure 2009167354
(式中、Rはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜50のq+1価の炭化水素基、XはH、Cl、F、CF3または炭素数1〜10のアルキル基、qは1〜18の整数)
で示されるアクリロイル基含有基;
1、X2およびX3は、同じかまたは異なり、いずれもH、ハロゲン原子または炭素数1〜10のフッ素原子を含んでいてもよいアルキル基(ただし、X1、X2およびX3は、存在しなくてもよいし、複数存在していてもよい);
n1は、1〜6の整数;
n2およびm2は、同じかまたは異なり、いずれも0〜4の整数(ただし、n2およびm2は同時に0にはならない);
n3およびp3は、同じかまたは異なり、いずれも0〜4の整数、m3は0〜2の整数(ただし、n3とm3とp3は同時に0にはならない);
n4およびm4は、同じかまたは異なり、いずれも0〜5の整数(ただし、n4とm4は同時に0にはならない);
n5およびm5は、同じかまたは異なり、いずれも0〜5の整数(ただし、n5とm5は同時に0にはならない))
である硬化性組成物に関する。
式(6)におけるRが、エステル結合および/またはウレタン結合を含んでいてもよい炭素数1〜50のq+1価の炭化水素基であることが好ましい。
多官能アクリレート(B)のフッ素含有率が、5質量%以上40質量%未満であることが好ましい。
硬化性含フッ素ポリマー(A)が、式(7):
−(M)−(A)− (7)
(式中、構造単位Mは、式(M):
Figure 2009167354
[式中、XaおよびXbは同じかまたは異なり、HまたはF;XcはH、F、CH3またはCF3;XdおよびXeは同じかまたは異なり、H、FまたはCF3;Rfは炭素数1〜40の含フッ素アルキル基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基にY(Yは末端にエチレン性炭素−炭素二重結合を有する炭素数2〜10の1価の有機基)が1〜3個結合している有機基;m1は0〜3の整数;m2およびm3は同じかまたは異なり、0または1)で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位;
構造単位Aは、構造単位Mを与える含フッ素エチレン性単量体と共重合可能な単量体に由来する構造単位である]で示され、構造単位Mを0.1〜100モル%および構造単位Aを0〜99.9モル%含む数平均分子量500〜1000000の含フッ素ポリマーを100モル%まで含む硬化性含フッ素ポリマーであることが好ましい。
さらに、活性エネルギー線硬化開始剤(C)を含むことが好ましい。
また、本発明は、前記の硬化性組成物を基材の上に塗付して得られる硬化被膜であって、該硬化被膜の膜厚が0.03〜0.5μmである硬化被膜にも関する。
硬化被膜が反射防止膜であることが好ましい。
本発明の硬化性組成物は、フッ素原子を導入した多官能アクリレートおよび硬化性含フッ素ポリマーを含むため、低屈折率を有し、さらに防汚性に優れている。そのため、硬化性組成物を塗付して得られる硬化被膜は、防汚性に優れる反射防止膜として期待できる。
本発明の硬化性組成物は、(A)硬化性含フッ素ポリマー、および(B)アクリロイル基を2個以上含み、かつ脂環式構造を含む多官能アクリレートを含む。
多官能アクリレートにおけるアクリロイル基(B)の数は、耐擦傷性が優れているという点から2以上であり、3以上が好ましく、4以上がより好ましい。
多官能アクリレート(B)の構造式としては、以下の式(1)〜式(5)があげられる。
式(1):
Figure 2009167354
式(2):
Figure 2009167354
式(3):
Figure 2009167354
式(4):
Figure 2009167354
式(5):
Figure 2009167354
式中、A1、A2およびA3は、同じかまたは異なり、いずれも式(6):
Figure 2009167354
である。
ここで、式(6)中、qは1〜18の整数であり、1〜6の整数が好ましい。Xは、H、Cl、F、CF3であり、合成上および硬化物の耐熱性に優れる点からH、FまたはCH3が好ましく、特にフッ素含有率を高めるという点からH、Fが好ましい。
また、Rはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜50のq+1価の炭化水素基であり、炭素数1〜20が好ましい。式中、Rがヘテロ原子を含んでいない場合は、例えば、式(R1):
Figure 2009167354
式(R2):
Figure 2009167354
があげられる。また、ヘテロ原子を含む場合、ヘテロ原子としては酸素原子、チッ素原子、が好ましく、具体例としては、エステル結合および/またはウレタン結合を含んでいることが好ましい。
具体的には、エステル結合を含む場合は、式(R3):
Figure 2009167354
があげられる。
ウレタン結合を含む場合は、式(R4):
Figure 2009167354
式(R5):
Figure 2009167354
があげられる。
式(6)の具体例としては、式(6−1):
Figure 2009167354
式(6−2):
Figure 2009167354
式(6−3):
Figure 2009167354
があげられる。ここで、式中、Xは前記式(6)と同様である。
式(1):
Figure 2009167354
におけるX1としては、同じかまたは異なり、いずれもH、ハロゲン原子または炭素数1〜10のフッ素原子を含んでいてもよいアルキル基であり、H、F、CH3、CF3であることが好ましい。ただし、X1は、存在しなくてもよいし、複数存在していてもよい。また、n1は、1〜6の整数であり、1〜3の整数が好ましく、2であることが好ましい。
ここで、式(1)において、n1が1である場合、A1については、式(6)で表わされるqが2以上となる。
式(1)の具体例としては、式(1−1):
Figure 2009167354
式(1−2):
Figure 2009167354
式(1−3):
Figure 2009167354
式(1−4):
Figure 2009167354
(式中、X、X1およびn1は、それぞれ前記式(1)と同様であり、Xは、前記式(6)と同様である)
があげられる。
式(1)において、n1が2である場合、A1の位置としては、例えば、式(1a):
Figure 2009167354
式(1b):
Figure 2009167354
式(1c):
Figure 2009167354
があげられるが、これらのなかで、合成が容易である点から式(1a)が好ましい。
式(1)のA1の結合の位置が、式(1a)である場合の具体例としては、式(1a−1):
Figure 2009167354
式(1a−2):
Figure 2009167354
式(1a−3):
Figure 2009167354
があげられる。ここで、Xは、前記式(6)と同様である。
式(2):
Figure 2009167354
におけるX1およびX2としては、同じかまたは異なり、いずれもH、ハロゲン原子または炭素数1〜10のフッ素原子を含んでいてもよいアルキル基であり、H、F、CH3、CF3であることが好ましい。
ただし、X1およびX2は、存在しなくてもよいし、複数存在していてもよい。
n2およびm2は、同じかまたは異なり、いずれも0〜4の整数であり、1〜2の整数が好ましく、1であることが好ましい。ただし、n2およびm2は同時に0にはならない。
ここで、式(2)において、n2およびm2のいずれか一方が0である場合、A1またはA2については式(6)で表わされるqが2以上となる。
式(2)の具体的としては、式(2−1):
Figure 2009167354
式(2−2):
Figure 2009167354
式(2−3):
Figure 2009167354
があげられる。ここで、X1、X2、n2、m2は、前記式(2)と同様であり、Xは、前記式(6)と同様である。
式(2)において、n2が1であり、かつm2が1である場合のA1およびA2の位置としては、例えば、式(2a):
Figure 2009167354
式(2b):
Figure 2009167354
があげられる。これらの中で、合成が容易である点から式(2a)が好ましい。また、A1およびA2は同じ構造であることが、合成が容易である点で好ましい。
より具体的には、式(2a−1):
Figure 2009167354
式(2a−2):
Figure 2009167354
式(2a−3):
Figure 2009167354
があげられる。ここで、式中、Xは前記式(6)と同様である。
式(3):
Figure 2009167354
におけるX1、X2およびX3は、同じかまたは異なり、いずれもH、ハロゲン原子または炭素数1〜10のフッ素原子を含んでいてもよいアルキル基であり、H、F、CH3、CF3であることが好ましい。
ただし、X1、X2およびX3は、存在しなくてもよいし、複数存在していてもよい。
n3およびp3は、同じかまたは異なり、いずれも0〜4の整数であり、1〜2の整数であることが好ましく、1であることがより好ましい。m3は0〜2の整数であり、1であることが好ましい。ただし、n3とm3とp3は同時に0にはならない。これらの中で、n3、m3およびp3がそれぞれ1であることが合成が容易である点で好ましい。
ここで、式(3)において、n3、m3、p3のうち、いずれか2種が0である場合、A1、A2、A3のうちいずれか1種については、式(6)で表わされるqは2以上となる。
また、A1、A2およびA3は同じ構造であることが、合成が容易である点で好ましい。
式(3)の具体的としては、式(3−1):
Figure 2009167354
式(3−2):
Figure 2009167354
式(3−3):
Figure 2009167354
があげられる。
ここで、X1、X2、X3、n3、m3およびp3は、前記式(3)と同様であり、Xは、前記式(6)と同様である。
n3、m3およびp3がそれぞれ1である場合のA1、A2およびA3の位置としては、例えば、式(3a):
Figure 2009167354
式(3b):
Figure 2009167354
式(3c):
Figure 2009167354
があげられ、合成が容易である点から式(3b)が好ましい。また、A1、A2およびA3は同じ構造であることが好ましい。より具体的には、式(3a−1):
