JP2009164043A - 冷陰極電界電子放出表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡素な構造であるにも拘わらず、カソード電極及びゲート電極の延びる方向と平行な方向の両方向に、互いに独立して、フォーカス作用を及ぼすことができるフォーカス電極を備えた冷陰極電界電子放出表示装置を提供する。
【解決手段】冷陰極電界電子放出表示装置は、支持体10上に形成されたカソード電極11、支持体10及びカソード電極11上に設けられた絶縁層12、絶縁層12上に形成されたゲート電極13、ゲート電極13及び絶縁層12の部分に設けられた開口部14、並びに、電子放出部15から構成された電子放出領域EAを備え、更に、電子放出領域EAと電子放出領域EAとの間には、支持体10上に形成された第1フォーカス電極41、及び、絶縁層12上に形成された第2フォーカス電極42が備えられている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、フォーカス電極に特徴を有する冷陰極電界電子放出表示装置に関する。
テレビジョン受像機や情報端末機器に用いられる表示装置の分野では、従来主流の陰極線管(CRT)から、薄型化、軽量化、大画面化、高精細化の要求に応え得る平面型(フラットパネル型)の表示装置への移行が急速に進んでいる。このような平面型の表示装置として、液晶表示装置(LCD)、エレクトロルミネッセンス表示装置(ELD)、プラズマ表示装置(PDP)、冷陰極電界電子放出表示装置(FED:フィールドエミッションディスプレイ)を例示することができる。このなかでも、液晶表示装置は情報端末機器用の表示装置として広く普及しているが、据置き型のテレビジョン受像機に適用するには、高輝度化や高速応答性に未だ課題を残している。これに対して、冷陰極電界電子放出表示装置は、熱的励起によらず、量子トンネル効果に基づき固体から真空中に電子を放出することが可能な冷陰極電界電子放出素子(以下、電界放出素子と呼ぶ場合がある)を備えており、高輝度、高速応答性、低消費電力の点から注目を集めている。
図19に、電界放出素子を備えた冷陰極電界電子放出表示装置(以下、表示装置と呼ぶ場合がある)の構成例を示す。図示した電界放出素子は、円錐形の電子放出部を有する、所謂スピント(Spindt)型電界放出素子と呼ばれるタイプの素子である。この電界放出素子は、支持体10上に形成されたカソード電極11と、支持体10及びカソード電極11上に形成された絶縁層12と、絶縁層12上に形成されたゲート電極13と、ゲート電極13及び絶縁層12に設けられた開口部14と、開口部14の底部に位置するカソード電極11上に形成された円錐形の電子放出部15から構成されている。一般に、カソード電極11とゲート電極13とは、これらの両電極の射影像が互いに直交する方向に各々帯状に形成されており、これらの両電極の射影像が重複する領域(1画素分の領域に相当する。この領域を、以下、電子放出領域EAと呼ぶ)に、通常、複数の電界放出素子が設けられている。更に、かかる電子放出領域EAが、カソードパネルCPの有効領域(実際の表示部分として機能する領域)内に、通常、2次元マトリクス状に配列されている。
一方、アノードパネルAPは、基板20と、基板20上に形成され、所定のパターンを有する蛍光体層22と、その上に形成されたアノード電極23から構成されている。1画素は、カソードパネル側のカソード電極11とゲート電極13との重複領域(電子放出領域EA)に設けられた電界放出素子の一群と、これらの電界放出素子の一群に対面したアノードパネル側の蛍光体層22とによって構成されている。有効領域には、かかる画素が、例えば数十万〜数百万個ものオーダーにて配列されている。尚、蛍光体層22と蛍光体層22との間の基板20上には、ブラックマトリックス21が形成されている。
アノードパネルAPとカソードパネルCPとを、電界放出素子と蛍光体層22とが対向するように配置し、周縁部において接合部材24を介して接合することによって、表示装置を作製することができる。有効領域を包囲し、画素を選択するための周辺回路が形成された無効領域(図示した例では、カソードパネルCPの無効領域)には、真空排気用の貫通孔(図示せず)が設けられており、この貫通孔には真空排気後に封じ切られた排気管(図示せず)が接続されている。即ち、アノードパネルAPとカソードパネルCPと接合部材24とによって囲まれた空間は真空となっている。
このような表示装置においては、電子放出部15から電子が或る程度の発散角をもって放出される(図20参照)。従って、画素の大きさ(蛍光体層22の大きさ)によっては、電子放出部15から放出された電子の全てが電子放出部15と対向した領域に位置する蛍光体層22に衝突せず、表示装置全体の消費電力に対する輝度効率が低下するといった問題や、電子放出部15から放出された電子が隣接する画素を構成する蛍光体層22に衝突する結果、光学的クロストークが発生するといった問題が生じる。表示装置の精細化に伴い、画素が小さくなるに従い、これらの問題は一層顕著になる。
これらの問題を解決するための手段として、フォーカス電極(収束電極)を設ける技術が、例えば、特開平4−500424や特開2002−231124から公知である。フォーカス電極は、電子光学の見地からは、電子収束レンズとしての役割を担う。そして、電子が通過する空間近傍の等電位面を湾曲させ、電子の軌道を収束させる。尚、このようなフォーカス電極の及ぼす作用を、便宜上、フォーカス作用と呼ぶ。
特開平4−500424 特開2002−231124
ところで、特開平4−500424や特開2002−231124に開示された技術にあっては、ゲート電極の両側の絶縁層の部分にフォーカス電極が設けられている。従って、このような構成では、フォーカス電極は、ゲート電極13の延びる方向と直交する方向、即ち、カソード電極11の延びる方向と平行な方向のみにフォーカス作用を及ぼすだけである。また、特開2002−231124には、カソード電極とカソード電極の間の領域の上方に配設され、カソード電極と平行に延びる第2のフォーカス電極を更に備えている構造も開示されている。このような構造を採用することで、フォーカス電極は、全体として、カソード電極11の延びる方向と平行な方向、及び、ゲート電極13の延びる方向と平行な方向の両方向にフォーカス作用を及ぼす。しかしながら、フォーカス電極及び第2のフォーカス電極を有するこのような構造は複雑である。
従って、本発明の目的は、簡素な構造であるにも拘わらず、カソード電極の延びる方向と平行な方向及びゲート電極の延びる方向と平行な方向の両方向に、互いに独立して、フォーカス作用を及ぼすことができるフォーカス電極を備えた冷陰極電界電子放出表示装置を提供することにある。
上記の目的を達成するための本発明の冷陰極電界電子放出表示装置は、支持体上に2次元マトリクス状に配列された電子放出領域を備えたカソードパネルと、蛍光体層及びアノード電極が設けられたアノードパネルとが外周部で接合されており、カソードパネルとアノードパネルとによって挟まれた空間が真空に保持されている冷陰極電界電子放出表示装置であって、
各電子放出領域は、
(A)支持体上に形成され、第1の方向に延びるカソード電極、
(B)支持体及びカソード電極上に設けられた絶縁層、
(C)絶縁層上に形成され、第1の方向とは異なる第2の方向に延びるゲート電極、
(D)ゲート電極及び絶縁層の部分に設けられた開口部、並びに、
(E)開口部の底部に露出したカソード電極の部分の上に形成された電子放出部、
から構成されており、
電子放出領域と電子放出領域との間には、第1の方向に延び、支持体上に形成された第1フォーカス電極、及び、第2の方向に延び、絶縁層上に形成された第2フォーカス電極が備えられていることを特徴とする。
本発明の冷陰極電界電子放出表示装置において、第1フォーカス電極は一端で第1共通電極に接続されており、第2フォーカス電極は一端で第2共通電極に接続されている構成とすることができる。尚、このような構成を、便宜上、第1の構成の冷陰極電界電子放出表示装置と呼ぶ。ここで、第1共通電極及び第2共通電極はフォーカス電極制御回路に接続されている。以下においても同様である。このような形態を採用することで、第1フォーカス電極及び第2フォーカス電極への電位の供給の簡素化を図ることができる。但し、このような構成に限定するものではなく、各第1フォーカス電極が個別にフォーカス電極制御回路に接続され、各第2フォーカス電極が個別にフォーカス電極制御回路に接続されている構成、各第1フォーカス電極がグルーピングされてフォーカス電極制御回路に接続され、各第2フォーカス電極がグルーピングされてフォーカス電極制御回路に接続されている構成を採用することもできる。
あるいは又、本発明の冷陰極電界電子放出表示装置において、第2フォーカス電極は、互いに平行に延びる第1番目の第2フォーカス電極及び第2番目の第2フォーカス電極から構成されている形態とすることができる。尚、このような形態を、便宜上、第2の構成の冷陰極電界電子放出表示装置と呼ぶ。そして、この場合、第1番目の第2フォーカス電極に印加される電位は、第2番目の第2フォーカス電極に印加される電位と異なる構成とすることができる。これらの形態、構成を採用することで、第2フォーカス電極が及ぼすフォーカス作用の制御を、より緻密に、且つ、正確に行うことができる。
更には、このような形態、構成を含む第2の構成を含む本発明の冷陰極電界電子放出表示装置において、第1フォーカス電極は、互いに平行に延びる第1番目の第1フォーカス電極及び第2番目の第1フォーカス電極から構成されている形態とすることができる。そして、この場合、第1番目の第1フォーカス電極に印加される電位は、第2番目の第1フォーカス電極に印加される電位と異なる構成とすることができる。これらの形態、構成を採用することで、第1フォーカス電極が及ぼすフォーカス作用の制御を、より緻密に、且つ、正確に行うことができる。
尚、これらの構成を含む第2の構成の冷陰極電界電子放出表示装置において、第1番目の第1フォーカス電極は一端で第1の第1共通電極に接続され、第2番目の第1フォーカス電極は一端で第2の第1共通電極に接続されている形態とすることができ、及び/又は、第1番目の第2フォーカス電極は一端で第1の第2共通電極に接続され、第2番目の第2フォーカス電極は一端で第2の第2共通電極に接続されている形態とすることができる。但し、このような構成に限定するものではなく、各第1番目の第1フォーカス電極が個別にフォーカス電極制御回路に接続され、各第2番目の第1フォーカス電極が個別にフォーカス電極制御回路に接続され、各第1番目の第2フォーカス電極が個別にフォーカス電極制御回路に接続され、各第2番目の第2フォーカス電極が個別にフォーカス電極制御回路に接続されている構成、各第1番目の第1フォーカス電極がグルーピングされてフォーカス電極制御回路に接続され、各第2番目の第1フォーカス電極がグルーピングされてフォーカス電極制御回路に接続され、各第1番目の第2フォーカス電極がグルーピングされてフォーカス電極制御回路に接続され、各第2番目の第2フォーカス電極がグルーピングされてフォーカス電極制御回路に接続されている構成を採用することもできる。
