JP2009159775A - スイッチド・リラクタンス・モータ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 全てのロータティース24の先端部には複数の凹凸が設けられており、ステータティース23とロータティース24が最も早く近づく側の凹部αを深く設けたことで、ステータティース23とロータティース24の重なり初期における磁気抵抗が大きくなり、最大発生トルクを抑えることができる。重なり代が大きくなるに従って磁気抵抗が小さくなることで、出力トルクの低下が抑えられる。これにより、大電流時には、重なり初期の過大トルクの発生が抑えられるとともに、出力トルクの低下が抑えられ、トルク変動を抑えることができる。また、小電流時には最小発生トルクを向上できる。
【選択図】 図1
Description
以下では、SRモータの具体的な使用例として、シフトレンジ切替装置(シフト・バイ・ワイヤ:SBW)に用いられるものを示す。
車両用の自動変速機は、シフトレンジ切替機構(パーキング切替機構を含む)を搭載しており、従来では運転者が手動にて切り替えを実施していたが、近年、シフトレンジ切替機構を、SRモータを搭載したSBWアクチュエータによって切り替えるシフトレンジ切替装置が市場に広がりつつある。
SRモータの出力トルクは、T=0.5I2 ×dL/dθで表される。
ここで、Tは出力トルク、Iは電流、Lはコイルのインダクタンス、θはロータの回転角度である。
このように、SRモータの出力トルク(T)は、コイルに印加される電流(I)、及びインダクタンス変化率(dL/dθ)により変化する。
即ち、コイルに与えられる電流が大きい場合は、大きなトルク変動(トルクリップル)が発生する不具合があった。
逆に、コイルに与えられる電流が小さい場合、図3の破線C’に示すように、ステータティースとロータティースの重なり代が大きくなるに従いインダクタンス変化率(dL/dθ)が低下するが、電流が小さいため出力トルクの変動が小さくなる。即ち、図4の破線D’に示すように、SRモータの出力トルクは、ロータの回転角度全域でほぼ一定となる。
しかし、電流が小さくても、図4の破線D’に示すように、ステータティースとロータティースの重なり代が大きくなるに従いインダクタンス変化率(dL/dθ)が低下することで、ステータティースと、ロータティースの重なり代が大きくなるに従い出力トルクが低下する。
即ち、コイルに与えられる電流が小さい場合は、出力トルクの変動は抑えられるものの、重なり代が大きくなるに従い出力トルクが低下していた。
SRモータのコイルに印加される電流は、「バッテリの状態」や「温度」に応じて変化する。
高温時には、電気抵抗が大きくなることで電流が下がって出力トルクが小さくなる。一方、低バッテリ電圧時は、電流が下がって出力トルクが小さくなる。このため、高温時で且つ低バッテリ電圧時は、SRモータの電流が最小になる(高温時×低電圧時=最小電流)。
そこで、「高温時×低電圧時=最小電流」の最悪条件下に必要トルクを確保すると、逆条件時である「低温時×高電圧時=最大電流」に過大な出力トルクが発生することになり、出力負荷側(SRモータによって駆動される駆動対象物:SRモータから駆動対象物に至る回転伝達系や、駆動対象物の構成部品)に機械的なダメージを与える可能性がある。 具体的には、図3の破線B’に示すように、最大電流時におけるステータティースと、ロータティースの重なり開始付近において、過大な出力トルクが発生し、出力負荷側に機械的なダメージを与える可能性がある。
しかし、特許文献1を採用しても、大電流時(特に、最大電流時)に大きなトルク変動が発生するとともに、過大な出力トルクが発生する不具合があった。
請求項1の手段を採用するSRモータは、ステータティースまたはロータティースの先端部に、回転方向に沿って複数の凹凸を設けるとともに、凹部の深さを、ロータが回転した際にステータティースとロータティースが最も早く近づく側を深く、ステータティースとロータティースの回転方向の重なり代が大きくなる方向に向けて浅く設けたものである。
<効果1>
(大電流時)
