JP2009154083A - ガスの化学的処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】被処理ガスを塩基性化合物からなる収着剤で形成される反応帯に導入し、該反応帯で収着剤とガスとを接触させて化学的処理を行う方法において、被処理ガスを相対的に大量処理することが容易となる化学的処理方法を提供すること。
【解決手段】反応帯22を備えた反応管14に被処理ガスを導入して、該被処理ガスを化学的処理する方法。反応帯22を、固体塩基性化合物の充填層12で形成し、かつ、反応帯22を外設・内設ヒータ28、30により加温して設定温度(目標値)に温度制御する。反応帯22に固体塩基性化合物と発熱反応をする被処理ガスを導入して、該被処理ガスを化学的処理する。外設・内設ヒータ28、30の出力を設定温度に定値制御する。そして、反応帯22の温度制御を、反応帯測温点Tからの温度信号を被処理ガスの導入量調節器(コントローラ)に入力して被処理ガスのガス導入量を操作量として行う。
【選択図】図2

Description

本発明は、固体塩基性化合物からなる充填層の反応帯が温度制御されている反応管に、該固体塩基性化合物と発熱反応をする被処理ガスを導入して、該ガスを化学的処理する方法に関する。
特に、フロン類等の有機ハロゲン化合物の如く、化学的に安定(結合エネルギー)で分解(解離:dissociation)し難く、通常の燃焼処理では反応処理が困難な場合(分解率が低い)に好適なガスの化学的処理方法に係る発明である。
以下に、ここで本発明に好適な反応熱(発熱量)を大きなフロン類、六フッ化硫黄の発熱反応式を下記する。参照として、余り反応熱の大きくないハロゲン化水素類についても発熱反応式を下記する。
・フロン12:CCl22+ 3CaO→
CaF2+CaCl2+CaCO3+820kJ
・フロン22:CHClF2+3CaO+1/2O2
CaF2+1/2CaCl2+CaCO3+1/2Ca(OH)2+869kJ
・フロン134a:C224+5CaO+3/2O2
2CaF2+2CaCO3+Ca(OH)2+1644kJ
・六フッ化硫黄:SF6+4CaO→3CaF2+CaSO4+1344kJ
・塩化水素:HCl+CaO→
1/2CaCl2+1/2Ca(OH)2+163.2kJ
昨今、オゾン層破壊低減の見地からフロン類の生産・使用規制が始まる前に生産された冷蔵庫や冷房装置(エアコン)が廃棄されつつある。また、フロン類、ハロン類は、工業製品等の洗浄に、六フッ化硫黄は電気絶縁用気体として電気機器にそれぞれ多用されている。それらの含ハロゲン化合物は、高い温暖化係数を示す温室効果ガスとして(フロン類はさらにオゾン層破壊ガスとしても)知られている。
このため、使用済みの回収した廃棄含ハロゲン化合物を、効率的に分解処理する方法及び装置が要望されている。
そして、フロン類に代表される有機ハロゲン化合物の処理方法及び/又は処理装置として、例えば、特許文献1〜3等に、それぞれ下記のような化学的処理方法が提案されている。
特許文献1:「吸着剤からなる充填層を備えた反応管に、含ハロゲン化学物質(被処理ガス)を連続的に導入・導出して、被処理ガスを分解させながら前記吸着剤に反応吸着させて前記含ハロゲン化学物質を分解処理する方法において、前記充填層に、ガスの流れ方向に沿ってガス拡散帯および反応帯を連続的に形成し、該反応帯を分解反応温度に維持しながら、前記ガス拡散帯を前記分解反応温度未満に制御し、該ガス拡散帯を介して前記反応帯に前記被処理ガスを導入する、ことを特徴とする含ハロゲン化学物質の分解処理方法。」(請求項1)
特許文献2:「酸化マグネシウムと酸化カルシウムとを含有し、その含有量が合わせて50重量%以上であるとともに、[酸化カルシウム/(酸化マグネシウム+酸化カルシウム)](モル比)が0.67以下である分解処理剤と、フロン類、ハロン類及び六フッ化硫黄から選ばれた少なくとも一種とを、800〜1400℃の温度で接触させて反応させることを特徴とする有機ハロゲン化合物の分解処理方法。」(請求項1、請求項5)
特許文献3:「有機ハロゲン化合物と分解処理剤の反応の場となる反応部を備え、その反応部に有機ハロゲン化合物と分解処理剤が連続的に導入されるとともに、反応後の有機ハロゲン化合物と分解処理剤が反応部から連続的に排出されるように構成した有機ハロゲン化合物の分解処理装置であって、前記分解処理剤が下記の(a)又は(b)であることを特徴とする有機ハロゲン化合物の分解処理装置。
