JP5093156B2 - 回転式アクチュエータ - Google Patents
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(一実施形態)
自動車の自動変速機のシフトレンジ切替装置に取り付けられる回転式アクチュエータに本発明を適用した一実施形態を図1および図2に示す。回転式アクチュエータ10は、シフトバイワイヤシステムにおいて、シフトレンジ切替装置100を駆動するのに用いられる。シフトレンジ切換装置100は、マニュアルシャフト101が回転式アクチュエータ10により回転駆動されることによって、自動変速機のシフトレンジを切り替える。回転式アクチュエータ10は、電子制御ユニット(ECU)11によって回転が制御される。回転式アクチュエータ10は、図2に示すように、シフトレンジ切替装置100に取り付けられる。まず、シフトレンジ切替装置100について以下で説明する。
シフトレンジ切替機構110は、マニュアルシャフト101、ディテントプレート102および油圧バルブボディ104等から構成されている。マニュアルシャフト101は、一方の端部が回転式アクチュエータ10の出力軸5にスプライン結合される(後述する)。ディテントプレート102は、マニュアルシャフト101から径外方向に延びる扇形状に形成され、マニュアルシャフト101と一体に回転する。ディテントプレート102には、マニュアルシャフト101と平行に突出するピン103が設けられている。ピン103は、油圧バルブボディ104に設けられるマニュアルスプール弁105の端部に係止されている。このため、マニュアルスプール弁105は、マニュアルシャフト101と一体で回転するディテントプレート102によって、軸方向へ往復移動する。マニュアルスプール弁105は、軸方向に往復移動することで、図示しない自動変速機の油圧クラッチへの油圧供給路を切り替える。この結果、油圧クラッチの係合状態が切り替わり、自動変速機のシフトレンジが変更される。
例えば、マニュアルシャフト101を図2の矢印Y方向から見て時計回り方向に回転させると、ディテントプレート102を介してピン103がマニュアルスプール弁105を油圧バルブボディ104の内部に押し込み、油圧バルブボディ104内の油路がD、N、R、Pの順に切り替えられる。これにより、自動変速機のシフトレンジがD、N、R、Pの順に切り替えられる。
このように、回転式アクチュエータ10により回転駆動されるマニュアルシャフト101の回転角度、すなわち回転方向の所定の位置は、自動変速機の各シフトレンジに対応している。
回転式アクチュエータ10は、図1に示すように、ハウジング2、電動機3、減速機4、出力軸5および付勢手段6などを備えている。回転式アクチュエータ10は、シフトレンジ切替装置100のシフトレンジ切替機構110を駆動するサーボモータである。
ECU11から出力された駆動信号に基づいて、各コイル33の通電位置および通電方向を順次切り替えると、ロータティースを磁気吸引するステータティースが順次切り替わり、ロータ35は一方または他方へ回転する。このように、各コイル33への通電を切り替え、各コイル33に生じる磁力を制御することで、ロータ35を任意の方向へ回転させることができる。
サンギア41は、略円盤状に形成されている。サンギア41は、ベアリング15を介して偏心部38に相対回転可能に支持されている。そのため、サンギア41は、ロータ軸36に対して偏心回転する。サンギア41は、外周に外歯を有している。
付勢手段6は、図3に示すように、軸部材61、外歯部材62、回動部材63および付勢部材64等により構成されている。
軸部材61は、例えば金属により略円柱状に形成されている。軸部材61は、出力軸5の径外側において、軸を出力軸5の軸と略平行にして設けられている。軸部材61は、一方の端部がフロントハウジング21に圧入固定されている。これにより、軸部材61は、フロントハウジング21に対して相対回転不能である。
回動部材63は、例えば樹脂により形成されている。回動部材63は、略円筒状の筒部631、および筒部631の一方の端部から径外方向へ略円環状に拡がって形成される円環部632等からなる。回動部材63は、円環部632の外周縁の一部に、外歯部材62の外歯621に噛み合う外歯633を有している。筒部631の内壁と軸部材61の他方の端部外壁との間には、ベアリング634が設けられている。これにより、回動部材63は、ベアリング634を介して軸部材61に回動可能に支持されている。
フロントハウジング21は、軸部材61の軸方向へ突出して形成されるハウジング側突出部25を有している。また、回動部材63は、円環部632から軸部材61の軸方向へ突出して形成される回動部材側突出部635を有している(図1参照)。回動部材側突出部635は、軸部材61を挟んで外歯633の反対側に形成されている。なお、回動部材側突出部635と筒部631との間には、付勢部材64を形成する線材の幅よりやや大きな幅の隙間636が形成されている。
