JP2009155265A - 皮膚バリア機能改善剤、及びそれを利用した外用剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】「皮膚の内側からの水分の蒸散を防ぐ」機能のみならず、「外界から皮膚への物質の侵入を防ぐ」機能をも改善することのできる、効果の高い皮膚バリア機能改善剤、及び、前記皮膚バリア機能改善剤を利用した外用剤組成物を提供すること。
【解決手段】炭素数26〜40の脂肪酸から選ばれる少なくとも1種を有効成分として含むことを特徴とする皮膚バリア機能改善剤、並びに、前記皮膚バリア機能改善剤を含むことを特徴とする外用剤組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、皮膚バリア機能改善剤、及びそれを利用した外用剤組成物に関し、より詳細には、「皮膚の内側からの水分の蒸散を防ぐ」機能のみならず、「外界から皮膚への物質の侵入を防ぐ」機能をも改善することのできる、効果の高い皮膚バリア機能改善剤、及びそれを利用した外用剤組成物に関する。
人の皮膚の最外層には、角層と呼ばれる約20マイクロメートルの構造が存在し、「皮膚の内側からの水分の蒸散を防ぐ」機能、及び、「外界から皮膚への物質の侵入を防ぐ」機能をつかさどっており、これらの機能は皮膚のバリア機能と呼ばれている。
敏感肌とは、皮膚のバリア機能のうち、「外界から皮膚への物質の侵入を防ぐ」機能が低下している状態の肌であると考えられ、そのようなバリア機能の低下した皮膚に刺激物質や異物が侵入することにより、かゆみや紅斑やかぶれ等、様々な肌トラブルが引き起こされると考えられる。
従来の皮膚外用剤の技術では、皮膚内から失われた水分を補給する技術(特許文献1)や、皮膚内からの水分の蒸散を抑制するための保湿因子を皮膚に外用する技術(特許文献2)など、皮膚角層中の水分量や、皮膚内からの水分蒸散量(経皮水分蒸散量)等をバリア機能の改善指標として用いており、皮膚の乾燥を抑制又は改善する技術がほとんどであった。
しかしながら、皮膚内からの水分蒸散量が高いことと、皮膚内への物質の透過性の高さは必ずしも相関しないことが示されており(非特許文献1)、そのため、「皮膚内の水分量」や「皮膚内からの水分蒸散量」等に着目してバリア機能の改善を目指した従来の皮膚外用剤では、「外界から皮膚への物質の侵入を防ぐ」機能が低下している敏感肌のためには、改善効果が十分ではないという問題があった。
このため、「皮膚の内側からの水分の蒸散を防ぐ」機能のみならず、「外界から皮膚への物質の侵入を防ぐ」機能をも改善することのできる、効果の高い皮膚バリア機能改善剤が、求められているのが現状である。
特表2006−526570号公報 特開昭63−192704号公報 Chilcottら、J.Invest.Dermatol.,118:871−875,2002
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、「皮膚の内側からの水分の蒸散を防ぐ」機能のみならず、「外界から皮膚への物質の侵入を防ぐ」機能をも改善することのできる、効果の高い皮膚バリア機能改善剤、及び、前記皮膚バリア機能改善剤を利用した外用剤組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、炭素数26〜40の脂肪酸(超長鎖脂肪酸)が、「皮膚の内側からの水分の蒸散を防ぐ」機能を改善する効果(経皮水分蒸散量抑制効果)、及び、「外界から皮膚への物質の侵入を防ぐ」機能を改善する効果(物質透過性抑制効果)を有していることを見出し、本発明の完成に至った。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> 炭素数26〜40の脂肪酸から選ばれる少なくとも1種を有効成分として含むことを特徴とする皮膚バリア機能改善剤である。
