JP2009167322A - 芳香族ポリエステルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸のエステル化合物とエチレングリコールとをエステル交換反応させる際に、反応不良を防止すると共に、高結晶化異物の生成を抑制するポリエステルの製造方法を提供。
【解決手段】6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールとをエステル交換反応させ、さらに重縮合反応させるポリエステルの製造方法であって、エステル交換反応を0.08〜0.30MPaの加圧下で行うポリエステルの製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールとをエステル交換反応させ、さらに重縮合反応させるポリエステルの製造方法であって、エステル交換反応を0.08〜0.30MPaの加圧下で行うポリエステルの製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールとをエステル交換反応させ、さらに重縮合反応させるポリエステルの製造方法に関する。
ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン−2,6−ナフタレートに代表される芳香族ジカルボン酸とグリコール成分とからなる芳香族ポリエステルは、優れた機械的特性や化学的特性を有することから、繊維、フィルムまたはボトルなどの成形品に幅広く展開されている。しかしながら、さらなる市場からの高性能化の要求は強く、その改良が望まれている。
そのような中で、ポリエチレン−2,6−ナフタレートよりも更に高性能のポリエステルとして、特許文献1〜4には6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸のエステル化合物であるジエチル−6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエートから得られるポリアルキレン−6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエートが提案されている。そして、特許文献4では、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸のジエチルエステルとエチレングリコールとをエステル交換反応させ、さらに重縮合反応させる製造方法が記載されている。
しかしながら、本発明者らが検討したところ、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸のエステル化合物とエチレングリコールとをエステル交換反応させる途中で、反応不良を起こしたり、高結晶化異物が生成してきたりする問題があることを見出した。
本発明者らは、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸のエステル化合物とエチレングリコールとをエステル交換反応させる際に、反応不良を防止すると共に、高結晶化異物の生成を抑制するポリエステルの製造方法を提供することにある。
通常エステル交換反応は、エステル化反応のように過酷な条件にしなくても反応を進行させやすいことから、ジエチレングリコールなどの副生物の生成を抑えやすい。ところが、原料として、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸のエステル化合物とエチレングリコールとを用いた場合、反応生成物である6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸のエチレングリコールエステル化合物の融点が非常に高く、またエチレングリコールへの溶解性が非常に低いためか、エステル交換反応の途中で反応生成物などの一部が析出し、エステル交換反応不良が発生したりする問題があることを見出した。具体的には、析出物が長時間加熱されて高結晶化物に一部が変化しているためと思われるが、エステル交換反応物を輸送する途中にあるフィルターを詰まらせて工程を不安定化したり、ポリマー中に異物として残り、品位を低下させたりする。
そこで、本発明者らが鋭意研究したところ、エステル交換反応を加圧下で反応させることにすれば、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸のエチレングリコールエステル化合物の析出を防ぎ、上記の問題が解決することを見出し、本発明に到達した。
かくして本発明によれば、本発明の目的は、下記式(I)
R2-O(O)C-R4-OR1O-R4-C(O)O-R3 (I)
(上記式(I)中の、R1は炭素数1〜10のアルキル基であり、R2およびR3はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基であり、R4は2,6−ナフタレンジイル基である。)
で表される6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールとをエステル交換反応させ、さらに重縮合反応させるポリエステルの製造方法であって、エステル交換反応を0.08〜0.30MPaの加圧下で行うポリエステルの製造方法によって達成される。
