以下、本発明の車両用駆動力制御装置の一実施形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1から図6を参照して、第1実施形態について説明する。本実施形態は、内燃機関および無段変速機が搭載された車両の駆動力を制御する車両用駆動力制御装置に関する。
本実施形態では、内燃機関および無段変速機が搭載された車両の駆動力が制御される。まず、アクセル開度および車速に基づいて、運転者の要求する駆動力としての目標駆動力が算出され、この目標駆動力を実現するように、目標エンジン回転速度および目標エンジントルクと、無段変速機の目標変速比が決定される。
無段変速機は、変速比を無段階に変化させることが可能であるため、目標エンジン回転速度および目標エンジントルクと、無段変速機の目標変速比を変化させることにより、アクセル開度に応じて比例的に駆動力を変化させることができる。しかしながら、上述したように、運転者が加速増加を意図せずに、または微少な加速増加を意図してアクセルの踏み込み操作をする場合など、運転者の加速操作に対してエンジンの回転数が過敏に変化しすぎて運転者に違和感を与えてしまうことがある。
本実施形態では、運転者の加速要求に対応する値の変化量が予め定められた所定値以下である場合には、エンジン回転数の変動を抑制するようにエンジンの運転制御および無段変速機の変速制御が行われる。より具体的には、アクセル開度および車速に基づいて算出される目標駆動力と、車両に現在作用している実際の駆動力との差分が所定値以下である場合、すなわち、運転者の加速要求レベルが低い場合には、エンジン回転数を変動させずに、エンジンの出力トルクを増加させることで駆動力を増加させる。つまり、本実施形態では、運転者の加速要求レベルが低い場合には、大幅な変速または回転数NINの変化を伴ってまで加速要求を実現することよりも、運転者が違和感を覚えるようなエンジン回転数の変動を抑制することを優先する。これにより、アクセルの踏み込み操作に対応して駆動力を増加させつつ、エンジン回転数の変動を抑制する。よって、エンジン回転数が過敏に変化しすぎて運転者に違和感を与えてしまうことを抑制することができる。
本実施形態の構成としては、以下の(1)から(5)の構成を備えていることが前提となる。
(1)内燃機関
(2)無段変速機
(3)駆動力制御装置(特に、アクセル入力に対して目標駆動力が決定される制御構造)
(4)アクセルペダル
(5)アクセルペダル変位センサー
まず、図1を参照して、本実施形態の基本となる駆動力制御について説明する。図1は、本実施形態の基本となる駆動力制御に係るブロック図である。
図1において、符号1は、エンジン(内燃機関)を示す。エンジン1の出力トルクは、無段変速機2へ伝達される。無段変速機2は、変速比を無段階(連続的)に制御するものであり、エンジン1の出力を図示しない駆動軸へ伝達する。エンジン1の出力軸(図示せず)は、無段変速機2の入力軸(図示せず)と連結可能に構成されており、無段変速機2の入力回転数(入力軸回転数)は、エンジン1の回転数(出力軸回転数)と対応している。
エンジン1および無段変速機2が搭載された車両(図示せず)には、車両の駆動力を制御する車両用駆動力制御装置100が設けられている。車両用駆動力制御装置100は、目標駆動力算出部10と、制御量算出部20と、制御部30とを含む。車両用駆動力制御装置100は、周知のマイクロコンピュータによって構成され、図示しないCPU、RAM、ROM、入力ポート、出力ポート、及びコモンバスを備えている。
目標駆動力算出部10は、アクセル開度(アクセル操作量)accpおよび車速spdに基づいて、目標駆動力Ftgtを算出する。目標駆動力算出部10には、アクセル開度検出手段3、および車速検出手段4が接続されている。アクセル開度検出手段3は、図示しないアクセルに対する運転者の操作量であるアクセル操作量を検出する。なお、アクセルとは、所謂アクセルペダルに限らず、運転者が要求する加速度(駆動力)を車両に指示する操作機器のことである。アクセル操作に基づいて、運転者の加速要求の大きさが検出(推定)される。アクセル開度検出手段3は、アクセルが全開とされた場合のアクセル開度を100%とするアクセル開度accpを検出し、検出結果に対応する信号を目標駆動力算出部10に出力する。目標駆動力算出部10は、アクセル開度検出手段3から取得した信号に基づいてアクセル開度accpを検出する。
車速検出手段4は、車両の速度である車速spdを検出するものである。車速検出手段4は、例えば、車速spdに比例する無段変速機2の出力軸の回転数を検出し、検出結果に対応する信号を目標駆動力算出部10に出力する。目標駆動力算出部10は、車速検出手段4から取得した信号に基づいて車速spdを検出する。
