JP2008260878A - 共重合芳香族ポリエステル樹脂、フィルムおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】生産性に優れた6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸のエステルを主たる繰り返し単位とする芳香族ポリエステル樹脂およびそれを用いた成形体の提供。
【解決手段】芳香族ジカルボン酸成分とアルキレングリコール成分とからなり、全酸成分のうち、50モル%以上80モル%以下が、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分であるポリエステルであって、その重量を基準として、カリウム化合物およびナトリウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種を、カリウム金属およびナトリウム金属の合計元素量で20〜200ppmの範囲で含有する共重合芳香族ポリエステルおよびその製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】芳香族ジカルボン酸成分とアルキレングリコール成分とからなり、全酸成分のうち、50モル%以上80モル%以下が、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分であるポリエステルであって、その重量を基準として、カリウム化合物およびナトリウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種を、カリウム金属およびナトリウム金属の合計元素量で20〜200ppmの範囲で含有する共重合芳香族ポリエステルおよびその製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸を主たる酸成分とする共重合芳香族ポリエステル樹脂、およびそれを用いたフィルム、さらにはその製造方法に関する。
ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン−2,6−ナフタレートに代表される芳香族ジカルボン酸とグリコール成分とからなる芳香族ポリエステルは、優れた機械的特性や化学的特性を有することから、繊維、フィルムまたはボトルなどの成形品に幅広く展開されている。しかしながら、さらなる市場からの高性能化の要求は強く、その改良が望まれている。
そのような中で、ポリエチレン−2,6−ナフタレートよりも更に高性能のポリエステルとして、特許文献1〜4には6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸のエステル化合物であるジエチル−6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエートから得られるポリアルキレン−6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエートが提案されている。そして、これらの特許文献によると、このようなポリマーは非常に寸法安定性に優れ、また非常に高い剛性を発現できることが開示されている。
しかしながら、本発明者らの研究によると、これらの公報に記載されたポリマーは、非常に融点が高く、また結晶性が過度にあることから、成形加工、特にフィルムなどに製膜しようとすると、溶融押出工程が不安定化したり、延伸時に破断しやすかったりすることが判明した。なお、これら特許文献には、非常に高い結晶性と294℃という非常に高い融点を有するのポリエチレン−6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエートが具体的に提示されている。
本発明の目的は、生産性に優れた6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸主たる酸成分とする共重合芳香族ポリエステル樹脂およびその製造方法ならびにそれを用いた成形体を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決しようと鋭意研究した結果、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸とグリコールとをエステル化反応させる際に、該反応を特定量のカリウムまたはナトリウム化合物の存在下で行ない、かつ酸成分として6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸に対して、該6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸以外の他の芳香族ジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体を特定の割合で共重合させることにより、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸のエステルを主たる繰り返し単位とする芳香族ポリエステル樹脂のもつ優れた寸法安定性などを維持もしくはさらに向上させつつ、生産性を高度に高められることを見出し、本発明に到達した。
かくして本発明によれば、芳香族ジカルボン酸成分とアルキレングリコール成分とからなる芳香族ポリエステルであって、
該芳香族ポリエステルは、全酸成分のうち、50モル%以上80モル%以下が、下記式(1)
(上記一般式(1)中のRは、炭素数1〜10のアルキレン基を示す。)で表される6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分であること、およびその重量を基準として、カリウム化合物およびナトリウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種を、金属元素量で20〜200ppmの範囲で含有する共重合芳香族ポリエステルおよびそれを用いたフィルムが提供される。
該芳香族ポリエステルは、全酸成分のうち、50モル%以上80モル%以下が、下記式(1)
また、本発明の好ましい態様として、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分以外の芳香族ジカルボン酸成分が、テレフタル酸成分、イソフタル酸成分、2,6−ナフタレンジカルボン酸成分および2,7−ナフタレンジカルボン酸成分からなる群より選ばれる少なくとも1種であること、DSCにおける融点が230〜280℃の範囲にあること、ジエチレングリコール成分の含有量が、共重合芳香族ポリエステルの重量を基準として、0.2から2重量%の範囲であることの少なくともいずれか一つを具備する共重合芳香族ポリエステルおよびそれを用いたフィルムも提供される。
さらにまた、本発明によれば、芳香族ジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体(ただし、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸およびそのエステル形成性誘導体は除く。)、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸もしくはそのエステル形成性誘導体とアルキレングリコールとを、エステル化反応およびエステル交換反応からなる群より選ばれる少なくとも一種の反応を行なう第一反応工程と、第一反応工程によって得られたポリエステルの前駆体をさらに重縮合反応させる第二反応工程とからなる共重合芳香族ポリエステルの製造方法であって、
全酸成分中の6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分の割合が50モル%以上80モル%以下であること、および第一反応工程が、カリウム化合物およびナトリウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種を、得られる共重合芳香族ポリエステルの重量を基準として、金属元素量で20〜200ppmの範囲で存在下で行なうことを特徴とする共重合芳香族ポリエステルの製造方法も提供される。