更には、以上に説明した好ましい各種の形態、構成を含む本発明の冷陰極電界電子放出表示装置において、カソードパネルとアノードパネルとの間には、局所的に、第2の方向に延びるスペーサが配置されており、スペーサに隣接した第2フォーカス電極に印加される電位と、スペーサに隣接していない第2フォーカス電極に印加される電位とは異なる構成とすることができる。このような構成を採用することで、スペーサに隣接した電子放出領域から放出される電子ビームの軌道と、スペーサに隣接していない電子放出領域EAから放出される電子ビームの軌道との差異を少なくすることができる。
更には、以上に説明した好ましい各種の形態、構成を含む本発明の冷陰極電界電子放出表示装置において、カソードパネルとアノードパネルとの間には、局所的に、第2の方向に延びるスペーサが配置されており、スペーサの下方に位置する第2フォーカス電極は一端で第1の第2共通電極に接続され、それ以外の第2フォーカス電極は一端で第2の第2共通電極に接続されている構成とすることができる。このような構成を採用することで、スペーサに隣接した電子放出領域から放出される電子ビームの軌道と、スペーサに隣接していない電子放出領域EAから放出される電子ビームの軌道との差異を少なくすることができる。但し、このような構成に限定するものではなく、スペーサの下方に位置する各第2フォーカス電極が個別にフォーカス電極制御回路に接続され、それ以外の各第2フォーカス電極が個別にフォーカス電極制御回路に接続されている構成、スペーサの下方に位置する各第2フォーカス電極がグルーピングされてフォーカス電極制御回路に接続され、それ以外の各第2フォーカス電極がグルーピングされてフォーカス電極制御回路に接続されている構成を採用することもできる。
以上に説明した種々の好ましい形態、構成を含む本発明の冷陰極電界電子放出表示装置における電子放出領域は、以下の方法で製造することができる。
(1)支持体上にカソード電極及び第1フォーカス電極を形成する工程、
(2)全面(支持体、カソード電極、及び、第1フォーカス電極上)に絶縁層を形成する工程、
(3)絶縁層上にゲート電極及び第2フォーカス電極を形成する工程、
(4)カソード電極とゲート電極との重複領域におけるゲート電極及び絶縁層の部分に開口部を形成し、開口部の底部にカソード電極を露出させる工程、
(5)開口部の底部に位置するカソード電極上に電子放出部を形成する工程。
あるいは又、以上に説明した種々の好ましい形態、構成を含む本発明の冷陰極電界電子放出表示装置における電子放出領域は、以下の方法で製造することができる。
(1)支持体上にカソード電極及び第1フォーカス電極を形成する工程、
(2)カソード電極上に電子放出部を形成する工程、
(3)全面(支持体、第1フォーカス電極、及び、電子放出部上、あるいは、支持体、カソード電極、第1フォーカス電極、及び、電子放出部上)に絶縁層を形成する工程、
(4)絶縁層上にゲート電極及び第2フォーカス電極を形成する工程、
(5)カソード電極とゲート電極との重複領域におけるゲート電極及び絶縁層の部分に開口部を形成し、開口部の底部に電子放出部を露出させる工程。
本発明における冷陰極電界電子放出素子(以下、電界放出素子と略称する)として、スピント型電界放出素子(円錐形の電子放出部が、開口部の底部に位置するカソード電極の上に設けられた電界放出素子)を挙げることができるが、これに限定するものではなく、例えば、扁平型電界放出素子(略平面の電子放出部が、開口部の底部に位置するカソード電極の上に設けられた電界放出素子)等、如何なる構成、構造の電界放出素子とすることもできる。ここで、スピント型電界放出素子における電子放出部を構成する材料として、モリブデン、モリブデン合金、タングステン、タングステン合金、チタン、チタン合金、ニオブ、ニオブ合金、タンタル、タンタル合金、クロム、クロム合金、及び、不純物を含有するシリコン(ポリシリコンやアモルファスシリコン)から成る群から選択された少なくとも1種類の材料を挙げることができる。スピント型電界放出素子の電子放出部は、スパッタリング法や真空蒸着法といった各種物理的気相成長法(PVD法)、各種化学的気相成長法(CVD法)によって形成することができる。
カソードパネルにおいて、カソード電極の射影像とゲート電極の射影像とは直交することが、即ち、仮想平面に投影した第1の方向と第2の方向とは直交することが、冷陰極電界電子放出表示装置の構造の簡素化といった観点から好ましい。カソード電極とゲート電極とが重複する重複領域が電子放出領域に該当し、電子放出領域がカソードパネルの有効領域に2次元マトリクス状に配列されている。各電子放出領域には、1又は複数の電界放出素子が設けられている。
冷陰極電界電子放出表示装置にあっては、カソード電極及びゲート電極に印加された電圧によって生じた強電界が電子放出部に加わる結果、量子トンネル効果により電子放出部から電子が放出される。そして、この電子は、アノードパネルに設けられたアノード電極によってアノードパネルへと引き付けられ、蛍光体層に衝突する。そして、蛍光体層への電子の衝突の結果、蛍光体層が発光し、画像として認識することができる。
冷陰極電界電子放出表示装置において、カソード電極はカソード電極制御回路に接続され、ゲート電極はゲート電極制御回路に接続され、アノード電極はアノード電極制御回路に接続されている。尚、これらの制御回路は周知の回路から構成することができる。実動作時、アノード電極制御回路からアノード電極に印加される電圧(アノード電圧)VAは、通常、一定であり、例えば、5キロボルト〜15キロボルトとすることができる。あるいは又、アノードパネルとカソードパネルとの間の距離をd0(但し、0.5mm≦d0≦10mm)としたとき、VA/d0(単位:キロボルト/mm)の値は、0.5以上20以下、好ましくは1以上10以下、一層好ましくは4以上8以下を満足することが望ましい。冷陰極電界電子放出表示装置の実動作時、カソード電極に印加する電圧VC及びゲート電極に印加する電圧VGに関しては、階調制御方式として電圧変調方式やパルス幅変調方式を採用することができる。
第1フォーカス電極及び第2フォーカス電極は、開口部から放出され、アノード電極へ向かう放出電子の軌道を収束させ、以て、輝度の向上や隣接画素間の光学的クロストークの防止を可能とするために設けられている。そして、第1フォーカス電極及び第2フォーカス電極には、フォーカス電極制御回路から、少なくとも第1フォーカス電極及び第2フォーカス電極が隣接している電子放出領域が作動している間、例えば、第1共通電極及び第2共通電極を介して適切な電位が与えられる。フォーカス電極制御回路、それ自体は、周知の回路から構成することができる。
ゲート電極やカソード電極、第1フォーカス電極、第2フォーカス電極、第1共通電極、第2共通電極を構成する材料として、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、鉄(Fe)、白金(Pt)、亜鉛(Zn)等の金属;これらの金属元素を含む合金(例えばMoW)あるいは化合物(例えば、TiW;TiNやWN等の窒化物;WSi2、MoSi2、TiSi2、TaSi2等のシリサイド);シリコン(Si)等の半導体;ダイヤモンド等の炭素薄膜;ITO(酸化インジウム−錫)、酸化インジウム、酸化亜鉛等の導電性金属酸化物を例示することができる。また、ゲート電極やカソード電極、第1フォーカス電極、第2フォーカス電極、第1共通電極、第2共通電極を、これらの材料の単層構造あるいは積層構造とすることができる。
ゲート電極やカソード電極、第1フォーカス電極、第2フォーカス電極、第1共通電極、第2共通電極の形成方法として、例えば、電子ビーム蒸着法や熱フィラメント蒸着法といった真空蒸着法やスパッタリング法、イオンプレーティング法を含む各種PVD法、各種CVD法とエッチング法との組合せ;スクリーン印刷法やインクジェット印刷法、メタルマスク印刷法といった各種印刷法;メッキ法(電気メッキ法や無電解メッキ法);リフトオフ法;レーザアブレーション法;ゾル−ゲル法等を挙げることができる。各種印刷法やメッキ法によれば、直接、例えば帯状の各種電極を形成することが可能である。
絶縁層の構成材料として、SiO2、BPSG、PSG、BSG、AsSG、PbSG、SiON、SOG(スピンオングラス)、低融点ガラス、ガラスペーストといったSiO2系材料;SiN系材料;ポリイミド等の絶縁性樹脂を、単独あるいは、適宜、組み合わせて使用することができる。絶縁層の形成には、各種CVD法、塗布法、スパッタリング法、各種印刷法等の公知のプロセスが利用できる。
開口部(ゲート電極に形成された第1開口部あるいは絶縁層に形成された第2開口部)の平面形状(支持体表面と平行な仮想平面で開口部を切断したときの形状)は、円形、楕円形、矩形、多角形、丸みを帯びた矩形、丸みを帯びた多角形等、任意の形状とすることができる。第1開口部の形成は、例えば、異方性エッチング、等方性エッチング、異方性エッチングと等方性エッチングの組合せによって行うことができ、あるいは又、ゲート電極の形成方法に依っては、第1開口部を、直接、形成することもできる。第2開口部の形成も、例えば、異方性エッチング、等方性エッチング、異方性エッチングと等方性エッチングの組合せによって行うことができる。
電界放出素子においては、電界放出素子の構造に依存するが、1つの開口部内に1つの電子放出部が存在してもよいし、1つの開口部内に複数の電子放出部が存在してもよいし、ゲート電極に複数の第1開口部を設け、係る第1開口部と連通する1つの第2開口部を絶縁層に設け、絶縁層に設けられた1つの第2開口部内に1又は複数の電子放出部が存在してもよい。
電界放出素子において、カソード電極と電子放出部との間に抵抗体膜を設けてもよい。抵抗体膜を設けることによって、電界放出素子の動作安定化、電子放出特性の均一化、カソード電極とゲート電極との間のリーク電流の抑制を図ることができる。抵抗体膜を構成する材料として、シリコンカーバイド(SiC)やSiCNといったカーボン系材料、SiN、アモルファスシリコン等の半導体材料、酸化ルテニウム(RuO2)、酸化タンタル、窒化タンタル等の高融点金属酸化物や高融点金属窒化物を例示することができる。抵抗体膜の形成方法として、スパッタリング法や、各種CVD法、各種印刷法を例示することができる。1つの電子放出部当たりの電気抵抗値は、概ね1×105〜1×1011Ω、好ましくは数MΩ〜数十ギガΩとすればよい。尚、抵抗体膜が第1フォーカス電極上に形成されていても、何ら問題はない。