目標駆動力算出部10は、検出されたアクセル開度accpおよび車速spdに基づいて、図2に示すマップを参照して目標駆動力Ftgtを算出する。図2において、横軸は車速spd、縦軸は駆動力forceをそれぞれ示す。符号accp1、accp2、およびaccp3は、アクセル開度accpの大きさに応じた車速spdと目標駆動力Ftgtとの関係を示す曲線である。accp1からaccp3の順でアクセル開度accpが大きな値となっている。図2に示すように、所定の車速spdに対して、アクセル開度accpが大きな値となるほど、目標駆動力Ftgtが大きな値として算出される。目標駆動力算出部10は、算出された目標駆動力Ftgt、および車速spdを制御量算出部20に出力する。
制御量算出部20は、目標出力算出部21および目標制御量算出部22を有する。目標出力算出部21は、目標駆動力算出部10から取得した目標駆動力Ftgtおよび車速spdに基づいて、エンジン1の目標パワー(目標出力)Pを算出する。目標出力算出部21は、目標駆動力Ftgtと車速spdの乗算により目標パワーPを算出する。
目標制御量算出部22は、目標出力算出部21で算出された目標パワーPに基づいて、目標制御量を算出する。ここで、目標制御量は、エンジン1の回転数NINの目標値である目標エンジン回転速度nintgt、および、エンジン1の出力トルクTEの目標値である目標エンジントルクtrqtgtである。目標制御量算出部22は、目標パワーPに基づいて、図3に示すマップを参照して目標制御量(目標エンジン回転速度nintgt、目標エンジントルクtrqtgt)を算出する。
図3において、横軸はエンジン回転数NIN、縦軸はエンジン1の出力トルクTEをそれぞれ示す。符号P1,P2,およびP3は、エンジン1の出力(パワー)が等しくなる等パワー線を示す。エンジン1の動作点(回転数NINと出力トルクTEの組み合わせ)が同一の等パワー線上にある場合には、エンジン1の出力(パワー)が等しくなる。符号P1で示す等パワー線から符号P3で示す等パワー線の順でエンジン1の出力が大きな値となる。
符号101は、エンジン1の最適燃費線を示す。最適燃費線101は、エンジン1を最適な燃費で(効率良く)運転できる運転領域を示す。エンジン1の動作点が最適燃費線101上にある場合には、燃費を優先してエンジン1を運転することができる。本実施形態では、必要なパワー(目標パワーP)と最適燃費線101とから目標エンジン回転速度nintgtおよび目標エンジントルクtrqtgtを算出する制御を基本とする。例えば、目標パワーPに対応する等パワー線が符号P2で示す等パワー線である場合について説明すると、等パワー線P2と最適燃費線101との交点(動作点)X2を求める。符号X2で示す動作点と現在の動作点との関係に基づいて、動作点X2を目標の動作点として設定可能である場合には、動作点X2に対応する回転数NIN2および出力トルクTE2が、目標エンジン回転速度nintgtおよび目標エンジントルクtrqtgtとしてそれぞれ設定される。
図1に示すように、算出された目標エンジン回転速度nintgtおよび目標エンジントルクtrqtgtは、目標制御量算出部22から制御部30へ出力される。制御部30は、運転制御手段および変速制御手段としての機能を有する。制御部30は、エンジン1に接続されており、制御部30からエンジン1へ、エンジン1の運転状態を制御するための指令値が出力される。制御部30は、目標エンジン回転速度nintgtおよび目標エンジントルクtrqtgtを実現するようにエンジン1を制御する。また、制御部30は、無段変速機2に接続されており、制御部30から無段変速機2へ変速比の目標値を示す信号が出力される。制御部30は、エンジン1の回転数NIN(無段変速機2の入力回転数)を目標エンジン回転速度nintgtとするように無段変速機2の変速比の目標値を決定する。無段変速機2は、制御部30から取得した変速比の目標値に従って変速を実行する。
以上説明したように、アクセル開度accpに応じて目標エンジン回転速度nintgtおよび目標エンジントルクtrqtgtが制御されることにより、アクセル開度accpに対して比例的に駆動力を変化させることができるものの、以下に図3を参照して説明するように、運転者の加速操作に対してエンジンの回転数が過敏に変化しすぎて運転者に違和感を与えてしまうことがある。
図3の最適燃費線101に示すように、エンジン1を最適な燃費で運転できる出力トルクTEは、エンジン1の回転数NINに対してフラットに近い特性を有する。言い換えると、エンジン1の回転数NINが所定以上の領域においては、最適燃費線101と回転数NINを示す横軸とのなす角度が小さい。このため、回転数NINが変化したとしても、最適な燃費でエンジン1を運転できる出力トルクTEは、大きく変化しない。従って、最適燃費線101に基づいて目標エンジン回転速度nintgt(および目標エンジントルクtrqtgt)を算出する制御を基本とする場合、アクセルが踏み込まれて目標パワーPが増大すると、出力トルクTEの増大と比較して、回転数NINの上昇が大きくなる傾向にある。このため、目標パワーPの増減に対して、エンジン1の回転数NINの変化が過敏となる傾向にある。