全酸成分中の6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分の割合が50モル%以上80モル%以下であること、および第一反応工程が、カリウム化合物およびナトリウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種を、得られる共重合芳香族ポリエステルの重量を基準として、金属元素量で20〜200ppmの範囲で存在下で行なうことを特徴とする共重合芳香族ポリエステルの製造方法も提供される。
本発明によれば、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸のエステルを主たる繰り返し単位とする芳香族ポリエステル樹脂のもつ優れた機械的特性などを維持しつつ、融点を下げることあるいはナトリウムあるいはカリウム化合物の存在で溶融電気抵抗が低下することによるピンニング性の向上による製膜性の向上と、共重合反応におけるモノマー合成段階、すなわちグリコール成分と酸、あるいはそのエステル形成体成分とのエステル化あるいはエステル交換反応の条件が緩和されることから、生産性を高度に高めることができる。
本発明の共重合芳香族ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸とアルキレングリコール成分とからなり、全酸成分のうち50モル%以上80モル%以下が6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分でである。6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分の割合が下限未満では融点の低下が大きく、また、後述のカリウム化合物およびナトリウム化合物による反応促進効果も乏しくなる。他方、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分の割合が上限を越えると、結晶性や融点が高すぎて、製膜などの工程での生産性が低下しやすい。好ましい6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分の割合は、55モル%以上75モル%以下、さらに60モル%以上70モル%以下の範囲である。
本発明における、前述の構造式(1)で示される6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分としては、Rの部分が炭素数1〜10のアルキレン基であるものであり、好ましくは6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分、6,6’−(トリメチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分および6,6’−(ブチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分などが挙げられ、これらの中でも本発明の効果の点からは、上記一般式(I)におけるRの炭素数が偶数のものが好ましく、特に6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分が好ましい。
また、アルキレングリコール成分としては、エチレングリコールが本発明の効果の点から好ましい。好ましいグリコール成分中のエチレングリコール成分の割合は90モル%以上、さらに95モル%以上、特に97モル%以上である。
本発明における6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分以外の他の芳香族ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、1,4−フェニレンジオキシジカルボン酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸または2,7−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、これらの中でもより機械的特性などを高度に維持しやすい観点から、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸および2,7−ナフタレンジカルボン酸が好ましく、特にテレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。
もちろん、本発明の共重合芳香族ポリエステル樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の共重合成分をさらに共重合、例えば繰り返し単位のモル数に対して10モル%以下、さらに5モル%以下の範囲で共重合していてもよい。具体的なさらなる共重合成分としては、ヘキサヒドロテレフタル酸成分、ヘキサヒドロイソフタル酸成分などの脂環式ジカルボン酸成分、コハク酸成分、グルタル酸成分、アジピン酸成分、ピメリン酸成分、スベリン酸成分、アゼライン酸成分、セバシン酸成分、ウンデカジカルボン酸成分、ドデカジカルボン酸成分などの脂肪族ジカルボン酸成分、イソプロピレングリコール成分、テトラメチレングリコール成分、ヘキサメチレングリコール成分、オクタメチレングリコール成分、ジエチレングリコール成分などのグリコール成分、グリコール酸成分、p−ヒドロキシ安息香酸成分、p−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸成分などのヒドロキシカルボン酸成分や、アルコキシカルボン酸成分、ステアリルアルコール成分、ベンジルアルコール成分、ステアリン酸成分、ベヘン酸成分、安息香酸成分、t−ブチル安息香酸成分、ベンゾイル安息香酸成分などの単官能成分、トリカルバリル酸成分、トリメリット酸成分、トリメシン酸成分、ピロメリット酸成分、ナフタレンテトラカルボン酸成分、トリメチロールエタン成分、トリメチロールプロパン成分、グリセロール成分、ペンタエリスリトール成分などが挙げられる。
ところで、本発明の共重合芳香族ポリエステル樹脂は、カリウム化合物またはナトリウム化合物を、共重合芳香族ポリエステルの重量を基準として、それぞれの金属元素量、すなわちカリウム元素およびナトリウム元素の合計量で、20〜200ppmの範囲で含有していることが必要である。6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸もしくはそのエステル形成性誘導体とそれ以外の他の芳香族ジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体とエチレングリコールとを反応させてモノマーを製造しようとすると、常圧下の反応においては無触媒ではほとんど反応が進行せず、加圧して反応温度を高温にすることでようやく反応が進む程度であることが判明した。そして、カリウム化合物あるいはナトリウム化合物を加えたり、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸中に積極的に存在させると、反応が活性化し、反応時間を短縮できたり、常圧での反応が可能となり、生産性が向上することを見出したのが本発明の一つの特徴である。
カリウム化合物やナトリウム化合物の含有量は、共重合芳香族ポリエステルの重量を基準としたとき、下限未満では、反応速度の促進効果が十分に発現しにくく、また溶融電気抵抗を小さくする効果も乏しくなる。他方上限を越えると、反応速度の促進効果が飽和状態に近づき、むしろ耐熱性が悪化したり、合成される共重合芳香族ポリエステルの色相が悪化するといった不具合が生じやすくなる。好ましい共重合芳香族ポリエステル中のカリウム化合物またはナトリウム化合物の量は、共重合芳香族ポリエステルの重量を基準として、カリウム元素およびナトリウム元素の量で20〜200ppm、さらに好ましくは50〜150ppmの範囲である。すなわち、カリウム化合物もしくはナトリウム化合物を、上記の通り含有させることにより、共重合芳香族ポリエステルを製造する際の生産性を高めつつ、得られる共重合芳香族ポリエステルの溶融電気抵抗を小さくすることができ、その結果、フィルムなどに製膜する際、冷却ドラムへの密着性を向上でき、より厚み斑の均一なフィルムが製膜できるなど製膜工程での生産性も向上できる。