<2> 脂肪酸が、飽和脂肪酸として、ヘキサコサン酸、ヘプタコサン酸、オクタコサン酸、ノナコサン酸、トリアコンタン酸、ヘントリアコンタン酸、ドトリアコンタン酸、トリトリアコンタン酸、及び、テトラトリアコンタン酸、並びに、不飽和脂肪酸として、ヘキサコセン酸、ヘプタコセン酸、オクタコセン酸、ノナコセン酸、トリアコンテン酸、ヘントリアコンテン酸、ドトリアコンテン酸、トリトリアコンテン酸、及び、テトラトリアコンテン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である前記<1>に記載の皮膚バリア機能改善剤である。
<3> 脂肪酸が、飽和脂肪酸として、ヘキサコサン酸、ヘプタコサン酸、オクタコサン酸、ノナコサン酸、及び、トリアコンタン酸、並びに、不飽和脂肪酸として、ヘキサコセン酸、ヘプタコセン酸、オクタコセン酸、ノナコセン酸、及び、トリアコンテン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である前記<1>から<2>のいずれかに記載の皮膚バリア機能改善剤である。
<4> 脂肪酸が、ω位がヒドロキシル化された炭素数26〜40の飽和脂肪酸から選ばれる少なくとも1種である前記<1>に記載の皮膚バリア機能改善剤である。
<5> ω位がヒドロキシル化された飽和脂肪酸が、ω−ヒドロキシ−ヘキサコサン酸、ω−ヒドロキシ−ヘプタコサン酸、ω−ヒドロキシ−オクタコサン酸、ω−ヒドロキシ−ノナコサン酸、ω−ヒドロキシ−トリアコンタン酸、ω−ヒドロキシ−ヘントリアコンタン酸、ω−ヒドロキシ−ドトリアコンタン酸、ω−ヒドロキシ−トリトリアコンタン酸、及び、ω−ヒドロキシ−テトラトリアコンタン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である前記<4>に記載の皮膚バリア機能改善剤である。
<6> ω位がヒドロキシル化された飽和脂肪酸が、ω−ヒドロキシ−ヘキサコサン酸、ω−ヒドロキシ−ヘプタコサン酸、ω−ヒドロキシ−オクタコサン酸、ω−ヒドロキシ−ノナコサン酸、及び、ω−ヒドロキシ−トリアコンタン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である前記<4>から<5>のいずれかに記載の皮膚バリア機能改善剤である。
<7> 前記<1>から<6>のいずれかに記載の皮膚バリア機能改善剤を含むことを特徴とする外用剤組成物である。
本発明によれば、前記従来における諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、「皮膚の内側からの水分の蒸散を防ぐ」機能のみならず、「外界から皮膚への物質の侵入を防ぐ」機能をも改善することのできる、効果の高い皮膚バリア機能改善剤、及び、前記皮膚バリア機能改善剤を利用した外用剤組成物を提供することができる。
(皮膚バリア機能改善剤)
本発明の皮膚バリア機能改善剤は、炭素数26〜40の脂肪酸から選ばれる少なくとも1種を有効成分として含んでなり、更に必要に応じて適宜その他の成分を含んでなる。
<脂肪酸>
前記脂肪酸としては、炭素数26〜40の脂肪酸であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、直鎖状、分岐状、若しくは環状の、飽和又は不飽和脂肪酸などが挙げられる。また、前記飽和脂肪酸としては、ω(オメガ)位がヒドロキシル化された飽和脂肪酸(ω−ヒドロキシ飽和脂肪酸)であってもよい。ここで、ω(オメガ)位とは、脂肪酸のカルボキシル基側とは反対側の末端をいう。また、前記不飽和脂肪酸の二重結合の数は、1つ以上であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記脂肪酸の炭素数は、26〜40であり、中でも、26〜34が好ましく、26〜30がより好ましい。前記炭素数が、25以下であると、所望の程度の皮膚バリア機能改善効果、特に物質透過性抑制効果が得られない等の問題があり、41以上であると、物質的に安定性に劣る等の問題がある。一方、前記炭素数が、より好ましい範囲内であると、皮膚バリア機能改善効果(経皮水分蒸散量抑制効果、及び、物質透過性抑制効果)に優れ、かつ、安定性にも優れた皮膚バリア機能改善剤を提供することができる点で、有利である。