本実施形態では、回転式アクチュエータ10は、マニュアルシャフト101の回転方向の位置が、自動変速機のNレンジに対応する位置にある状態で、シフトレンジ切替装置100に取り付けられる。すなわち、回転式アクチュエータ10がシフトレンジ切替装置100に取り付けられるとき、板ばね106のストッパ107は、ディテントプレート102の凹部151〜154のうち、自動変速機のNレンジに対応する凹部153に噛み合った状態である。回転式アクチュエータ10のシフトレンジ切替装置100への取り付けでは、上記状態のマニュアルシャフト101に回転式アクチュエータ10の出力軸5が接続される。なお、回転式アクチュエータ10をシフトレンジ切替装置100に取り付ける前の時点においては、出力軸5は、付勢手段6の作用によって上述の基準位置で静止した状態である。
回転式アクチュエータ10のシフトレンジ切替装置100への取り付けに際し、まず、出力軸5とマニュアルシャフト101とをスプライン嵌合により結合する。具体的には、マニュアルシャフト101の端部外壁に形成されているスプライン歯を、出力軸5の結合穴53の内壁に形成されているスプライン溝54に合わせながら、マニュアルシャフト101を出力軸5の結合穴53に差し込む。これにより、マニュアルシャフト101と出力軸5とがスプライン嵌合により結合される。このとき、出力軸5は、特定のスプライン溝54をマニュアルシャフト101の特定のスプライン歯に対応させて、マニュアルシャフト101に結合される。
続いて、回転式アクチュエータ10の本体(ハウジング2)を、回転させることでシフトレンジ切替装置100の取付箇所に合致させる。具体的には、上記結合工程で出力軸5をマニュアルシャフト101に結合した後、回転式アクチュエータ10の本体を付勢手段6の付勢力に抗して、例えば図2の矢印Y方向から見て時計回り方向へ回転させる。これにより、回転式アクチュエータ10のボルト穴(図示しない)とシフトレンジ切替装置100の外郭に形成されたボルト穴130とを合致させる。
続いて、回転式アクチュエータ10のボルト穴およびシフトレンジ切替装置100のボルト穴130にボルトを通すことによって、回転式アクチュエータ10をシフトレンジ切替装置100に固定する。なお、回転式アクチュエータ10がシフトレンジ切替装置100に固定された時点においては、出力軸5は、ハウジング2に対し基準位置から正方向側へ回転した位置にある。
回転式アクチュエータ10は、以上の工程を経ることによりシフトレンジ切替装置100に取り付けられる。
図5(A)は、出力軸5の回転角度と出力軸5が付勢手段6から受ける付勢力との関係を実線で示したものである。図5(A)に示す「基準位置」は、図3における出力軸5の位置、すなわち出力軸5上の点d1が直線Lに重なるときの出力軸5の位置に対応している。
上述したように、ECU11は、シフトポジションセンサ7から出力される電圧値に基づき、当該電圧値に対応する回動部材63と固定部材72(ハウジング2)との相対的な回動角度を検出することができる。
回転式アクチュエータ10がシフトレンジ切替装置100に取り付けられた状態では、出力軸5とマニュアルシャフト101とは結合されているため、回動部材63とマニュアルシャフト101とは、出力軸5を介して連動する。そのため、回動部材63の回動角度は、マニュアルシャフト101の回転角度に対応する。
本実施形態では、出力軸5が基準位置にあるとき、付勢部材64から出力軸5へ加わる付勢力は「0」となる。そのため、このとき、回動部材63と出力軸5との間および出力軸5とマニュアルシャフト101との間には回転方向にガタが生じる。このガタにより、マニュアルシャフト101が出力軸5の基準位置近傍に対応する位置にあるとき、シフトポジションセンサ7から出力される電圧は不安定になる。一方、マニュアルシャフト101が出力軸5の基準位置近傍に対応する位置以外にあるときは、前記ガタは付勢部材64によって詰められた状態となるため、シフトポジションセンサ7からは安定した電圧の出力を得ることができる。
具体的には、付勢手段6は、出力軸5の径外側においてハウジング2に固定される軸部材61と、出力軸5の径外方向の外壁に設けられ、出力軸5とともに回転する外歯部材62と、外歯部材62に噛み合う外歯を有し、軸部材5の軸線回りに回動可能に支持される回動部材63と、回動部材63を回動方向において正方向または逆方向に付勢可能な付勢部材64とからなる。また、ハウジング2は、軸部材61の軸方向へ突出するハウジング側突出部25を有している。回動部材63は、軸部材61の軸方向へ突出する回動部材側突出部635を有している。付勢部材64は、端部641と端部642との間にハウジング側突出部25および回動部材側突出部635を挟み込むようにして回動部材63に設けられている。
本発明の他の実施形態では、回動部材を設けず、例えば出力軸の軸方向に、出力軸が基準位置よりも正方向側に回転した位置にあるとき、出力軸を逆方向へ付勢し、出力軸が基準位置よりも逆方向側に回転した位置にあるとき、出力軸を正方向へ付勢する付勢手段を設けることとしてもよい。このような構成によっても、出力軸とマニュアルシャフトとの間に生じるガタを詰めることができるので、上述の実施形態と同様の効果を奏することができる。