本発明における、カリウム化合物およびナトリウム化合物としては、それぞれの水酸化物、酢酸塩、炭酸塩などを挙げることができるが、もっとも好ましいのは6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸の製造過程において生成し、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸中に塩として残存する化合物を挙げることができる。具体的には6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸の合成方法のひとつに、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸の前駆体として一旦水溶性化合物であるカリウムあるいはナトリウム塩化合物とし、これを硫酸などの酸により6,6’−(アルレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸を酸析したのち、水洗などによる精製工程を経る方法がある。そして、通常であれば精製のためにカリウム塩やナトリウム塩は残存させないように除去するのだが、上記範囲となるようにカリウム化合物やナトリウム化合物を残存させることで、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸の製造工程を簡略化し、さらに共重合芳香族ポリエステルの製造工程で新たに添加するナトリウム化合物やカリウム化合物の量を減らせたり、さらにはその添加工程自体を省略することにもつながる。
本発明の共重合芳香族ポリエステルは、DSCで測定した融点が、230〜280℃の範囲、さらに235〜275℃の範囲、特に240〜270℃の範囲にあることが製膜性の点から好ましい。融点が上記上限を越えると、溶融押し出しして成形する際に、流動性が劣り、吐出などが不均一化しやすくなる。一方、上記下限未満になると、製膜性は優れるものの、耐熱性などが損なわれやすくなる。すなわち、通常他の酸成分を共重合して融点を下げれば、同時に機械的特性なども低下するが、製膜性が向上するためか、驚くべきことに共重合をする芳香族ポリエステルや特許文献1〜4に記載の6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸のエステルを主たる繰り返し単位とするポリマーと同様な機械的特性などを発現できることも見出した。
また、本発明における芳香族ポリエステルは、DSCで測定したガラス転移温度(以下、Tgと称することがある。)が、80〜120℃の範囲、さらに82〜118℃の範囲、特に85〜118℃の範囲にあることが、耐熱性や寸法安定性の点から好ましい。なお、このような融点やガラス転移温度は、共重合成分の種類と共重合量、そして副生物であるジアルキレングリコールの制御などによって調整できる。
本発明の共重合芳香族ポリエステルは、エチレングリコールをグリコール成分として用いる場合、副生物としてジエチレングリコール成分が生成されやすい。このことは、たとえばポリエチレンテルフタレートの合成反応などでも知られており、本発明における反応においても同様にジエチレングリコール成分が副生するが、このジエチレングリコール成分は、本発明の効果の点から、共重合芳香族ポリエステルの重量を基準として、2重量%以下であることが好ましい。なお、下限は特に制限されないが、通常は0.2%程度である。ジエチレングリコール成分の割合を上限以下にすることで、ジエチレングリコールがポリマー骨格に含まれることによる機械的特性の低下や耐熱性の低下を小さくすることができる。なお、このようなジエチレングリコール成分は、特許文献1〜4に示されるような6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸のエステルとエチレングリコールとをエステル交換反応させるのではなく、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸とエチレングリコールとをエステル化反応させることで少なくすることができる。なお、ジエチレングリコールの含有量は、核磁気共鳴装置によって測定する事ができる。
<成形品>
本発明の共重合芳香族ポリエステルからなる成形品は、本発明の共重合芳香族ポリエステルを溶融紡糸することで繊維に、溶融製膜することでフィルムやシートに、そして射出成形することでボトルや容器などとして成形することができる。特に、本発明の共重合芳香族ポリエステルをフィルムとする場合、前述の通り、カリウムあるいはナトリウム化合物を含有することにより、単に樹脂の生産性に優れるだけでなく、溶融電気抵抗が低いことによって製膜するときのピンニング性にも優れることから、製膜性に優れた、例えば厚み斑のない均一なフィルムの製造に貢献することができる。
本発明の共重合芳香族ポリエステルからなる成形品は、本発明の共重合芳香族ポリエステルを溶融紡糸することで繊維に、溶融製膜することでフィルムやシートに、そして射出成形することでボトルや容器などとして成形することができる。特に、本発明の共重合芳香族ポリエステルをフィルムとする場合、前述の通り、カリウムあるいはナトリウム化合物を含有することにより、単に樹脂の生産性に優れるだけでなく、溶融電気抵抗が低いことによって製膜するときのピンニング性にも優れることから、製膜性に優れた、例えば厚み斑のない均一なフィルムの製造に貢献することができる。
しかも、本発明の共重合芳香族ポリエステルは、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸のエステルを主たる繰り返し単位とすることから、その優れた機械的特性や低い温度膨張係数と湿度膨張係数を有する優れた寸法安定性なども具備している。
<共重合芳香族ポリエステル樹脂の製造方法>
つぎに、本発明の共重合芳香族ポリエステルの製造方法について詳述する。
まず、第一反応工程として、芳香族ジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体(ただし、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸およびそのエステル形成性誘導体は除く。)と、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸もしくはそのエステル形成性誘導体と、アルキレングリコールとを、エステル化反応もしくはエステル交換反応させる。このとき、重要なことは、前述の共重合芳香族ポリエステルで説明したとおり、全酸成分中の6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分の割合を50モル%以上80モル%以下とすることと、カリウム化合物およびナトリウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種を、得られる共重合芳香族ポリエステルの重量を基準として、金属元素量で20〜200ppmの範囲で存在させておくことである。なお、上述のエステル形成性誘導体とは、例えば炭素数1〜3の低級アルキルエステルが好ましく挙げられ、特にジメチルエステルやジエチルエステルなどが好ましく挙げられる。また、芳香族ジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体(ただし、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸およびそのエステル形成性誘導体は除く。)としては、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、1,4−フェニレンジオキシジカルボン酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸およびそれらのエステル形成性誘導体、例えばジメチルエステルやジエチルエステルなどが挙げられ、これらの中でもより機械的特性などを高度に維持しやすい観点から、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸酸およびそれらのエステル形成性誘導体が好ましく、特に2,6−ナフタレンジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体が好ましい。
つぎに、本発明の共重合芳香族ポリエステルの製造方法について詳述する。