ここで、回転数NINの変化が過敏とならないように、回転数NINの変動を抑制する制御を目標エンジン回転速度nintgtに付加することが考えられる。しかしながら、この場合、目標パワーPから求まる目標駆動力Ftgtが不足することになり、駆動力の不足を補うために最適燃費線101から乖離した出力トルクTEが必要となる。その結果、燃費に悪影響を及ぼすことがあった。
本実施形態では、一律に回転数NINの変動を抑制することに代えて、運転者の加速要求レベルに応じて回転数NINの変動を抑制する制御を行うか否かが判定される。運転者の加速要求レベルが低い場合には、回転数NINの変動を抑制する制御が実行される。これにより、運転者の加速要求レベルが低い場合には、回転数NINの変化の抑制を優先して運転者に違和感を与えることを抑制する。一方、運転者の加速要求レベルが高い場合には、回転数NINの変動を抑制する制御は行われず、運転者のアクセル操作に基づいて算出された目標駆動力Ftgtを実現するように、目標エンジン回転速度nintgtおよび目標エンジントルクtrqtgtが設定される。これにより、運転者の加速要求レベルが高い場合には、駆動力の不足を生じることなく、加速要求に沿った駆動力を実現することができる。
ここで、図4を参照して、運転者の加速要求レベルが低い場合に回転数NINの変動を抑制する本実施形態の駆動力制御について説明する。図4は、本実施形態の駆動力制御に係るブロック図である。図4については、図1と異なる点についてのみ説明する。
図4に示すように、本実施形態の車両用駆動力制御装置200は、図1の車両用駆動力制御装置100に加えて、最終目標駆動力調停部40を有する。最終目標駆動力調停部40は、本実施形態の変化量検出手段としての機能を有する。最終目標駆動力調停部40は、運転者の加速要求レベルに基づいて、目標駆動力Ftgtを調停する。
より具体的には、最終目標駆動力調停部40は、目標駆動力算出部10により算出された目標駆動力Ftgtと、車両に現在作用している実際の駆動力である実行駆動力Fralとの差分(乖離度合い)に基づいて、最終的な目標駆動力の指令値である最終目標駆動力を決定する。ここで、実行駆動力Fralは、制御部30から最終目標駆動力調停部40へ出力される。制御部30は、現在のエンジン1の出力トルクTEの推定値、および現在の無段変速機2の変速比等に基づいて、実行駆動力Fralを算出し、算出された実行駆動力Fralを示す信号を最終目標駆動力調停部40へ出力する。
最終目標駆動力調停部40は、運転者がアクセルを踏み込む操作を行い、加速要求が行われた場合に、目標駆動力Ftgtと実行駆動力Fralとの乖離度合い(運転者の加速要求レベル)を以下の(1)から(3)の3段階に分け、それぞれの段階に応じて最終目標駆動力を調停する。
(1)目標駆動力Ftgtが実行駆動力Fralと比較して十分に大きい(両者の乖離が十分に大きい)場合。
(2)目標駆動力Ftgtが実行駆動力Fralと比較して大きいものの、両者の乖離が小さい場合。
(3)目標駆動力Ftgtが実行駆動力Fral以下である場合。
(1)目標駆動力Ftgtと実行駆動力Fralとの間に大きな乖離がある場合、運転者は高いレベルの加速を要求していると判断できる。このため、最終目標駆動力は、目標駆動力Ftgtと同等かそれに近い駆動力を実現できる値に設定される。
(2)目標駆動力Ftgtと実行駆動力Fralとの乖離が小さい場合、運転者の加速要求レベルは低く、大幅な変速または回転数NINの変化を伴ってまで加速要求を実現する必要はないものと判断できる。従って、目標駆動力Ftgtを最終目標駆動力とはせず、実行駆動力Fralを維持、または実行駆動力Fralから微増した値を最終目標駆動力とする。具体的には、回転数NINの変化を抑制しつつ、出力トルクTEを増加させることで駆動力の増加を実現する。
(3)目標駆動力Ftgtが実行駆動力Fral以下である場合、運転者には更なる加速要求はないと判断して、最終目標駆動力を目標駆動力Ftgtと同等かそれ以下の値とする。
図5は、本実施形態の駆動力制御が行われた場合の効果について説明するためのタイムチャートである。
図5において、(a)はアクセル開度accp、(b)は目標エンジン回転速度nintgt、(c)は駆動力をそれぞれ示す。符号102は、アクセル開度accpの推移を示す。図5には、アクセルの踏み込み操作が2回行われ、1回目の踏み込み操作102aがなされた段階では、まだ目標駆動力Ftgtと実行駆動力Fralとの乖離が小さく、2回目の踏み込み操作102bがなされた時点で目標駆動力Ftgtと実行駆動力Fralとの間に大きな乖離が生じた場合のそれぞれの値の推移が示されている。
図5において、符号103は、従来の制御が行われた場合の目標エンジン回転速度nintgtを示す。符号104は、本実施形態の駆動力制御が行われた場合の目標エンジン回転速度nintgtを示す。符号105は、アクセル開度accp(102)に基づいて算出された目標駆動力Ftgtを示す。符号106は、従来の制御が行われた場合の駆動力(実行駆動力Fral)を示す。符号107は、本実施形態の駆動力制御が行われた場合の駆動力(実行駆動力Fral)を示す。