上述の実施形態では、回転式アクチュエータの出力軸とシフトレンジ切換装置のマニュアルシャフトとをスプライン嵌合により結合する例を示した。本発明の他の実施形態では、出力軸の結合穴の断面形状およびマニュアルシャフトの差し込み側端部の断面形状を非円形(例えば、四角形、D字形など)に形成し、出力軸とマニュアルシャフトとを結合することとしてもよい。
Claims (6)
- 自動変速機のシフトレンジを切り替えるシフトレンジ切替装置のマニュアルシャフトを回転駆動する回転式アクチュエータであって、
電動機と、
前記電動機を収容するハウジングと、
前記ハウジングに回転可能に支持され、前記電動機の回転出力を前記マニュアルシャフトに伝達するよう前記マニュアルシャフトに結合可能な出力軸と、
前記出力軸を回転方向において正方向または逆方向へ付勢可能な付勢手段と、を備え、
前記ハウジングに対する前記出力軸の回転方向の所定の位置を基準位置とすると、
前記付勢手段は、
前記出力軸が前記基準位置よりも正方向側に回転した位置にあるとき、前記出力軸を逆方向へ付勢し、
前記出力軸が前記基準位置よりも逆方向側に回転した位置にあるとき、前記出力軸を正方向へ付勢し、
前記基準位置は、前記出力軸が前記マニュアルシャフトに結合された状態で前記シフトレンジ切替装置に取り付けられたとき、前記自動変速機の各シフトレンジに対応する前記マニュアルシャフトの回転方向の複数の位置のうち隣り合う特定の二つの位置の間に対応することを特徴とする回転式アクチュエータ。 - 自動変速機のシフトレンジを切り替えるシフトレンジ切替装置のマニュアルシャフトを回転駆動する回転式アクチュエータであって、
電動機と、
前記電動機を収容するハウジングと、
前記ハウジングに回転可能に支持され、前記電動機の回転出力を前記マニュアルシャフトに伝達するよう前記マニュアルシャフトに結合可能な出力軸と、
前記出力軸を回転方向において正方向または逆方向へ付勢可能な付勢手段と、を備え、
前記ハウジングに対する前記出力軸の回転方向の所定の位置を基準位置とすると、
前記付勢手段は、
前記出力軸が前記基準位置よりも正方向側に回転した位置にあるとき、前記出力軸を逆方向へ付勢し、
前記出力軸が前記基準位置よりも逆方向側に回転した位置にあるとき、前記出力軸を正方向へ付勢し、
前記付勢手段は、前記出力軸の径外側において前記ハウジングに固定される軸部材と、前記出力軸の径外方向の外壁に設けられ、前記出力軸とともに回転する外歯部材と、前記外歯部材に噛み合う外歯を有し、前記軸部材の軸線回りに回動可能に支持される回動部材と、前記回動部材を回動方向において正方向または逆方向に付勢可能な付勢部材とからなり、
前記付勢部材は、前記回動部材を経由して前記出力軸を回転方向において正方向または逆方向へ付勢可能であることを特徴とする回転式アクチュエータ。 - 前記付勢手段は、前記出力軸の径外側において前記ハウジングに固定される軸部材と、前記出力軸の径外方向の外壁に設けられ、前記出力軸とともに回転する外歯部材と、前記外歯部材に噛み合う外歯を有し、前記軸部材の軸線回りに回動可能に支持される回動部材と、前記回動部材を回動方向において正方向または逆方向に付勢可能な付勢部材とからなり、
前記付勢部材は、前記回動部材を経由して前記出力軸を回転方向において正方向または逆方向へ付勢可能であることを特徴とする請求項1に記載の回転式アクチュエータ。 - 前記ハウジングは、前記軸部材の軸方向へ突出するハウジング側突出部を有し、
前記回動部材は、前記軸部材の軸方向へ突出する回動部材側突出部を有し、
前記付勢部材は、
一端と他端との間に前記ハウジング側突出部および前記回動部材側突出部を挟み込むようにして前記回動部材に設けられ、
前記出力軸が前記基準位置よりも正方向側に回転した位置にあるとき、一端または他端の一方が前記ハウジング側突出部に係止され、一端または他端の他方が前記回動部材側突出部に係止され、前記回動部材を経由して前記出力軸を逆方向へ付勢し、
前記出力軸が前記基準位置よりも逆方向側に回転した位置にあるとき、一端または他端の他方が前記ハウジング側突出部に係止され、一端または他端の一方が前記回動部材側突出部に係止され、前記回動部材を経由して前記出力軸を正方向へ付勢することを特徴とする請求項2または3に記載の回転式アクチュエータ。 - 前記回動部材と前記ハウジングに固定される固定部材との相対的な回動角度を検出することで、前記自動変速機のシフトレンジを検出可能なシフトポジションセンサをさらに備えることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の回転式アクチュエータ。
- 前記出力軸は、前記マニュアルシャフトにスプライン嵌合により結合可能であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の回転式アクチュエータ。
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