まず、第一反応工程として、芳香族ジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体(ただし、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸およびそのエステル形成性誘導体は除く。)と、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸もしくはそのエステル形成性誘導体と、アルキレングリコールとを、エステル化反応もしくはエステル交換反応させる。このとき、重要なことは、前述の共重合芳香族ポリエステルで説明したとおり、全酸成分中の6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分の割合を50モル%以上80モル%以下とすることと、カリウム化合物およびナトリウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種を、得られる共重合芳香族ポリエステルの重量を基準として、金属元素量で20〜200ppmの範囲で存在させておくことである。なお、上述のエステル形成性誘導体とは、例えば炭素数1〜3の低級アルキルエステルが好ましく挙げられ、特にジメチルエステルやジエチルエステルなどが好ましく挙げられる。また、芳香族ジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体(ただし、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸およびそのエステル形成性誘導体は除く。)としては、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、1,4−フェニレンジオキシジカルボン酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸およびそれらのエステル形成性誘導体、例えばジメチルエステルやジエチルエステルなどが挙げられ、これらの中でもより機械的特性などを高度に維持しやすい観点から、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸酸およびそれらのエステル形成性誘導体が好ましく、特に2,6−ナフタレンジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体が好ましい。
また、前述の第一反応工程に存在させるアルキレングリコール成分のモル数は、全酸成分のモル数に対して、1.1〜6倍、さらに2〜5倍、特に3〜5倍であることが好ましい。特に、反応におけるアルキレングリコールと酸成分のモル比をポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートの合成反応に比べて大きくすることで、アルキレングリコール成分にほとんど溶解しない6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸を希釈分散させて、反応系の流動性を高めることが出来る。また、そのような観点から、アルキレングリコール成分としては、エチレングリコール成分が好ましい。
また、エステル化反応は徐々に加温していき、最終的に260℃までの範囲で行なうことが好ましい。アルキレングリコール成分としてエチレングリコールを用いた場合、ジエチレングリコール成分が副生物として生成されやすく、それを抑えるためには、出来るだけ低い温度で反応を完結させることが好ましい。なお、本発明では、前述のとおり、カリウムやナトリウム化合物の存在によって、反応を常圧下で行うこともできるが、さらに生産性を高めるために加圧下で反応を行ってもよいし、テトラブチルチタネートに代表されるチタン触媒などの重合触媒をエステル化あるいはエステル交換触媒として加えて反応性をさらに高める方法も可能である。
さらに、常圧下での反応性を高める方法としてポリエステルの前駆体を種モノマーとして予め用意しておき、そのモノマーをベースとして新たに6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸を添加してエステル化反応を行う方法もある。このとき、更に2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルなど先述の共重合成分を添加して反応させてもよい。こうした方法は、反応した共重合モノマーを一部残して、それを次の共重合モノマーの合成反応に用いることで新たに工程を必要とせず、さらに反応時間を短縮でき、副生するジエチレングリコール成分の生成などを抑えられるという利点も具備する。
チタン化合物を触媒として用いる場合は、共重合芳香族ポリエステルの重量を基準として、チタン元素量で5〜150ppm、さらに10〜100ppm、さらに15〜50ppmの範囲で用いることが、反応性と得られるポリマーの耐熱性や色相の点から好ましい。具体的な重縮合触媒としてのチタン化合物としては、例えば、テトラ−n−プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトライソブチルチタネート、テトラ−tert−ブチルチタネート、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラフェエニルチタネート、テトラベンジルチタネート、蓚酸チタン酸リチウム、蓚酸チタン酸カリウム、蓚酸チタン酸アンモニウム、酸化チタン、チタンのオルトエステル又は縮合オルトエステル、チタンのオルトエステル又は縮合オルトエステルとヒドロキシカルボン酸からなる反応生成物、チタンのオルトエステル又は縮合オルトエステルとヒドロキシカルボン酸とリン化合物からなる反応生成物、チタンのオルトエステル又は縮合オルトエステルと少なくとも2個のヒドロキシル基を有する多価アルコール、2−ヒドロキシカルボン酸、又は塩基からなる反応生成物などが挙げられる。
これらの中でも、チタンアルコキシドまたはチタンアルコキシドと芳香族多価カルボン酸(無水物を含む)とを反応させた生成物からなる群より選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
好ましいチタンアルコキシドとしては、下記一般式(I)
R5O−Ti(OR6)(OR7)OR8 ・・・(I)
(ここで、一般式(II)中の、R5、R6、R7、R8は、それぞれ互いに独立に、アルキル基またはフェニル基を表す。)で表されるチタンアルコキシドであり、特に好ましいチタンアルコキシドとしては、テトライソプロポキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラフェノキシチタン、オクタアルキルトリチタネートおよびヘキサアルキルジチタネートからなる群より選ばれた少なくとも1種である。
R5O−Ti(OR6)(OR7)OR8 ・・・(I)
(ここで、一般式(II)中の、R5、R6、R7、R8は、それぞれ互いに独立に、アルキル基またはフェニル基を表す。)で表されるチタンアルコキシドであり、特に好ましいチタンアルコキシドとしては、テトライソプロポキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラフェノキシチタン、オクタアルキルトリチタネートおよびヘキサアルキルジチタネートからなる群より選ばれた少なくとも1種である。
また、チタンアルコキシドと反応させる好ましい芳香族多価カルボン酸は、下記一般式(II)
C6H6−n−(COOH)n ・・・(II)
(ここで、一般式(II)中の、nは2〜4の整数を表す。)で表される芳香族多価カルボン酸であり、無水物であっても良い。特に好ましい芳香族多価カルボン酸は、フタル酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸及びこれらの無水物からなる群より選ばれた少なくとも1種である。
C6H6−n−(COOH)n ・・・(II)
(ここで、一般式(II)中の、nは2〜4の整数を表す。)で表される芳香族多価カルボン酸であり、無水物であっても良い。特に好ましい芳香族多価カルボン酸は、フタル酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸及びこれらの無水物からなる群より選ばれた少なくとも1種である。
