JP2009007444A - 共重合芳香族ポリエステルおよびその製造方法 - Google Patents

共重合芳香族ポリエステルおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】生産性に優れた6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸を共重合した共重合芳香族ポリエステルの製造方法の提供。
【解決手段】6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸とアルキレングリコールとを反応させて前駆体Aとする第1反応と、特定の芳香族ジカルボン酸とアルキレングリコールとを反応させて前駆体Bとする第二反応と、前駆体Aおよび前駆体Bを重縮合反応させる第3反応とからなる共重合芳香族ポリエステルの製造方法であって、全酸成分中の6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分の割合が5モル%以上80モル%未満であること、第1反応は、全酸成分のモル数を基準として、チタン化合物がチタン元素量で10〜150ミリモル%の存在下でかつ0.05〜0.5MPaの加圧下で行なうこと、そして、第3反応は、含有するチタン化合物のチタン元素量に対して、リン元素量で0.5〜2倍のモル比となるリン化合物の存在下で行なう共重合芳香族ポリエステルの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸を共重合した共重合芳香族ポリエステルの製造方法に関する。
ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン−2,6−ナフタレートに代表される芳香族ジカルボン酸とグリコール成分とからなる芳香族ポリエステルは、優れた機械的特性や化学的特性を有することから、繊維、フィルムまたはボトルなどの成形品に幅広く展開されている。しかしながら、さらなる市場からの高性能化の要求は強く、その改良が望まれている。
そのような中で、ポリエチレン−2,6−ナフタレートよりも更に高性能のポリエステルとして、特許文献1〜3には6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸のエステル化合物であるジエチル−6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエートから得られるポリアルキレン−6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエートが特許文献1〜3で提案されている。そして、これらの特許文献によると、このようなポリマーは非常に寸法安定性に優れ、また非常に高い剛性を発現できることが開示されている。
しかしながら、本発明者らの研究によると、これらの公報に記載されたポリマーは、非常に融点が高く、また結晶性が過度にあることから、成形加工、特にフィルムなどに製膜しようとすると、溶融押出工程が不安定化したり、延伸時に破断しやすかったりすることが判明した。なお、これら特許文献には、非常に高い結晶性と294℃という非常に高い融点を有するポリエチレン−6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエートが具体的に提示されている。
また、特許文献4では、触媒起因の析出物異物を抑制しつつ耐熱性を満足させるために、触媒としてチタン化合物を用い、該チタンよりも大量のリン化合物を添加することが、具体的にはその実施例ではリン化合物をチタン化合物に対して、リン元素量/チタン元素量が2倍以上の量で添加したものが開示されている。
特開昭60−135428号公報 特開昭60−221420号公報 特開昭61−145724号公報 特開2002−332335号公報
本発明者らは、優れた寸法安定性と優れた成形性とを具備するポリエステルについて鋭意研究したところ、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸を共重合成分として用いることで、達成できることを見出し、先に出願した。ところで、さらに研究したところ、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸を共重合するときの反応が進行しにくく、生産性が低いことが判明した。
そのため、本発明の目的は、生産性に優れた6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸を共重合した共重合芳香族ポリエステルの製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決しようと鋭意研究した結果、下記構造式(1)
Figure 2009007444