なお、後述する実施例で作製した皮膚バリア機能低下モデルマウスの角層においては、炭素数26〜30の脂肪酸が減少(ほぼ消失)しており、このことから、生体内では、炭素数26〜30の脂肪酸が、皮膚バリア機能に重要な役割をしていることが推測される。前記炭素数26〜30の脂肪酸は、これらの消失した脂肪酸を補うことで直接的に皮膚バリア機能の改善に寄与し、また、前記炭素数31〜40の脂肪酸は、前記炭素数26〜30の脂肪酸の代替として、皮膚バリア機能の改善に寄与しているものと考えられる。また、炭素数が奇数の脂肪酸は生体内では存在量が少ないため、前記炭素数26〜30の脂肪酸の中でも、炭素数が偶数(26、28、30)の脂肪酸を用いることで、皮膚バリア機能が低下した生体において、消失した脂肪酸をより直接的に補うことができると考えられる。
−飽和脂肪酸−
前記飽和脂肪酸の具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ヘキサコサン酸(C26)、ヘプタコサン酸(C27)、オクタコサン酸(C28)、ノナコサン酸(C29)、トリアコンタン酸(C30)、ヘントリアコンタン酸(C31)、ドトリアコンタン酸(C32)、トリトリアコンタン酸(C33)、及び、テトラトリアコンタン酸(C34)が好ましく、これらの中でも、ヘキサコサン酸(C26)、ヘプタコサン酸(C27)、オクタコサン酸(C28)、ノナコサン酸(C29)、及び、トリアコンタン酸(C30)がより好ましい。
前記飽和脂肪酸の入手方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、市販品を購入することにより入手してもよいし、合成により入手してもよい。前記市販品の入手元としては、例えば、ジーエルサイエンス株式会社などが挙げられる。また、前記飽和脂肪酸の合成方法としては、特に制限はなく、従来の方法の中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、下記に示す合成方法などが挙げられる。
炭化水素(炭化水素は、例えば、ジーエルサイエンス株式会社にて入手可能)を出発物質として、(i)炭化水素を紫外線照射下で塩素又は臭素と反応させて、ハロゲン化アルキルとした後、(ii)ハロゲン化アルキルをGrignard反応(Grignard試薬を用いたハロゲン化アルキル→カルボン酸生成反応)に供することにより、飽和脂肪酸が得られる。
−不飽和脂肪酸−
前記不飽和脂肪酸の具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ヘキサコセン酸(C26:1)、ヘプタコセン酸(C27:1)、オクタコセン酸(C28:1)、ノナコセン酸(C29:1)、トリアコンテン酸(C30:1)、ヘントリアコンテン酸(C31:1)、ドトリアコンテン酸(C32:1)、トリトリアコンテン酸(C33:1)、及び、テトラトリアコンテン酸(C34:1)が好ましく、これらの中でも、ヘキサコセン酸(C26:1)、ヘプタコセン酸(C27:1)、オクタコセン酸(C28:1)、ノナコセン酸(C29:1)、及び、トリアコンテン酸(C30:1)がより好ましい。
前記不飽和脂肪酸の入手方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、市販品を購入することにより入手してもよいし、合成により入手してもよい。前記市販品の入手元としては、例えば、ジーエルサイエンス株式会社などが挙げられる。また、前記不飽和脂肪酸の合成方法としては、特に制限はなく、従来の方法の中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、下記に示す合成方法などが挙げられる。
末端にアルデヒド基が導入された任意の鎖長の脂肪酸、及び任意の鎖長のアルキル基を持つイリドのWittig反応により、不飽和脂肪酸が得られる。
或いは、飽和脂肪酸を出発物質として、(i)飽和脂肪酸を少量のリン存在下で塩素又は臭素と反応させて(Hell−Volhard−Zelinskiy反応)、α位の水素がハロゲンで置換された生成物を得た後、(ii)水酸化カリウム処理することによりα,β不飽和脂肪酸が得られる(特定位置に二重結合のある不飽和脂肪酸が得られる)。
