JP2005295673A - 同期式ブラシレスモータ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ホールIC→基板→リヤハウジング→ステータ用ターミナル→ボビン→ステータコアというように、ホールICとステータコアの間には、相対回転位置精度を乱す部品が多数介在される。
【解決手段】 ホールIC62が搭載される基板63に、ステータコア21に組付けられたコイル22のコイル配線(コイル用ターミナル81a)を直接接続したことにより、ホールIC62とステータコア21の間に介在される部品が少なくなる。この結果、ホールIC62とステータコア21の相対回転位置精度を高めることができる。また、ステータ用ターミナル82の各基板接続端子を狭い範囲内に配置できるため、ステータ用ターミナル82の全長を短く、且つ直線的にできるため、生産性が向上する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、エンコーダの検出するロータの回転角度に基づいて複数相のステータコイルの通電状態を切り替える同期式ブラシレスモータ装置に関するものである。
同期式ブラシレスモータ装置は、エンコーダの検出するロータの回転角度に基づいて複数相のステータコイルの通電状態を切り替えてブラシレスモータの同期をとるものであり、エンコーダとして、ロータと一体に回転する磁石と、ステータハウジング内に支持される基板に取り付けられて磁石の放出する磁気を検出する磁気検出素子(ホールIC等)とからなり、磁石から放出される磁気を磁気検出素子で検出することによってロータの回転角度を検出するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
ブラシレスモータの同期をとるには、ロータの極(例えばロータティース)と、磁力の発生が切り替えられるステータティースとの相対回転位置を高い精度で検出する必要があり、そのためには磁気検出素子とステータコアの相対回転位置精度を高く維持する必要がある。
しかし、磁気検出素子とステータコアの間には多数の支持部品が介在するため、磁気検出素子とステータコアの相対回転位置精度を高く維持するのは困難である。
具体的には、磁気検出素子は、基板を介してステータハウジングに支持されるものであり、ステータコアは、ステータ用ターミナル、ステータコイルのボビンを介してステータハウジングに支持されるものである。このため、磁気検出素子とステータコアの間には、磁気検出素子→基板→ステータハウジング→ステータ用ターミナル→ボビン→ステータコアというように、磁気検出素子とステータコアの相対回転位置精度を乱す部品が多数介在される。
磁気検出素子とステータコアの相対回転位置精度には、その間に介在される多数の部品の寸法公差、組付公差が加算されるため、従来の構造では相対回転位置精度の公差が大きくなってしまい、同期精度の悪化の要因になっている。
同期精度を高める目的で、磁気検出素子およびステータコアを支持する多数の部品の寸法公差、組付公差を極めて小さくする必要があるが、コスト上昇の大きな要因になってしまう。
一方、ステータ用ターミナルは、ステータハウジングにインサート成形されてステータハウジングに支持されるものであり、ステータ用ターミナルのボビン側端子は、複数のステータコイルの配置に沿って環状に配置されるとともに、ステータハウジング内において軸方向(ボビンとの組付方向)へ長く突出するものである。このため、ボビンとの組付け前、およびボビンとの組付けの際に、ステータハウジング内で軸方向へ伸びる多数の端子を変形させないように注意する必要がある。
また、複数のステータ用ターミナルは、外径方向へ直線的に伸びる部分(外部接続端子側)と、ステータハウジング内において環状に配置される円弧部分(内部配線部)と、ステータコイルに接続される外部(ボビン側端子)とからなり、複雑な曲折部分を有するものであるため、加工コストが高い。
さらに、全長が長く、且つ円弧形状の内部配線部を備えるため、金属板を打ち抜き加工する際に、打ち抜かれない金属板が多く残ることになり、生産性が悪い。
特開2004−48908号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、磁気検出素子とステータコアの相対回転位置精度を高めるとともに、生産性を向上させることのできる同期式ブラシレスモータ装置の提供にある。
[請求項1の手段]
請求項1の手段を採用する同期式ブラシレスモータ装置は、磁気検出素子が搭載される基板に、ステータコイルのコイル配線が直接接続するものである。
これによって、磁気検出素子とステータコアの間には、磁気検出素子→基板→(コイル用ターミナル)→ボビン→ステータコアというように、磁気検出素子とステータコアの相対回転位置精度を乱す部品が少なくなる。なお、括弧内で示したコイル用ターミナルを介在させることなく、基板とボビンを直接組付けることもできる。
このように、磁気検出素子とステータコアの間に介在される部品の数を減らすことができるため、磁気検出素子とステータコアの相対回転位置精度を高めることができる。
一方、各コイルへの給電は、ステータハウジングに支持されるステータ用ターミナル→基板のコイル給電用の基板配線→コイル用ターミナル→コイルの経路で成されるものであり、ステータ用ターミナルから各コイルまではコイル給電用の基板配線によって給電できる。
このため、ステータ用ターミナルの各基板接続端子(基板に接続される部分)を狭い範囲内に配置できるとともに、ステータ用ターミナルの各基板接続端子の突出長(ステータハウジング内において基板側へ突出する長さ)を短くできる。
これによって、組付け前、および組付け中に、各基板接続端子を変形させる可能性が低くなり、組付け性も向上する。また、コイル給電用の基板配線によって、1つの基板接続端子と複数のステータコイルの接続が可能であるため、基板に接続される基板接続端子の数を従来のボビン側端子の数より減らすことができ、これによっても組付け性が向上する。
また、各基板接続端子を狭い範囲内に配置できるため、ステータ用ターミナルの全長を短く、且つ直線的にできる。これによって、ステータ用ターミナルを打ち抜き加工する際に、打ち抜かれない金属板が少なくなり、生産性が向上する。