Figure 2009167354
式(3a−2):
Figure 2009167354
式(3a−2):
Figure 2009167354
があげられる。ここで、式中、Xは前記式(6)と同様である。
式(4):
Figure 2009167354
におけるX1およびX2は、同じかまたは異なり、いずれもH、ハロゲン原子または炭素数1〜10のフッ素原子を含んでいてもよいアルキル基であり、H、F、CH3、CF3であることが好ましい。
ただし、X1およびX2は、存在しなくてもよいし、複数存在していてもよい。
n4およびm4は、同じかまたは異なり、いずれも0〜5の整数であり、1〜2の整数が好ましく、それぞれが1であることが合成が容易である点でより好ましい。ただし、n4とm4は同時に0にはならない。
ここで、式(4)において、n4およびm4のいずれか一方が0である場合、A1またはA2については式(6)で表わされるqが2以上となる。
式(4)の具体的としては、式(4−1):
Figure 2009167354
式(4−2):
Figure 2009167354
式(4−3):
Figure 2009167354
があげられる。
ここで、X1、X2、X3、n4およびm4は、前記式(4)と同様であり、Xは、前記式(6)と同様である。
式(4)において、n4およびm4がそれぞれ1である場合の、A1およびA2の位置としては、例えば、式(4a):
Figure 2009167354
式(4b):
Figure 2009167354
式(4c):
Figure 2009167354
があげられ、式(4a)が合成が容易である点で好ましい。また、A1およびA2は同じ構造であることが、合成が容易である点で好ましい。より具体的には、式(4a−1):
Figure 2009167354
式(4a−2):
Figure 2009167354
式(4a−3):
Figure 2009167354
があげられる。ここで、式中、Xは前記式(6)と同様である。
式(5):
Figure 2009167354
におけるX1およびX2は、同じかまたは異なり、いずれもH、ハロゲン原子または炭素数1〜10のフッ素原子を含んでいてもよいアルキル基であり、H、F、CH3、CF3であることが好ましい。
ただし、X1およびX2は、存在しなくてもよいし、複数存在していてもよい。
n5およびm5は、同じかまたは異なり、いずれも0〜5の整数であり、1〜2の整数が好ましく、1であることが合成が容易である点でより好ましい。
ただし、n5とm5は同時に0にはならない。
ここで、式(5)において、n5およびm5のいずれか一方が0である場合、A1またはA2については式(6)で表わされるqは2以上となる。
式(5)の具体的としては、式(5−1):
Figure 2009167354
式(5−2):
Figure 2009167354
式(5−3):
Figure 2009167354
があげられる。
ここで、X1、X2、n5およびm5は、前記式(5)と同様であり、Xは、前記式(6)と同様である。
式(5)において、n5およびm5がそれぞれ1である場合の、A1およびA2の位置としては、例えば、式(5a):
Figure 2009167354
式(5b):
Figure 2009167354
式(5c):
Figure 2009167354
があげられ、式(5a)が合成が容易である点で好ましい。また、A1およびA2は同じ構造であることが好ましい。より具体的には、式(5a−1):
Figure 2009167354
式(5a−2):
Figure 2009167354
式(5a−3):
Figure 2009167354
があげられる。ここで、式中、Xは前記式(6)と同様である。
前記多官能アクリレート(B)のフッ素含有率は、低屈折率化の点から5質量%以上が好ましく、7質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましい。また、多官能アクリレートのフッ素含有率は、他の材料との相溶性の点から40質量%未満が好ましく、35質量%未満がより好ましく、30質量%未満がさらに好ましい。
本願発明の多官能アクリレートの製造方法について、式(1)を代表させて説明する。
式(1)の多官能アクリレートは、式(1−I)を出発物質として製造される。
式(1−I):
Figure 2009167354
(式中、n1は、前記式(1)と同様であり、また、Yは塩素原子、臭素原子、ヨウ素である)
と、式(II):
Figure 2009167354
を反応させることにより、式(1−II)が得られる。
式(1−II):
Figure 2009167354
(式中、n1は、前記式(1)と同様である)
また、式(1−II)と式(III):
Figure 2009167354
を反応させることにより、式(1−III)が得られる。
式(1−III):
Figure 2009167354
(式中、n1は、前記式(1)と同様である)
さらに、式(1−IV)と式(V):
Figure 2009167354
(式中、Xは、前記式(6)と同様である)
を反応させることにより、式(1−V)が得られる。
式(1−V):
Figure 2009167354
(式中、n1は、前記式(1)と同様であり、Xは、前記式(6)と同様である)
さらに、式(1−V)と(式VI)または(式VII)を溶媒(特に、非プロトン性溶媒、例えばケトン系またはエステル系溶媒)中で要すればジブチルスズジラウリレート等の触媒を用い、20℃〜70℃の条件下で反応させることにより式(1)が製造できる。
前記の製造方法により得られる前駆体である式(1−V)と式(VI):
Figure 2009167354
とを反応させた場合、式(1−1)が製造される。
また、式(1−V)と式(VII):
Figure 2009167354
とを反応させることにより、式(1−2)が製造される。
また、式(1−V)と式(VIII):
Figure 2009167354
(式中、Xは前記式(6)と同様であり、Zは、H、F、Cl、Br、アルキル基である)
とを反応させることにより、式(1−3)が製造される。
式(1−3)の製造方法(エステル化反応)の別の製造方法としては、以下の方法があげられる。
(i)アクリル酸メチルとメタノールより高沸点のアルコールの混合液よりメタノールを共沸させることによりエステル交換させる(エステル交換法)方法。エステル交換法としては、特開2005−15398号、特開2004−217575号および特開2002−358005号各公報に記載される方法を用いることができる。
(ii)前記式(1−V)とα,β−不飽和エステル誘導体とを酸触媒の存在下に直接付加反応させる(直接付加反応法)。直接付加反応法としては、特開2004−175740号公報に記載される方法を用いることができる。
(iii)リパーゼによる合成。リパーゼによる合成としては特開2003−70404号公報に記載される方法を用いることができる。また、反応条件としては、それぞれ、特開2003−40840号、特開2004−175740号、特開2005−15398号、特開2004−217575号、特開2002−358005号、特開2003−70404号各公報に記載された条件が採用できる。
式(2)の多官能アクリレートは、式(2−I)を出発物質として製造される。
式(2−I):
Figure 2009167354
(式中、X1、X2は、前記と同様である)
と、式(II):
Figure 2009167354
を反応させることにより、式(2−II)が得られる。
式(2−II):
Figure 2009167354
(式中、n2、m2は、前記式(1)と同様である)
(式2−II)を公知の方法にて水素添加を行い式(2−III)が得られる。
式(2−III):
Figure 2009167354
(式中、n2、m2は、前記式(1)と同様である)
以降は式(1)と同様の反応により製造される。
式(3)の多官能アクリレートは式(3−I)を出発物質として式(2)と同様の反応により製造される。
式(3−I):
Figure 2009167354
(式中、X1、X2、X3は、前記と同様である)
式(4)の多官能アクリレートは式(4−I)を出発物質として式(2)と同様の反応により製造される。
式(4−I):
Figure 2009167354
(式中、X1、X2は、前記と同様である)
式(5)の多官能アクリレートは式(5−I)を出発物質として式(2)と同様の反応により製造される。
式(5−I):
Figure 2009167354
(式中、X1、X2は、前記と同様である)
なお、式(2)〜式(5)の製造については、前記式(1)の製造方法と同様の反応により製造することが可能である。
本発明に用いる硬化性含フッ素ポリマー(A)として好適なポリマーは、前記のとおり式(1):
Figure 2009167354
[式中、構造単位Mは式(M):
Figure 2009167354
(式中、X1およびX2は同じかまたは異なり、HまたはF;X3はH、F、CH3またはCF3;X4およびX5は同じかまたは異なり、H、FまたはCF3;Rfは炭素数1〜40の含フッ素アルキル基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基にY1(Y1は末端にエチレン性炭素−炭素二重結合を有する炭素数2〜10の1価の有機基)が1〜3個結合している有機基;aは0〜3の整数;bおよびcは同じかまたは異なり、0または1)で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位、構造単位Aは該構造単位Mを与える含フッ素エチレン性単量体と共重合可能な単量体に由来する構造単位である]で示され、構造単位Mを0.1〜100モル%および構造単位Aを0〜99.9モル%含み、数平均分子量が500〜1000000である含フッ素ポリマーである。
つまり、ポリマー側鎖中および/またはポリマー主鎖末端に反応により硬化可能なエチレン性炭素−炭素二重結合を与える含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位Mのホモポリマー、またはその構造単位Mを必須成分として有する共重合体である。
構造単位MのRfにおいて、Y1の少なくとも1個はRfの末端に結合していることが好ましい。