ステータティースとロータティースが最も早く近づく側の凹部を深く設けたことで、ステータティースとロータティースの重なり初期における平均エアギャップが大きくなり(ステータティースとロータティースの磁気抵抗が大きくなり)、インダクタンスの変化率を小さくできる。これにより、最大発生トルクを抑えることができる。
また、ステータティースとロータティースの重なり代が大きくなるに従って凹部を浅く設けたことで、平均エアギャップが小さくなり(ステータティースとロータティースの磁気抵抗が小さくなり)、インダクタンスの変化率を大きくできる。これにより、出力トルクの低下が抑えられる。
このように、大電流時には、重なり初期における最大発生トルクが抑えられ、重なり代が大きくなるに従い、出力トルクの低下が抑えられるため、大電流時におけるトルク変動を抑えることができる。
(小電流時)
従来の技術では、ステータティースとロータティースの重なり代が大きくなるに従って出力トルクが低下していた。
これに対し、請求項1の発明では、上述したように、ステータティースとロータティースの重なり代が大きくなるに従って凹部を浅く設けたことで、平均エアギャップが小さくなり(ステータティースとロータティースの磁気抵抗が小さくなり)、インダクタンスの変化率を大きくできる。これにより、ステータティースとロータティースの重なり代が大きくなった時の出力トルクの低下が抑えられる。
このように、小電流時において、最小発生トルクの向上を図ることができる。
(大電流時)
請求項1の発明では、上述したように、ステータティースとロータティースが最も早く近づく側の凹部を深く設けたことで、ステータティースとロータティースの重なり初期における平均エアギャップが大きくなり(ステータティースとロータティースの磁気抵抗が大きくなり)、インダクタンスの変化率を小さくできる。これにより、最大発生トルクを抑えることができる。
このように、大電流時における重なり初期の最大発生トルクが抑えられるため、大電流時(特に、最大電流時)における過大な出力トルクの発生を抑えることができる。これによって、SRモータによって駆動される出力負荷側に機械的なダメージを与える不具合を回避することができる。
請求項2の手段を採用するSRモータは、ペアを成すステータティースまたはロータティースに設けられる凹凸の順序が回転方向に対して逆の関係(逆位相)に設けられている。
これにより、ステータティースとロータティースが回転により重なり代が変化する際、ペアのうち一方が凸部でエアギャップが小さい時に、ペアのうちの他方が凹部でエアギャップが大きくなる。これにより、エアギャップの変化度合が小さく、凹凸を設けたことによるトルク変動の発生を防ぐことができる。
請求項3の手段を採用するSRモータは、ロータが正逆両方向へ回転可能なタイプであり、凹部の深さは、回転方向の両端側が深く、ロータティースにおける回転方向の中央部に向けて浅く設けられている。
これにより、SRモータを正逆どちらに回転させても、上述した効果を得ることができる。
最良の形態のSRモータは、ステータティースまたはロータティースの先端部に、回転方向に複数の凹凸が設けられる。凹部の深さは、ロータが回転した際にステータティースとロータティースが最も早く近づく側が深く、ステータティースとロータティースの回転方向の重なり代が大きくなる方向に向けて浅く設けられている。
なお、凹凸の順序は、回転方向に対して逆の関係(逆位相)に設けられることが望ましい。
また、ロータが正逆両方向へ回転するタイプ(回転方向の指定が無いタイプを含む)の場合、凹部の深さは、回転方向の両端側が深く、ロータティースにおける回転方向の中央部に向けて浅く設けられることが望ましい。
(シフトレンジ切替装置の説明)
シフトレンジ切替装置は、車両用自動変速機2(図5参照)に搭載されたシフトレンジ切替機構3およびパーキング切替機構4(図6参照)を、SBWアクチュエータ1(図7)によって切り替えるものである。
即ち、シフトレンジ切替装置は、SBW・ECU7によってSRモータ5の回転方向、回転数(回転する数)および回転角を制御することで、減速機6を介して駆動されるシフトレンジ切替機構3およびパーキング切替機構4を切替制御するものである。