さらに、ステータ用ターミナルの形状が従来よりも単純化するため、加工コストも抑えることができる。
[請求項2の手段]
請求項2の手段を採用する同期式ブラシレスモータ装置は、ステータコイルを予めボビンの周囲に巻回しておき、それをステータティースに外嵌する構造を採用しているため、ステータティースに対するステータコイルの占積率を容易に高めることができ、結果的に同期式ブラシレスモータ装置の高出力化、もしくは同期式ブラシレスモータ装置の小型軽量化が可能になる。
さらに、ステータティースにボビンを外嵌する以前に、ボビンにステータコイルを巻回する構造を採用しているため、ステータコイルの巻回作業が容易になる。
[請求項3の手段]
請求項3の手段を採用する同期式ブラシレスモータ装置のボビンは、コイル用ターミナルが組付けられ、このコイル用ターミナルがステータコイルの端部と電気的に接続されるとともに、基板のコイル給電用の基板配線と電気的に接続される。
このように、ボビンにコイル用ターミナルを設けることにより、ステータコイルの端部の絶縁被膜の破壊と電気的な接続をヒュージング溶接などにより容易に実施できる。また、ボビンとコイル用ターミナルの組付け精度を高め、コイル用ターミナルと基板とを機械的に結合させることで、基板とボビンの組付けを容易且つ高い精度で実施できる。
[請求項4の手段]
請求項4の手段を採用する同期式ブラシレスモータ装置のステータハウジングは、複数のステータ用ターミナルおよび複数のセンサ用ターミナルをインサート樹脂成形した1次成形部材と、ステータコアの外周が圧入され、ステータハウジングの剛性を確保し、ロータ軸の軸受の支持剛性を確保する金属製の芯金と、1次成形部材と芯金とをインサート成形するインサート樹脂とから構成されるものである。
このように、ステータハウジングは、樹脂製の1次成形部材およびインサート樹脂の他に、芯金をインサートしているため、軽量小型化と高剛性の両立を図ることができる。
また、ステータハウジングを形成するインサート樹脂の変形によるステータとロータとの軸ズレを防止できるため、ロータとステータのエアギャップの精度を高めることができ、エアギャップの縮小によって、ロータとステータにより構成される電動機(ブラシレスモータ)の出力を高めることができる。
[請求項5の手段]
請求項5の手段を採用する同期式ブラシレスモータ装置は、複数のステータ用ターミナルを架橋部を介して連結した所定形状に切断および曲折し、それを1次成形部材にインサート成形した後に架橋部を切断して複数のステータ用ターミナルを独立させるとともに、複数のセンサ用ターミナルも架橋部を介して連結した所定形状に切断および曲折し、それを1次成形部材にインサート成形した後に架橋部を切断して複数のセンサ用ターミナルを独立させるものである。
このように設けることにより、架橋部で連結された複数のステータ用ターミナルを1つの部品として樹脂製の1次成形部材にインサート成形することができるとともに、架橋部で連結された複数のセンサ用ターミナルを1つの部品として樹脂製の1次成形部材にインサートすることができるため、インサートする部品点数を抑えることができ、成形時の作業性が向上する。
[請求項6の手段]
請求項6の手段を採用する同期式ブラシレスモータ装置は、ステータハウジングにステータを組付けた後に、ステータの外径または内径を基準として、ロータ軸の軸受の取付径の仕上げ加工を行うものである。
このように設けることによって、ロータとステータのエアギャップの管理精度を高めることができるため、ロータとステータのエアギャップの精度を高めることができ、エアギャップの縮小によって、ロータとステータにより構成される電動機(ブラシレスモータ)の出力を高めることができる。
[請求項7の手段]
請求項7の手段を採用する同期式ブラシレスモータ装置は、第1系統のステータコイルに接続するための第1ターミナル群と、第2系統のステータコイルに接続するための第2ターミナル群とが、同一形状を呈するものである。
このように設けられることにより、第1ターミナル群および第2ターミナル群を区別なく製造でき、製造コストを抑えることが可能になる。
[請求項8の手段]
請求項8の手段を採用する同期式ブラシレスモータ装置は、ステータとロータからなる電動機がリラクタンスモータ、あるいは永久磁石型同期モータである。
[請求項9の手段]
請求項9の手段を採用する同期式ブラシレスモータ装置の電動機は、減速機と組み合わされて、車両用自動変速機に搭載されたシフトレンジ切替装置を駆動するものである。
最良の形態の同期式ブラシレスモータ装置は、内径方向へ向けて突出する複数のステータティースを有し、ステータハウジングに支持されるステータコア、複数のステータティースに磁力を生じさせる複数相のステータコイルを備えたステータと、ステータティースに生じる磁力によって回転するロータと、ロータの回転角度を検出するエンコーダと、このエンコーダの検出するロータの回転角度に基づいて複数相のステータコイルの通電状態を切り替える制御装置とを具備する。
エンコーダは、ロータと一体に回転する磁石と、磁石の放出する磁気を検出する磁気検出素子とを備え、磁石から放出される磁気を磁気検出素子で検出することによってロータの回転角度を検出するものである。
そして、磁気検出素子は、ステータコアに支持される基板に設けられるものであり、また、複数相のステータコイルのコイル配線は、磁気検出素子が搭載される基板に直接接続して設けられるものである。
実施例1を図1〜図15を参照して説明する。
この実施例1は、車両用自動変速機のシフトレンジ切替装置において切り替えのための動力を発生する回転式アクチュエータに本発明を適用したものであり、まずシフトレンジ切替装置を説明する。
(シフトレンジ切替装置の説明)
シフトレンジ切替装置は、回転式アクチュエータ1(図2参照)によって、車両用自動変速機2(図3参照)に搭載されたシフトレンジ切替機構3(パーキング切替機構4を含む:図4参照)を切り替えるものである。
回転式アクチュエータ1は、シフトレンジ切替機構3を駆動するサーボ機構として用いられるものであり、同期型の電動機5と減速機6によって構成される。なお、図2の右側をフロント(あるいは前)、左側をリヤ(あるいは後)としてこの実施例1を説明する。
(電動機5の説明)
電動機5を図2、図5を参照して説明する。