或いは、上記不飽和脂肪酸や飽和脂肪酸に対し、不飽和化酵素(desaturase)を用いることにより、二重結合が導入された不飽和脂肪酸が得られる。
−ω−ヒドロキシ飽和脂肪酸−
前記ω−ヒドロキシ飽和脂肪酸の具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ω−ヒドロキシ−ヘキサコサン酸(C26)、ω−ヒドロキシ−ヘプタコサン酸(C27)、ω−ヒドロキシ−オクタコサン酸(C28)、ω−ヒドロキシ−ノナコサン酸(C29)、ω−ヒドロキシ−トリアコンタン酸(C30)、ω−ヒドロキシ−ヘントリアコンタン酸(C31)、ω−ヒドロキシ−ドトリアコンタン酸(C32)、ω−ヒドロキシ−トリトリアコンタン酸(C33)、及び、ω−ヒドロキシ−テトラトリアコンタン酸(C34)が好ましく、これらの中でも、ω−ヒドロキシ−ヘキサコサン酸(C26)、ω−ヒドロキシ−ヘプタコサン酸(C27)、ω−ヒドロキシ−オクタコサン酸(C28)、ω−ヒドロキシ−ノナコサン酸(C29)、及び、ω−ヒドロキシ−トリアコンタン酸(C30)がより好ましい。
前記ω−ヒドロキシ飽和脂肪酸の入手方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、市販品を購入することにより入手してもよいし、合成により入手してもよい。前記ω−ヒドロキシ飽和脂肪酸の合成方法としては、特に制限はなく、従来の方法の中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、下記に示す合成方法などが挙げられる。
ω−ヒドロキシ飽和脂肪酸は、特開2004−123614号公報に示される、10−ヒドロキシデカン酸(炭素数10のω−ヒドロキシ飽和脂肪酸)の合成方法と同様の方法で製造することができる。即ち、炭素数nのω−ヒドロキシ飽和脂肪酸は、炭素数n+1のアルケニルアセテートを80%酢酸溶液中にてオゾン酸化し、この酸化物を加水分解して炭素数nのω−ヒドロキシ飽和脂肪酸を得る方法(Helv.Chim.Acta.14、1084、(1931));又は、炭素数n+1のω位不飽和脂肪酸から過マンガン酸カリウムにより酸化して、炭素数nのω−ヒドロキシ飽和脂肪酸を合成する方法(Ber.55、2212、(1922));のいずれかの方法により製造することができる。
前記脂肪酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記皮膚バリア機能改善剤中の、前記脂肪酸の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、30〜0.0001質量%が好ましく、10〜0.001質量%がより好ましく、5〜0.01質量%が特に好ましい。前記含有量が、0.0001質量%未満であると、その配合効果が十分に発揮されないことがあり、30質量%を超えると、その配合効果が頭打ちになることがある。一方、前記含有量が、特に好ましい範囲内であると、その配合効果が十分に発揮され、かつ、安全性及び安定性に優れる点で、有利である。
<その他の成分>
前記皮膚バリア機能改善剤中の前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記脂肪酸を所望の濃度に希釈等するための、水、エタノールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、前記皮膚バリア機能改善剤中の前記その他の成分の含有量にも、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。なお、前記皮膚バリア機能改善剤は、前記その他の成分を含まずに、前記脂肪酸から選ばれる少なくとも1種のみを含むものであってもよい。
<製造>