(上記構造式(1)中のRは、炭素数1〜10のアルキレン基を示す。)
で表わされる6,6’−(アルレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸とアルキレングリコールとを反応させて前駆体Aとする第1反応と、アルキレングリコールと下記構造式(2)
−O(O)C−X−C(O)O−R (2)
(上記構造式(2)中の、RおよびRは、それぞれ水素または炭素数1〜4のアルキル基を示し、Xはベンゼン環もしくはナフタレン環を示す。)で表わされる芳香族ジカルボン酸とを反応させて前駆体Bとする第2反応と、前駆体Aおよび前駆体Bを重縮合反応させる第3反応とからなる共重合芳香族ポリエステルの製造方法であって、
全酸成分中の6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分の割合が5モル%以上80モル%未満であること、
第1反応は、全酸成分のモル数を基準として、チタン化合物がチタン元素量で10〜150ミリモル%の存在下でかつ0.05〜0.5MPaの加圧下で行なうこと、そして、
第3反応は、含有するチタン化合物のチタン元素量に対して、リン元素量で0.5〜2倍のモル比となるリン化合物の存在下で行なう共重合芳香族ポリエステルの製造方法が提供される。
さらにまた、本発明の好ましい態様として、第1反応および第2反応が同じ反応系にて行なわれること、前記一般式(2)で表わされる芳香族ジカルボン酸が、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸およびそれらの炭素数1〜4のアルキル基とのエステル形成性誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種であること、アルキレングリコールは、その90モル%以上がエチレングリコールであることの少なくともいずれかを具備する共重合芳香族ポリエステルの製造方法も提供される。
本発明によれば、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸を共重合した共重合芳香族ポリエステルを、生産性よく提供することができる。
本発明の共重合芳香族ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸とアルキレングリコール成分とからなり、全酸成分のうち5モル%以上80モル%未満が6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分である。6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分の割合が下限未満では成形品としたときの寸法安定性などの向上効果が乏しい。他方、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分の割合が上限を越えると、結晶性や融点が高すぎて、製膜などの工程での生産性が低下しやすい。好ましい6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分の割合は、10モル%以上75モル%以下、さらに15モル%以上70モル%以下の範囲である。特に、成形性と寸法安定性の点からは、20モル%以上40モル%以下の範囲が好ましい。一方、高共重合量のものを作成すれば、共重合していないか共重合量の低いものと割合を変えて混練することで目的の共重合量のものを簡便に用意することができ、そのような観点から、好ましい6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分の割合は、50モル%以上80モル%未満、さらに55モル%以上75モル%以下の範囲である。
本発明における、前述の構造式(1)で示される6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分としては、Rの部分が炭素数1〜10のアルキレン基であるものであり、好ましくは6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分、6,6’−(トリメチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分および6,6’−(ブチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分などが挙げられ、これらの中でも本発明の効果の点からは、上記一般式(I)におけるRの炭素数が偶数のものが好ましく、特に6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分が好ましい。
また、アルキレングリコール成分としては、エチレングリコールが本発明の効果の点から好ましい。好ましいグリコール成分中のエチレングリコール成分の割合は90モル%以上、さらに95モル%以上、特に97モル%以上である。