カソードパネルを構成する支持体、あるいは又、アノードパネルを構成する基板は、これらの基板が相互に対向する面が絶縁性部材から構成されていればよく、ガラス基板、表面に絶縁被膜が形成されたガラス基板、石英基板、表面に絶縁被膜が形成された石英基板、表面に絶縁被膜が形成された半導体基板を挙げることができるが、製造コスト低減の観点からは、ガラス基板、あるいは、表面に絶縁被膜が形成されたガラス基板を用いることが好ましい。ガラス基板として、高歪点ガラス、低アルカリガラス、ソーダガラス(Na2O・CaO・SiO2)、硼珪酸ガラス(Na2O・B23・SiO2)、フォルステライト(2MgO・SiO2)、鉛ガラス(Na2O・PbO・SiO2)、無アルカリガラスを例示することができる。
冷陰極電界電子放出表示装置において、アノード電極と蛍光体層の構成例として、
(1)基板上に、アノード電極を形成し、アノード電極の上に蛍光体層を形成する構成
(2)基板上に、蛍光体層を形成し、蛍光体層上にアノード電極を形成する構成
を挙げることができる。尚、(1)の構成において、蛍光体層の上に、アノード電極と導通した所謂メタルバック膜を形成してもよい。また、(2)の構成において、アノード電極の上にメタルバック膜を形成してもよい。メタルバック膜自体にアノード電極としての機能を持たせてもよい。
アノード電極は、全体として1つのアノード電極から構成されていてもよいし、複数のアノード電極ユニットから構成されていてもよい。後者の場合、アノード電極ユニットとアノード電極ユニットとはアノード電極抵抗体層によって電気的に接続されていることが望ましい。アノード電極抵抗体層を構成する材料として、カーボン、シリコンカーバイド(SiC)やSiCNといったカーボン系材料;SiN系材料;酸化ルテニウム(RuO2)、酸化タンタル、窒化タンタル、酸化クロム、酸化チタン等の高融点金属酸化物や高融点金属窒化物;アモルファスシリコン等の半導体材料;ITOを挙げることができる。また、SiC抵抗膜上に抵抗値の低いカーボン薄膜を積層するといった複数の膜の組み合わせにより、安定した所望のシート抵抗値を実現することも可能である。アノード電極抵抗体層のシート抵抗値として、1×10-1Ω/□乃至1×1010Ω/□、好ましくは1×103Ω/□乃至1×108Ω/□を例示することができる。アノード電極ユニットの数(Q)は2以上であればよく、例えば、直線上に配列された蛍光体層の列の総数をq列としたとき、Q=qとし、あるいは、q=k・Q(kは2以上の整数であり、好ましくは10≦k≦100、一層好ましくは20≦k≦50)としてもよいし、一定の間隔をもって配置されたスペーサの数に1を加えた数とすることができるし、ピクセルの数あるいはサブピクセルの数と一致した数、あるいは、ピクセルの数あるいはサブピクセルの数の整数分の一とすることもできる。また、各アノード電極ユニットの大きさは、アノード電極ユニットの位置に拘わらず同じとしてもよいし、アノード電極ユニットの位置に依存して異ならせてもよい。全体として1つのアノード電極の上にアノード電極抵抗体層を形成してもよい。
アノード電極(アノード電極ユニットを包含する)は、導電材料層を用いて形成すればよい。導電材料層の形成方法として、例えば、電子ビーム蒸着法や熱フィラメント蒸着法といった真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、レーザアブレーション法といった各種PVD法;各種CVD法;各種印刷法;メタルマスク印刷法;リフトオフ法;ゾル−ゲル法等を挙げることができる。即ち、導電材料から成る導電材料層を形成し、リソグラフィ技術及びエッチング技術に基づき、この導電材料層をパターニングしてアノード電極を形成することができる。あるいは又、アノード電極のパターンを有するマスクやスクリーンを介して導電材料を各種PVD法や各種印刷法に基づき形成することによって、アノード電極を得ることもできる。尚、アノード電極抵抗体層も同様の方法で形成することができる。即ち、抵抗体材料からアノード電極抵抗体層を形成し、リソグラフィ技術及びエッチング技術に基づきこのアノード電極抵抗体層をパターニングしてもよいし、あるいは、アノード電極抵抗体層のパターンを有するマスクやスクリーンを介して抵抗体材料の各種PVD法や各種印刷法に基づく形成により、アノード電極抵抗体層を得ることができる。基板上(あるいは基板上方)におけるアノード電極の平均厚さ(後述するように隔壁を設ける場合、隔壁の頂面上におけるアノード電極の平均厚さ)として、3×10-8m(30nm)乃至1×10-6m(1μm)、好ましくは5×10-8m(50nm)乃至5×10-7m(0.5μm)を例示することができる。
アノード電極の構成材料として、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、金(Au)、銀(Ag)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、鉄(Fe)、白金(Pt)、亜鉛(Zn)等の金属;これらの金属元素を含む合金あるいは化合物(例えばTiN等の窒化物や、WSi2、MoSi2、TiSi2、TaSi2等のシリサイド);シリコン(Si)等の半導体;ダイヤモンドやグラファイト等の炭素薄膜;ITO(酸化インジウム−錫)、酸化インジウム、酸化亜鉛等の導電性金属酸化物を例示することができる。尚、アノード電極抵抗体層を形成する場合、アノード電極抵抗体層の電気抵抗値を変化させない導電材料からアノード電極を構成することが好ましく、例えば、アノード電極抵抗体層をシリコンカーバイド(SiC)から構成した場合、アノード電極をモリブデン(Mo)やアルミニウム(Al)から構成することが好ましい。
蛍光体層は、単色の蛍光体粒子から構成されていても、3原色の蛍光体粒子から構成されていてもよい。蛍光体層の配列様式は、例えば、ドット状である。具体的には、冷陰極電界電子放出表示装置がカラー表示の場合、蛍光体層の配置、配列として、デルタ配列、ストライプ配列、ダイアゴナル配列、レクタングル配列を挙げることができる。即ち、直線上に配列された蛍光体層の1列は、全てが赤色発光蛍光体層で占められた列、緑色発光蛍光体層で占められた列、及び、青色発光蛍光体層で占められた列から構成されていてもよいし、赤色発光蛍光体層、緑色発光蛍光体層、及び、青色発光蛍光体層が順に配置された列から構成されていてもよい。ここで、蛍光体層とは、冷陰極電界電子放出表示装置において1つの輝点を生成する蛍光体領域であると定義する。また、1画素(1ピクセル)は、1つの赤色発光蛍光体層、1つの緑色発光蛍光体層、及び、1つの青色発光蛍光体層の集合から構成され、1サブピクセルは、1つの蛍光体層(1つの赤色発光蛍光体層、あるいは、1つの緑色発光蛍光体層、あるいは、1つの青色発光蛍光体層)から構成される。尚、隣り合う蛍光体層の間の隙間がコントラスト向上を目的とした光吸収層(ブラックマトリックス)で埋め込まれていてもよい。
蛍光体層は、発光性結晶粒子から調製された発光性結晶粒子組成物を使用し、例えば、赤色の感光性の発光性結晶粒子組成物(赤色発光蛍光体スラリー)を全面に塗布し、露光、現像して、赤色発光蛍光体層を形成し、次いで、緑色の感光性の発光性結晶粒子組成物(緑色発光蛍光体スラリー)を全面に塗布し、露光、現像して、緑色発光蛍光体層を形成し、更に、青色の感光性の発光性結晶粒子組成物(青色発光蛍光体スラリー)を全面に塗布し、露光、現像して、青色発光蛍光体層を形成する方法にて形成することができる。また、スクリーン印刷法やインクジェット印刷法、フロート塗布法、沈降塗布法、蛍光体フィルム転写法等により各蛍光体層を形成してもよい。基板上における蛍光体層の平均厚さは、限定するものではないが、3μm乃至20μm、好ましくは5μm乃至10μmであることが望ましい。発光性結晶粒子を構成する蛍光体材料としては、従来公知の蛍光体材料の中から、適宜、選択して用いることができる。カラー表示の場合、色純度がNTSCで規定される3原色に近く、3原色を混合した際の白バランスがとれ、残光時間が短く、3原色の残光時間がほぼ等しくなる蛍光体材料を組み合わせることが好ましい。
蛍光体層からの光を吸収する光吸収層が、隣り合う蛍光体層の間、あるいは、後述する隔壁と基板との間に形成されていることが、表示画像のコントラスト向上といった観点から好ましい。ここで、光吸収層は、所謂ブラックマトリックスとして機能する。光吸収層を構成する材料として、蛍光体層からの光を90%以上吸収する材料を選択することが好ましい。このような材料として、カーボン、金属薄膜(例えば、クロム、ニッケル、アルミニウム、モリブデン等、あるいは、これらの合金)、金属酸化物(例えば、酸化クロム)、金属窒化物(例えば、窒化クロム)、耐熱性有機樹脂、ガラスペースト、黒色顔料や銀等の導電性粒子を含有するガラスペースト等の材料を挙げることができ、具体的には、感光性ポリイミド樹脂、酸化クロムや、酸化クロム/クロム積層膜を例示することができる。尚、酸化クロム/クロム積層膜においては、クロム膜が基板と接する。光吸収層は、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法とエッチング法との組合せ、真空蒸着法やスパッタリング法、スピンコーティング法とリフトオフ法との組合せ、各種印刷法、リソグラフィ技術等、使用する材料に依存して、適宜、選択された方法にて形成することができる。
蛍光体層から反跳した電子、あるいは、蛍光体層から放出された2次電子が他の蛍光体層に入射し、所謂光学的クロストーク(色濁り)が発生することを防止するために、隔壁を設けることが好ましい。隔壁の形成方法として、スクリーン印刷法、ドライフィルム法、感光法、キャスティング法、サンドブラスト形成法を例示することができる。ここで、スクリーン印刷法とは、隔壁を形成すべき部分に対応するスクリーンの部分に開口が形成されており、スクリーン上の隔壁形成用材料をスキージを用いて開口を通過させ、基板上に隔壁形成用材料層を形成した後、係る隔壁形成用材料層を焼成する方法である。ドライフィルム法とは、基板上に感光性フィルムをラミネートし、露光及び現像によって隔壁形成予定部位の感光性フィルムを除去し、除去によって生じた開口に隔壁形成用材料を埋め込み、焼成する方法である。感光性フィルムは焼成によって燃焼、除去され、開口に埋め込まれた隔壁形成用材料が残り、隔壁となる。感光法とは、基板上に感光性を有する隔壁形成用材料層を形成し、露光及び現像によってこの隔壁形成用材料層をパターニングした後、焼成(硬化)を行う方法である。キャスティング法(型押し成形法)とは、ペースト状とした有機材料あるいは無機材料から成る隔壁形成用材料層を型(キャスト)から基板上に押し出すことで隔壁形成用材料層を形成した後、係る隔壁形成用材料層を焼成する方法である。サンドブラスト形成法とは、例えば、スクリーン印刷やメタルマスク印刷法、ロールコーター、ドクターブレード、ノズル吐出式コーター等を用いて隔壁形成用材料層を基板上に形成し、乾燥させた後、隔壁を形成すべき隔壁形成用材料層の部分をマスク層で被覆し、次いで、露出した隔壁形成用材料層の部分をサンドブラスト法によって除去する方法である。隔壁を形成した後、隔壁を研磨し、隔壁頂面の平坦化を図ってもよい。