この実施例1の電動機5は、永久磁石を用いないブラシレスのSRモータ(スイッチド・リラクタンス・モータ)であり、回転自在に支持されるロータ11と、このロータ11の回転中心と同軸上に配置されたステータ12とで構成される。
ロータ11は、ロータ軸13とロータコア14で構成されるものであり、ロータ軸13は前端と後端に配置された転がり軸受(フロント転がり軸受15、リヤ転がり軸受16)によって回転自在に支持される。
なお、フロント転がり軸受15は、減速機6の出力軸17の内周に嵌合固定されたものであり、減速機6の出力軸17はフロントハウジング18の内周に配置されたメタルベアリング19によって回転自在に支持されている。つまり、ロータ軸13の前端は、フロントハウジング18に設けられたメタルベアリング19→出力軸17→フロント転がり軸受15を介して回転自在に支持される。
ここで、メタルベアリング19の軸方向の支持区間は、フロント転がり軸受15の軸方向の支持区間にオーバーラップするように設けられている。このように設けることによって、減速機6の反力(具体的には、後述するサンギヤ26とリングギヤ27の噛合にかかる負荷の反力)に起因するロータ軸13の傾斜を回避することができる。
一方、リヤ転がり軸受16は、ロータ軸13の後端外周に圧入固定され、リヤハウジング20(ステータハウジングに相当する)によって支持されるものである。
ステータ12は、ステータコア21およびコイル22(具体的には、コイル22U、22U’、22V、22V’、22W、22W’:図5参照)から構成される。
ステータコア21は、薄板を多数積層して形成されたものであり、リヤハウジング20に固定されている。このステータコア21には、内側のロータコア14に向けて30度毎に突設されたステータティース23(内向突極)が設けられており、各ステータティース23のそれぞれには各ステータティース23毎に起磁力を発生させる複数相のコイル22U、22U’、22V、22V’、22W、22W’が巻回されている。
ここで、コイル22U、22U’がU相であり、コイル22V、22V’がV相であり、コイル22W、22W’がW相である。
詳しくは、U相のコイル22U、22U’のうち、コイル22Uとコイル22U’は逆磁極となるものであり、V相のコイル22V、22V’のうち、コイル22Vとコイル22V’は逆磁極となるものであり、W相のコイル22W、22W’のうち、コイル22Wとコイル22W’は逆磁極となるものである。
ロータコア14は、薄板を多数積層して形成されたものであり、ロータ軸13に圧入固定されている。このロータコア14には、外周のステータコア21に向けて45度毎に突設されたロータティース24(外向突極)が設けられている。そして、図5の状態からU相→W相→V相の順番に通電を切り替えると、ロータティース24を磁気吸引するステータティース23が順次切り替わってロータ11が時計回り方向に回転し、逆にW相→U相→V相の順番に通電を切り替えると、ロータティース24を磁気吸引するステータティース23が順次切り替わってロータ11が反時計回り方向に回転するものであり、U、V、W相の通電が一巡する毎にロータ11が45度回転する構成になっている。
(減速機6の説明)
減速機6を図2、図6〜図8を参照して説明する。
この実施例1に示す減速機6は、遊星歯車減速機の1種である内接噛合遊星歯車減速機(サイクロイド減速機)であり、ロータ軸13に設けられた偏心部25を介してロータ軸13に対して偏心回転可能な状態で取り付けられたサンギヤ26(インナーギヤ:外歯歯車)と、このサンギヤ26が内接噛合するリングギヤ27(アウターギヤ:内歯歯車)と、サンギヤ26の自転成分のみを出力軸17に伝達する伝達手段28とを備える。
偏心部25は、ロータ軸13の回転中心に対して偏心回転してサンギヤ26を揺動回転させる軸であり、偏心部25の外周に配置されたサンギヤ軸受31を介してサンギヤ26を回転自在に支持するものである。
サンギヤ26は、上述したように、サンギヤ軸受31を介してロータ軸13の偏心部25に対して回転自在に支持されるものであり、偏心部25の回転によってリングギヤ27に押しつけられた状態で回転するように構成されている。
リングギヤ27は、フロントハウジング18に固定されるものである。
伝達手段28は、出力軸17と一体に回転するフランジ33の同一円周上に形成された複数の内ピン穴34と、サンギヤ26に形成され、内ピン穴34にそれぞれ遊嵌する複数の内ピン35とによって構成される。
複数の内ピン35は、サンギヤ26のフロント面に突出する形で設けられている。
複数の内ピン穴34は、出力軸17の後端に設けられたフランジ33に設けられており、内ピン35と内ピン穴34の嵌まり合いによって、サンギヤ26の自転運動が出力軸17に伝えられるように構成されている。
このように設けられることにより、ロータ軸13が回転してサンギヤ26が偏心回転することにより、サンギヤ26がロータ軸13に対して減速回転し、その減速回転が出力軸17に伝えられる。なお、出力軸17は、シフトレンジ切替機構3のコントロールロッド45(後述する)に連結される。
なお、この実施例1とは異なり、複数の内ピン穴34をサンギヤ26に形成し、複数の内ピン35をフランジ33に設けて構成しても良い。
(シフトレンジ切替機構3の説明)
シフトレンジ切替機構3を図4を参照して説明する。
シフトレンジ切替機構3(パーキング切替機構4を含む)は、上述した減速機6の出力軸17によって切り替え駆動されるものである。
自動変速機2における各シフトレンジ(例えば、P、R、N、D)の切り替えは、油圧コントロールボックス41に設けられたマニュアルスプール弁42を適切な位置にスライド変位させることによって行われる。
一方、パーキング切替機構4のロックとアンロックの切り替えは、パークギヤ43の凹部43aとパークポール44の凸部44aの係脱によって行われる。なお、パークギヤ43は、図示しないディファレンシャルギヤを介して図示しない自動変速機2の出力軸に連結されたものであり、パークギヤ43の回転を規制することで車両の駆動輪がロックされて、パーキングのロック状態が達成される。
減速機6によって駆動されるコントロールロッド45には、略扇形状を呈したディテントプレート46が図示しないスプリングピン等を打ち込むことで取り付けられている。