本発明における前記構造式(2)で表わされる芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、1,4−フェニレンジオキシジカルボン酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸およびそれらの炭素数1〜4のアルキル基とのエステル形成性誘導体などが挙げられ、これらの中でもより機械的特性などを高度に維持しやすい観点から、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸および2,7−ナフタレンジカルボン酸およびそれらのエステル形成性誘導体が好ましく、特にテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸およびそれらの炭素数1〜4のアルキル基とのエステル形成性誘導体が好ましい。
もちろん、本発明の共重合芳香族ポリエステルは、本発明の効果を損なわない範囲で、他の共重合成分をさらに共重合、例えば繰り返し単位のモル数に対して10モル%以下、さらに5モル%以下の範囲で共重合していてもよい。具体的なさらなる共重合成分としては、ヘキサヒドロテレフタル酸成分、ヘキサヒドロイソフタル酸成分などの脂環式ジカルボン酸成分、コハク酸成分、グルタル酸成分、アジピン酸成分、ピメリン酸成分、スベリン酸成分、アゼライン酸成分、セバシン酸成分、ウンデカジカルボン酸成分、ドデカジカルボン酸成分などの脂肪族ジカルボン酸成分、トリメチレングリコール成分、テトラメチレングリコール成分、ヘキサメチレングリコール成分、オクタメチレングリコール成分、ジエチレングリコール成分などのグリコール成分、グリコール酸成分、p−ヒドロキシ安息香酸成分、p−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸成分などのヒドロキシカルボン酸成分や、アルコキシカルボン酸成分、ステアリルアルコール成分、ベンジルアルコール成分、ステアリン酸成分、ベヘン酸成分、安息香酸成分、t−ブチル安息香酸成分、ベンゾイル安息香酸成分などの単官能成分、トリカルバリル酸成分、トリメリット酸成分、トリメシン酸成分、ピロメリット酸成分、ナフタレンテトラカルボン酸成分、トリメチロールエタン成分、トリメチロールプロパン成分、グリセロール成分、ペンタエリスリトール成分などが挙げられる。
本発明の共重合芳香族ポリエステルの製造方法の特徴の一つは、6,6’−(アルレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸とアルキレングリコールを反応させて前駆体を合成する第1反応を、0.05MPa〜0.5MPaの加圧下で行うことにある。該第1反応は、アルキレングリコールの沸点以上で行なうことが好ましく、特に210℃〜270℃の範囲で行なうことが好ましい。前記第1反応の反応圧力が下限よりも低いと反応が十分に進行しにくく、他方上限を越えて高くしても反応速度の上昇効果は飽和状態に近づき、むしろジアルキレングリコールに代表されるような副生物が多く発生し、得られる共重合芳香族ポリエステルの物性を悪化させることになる。
このとき、アルキレングリコール成分は、第1反応を行う反応系に存在する酸成分に対し1.1〜6モル倍用いることが、反応速度及び樹脂の物性維持の点から好ましい。より好ましくは2〜5モル倍、さらに好ましくは3〜5モル倍である。
また、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸とアルキレングリコールのエステル化反応は反応速度が遅く、前述の反応圧力を高くするだけでなくチタン化合物を触媒として使用することも必要である。本発明で用いるチタン化合物としては、ポリエステル中に可溶な有機チタン化合物が好ましい。特に得られるポリエステル組成物やそれを成形したフィルムに、優れた耐熱性を付与できることから、下記構造式(3)
Ti(OR)(OR)(OR)OR ・・・(3)
(式(I)中の、R、R、RおよびRは、炭素数1〜10のアルキル基またはフェニル基である。)
で表される化合物、または、上記構造式(3)で表される化合物と下記構造式(4)
6−n(COOH) ・・・(4)
(上記構造式(4)中、nは2〜4の整数である。)
で表される芳香族多価カルボン酸またはその無水物との反応生成物が望ましい。