本発明で用いる硬化性含フッ素ポリマー(A)における構造単位Mは、なかでも式(M1):
Figure 2009167354
(式中、X1およびX2は同じかまたは異なり、HまたはF;X3はH、F、CH3またはCF3;X4およびX5は同じかまたは異なり、H、FまたはCF3;Rfは炭素数1〜40の含フッ素アルキル基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基にY1(Y1は末端にエチレン性炭素−炭素二重結合を有する炭素数2〜10の1価の有機基)が1〜3個結合している有機基;aは0〜3の整数;cは0または1)で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位M1が好ましい。
この構造単位M1を含む硬化性含フッ素ポリマー(A)は、屈折率が低く、特にM1のホモポリマーやM1を増やした組成の重合体においても屈折率を低くすることができる点から好ましい。
さらに構造単位M1のより好ましい具体例の1つは式(M2):
Figure 2009167354
(式中、Rfは炭素数1〜40の含フッ素アルキル基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基にY1(Y1は末端にエチレン性炭素−炭素二重結合を有する炭素数2〜10の1価の有機基)が1〜3個結合している有機基)で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位M2である。
この構造単位M2はエチレン性炭素−炭素二重結合を末端に有する含フッ素アリルエーテルの構造単位であり、重合性が良好であり、特にホモ重合性および他の含フッ素エチレン系単量体との共重合性が良好であるため好ましい。
また、構造単位M1の別の好ましい具体例は式(M3):
Figure 2009167354
(式中、Rfは炭素数1〜40の含フッ素アルキル基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基にY1(Y1は末端にエチレン性炭素−炭素二重結合を有する炭素数2〜10の1価の有機基)が1〜3個結合している有機基)で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位M3である。
この構造単位M3はエチレン性炭素−炭素二重結合を末端に有する含フッ素ビニルエーテルの構造単位であり、他の含フッ素エチレン系単量体との共重合性が良好である点で好ましい。
本発明で使用する式(1)の硬化性含フッ素ポリマー(A)において構造単位M、M1、M2およびM3に含まれるY1は、前記のとおり、末端にエチレン性炭素−炭素二重結合を有する炭素数2〜10の1価の有機基である。
このY1中の炭素−炭素二重結合は重縮合反応などを起こす能力を有し、硬化(架橋)体を与えることができるものである。詳しくは、たとえばラジカルやカチオンの接触によって、硬化性含フッ素ポリマー(A)分子間で、または硬化性含フッ素ポリマー(A)と必要に応じて加えられる硬化(架橋)剤との間で重合反応や縮合反応を起こし、硬化(架橋)物を与えることができるものである。
好ましいY1の第1としては、
Figure 2009167354
(式中、Y2は末端にエチレン性炭素−炭素二重結合を有する炭素数2〜5のアルケニル基または含フッ素アルケニル基;dおよびeは同じかまたは異なり、0または1)である。
好ましいY2としては、
−CX6=CX78
(式中、X6はH、F、CH3またはCF3;X7およびX8は同じかまたは異なり、HまたはF)であり、この基はラジカルやカチオンの接触による硬化反応性が高く、好ましいものである。
好ましいY2の具体例としては、
Figure 2009167354
などがあげられる。
またより好ましいY1としては、
−O(C=O)CX6=CX78
(式中、X6はH、F、CH3またはCF3;X7およびX8は同じかまたは異なり、HまたはF)があげられ、この基は特にラジカルの接触による硬化反応性がより高い点で好ましく、光硬化などにより容易に硬化物を得ることができる点で好ましい。
上記のより好ましいY1の具体例としては、
Figure 2009167354
などがあげられる。
その他の好ましいY1の具体例としては、
Figure 2009167354
Figure 2009167354
などがあげられる。
1のなかでも、−O(C=O)CF=CH2の構造を有するものが近赤外透明性を高くでき、さらに硬化(架橋)反応性が特に高く、効率よく硬化物を得ることができる点で好ましい。
なお、前述の側鎖中に炭素−炭素二重結合を有する有機基Y1は、ポリマー主鎖末端に導入してもよい。
本発明で用いる硬化性含フッ素ポリマー(A)において、構造単位M、M1、M2およびM3に含まれる−Rf−(前記−RfからY1を除いた基)は、炭素数1〜40の含フッ素アルキレン基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基である。このRf基は含まれる炭素原子にフッ素原子が結合していればよく、一般に、炭素原子にフッ素原子と水素原子または塩素原子が結合した含フッ素アルキレン基、エーテル結合を有する含フッ素アルキレン基であるが、フッ素原子をより多く含有する(フッ素含有率が高い)ものが好ましく、より好ましくはパーフルオロアルキレン基またはエーテル結合を有するパーフルオロアルキレン基である。硬化性含フッ素ポリマー(A)中のフッ素含有率は25重量%以上、好ましくは40重量%以上である。これらによって、硬化性含フッ素ポリマーの屈折率を低くすることが可能となり、特に硬化物の硬度を高くする目的で硬化度(架橋密度)を高くしても屈折率を低く維持できるという点で好ましい。
−Rf−基の炭素数は大きすぎると、含フッ素アルキレン基の場合は溶剤への溶解性を低下させたり透明性が低下することがあり、またエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基の場合はポリマー自身やその硬化物の硬度や機械特性を低下させることがあるため好ましくない。含フッ素アルキレン基の炭素数は、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10である。エーテル結合を有する含フッ素アルキレン基の炭素数は好ましくは2〜30、より好ましくは2〜20である。
Rfの好ましい具体例としては、
Figure 2009167354
(以上、X9、X12はFまたはCF3;X10、X11はHまたはF;
o+p+qは1〜30;rは0または1;s、tは0または1)
などがあげられる。
前述のとおり、本発明で用いる硬化性含フッ素ポリマー(A)を構成する構造単位Mは構造単位M1が好ましく、構造単位M1としてはさらに構造単位M2または構造単位M3が好ましい。そこで、つぎに構造単位M2および構造単位M3の具体例について述べる。
構造単位M2を構成する単量体として好ましい具体例としては、
Figure 2009167354
(以上、nは1〜30の整数;Y1は前記と同じ)
があげられる。
より詳しくは、
Figure 2009167354
(以上、Rf1、Rf2は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基;nは0〜30の整数;XはH、CH3、FまたはCF3
などがあげられる。
構造単位M3を構成する単量体として好ましい具体例としては、
Figure 2009167354
(以上、Y1は前記と同じ;nは1〜30の整数)
などがあげられる。
さらに詳しくは、
Figure 2009167354
Figure 2009167354
(以上、Rf1、Rf2は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基;mは0〜30の整数;nは1〜3の整数;XはH、CH3、FまたはCF3
などがあげられる。
これらの構造単位M2およびM3以外に、硬化性含フッ素ポリマー(A)の構造単位Mを構成する単量体の好ましい具体例としては、たとえば、
Figure 2009167354
Figure 2009167354
(以上、Y1およびRfは前述の例と同じ)
などがあげられる。
より具体的には、
Figure 2009167354
(以上、Y1は前記と同じ)
などがあげられる。
本発明で用いる硬化性含フッ素ポリマー(A)において、構造単位Aは任意成分であり、構造単位M、M1、M2またはM3と共重合し得る単量体であれば特に限定されず、目的とする硬化性含フッ素ポリマー(A)やその硬化物の用途、要求特性などに応じて適宜選択すればよい。
構造単位Aとしては、たとえばつぎの構造単位が例示できる。
(i)官能基を有する含フッ素エチレン性単量体から誘導される構造単位
この構造単位(i)は、硬化性含フッ素ポリマー(A)およびその硬化物の近赤外透明性を高く維持しながら、基材への密着性や溶剤、特に汎用溶剤への溶解性を付与できる点で好ましく、そのほかY1が関与する以外の架橋性などの機能を付与できる点で好ましい。
官能基を有する好ましい含フッ素エチレン性単量体の構造単位(i)は、式(3):
Figure 2009167354
(式中、X11、X12およびX13は同じかまたは異なりHまたはF;X14はH、F、CF3;hは0〜2の整数;iは0または1;Rf4は炭素数1〜40の含フッ素アルキレン基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基;Z1は−OH、−CH2OH、−COOH、カルボン酸誘導体、−SO3H、スルホン酸誘導体、エポキシ基およびシアノ基よりなる群から選ばれる官能基)で示される構造単位であり、なかでも、
CH2=CFCF2ORf4−Z1
(式中、Rf4およびZ1は前記と同じ)から誘導される構造単位が好ましい。
より具体的には、
Figure 2009167354
Figure 2009167354
(以上、Z1は前記と同じ)などの含フッ素エチレン性単量体から誘導される構造単位が好ましくあげられる。
また、
CF2=CFORf4−Z1
(式中、Rf4およびZ1は前記と同じ)から誘導される構造単位も好ましく例示でき、より具体的には、
Figure 2009167354
(以上、Z1は前記と同じ)などの単量体から誘導される構造単位があげられる。
その他、官能基含有含フッ素エチレン性単量体としては、