ディテントプレート46は、半径方向の先端(略扇形状の円弧部)に複数の凹部46aが設けられており、油圧コントロールボックス41に固定された板バネ47が凹部46aに嵌まり合うことで、切り替えられたシフトレンジが保持されるようになっている。
ディテントプレート46には、マニュアルスプール弁42を駆動するためのピン48が取り付けられている。
ピン48は、マニュアルスプール弁42の端部に設けられた溝49に係合しており、ディテントプレート46がコントロールロッド45によって回動操作されると、ピン48が円弧駆動されて、ピン48に係合するマニュアルスプール弁42が油圧コントロールボックス41の内部で直線運動を行う。
コントロールロッド45を図4中矢印A方向から見て時計回り方向に回転させると、ディテントプレート46を介してピン48がマニュアルスプール弁42を油圧コントロールボックス41の内部に押し込み、油圧コントロールボックス41内の油路がD→N→R→Pの順に切り替えられる。つまり、自動変速機2のレンジがD→N→R→Pの順に切り替えられる。
逆方向にコントロールロッド45を回転させると、ピン48がマニュアルスプール弁42を油圧コントロールボックス41から引き出し、油圧コントロールボックス41内の油路がP→R→N→Dの順に切り替えられる。つまり、自動変速機2のレンジがP→R→N→Dの順に切り替えられる。
一方、ディテントプレート46には、パークポール44を駆動するためのパークロッド51が取り付けられている。このパークロッド51の先端には円錐部52が設けられている。
この円錐部52は、自動変速機2のハウジングの突出部53とパークポール44の間に介在されるものであり、コントロールロッド45を図4中矢印A方向から見て時計回り方向に回転させると(具体的には、R→Pレンジ)、ディテントプレート46を介してパークロッド51が図4中矢印B方向へ変位して円錐部52がパークポール44を押し上げる。すると、パークポール44が軸44bを中心に図4中矢印C方向に回転し、パークポール44の凸部44aがパークギヤ43の凹部43aに係合し、パーキング切替機構4のロック状態が達成される。
逆方向へコントロールロッド45を回転させると(具体的には、P→Rレンジ)、パークロッド51が図4中矢印B方向とは反対方向に引き戻され、パークポール44を押し上げる力が無くなる。パークポール44は、図示しないねじりコイルバネにより、図4中矢印C方向とは反対方向に常に付勢されているため、パークポール44の凸部44aがパークギヤ43の凹部43aから外れ、パークギヤ43がフリーになり、パーキング切替機構4がアンロック状態になる。
(エンコーダ60の説明)
エンコーダ60を図2、図9〜図13を参照して説明する。
上述した回転式アクチュエータ1には、そのハウジング(フロントハウジング18+リヤハウジング20)内に、ロータ11の回転角度を検出するエンコーダ60(回転角度検出手段)が搭載されている。このエンコーダ60によってロータ11の回転角度を検出することにより、電動機5を脱調させることなく高速運転することができる。
このエンコーダ60は、インクリメンタル型であり、ロータ11と一体に回転する磁石61と、リヤハウジング20内に配置される磁気検出用のホールIC62(具体的には、第1、第2回転角用ホールIC62A、62Bと、インデックス用ホールIC62Z)とを備え、このホールIC62は、リヤハウジング20内に配置される基板63に支持される。
磁石61は、図9〜図11に示されるように、略リング円板形状を呈し、ロータ軸13と同芯上に配置されるものであり、ロータコア14の軸方向の端面(後面)に接合される。なお、ロータコア14から磁石61に対して大きな磁力影響を与える場合は、その磁力の影響を弱めるために、非磁性体の膜部材(図示しない)を介して磁石61をロータコア14に接合する。
また、ロータコア14から磁石61に対する磁力の影響が小さい時は、磁石61をロータコア14に直接接合する。これによって部品点数を低減でき、コストを抑えることができる。
磁石61は、着磁された磁性体である。具体的な一例として、磁石61は、ネオジウムマグネット(希土類磁石の一例)であり、軸方向に所定の厚みを有している。この磁石61は、自らの磁力によってロータコア14に接合するものである。具体的な一例を示すと、ロータコア14との接合面に接合用の着磁がなされ、そのロータコア14側の面に着磁された磁力によってロータコア14に接合するものである。もちろん、磁力で接合するのではなく、接着剤等によって接合したものであっても良い。
ロータコア14の後面には、図11に示されるように、磁石位置決め用の穴14aが複数設けられている。一方、磁石61の接合面にも、複数の突起61aが設けられている。そして、磁石61の突起61aをロータコア14の穴14aに挿入して組付けを行うことにより、ロータコア14の回転中心と同芯上に磁石61が組付けられる。
この実施例1の磁石61は、ロータコア14に接合された後、図10に示されるように、ホールIC62と対向する面(後面)に回転角やインデックス検出用の着磁が施され、磁石61の軸方向に磁力を発生するものである。なお、磁石61のホールIC62と対向する面(後面)に回転角やインデックス検出用の着磁を施した後に、磁石61をロータコア14に接合しても良い。
ホールIC62と対向する面(後面)における着磁について説明する。
図9に示されるように、磁石61の後面外周側には、回転方向に回転角信号発生/停止用の多極着磁が施された回転角着磁部αが設けられており、その内周に隣接して、回転方向にインデックス信号発生/停止用のインデックス着磁部βと信号発生に関与しないインデックス非着磁部β’が設けられている。
この実施例1の磁石61は、インデックス非着磁部β’とインデックス用ホールIC62Zの対向ギャップが大きくなるように、インデックス非着磁部β’がインデックス用ホールIC62Zとは異なった側(前側)に凹んで設けられている。
別の言い方をすれば、回転角着磁部αおよびインデックス着磁部βのみが凸状の島に設けられたものである。そして、この島の突出面のみに着磁が施されたものであり、着磁の施されないインデックス非着磁部β’は、インデックス非着磁部β’とインデックス用ホールIC62Zの対向ギャップが大きくなるように凹んで設けられている。