前記皮膚バリア機能改善剤の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記脂肪酸から選ばれる少なくとも1種と、水、エタノール等とを混合することにより、製造することができる。また、前記皮膚バリア機能改善剤は、前記脂肪酸から選ばれる少なくとも1種と、水とを、乳化剤を用いて混合することにより、乳液状やクリーム状、またはローション状に製造することもできる。
前記皮膚バリア機能改善剤は、例えば、後述する本発明の外用剤組成物に、好適に利用可能である。
(外用剤組成物)
本発明の外用剤組成物は、前記した本発明の皮膚バリア機能改善剤を含んでなり、更に必要に応じて適宜その他の成分を含んでなる。
前記外用剤組成物としては、その区分に特に制限はなく、化粧料、医薬品、医薬部外品等を幅広く含むものである。具体的には、例えば、化粧水、乳液、美容液、ローション、クリーム、パック、口紅、リップクリーム、ファンデーション、ヘアートニック、ヘアーローション、入浴剤、石鹸、ボディーシャンプー等の化粧料;軟膏剤、ゼリー剤、貼付剤、外用液剤、噴霧剤等の医薬品、医薬部外品などが挙げられる。
前記外用剤組成物は、前記脂肪酸から選ばれる少なくとも1種を主成分とした外用剤組成物であってもよいし、前記脂肪酸から選ばれる少なくとも1種を、その活性を妨げないように任意の外用剤組成物に配合したものであってもよい。また、前記外用剤組成物は、前記脂肪酸から選ばれる少なくとも1種、そのものであってもよい。前記外用剤組成物はそれぞれ、常法に従い製造することができる。
前記外用組成物中の、前記皮膚バリア機能改善剤の含有量としては、特に制限はなく、外用組成物の種類などに応じて適宜選択することができるが、例えば、有効成分である前記脂肪酸から選ばれる少なくとも1種の量として、30〜0.0001質量%が好ましく、10〜0.001質量%がより好ましく、5〜0.01質量%が特に好ましい。前記含有量が、0.0001質量%未満であると、その配合効果が十分に発揮されないことがあり、30質量%を超えると、その配合効果が頭打ちになることがある。一方、前記含有量が、特に好ましい範囲内であると、その配合効果が十分に発揮され、かつ、安全性及び安定性に優れる点で、有利である。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、外用剤組成物を製造するにあたって通常用いられる成分、例えば、油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、香料、収斂剤、殺菌・抗菌剤、美白剤、紫外線吸収剤、保湿剤、細胞賦活剤、抗老化剤、消炎・抗アレルギー剤、抗酸化・活性酸素除去剤、清涼化剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、前記外用剤組成物中の前記その他の成分の含有量にも、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
(効果)
本発明の皮膚バリア機能改善剤、及び外用剤組成物は、有効成分である前記脂肪酸から選ばれる少なくとも1種の働きによって、経皮水分蒸散量抑制効果(「皮膚の内側からの水分の蒸散を防ぐ」機能を改善する効果)、及び、物質透過性抑制効果(「外界から皮膚への物質の侵入を防ぐ」機能を改善する効果)のいずれをも奏することができるものである。そのため、本発明の皮膚バリア機能改善剤、及び外用剤組成物は、例えば、敏感肌の改善を目的とした化粧料、医薬品、医薬部外品等に、好適に利用可能である。このような化粧料、医薬品、医薬部外品等を利用することにより、例えば、敏感肌に基づく、かゆみ、紅斑、かぶれ等の様々な肌トラブルの改善を、効果的に行えるようになることが期待される。
なお、本発明の皮膚バリア機能改善剤、及び外用剤組成物は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、その作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、サルなど)に対して適用することも可能である。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例において、特に明記のない場合、「%」はいずれも「質量%」を表し、比率はいずれも質量比を表す。