上記チタン化合物と芳香族多価カルボン酸(又はその無水物)とを反応させる場合には、溶媒に芳香族多価カルボン酸又はその無水物の一部を溶解し、これにチタンアルコキシドを滴下して、0〜200℃の温度で少なくとも30分間反応させれば良い。
また、最終的に重縮合反応で生成される共重合ポリマーの耐熱性を向上させる目的で、第一反応工程が終了した段階で、リン化合物を安定剤として加えても良い。リン化合物を安定剤として用いる場合は、共重合芳香族ポリエステルの重量を基準として、5〜150ppm、さらに10〜100ppm、さらに15〜50ppmの範囲で用いることが好ましい。また、チタン化合物とリン化合物の量は、それぞれの元素量(リン:P、チタン:Ti)のモル比(P/Ti)は2以下、さらに1.5以下であることが、重縮合反応の反応性の点から好ましい。
本発明において、用いられるリン化合物としては、ポリエステルの溶融熱安定性や色調、触媒起因の異物抑制の観点から下記式(III)で示されるリン化合物が好ましい。
(但し、式中、R1、R2、R3は炭素数1 以上の炭化水素基である。Xは、カルボニル基、エステル基のいずれかを示す。m、nは、0または1である。)
上記式(III)で示される化合物であれば特に限定されるものでなく、例えばトリメチルホスホノアセテート、メチルジエチルホスホノアセテート、エチルジメチルホスホノアセテート、トリエチルホスホノアセテート、トリエチル3 − ホスホノプロピネート、トリエチル2−ホスホノプロピネート、トリエチル2−ホスホノブチレート、tert−ブチルジエチルホスホノアセテート、ジエチルホスホノ酢酸、トリメチル2−ホスホノアクリレート、トリエチル4−ホスホノクロトネート、アリールジエチルホスホノアセテート、ジメチル(3−オキソプロプル)ホスホネート、ジメチル(3−フェノキシアセトニル)ホスホネート、ジエチル(3−オキソプロプル)ホスホネート、ジエチル(2−オキソ−2−フェニルエチル)ホスホネート、ジエチル(ヒドロキシメチル)ホスホネート等を挙げることができる。上記したリン化合物は、一種のみ用いてもよく、二種以上を併用してもよい。これらのリン化合物のうちでも特に、トリエチルホスホノアセテートが好ましい。
ポリエステルの触媒としてそれ自体公知のマンガン、マグネシウム、アンチモン、ゲルマニウムなどの化合物を本発明の効果を損なわない範囲で併用してもよい。
このようにして第一反応工程によって得られた反応性生物は、さらにそれらを重縮合反応させる第二反応工程に導かれ、O−クロロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(重量比40/60)の混合溶媒を用いて35℃で測定したときの固有粘度が0.4〜1.0の共重合芳香族ポリエステルとされる。もちろん、必要に応じて、さらに固相重合処理を行っても良い。
このようにして第一反応工程によって得られた反応性生物は、さらにそれらを重縮合反応させる第二反応工程に導かれ、O−クロロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(重量比40/60)の混合溶媒を用いて35℃で測定したときの固有粘度が0.4〜1.0の共重合芳香族ポリエステルとされる。もちろん、必要に応じて、さらに固相重合処理を行っても良い。
さらに、第二反応工程で行なわれる重縮合反応について説明する。まず、重縮合温度は得られるポリマーの融点以上、より好ましくは融点より5℃高い温度から融点より100℃高い温度まで、さらに好ましくは融点より20℃高い温度から50℃高い温度までである。また、重縮合反応は通常50Pa以下の減圧下で行うのが好ましい。50Paより高いと重縮合反応に要する時間が長くなり且つ重合度の高い共重合芳香族ポリエステルを得ることが困難になる。
重縮合触媒としては、少なくとも一種の金属元素を含む金属化合物が挙げられる。具体的な金属元素としては、チタン、ゲルマニウム、アンチモン、アルミニウム、ニッケル、亜鉛、スズ、コバルト、ロジウム、イリジウム、ジルコニウム、ハフニウム、リチウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。より好ましい金属としては、チタン、ゲルマニウム、アンチモン、アルミニウム、スズなどであり、中でも、チタン化合物はエステル化反応と重縮合反応との双方の反応で、高い活性を発揮するので特に好ましい。なお、具体的なチタン化合物としては、前述の第一反応工程で説明したのと同様なものを挙げることができる。
これらの触媒は単独でも、あるいは併用してもよい。かかる触媒量は、全酸成分のモル数に対して、0.001〜0.5モル%、さらには0.005〜0.2モル%が好ましい。
本発明の共重合芳香族ポリエステルは、本発明の効果を阻害しない範囲で、他の熱可塑性ポリマー、紫外線吸収剤等の安定剤、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、離型剤、顔料、核剤、充填剤あるいはガラス繊維、炭素繊維、層状ケイ酸塩などを必要に応じて配合してポリエステル組成物としても良く、そのようなポリエステル組成物にすることは得られる成形品に更なる特性を付与しやすいことから好ましい。なお、他の熱可塑性ポリマーとしては、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート、ABS樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、さらには6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸の共重合量が外れるポリエステル系樹脂などが挙げられる。本発明の共重合芳香族ポリエステル、およびこれに他の熱可塑性樹脂などを混合した樹脂組成物は、押出成形法、射出成形法、押出しブロー成形法、カレンダー成形法により、各種の成形品とすることができる。
以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明では、以下の方法により、その特性を測定および評価し、特に断らない限り、ppmおよび部は、重量を基準とした値である。
(1)固有粘度
得られたポリエステルの固有粘度はO−クロロフェノール/テトラクロロエタン(40/60重量比)の混合溶媒を用いて、35℃の雰囲気下で測定し求めた。
(2)ガラス転移点および融点
得られたポリエステルのガラス転移点、融点はDSC(TA Instrumennt
s製、商品名:DSC2020)により昇温速度10℃/minで測定した。
(3)酸成分の共重合組成の分析
得られたポリエステルの試料50mgをp−クロロフェノール:重テトラクロロエタン=3:1(容積比)混合溶液0.5mlに140℃で溶解し、400M 13C−NMR(日立電子製、JEOL A600)にて140℃で測定し、それぞれの酸成分量を測定した。
(4)含有カリウム、ナトリウム元素量
含有アルカリ金属元素量については、得られたポリエステルの試料を灰化後、0.5N塩酸に溶解して、原子吸光分析装置(HITACHI製 Z−2300)にて測定した。
(5)含有チタン、リン元素量
得られたポリエステルの試料を溶融成型したのち、蛍光X線(リガク社製 ZSX100e)を用いて測定した。得られた元素量は、樹脂の重量を基準とした値として示す。
(6)溶融電気抵抗
305℃に溶融保持した樹脂中に電極を1cmの間隔をおいて投入し、電極間に直流1000Vの電圧をかけて、このときの電気抵抗値を計測した。
なお、電気抵抗値は、以下の式から算出した。
電気抵抗値(MΩ・cm)=V×S/(I×D)
(上記式中の、Vは印加電圧(V)、Sは電極の面積(cm2)、Iは測定電流(A)、Dは電極間距離(cm)である。)
(7)生産性
容積300mlの三ツ口フラスコに攪拌機を取り付け、ウイグリュー式精留塔およびコンデンサを設置し、マントルヒーターにて加熱して、メタノール、水、エチレングリコールなどを留去させながらエステル化またはエステル交換反応を行い、留出が始まってから反応液が透明になるまでの所要時間を測定した。
(8)DEG分析
ヒドラジンにより樹脂を加水分解し、遊離したジエチレングリコールをガスクロマトグラフィー(Hewlett Packard社製6990)にて分析した。
得られたポリエステルの固有粘度はO−クロロフェノール/テトラクロロエタン(40/60重量比)の混合溶媒を用いて、35℃の雰囲気下で測定し求めた。
(2)ガラス転移点および融点