回転角着磁部αは、図9に示すように、回転方向に回転角信号(以下、A相信号あるいはB相信号)発生のための多極着磁が施されたものであり、この実施例1では7.5度ピッチでN極とS極とが繰り返して着磁されたものである。即ち、回転角着磁部αは、48極のA、B相センシング部を備えるものである。
インデックス着磁部βは、各相(U、V、W相)のコイル22の通電が一巡する周期(45度間隔)でインデックス信号(以下、Z相信号)を発生させるためのものであり、45度間隔でZ相信号発生用のN極が7.5度ピッチで着磁され、その回転方向の両脇にS極が着磁されたものである。なお、この実施例1におけるインデックス着磁部βのN極およびS極は、上述した回転角着磁部αのN極およびS極と回転角で一致するものであるが、一致しないように設けても良い。また、Z相信号発生用のS極の着磁ピッチが7.5度ピッチの例を示すが、外周側の回転角着磁部αのN極の着磁ピッチと一部オーバーラップするように設けても良い。
インデックス非着磁部β’は、インデックス着磁部βとインデックス着磁部βの間(回転方向の間)にあって、Z相信号を発生させない部分であり、着磁されていない部分である。
第1、第2回転角用ホールIC62A、62Bは、回転角着磁部αに軸方向に対向した状態で基板63に支持されるものであり、インデックス用ホールIC62Zは、インデックス着磁部βおよびインデックス非着磁部β’に軸方向に対向した状態で基板63に支持されるものである。
なお、第1、第2回転角用ホールIC62A、62Bは、相対角度が3.75度(電気角で90度)ズレて設けられており、結果的にA相信号とB相信号が相対角度で3.75度(電気角で90度)ズレるようになっている(図13参照)。
第1、第2回転角用ホールIC62A、62Bおよびインデックス用ホールIC62Zは、ホール素子とON-OFF信号発生ICを一体化したものであり、通過する磁束量に応じた出力を発生するホール素子と、このホール素子に与えられるN極側の磁束密度が閾値(例えば、0.9〜5mT)を超えた際に回転角信号(A相信号、B相信号、Z相信号)を発生(信号ON)し、S極側の磁束密度が閾値(例えば、−0.9〜−5mT)よりもS極側に大きくなると回転角信号(A相信号、B相信号、Z相信号)を停止(信号OFF )するものである。
なお、この実施例1ではホール素子とON-OFF信号発生回路を一体化したホールIC(第1、第2回転角用ホールIC62A、62Bおよびインデックス用ホールIC62Z)を例に示すが、ホール素子とON-OFF信号発生回路を別に配置しても良い。具体的には、ON-OFF信号発生回路をホール素子とは別に基板63の上に組み込んでも良いし、ECU70の内部に組み込んでも良い。
次に、図13を用いてエンコーダ60によるA相信号、B相信号、Z相信号の出力波形について説明する。
A相信号およびB相信号は、相対角度3.75度(電気角で90度)の位相差を持った出力信号であり、実施例1ではロータ11が15度回転する毎にA相信号とB相信号がそれぞれ1周期出力されるように構成されている。
Z相信号は、ロータ11が45度回転する毎に1回ずつ出力されるモータ通電切替用のインデックス信号(この実施例1ではON信号)であり、このZ相信号によって電動機5の通電相と、A相、B相の相対位置関係を定義できる。
基板63は、第1、第2回転角用ホールIC62A、62Bを回転角着磁部αに軸方向に対向した状態で支持するとともに、インデックス用ホールIC62Zをインデックス着磁部βおよびインデックス非着磁部β’に軸方向に対向した状態で支持するものであり、後述するように、各コイル22のリヤ側の側面に取り付けられてリヤハウジング20の内部に配置されるものである。
この実施例1で示したように、エンコーダ60が回転式アクチュエータ1の内部に搭載されるため、エンコーダ60を搭載した回転式アクチュエータ1を小型化できる。また、この実施例1では、ロータコア14の後側に磁石61およびホールIC62を配置する構造であるため、エンコーダ60を内蔵した回転式アクチュエータ1の径方向寸法の大径化を阻止でき、車両搭載性を向上できる。
(ECU70の説明)
ECU70を図3を参照して説明する。
ECU70(制御装置に相当する)は、乗員によって操作されるレンジ操作手段(図示しない)に基づいて、電動機5の回転方向、回転数(回転する数)および回転角の決定を行い、その決定に基づいて電動機5の回転方向、回転数および回転角の制御を行うものである。具体的にECU70は、電動機5を回転させる際、エンコーダ60によって検出されるロータ11の回転角度等に基づいて複数相のコイル22の通電状態を切り替える同期運転を実施して、電動機5の回転方向、回転数および回転角の制御を行い、減速機6を介してシフトレンジ切替機構3を切替制御するものである。
ここで、図3中に示す符号71は車載バッテリ、符号72はシフトレンジおよび回転式アクチュエータ1の状態を示す表示装置類(通常運転時の視覚表示手段、警告灯、警告ブザー等)、符号73は電動機5の給電回路、符号74は車速センサ、符号75はレンジ位置検出センサ、ブレーキスイッチ、その他の車両状態を検出するセンサ類を示す。
図14に、電動機5の給電回路73を示す。
この実施例1のコイル22U、22V、22Wおよびコイル22U’、22V’、22W’は、それぞれスター結線されたものであり、それぞれ極性の異なる相毎に給電を行うスイッチング素子76に接続され、ECU70によって個別に通電状態が切替可能に設けられている。
〔実施例1の特徴〕
次に、ステータ12およびリヤハウジング20の構造および組付方法を詳細に説明する。
まず、ステータ12の製造および組付方法について説明する。
各コイル22(22U、22V、22W、22U’、22V’、22W’)は、それぞれ絶縁性のボビン81の周囲に絶縁被覆導線を多数巻き付けて形成されたものであり、コイル22が巻回されたボビン81を、各ステータティース23の周囲に外嵌したものである。
コイル22の組み立てについて説明する。先ず樹脂製のボビン81に形成された2つの端子挿入穴(図示しない)のそれぞれにコイル用ターミナル81aを組入れる。ボビン81には、コイル22の端部を案内する溝が形成されており、コイル22の端部がボビン81内に埋設するように設けられている。
ボビン81の周囲に絶縁被覆導線を巻き付けてコイル22を形成した後、コイル22の両端をそれぞれのコイル用ターミナル81aと電気的に接続する。なお、この電気的な接続手段として、この実施例ではヒュージング溶接を採用し、絶縁被覆の破壊、およびコイル端とコイル用ターミナル81aの接続を同時に行っている。