(SRモータ5の説明)
SRモータ5を図7を参照して説明する。
この実施例1のSRモータ5は、永久磁石を用いないブラシレスモータであり、回転自在に支持されるロータ11と、このロータ11の回転中心と同軸上に配置されたステータ12とで構成される。
フロント転がり軸受15は、減速機6の出力軸17の内周に嵌合固定されたものであり、減速機6の出力軸17はフロントハウジング18の内周に配置されたメタルベアリング19によって回転自在に支持されている。つまり、ロータ軸13の前端は、フロントハウジング18に設けられたメタルベアリング19→出力軸17→フロント転がり軸受15を介して回転自在に支持される。
リヤ転がり軸受16は、ロータ軸13の後端外周に圧入固定され、リヤハウジング20によって支持される。
ステータコア21は、鉄製薄板をプレス加工によって所定形状に打ち抜いた薄板を多数積層したものであり、リヤハウジング20に固定されている。具体的に、ステータコア21には、内側のロータコア14に向けて所定角度毎(例えば、30度毎)に突設されたステータティース23(内向突極)が設けられており、各ステータティース23のそれぞれには各ステータティース23毎に磁力を発生させるための励磁コイル22が設けられている。
各ステータティース23のそれぞれには、各ステータティース23毎に磁力を発生させる第1系統22AのコイルU1、V1、W1と、第2系統22BのコイルU2、V2、W2とが巻回されている。なお、コイルU1、U2がU相であり、コイルV1、V2がV相であり、コイルW1、W2がW相である。
具体的に、第1系統22AのコイルU1、V1、W1は、回転方向に順次連続するステータティース23にそれぞれ装着される「第1組のコイルU1−1、V1−1、W1−1」と、この第1組に回転方向に順次連続するステータティース23にそれぞれ装着される「第2組のコイルU1−2、V1−2、W1−2」とからなる。
また、第2系統22BのコイルU2、V2、W2は、回転方向に順次連続するステータティース23にそれぞれ装着される「第1組のコイルU2−1、V2−1、W2−1」と、この第1組に回転方向に順次連続するステータティース23にそれぞれ装着される「第2組のコイルU2−2、V2−2、W2−2」とからなる。
これによって、例えば、2つのコイルU1−1、U1−2が通電されると、コイルU1−1が装着された一方のステータティース23(回転方向に90°ずれた位置にある2つのステータティース23の一方)の内径部がN極となり、コイルU1−2が装着された他方のステータティース23の内径部がS極となるものである。なお、他の各相のコイルV1、W1、U2、V2、W2も同様に、回転方向に90°ずれた位置にある2つのステータティース23に逆磁極を生じさせるものであり、説明は省略する。
減速機6の一例を図10を参照して説明する。
この実施例1に示す減速機6は、遊星歯車減速機の1種である内接噛合遊星歯車減速機(サイクロイド減速機)であり、ロータ軸13に設けられた偏心部25を介してロータ軸13に対して偏心回転可能な状態で取り付けられたサンギヤ26(インナーギヤ:外歯歯車)と、このサンギヤ26が内接噛合するリングギヤ27(アウターギヤ:内歯歯車)と、サンギヤ26の自転成分のみを出力軸17に伝達する伝達手段28とを備える。
サンギヤ26は、上述したように、サンギヤ軸受31を介してロータ軸13の偏心部25に対して回転自在に支持されるものであり、偏心部25の回転によってリングギヤ27に押しつけられた状態で回転するように構成されている。
リングギヤ27は、フロントハウジング18に固定されるものである。
複数の内ピン35は、サンギヤ26のフロント面に突出する形で設けられている。
複数の内ピン穴34は、出力軸17の後端に設けられたフランジ33に設けられており、内ピン35と内ピン穴34の嵌まり合いによって、サンギヤ26の自転運動が出力軸17に伝えられるように構成されている。