1回目の踏み込み操作102aの結果、目標駆動力Ftgt(105)と踏み込み操作102aがなされる前の実行駆動力Fral(106、107)の値F0との間に乖離ΔF1が生じる。この場合、従来の制御では、目標駆動力Ftgt(105)の変化に応じて、その目標駆動力Ftgt(105)を実現するように、目標エンジン回転速度nintgt(103)が変更されていた(符号103a参照)。これにより、エンジン1の回転数NINが過敏に変化しすぎることがあった。
一方、本実施形態では、乖離ΔF1が後述する閾値(第二の閾値β)以下である場合には、目標エンジン回転速度nintgt(104)の変化が抑制される。乖離ΔF1が、閾値(第二の閾値β)以下である場合とは、上述した「(2)運転者の加速要求レベルが低い場合」に相当する。この場合、最終目標駆動力は、1回目の踏み込み操作102a以前の実行駆動力Fral(107)の値F0を維持、またはF0から微増させた値とされる。回転数NINの変化を抑制しつつ、出力トルクTEの増加により実現可能な範囲で最終目標駆動力が決定される。これにより、微少なアクセル踏み込み操作がなされたときに、回転数が過敏に変化しすぎて運転者に違和感を与えることが抑制される。
2回目の踏み込み操作102bがなされた結果、目標駆動力Ftgt(105)と1回目の踏み込み操作102aがなされる前の実行駆動力Fral(106、107)の値F0との間の乖離ΔF2は、閾値(第二の閾値β)を超えた値となる。乖離ΔF2が、閾値(第二の閾値β)を超える場合とは、「(1)運転者が高いレベルの加速を要求している場合」に相当する。この場合、回転数NINの変動を抑制する制御はなされず、最終目標駆動力は、目標駆動力Ftgt(105)と同等かそれに近い値に設定される。その結果、本実施形態の実行駆動力Fral(107)は、目標駆動力Ftgt(105)と同等となり、運転者の要求する駆動力が実現される。
次に、図6を参照して本実施形態の動作について説明する。図6は、本実施形態の動作を示すフローチャートである。
まず、ステップS10では、目標駆動力算出部10により、目標駆動力Ftgtが算出される。
次に、ステップS20では、目標出力算出部21により、目標パワーPが算出される。目標出力算出部21は、ステップS10で算出された目標駆動力Ftgtおよび車速検出手段4により検出された車速spdに基づいて、目標パワーPを算出する。
次に、ステップS30では、目標制御量算出部22により、目標エンジン回転速度nintgtおよび目標エンジントルクtrqtgtが算出される。目標制御量算出部22は、ステップS20で算出された目標パワーPと最適燃費線(図3の符号101)とに基づいて、目標エンジン回転速度nintgtおよび目標エンジントルクtrqtgtを算出する。
次に、ステップS40では、最終目標駆動力調停部40により、目標駆動力Ftgtと実行駆動力Fralとの間の乖離が予め定められた第一の閾値αよりも大きな値であるか否かが判定される。ステップS40では、運転者に更なる加速要求(加速意図)があるか否かが判定される。第一の閾値αは、目標駆動力Ftgtと実行駆動力Fralとの間の乖離に基づいて運転者の更なる加速要求の有無を判定するための閾値であり、例えば、0に設定されることができる。ステップS40の判定の結果、目標駆動力Ftgtと実行駆動力Fralとの間の乖離が第一の閾値αよりも大きな値である(運転者に更なる加速要求あり)と判定された場合(ステップS40−Y)には、ステップS50に進み、そうでない場合(ステップS40−N)には、ステップS60に進む。
ステップS50では、最終目標駆動力調停部40により、目標駆動力Ftgtと実行駆動力Fralとの間の乖離が予め定められた第二の閾値(所定値)βよりも大きな値であるか否かが判定される。ステップS50では、エンジン1の回転数NINの変動を抑制した駆動力制御を実行するか否かが判定される。目標駆動力Ftgtと実行駆動力Fralとの間の乖離が第二の閾値βよりも大きな値でない(ステップS50−N)と判定された場合には、回転数NINの変動を抑制した駆動力制御が実行される(後述するステップS70)。
第二の閾値βは、例えば、目標駆動力Ftgtと実行駆動力Fralとの間の乖離に基づいて、運転者が高いレベルの加速を要求しているか否かを判定するための閾値として設定される。運転者が高いレベルの加速を要求している場合には、運転者の要求する駆動力を実現する際に回転数NINの変化や変速比の変化を伴ったとしても運転者に受け入れられる(運転者に違和感を与えない)と判断できる。
第二の閾値βは、エンジン1の運転条件や車両の走行環境に応じて可変に設定されてもよい。第二の閾値βを決定するためのエンジン1の運転条件としては、例えば、回転数NIN、車速spdなどが挙げられる。これは、例えば、過渡的な出力トルクTEの出方が回転数NIN等により異なるためである。