隔壁における蛍光体層を取り囲む部分の平面形状(隔壁側面の射影像の内側輪郭線に相当し、一種の開口領域である)として、矩形形状、円形形状、楕円形状、長円形状、三角形形状、五角形以上の多角形形状、丸みを帯びた三角形形状、丸みを帯びた矩形形状、丸みを帯びた多角形等を例示することができるし、蛍光体層の二辺と平行に延びる直線状の形状(棒状の形状)を挙げることができる。これらの平面形状(開口領域の平面形状)が2次元マトリクス状に配列されることにより、格子状の隔壁が形成される。この2次元マトリクス状の配列は、例えば井桁様に配列されるものでもよいし、千鳥様に配列されるものでもよい。
隔壁形成用材料として、例えば、感光性ポリイミド樹脂や、酸化コバルト等の金属酸化物により黒色に着色した鉛ガラス、SiO2、低融点ガラスペーストを例示することができる。隔壁の表面(頂面及び側面)には、隔壁に電子ビームが衝突して隔壁からガスが放出されることを防止するための保護層(例えば、SiO2、SiON、あるいは、AlNから成る)を形成してもよい。
カソードパネルとアノードパネルとによって挟まれた空間が真空状態に保持されているので、大気圧によって冷陰極電界電子放出表示装置に破損が生じないように、カソードパネルとアノードパネルとの間に、局所的に、スペーサを配することが好ましい。スペーサは、例えばセラミックスやガラス材料から構成することができる。スペーサをセラミックスから構成する場合、セラミックスとして、ムライト等のケイ酸アルミニウム化合物やアルミナ等の酸化アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、ジルコニア(酸化ジルコニウム)、コーディオライト、硼珪酸塩バリウム、珪酸鉄、ガラスセラミックス材料、これらに、酸化チタンや酸化クロム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化バナジウム、酸化ニッケルを添加したもの等を例示することができるし、例えば、特表2003−524280号公報等に記載されている材料を用いることもできる。この場合、所謂グリーンシートを成形して、グリーンシートを焼成し、係るグリーンシート焼成品を切断することによってスペーサを製造することができる。また、ガラス材料として、高歪点ガラス、低アルカリガラス、無アルカリガラス、ソーダガラス(Na2O・CaO・SiO2)、硼珪酸ガラス(Na2O・B23・SiO2)、フォルステライト(2MgO・SiO2)、鉛ガラス(Na2O・PbO・SiO2)、結晶性ガラスを例示することができる。尚、スペーサの端部に対して面取りを行い、突起部等を除去することが好ましい。スペーサは、例えば、アノードパネルに設けられた隔壁と隔壁との間に挟み込んで固定すればよく、あるいは又、例えば、アノードパネル及び/又はカソードパネルにスペーサ保持部を形成し、スペーサ保持部によって固定すればよい。
スペーサの側面には帯電防止膜や抵抗体膜等が設けられていてもよい。帯電防止膜を構成する材料は、その2次電子放出係数が1に近いことが好ましく、帯電防止膜を構成する材料として、SiやGe等の半導体、グラファイト等の半金属、酸化物、ホウ化物、炭化物、硫化物、及び、窒化物等を用いることができる。例えば、グラファイト等の半金属及びMoSex等の半金属元素を含む化合物、CrOx、NdOx、CrAlxy、酸化マンガン、LaxBa2-xCuO4、Lax1-xCrO3等の酸化物、AlBx、TiBx等のホウ化物、SiC等の炭化物、MoSx、WSx等の硫化物、及び、窒化タングステンと窒化ゲルマニウムの化合物、BN、TiN、AlN等の窒化物等を挙げることができるし、更には、例えば、特表2004−500688号公報等に記載されている材料等を用いることもできる。また、抵抗体膜を構成する材料として、例えば、酸化ルテニウム(RuOx)やサーメットを例示することができる。帯電防止膜等のスペーサの表面に設けられる膜は、単一の種類の材料から成るものであってもよいし、複数の種類の材料から成るものであってもよい。例えば、膜は1層構造であって、複数の種類の材料からその層が構成されていてもよいし、膜は複数層が積層して成り、それぞれの層が異なる材料から成るものであってもよい。これらの膜は、スパッタリング法や真空蒸着法といった各種PVD法、各種CVD法、スクリーン印刷法等、周知の方法により形成することができる。また、これらの膜の膜厚は、必要に応じて任意に設定すればよい。
カソードパネルとアノードパネルとを周縁部において接合するが、接合は接着層を接合部材として用いて行ってもよいし、あるいは、棒状あるいはフレーム状(枠状)であってガラスやセラミックス等の絶縁剛性材料から構成された枠体と接着層とから成る接合部材を用いて行ってもよい。枠体と接着層とから成る接合部材を用いる場合には、枠体の高さを、適宜、選択することにより、接着層のみから成る接合部材を使用する場合に比べ、カソードパネルとアノードパネルとの間の対向距離をより長く設定することが可能である。尚、接着層の構成材料としては、B23−PbO系フリットガラスやSiO2−B23−PbO系フリットガラスといったフリットガラスが一般的であるが、融点が120〜400゜C程度の所謂低融点金属材料を用いてもよい。係る低融点金属材料としては、In(インジウム:融点157゜C);インジウム−金系の低融点合金;Sn80Ag20(融点220〜370゜C)、Sn95Cu5(融点227〜370゜C)等の錫(Sn)系高温はんだ;Pb97.5Ag2.5(融点304゜C)、Pb94.5Ag5.5(融点304〜365゜C)、Pb97.5Ag1.5Sn1.0(融点309゜C)等の鉛(Pb)系高温はんだ;Zn95Al5(融点380゜C)等の亜鉛(Zn)系高温はんだ;Sn5Pb95(融点300〜314゜C)、Sn2Pb98(融点316〜322゜C)等の錫−鉛系標準はんだ;Au88Ga12(融点381゜C)等のろう材(以上の添字は全て原子%を表す)を例示することができる。
カソードパネルとアノードパネルと接合部材の三者を接合する場合、三者を同時に接合してもよいし、あるいは、第1段階でカソードパネル又はアノードパネルのいずれか一方と接合部材とを接合し、第2段階でカソードパネル又はアノードパネルの他方と接合部材とを接合してもよい。三者同時接合や第2段階における接合を高真空雰囲気中で行えば、カソードパネルとアノードパネルと接合部材とにより囲まれた空間は、接合と同時に真空となる。あるいは、三者の接合終了後、カソードパネルとアノードパネルと接合部材とによって囲まれた空間を排気し、真空とすることもできる。接合後に排気を行う場合、接合時の雰囲気の圧力は常圧/減圧のいずれであってもよく、また、雰囲気を構成する気体は、大気であっても、あるいは窒素ガスや周期律表0族に属するガス(例えばArガス)を含む不活性ガスであってもよい。
排気を行う場合、排気は、カソードパネル及び/又はアノードパネルに予め接続された排気管(チップ管)を通じて行うことができる。排気管は、典型的にはガラス管、あるいは、低熱膨張率を有する金属や合金[例えば、ニッケル(Ni)を42重量%含有した鉄(Fe)合金や、ニッケル(Ni)を42重量%、クロム(Cr)を6重量%含有した鉄(Fe)合金]から成る中空管から構成され、カソードパネル及び/又はアノードパネルの無効領域(冷陰極電界電子放出表示装置としての実用上の機能を果たす中央部の表示領域である有効領域を額縁状に包囲する領域)に設けられた貫通部の周囲に、上述のフリットガラス又は低融点金属材料を用いて接合され、空間が所定の真空度に達した後、熱融着によって封じ切られ、あるいは又、圧着することにより封じられる。尚、封じる前に、冷陰極電界電子放出表示装置全体を一旦加熱してから降温させると、空間に残留ガスを放出させることができ、この残留ガスを排気により空間外へ除去することができるので好適である。
本発明の冷陰極電界電子放出表示装置は、第1の方向に延び、支持体上に形成された第1フォーカス電極、及び、第2の方向に延び、絶縁層上に形成された第2フォーカス電極を備えている。このように、カソード電極とカソード電極の間の支持体上に第1フォーカス電極が形成されており、ゲート電極とゲート電極の間の絶縁層上に第2フォーカス電極が形成されている構造、構成を有しているので、冷陰極電界電子放出表示装置の構成、構造は、従来のフォーカス電極を有していない冷陰極電界電子放出表示装置の構成、構造から見て、複雑になってはいない。そして、それにも拘わらず、フォーカス電極は、全体として、カソード電極の延びる方向と平行な方向及びゲート電極の延びる方向と平行な方向の両方向に、互いに独立して、フォーカス作用を及ぼすことができる。従って、冷陰極電界電子放出表示装置の仕様に応じて、フォーカス特性の最適化を図ることができる。また、冷陰極電界電子放出表示装置の製造工程も、従来の冷陰極電界電子放出表示装置の製造工程と大きな相違が無く、製造コストの増加を招くことが無い。
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明する。
実施例1は、本発明の冷陰極電界電子放出表示装置(以下、表示装置と略称する)に関し、より具体的には、第1の構成の表示装置に関する。実施例1の表示装置におけるカソードパネルCPとアノードパネルAPの模式的な一部端面図を図1〜図4に示し、また、カソードパネルCP及びアノードパネルAPを分解したときの一部分の模式的な分解斜視図を図5に示す。更には、ゲート電極と第2フォーカス電極の配置状態を模式的に図6に示し、カソード電極と第1フォーカス電極の配置状態を模式的に図7に示す。また、カソード電極、ゲート電極、第1フォーカス電極及び第2フォーカス電極の電気的接続状態の概念図を図8の(A)及び(B)に示す。尚、図1は、実施例1の表示装置において、ゲート電極が延びる方向と平行な仮想平面でゲート電極を含む領域を切断したと想定したときの模式的な一部端面図(図6及び図7の矢印A−Aに沿った模式的な一部端面図)であり、図2は、ゲート電極が延びる方向と平行な仮想平面で第2フォーカス電極を含む領域を切断したと想定したときの模式的な一部端面図(図6及び図7の矢印B−Bに沿った模式的な一部端面図)であり、図3は、カソード電極が延びる方向と平行な仮想平面でカソード電極を含む領域を切断したと想定したときの模式的な一部端面図(図6及び図7の矢印C−Cに沿った模式的な一部端面図)であり、図4は、カソード電極が延びる方向と平行な仮想平面で第1フォーカス電極を含む領域を切断したと想定したときの模式的な一部端面図(図6及び図7の矢印D−Dに沿った模式的な一部端面図)である。尚、図5においては、第1フォーカス電極及び第2フォーカス電極の図示を省略している。
