JP2007244027A - 回転電機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ロータ1のロータトルクはカム機構のボール15とカムディスク11とを経由してロータ回転軸10を駆動する。ロータトルクが大きいときはボール15を具えたカム機構がロータ1をステータ5に近づけて通常状態による運転を実行する。ロータトルクが小さいときは上記のカム機構がロータ1をステータ5から遠ざけて、これらロータ1およびステータ5間で形成される磁気回路の磁気抵抗を増大する。この結果、誘起電圧の低減を実現する。
【選択図】図1
Description
これら特許文献1〜3はいずれも、ステータおよびロータを相対移動させて、ロータとステータとの間で形成される磁気回路における磁気抵抗を変化させることにより、磁気回路に流れる磁束を変化させることが可能である。したがって高回転時には、ステータおよびロータ間を離して、ロータとステータとの間で形成される磁気回路における磁気抵抗を増大させることにより磁気回路に流れる磁束を小さくして、誘起電圧を低減する。
またアクチュエータを作動させるために必要な力が、何ら他の用途を為し得ず、有効利用されていない。さらに、上記した相対移動が不要な通常状態での運転中も、アクチュエータが電力を消費しつつステータを所定位置に保持するのであれば、回転電機のエネルギー効率が低下するという問題がある。
ステータおよびロータを相対移動可能に具えた回転電機において、該ロータのロータトルクを用いて前記ロータおよびステータ間の距離を変化させる相対移動機構を設けたことを特徴としたものである。
あるいは、ロータトルクが小さい時に回転数が大きい特性をもった回転電機では、小ロータトルクで前記の相対移動機構が相対距離を大きくするよう設定しておくことにより、誘起電圧を低減することができ、
ロータトルクに観応して誘起電圧を低減することができる。
したがって、相対移動機構を動かすための制御システムが不要となり、構成の簡易化およびコスト低減を図ることができる。
図1は本発明の第1実施例になる回転電機を、ロータ軸線を含む平面で断面にして示す縦断面図である。
この実施例は、ロータ1とステータ5とをロータ径方向に配置したラジアルギャップ構造の回転電機である。ステータ5は、ロータ1のロータ外径側に配置される。つまり第1実施例の回転電機はインナーロータ型の回転電機である。
円筒形状のロータ1内部には複数の磁極、具体的には永久磁石3、を周方向に複数配列する。ステータコア8のコイル9に適宜通電するとステータコア8に磁束が発生し、ステータコア8の磁束が近傍の永久磁石3の磁束と磁気回路を形成する。これによりロータ1およびステータ5間で、ロータ1を駆動するためのロータトルク(ロータトルク)を発生する。ロータ回転軸10は、このロータトルクを車輪等図示しない負荷側に出力する。
なお、ロータ1に設ける磁極としては、上述した内部配置型永久磁石の他、表面配置型永久磁石や、突極鉄心や、これらの混成型であってもよい。
コイル9は図示しないインバータおよびバッテリと電気的に接続し、図示しないインバータがコイル9に適宜通電するための制御を実行する。ロータトルクの大小の調整は、コイル9の通電制御により行う。
このカム機構はボールを用いて伝達トルクに応じたスラストを与える公知のものでよい。ロータ1はカム機構のフォロワーディスクを兼用する。ロータ1の軸方向近傍にはカム機構のカムディスク11を配置する。これらロータ1とカムディスク11との間にはカム機構のボール15を配置する。
皿バネ21は弾発力によりロータ1をカムディスク11に近づくよう付勢する。
つまり図9に実線で示すように、ロータ回転数が高いほどロータトルクが小さく、ロータ回転数が低いほどロータトルクが大きい運転特性を有する。
ここで付言すると、閾値とは図9に示すように、通常の中低速運転状態における上限回転数N1に対応するロータトルクである。上限回転数N1を下回る回転数で通常運転する場合、回転電機の誘起電圧は許容できるほど小さいものであるから、ロータトルクが上記閾値よりも大きい通常時は、回転電機の磁気抵抗を通常(ロータ1とステータ5の軸方向両端と揃うよう)に設定しておけばよい。