(a)酸化マグネシウムを50重量%以上含有する分解処理剤。
(b)酸化マグネシウムと酸化カルシウムとを含有し、その含有量が合わせて50重量%以上であるとともに、[酸化カルシウム/(酸化マグネシウム+酸化カルシウム)](モル比)が0.67以下である分解処理剤。」(請求項1等)。
さらに、酸性ガスの処理方法として、特許文献4に下記構成の酸性ガスを塩基性酸化物との接触反応により吸収(収着)させる化学的処理方法(乾式処理方法)が提案されている。
「塩化水素(HCl)を含む酸性ガスを、カルシウム成分(Ca成分)からなる又はCa成分を主体とする反応吸収剤(以下単に「吸収剤」という。)で形成された充填層で形成された反応帯と接触させて、酸性ガス中の塩化水素その他酸性成分の除去を行う乾式処理方法であって、前記反応帯の常態温度を、水蒸気雰囲気下で吸収剤相互の溶着現象が発生しない温度以上にするとともに、酸性ガス接触時温度を融着現象の発生しない温度以下に制御することを特徴とする酸性ガスの乾式処理方法。」(請求項1)
そして、上記各化学的乾式処理方法乃至化学的乾式処理装置における、固体塩基性化合物が充填された反応管の充填層で形成される反応帯は、通常、所定温度以上に維持する必要があった。例えば、固体塩基性化合物がCaOの場合で、被処理ガスがフロン類の場合、300〜700℃にしないと、実用的なガス処理量が確保できる反応速度が維持できなかった。そして、固体塩基性化合物は、通常、収着(吸着)処理を担うために、ドロマイト等を焼成処理した多孔質体であり伝熱性に劣る。
このため、例えば、特許文献1に記載されている構成の分解処理装置(化学的処理装置)(図1参照)において、図2に示す如く、反応帯22の温度を設定温度に昇温・制御するために、例えば、反応管14の外・内に、それぞれ、上・下外設ヒータ28a、28b及び上・下内設ヒータ30a、30bを出力操作可能に配していた。
そして、反応帯22の温度制御は、反応帯22に配した複数個所に測温点を設けて行っていた。図例では、反応帯環状部に配される第一温度検知器(熱電対)52と、内設ヒータ30a、30bを貫通して反応帯中心部に配される第二温度検知器(熱電対)54とを配し、第一温度検知器52の反応帯環状部に上・下測温点52a、52bを、第二温度検知器54の下端部に中央測温点54aを設けてある。
そして、各測温点における反応帯の測定温度を測温検知器から制御部に入力し、該制御部で、各位置における測定温度と設定温度との偏差に基づき、PID(比例・積分・微分)制御演算を行う。該制御演算の結果得られた制御出力信号を電力操作部に入力して外設上・下ヒータ28a、28b及び内設上・下ヒータ30a、30bへの供給電力値を制御する。
特開2004−261726号公報 特許第3827892号公報 特開2002−165898号公報 特開2004−167403号公報
しかし、上記反応帯温度の制御を、PID制御演算を介してヒータ温度の操作を行う方法で、各ヒータをPID制御しても設定温度の制御温度を安定化が困難なことが分かった。
そして、収着剤(固体塩基性化合物)の有機ハロゲン化物(特に、安定なフロン類)は、発熱量の大きな発熱反応であり、制御温度幅の最高値が、収着剤(CaOやMgO等の固体塩基性化合物の粒状多孔質体)の融着が発生するような高温(例えば約800℃)以下になるように温度制御する必要がある。
このため、設定制御温度のプラス側の偏差最大値を想定して、フロン類導入量(供給量)を相対的に低く設定する必要があった。すなわち、上記フロン類のガスの化学的処理方法における生産性が良好とは言えなかった。
さらに、反応帯を形成する充填層の構成する収着剤は、伝熱性の良好でない多孔質体であるため、制御の速応性が低かった。
上記にかんがみて、被処理ガスを塩基性化合物からなる収着剤で形成される反応帯に導入し、該反応帯で収着剤とガスとを接触させて化学的処理を行う方法において、被処理ガスを相対的に大量処理することが容易となる化学的処理方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意開発に努力をした結果、下記構成のガスの化学的処理方法に想到した。