ここで、各コイル用ターミナル81aには、基板63に設けられた穴(コイル給電用の基板配線に接続されるコイル接続ホール)に挿入される基板組付突起が突出して設けられている。
上記よりなるコイル22が巻回されたボビン81は、多数の薄板を積層してなるステータコア21の各ステータティース23に外嵌される。以上によってステータ12の製造が完了する。
次に、リヤハウジング20の構造および組付方法について説明する。
各コイル22は、リヤハウジング20に支持されたステータ用ターミナル82→基板63に設けられたコイル給電用の基板配線→コイル用ターミナル81aを介して給電されるものであり、外部コネクタと基板63との電気的な接続を行うステータ用ターミナル82は、リヤハウジング20内にインサート成形された構造を採用している。具体的に、ステータ用ターミナル82は、リヤハウジング20を構成するインサート樹脂83内にインサート成形された構成を採用している。
複数のステータ用ターミナル82は、樹脂製の1次成形部材84にインサート成形された後に、その状態でインサート樹脂83内にインサート成形される。
複数のステータ用ターミナル82は、1次成形部材84にインサート成形される以前において金属板を打ち抜き加工および曲折加工して形成したものであり、複数のステータ用ターミナル82が架橋部(図示しない)を介して連結された所定形状に設けられたものである。
架橋部で連結された複数のステータ用ターミナル82は、1次成形部材84にインサート成形された後に、架橋部を打ち抜いて切断するように設けられている。この架橋部の切断加工によって、複数のステータ用ターミナル82が独立する。
このように設けることにより、架橋部で連結された複数のステータ用ターミナル82を1つの部品として樹脂製の1次成形部材84にインサートすることができるため、成形時にインサートする部品点数を抑えることができ、成形時の作業性が向上する。
具体的に、コイル22は、U、V、W相からなる第1系統と、U’、V’、W’相からなる第2系統とからなり、複数のステータ用ターミナル82は、第1系統のコイル22に接続するための第1ターミナル群と、第2系統のコイル22に接続するための第2ターミナル群とに区分されている。
第1ターミナル群は、U相、V相、W相、グランドの4本(補助リードを入れた場合は5本)であり、第2ターミナル群は、U’相、V’相、W’相、グランドの4本(補助リードを入れた場合は5本)である。
第1ターミナル群と第2ターミナル群は同一形状のものであり、2つのターミナル群を1次成形部材84にインサート成形した後に、架橋部を切断することによって、2部品から8本(補助リードを入れると10本)のステータ用ターミナル82にすることができる。
このように、第1ターミナル群と第2ターミナル群が同一形状に設けられるため、製造コストを抑えることができる。
一方、エンコーダ60の磁気検出用のホールIC62(62A、62B、62Z)も基板63に搭載されるものであり、このホールIC62もリヤハウジング20に支持された複数のセンサ用ターミナル85(符号、図15参照)→基板63に設けられたセンサ用の基板配線→ホールIC62に電気的に接続されるものであり、各センサ用ターミナル85もリヤハウジング20内にインサート成形された構造を採用している。
複数(この実施例では6本)のセンサ用ターミナル85は、1次成形部材84にインサート成形される以前において金属板を打ち抜き加工および曲折加工して形成されるものであり、図15に示されるように、複数のセンサ用ターミナル85が架橋部85aを介して連結されたものである。
そして、架橋部85aで連結された複数のセンサ用ターミナル85は、1次成形部材84にインサート成形された後に、架橋部85aを切断するように設けられている。この架橋部85aの切断加工によって、複数のセンサ用ターミナル85が独立する。なお、この架橋部85aの切断加工は、上述したステータ用ターミナル82の架橋部の切断と同時に行われる。
このように設けることにより、架橋部85aで連結された6本のセンサ用ターミナル85を1つの部品として樹脂製の1次成形部材84にインサートすることができるため、成形時にインサートする部品点数を抑えることができ、成形時の作業性が向上する。
リヤハウジング20は、複数のステータ用ターミナル82および複数のセンサ用ターミナル85を組付けた樹脂製の1次成形部材84と、ステータコア21の外周が圧入されるとともに、リヤハウジング20の剛性を確保し、さらにロータ軸13の一端を回転自在に支持するリヤ転がり軸受16の支持剛性を確保する金属製の芯金86とを組付け、その組付けられた1次成形部材84と芯金86とをインサート金型内に配置してインサート樹脂83によってインサート成形した構造を採用している。
このように、リヤハウジング20は、樹脂製の1次成形部材84の他に、インサート樹脂83の内部に芯金86をインサート成形しているため、回転式アクチュエータ1の体格を大きくすることなく剛性を確保することができる。
また、リヤハウジング20を形成するインサート樹脂83の変形によるステータ12とロータ11との軸ズレを防止できるため、ロータ11とステータ12のエアギャップ精度を高めることができ、その結果、ロータ11とステータ12のエアギャップを少なくすることが可能になり、電動機5の出力を向上させることができる。
基板63は、各ホールIC62(62A、62B、62Z)を支持する他に、各ステータ用ターミナル82と各コイル用ターミナル81aの電気的な接続を行うとともに、各センサ用ターミナル85と各ホールIC62の電気的な接続を行うものであり、各ステータ用ターミナル82と各コイル用ターミナル81aの電気的な接続を行うためのコイル給電用の基板配線、および各センサ用ターミナル85と各ホールIC62の電気的な接続を行うためのセンサ用の基板配線などの配線パターンが、プリント技術などによって形成されている。
また、基板63には、各コイル用ターミナル81aの基板組付突起が挿通されるコイル接続ホールの他にも、各ステータ用ターミナル82の端部の基板接続端子が挿通される給電用ホール63a、および各センサ用ターミナル85の端部の基板接続端子が挿通されるセンサ用ホールが形成されている。