そこで、ロータトルクが上記閾値よりも小さいときは、回転電機の磁気抵抗を通常よりも大きくして、誘起電圧を低減する。
具体的には、ロータ回転軸10のロータトルクが上記所定の閾値未満である場合では、図2に示すように、このロータトルクに比例する上述のスラストを上回る付勢力で皿バネ21に付勢されたロータ1をカムディスク11に接近させる。したがってロータ1の軸方向両端がステータ5の軸方向両端とずれて、別な言い方をすればラップ面積が減少して上述した磁気抵抗を大きくする。これにより、誘起電圧の低減を実現して、高回転領域における運転を可能にする。
この場合、周方向溝19と20との間に挟圧されたボール15に、ロータトルクが作用すると、ロータ1がカムディスク11に対して相対回動し、ボール15がロータトルクの大きさに応じて上記の波形上を移動して、これら周方向溝19と20との距離を変化させる。そして、ロータ1とカムディスク11との軸方向距離が変化する。
このときボール15は伝達するトルクの大きさに応じて、ロータ1にカムディスク11から遠ざかるようスラストを与える。これに対し皿バネ21は、ロータ1をカムディスク11へ近づくよう付勢する。
図9中、破線で示す従来例では、誘起電圧を低減する制御を具えていないため、ロータの最高回転数がN1に制限される。
これに対し、実線で示す第1実施例では、ロータトルクが小さい高回転領域(>N1)でラップ面積を狭くするため、誘起電圧を低減することが可能となりロータの高回転領域をN2まで広げることができる(N1<N2)。したがって、運転性能を向上させることができる。
ロータトルクの大小に応じて磁気回路の磁気抵抗を簡明直截に変化させることが可能となり、相対移動を適切に実行するため制御システムが不要となって、構成の簡易化およびコスト低減を図ることができる。
図3は、本発明の第2実施例になる回転電機を、ロータ軸線を含む平面で断面にして示す縦断面図である。
この第2実施例はステータの外径側にロータを配置したアウターロータ型の回転電機であるが、ステータとロータとをロータ径方向に配置したラジアルギャップ構造の回転電機であるため基本構造は上述した第1実施例と共通する。そこで共通する部材には、同一符号を付し、部材毎の説明を省略する。
ロータ回転軸10の上記ロータトルクが所定の閾値以上である場合の通常の状態では、図3に示すように、このロータトルクがロータ1の軸方向位置をステータ5の軸方向位置に合わせてラップ面積を広くし、磁気回路の磁気抵抗を小さくする。
これに対し、ロータ回転軸10のロータトルクが所定の閾値未満である場合では、図4に示すように、ロータ1が皿バネ21に付勢されてロータ1の軸方向位置がステータ5の軸方向位置に対してずれる。したがって両者1,5のラップ面積が狭くなり、磁気回路の磁気抵抗が大きくなる。
第3実施例の回転電機はステータ105を具える。ステータ105はステータブラケット107を介してケース7の内周壁に取り付けられる。ステータブラケット107を周方向に複数配置し、複数のステータコア108を周方向に配列する。
ロータ101には複数の永久磁石103を周方向に配列する。
そうすると、ステータコア108からの磁束が永久磁石103の磁束と一体になり、ロータ101およびステータ105間で磁気回路が形成され、ロータ101にロータトルクを与える。
ロータ101、ボール15、およびカムディスク11はカム機構を構成する。フォロワーディスクを兼用するロータ101は、ニードル軸受6を介してロータ回転軸10に回動可能に支持される。
ロータ回転軸10の上記ロータトルクが所定の閾値以上である場合の通常の状態では、図5に示すように、このロータトルクがロータ101をステータ105へ近づけて、別な言い方をするとアキシャルギャップ間隔を減少して磁気回路の磁気抵抗を小さくする。
したがって、誘起電圧を低減することなく、高トルク運転の実現を容易にする。
したがって、誘起電圧の低減を実現して、高回転領域における運転を可能にする。
図7は、本発明の第4実施例になる回転電機を、ロータ軸線を含む平面で断面にして示す縦断面図である。