また、第二の閾値βを決定するための車両の走行環境としては、例えば、路面勾配が挙げられる。これは、運転者が高いレベルの加速を要求しているか否かを判定するための基準が、路面勾配等の走行環境に応じて変動するためである。走行路が、上り勾配である場合、下り勾配である場合、平坦路である場合等に応じて第二の閾値βが異なる値に設定されることができる。また、路面勾配の大きさに応じて第二の閾値βが異なる値に設定されてもよい。第二の閾値βは、例えば、適合実験の結果に基づいて、回転数NINが過敏に変化しすぎると運転者に感じられるか否かを判定する閾値として設定される。
ステップS50の判定の結果、目標駆動力Ftgtと実行駆動力Fralとの間の乖離が第二の閾値βよりも大きな値であると判定された場合(ステップS50−Y)にはステップS60に進み、そうでない場合(ステップS50−N)にはステップS70に進む。
ステップS60では、制御部30により、通常の駆動力制御(変速制御)として、回転数NINの変動を抑制しない駆動力制御が実行される。制御部30は、ステップS30で算出された目標エンジン回転速度nintgtと目標エンジントルクtrqtgtを実現するように、エンジン1の運転制御および無段変速機2の変速制御を行う。ステップS60が実行されると、本制御フローはリターンされる。
ステップS50で否定判定がなされてステップS70に進むと、ステップS70では、車両用駆動力制御装置200により、エンジン1の回転数NINの変動を抑制した変速制御がなされる。最終目標駆動力調停部40は、ステップS10で算出された目標駆動力Ftgtに代えて、実行駆動力Fralを維持、または実行駆動力Fralから微増した値を最終目標駆動力とする。最終目標駆動力調停部40は、回転数NINの変化を抑制しつつ(例えば、回転数NINを変化させることなく)駆動力を増加させることの可能な範囲で最終目標駆動力を決定する。具体的には、最終目標駆動力調停部40は、出力トルクTEを増加させることにより実現可能な駆動力の範囲で最終目標駆動力を決定する。最終目標駆動力調停部40は、決定した最終目標駆動力を目標出力算出部21へ出力する。
目標出力算出部21は、最終目標駆動力調停部40から取得した最終目標駆動力に基づいて目標パワーPを新たに算出し、目標制御量算出部22に出力する。目標制御量算出部22は、新たに算出された目標パワーPに基づいて目標エンジン回転速度nintgtおよび目標エンジントルクtrqtgtを算出する。この場合、エンジン1の回転数NINの変動を抑制しつつ駆動力を増加させるように目標エンジン回転速度nintgtおよび目標エンジントルクtrqtgtが決定される。
制御部30は、目標制御量算出部22により新たに算出された目標エンジン回転速度nintgtおよび目標エンジントルクtrqtgt、すなわち、回転数NINの変動を抑制するように決定された目標エンジン回転速度nintgtおよび目標エンジントルクtrqtgtに基づいて、エンジン1の運転制御、および、無段変速機2の変速制御を行う。ステップS70が実行されると、本制御フローはリターンされる。
本実施形態によれば、微少なアクセル踏み込み操作がなされたとき(ステップS50−N)には、予め設定された目標駆動力Ftgtを忠実に実行するのではなく、目標駆動力Ftgtの変化を抑制することで、目標パワーPの変化を抑制する。これにより、過度な回転数NINの変動(上昇)を抑制することができる。その結果、アクセル操作に対してエンジン1の回転数NINが過敏に変化しすぎて運転者に違和感を与えてしまうことが抑制される。
エンジン1の回転数NINの変動が抑制されることにより、回転数NINの変化に伴うイナーシャ損失が低減される。イナーシャ損失の低減により、過渡的な駆動力の応答遅れが抑制されて駆動力が安定し、運転性が良好となる。また、微少なアクセル踏み込み時において、目標駆動力Ftgtの変化そのものを抑制しているため、燃費向上を図ることが可能となる。例えば、アクセル踏み込み前に最適燃費線101の近傍にエンジン1の動作点があった場合、踏み込み操作後のアクセル開度に応じて目標駆動力Ftgtが設定されると、動作点が最適燃費線101から乖離してしまうことがある。本実施形態では、目標駆動力Ftgtの変化が抑制されることで、動作点が過渡的にも最適燃費線101から乖離してしまうことが抑制される。
(第2実施形態)
図7から図10を参照して第2実施形態について説明する。第2実施形態については、上記第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。
上記第1実施形態では、微少なアクセル踏み込み操作がなされたときに、エンジン1の回転数NINの変動を抑制する駆動力制御が行われた。この場合に、最終目標駆動力は、実行駆動力Fralを維持するか、または実行駆動力Fralから微増した値に設定された。本実施形態では、これに加えて、エンジン1を効率的に(燃費を優先して)運転できるように最終目標駆動力が決定される。