実施例1の表示装置は、支持体10上に2次元マトリクス状に配列された電子放出領域EAを備えたカソードパネルCPと、蛍光体層22及びアノード電極23が設けられたアノードパネルAPとが外周部で接合されており、カソードパネルCPとアノードパネルAPとによって挟まれた空間が真空に保持されている。そして、各電子放出領域EAは、
(A)支持体10上に形成され、第1の方向に延びるカソード電極11、
(B)支持体10及びカソード電極11上に設けられた絶縁層12、
(C)絶縁層12上に形成され、第1の方向とは異なる第2の方向に延びるゲート電極13、
(D)ゲート電極13及び絶縁層12の部分に設けられた開口部14、並びに、
(E)開口部14の底部に露出したカソード電極11の部分の上に形成された電子放出部15、
から構成されている。
実施例1の表示装置において、電界放出素子は、円錐形の電子放出部15を有するスピント型電界放出素子から構成されている。また、カソード電極11とゲート電極13とは、これらの両電極11,13の射影像が互いに直交する方向(第1の方向及び第2の方向)に各々帯状に形成されており、これらの両電極の射影像が重複する領域(1副画素(サブピクセル)分の領域に相当し、電子放出領域EAである)に、複数の電界放出素子が設けられている。尚、図面の簡素化のため、図1〜図4では、各電子放出領域EAにおいて4つの電子放出部15を図示した。そして、係る電子放出領域EAが、カソードパネルCPの有効領域(実際の表示部分として機能する領域)内に、通常、上述したとおり、2次元マトリクス状に配列されている。
そして、実施例1の表示装置にあっては、電子放出領域EAと電子放出領域EAとの間には、第1の方向に支持体10上に形成された第1フォーカス電極41、及び、第2の方向に絶縁層12上に形成された第2フォーカス電極42が備えられている。
ここで、実施例1にあっては、第1フォーカス電極41は一端で第1共通電極51に接続されており、第2フォーカス電極42は一端で第2共通電極52に接続されている。第1共通電極51及び第2共通電極52は、支持体10上に形成されている。また、第2共通電極52と各第2フォーカス電極42とは、絶縁層12に設けられたコンタクトホール53を介して接続されている。
尚、図8の(A)において、ゲート電極13を太い実線で示し、ゲート電極13とゲート電極制御回路32とを結ぶ配線を細い実線で示した。また、第2フォーカス電極42及び第2共通電極52を太い点線で示した。更には、図8の(B)において、カソード電極11を太い実線で示し、カソード電極11とカソード電極制御回路31とを結ぶ配線を細い実線で示した。また、第1フォーカス電極41及び第1共通電極51を太い点線で示した。
アノードパネルAPは、基板20と、基板20上に形成され、所定のパターンを有する蛍光体層22と、その上に形成されたアノード電極23から構成されている。1副画素(1サブピクセル)は、電子放出領域EAと、電子放出領域EAに対面したアノードパネル側の蛍光体層22とによって構成されている。有効領域には、かかる副画素が、例えば数十万〜数百万個ものオーダーにて配列されている。尚、蛍光体層22と蛍光体層22との間の基板20上には、ブラックマトリックス21が形成されている。図1等においては、隔壁やスペーサ、スペーサ保持部の図示を省略した。カラー表示の表示装置の場合には、1画素(1ピクセル)は、1つの赤色発光蛍光体層22R、1つの緑色発光蛍光体層22G、及び、1つの青色発光蛍光体層22Bの集合から構成されている。
アノードパネルAPとカソードパネルCPとを、電子放出領域EA(電界放出素子)と蛍光体層22とが対向するように配置し、周縁部において接合部材24を介して接合した後、排気し、封止することによって、表示装置を作製することができる。有効領域を包囲し、画素を選択するための周辺回路が形成された無効領域(図示した例では、カソードパネルCPの無効領域)には、真空排気用の貫通孔(図示せず)が設けられており、この貫通孔には真空排気後に封じ切られた排気管(図示せず)が接続されている。即ち、アノードパネルAPとカソードパネルCPと接合部材24とによって囲まれた空間は高真空(例えば、1×10-3Pa以下)となっている。
カソード電極11には相対的に負電圧がカソード電極制御回路31から印加され、ゲート電極13には相対的に正電圧がゲート電極制御回路32から印加され、アノード電極23にはゲート電極13よりも更に高い正電圧がアノード電極制御回路33から印加される。尚、図6において、ゲート電極13は、図面の右手の遠方において、接続部を介してゲート電極制御回路32に接続されている。また、図7において、カソード電極11は、図面の上側の遠方において、接続部を介してカソード電極制御回路31に接続されている。更には、図7において、第1共通電極51は、図面の右手の遠方において、接続部を介してフォーカス電極制御回路34に接続されており、第2共通電極52は、図面の上側の遠方において、接続部を介してフォーカス電極制御回路34に接続されている。
そして、係る表示装置において線順次駆動方式により画像の表示を行う場合、カソード電極11にカソード電極制御回路31からビデオ信号を入力し、ゲート電極13にゲート電極制御回路32から走査信号を入力する。これとは逆に、カソード電極11にカソード電極制御回路31から走査信号を入力し、ゲート電極13にゲート電極制御回路32からビデオ信号を入力してもよい。カソード電極11とゲート電極13との間に電圧を印加した際に生ずる電界により、量子トンネル効果に基づき電子放出部15から電子が放出され、この電子がアノード電極23に引き付けられ、アノード電極23を通過して蛍光体層22に衝突する。その結果、蛍光体層22が励起されて発光し、所望の画像を得ることができる。つまり、この表示装置の動作は、基本的に、ゲート電極13に印加される電圧、及び、カソード電極11に印加される電圧によって制御される。カソード電極11はカソード電極駆動ドライバによって駆動され、ゲート電極13はゲート電極駆動ドライバによって駆動される。カソード電極制御回路31、ゲート電極制御回路32、アノード電極制御回路33や駆動ドライバは周知の回路から構成することができる。
表示装置の実動作時、アノード電極制御回路33からアノード電極23に印加されるアノード電圧VAは、通常、一定であり、例えば、5キロボルト〜15キロボルト、具体的には、例えば、9キロボルト(例えば、d0=2.0mm)とすることができる。一方、表示装置の実動作時、カソード電極11に印加する電圧VC及びゲート電極13に印加する電圧VGに関しては、
(1)カソード電極11に印加する電圧VCを一定とし、ゲート電極13に印加する電圧VGを変化させる方式
(2)カソード電極11に印加する電圧VCを変化させ、ゲート電極13に印加する電圧VGを一定とする方式
(3)カソード電極11に印加する電圧VCを変化させ、且つ、ゲート電極13に印加する電圧VGも変化させる方式
のいずれを採用してもよい。
更には、第1フォーカス電極41及び第2フォーカス電極42には、フォーカス電極制御回路34から、所定の電位が与えられる。尚、実施例1にあっては、第1フォーカス電極41は第1共通電極51に接続されており、第2フォーカス電極42は第2共通電極52に接続されているので、各第1フォーカス電極41には同じ電位が与えられ、各第2フォーカス電極42には同じ電位が与えられる。従って、各電子放出領域EAに対しては、基本的には、第1フォーカス電極41及び第2フォーカス電極42によって、同じ、あるいは同程度のフォーカス作用が第1フォーカス電極41と平行な方向及び第2フォーカス電極42と平行な方向の2方向から及ぼされる。
実施例1、あるいは、後述する実施例2〜実施例5における電界放出素子は、例えば、図17及び図18を参照して説明する以下の方法で製造することができる。但し、図17及び図18にあっては、第1フォーカス電極41及び第2フォーカス電極42の図示を省略している。また、1つの電界放出素子のみを図示している。
[工程−100]
先ず、例えばガラスから成る支持体10上に、クロム(Cr)から成る帯状のカソード電極11及び第1フォーカス電極41、並びに、第1共通電極51、第2共通電極52を形成した後、全面にSiO2から成る絶縁層12を形成し、更に、クロム(Cr)から成る帯状のゲート電極13及び第2フォーカス電極42を絶縁層12上に形成する。これらの各種電極の形成は、例えば、スパッタリング法、リソグラフィ技術及びドライエッチング技術に基づき行うことができる。尚、第2共通電極52の上方の絶縁層12の部分に開口を設けておき、第2フォーカス電極42を形成するとき、係る開口を第2フォーカス電極42を構成する導電材料(クロム)で埋め込むことで、第2フォーカス電極42と第2共通電極52を接続するコンタクトホール53を得ることができる。また、カソード電極11の上に抵抗体膜を形成し、電界放出素子の動作安定化、電子放出特性の均一化、カソード電極とゲート電極との間のリーク電流の抑制を図ってもよい。
[工程−110]
次に、ゲート電極13、第2フォーカス電極42及び絶縁層12に、エッチング用マスクとして機能するレジスト層をリソグラフィ技術によって形成する。その後、RIE(反応性イオン・エッチング)法にてゲート電極13に第1開口部14Aを形成し、更に、絶縁層12に第2開口部14Bを形成する。こうして得られた開口部14の底部にはカソード電極11の一部が露出している。その後、レジスト層をアッシング技術によって除去する。こうして、図17の(A)に示す構造を得ることができる。
[工程−120]
次に、開口部14の底部に露出したカソード電極11上に、電子放出部15を形成する。具体的には、先ず、アルミニウムを斜め蒸着することにより、剥離層16を形成する。このとき、支持体10の法線に対する蒸着粒子の入射角を十分に大きく選択することにより、開口部14の底部にアルミニウムを殆ど堆積させることなく、ゲート電極13、第2フォーカス電極42及び絶縁層12上に剥離層16を形成することができる。この剥離層16は、開口部14の開口端部から庇状に張り出しており、これにより開口部14が実質的に縮径される(図17の(B)参照)。
[工程−130]