図7中、一点鎖線はロータ回転軸線を示す。ロータ回転軸線より下半分はアキシャルギャップ間隔が狭い通常の運転状態を示し、ロータ回転軸線より上半分はアキシャルギャップ間隔が広い誘起電圧低減中の運転状態を示す。
この第4実施例も2枚のロータを共通するロータ回転軸上に設けたアキシャルギャップ構造の回転電機であるため、基本構造は上述した第3実施例と共通するが、1のカム機構により片方のロータのみ相対移動する点で異なる。そこで共通する部材には、同一符号を付し、部材毎の説明を省略する。
したがって、誘起電圧を低減することなく、高トルク運転の実現を容易にする。
また、ロータ101および102間の周方向相対位置を永久磁石103が揃うように配列する。つまり、図7中の左側ロータ101に配置した永久磁石103の周方向位置と、右側ロータ102に配置した永久磁石103の周方向位置とを一致させ、ロータ軸方向にこれらロータ101,102をみたときに両者に配置した永久磁石103同士が揃うようにしておく。
これにより、大トルク運転を効果的に実現する。
したがって、誘起電圧の低減を実現して、高回転領域における運転を可能にする。
また、ロータ101および102間の周方向相対位置を永久磁石103がずれるように配列する。つまり、図7中の左側ロータ101に配置した永久磁石103の周方向位置と、右側ロータ102に配置した永久磁石103の周方向位置とを不一致とし、ロータ軸方向にこれらロータ101,102をみたときに両者に配置した永久磁石103同士がずれるようにしておく。
これにより、ロータ101と、ステータ105と、ロータ102との間で形成される磁気回路の磁気抵抗を増大して、誘起電圧を効果的に低減することができる。
これに対し小ロータトルクで運転中は、ロータ101とロータ102の周方向相対位置が所定の位置関係からずれるよう、具体的にはカム機構が両ロータ101,102に配置した永久磁石103(磁極)の周方向位置を不一致にすることから、高回転領域では磁気回路の磁気抵抗を増大して、一層効果的に誘起電圧を低減することができる。
図8は、本発明の第5実施例になる回転電機を、ロータ軸線を含む平面で断面にして示す縦断面図である。
図8中、一点鎖線はロータ回転軸線を示す。ロータ回転軸線より下半分はアキシャルギャップ間隔が狭い通常の運転状態を示し、ロータ回転軸線より上半分はアキシャルギャップ間隔が広い誘起電圧低減中の運転状態を示す。
この第5実施例も2枚のロータを共通するロータ回転軸上に設けたアキシャルギャップ構造の回転電機であるため、基本構造は上述した第3実施例と共通する。そこで共通する部材には、同一符号を付し、部材毎の説明を省略する。
ステータブラケット107の一側をケース7の内壁に固定する。ステータブラケット107の他側を中央部材22まで延在し、ステータブラケット107が軸受を介してこの中央部材22を回転自在に支持する。中央部材22の軸方向位置はステータ105の軸方向位置と一致する。
中央部材22と近傍のロータ101,101との間には、皿バネ21,21をそれぞれ縮設する。中央部材22は皿バネ21の軸方向位置を規定する。皿バネ21はロータ101を中央部材22から離れるよう付勢する。
また上記のスラストはカムディスク11を図8中の左側へ移動させる。そうするとロータ軸10および抜け止めナット18も図8中の左側へ移動し、右側皿バネ21が弾性変形して右側ロータ101をステータ105へ近づける。別な言い方をするとアキシャルギャップ間隔を減少して磁気回路の磁気抵抗を小さくする。
したがって、誘起電圧を低減することなく、高トルク運転の実現を容易にする。
また図8中左側ロータ101の周方向位置と、右側ロータ101の周方向位置とを揃えておけば、通常状態では大きなロータトルクを効果的に出力することができる。
また右側皿バネ21も右側ロータ101がステータ105から離れるよう、これを付勢する。別な言い方をするとアキシャルギャップ間隔を増大して磁気抵抗を大きくする。
したがって、誘起電圧の低減を実現して、高回転領域における運転を可能にする。
またボール15等を具えたカム機構が、図8中左側ロータ101の周方向位置と、右側ロータ101の周方向位置とをずらすよう構成しておけば、磁気抵抗を増大することが可能になり、誘起電圧を効果的に低減することができる。