R2-O(O)C-R4-OR1O-R4-C(O)O-R3 (I)
(上記式(I)中の、R1は炭素数1〜10のアルキル基であり、R2およびR3はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基であり、R4は2,6−ナフタレンジイル基である。)
で表される6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールとをエステル交換反応させ、さらに重縮合反応させるポリエステルの製造方法であって、エステル交換反応を0.08〜0.30MPaの加圧下で行うポリエステルの製造方法によって達成される。
さらにまた、本発明によれば、本発明の好ましい態様として、エステル交換反応が、チタン化合物およびマンガン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の存在下で行われること、エステル交換反応が、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸の低級アルキルエステルのほかに、下記式(II)
R6-O(O)C-R5-C(O)O-R7 (II)
(上記式(I)中の、R5はフェニレン基またはナフタレンジイル基であり、R6およびR7はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基である。)で示される芳香族ジカルボン酸成分の併存下で行われること、前記式(II)で示される芳香族ジカルボン酸成分が、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸およびそれらのエステル形成性誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種であること、前記式(I)で表される6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分と前記式(II)で示される芳香族ジカルボン酸成分とが、モル比で10:90〜80:20の範囲にあることの少なくともいずれかを具備するポリエステルの製造方法も提供される。
R6-O(O)C-R5-C(O)O-R7 (II)
(上記式(I)中の、R5はフェニレン基またはナフタレンジイル基であり、R6およびR7はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基である。)で示される芳香族ジカルボン酸成分の併存下で行われること、前記式(II)で示される芳香族ジカルボン酸成分が、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸およびそれらのエステル形成性誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種であること、前記式(I)で表される6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分と前記式(II)で示される芳香族ジカルボン酸成分とが、モル比で10:90〜80:20の範囲にあることの少なくともいずれかを具備するポリエステルの製造方法も提供される。
本発明によれば、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸のエステル化合物とエチレングリコールとのエステル交換反応を安定的に進行させることができ、その結果、異物量の少ない優れたポリマーを安定的に生産することができる。
本発明における、前述の構造式(I)で示される6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸(以下、ANAと称することがある。)のエステル化合物としては、R1の部分が炭素数1〜10のアルキレン基であるものである。好ましくは6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分、6,6’−(トリメチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分および6,6’−(ブチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分が挙げられる。これらの中でも、本発明の効果の点からは、上記一般式(I)におけるRの炭素数が偶数のものが好ましく、特に6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分が好ましい。また、R2およびR3は、それぞれ反応性の点などから、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
また、前述の構造式(I)で示されるANAの低級アルキルエステルと反応させるグリコールは、機械的特性などの点からエチレングリコールであり、好ましくはグリコール成分の90モル%以上がエチレングリコール成分である。