具体的な上記一般式(3)で表わされるチタン化合物としては、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラフェノキシドなどを好ましく例示できる。また、上記一般式(3)のチタン化合物と反応させる上記一般式(4)で表される芳香族多価カルボン酸またはその無水物としては、フタル酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸およびこれらの無水物を好ましく例示できる。なお、上記一般式(3)のチタン化合物と上記一般式(4)の芳香族多価カルボン酸またはその無水物とを反応させるには、溶媒に芳香族多価カルボン酸またはその無水物の一部を溶解し、これにチタン化合物を滴下し、0〜200℃の温度で30分以上反応させれば良い。
添加するチタン化合物の量は、第1反応中に存在する全酸成分のモル数を基準として、チタン原子換算で、10〜150ミリモル%の範囲にあることが必要であり、20〜100ミリモル%、さらに30〜70ミリモル%の範囲にあることが好ましい。該チタン化合物量が下限より少ない場合、エステル化反応及び重縮合反応速度が遅くなり、他の触媒を大量にさらに併用しないと生産効率が低下しやすい。一方、該チタン化合物量が上限を超える場合は、後述の第3反応における重縮合反応中に熱分解反応が同時に進行しやすくなり、重合度を上げにくくなったり、熱安定性が悪化する。なお、チタン化合物を添加する場合の添加時期は、第1反応のエステル化反応開始時から存在するように添加し、前述のとおり、引き続き重縮合反応触媒として使用することが好ましい。もちろん、重縮合反応速度をコントロールする目的で2回以上に分けて添加してもよい。また、第1反応と第2反応とを同じ反応系内で行う場合は、前述のチタン化合物量は、反応系内の全酸成分に対しての量として扱う。
第1反応におけるエステル化反応の終了の目安はエステル化率が97%以上になった時点とするのが好ましい。エステル化率が97%よりも低い段階でエステル化反応を停止すると、反応液は白濁色のままで、エステル化反応終了後に異物除去のために濾過を行う場合、詰まりやすく、また次の重縮合反応に進行すると得られる共重合芳香族ポリエステルの重合度が低くなりやすい。
なお、本発明におけるエステル化率(%)とは、第1反応を単独で行なう場合は下記一般式(5)、第1反応と後述の第2反応とを同時に行う場合は下記一般式(6)にしたがって算出される値である。
エステル化率=(1−A/B)×100 ・・・(5)
エステル化率=(1−A’/B’)×100 ・・・(6)
ここで、上記一般式(5)中の、Aは(第1反応終了時のカルボキシル末端基量(当量/ton)、Bは第1反応で原料として仕込んだ全カルボキシル末端基量(当量/ton)を示し、上記一般式(6)中のA’は第1および第2反応終了時のカルボキシル末端基量(当量/ton)、B’は第1および第2反応で原料として仕込んだ全カルボキシル末端基量(当量/ton)を示す。
つぎに、前記構造式(2)で表わされる芳香族ジカルボン酸とアルキレングリコールとを反応させる第2反応は、第1反応と一緒に行なうことが製造工程を簡略化できることから好ましく、したがって、前記構造式(2)で表わされる芳香族ジカルボン酸の添加時期は、第1反応におけるエステル化反応の開始以前であることが好ましい。なお、第2反応も一緒に行なう場合、前述の第1反応におけるチタン化合物量は、前記一般式(2)で表わされる芳香族ジカルボン酸も含めた酸成分のモル数に対して、前記範囲となるように行なう。もちろん、第1反応とは別に第2反応だけを行なってもよく、例えばビス−2−ヒドロキシエチルテレフタレートやビス−2−ヒドロキシエチルナフタレートのような前駆体を別途製造し、それを第3反応に直接添加すればよい。
つぎに、前述の第1反応で得られた前駆体Aと前述の第二反応で得られた前駆体Bとを重縮合反応させる第3反応について説明する。
本発明では、得られるポリエステル組成物に、高度の熱安定性を付与させる目的で、第3反応における重縮合反応の開始以前に、反応系にリン化合物からなる熱安定剤を添加することが必要である。熱安定剤として添加するリン化合物の量は、第3反応の反応系に含有されるチタン化合物に対して、チタン元素量とリン元素量とのモル比(P/Ti)が0.5〜2となる範囲である(P:全酸成分のモル数を基準としたときのリン化合物のリン元素換算のモル%、Ti:全酸成分のモル数を基準としたときのチタン化合物のチタン元素換算モル%)。
リン化合物とチタン化合物のモル比(P/Ti)が下限よりも少ないと得られるポリエステル組成物の熱安定性向上効果があまり発揮されず、他方、上限を超えるとポリマー重合度を効率良く上げることが困難となる。
本発明で使用するリン化合物としては、化合物中にリン元素を有するものであれば特に限定されず、例えば、リン酸、亜リン酸、亜リン酸アルキルエステル及びそれらの誘導体などが挙げられる。さらに具体的には、リン酸、亜リン酸、リン酸トリメチルエステル、リン酸トリブチルエステル、リン酸トリフェニルエステル、リン酸モノメチルエステル、リン酸ジメチルエステル、フェニルホスホン酸、フェニルホスホン酸ジメチルエステル、フェニルホスホン酸ジエチルエステル、リン酸アンモニウム、トリエチルホスホノアセテート、メチルジエチルホスホノアセテートなどを挙げることができ、これらのリン化合物は二種以上を併用してもよい。なお、リン化合物の添加時期は、第1および第2反応が実質的に終了してから第3反応である重縮合反応初期の間に行なうことが好ましく、添加は一度に行ってもよいし、2回以上に分割して行ってもよい。