得られたポリエステルのガラス転移点、融点はDSC(TA Instrumennt
s製、商品名:DSC2020)により昇温速度10℃/minで測定した。
(3)酸成分の共重合組成の分析
得られたポリエステルの試料50mgをp−クロロフェノール:重テトラクロロエタン=3:1(容積比)混合溶液0.5mlに140℃で溶解し、400M 13C−NMR(日立電子製、JEOL A600)にて140℃で測定し、それぞれの酸成分量を測定した。
(4)含有カリウム、ナトリウム元素量
含有アルカリ金属元素量については、得られたポリエステルの試料を灰化後、0.5N塩酸に溶解して、原子吸光分析装置(HITACHI製 Z−2300)にて測定した。
(5)含有チタン、リン元素量
得られたポリエステルの試料を溶融成型したのち、蛍光X線(リガク社製 ZSX100e)を用いて測定した。得られた元素量は、樹脂の重量を基準とした値として示す。
(6)溶融電気抵抗
305℃に溶融保持した樹脂中に電極を1cmの間隔をおいて投入し、電極間に直流1000Vの電圧をかけて、このときの電気抵抗値を計測した。
なお、電気抵抗値は、以下の式から算出した。
電気抵抗値(MΩ・cm)=V×S/(I×D)
(上記式中の、Vは印加電圧(V)、Sは電極の面積(cm2)、Iは測定電流(A)、Dは電極間距離(cm)である。)
(7)生産性
容積300mlの三ツ口フラスコに攪拌機を取り付け、ウイグリュー式精留塔およびコンデンサを設置し、マントルヒーターにて加熱して、メタノール、水、エチレングリコールなどを留去させながらエステル化またはエステル交換反応を行い、留出が始まってから反応液が透明になるまでの所要時間を測定した。
(8)DEG分析
ヒドラジンにより樹脂を加水分解し、遊離したジエチレングリコールをガスクロマトグラフィー(Hewlett Packard社製6990)にて分析した。
[実施例1]
<ベースモノマー(種オリゴマー(6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸のエチレングリコールジエステルモノマー)の合成>
容量5リットルの留出系つきオートクレーブに6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸100g、エチレングリコール1543g、テトラブトキシチタネート0.0847gを入れ、窒素で加圧し内圧を0.25MPaにコントロールしながら230℃で6時間反応させた。冷却後反応物を繰り返し大量のメタノールで洗浄濾過を繰りかえし、余分のエチレングリコールを完全に除去し、真空乾燥機で乾燥して融点240℃のグリコールエステルを得た。
<ベースモノマー(種オリゴマー(6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸のエチレングリコールジエステルモノマー)の合成>
容量5リットルの留出系つきオートクレーブに6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸100g、エチレングリコール1543g、テトラブトキシチタネート0.0847gを入れ、窒素で加圧し内圧を0.25MPaにコントロールしながら230℃で6時間反応させた。冷却後反応物を繰り返し大量のメタノールで洗浄濾過を繰りかえし、余分のエチレングリコールを完全に除去し、真空乾燥機で乾燥して融点240℃のグリコールエステルを得た。
<共重合ポリマーの合成>
先述の、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸のエチレングリコールジエステルモノマー49.2g、2,6ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル24.4gおよびカリウム化合物をカリウム元素量で300ppm含有する6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸を40.2g、更にエチレングリコール37.2gを加えて先述の生産性の評価方法で示した方法に沿って加温し、エステル交換反応を行いメタノールを留出させ、続いてエステル化反応により水を留出させた。フラスコ内は白濁状態が続いていたが、内温248℃を超える時点で急激に透明になった。引き続き255℃まで昇温し反応終了とした。所要時間は昇温に30分、留出が始まってから4時間5分を要した。その後トリエチルホスホノアセテートを、全酸成分のモル数に対して、15ミリモル%相当、テトラブトキシチタネートを、全酸成分のモル数に対して、15ミリモル%加えた。そして、反応性生物の混合体を系外に取り出し、冷却後細かく裁断して重合反応用ソルトバスへセットした300ミリリットルのフラスコ中へ移し、これを290℃のソルトバスへ漬し、溶解後常圧で攪拌しながら20分間エチレングリコールを留出させたのち、徐々に真空度を上げて行き、最終的に20Paにて反応を終了させた。
先述の、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸のエチレングリコールジエステルモノマー49.2g、2,6ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル24.4gおよびカリウム化合物をカリウム元素量で300ppm含有する6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸を40.2g、更にエチレングリコール37.2gを加えて先述の生産性の評価方法で示した方法に沿って加温し、エステル交換反応を行いメタノールを留出させ、続いてエステル化反応により水を留出させた。フラスコ内は白濁状態が続いていたが、内温248℃を超える時点で急激に透明になった。引き続き255℃まで昇温し反応終了とした。所要時間は昇温に30分、留出が始まってから4時間5分を要した。その後トリエチルホスホノアセテートを、全酸成分のモル数に対して、15ミリモル%相当、テトラブトキシチタネートを、全酸成分のモル数に対して、15ミリモル%加えた。そして、反応性生物の混合体を系外に取り出し、冷却後細かく裁断して重合反応用ソルトバスへセットした300ミリリットルのフラスコ中へ移し、これを290℃のソルトバスへ漬し、溶解後常圧で攪拌しながら20分間エチレングリコールを留出させたのち、徐々に真空度を上げて行き、最終的に20Paにて反応を終了させた。
重合反応時間は常圧反応と併せて55分、得られたポリマーのIVは0.70、カリウム元素の濃度は120ppm、溶融電気抵抗を測定したところ、11MΩcmであり、製膜時のピンニング性に効果の期待される抵抗値の低いポリマーであることを確認した。その他の物性は表1に示す。
[比較例1]
実施例1で用いた6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸をさらに精製することでカリウム元素濃度を50ppm以下まで下げた6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸を用いた他は、実施例1と同様に反応を進めたが、4時間経ても反応は進行せずメタノールを留出させることが出来なかった。このため、途中でテトラブトキシチタネートをチタン元素として全酸成分の45ミリモル%相当を加えて反応を再開し、最終的に6時間10分後に反応を完結させた。該反応性生物の混合体を実施例1と同様に重合反応に供し、トリエチルホスホノアセテートを全酸成分の15ミリモル%相当を加え290℃のソルトバスへ漬し、溶解後常圧で攪拌しながら20分間エチレングリコールを留出させたのち、徐々に真空度を上げて行き、最終的に20Paにて反応を終了させ固有粘度0.70dl/gのポリマーを得た。得られたポリマーはカリウム元素の濃度が17ppm、溶融電気抵抗値は78MΩcmと抵抗値の高いポリマーであった。