(実施例1〜33、比較例1〜9)
下記表1〜5に示す組成に従い、実施例1〜33、及び、比較例1〜9の皮膚バリア機能改善剤を常法により調製した。具体的には、以下のA剤、B剤をそれぞれ70〜80℃に加温して溶解後、B剤を攪拌しながらA剤を徐々に加え、ホモミキサーを用いて乳化した。更にパドルミキサーで攪拌しながら35℃まで冷却し、調製を終了した。
A剤:NIKKOL ニコリピッド 81S 最終乳化液の1.5質量%
各被験物質 最終乳化液の1.0質量%
B剤:精製水 最終乳化液の97.5質量%
(※ニコリピッド 81Sは、日光ケミカルズ(株)より購入)
得られた各皮膚バリア機能改善剤について、以下の方法により、皮膚バリア機能改善効果(経皮水分蒸散量抑制効果、物質透過性抑制効果)を評価した。結果を表1〜5に併せて示す。
<評価方法>
皮膚バリア機能改善効果の評価には、NC/Ngaマウスを用いた。雄性NC/Ngaマウスを6週齢で購入し(日本エス・エル・シー株式会社)、温度23±1℃、湿度60±10%、明暗サイクル(明 7:00−19:00、暗 19:00−7:00)のSPF環境下で、餌・水を自由摂取させた状態で飼育した。各マウスの剃毛背部皮膚に、1mg/mlの抽出ダニ抗原(LSL社製)の外用を週2回、計4週間行ったものを皮膚バリア機能低下モデルとして使用した。モデルマウス(1群=6匹)の背部に、上記で調製した各皮膚バリア機能改善剤100μLを1日1回、計4週間塗布した後、下記の項目について試験を行った。
(1)経皮水分蒸散量の測定
動物背部の経皮水分蒸散量(以下、TEWLと略す場合がある)を、TEWAMETER TM210(Courage&Khazaka社製)にて測定し、基剤のみを塗布した群(比較例1)の値と比較し、下記の基準で評価した。
<評価基準>
◎:皮膚からの水分蒸散量を著しく抑制する(TEWLの値が基剤塗布群の50%未満)。
○:皮膚からの水分蒸散量を抑制する(TEWLの値が基剤塗布群の50%以上90%未満)。
×:皮膚からの水分蒸散量を抑制しない(TEWLの値が基剤塗布群の90%以上)。
(2)物質透過量の測定
動物の背部から、4cm×4cmの皮膚試料を切り取り、垂直型拡散セル(フランツセル)による物質透過性試験を行った。透過物質としては、蛍光陰イオン性色素染料であるウラニン(分子量225.6)を使用した。
I.垂直型拡散セルのドナーとレセプターの間に、表皮側が上になる様に皮膚試料をはさみ、固定した。
II.レセプター側を生理食塩水で満たし、ドナー側の皮膚上に20mMウラニン水溶液を1.5mL添加した。
III.37℃の温浴中で反応させ、10時間後に生理食塩水をサンプリングした。
IV.サンプリングした生理食塩水に含まれるウラニン色素の蛍光強度を測定し、基剤のみを塗布した群(比較例1)との相対値を算出し、下記の基準で評価した。
<評価基準>
◎:皮膚の物質透過性を著しく抑制する(ウラニン透過量が基剤塗布群の50%未満)。
○:皮膚の物質透過性を抑制する(ウラニン透過量が基剤塗布群の50%以上90%未満)。
×:皮膚の物質透過性を抑制しない(ウラニン透過量が基剤塗布群の90%以上)。
Figure 2009155265
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表1〜5の結果から、炭素数26〜40の脂肪酸(飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、ω−ヒドロキシ飽和脂肪酸)から選ばれる少なくとも1種を有効成分として含む実施例1〜33の皮膚バリア機能改善剤は、経皮水分蒸散量抑制効果、及び、物質透過性抑制効果のいずれにも優れることが示された。一方、炭素数26〜40の脂肪酸を含まない(既存の保湿成分、或いは、炭素数25以下又は41以上の脂肪酸を含む)比較例1〜9の皮膚バリア機能改善剤は、実施例1〜33の皮膚バリア機能改善剤に比べ、少なくとも物質透過性抑制効果に劣るものであった。これらのことから、炭素数26〜40の脂肪酸(飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、ω−ヒドロキシ飽和脂肪酸)には、皮膚の物質透過性を抑制し、既存の保湿成分では補えない皮膚のバリア機能を改善する効果があることが示された。