CF2=CFCF2−O−Rf−Z1 、CF2=CF−Rf−Z1
CH2=CH−Rf−Z1 、CH2=CHO−Rf−Z1
(以上、−Rf−は前記の−Rf−と同じ;Z1は前記と同じ)
などがあげられ、より具体的には、
Figure 2009167354
(以上、Z1は前記と同じ)などがあげられる。
ただし、−OH基、−COOH基、−SO3H基を有する単量体を用いる場合は、架橋性を付与するという点から、低下させない範囲の量であることが好ましい。
(ii)官能基を含まない含フッ素エチレン性単量体から誘導される構造単位
この構造単位(ii)は硬化性含フッ素ポリマー(A)またはその硬化物の近赤外透明性をより一層高く維持できる点で、またさらに高透明性化することができる点で好ましい。また単量体を選択することでポリマーの機械的特性やガラス転移温度などを調整でき、特に構造単位Mと共重合してガラス転移点を高くすることができ、好ましいものである。
この含フッ素エチレン性単量体の構造単位(ii)としては、式(4):
Figure 2009167354
(式中、X15、X16およびX18は同じかまたは異なりHまたはF;X17はH、FまたはCF3;h1、i1およびjは0または1;Z2はH、FまたはCl;Rf5は炭素数1〜20の含フッ素アルキレン基または炭素数2〜100のエーテル結合を含む含フッ素アルキレン基)で示されるものが好ましい。
具体例としては、
Figure 2009167354
などの単量体から誘導される構造単位が好ましくあげられる。
(iii)フッ素を有する脂肪族環状の構造単位
この構造単位(iii)を導入すると、透明性を高くでき、また、より近赤外透明性を高めることが可能となり、さらに高ガラス転移温度の硬化性含フッ素ポリマー(A)が得られ、硬化物にさらなる高硬度化が期待できる点で好ましい。
含フッ素脂肪族環状の構造単位(iii)としては式(5):
Figure 2009167354
(式中、X19、X20、X23、X24、X25およびX26は同じかまたは異なりHまたはF;X21およびX22は同じかまたは異なりH、F、ClまたはCF3;Rf6は炭素数1〜10の含フッ素アルキレン基または炭素数2〜10のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基;n2は0〜3の整数;n1、n3、n4およびn5は同じかまたは異なり0または1の整数)で示されるものが好ましい。
たとえば、
Figure 2009167354
(式中、Rf6、X21およびX22は前記と同じ)で示される構造単位があげられる。
具体的には、
Figure 2009167354
Figure 2009167354
(式中、X19、X20、X23およびX24は前記と同じ)などがあげられる。
そのほかの含フッ素脂肪族環状構造単位としては、たとえば
Figure 2009167354
などがあげられる。
(iv)フッ素を含まないエチレン性単量体から誘導される構造単位
近赤外透明性を悪化させない範囲でフッ素を含まないエチレン性単量体から誘導される構造単位(iv)を導入してもよい。
構造単位(iv)を導入することによって、汎用溶剤への溶解性が向上したり、添加剤、たとえば光触媒や必要に応じて添加する硬化剤との相溶性を改善できる。
非フッ素系エチレン性単量体の具体例としては、
αオレフィン類:
エチレン、プロピレン、ブテン、塩化ビニル、塩化ビニリデンなど
ビニルエーテル系またはビニルエステル系単量体:
CH2=CHOR、CH2=CHOCOR(R:炭素数1〜20の炭化水素基)など
アリル系単量体:
CH2=CHCH2Cl、CH2=CHCH2OH、CH2=CHCH2COOH、CH2=CHCH2Brなど
アリルエーテル系単量体:
Figure 2009167354
アクリル系またはメタクリル系単量体:
アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類のほか、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸エステル類など
などがあげられる。
これらの非フッ素系エチレン性単量体の水素原子を重水素原子に一部または全部置換したものは透明性の点でより好ましい。
(v)脂環式単量体から誘導される構造単位
構造単位Mの共重合成分として、より好ましくは構造単位Mと前述の含フッ素エチレン性単量体または非フッ素エチレン性単量体(前述の(iii)、(iv))の構造単位に加えて、第3成分として脂環式単量体構造単位(v)を導入してもよく、それによって高ガラス転移温度化や高硬度化が図られる。
脂環式単量体(v)の具体例としては、
Figure 2009167354
(mは0〜3の整数;A、B、CおよびDは同じかまたは異なり、H、F、Cl、COOH、CH2OHまたは炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基など)で示されるノルボルネン誘導体、
Figure 2009167354
などの脂環式単量体や、これらに置換基を導入した誘導体などがあげられる。
本発明で用いる硬化性含フッ素ポリマー(A)において、構造単位M(M1、M2、M3)と構造単位Aの組合せや組成比率は、構造単位Mと構造単位Aの組合せが非晶性となり得る組合せの範囲、およびフッ素含有率が25重量%以上の範囲で、上記の例示から、目的とする用途、物性(特にガラス転移温度、硬度など)、機能(透明性、屈折率)などによって種々選択できる。
硬化性含フッ素ポリマー(A)は、構造単位M(M1、M2、M3)を必須成分として含むものであり、構造単位M自体で近赤外透明性を高く維持し、透明性を付与する機能と硬化により硬化物に硬さ、耐熱性、耐摩耗性、耐擦傷性、耐溶剤性を付与できる機能を併せもつという特徴を有している。また、構造単位Mの含有量を調整することで屈折率の制御が可能であるという特徴をも有している。したがって硬化性含フッ素ポリマー(A)は、構造単位Mを多く含む組成、極端には構造単位Mのみ(100モル%)からなる重合体であっても近赤外透明性を高く維持できる。さらに同時に硬化(架橋)密度の高い硬化物が得られ、高硬度、耐摩耗性、耐擦傷性、耐熱性に優れた被膜が得られる。
またさらに、硬化性含フッ素ポリマー(A)の構造単位Mと構造単位Aとからなる共重合体の場合、構造単位Aを前述の例示から選択することによって、さらに高硬度で、ガラス転移温度が高く近赤外透明性の高い硬化物を与えるプレポリマーとすることができる。
硬化性含フッ素ポリマー(A)の構造単位Mと構造単位Aとの共重合体の場合、構造単位Mの含有量は、硬化性含フッ素ポリマー(A)を構成する全構造単位に対し0.1モル%以上であればよいが、硬化(架橋)により高硬度で耐摩耗性、耐擦傷性に優れ、耐薬品性、耐溶剤性に優れた硬化物を得るためには2.0モル%以上、好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上とすることが好ましい。
特に耐熱性、透明性、低吸水性に優れた硬化被膜の形成が必要な光学材料の用途においては、10モル%以上、好ましくは20モル%以上、さらには50モル%以上含有することが好ましい。上限は100モル%未満である。
本発明で用いる硬化性含フッ素ポリマー(A)は、構成単位Mの比率を増やしても(硬化部位を増やしても)透明性は低下しないため、特に近赤外領域における光増幅材料用途、および可視光から近赤外線領域における発光材料用途において好ましい特性を有している。
またさらに硬化性含フッ素ポリマー(A)は、光通信用用途における光増幅材料および可視光から近赤外線領域における発光材料など高い透明性を必要とする場合、構造単位Mと構造単位Aの組合せが非晶性となり得る組合せと組成を有することが重要である。ここで、非晶性とはDSC分析において、昇温速度10℃/minの条件で測定(ASTM D3418−99)した際に実質的に融解に基づく吸熱ピークが観測されないか、もしくは融解熱量が1J/g以下である性質を示す。
また、硬化性含フッ素ポリマー(A)のフッ素含有率は25重量%以上が好ましい。
フッ素含有率が低いと、近赤外領域での透明性が低下する。また、フッ素含有率が低いと吸水性も高くなり、光通信用などの光学材料としては実質的には使用できなくなる。光増幅材料および発光材料用途としては、最も好ましいフッ素含有率は40重量%以上である。フッ素含有率の上限は硬化性含フッ素ポリマー(A)の組成によって異なるが、水素原子が全てフッ素原子に置き換わったときのフッ素含有率であり、75重量%程度である。
硬化性含フッ素ポリマー(A)の分子量は、たとえば数平均分子量において500〜1000000の範囲から選択できるが、好ましくは1000〜500000、特に2000〜200000の範囲から選ばれるものが好ましい。
分子量が低すぎると、硬化後であっても機械的物性が不充分となりやすく、特に硬化物や硬化膜が脆く強度不足となりやすい。分子量が高すぎると、溶剤溶解性が悪くなったり、特に薄膜形成時に成膜性やレベリング性が悪くなりやすく、また含フッ素ポリマーの貯蔵安定性も不安定となりやすい。光学用途としては、最も好ましくは数平均分子量が5000から100000の範囲から選ばれるものである。
またさらに含フッ素ポリマーでは、汎用溶剤に可溶であることが好ましく、たとえばケトン系溶剤、酢酸エステル系溶剤、アルコール系溶剤、芳香族系溶剤の少なくとも1種に可溶または上記汎用溶剤を少なくとも1種含む混合溶剤に可溶であることが好ましい。
汎用溶剤に可溶であることは、特に、光学素子を形成するプロセスにおいて3μm程度の薄膜形成が必要な際、成膜性、均質性に優れるため好ましく、光学素子の形成における生産性の面でも有利である。
本発明で用いる硬化性含フッ素ポリマー(A)を得るためには、一般には、
(i)Y1を有する単量体を予め合成し、重合して得る方法
(ii)一旦、他の官能基を有する重合体を合成し、その重合体に高分子反応により官能基変換し、官能基Y1を導入する方法
のいずれの方法も採用できる。
ただし(i)の方法では、側鎖末端の炭素−炭素二重結合を反応(硬化)させずに側鎖に炭素−炭素二重結合を有する硬化性含フッ素ポリマー(A)を得るためには、(共)重合性のモノマー中の2種の二重結合(主鎖となる二重結合と側鎖となる二重結合)の反応性を変えることにより、一方の二重結合のみ重合に関与させる必要があり、かかる方法では、側鎖に二重結合を有する含フッ素ポリマーを得る重合条件の選択が難しいこと、また、得られる含フッ素ポリマー中の側鎖の二重結合自体の硬化反応性をあまり高くしにくいので、(ii)の方法が好ましい。