これに対し小ロータトルクで運転中は、上記した左側ロータ101と右側ロータ101の周方向相対位置が所定の位置関係からずれるよう、具体的にはカム機構が両ロータ101,101に配置した永久磁石103(磁極)の周方向位置を不一致にすることから、高回転領域では磁気回路の磁気抵抗を増大して、一層効果的に誘起電圧を低減することができる。
ロータトルクに感応して選択的に誘起電圧を減少させることが可能となる。したがって、ロータ回転軸10の回転数などの運転状態を常時監視してロータ1とステータ5との距離を制御するといった制御システムが不要となり、構成の簡易化およびコスト低減を図ることができる。
さらに、相対移動機構を作動するために用いたロータトルクで、そのままロータ回転軸10を駆動するため、相対移動機構を作動するために必要な力を有効利用することができ、回転電機のエネルギー効率を向上させることができる。
ロータ1のロータトルクに感応して選択的に誘起電圧を減少させるという本発明の効果を好適に実現することができる。
ロータトルクに比例したスラストをロータ1に与えてこのロータ1をステータ5に近づけるようなカム機構を具えた第1〜第5実施例において、ロータトルクが小さくなれば、ロータ1を速やかにステータ5から離して誘起電圧を低減することができる。
相対移動機構を作動するために用いたロータトルクでそのままロータ回転軸10を駆動するという本発明をラジアルギャップ構造の回転電機において実現することができる。
相対移動機構を作動するために用いたロータトルクでそのままロータ回転軸10を駆動するという本発明をアキシャルギャップ構造の回転電機において実現することができる。
これに対し、ロータトルクが小さくなるとボール15等からなるカム機構が、当該所定の位置関係をずらすことから、磁気回路の磁気抵抗を増大することが可能になり、誘起電圧を効果的に低減することができる。
また、上述した各実施例では、ロータトルクが所定の閾値よりも大きいかあるいは小さいかによって磁気抵抗が2段階に変化する構成であるが、その他にも3段階以上で変化する構成でもよい。
また、磁気抵抗が断続的に変化する構成の他、連続的に変化する構成であってもよい。
3,103 永久磁石
5,105 ステータ
7 回転電機ケース
8,108 ステータコア
9,109 コイル
10 ロータ回転軸
11 カム機構のカムディスク
15 カム機構のボール
17 ボールスプライン
21 皿バネ
22 中央部材
Claims (7)
- ステータおよびロータを相対移動可能に具えた回転電機において、該ロータのロータトルクを用いて前記ロータおよびステータ間の距離を変化させる相対移動機構を設けたことを特徴とする回転電機。
- 請求項1に記載の回転電機において、
前記相対移動機構は、前記ロータとロータ回転軸とを回転係合するカム機構であることを特徴とする回転電機。 - 請求項2に記載の回転電機において、
前記カム機構は、前記ロータとロータ回転軸との間の伝達トルクに応じたスラストを発生して、前記距離を変化させることを特徴とする回転電機。 - 請求項3に記載の回転電機において、
前記ロータをロータ軸方向に付勢する付勢手段を設けたことを特徴とする回転電機。 - 請求項2〜4のいずれか1項に記載の回転電機において、
前記ステータと前記ロータとをロータ回転軸と直角なロータ径方向に配置してラジアルギャップ構造としたことを特徴とする回転電機。 - 請求項2〜4のいずれか1項に記載の回転電機において、
前記ステータと前記ロータとをロータ回転軸方向に配置してアキシャルギャップ構造としたことを特徴とする回転電機。 - 請求項6に記載の回転電機において、前記ステータのロータ回転軸方向両側に前記ロータをそれぞれ配置し、
両側のロータにそれぞれ設けた磁極の周方向位置が所定の位置関係になるよう、これら両側のロータを共通するロータ回転軸に取り付け、
前記カム機構は、前記所定の位置関係をずらすよう構成したことを特徴とする回転電機。
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Legal Events
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