このように設けられることにより、ロータ軸13が回転してサンギヤ26が偏心回転することによって、サンギヤ26がロータ軸13に対して減速回転し、その減速回転が出力軸17に伝えられる。なお、出力軸17は、シフトレンジ切替機構3およびパーキング切替機構4を駆動操作するコントロールロッド45(後述する)に連結される。
なお、この実施例1とは異なり、複数の内ピン穴34をサンギヤ26に形成し、複数の内ピン35をフランジ33に設けて構成しても良い。
シフトレンジ切替機構3およびパーキング切替機構4は、SBWアクチュエータ1の出力軸(具体的には、上述した減速機6の出力軸17)によって切替駆動されるものである。
シフトレンジ切替機構3は、油圧バルブボディ41に設けられたマニュアルスプール弁42をシフトレンジに応じた適切な位置にスライド変位させ、自動変速機2の図示しない油圧クラッチへの油圧供給路を切り替えて、油圧クラッチの係合状態をコントロールするものである。
ディテントプレート46は、半径方向の先端(略扇形状の円弧部)に複数の凹部46aが設けられており、油圧バルブボディ41(または自動変速機2の内部)に固定されたディテントスプリング47の先端の係合部47aが凹部46aに嵌まり合うことで、切り替えられたシフトレンジが保持されるようになっている。なお、この実施例では板バネを用いたディテント機構を示すが、コイルスプリングなどを用いた他のディテント機構であっても良い。
ピン48は、マニュアルスプール弁42の端部に設けられた溝49に噛合しており、ディテントプレート46がコントロールロッド45によって回動操作されると、ピン48が円弧駆動されて、ピン48に噛合するマニュアルスプール弁42が油圧バルブボディ41の内部で直線運動を行う。
この円錐部52は、自動変速機2のハウジングの突出部53とパークポール44の間に介在されるものであり、コントロールロッド45を図6中矢印A方向から見て時計回り方向に回転させると(具体的には、R→Pレンジ)、ディテントプレート46を介してパークロッド51が図6中矢印B方向へ変位して円錐部52がパークポール44を押し上げる。すると、パークポール44が軸44bを中心に図6中矢印C方向に回転し、パークポール44の凸部44aがパーキングギヤ43の凹部43aに噛合し、パーキング切替機構4によるロック状態(パーキング状態)が達成される。
上述したSBWアクチュエータ1には、図7に示すように、ハウジング(フロントハウジング18+リヤハウジング20)の内部に、ロータ11の回転角度を検出するエンコーダ60が搭載されている。このエンコーダ60によってロータ11の回転角度を検出することにより、SRモータ5を脱調させることなく高速運転することができる。
エンコーダ60は、インクリメンタル型であり、ロータ11と一体に回転する磁石61と、リヤハウジング20内において磁石61と対向配置されて磁石61における磁束発生部の通過を検出する磁気検出用のホールIC62(例えば、磁石61の多極着磁の磁束を検出する回転角度検出用ホールIC、および励磁コイル22の各相の通電が一巡する毎に発生する磁束を検出するインデックス信号用ホールIC等)とで構成され、ホールIC62はリヤハウジング20内に固定される基板63によって支持される。
SBW・ECU7を図5を参照して説明する。
SRモータ5の通電制御を行うSBW・ECU7は、制御処理、演算処理を行うCPU、各種プログラムおよびデータを保存する記憶手段(ROM、RAM、SRAM、EEPROM等)、入力回路、出力回路、電源回路等で構成された周知構造のマイクロコンピュータを搭載し、演算結果に基づいてコイル駆動回路71におけるスイッチング素子71a、71b(符号、図9参照)に制御信号を与え、各励磁コイル22の通電制御を行うものである。
ここで、図5中における符号72はイグニッションスイッチ(運転スイッチ)、符号73は車載バッテリ、符号74はシフトレンジ切替装置の状態(シフトレンジの切替状態)などを乗員に表示する表示装置類、符号75は車速センサ、符号76は乗員が設定したシフトレンジ位置の検出センサ、ブレーキスイッチ等、車両状態を検出する他のセンサ類を示す。
実施例1の特徴を、図1〜図4を参照して説明する。