より具体的には、現在のエンジン1の回転数NINにおいてエンジン1を効率的に(最適な燃費で)運転可能な駆動力である燃費運転実行可能駆動力から乖離しないように最終目標駆動力が決定される。ここで、図8を参照して、燃費運転実行可能駆動力について説明する。燃費運転実行可能駆動力は、現在のエンジン1の回転数NINと最適燃費線101から算出される。例えば、現在のエンジン1の動作点が、図8において符号A1で示す点であるとする。符号NIN3は、現在のエンジン1の回転数NINを示す。この場合、現在のエンジン1の回転数NIN3に対応する最適燃費線101上の点A2が、燃費運転実行可能駆動力に対応した動作点である。すなわち、エンジン1の回転数NINが符号NIN3で示される値である場合に、符号A2で示される動作点(この動作点A2に対応する所定トルクTE3)において、最も効率よく(最適な燃費で)エンジン1を運転することができる。
本実施形態では、符号A1に示すように、最適燃費線101よりも低負荷側(図8において下側)の動作点でエンジン1が運転されている状態から、微少なアクセル踏み込み操作がなされたときに、目標とする動作点が最適燃費線101を超えて最適燃費線101よりも高負荷側の領域(図8において上側の領域)へ移行することが抑制される。例えば、回転数NINの変動を抑制する駆動力制御において、目標駆動力Ftgtに応じて、A2点に対応する駆動力よりもさらに大きな駆動力(例えば、A3点に対応する駆動力)を最終目標駆動力として設定することが可能であったとしても、最終目標駆動力に制限がかけられる。回転数NINの変動を抑制しつつ、出力トルクTEを増加させて、A3点に対応する駆動力まで駆動力を増加させることができる場合であっても、最終目標駆動力は、最適燃費線101上のA2点に対応する燃費運転実行可能駆動力に設定される。これにより、エンジン1の動作点が最適燃費線101から乖離してしまうことが抑制され、燃費向上を図ることが可能となる。
図7は、本実施形態の駆動力制御に係るブロック図である。図7については、上記第1実施形態のブロック図(図4)と異なる点についてのみ説明する。
図7に示すように、本実施形態の車両用駆動力制御装置300の最終目標駆動力調停部140は、運転者の加速要求レベルに加えて、燃費運転実行可能駆動力に基づいて目標駆動力Ftgtを調停する。目標制御量算出部22は、現在のエンジン1の回転数NINと最適燃費線101とに基づいて燃費運転実行可能駆動力を算出し、算出された燃費運転実行可能駆動力を最終目標駆動力調停部140に出力する。
最終目標駆動力調停部140は、上記第1実施形態の最終目標駆動力調停部40と同様に、目標駆動力Ftgtと実行駆動力Fralとの乖離度合い(運転者の加速要求レベル)を以下の(1)から(3)の3段階に分ける。
(1)目標駆動力Ftgtが実行駆動力Fralと比較して十分に大きい(両者の乖離が十分に大きい)場合。
(2)目標駆動力Ftgtが実行駆動力Fralと比較して大きいものの、両者の乖離が小さい場合。
(3)目標駆動力Ftgtが実行駆動力Fral以下である場合。
上記第1実施形態と最終目標駆動力の決定方法が異なるのは、「(2)目標駆動力Ftgtと実行駆動力Fralとの乖離が小さい場合」である。この場合、最終目標駆動力調停部140は、さらに以下の2つの場合に分けて最終目標駆動力を決定する。
(2−1)目標駆動力Ftgtが、燃費運転実行可能駆動力を上回る場合は、燃費運転実行可能駆動力を最終目標駆動力とする。
(2−2)目標駆動力Ftgtが、燃費運転実行可能駆動力を上回らない場合は、目標駆動力Ftgtを最終目標駆動力とする。
このように最終目標駆動力が決定されることにより、エンジン1の動作点が最適燃費線101から乖離してしまうことを抑制して効率良くエンジン1を運転することができる。
図9は、本実施形態の駆動力制御が行われた場合の効果について説明するためのタイムチャートである。
図9において、(a)はアクセル開度accp、(b)は目標エンジン回転速度nintgt、(c)は駆動力をそれぞれ示す。符号202は、アクセル開度accpの推移を示す。図9には、微少なアクセルの踏み込み操作が2回(202a、202b)行われた場合のそれぞれの値の推移が示されている。符号203は、従来の制御が行われた場合の目標エンジン回転速度nintgtを示す。符号204は、本実施形態の駆動力制御が行われた場合の目標エンジン回転速度nintgtを示す。符号205は、アクセル開度accp(202)に基づいて算出された目標駆動力Ftgtを示す。符号206は、燃費運転実行可能駆動力を示す。符号207は、本実施形態の駆動力制御が行われた場合の駆動力(実行駆動力Fral)を示す。
図9に示す例では、2回のアクセル踏み込み操作(202a、202b)は、いずれも微少なものである。このため、いずれの踏み込み操作に対しても、目標エンジン回転速度nintgt(204)の変動は抑制されている。なお、図9には、加速に伴い車速spdが増加する際の様子が示されているため、目標エンジン回転速度nintgt(204)は、徐々に増加している。