実施例1で用いた6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸をさらに精製することでカリウム元素濃度を50ppm以下まで下げた6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸を用いた他は、実施例1と同様に反応を進めたが、4時間経ても反応は進行せずメタノールを留出させることが出来なかった。このため、途中でテトラブトキシチタネートをチタン元素として全酸成分の45ミリモル%相当を加えて反応を再開し、最終的に6時間10分後に反応を完結させた。該反応性生物の混合体を実施例1と同様に重合反応に供し、トリエチルホスホノアセテートを全酸成分の15ミリモル%相当を加え290℃のソルトバスへ漬し、溶解後常圧で攪拌しながら20分間エチレングリコールを留出させたのち、徐々に真空度を上げて行き、最終的に20Paにて反応を終了させ固有粘度0.70dl/gのポリマーを得た。得られたポリマーはカリウム元素の濃度が17ppm、溶融電気抵抗値は78MΩcmと抵抗値の高いポリマーであった。
[実施例2]
実施例1の共重合ポリマーの合成において、2.6ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルに代えてジメチルテレフタレート29.1gとした他は実施例1と同様に反応させた。モノマー合成所要時間はメタノール留出開始から4時間20分、重合所要時間は45分、溶融電気抵抗値は10MΩcmと良好であった。その他のポリマー物性は表1に示す。
実施例1の共重合ポリマーの合成において、2.6ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルに代えてジメチルテレフタレート29.1gとした他は実施例1と同様に反応させた。モノマー合成所要時間はメタノール留出開始から4時間20分、重合所要時間は45分、溶融電気抵抗値は10MΩcmと良好であった。その他のポリマー物性は表1に示す。
[実施例3]
実施例1と同様な操作を繰り返して、テトラ−n−ブチルチタネートを添加する前の反応生成物、すなわち6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分と2.6ナフタレンジカルボン酸成分と残留エチレングリコールとを含有するモノマー混合物を作成し、そのモノマー混合物70.0gに、さらに2.6ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル9.8g、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸(カリウム元素量が200ppm)54.1gおよびエチレングリコール19.9gを加えたものを、前述の(7)の生産性の評価方法で示した方法に沿って反応を行なった。反応が終了して内温255℃到達までの反応時間は3時間50分であった。その後、あとから加えた2.6ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル9.8g、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸(カリウム元素量が200ppm)54.1gの酸成分の合計量に対して、トリエチルホスホノアセテートを15ミリモル%、テトラブトキシチタネートを15ミリモル%加え、この反応性生物の混合体を系外に取り出し、冷却後細かく裁断して重合反応用ソルトバスへセットした300ミリリットルのフラスコ中へ移し、以下実施例1と同様の重合反応を行いIV0.70のポリマーを得た。表1に示す反応条件と、樹脂の物性のように溶融電気抵抗値の低いポリマーであることが確認された。
実施例1と同様な操作を繰り返して、テトラ−n−ブチルチタネートを添加する前の反応生成物、すなわち6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分と2.6ナフタレンジカルボン酸成分と残留エチレングリコールとを含有するモノマー混合物を作成し、そのモノマー混合物70.0gに、さらに2.6ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル9.8g、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸(カリウム元素量が200ppm)54.1gおよびエチレングリコール19.9gを加えたものを、前述の(7)の生産性の評価方法で示した方法に沿って反応を行なった。反応が終了して内温255℃到達までの反応時間は3時間50分であった。その後、あとから加えた2.6ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル9.8g、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸(カリウム元素量が200ppm)54.1gの酸成分の合計量に対して、トリエチルホスホノアセテートを15ミリモル%、テトラブトキシチタネートを15ミリモル%加え、この反応性生物の混合体を系外に取り出し、冷却後細かく裁断して重合反応用ソルトバスへセットした300ミリリットルのフラスコ中へ移し、以下実施例1と同様の重合反応を行いIV0.70のポリマーを得た。表1に示す反応条件と、樹脂の物性のように溶融電気抵抗値の低いポリマーであることが確認された。
[実施例4]
実施例1において、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸を比較例1で使用したカリウム元素含有量の低いものに変更し、かつ第1反応工程において別途酢酸カリウム0.025gを加えた他は実施例1と同様な操作を繰り返した。このときのモノマー合成反応時間は4時間であった。当ポリマーの特性は、表1の反応条件と樹脂の物性の表に示すが、溶融電気抵抗値の低いポリマーであることが確認された。
実施例1において、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸を比較例1で使用したカリウム元素含有量の低いものに変更し、かつ第1反応工程において別途酢酸カリウム0.025gを加えた他は実施例1と同様な操作を繰り返した。このときのモノマー合成反応時間は4時間であった。当ポリマーの特性は、表1の反応条件と樹脂の物性の表に示すが、溶融電気抵抗値の低いポリマーであることが確認された。
[実施例5]
実施例1で用いた6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸のエチレングリコールジエステルモノマー64.0g、ジメチルテレフタレート19.4g、精製をさらに強化してカリウム元素含有量を30ppmまで下げた6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸40.2g、および酢酸ナトリウム(三水塩)0.089gにエチレングリコール37.2gを加えて実施例1と同様に反応させた。モノマー合成所要時間はメタノール留出開始から3時間40分、重合所要時間は55分、溶融電気抵抗値は9MΩcmと良好であった。その他のポリマー物性は表1に示す。
実施例1で用いた6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸のエチレングリコールジエステルモノマー64.0g、ジメチルテレフタレート19.4g、精製をさらに強化してカリウム元素含有量を30ppmまで下げた6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸40.2g、および酢酸ナトリウム(三水塩)0.089gにエチレングリコール37.2gを加えて実施例1と同様に反応させた。モノマー合成所要時間はメタノール留出開始から3時間40分、重合所要時間は55分、溶融電気抵抗値は9MΩcmと良好であった。その他のポリマー物性は表1に示す。
[比較例2]
比較例1においてグリコールエステル化反応を進めるため、最初にテトラブトキシチタネートを全酸成分に対し45mmol%相当を加えて、N2にて反応圧力を0.25MPaにあげ、内圧を同じ圧力にコントロールしつつ加温し、メタノールに続いて水を留去させ、内温250℃にて、留出水が出なくなるまで4時間かけたのち反応を終了させた。続いてトリエチルホスホノアセテートを全酸成分15ミリモル%加えたのち、比較例1に倣って重合反応を実施した。モノマー合成反応は時間短縮されたが、副生物であるDEGが増えており、このポリマーを305℃で溶融して、溶融電気抵抗を測定したところ、80MΩcmと高く、製膜時のピンニング性に劣るものであることが判明した。