また、実施例1〜33の各皮膚バリア機能改善剤について、その安定性を評価した。具体的には、前記のようにして得られた乳液状の各皮膚バリア機能改善剤を静置し、乳化1日後に、乳液が油層と水層に分離しているか否かを観察した。その結果、実施例28〜33の(炭素数35〜40の脂肪酸を含む)皮膚バリア機能改善剤には分離が観られ、そのため使用ごとに再乳化する必要があることがわかったのに対し、実施例1〜27の(炭素数26〜34の脂肪酸を含む)皮膚バリア機能改善剤には分離は観られなかった。このことから、炭素数26〜40の脂肪酸の中でも、炭素数26〜34の脂肪酸を含む皮膚バリア機能改善剤が、安定性に優れる点で、より有利であることが示された。
なお、前記実施例及び比較例で使用した各成分の詳細は以下の通りである。
Figure 2009155265
[合成方法1:飽和脂肪酸の合成]
炭化水素(炭化水素は、ジーエルサイエンス株式会社から入手)を出発物質として、(i)炭化水素を紫外線照射下で塩素又は臭素と反応させて、ハロゲン化アルキルとした後、(ii)ハロゲン化アルキルをGrignard反応(Grignard試薬を用いたハロゲン化アルキル→カルボン酸生成反応)に供することにより、飽和脂肪酸を得た。
[合成方法2:不飽和脂肪酸の合成]
末端にアルデヒド基が導入された脂肪酸、及びアルキル基を持つイリドのWittig反応により、不飽和脂肪酸を得た。
[合成方法3:ω−ヒドロキシ飽和脂肪酸の合成]
炭素数n+1のアルケニルアセテートを80%酢酸溶液中にてオゾン酸化し、この酸化物を加水分解して、炭素数nのω−ヒドロキシ飽和脂肪酸を得た。
本発明の皮膚バリア機能改善剤、及び外用剤組成物は、例えば、敏感肌の改善を目的とした、化粧料、医薬品、医薬部外品等に、好適に利用可能である。このような化粧料、医薬品、医薬部外品等を利用することにより、例えば、敏感肌に基づく、かゆみ、紅斑、かぶれ等の様々な肌トラブルの改善を、効果的に行えるようになることが期待される。

Claims (5)

  1. 炭素数26〜40の脂肪酸から選ばれる少なくとも1種を有効成分として含むことを特徴とする皮膚バリア機能改善剤。
  2. 脂肪酸が、飽和脂肪酸として、ヘキサコサン酸、ヘプタコサン酸、オクタコサン酸、ノナコサン酸、トリアコンタン酸、ヘントリアコンタン酸、ドトリアコンタン酸、トリトリアコンタン酸、及び、テトラトリアコンタン酸、並びに、不飽和脂肪酸として、ヘキサコセン酸、ヘプタコセン酸、オクタコセン酸、ノナコセン酸、トリアコンテン酸、ヘントリアコンテン酸、ドトリアコンテン酸、トリトリアコンテン酸、及び、テトラトリアコンテン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の皮膚バリア機能改善剤。
  3. 脂肪酸が、ω位がヒドロキシル化された炭素数26〜40の飽和脂肪酸から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の皮膚バリア機能改善剤。
  4. ω位がヒドロキシル化された飽和脂肪酸が、ω−ヒドロキシ−ヘキサコサン酸、ω−ヒドロキシ−ヘプタコサン酸、ω−ヒドロキシ−オクタコサン酸、ω−ヒドロキシ−ノナコサン酸、ω−ヒドロキシ−トリアコンタン酸、ω−ヒドロキシ−ヘントリアコンタン酸、ω−ヒドロキシ−ドトリアコンタン酸、ω−ヒドロキシ−トリトリアコンタン酸、及び、ω−ヒドロキシ−テトラトリアコンタン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項3に記載の皮膚バリア機能改善剤。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の皮膚バリア機能改善剤を含むことを特徴とする外用剤組成物。
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