次に、上記の如く構成されたステータ12とリヤハウジング20との組付けについて図1を参照して説明する。
まず、図1(b)に示すように、ステータコア21に組付けられたコイル22のボビン81にそれぞれ固定された各コイル用ターミナル81aのリヤ側の端部(基板組付突起)を、ホールIC62(62A、62B、62Z)や基板配線が設けられた基板63のコイル接続ホールに挿入する。
次に、図1(b)のIに示すように、コイル用ターミナル81aの基板組付突起と、基板63の表面に形成されたコイル給電用の基板配線とを、ハンダ付け等により電気的に接続する。
次に、図1(a)に示すように、リヤハウジング20の内周面(具体的には、芯金86の内周面)に、基板63が組付けられたステータコア21を圧入する。この時、各ステータ用ターミナル82の基板接続端子、および各センサ用ターミナル85の基板接続端子を、基板63に形成された給電用ホール63a、およびセンサ用ホールに挿入する。
次に、図1(a)のIIに示すように、各ステータ用ターミナル82の基板接続端子と、基板63の表面に形成されたコイル給電用の基板配線とをハンダ付け等により電気的に接続するとともに、各センサ用ターミナル85の基板接続端子と、基板63の表面に形成されたセンサ用の基板配線とをハンダ付け等により電気的に接続する。
なお、リヤハウジング20の内周面にステータコア21を圧入した後に、ステータ12の外径または内径を基準として、リヤ転がり軸受16の取付径の仕上げ加工(切削による芯出し加工)を行うことによって、ロータ11とステータ12のエアギャップの管理精度を高めることができる。これによって、ロータ11とステータ12のエアギャップの縮小を図ることができ、電動機5の出力の向上を図ることができる。
以上の工程によって、ステータ12およびエンコーダ60の磁気検出側が組付けられたリヤハウジング20が完成する。
〔実施例1の効果〕
電動機5とエンコーダ60とを組み合わせてなる回転式アクチュエータ1は、ホールIC62が搭載される基板63に、ステータコイル22のコイル配線(具体的にはコイル用ターミナル81a)が直接接続されたものである。
このように設けられることにより、ホールIC62(62A、62B、62Z)とステータコア21の間には、ホールIC62→基板63→コイル用ターミナル81a→ボビン81→ステータコア21というように、ホールIC62とステータコア21の相対回転位置精度を乱す部品が従来技術より少なくなる。即ち、ホールIC62とステータコア21の間に介在される部品の数が減るため、ホールIC62とステータコア21の相対回転位置精度を高めることができ、電動機5の同期精度を高めることができる。
一方、各コイル22への給電は、リヤハウジング20に支持されるステータ用ターミナル82→基板63のコイル給電用の基板配線→コイル用ターミナル81a→コイル22の経路で成されるものであり、ステータ用ターミナル82の基板接続端子から各コイル22まではコイル給電用の基板配線によって給電される。このため、ステータ用ターミナル82の各基板接続端子を狭い範囲内に配置できるとともに、ステータ用ターミナル82の各基板接続端子の突出長(リヤハウジング20内において基板63側へ突出する長さ)を短くできる。
これによって、組付け前、および組付け中に、ステータ用ターミナル82の各基板接続端子を変形させる可能性が低くなり、組付け性も向上する。また、コイル給電用の基板配線によって、1つの基板接続端子と複数のコイル22の接続を行うことができ、ステータ用ターミナル82における基板接続端子の数を、従来のボビン側端子の数よりも減らすことができ、これによっても組付け性が向上する。
また、ステータ用ターミナル82の各基板接続端子を狭い範囲内に配置できるため、ステータ用ターミナル82の全長を短く、且つ直線的にできる。これによって、ステータ用ターミナル82を打ち抜き加工する際に、打ち抜かれない金属板が少なくなり、生産性が向上する。
さらに、ステータ用ターミナル82の形状が従来より単純化するため、ステータ用ターミナル82の加工コストも抑えることができる。
〔変形例〕
上記の実施例では、コイル用ターミナル81aを介してボビン81と基板63とを結合した例を示したが、ボビン81と基板63とを直接結合しても良い。
上記の実施例では、コイル用ターミナル81aを介してコイル22と基板63の配線(コイル給電用の基板配線)とを接続した例を示したが、コイル22と基板63の配線(コイル給電用の基板配線)とを直接接続しても良い。
上記の実施例では、電動機5の一例としてSRモータを用いる例を示したが、シンクロナス・リラクタンス・モータなど他のリラクタンスモータや、表面磁石構造型シンクロナスモータ(SPM)、埋込磁石構造型シンクロナスモータ(IPM)などの永久磁石型同期モータなど、他のモータを用いても良い。
上記の実施例では、減速機6の一例として内接噛合遊星歯車減速機(サイクロイド減速機)を用いる例を示したが、ロータ軸13によって駆動されるサンギヤ26、このサンギヤ26の周囲に等間隔に複数配置されたプラネタリピニオン、このプラネタリピニオンの周辺に噛み合うリングギヤ等により構成されたタイプの遊星歯車減速装置を用いても良い。
上記の実施例では、減速機6の一例として内接噛合遊星歯車減速機(サイクロイド減速機)を用いる例を示したが、ロータ軸13によって駆動されるサンギヤ26、このサンギヤ26に噛合する複数のギヤ列等により構成された歯車列の組み合わせよりなる減速装置を用いても良い。
上記の実施例では、自動変速機2のシフトレンジ切替装置において切り替えのための回転トルクを発生する回転式アクチュエータ1に本発明を適用する例を示したが、カムシャフトの進角位相を可変する回転式アクチュエータなど、電動機と減速機を組み合わせてなる他の回転式アクチュエータに本発明を適用しても良い。
上記の実施例では、電動機5と減速機6を組み合わせた例を示したが、電動機5の出力をそのまま利用したり、電動機5の出力を増速して利用する同期式ブラシレスモータ装置に本発明を適用しても良い。