(ii)の方法は、硬化反応させずに本発明の含フッ素ポリマーを得るのが容易であり、また、硬化反応性の高い炭素−炭素二重結合も側鎖に導入できる点で好ましい方法である。
(ii)の方法のなかでも、後述するように、たとえば一旦ヒドロキシル基またはヒドロキシル基を有する有機基Y3を有する含フッ素単量体の構造単位Nと、必要に応じてNと共重合可能な単量体の構造単位Bからなる含フッ素重合体を合成したのち、不飽和カルボン酸またはその誘導体を反応させて、炭素−炭素二重結合をポリマーの側鎖中および/またはポリマー主鎖末端、好ましくは側鎖末端に導入する方法が好ましく採用できる。
以下にその詳細を例示する。
まず、式(2):
Figure 2009167354
[式中、構造単位Nは式(N):
Figure 2009167354
(式中、X1およびX2は同じかまたは異なり、HまたはF;X3はH、F、CH3またはCF3;X4およびX5は同じかまたは異なり、H、FまたはCF3;Rf1は炭素数1〜40の含フッ素アルキル基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基にY3(Y3はヒドロキシル基またはヒドロキシル基を有する炭素数1〜10の1価の有機基)が1〜3個結合している有機基;aは0〜3の整数;bおよびcは同じかまたは異なり、0または1)で示される含フッ素エチレン性単量体に由来するヒドロキシル基含有構造単位、構造単位Bは該構造単位Nを与えるヒドロキシル基含有含フッ素エチレン性単量体と共重合可能な単量体に由来する構造単位である]で示され、構造単位Nを0.1〜100モル%および構造単位Bを0〜99.9モル%含むヒドロキシル基含有含フッ素重合体(IV)と、不飽和カルボン酸またはその誘導体をエステル化反応させて、硬化性含フッ素ポリマー(A)を製造する。
この硬化性含フッ素ポリマー(A)の製造法において、式(2)に示した前駆体のヒドロキシル基含有含フッ素重合体(IV)において、構造単位Nは具体例としては、前に述べた硬化性含フッ素ポリマー(A)の構造単位Mの具体例のそれぞれに対応する、炭素−炭素二重結合を含む部位Y1をOH基を含む部位Y3に置き換えた構造のものがそれぞれ好ましく利用でき、構造単位Bは、前述の構造単位Aと同様のものが好ましく利用できる。
ヒドロキシル基含有含フッ素重合体(IV)と反応させる不飽和カルボン酸またはその誘導体としては、末端に炭素−炭素二重結合を有するカルボン酸またはその誘導体であればよいが、なかでもα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体が好ましい。
たとえば、
Figure 2009167354
(式中、RはH、CH3、F、CF3またはCl)で示されるカルボン酸またはこれらの無水物、または
Figure 2009167354
(式中、Rは前記と同じ、XはClまたはF)で示される酸ハライドのほか、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステルなどがあげられる。
なかでも不飽和カルボン酸ハライドを採用するときは反応を室温で行なうことができ、生成ポリマーのゲル化を防止することができるため好ましい。
具体的には、
Figure 2009167354
が特に好ましいものである。
ヒドロキシル基含有含フッ素重合体(IV)にα,β−不飽和カルボン酸ハライドを反応させる方法は特に限定されるものではないが、通常、ヒドロキシル基含有含フッ素重合体(IV)を溶剤に溶解し、それにα,β−不飽和カルボン酸ハライドを−20℃〜40℃程度の温度で撹拌混合し、反応させればよい。
この反応においては、反応によってHClやHFが副生するがこれらを捕捉する目的で適当な塩基を加えることが望ましい。塩基としては、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、テトラメチル尿素、トリエチルアミンなどの3級アミン;金属マグネシウムなどがあげられる。また、反応の際に原料のα,β−不飽和カルボン酸や得られた含フッ素ポリマー中の炭素−炭素二重結合が重合反応を起こすことを禁止するための禁止剤を共存させてもよい。
禁止剤としては、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテルなどがあげられる。
不飽和カルボン酸またはその誘導体を反応させる前のヒドロキシル基含有含フッ素重合体(IV)は、それぞれ構成単位に相当するヒドロキシル基を有するエチレン性単量体N、使用する場合共重合成分となる単量体Bを公知の方法で(共)重合することで得られる。重合方法はラジカル重合法、アニオン重合法、カチオン重合法などが利用できる。なかでもヒドロキシル基含有重合体(IV)を得るために例示した各単量体はラジカル重合性が良好である点、さらには得られる重合体の組成や分子量などの品質のコントロールがしやすい点、工業化しやすい点から、ラジカル重合法が好ましく用いられる。
ラジカル重合を開始するには、ラジカル的に進行するものであれば手段は何ら制限されないが、たとえば有機または無機ラジカル重合開始剤、熱、光、あるいは電離放射線などによって開始される。重合の形態も溶液重合、バルク重合、懸濁重合、乳化重合などを用いることができる。また、分子量は重合に用いるモノマーの濃度、重合開始剤の濃度、連鎖移動剤の濃度、温度などによって制御される。共重合体組成は仕込み単量体のモノマー組成により制御可能である。
本発明の硬化性フッ素樹脂組成物は、硬化性含フッ素ポリマー(A)と多官能アクリレート(B)だけでも得られるが、さらに活性エネルギー線硬化開始剤(C)である光ラジカル発生剤(C−1)または光酸発生剤(C−2)を加えて光硬化型の組成物の形態としてもよい。
活性エネルギー線硬化開始剤(C)は、たとえば350nm以下の波長領域の電磁波、つまり紫外線、電子線、X線、γ線などの活性エネルギー線を照射することによって初めてラジカルやカチオン(酸)などを発生し、硬化性含フッ素ポリマーの炭素−炭素二重結合の硬化(架橋反応)を開始させる触媒として働くものであり、通常、紫外線でラジカルやカチオン(酸)を発生させるもの、特にラジカルを発生するものを使用する。
本発明の光増幅材料用または発光材料用のフッ素樹脂組成物によると、前記活性エネルギー線により容易に硬化反応を開始でき、高温で加熱する必要がなく、比較的低温で硬化反応が可能であるので、耐熱性が低く、熱で変形や分解、着色が起こりやすい基材、たとえば透明樹脂基材などにも適応できる点で好ましい。
本発明の組成物における活性エネルギー線硬化開始剤(C)は、硬化性含フッ素ポリマー(A)中の炭素−炭素二重結合の種類(ラジカル反応性か、カチオン(酸)反応性か)、使用する活性エネルギー線の種類(波長域など)と照射強度などによって適宜選択される。
一般に紫外線領域の活性エネルギー線を用いてラジカル反応性の炭素−炭素二重結合を有する硬化性含フッ素ポリマー(A)を硬化させる開始剤(光ラジカル発生剤)としては、たとえばつぎのものが例示できる。
アセトフェノン系
アセトフェノン、クロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、α−アミノアセトフェノンなど
ベンゾイン系
ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタールなど
ベンゾフェノン系
ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシ−プロピルベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、ミヒラーケトンなど
チオオキサンソン類
チオキサンソン、クロロチオキサンソン、メチルキサンソン、ジエチルチオキサンソン、ジメチルチオキサンソンなど
その他
ベンジル、α−アシルオキシムエステル、アシルホスフィンオキサイド、グリオキシエステル、3−ケトクマリン、2−エチルアンスラキノン、カンファーキノン、アンスラキノンなど
また、必要に応じてアミン類、スルホン類、スルフィン類などの光開始助剤を添加してもよい。
また、カチオン(酸)反応性の炭素−炭素二重結合を有する硬化性含フッ素ポリマー(A)を硬化させる開始剤(光酸発生剤)としては、つぎのものが例示できる。
オニウム塩
ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩など
スルホン化合物
β−ケトエステル、β−スルホニルスルホンとこれらのα−ジアゾ化合物など
スルホン酸エステル類
アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネートなど
その他
スルホンイミド化合物類、ジアゾメタン化合物類など
なお、ラジカル反応性の炭素−炭素二重結合としては、たとえば前記式
−O(C=O)CX6=CX78
などで示されるものが、カチオン反応性の炭素−炭素二重結合としては、たとえば前記式
Figure 2009167354
などのものがあげられる。
本発明の硬化性組成物において、活性エネルギー線硬化開始剤の添加量は、硬化性含フッ素ポリマー(A)中の炭素−炭素二重結合の含有量、硬化剤の使用の有無や硬化剤の使用量によって、さらには用いる開始剤、活性エネルギー線の種類や、照射エネルギー量(強さと時間など)によって適宜選択されるが、硬化剤を使用しない場合では、硬化性含フッ素ポリマー(A)100重量部に対して0.01〜30重量部、さらには0.05〜20重量部、最も好ましくは、0.1〜10重量部である。
詳しくは、硬化性含フッ素ポリマー(A)中に含まれる炭素−炭素二重結合の含有量(モル数)に対し、0.05〜50モル%、好ましくは0.1〜20モル%、最も好ましくは、0.5〜10モル%である。
硬化剤を使用する場合は、硬化性含フッ素ポリマー(A)中に含まれる炭素−炭素二重結合の含有量(モル数)と硬化剤の炭素−炭素不飽和結合のモル数の合計モル数に対して0.05〜50モル%、好ましくは0.1〜20モル%、最も好ましくは0.5〜10モル%である。
本発明の組成物には、前述の化合物のほかに、必要に応じて種々の添加剤を配合してもよい。