ところで、本発明の製造方法で得られるポリエステルは、非常に融点が高く、高結晶性になりやすい。そのため、フィルムなどに製膜するときの成形性などを向上させつつ機械的特性などを損なわない観点から、また前述の不溶性で高結晶性の異物による影響を抑える観点から、ANA成分以外の他の芳香族ジカルボン酸成分を共重合することが好ましい。好ましい共重合するANA成分以外の他の芳香族ジカルボン酸成分としては、反応性が良好で、より機械的特性などを高度に維持しやすい観点から、前記式(II)で表わされるものである。具体的には、テレフタル酸成分、フタル酸成分、イソフタル酸成分、2,6−ナフタレンジカルボン酸成分または2,7−ナフタレンジカルボン酸成分などが挙げられる。これらの中でもより機械的特性などを高度に維持しやすい観点から、テレフタル酸成分、イソフタル酸成分、2,6−ナフタレンジカルボン酸成分および2,7−ナフタレンジカルボン酸成分が好ましく、特にテレフタル酸成分と2,6−ナフタレンジカルボン酸成分が好ましく、最も好ましいのは2,6−ナフタレンジカルボン酸成分である。
好ましい前記式(I)で表されるANA成分と前記式(II)で示される芳香族ジカルボン酸成分とのモル比は、10:90〜80:20の範囲であり、さらに50:50〜80:20の範囲である。ANA成分の割合が少なすぎたり、前記式(II)で示される芳香族ジカルボン酸成分の割合が多すぎたりすると、加圧による効果が乏しくなりやすい。他方、ANA成分の割合が多すぎたり、前記式(II)で示される芳香族ジカルボン酸成分の割合が少なすぎたりすると、得られるポリエステルが非常に融点の高い高結晶性のものになりやすく、フィルムなどに製膜するときの成形性などが難しくなりやすい。また、前述の不溶性で高結晶性の異物による影響も出やすくなる。なお、ANA成分以外の他の芳香族ジカルボン酸成分は、前記構造式(II)で示される低級アルキルエステルの形態で用いられるのが好ましく、前記構造式(II)で示されるR6およびR7は、それぞれ反応性の点などから、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、特にジメチルエステルやジエチルエステルが好ましい。
本発明の製造方法では、本発明の効果を損なわない範囲で、ANA成分、ANA成分以外の前記(II)式で示される芳香族ジカルボン酸成分およびエチレングリコール成分以外の他の共重合成分を、例えば全酸成分のモル数に対して10モル%以下、さらに5モル%以下の範囲で共重合していてもよい。具体的なさらなる共重合成分としては、ヘキサヒドロテレフタル酸成分、ヘキサヒドロイソフタル酸成分などの脂環式ジカルボン酸成分、コハク酸成分、グルタル酸成分、アジピン酸成分、ピメリン酸成分、スベリン酸成分、アゼライン酸成分、セバシン酸成分、ウンデカジカルボン酸成分、ドデカジカルボン酸成分などの脂肪族ジカルボン酸成分、イソプロピレングリコール成分、テトラメチレングリコール成分、ヘキサメチレングリコール成分、オクタメチレングリコール成分、ジエチレングリコール成分などのグリコール成分、p−ヒドロキシ安息香酸成分、p−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸成分などのヒドロキシカルボン酸成分や、アルコキシカルボン酸成分、ステアリルアルコール成分、ベンジルアルコール成分、ステアリン酸成分、ベヘン酸成分、安息香酸成分、t−ブチル安息香酸成分、ベンゾイル安息香酸成分などの単官能成分、トリカルバリル酸成分、トリメリット酸成分、トリメシン酸成分、ピロメリット酸成分、ナフタレンテトラカルボン酸成分、トリメチロールエタン成分、トリメチロールプロパン成分、グリセロール成分、ペンタエリスリトール成分などが挙げられる。
さらに、本発明のポリエステルの製造方法について詳述する。
まず、第一反応工程として、前記構造式(I)で示されるANAのエステル形成性誘導体とエチレングリコールとを、要すればさらに前記構造式(II)で示される芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体とをエステル交換反応させる。
まず、第一反応工程として、前記構造式(I)で示されるANAのエステル形成性誘導体とエチレングリコールとを、要すればさらに前記構造式(II)で示される芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体とをエステル交換反応させる。
第一反応工程に存在させるエチレングリコール成分のモル数は特に指定しないが、全酸成分のモル数に対して、1.1〜10倍が好ましい。常温のグリコール成分にほとんど溶解しない6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸のエステル形成誘導体をエチレングリコールスラリー状で反応器に供給する場合には、6〜10倍が好ましく、副生するジエチレングリコール量を減らすことを重要視する場合には、2〜5倍であることが好ましい。