ステータおよびエンコーダの磁気検出側の組付図である。 回転式アクチュエータの断面図である。 シフトレンジ切替装置のシステム構成図である。 パーキング切替機構を含むシフトレンジ切替機構の斜視図である。 電動機の正面図である。 減速機をリヤ側から見た斜視図である。 減速機をフロント側から見た斜視図である。 減速機をフロント側から見た分解斜視図である。 磁石の着磁状態を示す平面図および断面図である。 磁石が組付けられたロータの断面図である。 磁石の組付けを示す説明図である。 ホールICの配置図である。 ロータが回転した際におけるA、B、Z相の出力波形図である。 電動機の給電回路図である。 架橋部切断前におけるセンサ用ターミナルの斜視図である。
符号の説明
1 回転式アクチュエータ
2 自動変速機
5 電動機(ブラシレスモータ、リラクタンスモータ)
6 減速機
11 ロータ
12 ステータ
13 ロータ軸
14 ロータコア
16 リヤ転がり軸受(ロータ軸の一端を回転自在に支持する軸受)
20 リヤハウジング(ステータハウジング)
21 ステータコア
22 コイル(ステータコイル)
23 ステータティース
60 エンコーダ
61 磁石
62 ホールIC(磁気検出素子の一例であるホール素子が搭載されたIC)
63 基板
70 ECU(制御装置)
81 ボビン
81a コイル用ターミナル
82 ステータ用ターミナル
83 インサート樹脂
84 1次成形部材
85 センサ用ターミナル
85a センサ用ターミナルの架橋部
86 芯金

Claims (9)

  1. 内径方向へ向けて突出する複数のステータティースを有し、ステータハウジングに支持されるステータコア、前記複数のステータティースに磁力を生じさせる複数相のステータコイルを備えたステータと、
    前記ステータティースに生じる磁力によって回転するロータと、
    前記ロータの回転角度を検出するエンコーダと、
    このエンコーダの検出する前記ロータの回転角度に基づいて前記複数相のステータコイルの通電状態を切り替える制御装置と、
    を具備する同期式ブラシレスモータ装置において、
    前記エンコーダは、前記ロータと一体に回転する磁石と、前記ステータコアに支持される基板に取り付けられて前記磁石の放出する磁気を検出する磁気検出素子とを備え、前記磁石から放出される磁気を前記磁気検出素子で検出することによって前記ロータの回転角度を検出するものであり、
    前記複数相のステータコイルのコイル配線は、前記磁気検出素子が搭載される前記基板に直接接続して設けられることを特徴とする同期式ブラシレスモータ装置。
  2. 請求項1に記載の同期式ブラシレスモータ装置において、
    前記複数相のステータコイルのそれぞれは、前記ステータティースに装着される絶縁性のボビンの周囲に絶縁被覆が形成された導線を多数巻回したものであることを特徴とする同期式ブラシレスモータ装置。
  3. 請求項2に記載の同期式ブラシレスモータ装置において、
    前記ボビンには、コイル用ターミナルが組付けられ、このコイル用ターミナルは前記ステータコイルの端部と電気的に接続されるとともに、前記基板のコイル給電用の基板配線と電気的に接続されることを特徴とする同期式ブラシレスモータ装置。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の同期式ブラシレスモータ装置において、
    前記ステータハウジングは、
    前記基板に設けられたコイル給電用の基板配線を介して前記複数相のステータコイルに電気的に接続される複数のステータ用ターミナル、および前記磁気検出素子に電気的に接続される複数のセンサ用ターミナルをインサート樹脂成形した1次成形部材と、
    前記ステータコアの外周が圧入され、前記ステータハウジングの剛性を確保するとともに、ロータ軸の一端を回転自在に支持する軸受の支持剛性を確保する金属製の芯金と、
    前記1次成形部材と前記芯金とをインサート成形するインサート樹脂と、
    から構成されることを特徴とする同期式ブラシレスモータ装置。
  5. 請求項4に記載の同期式ブラシレスモータ装置において、
    前記複数のステータ用ターミナルおよび前記複数のセンサ用ターミナルは、それぞれ前記1次成形部材にインサート成形される以前において金属板を打ち抜き加工および曲折加工して、架橋部を介して連結された所定形状に設けられたものであり、
    前記1次成形部材にインサート成形された後に、前記架橋部を切断して前記複数のステータ用ターミナルおよび前記複数のセンサ用ターミナルが独立することを特徴とする同期式ブラシレスモータ装置。
  6. 請求項4または請求項5に記載の同期式ブラシレスモータ装置において、
    前記ステータハウジングに前記ステータを組付けた後に、前記ステータの外径または内径を基準として、前記ロータ軸を回転自在に支持する前記軸受の取付径の仕上げ加工を行うことを特徴とする同期式ブラシレスモータ装置。
  7. 請求項4〜請求項6のいずれかに記載の同期式ブラシレスモータ装置において、
    前記ステータコアに装着される前記ステータコイルは、
    前記ステータコアの周方向に沿うU、V、W相を備える第1系統と、U’、V’、W’相を備える第2系統とからなり、
    前記複数のステータ用ターミナルは、
    前記第1系統の前記ステータコイルに接続するための第1ターミナル群と、前記第2系統の前記ステータコイルに接続するための第2ターミナル群とに区分され、
    前記第1ターミナル群と前記第2ターミナル群は、同一形状を呈することを特徴とする同期式ブラシレスモータ装置。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれかに記載の同期式ブラシレスモータ装置において、
    前記ステータと前記ロータからなる電動機は、リラクタンスモータ、あるいは永久磁石型同期モータであることを特徴とする同期式ブラシレスモータ装置。
  9. 請求項8に記載の同期式ブラシレスモータ装置において、
    前記電動機は、この電動機の出力を減速する減速機と組み合わされて、車両用自動変速機に搭載されたシフトレンジ切替装置を駆動することを特徴とする同期式ブラシレスモータ装置。
JP2004106463A 2004-03-31 2004-03-31 同期式ブラシレスモータ装置 Expired - Lifetime JP4367204B2 (ja)

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