そうした添加剤としては、たとえばレベリング剤、粘度調整剤、光安定剤、光増感剤、防汚剤、水分吸収剤、顔料、染料、補強剤などがあげられる。
また、本発明の組成物は、硬化物の硬度を高める目的で無機化合物の微粒子を配合することもできる。
無機化合物微粒子としては特に限定されないが、屈折率が1.5以下の化合物が好ましい。具体的にはフッ化マグネシウム(屈折率1.38)、酸化珪素(屈折率1.46)、ポーラスまたは中空の酸化珪素(屈折率1.30)、フッ化アルミニウム(屈折率1.33〜1.39)、フッ化カルシウム(屈折率1.44)、フッ化リチウム(屈折率1.36〜1.37)、フッ化ナトリウム(屈折率1.32〜1.34)、フッ化トリウム(屈折率1.45〜1.50)などの微粒子が望ましい。微粒子の粒径については、低屈折率材料の透明性を確保するために可視光の波長に比べて充分に小さいことが望ましい。具体的には100nm以下、特に70nm以下が望ましい。
無機化合物微粒子を使用する際は、組成物中での分散安定性、低屈折率材料中での密着性などを低下させないために、予め有機分散媒体中に分散した有機ゾルの形態で使用するのが望ましい。さらに、組成物中において、無機化合物微粒子の分散安定性、低屈折率材料中での密着などを向上させるために、予め無機微粒子化合物の表面を各種カップリング剤などを用いて修飾する事ができる。各種カップリング剤をしては、例えば有機置換された珪素化合物;アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、アンチモンまたはこれらの混合物などの金属アルコキシド;有機酸の塩;配位性化合物と結合した配位化合物などが挙げられる。
本発明の光増幅用材料または発光用材料に用いるフッ素樹脂組成物は、後述するように、溶剤に溶解または分散させて光増幅用または発光用の各種部材の製造に供される。
ここで溶液の調製に使用する溶剤は、硬化性含フッ素ポリマー(A)、活性エネルギー線硬化開始剤、および必要に応じて添加するレベリング剤、防汚剤、光安定剤などの添加剤が均一に溶解または分散するものであれば特に制限はないが、特に硬化性含フッ素ポリマー(A)を均一に溶解するものが好ましい。
かかる溶剤としては、たとえばメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブ系溶剤;ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル−2−ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、酢酸ブチル、酢酸アミル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチルなどのエステル系溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテルなどのプロピレングリコール系溶剤;2−ヘキサノン、シクロヘキサノン、メチルアミノケトン、2−ヘプタノンなどのケトン系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール系溶剤;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類あるいはこれらの2種以上の混合溶剤などがあげられる。
またさらに、硬化性含フッ素ポリマー(A)の溶解性を向上させるために、必要に応じてフッ素系の溶剤を用いてもよい。
フッ素系の溶剤としては、たとえばCH3CCl2F(HCFC−141b)、CF3CF2CHCl2/CClF2CF2CHClF混合物(HCFC−225)、パーフルオロヘキサン、パーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)、メトキシ−ノナフルオロブタン、1,3−ビストリフルオロメチルベンゼンなどのほか、
Figure 2009167354
などのフッ素系アルコール類;
ベンゾトリフルオライド、パーフルオロベンゼン、パーフルオロ(トリブチルアミン)、ClCF2CFClCF2CFCl2などがあげられる。
これらフッ素系溶剤は単独でも、またフッ素系溶剤同士、非フッ素系とフッ素系の1種以上との混合溶剤として用いてもよい。
これらのなかでもケトン系溶剤、酢酸エステル系溶剤、アルコール系溶剤、プロピレングリコール系溶剤などが、塗装性、塗布の生産性などの面で好ましいものである。
また、本発明は前記の硬化性組成物を基材の上に塗付して得られる硬化被膜にも関する。硬化被膜の膜厚は、可視光における光干渉による反射率の低減化が不充分であるため、0.03μm以上が好ましく、0.07μm以上がより好ましく、0.08μm以上がさらに好ましい。また、硬化被膜の膜厚は、高すぎると反射率はほぼ空気と膜の界面の反射のみに依存するようになるので、可視光における光干渉による反射率の低減化が不充分となるため、0.5μm以下が好ましく、0.2μm以下がより好ましく、0.12μm以下がさらに好ましい。
硬化性組成物を塗付する基材としては、特に限定されないが、塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル系樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フラン樹脂、アミノ樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリイミド樹脂などの合成樹脂;ガラス、石材、コンクリート、タイルなどの無機材料;鉄、アルミ、銅などの金属などを挙げることができる。基材の中でもアクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン樹脂などの透明樹脂基材が好ましい。
また、強度の付与や帯電性を防止するために前記基材上にハードコート層を設けた積層体とし、ハードコート層上に硬化性組成物を塗付してもよい。ハードコート層としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンアルコキシド系化合物の硬化物、金属アルコキシド系化合物などがあげられる。
また、ほこりの付着を防止する目的で、反射防止膜のアンダーコート層および/またはトップコート層に帯電防止剤を添加することが好ましい。添加剤としては上記の導電性を付与する添加剤に加え、金属酸化物の微粒子、フルオロアルコキシシラン、界面活性剤(アニオン系、カチオン系、両性系、ノニオン系など)、有機高分子(パイ共役系、固体電解質型、4級アンモニウム型、スルホン酸型など)などがあげられる。
またさらに、艶消し剤として微粒子を混合したコーティング剤を下地に施したもの、すなわちアンチグレア(AG)処理した基材フィルム(たとえばTACフィルムなど)上に、本発明の反射防止膜を施してもよい。それによって、低グロス、低反射の反射防止フィルムが得られ、LCDなどに用いることにより、より一層鮮明な画像が得られるので好ましい。
ハードコート層の厚さとしては、耐擦傷性および硬度が良好であるという点から、1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましい。また、ハードコート層の厚さは、塗膜外観が良好であるという点から、15μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましい。
本発明の硬化性組成物は、低屈折率を有し、また、防汚性を有するため、反射防止膜として、用いることができる。
つぎに実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
なお、本明細書における各種の物性および特性は、以下の方法で測定したものである。
重合体組成(1H−NMR、19F−NMR、IR)
NMR測定装置:BRUKER社製
1H−NMR測定条件:300MHz(テトラメチルシラン=0ppm)
19F−NMR測定条件:282MHz(トリクロロフルオロメタン=0ppm)
1.多官能アクリレート(B)の合成
合成例1−1(式(1−IIIa):
Figure 2009167354
の合成)
温度計、冷却管、撹拌機を備えた5Lの四つ口フラスコに(式(1−IIa):
Figure 2009167354
)を1164.8g、エピクロルヒドリン5180g、NaOH(ペレット)235.2gを仕込み、4.5時間還流した後、さらにNaOH(粉末)4.67gを追加し、さらに2時間還流した。反反応終了後、ろ過を行い、減圧留去を行い、過剰のエピクロルヒドリンを除去した。CH3CCl2F(HCFC−141b)を1200mL加えて希釈し、モレキュラーシーブス115gを加えて2時間撹拌した。ろ過後、減圧留去を行い、HCFC−141bを減圧留去した。減圧蒸留を行い、式(1−IIIa)を得た(収量1383g)。
合成例1−2(式(1−Va):
Figure 2009167354
の合成)
温度計、冷却管、撹拌機を備えた5Lの四つ口フラスコに式(1−IIIa)を81.6g、アクリル酸34.6g、トルエン120mL、ヒドロキノンモノメチルエーテル0.1g、ジブチルヒドロキシトルエン0.05gを仕込み、溶解後トリメチルベンジルアンモニウムクロリド1.0gを加えた。100℃で16時間撹拌し、反応終了後、10%炭酸ナトリウム水溶液で1回、5%炭酸ナトリウム水溶液で1回、飽和食塩水で3回洗浄した。硫酸ナトリウムで脱水乾燥し、ろ過後ヒドロキノンモノメチルエーテル0.1gを加え、減圧留去し、式(1−Va)を得た(収量71.0g)。
合成例1−3(式(1a−3):
Figure 2009167354
の合成)
温度計、冷却管、撹拌機を備えた500mLの四つ口フラスコに式(1−Va)を30g、ジブチルスズジラウリレート43mg、メチルイソブチルケトン(MIBK)100gを加えた後、チッ素雰囲気下40℃で溶解した。その後、カレンズAOI(昭和電工株式会社製)12.6gを10分かけて滴下した。40℃で9時間撹拌し、反応を終了した。AOIの構造式を式に示す。
2C=C(CH3)COOCH2CH2NCO
そののち、MIBKを減圧留去し、式(1−3a)を得た。(収量40.5g)
(以下、この多官能アクリレートを「CHEp4UA」ともいう)
19F−NMR(CD3COCD3):δ −67.5(12F)