さらに、重縮合反応である第3反応の好ましい態様について説明する。まず、第3反応における重縮合反応の温度は270℃〜300℃の範囲で行い、重縮合反応中の圧力は50Pa以下の減圧下で行うのが好ましい。重縮合反応中の圧力が上限より高いと重縮合反応に要する時間が長くなり且つ重合度の高い共重合芳香族ポリエステルを得ることが困難になる。重縮合触媒としては、エステル化反応時に添加されたチタン化合物を引き続き使用することが好ましい。
以上、説明してきた本発明の製造方法を用いれば、生産性良く共重合芳香族ポリエステルを製造することができる。なお、本発明の共重合芳香族ポリエステルの製造方法によって得られる共重合芳香族ポリエステルは、本発明の効果を阻害しない範囲で、他の熱可塑性ポリマー、紫外線吸収剤等の安定剤、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、離型剤、顔料、核剤、充填剤あるいはガラス繊維、炭素繊維、層状ケイ酸塩などを必要に応じて配合してポリエステル組成物としても良く、そのようなポリエステル組成物にすることは得られる成形品に更なる特性を付与しやすいことから好ましい。なお、他の熱可塑性ポリマーとしては、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート、ABS樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、さらには6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸の共重合量が外れるポリエステル系樹脂などが挙げられる。
本発明の製造方法で得られた共重合芳香族ポリエステル、およびこれに他の熱可塑性樹脂などを混合した樹脂組成物は、押出成形法、射出成形法、押出しブロー成形法、カレンダー成形法により、各種の成形品とすることができる。
本発明の共重合芳香族ポリエステルからなる成形品は、本発明の共重合芳香族ポリエステルを溶融紡糸することで繊維に、溶融製膜することでフィルムやシートに、そして射出成形することでボトルや容器などとして成形することができる。特に、本発明の共重合芳香族ポリエステルをフィルムとする場合、前述の通り、単に樹脂の生産性に優れるだけでなく、耐熱性に優れる。しかも、本発明の共重合芳香族ポリエステルからなる成形品は、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸を共重合していることから、同じヤング率のポリエチレン−2、6−ナフタレートからなる成形品と比べたとき、同等の温度膨張係数を維持しつつ、低い湿度膨張係数を有することから、温湿度変化に対する優れた寸法安定性を発現することもできる。
以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。
なお、本発明における芳香族ポリエステル樹脂の特性は、下記の方法で測定および評価した。
(1)固有粘度
得られたポリエステルの固有粘度はP−クロロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(40/60重量比)の混合溶媒を用いて、35℃で測定して求めた。
(2)カルボキシル末端基濃度(当量/トン)およびエステル化率
第1工程、または第1反応と第2反応が同時に行なわれる場合はそれらの反応終了後、得られた前駆体の末端カルボキシ基量を、600MHzのH−NMR(日本電子株式会社製、JEOL A−600)によって測定した。また、仕込み量から仕込んだ全カルボキシル末端量を求め、前述の一般式(5)または(6)に基づいて、エステル化率を算出した。
(3)融点(℃)
DSC(TA Instrumennts製、商品名:DSC2020)により昇温速度10℃/minで測定した。
[実施例1]
6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸30kg(74.6モル、)、ジメチルテレフタレート6.2kg(32.0モル)、エチレングリコール25kgを攪拌機、精留塔、冷却器を供えたエステル化反応槽に仕込み、150℃まで昇温した。その後、トリメリット酸チタンを29.7g(64ミリモル)添加し、反応槽全体を窒素により0.25MPaの圧力下で加熱して、反応槽内部温度を240℃に昇温した。精留塔の塔頂温度は、200℃を超えたときに全還流となるようにし、200℃より低いときは還流比1に設定した。反応の進行に従い、圧力一定のまま内温を250℃まで上げた。反応液が白濁色から透明に変化したことを確認し、反応終了とした。反応時間は175分であった。その後、反応槽内の圧力を常圧にゆっくりと戻し、トリメチルフォスフェート13.4g(96ミリモル)を添加し、余剰のエチレングリコールを追い出した。