本発明は、前述の第一反応工程におけるエステル交換反応を加圧下で行うことを最大の特徴とする。原料のANAのエステル形成誘導体は融点が高く、例えばR1がエチレン基で、R2およびR3がメチル基であるものは245〜250℃である。また、これをエチレングリコールでエステル交換したエチレングリコールエステル体は約260℃と高い。そして、これらのANAのエステル体は、エチレングリコールへの溶解性も低く、加圧せずにエステル交換反応を行った場合、原料の6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸のメチルエステル体が溶解していても、反応して発生した6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸のエチレングリコールエステル体が析出することがある。この析出物は両末端にある酸の片方だけがエチレングリコールエステル体となっていることもあり、一部はこのまま反応せずにメチルエステル体が残存することになる。また、上記の反応物を析出したまま反応を継続すると、この反応物が高結晶化し、昇温し、析出物を溶解させた後も一部残存し、第一工程から第二工程へ輸送する途中にあるフィルターの目詰まりを起こしたり、ポリマー中に残存したりすることになる。したがって、上記のエステル交換反応を、反応物が析出しないような温度で実施する必要があり、そのために加圧することが必要となる。具体的には、0.08〜0.30MPaの加圧下で、好ましくは0.15〜0.25MPaの加圧下で行う。その際の反応温度として、210〜250℃の範囲で、好ましくは220〜250℃の範囲で行うことが好ましい。そして、反応開始後は、上記の温度へ速やかに昇温することが好ましい。
上記のエステル交換反応を進行させるためには、触媒を添加しておくことが好ましい。ここで使用するエステル交換反応触媒としては公知のものでよく、酢酸マンガン、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸亜鉛、酢酸チタン、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートと芳香族多価カルボン酸またはその無水物との反応生成物等が挙げられる。これらの中でも、酢酸マンガン、テトラ−n−ブチルチタネートおよびテトラ−n−ブチルチタネートと芳香族多価カルボン酸もしくはその無水物との反応生成物が好ましい。本発明においては、上記の触媒の添加量については特に制限されない。触媒の添加時期としては、上記の温度へ上昇し、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸のエステル形成誘導体が融解した後に添加することが、発生するアルコールの分圧、潜熱による温度低下の影響を考慮すると好ましい。第一工程反応器の上部に設置する蒸留装置の塔頂の温度低下が起こらなくなったときを反応終了とし、反応終了後、反応器内を常圧に戻す。
そして、エステル交換触媒を添加している場合はそれを失活させるため、また最終的に重縮合反応で生成されるポリエステルの耐熱性を向上させるため、第一反応工程が終了した段階で、リン化合物を安定剤として加えることが好ましい。リン化合物はそれ自体公知のものを好適に使用でき、例えばリン酸、亜リン酸、リン酸トリメチルエステル、トリエチルホスホノアセテートなどが挙げられる。
その後、残っているエチレングリコールを追い出すために、最終的に250℃まで昇温することが好ましい。本発明の方法は、加圧下で反応を行うため副生物であるジエチレングリコール成分が増加しやすい。このジエチレングリコールを抑制したい場合は、カリウムやナトリウム等のアルカリ金属化合物を添加したり、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシドなどのアルカリ性の化合物をさらに添加することが好ましい。
このようにして第一反応工程によって得られた反応生成物は、さらにそれらを重縮合反応させる第二反応工程に輸送される。この途中に反応生成物に含まれる異物を除去するためにフィルターを設置することが好ましい。フィルターの目開きは5μm〜100μmまで目的によって使用することできる。
つぎに、第二反応工程で行なわれる重縮合反応について説明する。まず、重縮合温度は得られるポリマーの融点以上、より好ましくは融点より5℃高い温度から融点より100℃高い温度まで、さらに好ましくは融点より20℃高い温度から50℃高い温度までで行うのが好ましい。また、重縮合反応は通常50Pa以下の減圧下で行うのが好ましい。50Paより高いと重縮合反応に要する時間が長くなり且つ重合度の高い共重合芳香族ポリエステルを得ることが困難になる。
上記の重縮合反応を進行させるには重縮合触媒の添加が必要である。ここで使用する重縮合触媒としては公知なものでよく、チタン、ゲルマニウム、アンチモン、アルミニウム、ニッケル、亜鉛、スズ、コバルト、ロジウム、イリジウム、ジルコニウム、ハフニウム、等の化合物が挙げられる。より好ましい金属としては、チタン、ゲルマニウム、アンチモンである。
本発明の製造方法によって得られるポリエステルは、本発明の効果を阻害しない範囲で、他の熱可塑性ポリマー、紫外線吸収剤等の安定剤、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、離型剤、顔料、核剤、充填剤あるいはガラス繊維、炭素繊維、層状ケイ酸塩などを必要に応じて配合してポリエステル組成物としても良く、そのようなポリエステル組成物にすることは得られる成形品に更なる特性を付与しやすいことから好ましい。なお、他の熱可塑性ポリマーとしては、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート、ABS樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、さらにはANA成分を含まないポリエステル系樹脂などが挙げられる。