1H−NMR(CD3COCD3):δ 1.24−1.60(4H)、1.90−2.22(4H)、2,45−2.64(2H)、2.79−2.94(4H)、3.87−4.08(4H)、4.18−4.51(4H)、5.08−5.22(4H)、5.22−5.33(2H)、5.70−5.81(2H)、5.81−5.97(4H)、6.06−6.22(4H)、6.29−6.47(4H)
フッ素含有率:23.9%
合成例1−4(式:1−4a)
Figure 2009167354
の合成)
温度計、冷却管、撹拌機を備えた500mLの四つ口フラスコに式(1−Va)を30g、ジブチルスズジラウリレート43mg、メチルイソブチルケトン(MIBK)100gを加えた後、チッ素雰囲気下40℃で溶解した。その後、カレンズBEI(昭和電工株式会社製)21.3gを10分かけて滴下した。40℃で24時間撹拌し、反応を終了した。BEIの構造式を式に示す。
Figure 2009167354
そののち、MIBKを減圧留去し、式(1−4a)を得た。(収量50.3g)
(この多官能アクリレートを「CHEp6UA」と略す。)
19F−NMR(CD3COCD3):δ −67.5(12F)
1H−NMR(CD3COCD3):δ 1.20−1.34(4H)、1.41(6H)、1.83−2.12(4H)、2.33−2.55(2H)、3.62−4.01(4H)、4.12−4.52(8H)、4.95−5.15(4H)、5.15−5.27(2H)、5.52−5.63(2H)、5.71−5.89(6H)、5.95−6.17(6H)、6.21−6.60(6H)
フッ素含有率:19.8%
合成例1−5(式:1−5a)
Figure 2009167354
の合成)
温度計、冷却管、撹拌機を備えた50mLの四つ口フラスコに式(1−Va)を10.1g加え、チッ素雰囲気下25℃でHCFC−141b 25mLに溶解し、トリエチルアミン6.6gを加えた。氷水で冷却しアクリル酸クロライド5.4gを滴下した。25℃で12時間撹拌した。塩酸でpHを2にし、分液した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、HCFC−141bを減圧留去した。アセトンに溶解し、不溶分をろ過した後、アセトンを減圧留去し、式(1−5a)を得た。(収量10.5g)
(この多官能アクリレートを「CHEp4A」と略す。)
19F−NMR(CD3COCD3):δ −67.5(12F)
1H−NMR(CD3COCD3):δ 1.18−1.6(4H)、1.85−2.22(4H)、2.39−2.63(2H)、3.83−4.15(4H)、4.23−4.57(2H)、5.17−5.52(4H)、5.76−6.00(4H)、6.00−6.22(4H)、6.22−6.46(4H)
フッ素含有率29.2%
合成例1−6a(式:
Figure 2009167354
(2−フルオロ−5または6−ヒドロキシ−ノルボルナン−2−イル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(以下、「NB1F2OH」ともいう)の合成)
温度計、3方コックを付けた冷却管および滴下ロートを備えた500ml四つ口フラスコにチッ素ガスを充填し、水素化ホウ素ナトリウム9.3gとテトラヒドロフラン150mlを仕込み、氷浴で冷却した。(2−フルオロ−5−ノルボルネン−2−イル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール30gとテトラヒドロフラン30mlの混合液を滴下した後、三フッ化ホウ素―ジエチルエーテル錯体9mlを滴下し、その後、摂氏20度で1時間撹拌した。水10ml、NaOH水溶液(濃度:3mol/l)75ml、30質量%過酸化水素水75mlを順に滴下した後、摂氏20度で20時間撹拌した。塩酸でpHを3以下の酸性溶液にした後、有機層を分液した。有機層を食塩水で洗浄した後、テトラヒドロフランを減圧下留去した。残渣をジエチルエーテルと混合し、不溶物をろ過した。ろ液を硫酸ナトリウムで乾燥し、ジエチルエーテルを減圧下留去し、NB1F2OHを30g得た。
合成例1−7a(式:
Figure 2009167354
(以下、「DMNB1FVIP」ともいう)の合成)
温度計と3方コックおよび滴下ロートを備えた三つ口フラスコにNB1F2OHを27gとHCFC−141b100mlを仕込み、チッ素ガス雰囲気下氷浴中で冷却した。その後、トリエチルアミン30ml、メタクリロイルクロライド29gを順に滴下し、摂氏20度で12時間撹拌した。塩酸でpHを2にし、食塩を入れ、分液した。有機層を食塩水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。シリカゲルを用いて残渣をカラム分離(溶媒としてHCFC−141b)し、DMNB1FVIPを22g得た。
2.硬化性含フッ素ポリマー(A)の合成
合成例2−1(OH基を有する含フッ素アリルエーテルのホモポリマーの合成)
撹拌装置および温度計を備えた100mLのガラス製四ツ口フラスコに、パーフルオロ(1,1,9,9−テトラハイドロ−2,5−ビストリフルオロメチル−3,6−ジオキサノネノール)
Figure 2009167354
を20g、[H−(CF2CF23−COO−]2の8.0質量%パーフルオロヘキサン溶液を21.2g入れ、充分にチッ素置換を行った後、チッ素気流下20℃で24時間撹拌を行ったところ、高粘度の固体が生成した。
得られた固体をジエチルエーテルに溶解させたものをパーフルオロヘキサンに注ぎ、分離、真空乾燥させ、重合体17.6gを得た。
この重合体を19F−NMR、1H−NMR分析、IR分析により分析したところ、上記含フッ素アリルエーテルの構造単位のみからなり側鎖末端にヒドロキシル基を有する含フッ素重合体であった。また、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒に用いるGPC分析により測定した数平均分子量は9000、重量平均分子量は22000であった。
合成例2−2(α−フルオロアクリロイル基を有する含フッ素硬化性ポリマーの合成)
還流冷却器、温度計、撹拌装置、滴下漏斗を備えた200mLの四ツ口フラスコに、ジエチルエーテル80mL、合成例2−1で得たヒドロキシル基含有含フッ素アリルエーテルの単独重合体5.0gと、ピリジン1.0gを仕込み5℃以下に氷冷した。チッ素気流下、撹拌を行いながら、さらにα−フルオロアクリル酸フルオライド:CH2=CFCOFの1.2gをジエチルエーテル20mLに溶解したものを約30分間かけて滴下した。滴下終了後、室温まで温度を上げさらに4.0時間撹拌を継続した。反応後のエーテル溶液を分液漏斗に入れ、水洗、2%塩酸水洗浄、5%NaCl水洗浄、さらに水洗を繰返したのち、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ついでエーテル溶液を濾過により分離した。
このエーテル溶液を19F−NMR分析により調べたところ、−OOCCF=CH2基含有含フッ素アリルエーテル/OH基含有含フッ素アリルエーテル=50/50(モル比)の共重合体を含んでいた。
また、得られた共重合体をNaCl板に塗布し、室温にてキャスト膜としたものをIR分析したところ、炭素−炭素二重結合の吸収が1661cm-1に、C=O基の吸収が1770cm-1に観測された。
得られたα−フルオロアクリロイル基を有する含フッ素硬化性ポリマー(エーテル溶液)にメチルイソブチルケトン(MIBK)を加えた後、エーテルをエバポレーターにより留去し、固形分濃度15.0質量%に調整した(この含フッ素ポリマー溶液を「AR1」と略す)。
合成例2−3(OH基を有する含フッ素アリルエーテルとフッ化ビニリデンの共重合体の合成)
バルブ、圧力ゲージ、温度計を備えた300ml内容量のステンレススチール製オートクレーブに、パーフルオロ(1,1,9,9−テトラハイドロ−2,5−ビストリフルオロメチル−3,6−ジオキサノール)を34.2gとCH3CCl2F(HCFC−141b)を200g、ジノルマルプロピルパーオキシカーボネート(NPP)の50重量%メタノール溶液を0.16g入れ、ドライアイス/メタノール溶液で冷却しながら系内をチッ素ガスで置換した。ついでバルブからフッ化ビニリデン(VdF)を5.8g仕込み、40℃にて振とうさせながら反応を行った。反応の進行とともに、系内のゲージ圧が反応前の4.4MPaG(4.5kgf/cm2G)から12時間後に0.98MPaG(1.0kgf/cm2G)まで低下した。
この時点で未反応モノマーを放出し、析出した固形物を取り出し、アセトンに溶解させ、ついでヘキサンとトルエンの混合溶剤(50/50)で再沈殿させることにより共重合体を分離した。この共重合体を真空乾燥し、共重合体31.2gを得た。
この共重合体の組成比は、1H−NMR分析および19F−NMR分析により分析したところ、VdF/OH基含有含フッ素アリルエーテルが38/62(モル%)であった。また、THFを溶媒として用いるGPC分析により測定した数平均分子量は12000、重量平均分子量18000であった。
製造例2−4(α−フルオロアクリロイル基を有する含フッ素硬化性ポリマーの合成)
合成例2−3で得たOH基含有含フッ素アリルエーテルとVdFの共重合体を5.0gとピリジンを1.1g、α−フルオロアクリル酸フルオライドを1.0g用いた以外は製造例1と同様にして含フッ素硬化性ポリマー(エーテル溶液)を合成した。
このエーテル溶液を19F−NMR分析により調べたところ、
−OOCCF=CH2基含有含フッ素アリルエーテル/OH基含有含フッ素アリルエーテル/VdF=48/14/38モル%
の共重合体を含んでいた。
得られたα−フルオロアクリロイル基を有する含フッ素硬化性ポリマー(エーテル溶液)にメチルイソブチルケトン(MIBK)を加えた後、エーテルをエバポレーターにより留去し、固形分濃度15.0質量%に調整した(以下、この含フッ素ポリマー溶液を「AR2」ともいう)。
実施例1〜36
表1〜6にそれぞれ示すように、合成例2−2で得たAR1に合成例1−3(CHEp4UA)、合成例1−4(CHEp6UA)、合成例1−5(CHEp4A)で得た多官能アクリレート、フッ素を含まない多官能アクリレート(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)、開始剤(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン)、および濃度20質量%の中空シリカゾルMIBK分散溶液(触媒化成工業(株)製のELECOM V8213。商品名。平均粒径55nm;屈折率1.30)を加え、充分に撹拌して硬化性組成物を得た。