実施例1では、(1)大電流時におけるSRモータ5のトルク変動を抑え、(2)小電流時におけるSRモータ5の最小発生トルクの向上を図り、(3)大電流時におけるSRモータ5の過大な出力トルクの発生を抑えるために、次に示す手段を採用している。
SRモータ5における全てのロータティース24の先端部には、回転方向に凹部αと凸部βが繰り返して形成されてなる複数の凹凸が設けられている。
一方、複数の凹部αの深さ(凹部αの底と凸部βの先端との径方向の長さ)は、ロータ11が回転した際にステータティース23とロータティース24が最も早く近づく側が深く、ステータティース23とロータティース24の回転方向の重なり代が大きくなる方向に向けて徐々に浅く設けられている。
具体的には、ロータ11が右回転する場合は、ロータティース24における右端の凹部αが最も深く、右端から左へ向けて凹部αの深さが徐々に浅くなるように設けられている。
逆に、ロータ11が左回転する場合は、ロータティース24における左端の凹部αが最も深く、左端から右へ向けて凹部αの深さが徐々に浅くなるように設けられている。
なお、この実施例1におけるSRモータ5は、ロータ11が正逆両方向へ回転するタイプであるため、図1に示すように、ロータティース24における左右両端の凹部αが最も深く、中央部の凹部αの深さが最も浅くなるように設けられている。
これに対し、この実施例1における凹部αの最大深さ(ロータ11が回転した際にステータティース23とロータティース24が最も早く近づく側の凹部αの深さ)は、特許文献1における凹部αの深さよりも深く設定されるものであり、その深さが深いほど最小トルクは小さくなるため、必要な最小トルクにより設定される。凹部αの最小深さ(この実施例1ではロータティース24の先端部における回転方向の中心部)は、特許文献1における凹部αの深さよりも浅く設定されるものである。
ペアを成すロータティース24における凹凸の順序は、図1に示すように回転方向に対して逆の関係(逆位相)に設けられている。
即ち、ステータティース23とロータティース24の回転により重なり代が変化する際、ペアのうち一方が凸部βでエアギャップが小さい時に、ペアのうちの他方が凹部αでエアギャップが大きくなる。これにより、エアギャップの変化度合が小さく、凹凸を設けたことによるトルク変動の発生を防ぐことができる。
(最大電流時)
ステータティース23とロータティース24が最も早く近づく側の凹部αを深く設けたことで、ステータティース23とロータティース24の重なり初期における平均エアギャップが大きくなる。これにより、ステータティース23とロータティース24の磁気抵抗が大きくなり、図2の実線Aに示すように、従来技術の破線A’に比較して、インダクタンスの変化率を小さくできる。これによって、図4の実線Bに示すように、従来技術の破線B’に比較して、最大発生トルクを抑えることができる。
一方、ステータティース23とロータティース24の重なり代が大きくなるに従って凹部αを浅く設けたことで、平均エアギャップが小さくなる。これにより、ステータティース23とロータティース24の磁気抵抗が小さくなり、図2の実線Aに示すように、従来技術の破線A’に比較して、インダクタンスの変化率を大きくできる。これによって、図4の実線Bに示すように、従来技術の破線B’に比較して出力トルクの低下が抑えられる。
このように、大電流時には、重なり初期における出力トルクが抑えられ、重なり代が大きくなるに従い、出力トルクの低下が抑えられる。即ち、最大電流時におけるトルク変動を抑えることができる。
(最小電流時)
ステータティース23とロータティース24の重なり代が大きくなるに従って凹部αを浅く設けたことで、平均エアギャップが小さくなる。これにより、ステータティース23とロータティース24の磁気抵抗が小さくなり、図3の実線Cに示すように、従来技術の破線C’に比較してインダクタンスの変化率を大きくできる。これによって、図4の実線Dに示すように、従来技術の破線D’に比較して、ステータティース23とロータティース24の重なり代が大きくなった時の出力トルクの低下が抑えられ、結果的に最小電流時における最小発生トルクを従来に比較して図4に示すトルクT1分だけ上昇させることができる。