得られた反応生成物を重合反応槽へと移送した。このとき、移送途中で目開き30μmの金属繊維製のフィルターを通して濾過実施した。重合反応槽では250℃からゆっくりと昇温しながら、また減圧させながら重縮合反応を行い、最終的に290℃、50Paで所定の重合度になるまで重縮合を行い、共重合芳香族ポリエステルを製造した。
得られた共重合芳香族ポリエステルの特性を表1に示す。
[実施例2〜4]
表1に示すように、共重合成分の種類および量、反応圧力、触媒量ならびに安定剤の種類および量を変えた以外は、実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた共重合芳香族ポリエステルの特性を表1に示す。
[比較例1および2]
表1に示すように、反応圧力、触媒の種類および量ならびに安定剤の種類および量を変えた以外は、実施例1と同様な操作を繰り返した。反応時間300分になっても、エステル反応液は透明にならず、反応終了して重縮合反応槽に移送したところ、フィルター詰まりを発生させた。また重縮合反応においても200分行っても目標の電力に達せず、反応終了とした。得られた共重合芳香族ポリエステルの特性を表1に示す。
[比較例3]
表1に示すように、共重合成分の種類、反応圧力、触媒量ならびに安定剤の種類および量を変えた以外は、実施例1と同様な操作を繰り返した。重縮合反応において、200分行っても目標の電力に達せず、反応終了とした。得られた共重合芳香族ポリエステルの特性を表1に示す。
Figure 2009007444
表1中の、原料酸成分Aは6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸、原料酸成分Bはテレフタル酸ジメチル、原料酸成分Cは2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、触媒Dはトリメリット酸チタン、触媒Eは酢酸マンガンと三酸化アンチモン(モル比で3:2)、安定剤Fはトリメチルフォスフェート、安定剤Gはトリエチルホスホノアセテートである。
本発明の製造方法で作られる共重合芳香族ポリエステルは、押出成形、射出成形、圧縮成形、ブロー成形などの通常の溶融成形に供することができ、繊維、フィルム、三次元成形品、容器、ホース等に加工することができる。

Claims (4)

  1. 下記構造式(1)で表わされる6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸とアルキレングリコールとを反応させて前駆体Aとする第1反応と、アルキレングリコールと下記構造式(2)で表わされる芳香族ジカルボン酸成分とを反応させて前駆体Bとする第二反応と、前駆体Aおよび前駆体Bを重縮合反応させる第3反応とからなる共重合芳香族ポリエステルの製造方法であって、
    全酸成分中の6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分の割合が5モル%以上80モル%未満であること、
    第1反応は、全酸成分のモル数を基準として、チタン化合物がチタン元素量で10〜150ミリモル%の存在下でかつ0.05〜0.5MPaの加圧下で行なうこと、そして、
    第3反応は、含有するチタン化合物のチタン元素量に対して、リン元素量で0.5〜2倍のモル比となるリン化合物の存在下で行なうことを特徴とする共重合芳香族ポリエステルの製造方法。
    Figure 2009007444
    (上記構造式(1)中のRは、炭素数1〜10のアルキレン基を示す。)
    −O(O)C−X−C(O)O−R (2)
    (上記構造式(2)中の、RおよびRは、それぞれ水素または炭素数1〜4のアルキル基を示し、Xはベンゼン環もしくはナフタレン環を示す。)
  2. 第1反応および第2反応が同じ反応系にて行なわれる請求項1記載の共重合芳香族ポリエステルの製造方法。
  3. 前記一般式(2)で表わされる芳香族ジカルボン酸成分が、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸およびそれらの炭素数1〜4のアルキル基とのエステル形成性誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の共重合芳香族ポリエステル。
  4. アルキレングリコールは、その90モル%以上がエチレングリコールである請求項1記載の共重合芳香族ポリエステル。
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