比較例1〜8
比較として、表7および表8にCHEp4UA、CHEp6UA、CHEp4Aを配合しなかった硬化性組成物および合成例1−7で得た多官能アクリレート(DMNB1FVIP)を配合した硬化性組成物も調製した。
実施例1〜36および比較例1〜8でそれぞれ調製した硬化性組成物について、以下の測定方法により硬化前と硬化後の屈折率を測定した。測定結果を表1〜表8に示す。
(硬化前の屈折率の測定)
実施例1〜36および比較例1〜8で調製した硬化性組成物の5質量%MIBK溶液をアプリケーターを用いPETフィルム上に乾燥後の膜厚が約100μmとなるように塗布し、70℃で1分間乾燥し、得られたフィルムについて分光エリプソメトリ(ジェー・エー・ウーラム・ジャパン株式会社製)により、屈折率を測定した。結果を表1に示す。
(硬化後の屈折率の測定)
実施例1〜36および比較例1〜8でそれぞれ調製した硬化性組成物をPETフィルム上にアプリケーターを用いて乾燥後の膜厚が約100nmとなるように塗布し、70℃で1分間乾燥し、乾燥後のフィルムに高圧水銀灯を用い、室温にて1000mJ/cm2Uの強度で紫外線を照射して硬化し、硬化フィルムを作製した。得られた硬化フィルムについて分光エリプソメトリ(ジェー・エー・ウーラム・ジャパン株式会社製)により、屈折率を測定した。結果を表1に示す。
(硬化性組成物の相溶性)
実施例1〜36および比較例1〜8でそれぞれ調製した硬化性組成物の相溶性を目視で調べた。測定結果を表1〜表8に示す。
○:相溶する
×:相溶せず(沈殿物あり)
なお、表1〜8において、各略号はつぎのものを示す。
AR1:合成例2−2で得られた硬化性含フッ素ポリマー
AR2:合成例2−4で得られた硬化性含フッ素ポリマー
CHEp4UA:合成例1−3で得られた多官能アクリレート
CHEp6UA:合成例1−4で得られた多官能アクリレート
CHEp4A:合成例1−5で得られた多官能アクリレート
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
DMNB1FVIP:合成例1−7で得られた多官能アクリレート
PS1:濃度20質量%の中空シリカゾルMIBK分散溶液(触媒化成工業(株)製のELECOM V8213。商品名。平均粒径55nm;屈折率1.30)
開始剤:2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン
MIBK:メチルイソブチルケトン
Figure 2009167354
Figure 2009167354
Figure 2009167354
Figure 2009167354
Figure 2009167354
Figure 2009167354
Figure 2009167354
Figure 2009167354
実施例37
合成例2−2で得られた硬化性含フッ素ポリマーの固形分濃度15.0質量%のMIBK溶液(AR1)に、表9に示すように合成例1−3で得られた多官能アクリレートCHEp4UA、パーフルオロポリエーテルウレタンアクリレートの固形分濃度20.0質量%のフッ素アルコール溶液(ダイキン工業(株)製のオプツールDAC)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(非フッ素系多官能アクリレート)、固形分濃度20質量%の中空シリカゾルMIBK分散溶液(触媒化成工業(株)製のELECOM V8213)およびイルガキュア907(チバスペシャリティケミカルズ製)を加え、硬化性組成物を調製した。
実施例38〜39および比較例9〜12
なお、表9および表10において略記号は次のものを示す。
AR1:合成例2−2で得られた硬化性含フッ素ポリマー
CHEp4UA:合成例1−3で得られた多官能アクリレート
CHEp6UA:合成例1−4で得られた多官能アクリレート
CHEp4A:合成例1−5で得られた多官能アクリレート
PFPE:パーフルオロポリエーテルウレタンアクリレート(ダイキン工業(株)製のオプツールDAC)
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
DMNB1FVIP:合成例1−7で得られた多官能アクリレート
PS1:固形分濃度20質量%の中空シリカゾルMIBK分散溶液(触媒化成工業(株)製のELECOM V8213。商品名。平均粒径55nm;屈折率1.30)
開始剤:2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン
MIBK:メチルイソブチルケトン
Figure 2009167354
Figure 2009167354
(反射防止フィルムの作製)
PETフィルム(東レ(株)製のルミラーU46)の片面にハードコート処理(東洋インキ製造(株)製のハードコート剤フルシェードUV−S4(商品名)。屈折率1.55、膜厚5μm)を施したものの上に、実施例28〜36および比較例10〜15でそれぞれ調製した硬化性組成物をバーコーター#7を用いて塗布し、70℃で1分間乾燥後、チッ素パージ下、1J/cm2の紫外線を照射し、反射防止フィルムを作製した。
得られた各反射防止フィルムについて、反射率、鉛筆硬度および耐擦傷性の評価を行った。結果を表11に示す。
(反射率)
反射防止フィルムを貼り付けたアクリル板を5°正反射ユニットを装着した可視紫外線分光器にセットし、視感度平均反射率(%)および最低反射率(%)を測定する。測定には(株)日立ハイテクノロジー製のU−4000・SPECTROMETERを使用する。
(鉛筆硬度)
JIS K5400に従って測定する。
(耐擦傷性)
ラビングテスター((株)井元製作所製のラビングテスターIMC−1506型。商品名)にスチールウール(#0000)をとりつけ、200gf/cm2および300gf/cm2の荷重で反射防止フィルムの反射防止膜表面を20往復擦った後の反射防止フィルムの表面状態を目視で観察する。
評価は、つぎの基準とする。
○:傷無し
△:傷2〜3本
×:傷数十本
××:傷多数
Figure 2009167354

Claims (7)

  1. (A)硬化性含フッ素ポリマー、および
    (B)アクリロイル基を2個以上含み、かつ脂環式構造を含む多官能アクリレートを含む硬化性組成物であって、
    多官能アクリレート(B)が、式(1):
    Figure 2009167354
    式(2):
    Figure 2009167354
    式(3):
    Figure 2009167354
    式(4):
    Figure 2009167354
    式(5):
    Figure 2009167354
    (式中、A1、A2およびA3は、同じかまたは異なり、いずれも式(6):
    Figure 2009167354
    (式中、Rはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜50のq+1価の炭化水素基、XはH、Cl、F、CF3または炭素数1〜10のアルキル基、qは1〜18の整数)
    で示されるアクリロイル基含有基;
    1、X2およびX3は、同じかまたは異なり、いずれもH、ハロゲン原子または炭素数1〜10のフッ素原子を含んでいてもよいアルキル基(ただし、X1、X2およびX3は、存在しなくてもよいし、複数存在していてもよい);
    n1は、1〜6の整数;
    n2およびm2は、同じかまたは異なり、いずれも0〜4の整数(ただし、n2およびm2は同時に0にはならない);
    n3およびp3は、同じかまたは異なり、いずれも0〜4の整数、m3は0〜2の整数(ただし、n3とm3とp3は同時に0にはならない);
    n4およびm4は、同じかまたは異なり、いずれも0〜5の整数(ただし、n4とm4は同時に0にはならない);
    n5およびm5は、同じかまたは異なり、いずれも0〜5の整数(ただし、n5とm5は同時に0にはならない))
    である硬化性組成物。
  2. 式(6)におけるRが、エステル結合および/またはウレタン結合を含んでいてもよい炭素数1〜50のq+1価の炭化水素基である請求項1記載の硬化性組成物。
  3. 多官能アクリレート(B)のフッ素含有率が、5質量%以上40質量%未満である請求項1または2記載の硬化性組成物。
  4. 硬化性含フッ素ポリマー(A)が、式(7):
    −(M)−(A)− (7)
    (式中、構造単位Mは、式(M):
    Figure 2009167354
    [式中、XaおよびXbは同じかまたは異なり、HまたはF;XcはH、F、CH3またはCF3;XdおよびXeは同じかまたは異なり、H、FまたはCF3;Rfは炭素数1〜40の含フッ素アルキル基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基にY(Yは末端にエチレン性炭素−炭素二重結合を有する炭素数2〜10の1価の有機基)が1〜3個結合している有機基;m1は0〜3の整数;m2およびm3は同じかまたは異なり、0または1)で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位;
    構造単位Aは、構造単位Mを与える含フッ素エチレン性単量体と共重合可能な単量体に由来する構造単位である]で示され、構造単位Mを0.1〜100モル%および構造単位Aを0〜99.9モル%含む数平均分子量500〜1000000の含フッ素ポリマーを100モル%まで含む硬化性含フッ素ポリマーである請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性組成物。
  5. さらに、活性エネルギー線硬化開始剤(C)を含む請求項1〜4のいずれかに記載の硬化性組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の硬化性組成物を基材の上に塗付して得られる硬化被膜であって、該硬化被膜の膜厚が0.03〜0.5μmである硬化被膜。
  7. 硬化被膜が反射防止膜である請求項6記載の硬化被膜。
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