比較例1においてグリコールエステル化反応を進めるため、最初にテトラブトキシチタネートを全酸成分に対し45mmol%相当を加えて、N2にて反応圧力を0.25MPaにあげ、内圧を同じ圧力にコントロールしつつ加温し、メタノールに続いて水を留去させ、内温250℃にて、留出水が出なくなるまで4時間かけたのち反応を終了させた。続いてトリエチルホスホノアセテートを全酸成分15ミリモル%加えたのち、比較例1に倣って重合反応を実施した。モノマー合成反応は時間短縮されたが、副生物であるDEGが増えており、このポリマーを305℃で溶融して、溶融電気抵抗を測定したところ、80MΩcmと高く、製膜時のピンニング性に劣るものであることが判明した。
[比較例3]
実施例5において、酢酸ナトリウム(三水塩)の添加量を0.148gに変更した以外は、同様な操作を繰り返した。モノマー合成所要時間はメタノール留出開始から3時間40分、重合所要時間は55分、溶融電気抵抗値は9MΩ・cmで、実施例5対比反応時間や溶融電気抵抗の低減効果はほとんど見られなかった。その他のポリマー物性は表1に示す。
実施例5において、酢酸ナトリウム(三水塩)の添加量を0.148gに変更した以外は、同様な操作を繰り返した。モノマー合成所要時間はメタノール留出開始から3時間40分、重合所要時間は55分、溶融電気抵抗値は9MΩ・cmで、実施例5対比反応時間や溶融電気抵抗の低減効果はほとんど見られなかった。その他のポリマー物性は表1に示す。
[実施例6]
実施例2で得られたポリマーを、300℃で溶融混練し、ダイからシート状に押出し、冷却ドラムで冷却して厚み200μmの未延伸フィルムを得た。得られた未延伸フィルムを135℃に加熱して、製膜方向に延伸倍率2倍で延伸し、その後140℃に加熱して製膜方向に直交する方向、すなわち幅方向に延伸倍率3.8倍で延伸し、200℃で3秒間熱固定して、厚み26μmの二軸配向フィルムを得た。得られたフィルムは製膜方向のヤング率が306kg/mm2、幅方向のヤング率が837kg/mm2であり、幅方向の温度膨張係数は−2.2×10−6/℃、幅方向の湿度膨張係数は6.6×10−6/%RHであった。ここに記載した温度膨張係数と湿度膨張係数とは、前述の特許文献3に記載されたのと同様な方法で測定されたものであり、特許文献3の実施例1および2に記載されたフィルムに比べ、湿度膨張係数はほぼ同程度でありながら温度膨張係数が極めて低減されており、温湿度変化に対する寸法安定性が極めて優れていることが確認される。また、製膜時の冷却ドラムへのピンニング性も非常に優れたものであった。
実施例2で得られたポリマーを、300℃で溶融混練し、ダイからシート状に押出し、冷却ドラムで冷却して厚み200μmの未延伸フィルムを得た。得られた未延伸フィルムを135℃に加熱して、製膜方向に延伸倍率2倍で延伸し、その後140℃に加熱して製膜方向に直交する方向、すなわち幅方向に延伸倍率3.8倍で延伸し、200℃で3秒間熱固定して、厚み26μmの二軸配向フィルムを得た。得られたフィルムは製膜方向のヤング率が306kg/mm2、幅方向のヤング率が837kg/mm2であり、幅方向の温度膨張係数は−2.2×10−6/℃、幅方向の湿度膨張係数は6.6×10−6/%RHであった。ここに記載した温度膨張係数と湿度膨張係数とは、前述の特許文献3に記載されたのと同様な方法で測定されたものであり、特許文献3の実施例1および2に記載されたフィルムに比べ、湿度膨張係数はほぼ同程度でありながら温度膨張係数が極めて低減されており、温湿度変化に対する寸法安定性が極めて優れていることが確認される。また、製膜時の冷却ドラムへのピンニング性も非常に優れたものであった。
[実施例7]
実施例3で得られたポリマーを、300℃で溶融混練し、ダイからシート状に押出し、冷却ドラムで冷却して厚み200μmの未延伸フィルムを得た。得られた未延伸フィルムを135℃に加熱して、製膜方向に延伸倍率4.0倍で延伸し、その後140℃に加熱して製膜方向に直交する方向、すなわち幅方向に延伸倍率3.8倍で延伸し、200℃で3秒間熱固定して、厚み13μmの二軸配向フィルムを得た。得られたフィルムは製膜方向のヤング率が493kg/mm2、幅方向のヤング率が533kg/mm2であり、幅方向の温度膨張係数は10.5×10−6/℃、幅方向の湿度膨張係数は5.5×10−6/%RHであった。ここに記載した温度膨張係数と湿度膨張係数とは、前述の特許文献3に記載されたのと同様な方法で測定されたものであり、特許文献3の実施例1および2に記載されたフィルムに比べ、湿度膨張係数はほぼ同程度でありながら温度膨張係数が極めて低減されており、温湿度変化に対する寸法安定性が極めて優れていることが確認される。また、製膜時の冷却ドラムへのピンニング性も非常に優れたものであった。
実施例3で得られたポリマーを、300℃で溶融混練し、ダイからシート状に押出し、冷却ドラムで冷却して厚み200μmの未延伸フィルムを得た。得られた未延伸フィルムを135℃に加熱して、製膜方向に延伸倍率4.0倍で延伸し、その後140℃に加熱して製膜方向に直交する方向、すなわち幅方向に延伸倍率3.8倍で延伸し、200℃で3秒間熱固定して、厚み13μmの二軸配向フィルムを得た。得られたフィルムは製膜方向のヤング率が493kg/mm2、幅方向のヤング率が533kg/mm2であり、幅方向の温度膨張係数は10.5×10−6/℃、幅方向の湿度膨張係数は5.5×10−6/%RHであった。ここに記載した温度膨張係数と湿度膨張係数とは、前述の特許文献3に記載されたのと同様な方法で測定されたものであり、特許文献3の実施例1および2に記載されたフィルムに比べ、湿度膨張係数はほぼ同程度でありながら温度膨張係数が極めて低減されており、温湿度変化に対する寸法安定性が極めて優れていることが確認される。また、製膜時の冷却ドラムへのピンニング性も非常に優れたものであった。
本発明の共重合芳香族ポリエステル樹脂は、押出成形、射出成形、圧縮成形、ブロー成形などの通常の溶融成形に供することができ、繊維、フィルム、三次元成形品、容器、ホース等に加工することができる。
Claims (6)
- 6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分以外の芳香族ジカルボン酸成分が、テレフタル酸成分、イソフタル酸成分、2,6−ナフタレンジカルボン酸成分および2,7−ナフタレンジカルボン酸成分からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の共重合芳香族ポリエステル。
- DSCにおける融点が230〜280℃の範囲にある請求項1記載の共重合芳香族ポリエステル。
- ジエチレングリコール成分の含有量が、共重合芳香族ポリエステルの重量を基準として、0.2から2重量%の範囲である請求項1記載の共重合芳香族ポリエステル。
- 芳香族ジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体(ただし、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸およびそのエステル形成性誘導体は除く。)、6,6’−(アルレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸もしくはそのエステル形成性誘導体とアルキレングリコールとを、エステル化反応およびエステル交換反応からなる群より選ばれる少なくとも一種の反応を行なう第一反応工程と、第一反応工程によって得られたポリエステルの前駆体をさらに重縮合反応させる第二反応工程とからなる共重合芳香族ポリエステルの製造方法であって、
全酸成分中の6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分の割合が50モル%以上80モル%以下であること、そして、
第一反応工程が、カリウム化合物およびナトリウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種を、得られる共重合芳香族ポリエステルの重量を基準として、カリウム金属およびナトリウム金属の合計元素量で20〜200ppmの範囲で存在下で行なうことを特徴とする共重合芳香族ポリエステルの製造方法。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の共重合芳香族ポリエステルからなることを特徴とするフィルム。
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