次に、全面に例えばモリブデン(Mo)を垂直蒸着する。このとき、図17の(C)に示すように、剥離層16上でオーバーハング形状を有するモリブデンから成る導電材料層17が成長するに伴い、開口部14の実質的な直径が次第に縮小されるので、開口部14の底部において堆積に寄与する蒸着粒子は、次第に開口部14の中央付近を通過するものに限られるようになる。その結果、開口部14の底部には円錐形の堆積物が形成され、この円錐形のモリブデンから成る堆積物が電子放出部15となる。
[工程−140]
その後、電気化学的プロセス及び湿式プロセスによって剥離層16を絶縁層12、第2フォーカス電極42及びゲート電極13の表面から剥離し、絶縁層12、第2フォーカス電極42及びゲート電極13の上方の導電材料層17を選択的に除去する。その結果、図18の(A)に示すように、開口部14の底部に位置するカソード電極11上に円錐形の電子放出部15を残すことができる。その後、絶縁層12を等方的にエッチングして開口部14の側面を後退させ、ゲート電極13に設けられた第1開口部14Aの端部を露出させることが好ましい(図18の(B)参照)。等方的なエッチングは、ケミカルドライエッチングのようにラジカルを主エッチング種として利用するドライエッチング、あるいは、エッチング液を利用するウェットエッチングにより行うことができる。エッチング液として、例えば49%フッ酸水溶液と純水の1:100(容積比)混合液を用いることができる。
[工程−150]
次いで、図1等に示す表示装置の組立を行う。具体的には、図示しない局所的に配置されたスペーサを介して、蛍光体層22と電子放出領域EAとが対向するようにアノードパネルAPとカソードパネルCPとを配置する。アノードパネルAPとカソードパネルCP(より具体的には、支持体10と基板20)とを、例えば接合部材24を介して、周縁部において接合する。接合に際しては、接合部材24とアノードパネルAPとの接合部位、及び、接合部材24とカソードパネルCPとの接合部位に接着層としてのフリットガラスを塗布し、予備焼成にてフリットガラスを乾燥した後、アノードパネルAPとカソードパネルCPと接合部材24とを貼り合わせ、約450゜Cで10〜30分の本焼成を行う。その後、アノードパネルAPとカソードパネルCPと接合部材24とによって囲まれた空間を、貫通孔及び排気管を通じて排気し、空間の圧力が10-4Pa程度に達した時点で排気管を加熱溶融や圧接により封じ切る。このようにして、アノードパネルAPとカソードパネルCPと接合部材24とに囲まれた空間を真空にすることができる。その後、必要な外部回路との配線を行い、実施例1の表示装置を完成させることができる。
実施例1の表示装置にあっては、第1フォーカス電極41は、カソード電極11と同様にして支持体10上に形成され、第2フォーカス電極42は、ゲート電極13と同様にして絶縁層12上に形成され、しかも、電子放出領域EAのそれぞれの第1フォーカス電極41は、一端で第1共通電極51に接続され、電子放出領域EAのそれぞれの第2フォーカス電極42は、一端で第2共通電極52に接続されている。更には、第1共通電極51及び第2共通電極52は、支持体10上に形成されている。従って、簡素な構造にも拘わらず、電子放出領域EAから放出される電子ビームに対して、カソード電極11の延びる方向と平行な方向、及び、ゲート電極13の延びる方向と平行な方向の2方向から、独立してフォーカス作用を及ぼすことが可能となる。
尚、第1フォーカス電極41を一端で第1共通電極51に接続し、第2フォーカス電極42を一端で第2共通電極52に接続する代わりに、各第1フォーカス電極41及び各第2フォーカス電極42を、個別に、フォーカス電極制御回路34に接続し、与えるべき電位を個別に制御してもよく、これによって、電子放出領域EAのそれぞれから放出される電子ビームに対して、カソード電極11の延びる方向と平行な方向、及び、ゲート電極13の延びる方向と平行な方向の2方向から、独立してフォーカス作用を及ぼすことが可能となる。
実施例1における第1フォーカス電極41及び第2フォーカス電極42に基づき、電子ビームが蛍光体層22に衝突するとき、どの程度の大きさをもって衝突するかをシミュレーションした。具体的には、第1の方向に沿った長さ(カソード電極の延びる方向に沿った長さ)を50μm、第2の方向に沿った長さ(ゲート電極の延びる方向に沿った長さ)を5.5μmとした電子放出領域EAから電子ビームが放出され、第1フォーカス電極41に0ボルトを印加し、第2フォーカス電極42に0ボルトを印加したときに、蛍光体層22に衝突したときの電子ビームの大きさを第1の方向におけるスポットサイズ1.0(シミュレーション結果の値:179μm)、第2の方向におけるスポットサイズ1.0(シミュレーション結果の値:213μm)として規格化する。ここで、第1フォーカス電極41に印加する電圧をV1ボルト、第2フォーカス電極42に印加する電圧をV2ボルトとするとき、V(V1,V2)と表記する。
そして、V2=100ボルト一定とした状態で、V(−100,100)からV1を20ボルト刻みで100ボルトまで増加させたときの蛍光体層22に衝突する電子ビームの大きさを規格化したグラフを、図14に「A」シリーズ(黒丸印で図示する)で示す。ここで、A0はV(−100,100)のときの規格化された電子ビームの大きさであり、A5はV(0,100)のときの規格化された電子ビームの大きさであり、A10はV(100,100)のときの規格化された電子ビームの大きさである。また、V2=50ボルト一定とした状態で、V(−100,50)からV1を20ボルト刻みで100ボルトまで増加させたときの蛍光体層22に衝突する電子ビームの大きさを規格化したグラフを、図14に「B」シリーズ(白丸印で図示する)で示す。ここで、B0はV(−100,50)のときの規格化された電子ビームの大きさであり、B5はV(0,50)のときの規格化された電子ビームの大きさであり、B10はV(100,50)のときの規格化された電子ビームの大きさである。更には、V2=0ボルト一定とした状態で、V(−100,0)からV1を20ボルト刻みで100ボルトまで増加させたときの蛍光体層22に衝突する電子ビームの大きさを規格化したグラフを、図14に「C」シリーズ(黒四角印で図示する)で示す。ここで、C0はV(−100,0)のときの規格化された電子ビームの大きさであり、C5はV(0,0)のときの規格化された電子ビームの大きさであり、C10はV(100,0)のときの規格化された電子ビームの大きさである。また、V2=−50ボルト一定とした状態で、V(−100,−50)からV1を20ボルト刻みで100ボルトまで増加させたときの蛍光体層22に衝突する電子ビームの大きさを規格化したグラフを、図14に「D」シリーズ(白四角印で図示する)で示す。ここで、D0はV(−100,−50)のときの規格化された電子ビームの大きさであり、D5はV(0,−50)のときの規格化された電子ビームの大きさであり、D10はV(100,−50)のときの規格化された電子ビームの大きさである。更には、V2=−100ボルト一定とした状態で、V(−100,−100)からV1を20ボルト刻みで100ボルトまで増加させたときの蛍光体層22に衝突する電子ビームの大きさを規格化したグラフを、図14に「E」シリーズ(白三角印で図示する)で示す。ここで、E0はV(−100,−100)のときの規格化された電子ビームの大きさであり、E5はV(0,−100)のときの規格化された電子ビームの大きさであり、E10はV(100,−100)のときの規格化された電子ビームの大きさである。
図14から、V(V1,V2)の値を変化させることで、蛍光体層22に衝突する電子ビームの大きさが変化することが判る。従って、V(V1,V2)の値を適切に選択することで、蛍光体層22に衝突する電子ビームの大きさや、蛍光体層22に衝突する電子ビームの重心の位置の制御を行うことができる。
実施例2は、実施例1の変形である。実施例1においては、第1フォーカス電極41は一端で第1共通電極51に接続されており、第2フォーカス電極42は一端で第2共通電極52に接続されている構成とした。一方、実施例2にあっては、カソードパネルCPとアノードパネルAPとの間には、局所的に、第2の方向に延びるスペーサが配置されており、スペーサの下方に位置する第2フォーカス電極142Aは一端で第1の第2共通電極152Aに接続され、それ以外の第2フォーカス電極142Bは一端で第2の第2共通電極152Bに接続されている。あるいは又、スペーサに隣接した第2フォーカス電極142Aに印加される電位と、スペーサに隣接していない第2フォーカス電極142Bに印加される電位とは異なる。
実施例2の表示装置におけるゲート電極13及び第2フォーカス電極142A,142B、第1の第2共通電極152A、第2の第2共通電極152Bの電気的接続状態を模式的に図9に示す。図9においては、スペーサを矩形の図形で示し、4本のスペーサを図示した。また、図9において、ゲート電極13を太い実線で示し、ゲート電極13とゲート電極制御回路32とを結ぶ配線を細い実線で示した。更には、第2フォーカス電極142A,142B及び第2共通電極152A,152Bを太い点線で示した。
以上の点を除き、実施例2の表示装置の構成、構造は、実施例1の表示装置の構成、構造と同じとすることができるので、詳細な説明は省略する。
スペーサに隣接した電子放出領域EAから放出される電子ビームの軌道と、スペーサに隣接していない電子放出領域EAから放出される電子ビームの軌道とは、スペーサの存在に起因して、屡々、異なる。実施例2においては、スペーサの下方に位置する第2フォーカス電極142Aは一端で第1の第2共通電極152Aに接続され、それ以外の第2フォーカス電極142Bは一端で第2の第2共通電極152Bに接続されている。あるいは又、スペーサに隣接した第2フォーカス電極142Aに印加される電位と、スペーサに隣接していない第2フォーカス電極142Bに印加される電位とは異なる。従って、第1の第2共通電極152Aに与える電位と、第2の第2共通電極152Bに与える電位との最適化を図ることで、スペーサの存在に起因した電子ビームの軌道の差異を出来る限り少なくすることができる。
尚、スペーサの下方に位置する第2フォーカス電極142Aを一端で第1の第2共通電極152Aに接続し、それ以外の第2フォーカス電極142Bを一端で第2の第2共通電極152Bに接続する代わりに、スペーサの下方に位置する各第2フォーカス電極142A及びそれ以外の各第2フォーカス電極142Bを、個別に、フォーカス電極制御回路34に接続し、スペーサに隣接した第2フォーカス電極142Aに印加される電位と、スペーサに隣接していない第2フォーカス電極142Bに印加される電位とは異ならせ、且つ、与えるべき電位を個別に制御してもよく、これによって、電子放出領域EAのそれぞれから放出される電子ビームに対して、カソード電極11の延びる方向と平行な方向、及び、ゲート電極13の延びる方向と平行な方向の2方向から、独立してフォーカス作用を及ぼすことが可能となるし、スペーサに隣接した電子放出領域EAとスペーサに隣接していない電子放出領域EAとの間における電子ビームの軌道の変化を、より緻密に、且つ、正確に制御することができる。