1回目の踏み込み操作202aがなされる前の目標駆動力Ftgt(205a)および実行駆動力Fral(207a)は、燃費運転実行可能駆動力206と比較して小さな値である。この状態から、1回目の踏み込み操作202aがなされたことにより、目標駆動力Ftgt(205)は、符号205bに示すように燃費運転実行可能駆動力206と比較して大きな値へと変化している。この場合、本実施形態では、最終目標駆動力は、アクセル開度に対応する目標駆動力Ftgt(205b)まで増加させずに、燃費運転実行可能駆動力206に設定される。これにより、実行駆動力Fral(207)は、符号207bに示すように、燃費運転実行可能駆動力206に沿って推移する。
次に、2回目の微少な踏み込み操作202bがなされた場合、実行駆動力Fral(207b)は、すでに燃費運転実行可能駆動力206となっているため、それ以上の駆動力の増加が抑制される。よって、2回目の踏み込み操作202bがなされた後も、実行駆動力Fral(207b)は、燃費運転実行可能駆動力206で推移する。
次に、図10を参照して本実施形態の動作について説明する。図10は、本実施形態の動作を示すフローチャートである。
ステップS110からステップS150までは、上記第1実施形態(図6のステップS10からステップS50まで)と同様であることができる。ステップS150の判定の結果、目標駆動力Ftgtと実行駆動力Fralとの間の乖離が第二の閾値βよりも大きな値であると判定された場合(ステップS150−Y)にはステップS160に進み、そうでない場合(ステップS150−N)には、ステップS170に進む。
ステップS160では、上記第1実施形態のステップS60と同様に、制御部30により、通常の駆動力制御として、回転数NINの変動を抑制しない駆動力制御が実行される。ステップS160が実行されると、本制御フローはリターンされる。
ステップS150で否定判定がなされてステップS170に進むと、ステップS170では、最終目標駆動力調停部140により、目標駆動力Ftgtが燃費運転実行可能駆動力を上回るか否かが判定される。その判定の結果、目標駆動力Ftgtが燃費運転実行可能駆動力を上回ると判定された場合(ステップS170−Y)には、ステップS180に進み、そうでない場合(ステップS170−N)には、ステップS160に進む。
ステップS180では、車両用駆動力制御装置300により、エンジン1の回転数NINの変動を抑制した変速制御がなされる。本実施形態では、回転数NINの変動を抑制することに加えて、燃費を優先した駆動力制御が実行される。最終目標駆動力調停部140は、ステップS110で算出された目標駆動力Ftgtに代えて、燃費運転実行可能駆動力を最終目標駆動力として設定する。最終目標駆動力調停部140は、決定した最終目標駆動力を目標出力算出部21へ出力する。
目標出力算出部21は、最終目標駆動力調停部140から取得した最終目標駆動力に基づいて目標パワーPを新たに算出し、目標制御量算出部22に出力する。目標制御量算出部22は、新たに算出された目標パワーPに基づいて目標エンジン回転速度nintgtおよび目標エンジントルクtrqtgtを算出する。この場合、エンジン1の回転数NINの変動を抑制しつつ駆動力を増加させるように目標エンジン回転速度nintgtおよび目標エンジントルクtrqtgtが決定される。
制御部30は、目標制御量算出部22により新たに算出された目標エンジン回転速度nintgtおよび目標エンジントルクtrqtgt、すなわち、回転数NINの変動を抑制するように決定された目標エンジン回転速度nintgtおよび目標エンジントルクtrqtgtに基づいて、エンジン1の運転制御、および、無段変速機2の変速制御を行う。ステップS180が実行されると、本制御フローはリターンされる。
本実施形態によれば、最終目標駆動力の調停において、最適燃費線101が考慮される。微少なアクセル踏み込み操作がなされた場合には、目標駆動力Ftgtが、最適燃費線101から算出される燃費運転実行可能駆動力を上回るような場合であっても、動作点が最適燃費線101から乖離しないように最終目標駆動力が設定される。これにより、実用運転において、画期的に燃費向上を図ることが可能となる。
なお、図10に示すフローでは、ステップS170で否定判定がなされた場合に、通常の駆動力制御(変速制御)が実行された(ステップS160)が、これに代えて、例えば、上記第1実施形態(S70)と同様に、エンジン1の回転数NINの変動を抑制する駆動力制御が実行されてもよい。
(第3実施形態)
図11および図12を参照して、第3実施形態について説明する。第3実施形態については、上記各実施形態と異なる点についてのみ説明する。
上記第1実施形態(図4)および第2実施形態(図7)では、アクセル開度に基づいて算出される目標駆動力Ftgtと実行駆動力Fralとの間の乖離に基づいて運転者の加速要求レベルが判定された。本実施形態では、これに代えて、アクセル操作量(アクセル開度)の増加量であるアクセル操作増加量に基づいて、運転者の加速要求レベルが判定される。
図11は、本実施形態の駆動力制御に係るブロック図である。図11については、上記第2実施形態のブロック図(図7)と異なる点についてのみ説明する。