本発明の製造方法で得られるポリエステルは、さらに溶融紡糸することで繊維に、溶融製膜することでフィルムやシートに、そして射出成形することでボトルや容器などの成形品とすることができる。
以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明では、以下の方法により、その特性を測定および評価し、特に断らない限り、ppmおよび部は、重量を基準とした値である。
(1)固有粘度(IV)
得られたポリエステルの固有粘度はO−クロロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(40/60重量比)の混合溶媒を用いて、温度35℃で測定し求めた。
得られたポリエステルの固有粘度はO−クロロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(40/60重量比)の混合溶媒を用いて、温度35℃で測定し求めた。
(2)ジエチレングリコール含有量(DEG)
ヒドラジンにより得られたポリエステルを加水分解した後、遊離したジエチレングリコールをガスクロマトグラフィー(Hewlett Packard社製、商品名6990)にて分析した。
ヒドラジンにより得られたポリエステルを加水分解した後、遊離したジエチレングリコールをガスクロマトグラフィー(Hewlett Packard社製、商品名6990)にて分析した。
[実施例1]
6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジメチル30kg(69.8モル)、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル7.3kg(29.9モル)、エチレングリコール24.7kgを攪拌機、精留塔、冷却管を備えた圧力容器に仕込み、150℃まで昇温した。その時点で酢酸マンガンの4水和物7.3gを加え、反応装置全体の圧力は常に0.20MPaにコントロールさせ更に加熱してエステル交換反応を行った。精留塔の塔頂温度は180℃になると全還流とし、180℃以下では還流比1にて反応を続けた。反応液温度が205℃になった時点で6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジメチルはエチレングリコールに溶解し透明となった。最終的に内温を245℃まで昇温したところで反応終了とした。
6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジメチル30kg(69.8モル)、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル7.3kg(29.9モル)、エチレングリコール24.7kgを攪拌機、精留塔、冷却管を備えた圧力容器に仕込み、150℃まで昇温した。その時点で酢酸マンガンの4水和物7.3gを加え、反応装置全体の圧力は常に0.20MPaにコントロールさせ更に加熱してエステル交換反応を行った。精留塔の塔頂温度は180℃になると全還流とし、180℃以下では還流比1にて反応を続けた。反応液温度が205℃になった時点で6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジメチルはエチレングリコールに溶解し透明となった。最終的に内温を245℃まで昇温したところで反応終了とした。
続いて圧力を常圧に戻した際、内温が220℃まで低下したが析出物は見られなかった。その後、トリメチルフォスフェート6.2g、三酸化アンチモン5.8gを加え、内温を250℃まで再度昇温し、余分のエチレングリコールを留出させたのち、窒素により0.3MPaの圧力をかけて目開き10μmの金網フィルターを通過させて反応液を重縮合容器に移した。
その後反応容器内温を徐々に昇温しながら、ゆっくりと容器内を減圧し、290℃、50Paで所定の攪拌電力に到達するまで重縮合反応を続け、共重合芳香族ポリエステルを製造した。得られた、ポリエステルの特性を表1に示す。
その後反応容器内温を徐々に昇温しながら、ゆっくりと容器内を減圧し、290℃、50Paで所定の攪拌電力に到達するまで重縮合反応を続け、共重合芳香族ポリエステルを製造した。得られた、ポリエステルの特性を表1に示す。
[実施例2]
表1に示すように、共重合させる芳香族ジカルボン酸をジメチルテレフタレートに変え、共重合率を変更したこと、エチレングリコールの仕込量を変更したこと、反応圧力を0.25MPaに変更したこと以外は、実施例1と同様に行った。
エステル交換反応中に、生成物が析出してくることはなく、また目開き10μmの金網フィルターによるろ過も問題なく行うことができた。得られた、ポリエステルの特性を表1に示す。
表1に示すように、共重合させる芳香族ジカルボン酸をジメチルテレフタレートに変え、共重合率を変更したこと、エチレングリコールの仕込量を変更したこと、反応圧力を0.25MPaに変更したこと以外は、実施例1と同様に行った。
エステル交換反応中に、生成物が析出してくることはなく、また目開き10μmの金網フィルターによるろ過も問題なく行うことができた。得られた、ポリエステルの特性を表1に示す。
[実施例3]