実施例3も実施例1の変形であるが、実施例3は、第2の構成の表示装置に関する。実施例3の表示装置におけるゲート電極及び第2フォーカス電極の電気的接続状態を模式的に図10に示す。図10において、ゲート電極13を太い実線で示し、ゲート電極13とゲート電極制御回路32とを結ぶ配線を細い実線で示した。更には、第2フォーカス電極242A,242B及び第2共通電極252A,252Bを太い点線で示した。
実施例3の表示装置において、第2フォーカス電極は、互いに平行に延びる第1番目の第2フォーカス電極242A及び第2番目の第2フォーカス電極242Bから構成されている。即ち、1つの電子放出領域EAから見た場合、ゲート電極13の一方の側には、ゲート電極13と平行に第1番目の第2フォーカス電極242Aが延びており、ゲート電極13の他方の側には、ゲート電極13と平行に第2番目の第2フォーカス電極242Bが延びている。そして、第1番目の第2フォーカス電極242Aに印加される電位は、第2番目の第2フォーカス電極242Bに印加される電位と異なる。ここで、第1番目の第2フォーカス電極242Aは一端で第1の第2共通電極252Aに接続されており、第2番目の第2フォーカス電極242Bは一端で第2の第2共通電極252Bに接続されている。尚、第1フォーカス電極の構成は、実施例1と同様である。
以上の点を除き、実施例3の表示装置の構成、構造は、実施例1の表示装置の構成、構造と同じとすることができるので、詳細な説明は省略する。
フォーカス電極としてこのような構成を採用することでも、簡素な構造にも拘わらず、電子放出領域EAから放出される電子ビームに対して、カソード電極11の延びる方向と平行な方向、及び、ゲート電極13の延びる方向と平行な方向の2方向から、独立してフォーカス作用を及ぼすことが可能となる。しかも、表示装置毎に、カソード電極11の延びる方向と平行な方向におけるフォーカス作用の大小の調節(電子ビームの軌道に対する一種のバイアス電界の調節、あるいは、電子ビーム全体の偏向の調節)を行うことができる。
また、第1番目の第2フォーカス電極242Aを一端で第1の第2共通電極252Aに接続し、第2番目の第2フォーカス電極242Bを一端で第2の第2共通電極252Bに接続する代わりに、各第1番目の第2フォーカス電極242A及び各第2番目の第2フォーカス電極242Bを、個別に、フォーカス電極制御回路34に接続し、与えるべき電位を個別に制御してもよく、これによって、電子放出領域EAのそれぞれから放出される電子ビームに対して、カソード電極11の延びる方向と平行な方向、及び、ゲート電極13の延びる方向と平行な方向の2方向から、独立してフォーカス作用を及ぼすことが可能となるし、カソード電極11の延びる方向と平行な方向におけるフォーカス作用を、より緻密に、且つ、正確に制御することができる。以下の実施例4においても同様とすることができる。尚、ゲート電極13とゲート電極13との間に2本の第2フォーカス電極242A,242Bを配置したが、代替的に、ゲート電極13とゲート電極13との間に1本の第2フォーカス電極を配置し、例えば、奇数番目の第2フォーカス電極を一端で第1の第2共通電極252Aに接続し、偶数番目の第2フォーカス電極を一端で第2の第2共通電極252Bに接続してもよく、この場合には、第2フォーカス電極と第2フォーカス電極との間に位置するゲート電極13の作動に応じて、係るゲート電極13の両側に配置された各第2フォーカス電極に印加する電圧を制御すればよい。
実施例4は実施例3の変形である。実施例4の表示装置におけるカソード電極及び第1フォーカス電極の電気的接続状態を模式的に図11に示す。図11において、カソード電極11を太い実線で示し、カソード電極11とカソード電極制御回路31とを結ぶ配線を細い実線で示した。更には、第1フォーカス電極341A,341B及び第1共通電極351A,351Bを太い点線で示した。
実施例4の表示装置にあっては、第1フォーカス電極は、互いに平行に延びる第1番目の第1フォーカス電極341A及び第2番目の第1フォーカス電極342Bから構成されている。そして、第1番目の第1フォーカス電極341Aに印加される電位は、第2番目の第1フォーカス電極341Bに印加される電位と異なる。ここで、第1番目の第1フォーカス電極341Aは一端で第1の第1共通電極351Aに接続されており、第2番目の第1フォーカス電極341Bは一端で第2の第1共通電極351Bに接続されている。尚、第2フォーカス電極の構成は、実施例3と同様である。
以上の点を除き、実施例4の表示装置の構成、構造は、実施例3の表示装置の構成、構造と同じとすることができるので、詳細な説明は省略する。
フォーカス電極としてこのような構成を採用することでも、簡素な構造にも拘わらず、電子放出領域EAから放出される電子ビームに対して、カソード電極11の延びる方向と平行な方向、及び、ゲート電極13の延びる方向と平行な方向の2方向から、独立してフォーカス作用を及ぼすことが可能となる。しかも、表示装置毎に、カソード電極11の延びる方向と平行な方向、及び、ゲート電極13の延びる方向と平行な方向におけるフォーカス作用の大小の調節(電子ビームの軌道に対する一種のバイアス電界の調節、あるいは、電子ビーム全体の偏向の調節)を行うことができる。
また、第1番目の第1フォーカス電極341Aを一端で第1の第1共通電極351Aに接続し、第2番目の第1フォーカス電極341Bを一端で第2の第1共通電極351Bに接続する代わりに、各第1番目の第1フォーカス電極341A及び各第2番目の第1フォーカス電極341Bを、個別に、フォーカス電極制御回路34に接続し、与えるべき電位を個別に制御してもよく、これによって、電子放出領域EAのそれぞれから放出される電子ビームに対して、カソード電極11の延びる方向と平行な方向、及び、ゲート電極13の延びる方向と平行な方向の2方向から、独立してフォーカス作用を及ぼすことが可能となるし、ゲート電極13の延びる方向と平行な方向におけるフォーカス作用を、より緻密に、且つ、正確に制御することができる。尚、カソード電極11とカソード電極11との間に2本の第1フォーカス電極341A,341Bを配置したが、代替的に、カソード電極11とカソード電極11との間に1本の第1フォーカス電極を配置し、例えば、奇数番目の第1フォーカス電極を一端で第1の第1共通電極351Aに接続し、偶数番目の第1フォーカス電極を一端で第2の第1共通電極351Bに接続してもよく、この場合には、第1フォーカス電極と第1フォーカス電極との間に位置するカソード電極11の作動に応じて、係るカソード電極11の両側に配置された各第1フォーカス電極に印加する電圧を制御すればよい。
また、実施例4における第1フォーカス電極の構成と、実施例1における第2フォーカス電極42の構成を組み合わせてもよい。
実施例5も実施例3の変形である。実施例5の表示装置におけるゲート電極13及び第2フォーカス電極442A,442B、第1の第2共通電極452A、第2の第2共通電極452Bの電気的接続状態を模式的に図12に示す。図12においても、スペーサを矩形の図形で示し、4本のスペーサを図示した。また、図12において、ゲート電極13を太い実線で示し、ゲート電極13とゲート電極制御回路32とを結ぶ配線を細い実線で示した。更には、第2フォーカス電極442A,442B及び第2共通電極452A,452Bを太い点線で示した。
実施例5にあっては、実施例2と同様に、カソードパネルCPとアノードパネルAPとの間には、局所的に、第2の方向に延びるスペーサが配置されており、スペーサの下方に位置する第1番目の第2フォーカス電極442Aは一端で第1の第2共通電極452Aに接続され、それ以外の第2番目の第2フォーカス電極442Bは一端で第2の第2共通電極452Bに接続されている。あるいは又、スペーサに隣接した第1番目の第2フォーカス電極442Aに印加される電位と、スペーサに隣接していない第2番目の第2フォーカス電極442Bに印加される電位とは異なる。
以上の点を除き、実施例5の表示装置の構成、構造は、実施例3の表示装置の構成、構造と同じとすることができるので、詳細な説明は省略する。
実施例5においては、スペーサの下方に位置する第1番目の第2フォーカス電極442Aは一端で第1の第2共通電極452Aに接続され、それ以外の第2番目の第2フォーカス電極442Bは一端で第2の第2共通電極452Bに接続されている。あるいは又、スペーサに隣接した第1番目の第2フォーカス電極442Aに印加される電位と、スペーサに隣接していない第2番目の第2フォーカス電極442Bに印加される電位とは異なる。従って、第1の第2共通電極452Aに与える電位と、第2の第2共通電極452Bに与える電位との最適化を図ることで、スペーサの存在に起因した電子ビームの軌道の差異を出来る限り少なくすることができる。
尚、スペーサの下方に位置する第1番目の第2フォーカス電極442Aを一端で第1の第2共通電極452Aに接続し、それ以外の第2番目の第2フォーカス電極442Bを一端で第2の第2共通電極452Bに接続する代わりに、スペーサの下方に位置する各第1番目の第2フォーカス電極442A及びそれ以外の各第2番目の第2フォーカス電極442Bを、個別に、フォーカス電極制御回路34に接続し、スペーサに隣接した第1番目の第2フォーカス電極442Aに印加される電位と、スペーサに隣接していない第2番目の第2フォーカス電極442Bに印加される電位とは異ならせ、且つ、与えるべき電位を個別に制御してもよく、これによって、電子放出領域EAのそれぞれから放出される電子ビームに対して、カソード電極11の延びる方向と平行な方向、及び、ゲート電極13の延びる方向と平行な方向の2方向から、独立してフォーカス作用を及ぼすことが可能となるし、スペーサに隣接した電子放出領域EAとスペーサに隣接していない電子放出領域EAとの間における電子ビームの軌道の変化を、より緻密に、且つ、正確に制御することができる。
また、実施例5における第2フォーカス電極の構成と、実施例4における第1フォーカス電極の構成を組み合わせてもよい。
更には、ゲート電極13及び第2フォーカス電極442A,442B1,442B2、第1の第2共通電極452A、第2の第2共通電極452B1,452B2の電気的接続状態を模式的に図13に示すように、スペーサに隣接したゲート電極13のスペーサ側に第1番目の第2フォーカス電極442Aを配置し、スペーサに隣接したゲート電極13のスペーサとは反対側に第2番目の第2フォーカス電極442B1を配置し、第1番目の第2フォーカス電極442Aを一端で第1の第2共通電極452Aに接続し、第2番目の第2フォーカス電極442B1を一端で第2の第2共通電極452B1に接続し、それ以外の第2番目の第2フォーカス電極442B2を一端で第2の第2共通電極452B2に接続する構成としてもよい。