本実施形態の車両用駆動力制御装置400では、最終目標駆動力調停部240は、アクセル開度検出手段3の検出結果に基づいて、運転者の加速要求レベルを判定する。最終目標駆動力調停部240は、運転者によるアクセルの踏み込み(踏み増し)操作がなされる前のアクセル開度と踏み込み操作がなされた後のアクセル開度との差分に基づいて、アクセル操作増加量を算出する。あるいは、所定時間におけるアクセル開度の変化量としてアクセル操作増加量を算出してもよい。
最終目標駆動力調停部240は、アクセル操作増加量(運転者の加速要求レベル)を以下の(1)から(3)の3段階に分ける。
(1)アクセル操作増加量が大である場合(上記第1実施形態および第2実施形態における「目標駆動力Ftgtが実行駆動力Fralと比較して十分に大きい場合」に対応)。
(2)アクセル操作増加量が小である場合(上記第1実施形態および第2実施形態における「目標駆動力Ftgtが実行駆動力Fralと比較して大きいものの、両者の乖離が小さい場合」に対応)。この場合、上記第2実施形態と同様に、さらに以下の2つに場合分けする。
(2−1)目標駆動力Ftgt>燃費運転実行可能駆動力である場合。
(2−2)目標駆動力Ftgt≦燃費運転実行可能駆動力である場合。
(3)アクセル操作増加量なし(上記第1実施形態および第2実施形態における「目標駆動力Ftgtが実行駆動力Fral以下である場合」に対応)。
図12は、本実施形態の駆動力制御が行われた場合の動作を説明するためのタイムチャートである。
図12において、(a)はアクセル開度accp、(b)は目標エンジン回転速度nintgt、(c)は駆動力をそれぞれ示す。符号302は、アクセル開度accpの推移を示す。符号301は、ラッチアクセル開度を示す。図12には、図9と同様に、微少なアクセルの踏み込み操作が2回(302a、302b)行われた場合のそれぞれの値の推移が示されている。ラッチアクセル開度301は、所定時間前のアクセル開度accp(302)の値であり、最終目標駆動力調停部240に記憶されている。
符号303は、従来の制御が行われた場合の目標エンジン回転速度nintgtを示す。符号304は、本実施形態の駆動力制御が行われた場合の目標エンジン回転速度nintgtを示す。符号305は、アクセル開度accp(302)に基づいて算出された目標駆動力Ftgtを示す。符号306は、燃費運転実行可能駆動力を示す。符号307は、本実施形態の駆動力制御が行われた場合の駆動力(実行駆動力Fral)を示す。
符号Δaccp1およびΔaccp2は、アクセル開度accp(302)とラッチアクセル開度301との偏差を示す。本実施形態では、偏差Δaccp1やΔaccp2に基づいて、運転者の加速要求レベルが判定される。図12の例では、偏差Δaccp1およびΔaccp2はいずれも運転者の加速要求レベルが高いと判定される閾値と比較して小さな値である。上記第2実施形態と同様に、1回目の踏み込み操作302aにより、目標駆動力Ftgt(305)が燃費運転実行可能駆動力306と比較して大きな値へ変化した場合には、最終目標駆動力は、燃費運転実行可能駆動力306に設定される。また、2回目の踏み込み操作302bがなされたときのように、実行駆動力Fral(307)がすでに燃費運転実行可能駆動力306となっている場合には、それ以上の駆動力の増加が抑制される。
次に、図10を参照して、上記第2実施形態と本実施形態の動作の違いについて説明する。
ステップS110からステップS130までは、上記第2実施形態と同様であることができる。ステップS140において、本実施形態では、最終目標駆動力調停部240により、アクセル操作増加量が予め定められた第三の閾値γよりも大きな値であるかが判定される。第三の閾値γは、アクセル操作増加量に基づいて運転者の更なる加速要求の有無を判定するための閾値であり、例えば、0に設定されることができる。ステップS140の判定の結果、アクセル操作増加量が第三の閾値γよりも大きな値であると判定された場合(ステップS140−Y)には、ステップS150に進み、そうでない場合(ステップS140−N)にはステップS160に進む。
ステップS150において、本実施形態では、最終目標駆動力調停部240により、アクセル操作増加量が予め定められた第四の閾値δよりも大きな値であるか否かが判定される。第四の閾値δは、アクセル操作増加量に基づいて、運転者が高いレベルの加速を要求しているか否かを判定するための閾値として設定される。なお、第四の閾値δは、第三の閾値γよりも大きな値に設定される。第四の閾値δは、例えば、上記第1実施形態および第2実施形態における第二の閾値βと同様に、エンジン1の運転条件や車両の走行環境に応じて可変に設定されることができる。ステップS150の判定の結果、アクセル操作増加量が第四の閾値δよりも大きな値であると判定された場合(ステップS150−Y)には、ステップS160に進み、そうでない場合(ステップS150−N)にはステップS170に進む。その他の動作については、上記第2実施形態と同様であることができる。