表1に示すように、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルの共重合率を変更したこと、エチレングリコールの仕込量を変更したこと、反応圧力を0.15MPaに変更したこと、エステル交換触媒をチタンテトラブトキシドとトリメリット酸無水物をモル比1:2で175℃、4時間反応させた反応物に変更したこと、反応終了温度を240℃にしたこと、トリメチルフォスフェート4.4g(20ミリモル%)を添加し、三酸化アンチモンを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様に行った。
エステル交換反応中に、生成物が析出してくることはなく、また目開き10μmの金網フィルターによるろ過も問題なく行うことができた。得られた、ポリエステルの特性を表1に示す。
表1に示すように、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルの共重合率を変更したこと、エチレングリコールの仕込量を変更したこと、反応圧力を0.15MPaに変更したこと、エステル交換触媒をチタンテトラブトキシドとトリメリット酸無水物をモル比1:2で175℃、4時間反応させた反応物に変更したこと、反応終了温度を240℃にしたこと、トリメチルフォスフェート4.4g(20ミリモル%)を添加し、三酸化アンチモンを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様に行った。
エステル交換反応中に、生成物が析出してくることはなく、また目開き10μmの金網フィルターによるろ過も問題なく行うことができた。得られた、ポリエステルの特性を表1に示す。
[比較例1]
6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジメチル30Kg(69.8モル)、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル7.3Kg(29.9モル)、エチレングリコール24.7Kgを攪拌機、精留塔、冷却管を備えた圧力容器に仕込み、150℃まで昇温した。その時点で酢酸マンガンの4水和物を7.3gを加え、常圧下エステル交換反応を行った。精留塔の塔頂温度は70℃以上になると全還流とし、70℃以下では還流比1にて反応を続けた。エステル交換反応中に6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジメチルは一旦内温205℃でエチレングリコールに溶解して透明になったが、エステル交換反応生成物が析出し白濁した。反応終了後、トリメチルフォスフェート6.2g、三酸化アンチモン5.8gを加え、内温を250℃まで再度昇温し、余分のエチレングリコールを留出させた。その途中で白濁していた反応液は透明になった。窒素により0.3MPaの圧力をかけて目開き10μmの金網フィルターを通過させようとしたが、途中でフィルターが詰まったため、フィルターを取り外した後、再度反応液を重縮合容器に移した。
6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジメチル30Kg(69.8モル)、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル7.3Kg(29.9モル)、エチレングリコール24.7Kgを攪拌機、精留塔、冷却管を備えた圧力容器に仕込み、150℃まで昇温した。その時点で酢酸マンガンの4水和物を7.3gを加え、常圧下エステル交換反応を行った。精留塔の塔頂温度は70℃以上になると全還流とし、70℃以下では還流比1にて反応を続けた。エステル交換反応中に6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジメチルは一旦内温205℃でエチレングリコールに溶解して透明になったが、エステル交換反応生成物が析出し白濁した。反応終了後、トリメチルフォスフェート6.2g、三酸化アンチモン5.8gを加え、内温を250℃まで再度昇温し、余分のエチレングリコールを留出させた。その途中で白濁していた反応液は透明になった。窒素により0.3MPaの圧力をかけて目開き10μmの金網フィルターを通過させようとしたが、途中でフィルターが詰まったため、フィルターを取り外した後、再度反応液を重縮合容器に移した。
その後反応容器内温を徐々に昇温しながら、ゆっくりと容器内を減圧し、290℃、50Paで所定の攪拌電力に到達するまで重縮合反応を続け、共重合芳香族ポリエステルを製造した。得られた、ポリエステルの特性を表1に示す。
[比較例2]
表1に示すように、共重合させる芳香族ジカルボン酸をジメチルテレフタレートに変え、共重合率を変更したこと、エチレングリコールの仕込量を変更したこと、常圧下でエステル交換をおこなったこと以外は、比較例2と同様に行った。エステル交換反応中に6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジメチルは一旦内温205℃でエチレングリコールに溶解して透明になったが、エステル交換反応生成物が析出し白濁した。反応終了後、余分のエチレングリコールを留出させながら内温を250℃まで再度昇温した。その途中で白濁していた反応液は透明になった。窒素により0.3MPaの圧力をかけて10μmの金網フィルターを通過させようとしたが、途中でフィルターが詰まったため、フィルターを取り外した後、再度反応液を重縮合容器に移した。