このような構成にすることで、第1の第2共通電極452Aに与える電位と、第2の第2共通電極452B1,242B2に与える電位との最適化を図ることで、スペーサの存在に起因した電子ビームの軌道の差異を一層少なくすることができる。
尚、この場合にあっても、スペーサの下方に位置する各第1番目の第2フォーカス電極442A及びそれ以外の各第2番目の第2フォーカス電極442B1,442B2を、個別に、フォーカス電極制御回路34に接続し、スペーサに隣接した第1番目の第2フォーカス電極442Aに印加される電位と、スペーサに隣接していない第2番目の第2フォーカス電極442B1,442B2に印加される電位とは異ならせ、且つ、与えるべき電位を個別に制御してもよく、これによって、電子放出領域EAのそれぞれから放出される電子ビームに対して、カソード電極11の延びる方向と平行な方向、及び、ゲート電極13の延びる方向と平行な方向の2方向から、独立してフォーカス作用を及ぼすことが可能となるし、スペーサに隣接した電子放出領域EAとスペーサに隣接していない電子放出領域EAとの間における電子ビームの軌道の変化を、より一層緻密に、且つ、正確に制御することができる。
また、スペーサの下方に位置する2本の第1番目の第2フォーカス電極442Aを、纏めて、1本の第1番目の第2フォーカス電極442Aとしてもよい。ゲート電極13とゲート電極13との間に2本の第2フォーカス電極を配置したが、代替的に、ゲート電極13とゲート電極13との間に1本の第2フォーカス電極を配置し、例えば、奇数番目の第2フォーカス電極を一端で第1の第2共通電極に接続し、偶数番目の第2フォーカス電極を一端で第2の第2共通電極に接続してもよく、この場合には、第2フォーカス電極と第2フォーカス電極との間に位置するゲート電極13の作動に応じて、係るゲート電極13の両側に配置された各第2フォーカス電極に印加する電圧を制御すればよい。
以上、本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例にて説明した平面型表示装置、カソードパネルやアノードパネル、電界放出素子の構成、構造、構成材料、加工条件、製造条件等は例示であり、適宜、変更することができる。冷陰極電界電子放出表示装置においては、専らカラー表示を例にとり説明したが、単色表示とすることもできる。
図15に、実施例1の冷陰極電界電子放出表示装置の変形例において、ゲート電極が延びる方向と平行な仮想平面でゲート電極を含む領域を切断したと想定したときの模式的な一部端面図を示し、図16に、ゲート電極と第2フォーカス電極の配置状態を模式的に示すように、第1フォーカス電極41の上方の絶縁層12に孔部18を設け、孔部18の底部に第1フォーカス電極41の一部を露出させてもよい。このような構成、構造にすることで、第1フォーカス電極41にて形成される電界が絶縁層12によって受ける影響を少なくすることができる。尚、図15は、図16の矢印A−Aに沿った模式的な一部端面図である。
図1は、実施例1の冷陰極電界電子放出表示装置において、ゲート電極が延びる方向と平行な仮想平面でゲート電極を含む領域を切断したと想定したときの模式的な一部端面図である。 図2は、実施例1の冷陰極電界電子放出表示装置において、ゲート電極が延びる方向と平行な仮想平面で第2フォーカス電極を含む領域を切断したと想定したときの模式的な一部端面図である。 図3は、実施例1の冷陰極電界電子放出表示装置において、カソード電極が延びる方向と平行な仮想平面でカソード電極を含む領域を切断したと想定したときの模式的な一部端面図である。 図4は、実施例1の冷陰極電界電子放出表示装置において、カソード電極が延びる方向と平行な仮想平面で第1フォーカス電極を含む領域を切断したと想定したときの模式的な一部端面図である。 図5は、実施例1の冷陰極電界電子放出表示装置におけるカソードパネル及びアノードパネルを分解したときの一部分の模式的な分解斜視図である。 図6は、実施例1の冷陰極電界電子放出表示装置において、ゲート電極と第2フォーカス電極の配置状態を模式的に示す図である。 図7は、実施例1の冷陰極電界電子放出表示装置において、カソード電極と第1フォーカス電極の配置状態を模式的に示す図である。 図8の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例1の冷陰極電界電子放出表示装置におけるゲート電極と第2フォーカス電極の電気的接続状態を示す概念図、及び、カソード電極と第1フォーカス電極の電気的接続状態を示す概念図である。 図9は、実施例2の冷陰極電界電子放出表示装置におけるゲート電極と第2フォーカス電極の電気的接続状態を示す概念図である。 図10は、実施例3の冷陰極電界電子放出表示装置におけるゲート電極と第2フォーカス電極の電気的接続状態を示す概念図である。 図11は、実施例4の冷陰極電界電子放出表示装置におけるカソード電極と第1フォーカス電極の電気的接続状態を示す概念図である。 図12は、実施例5の冷陰極電界電子放出表示装置におけるゲート電極と第2フォーカス電極の電気的接続状態を示す概念図である。 図13は、実施例5の冷陰極電界電子放出表示装置の変形例におけるゲート電極と第2フォーカス電極の電気的接続状態を示す概念図である。 図14は、実施例1における第1フォーカス電極及び第2フォーカス電極に基づき、電子ビームが蛍光体層に衝突するとき、どの程度の大きさをもって衝突するかをシミュレーションした結果を示すグラフである。 図15は、実施例1の冷陰極電界電子放出表示装置の変形例において、ゲート電極が延びる方向と平行な仮想平面でゲート電極を含む領域を切断したと想定したときの模式的な一部端面図である。 図16は、図15に示した実施例1の冷陰極電界電子放出表示装置の変形例において、ゲート電極と第2フォーカス電極の配置状態を模式的に示す図である。 図17の(A)〜(C)は、実施例の冷陰極電界電子放出表示装置における冷陰極電界電子放出素子の製造方法を説明するための支持体等の模式的な一部端面図である。 図18の(A)及び(B)は、図17の(C)に引き続き、実施例の冷陰極電界電子放出表示装置における冷陰極電界電子放出素子の製造方法を説明するための支持体等の模式的な一部端面図である。 図19は、ゲート電極が延びる方向と平行な仮想平面でゲート電極を含む従来の冷陰極電界電子放出表示装置の領域を切断したと想定したときの模式的な一部端面図である。 図20は、冷陰極電界電子放出表示装置を構成する電子放出部から電子が或る程度の発散角をもって放出される状態を模式的に示す図である。
符号の説明
10・・・支持体、11・・・カソード電極、12・・・絶縁層、13・・・ゲート電極、13A・・・ゲート電極の開口端、14,14A,14B・・・開口部、15・・・電子放出部、16・・・剥離層、17・・・導電材料層、18・・・孔部、20・・・基板、21・・・光吸収層(ブラックマトリックス)、22,22R,22G,22B・・・蛍光体層、23・・・アノード電極、31・・・カソード電極制御回路、32・・・ゲート電極制御回路、33・・・アノード電極制御回路、34・・・フォーカス電極制御回路、40・・・フォーカス電極、41・・・第1フォーカス電極、42・・・第2フォーカス電極、51・・・第1共通電極、52・・・第2共通電極、53・・・コンタクトホール、CP・・・カソードパネル、AP・・・アノードパネル、EA・・・電子放出領域

Claims (8)

  1. 支持体上に2次元マトリクス状に配列された電子放出領域を備えたカソードパネルと、蛍光体層及びアノード電極が設けられたアノードパネルとが外周部で接合されており、カソードパネルとアノードパネルとによって挟まれた空間が真空に保持されている冷陰極電界電子放出表示装置であって、
    各電子放出領域は、
    (A)支持体上に形成され、第1の方向に延びるカソード電極、
    (B)支持体及びカソード電極上に設けられた絶縁層、
    (C)絶縁層上に形成され、第1の方向とは異なる第2の方向に延びるゲート電極、
    (D)ゲート電極及び絶縁層の部分に設けられた開口部、並びに、
    (E)開口部の底部に露出したカソード電極の部分の上に形成された電子放出部、
    から構成されており、
    電子放出領域と電子放出領域との間には、第1の方向に延び、支持体上に形成された第1フォーカス電極、及び、第2の方向に延び、絶縁層上に形成された第2フォーカス電極が備えられていることを特徴とする冷陰極電界電子放出表示装置。
  2. 第1フォーカス電極は一端で第1共通電極に接続されており、
    第2フォーカス電極は一端で第2共通電極に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の冷陰極電界電子放出表示装置。
  3. 第2フォーカス電極は、互いに平行に延びる第1番目の第2フォーカス電極及び第2番目の第2フォーカス電極から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の冷陰極電界電子放出表示装置。
  4. 第1番目の第2フォーカス電極に印加される電位は、第2番目の第2フォーカス電極に印加される電位と異なることを特徴とする請求項3に記載の冷陰極電界電子放出表示装置。
  5. 第1フォーカス電極は、互いに平行に延びる第1番目の第1フォーカス電極及び第2番目の第1フォーカス電極から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の冷陰極電界電子放出表示装置。
  6. 第1番目の第1フォーカス電極に印加される電位は、第2番目の第1フォーカス電極に印加される電位と異なることを特徴とする請求項5に記載の冷陰極電界電子放出表示装置。
  7. カソードパネルとアノードパネルとの間には、局所的に、第2の方向に延びるスペーサが配置されており、
    スペーサに隣接した第2フォーカス電極に印加される電位と、スペーサに隣接していない第2フォーカス電極に印加される電位とは異なることを特徴とする請求項1に記載の冷陰極電界電子放出表示装置。
  8. カソードパネルとアノードパネルとの間には、局所的に、第2の方向に延びるスペーサが配置されており、
    スペーサの下方に位置する第2フォーカス電極は一端で第1の第2共通電極に接続され、それ以外の第2フォーカス電極は一端で第2の第2共通電極に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の冷陰極電界電子放出表示装置。
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