(最大電流時)
ステータティース23とロータティース24が最も早く近づく側の凹部αを深く設けたことで、ステータティース23とロータティース24の重なり初期における平均エアギャップが大きくなる。これにより、ステータティース23とロータティース24の磁気抵抗が大きくなり、図2の実線Aに示すように、従来技術の破線A’に比較して、インダクタンスの変化率を小さくできる。これによって、図4の実線Bに示すように、従来技術の破線B’に比較して、最大発生トルクを抑えることができる。即ち、最大電流時における最大発生トルクを従来に比較して図4に示すトルクT2分だけ下げることができる。
このように、最大電流時におけるステータティース23とロータティース24の重なり初期の過大な出力トルクの発生を抑えることができるため、SRモータ5によって駆動される出力負荷側に機械的なダメージを与える不具合を回避することができる。
即ち、低温で、且つバッテリ電圧が高電圧で、SRモータ5に最大電流が印加される状態において、シフトレンジ切替機構3の可動部材をパーキング側の移動限界に突き当てて、ロータ11の基準位置の検出を行う「P壁当て学習」を実行させ、SRモータ5がロックした状態における出力負荷側の機械的なダメージを抑えることができる。
上記の実施例では、凹凸形状を方形波形状(矩形波形の形状)に設ける例を示したが、曲線による凹凸形状であっても良い。
上記の実施例では、凹部αの底の回転方向の長さ(凹部ピッチ)を一定に設けたが、ロータ11が回転した際にステータティース23とロータティース24が最も早く近づく側を長く、ステータティース23とロータティース24の回転方向の重なり代が大きくなる方向に向けて短く設けても良い。
上記の実施例では、凸部βの先端の回転方向の長さ(凸部ピッチ)を一定に設けたが、ロータ11が回転した際にステータティース23とロータティース24が最も早く近づく側を短く、ステータティース23とロータティース24の回転方向の重なり代が大きくなる方向に向けて長く設けても良い。
上記の実施例では、SBWアクチュエータ1に用いられるSRモータ5に本発明を適用したが、他の用途に用いられるSRモータ5に本発明を適用しても良い。
11 ロータ
12 ステータ
23 ステータティース
24 ロータティース
α 凹部
β 凸部
Claims (3)
- 複数のステータティースを有するステータと、複数のロータティースを有するロータとを備え、
前記複数のステータティースのうちのペアのステータティースに、前記複数のロータティースのうちのペアのロータティースが磁気吸引されることで前記ロータに回転力が与えられ、前記ロータティースを磁気吸引するペアのステータティースを切り替えることで前記ロータが回転するスイッチド・リラクタンス・モータにおいて、
前記ステータティースまたは前記ロータティースの先端部には、回転方向に複数の凹凸が設けられ、
前記複数の凹凸の凹部の深さは、
前記ロータが回転した際に前記ステータティースと前記ロータティースが最も早く近づく側が深く、
前記ステータティースと前記ロータティースの回転方向の重なり代が大きくなる方向に向けて浅く設けられていることを特徴とするスイッチド・リラクタンス・モータ。 - 請求項1に記載のスイッチド・リラクタンス・モータにおいて、
ペアを成す前記ステータティースまたは前記ロータティースに設けられる前記複数の凹凸の順序は、回転方向に対して逆の関係に設けられていることを特徴とするスイッチド・リラクタンス・モータ。 - 請求項1または請求項2に記載のスイッチド・リラクタンス・モータにおいて、
このスイッチド・リラクタンス・モータは、前記ロータが正逆両方向へ回転可能なタイプであり、
前記凹部の深さは、回転方向の両端側が深く、前記ロータティースにおける回転方向の中央部に向けて浅く設けられていることを特徴とするスイッチド・リラクタンス・モータ。
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