表1に示すように、共重合させる芳香族ジカルボン酸をジメチルテレフタレートに変え、共重合率を変更したこと、エチレングリコールの仕込量を変更したこと、常圧下でエステル交換をおこなったこと以外は、比較例2と同様に行った。エステル交換反応中に6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジメチルは一旦内温205℃でエチレングリコールに溶解して透明になったが、エステル交換反応生成物が析出し白濁した。反応終了後、余分のエチレングリコールを留出させながら内温を250℃まで再度昇温した。その途中で白濁していた反応液は透明になった。窒素により0.3MPaの圧力をかけて10μmの金網フィルターを通過させようとしたが、途中でフィルターが詰まったため、フィルターを取り外した後、再度反応液を重縮合容器に移した。
表1中の、ANA成分は6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分、ANA以外は2,6−ナフタレンジカルボン酸成分またはテレフタル酸成分を意味し、エチレングリコール添加量は全酸成分のモル数で添加したエチレングリコールのモル数を割ったモル比、チタン化合物はチタンテトラブトキシドと無水トリメリット酸をモル比1:2で175℃、4時間反応させた反応物、反応ゲージ圧力はエステル交換反応を行った圧力、IVは固有粘度、DEGは副生物として生成されたジエチレングリコール量を示す。また、異物はエステル交換反応終了後の目開き10μmの金網フィルターを問題なく通過したかどうかであり、「なし」は問題なく通過、「あり」はフィルターを詰まらせて通過できなかったことを意味する。
本発明の製造方法で得られるポリエステルは、押出成形、射出成形、圧縮成形、ブロー成形などの通常の溶融成形に供することができ、繊維、フィルム、三次元成形品、容器、ホース等に加工することができる。
Claims (5)
- 下記式(I)で表される6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールとをエステル交換反応させ、さらに重縮合反応させるポリエステルの製造方法であって、
エステル交換反応を0.08〜0.30MPaの加圧下で行うことを特徴とするポリエステルの製造方法。
R2-O(O)C-R4-OR1O-R4-C(O)O-R3 (I)
(上記式(I)中の、R1は炭素数1〜10のアルキル基であり、R2およびR3はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基であり、R4は2,6−ナフタレンジイル基である。) - エステル交換反応が、チタン化合物およびマンガン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の存在下で行われる請求項1記載のポリエステルの製造方法。
- エステル交換反応が、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸の低級アルキルエステルのほかに、下記式(II)で示される芳香族ジカルボン酸成分の併存下で行われる請求項1記載のポリエステルの製造方法。
R6-O(O)C-R5-C(O)O-R7 (II)
(上記式(I)中の、R5はフェニレン基またはナフタレンジイル基であり、R6およびR7はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基である。) - 前記式(II)で示される芳香族ジカルボン酸成分が、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸およびそれらのエステル形成性誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項3記載のポリエステルの製造方法。
- 前記式(I)で表される6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分と前記式(II)で示される芳香族ジカルボン酸成分とが、モル比で10:90〜80:20の範囲にある請求項3記載のポリエステルの製造方法。
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JP2014185093A (ja) * | 2013-03-22 | 2014-10-02 | Teijin Ltd | 6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸もしくはその低級アルキルエステルからなる粉体およびそれを用いた芳香族ポリエステルの製造方法 |
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2008
- 2008-01-17 JP JP2008008283A patent/JP2009167322A/ja active Pending
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