反応帯を備えた反応管に被処理ガスを導入して、該被処理ガスを化学的処理するに際して、
前記反応帯を、固体塩基性化合物の充填層で形成し、かつ、
前記反応帯をヒータにより加温して設定温度(目標値)に温度制御するとともに、該反応帯に前記固体塩基性化合物と発熱反応をする被処理ガスを導入して、該被処理ガスを化学的処理する方法において、
前記ヒータの出力を設定温度に定値制御するとともに、前記反応帯の温度制御を、前記反応帯測温点からの温度信号を前記被処理ガスの導入量調節器に入力して前記被処理ガスのガス導入量を操作量として行うことを特徴とする。
上記構成とすることにより、反応帯の温度制御が、後述の実施例で示す如く、速応性が良好で運転開始後の立ち上がり時間を短縮できるとともに、定常運転時における反応帯温度(制御量)の安定性(偏差幅が小さい)が良好となる。
その理由は、反応帯が固体塩基性化合物(通常、伝熱性の良好でない。)で形成されていても、反応帯の温度制御を、主として発熱反応する被処理ガスの導入量を操作量として、直接的に行うためであると推定される。
以下、本発明のガスの化学的乾式処理方法を、特許文献1から引用した図1に示すような化学的(乾式)処理装置(分解装置)に適用する場合を例に採り説明する。
特許文献1段落0022〜0052を、以下に、適宜修正を加えて引用する。なお、以下の説明で「分解処理」は「化学的処理」と、「吸着剤」は「収着剤」と読み替える。
≪本分解処理方法に使用する装置は、上位概念的には、塩基性固体化合物からなるからなる充填層12を備えた反応管14に、含ハロゲン化学物質(被処理ガス)を連続的に導入・導出して、被処理ガスを分解させながら吸着剤に主として反応吸着させて接触させて含ハロゲン化学物質等の処理を行なうための装置である。
ここで、吸着剤としては、通常、カルシウム系のものを使用し、石灰石やドロマイトを焼成して得られる生石灰(CaO)や軽焼ドロマイト(CaO・MgO)を使用するが、さらには、消石灰(Ca(OH)2)石灰石(炭酸カルシウム(CaCO3))、けい酸カルシウム(CaSiO3)等も使用可能である。
また、吸収剤の粒径は、粒子形状により異なるが、通常2〜50mm、望ましくは5〜20mmとする。粒径が小さすぎては、充填層12(ガス拡散帯、反応帯)の空隙率が低くてガス流れが阻害されて、また、粒径が大きすぎては、粒子内へのガス拡散が不充分であるため、それぞれ、最適な処理効率(拡散効率及び吸着反応効率)を得難い。
そして、該充填層12は、ガスの流れ方向に沿って、被処理ガス導入口16を備えたガス拡散帯18と、被処理ガス導出口20を備えた反応帯22とを備えている。図例では、反応管14は立て型(図例では垂直)とされ、ガス拡散帯18と反応帯22が上下に形成されるようになっている。また、ガス導入口16は、ガス拡散帯18にガス流れが下方に向かうようにガイド(案内)キャップ24が取り付けられている。
そして、ガス導入口16(導入パイプ)とガス導出口20(導出パイプ)との一方側又は双方側には、ガス流れを吸引により発生させるために、差圧発生手段(気体輸送機)、図例ではブロア26がガス導出口20側に配されている。気体輸送機としては、通常、加圧輸送機となる送風機(ファン、ブロア)又は減圧輸送機となる圧縮機(コンプレッサ)を、適宜、要求処理量、反応管14の充填密度に対応させて適宜選定する。
反応管14の反応帯22対応部位には電熱ヒータ(加熱手段)28、30が配されている。この電熱ヒータは、図示しない制御手段で出力制御可能なものを使用する。加熱手段としては、電熱ヒータ(抵抗発熱体)に限らず、誘導加熱等の他の電気加熱手段あるいは燃焼加熱等の火力加熱手段であってもよい。
図例では筒状電熱ヒータからなる外設ヒータ28、及び反応帯22対応部位のみ加熱部とされたシーズドヒータ(電熱ヒータ)からなる内設ヒータ30とからなる。反応帯22の横断面内外の温度差を小さくするためである。ここで、外設ヒータ28のみ又は内設ヒータ30のみでもよい。また、内設ヒータを複数本としてもよい。
他方、反応管14のガス拡散帯18対応部位には、第一冷却手段32が配されている。第一冷却手段32は、反応管14の一部を放熱蛇腹部で形成した空冷手段であるが、水冷手段であってもよい。
さらに、反応管14の上方には、吸着剤供給ホッパ34が、反応管14の下方には吸着剤排出手段(機構)36が配されている。そして、吸着剤排出手段は、通常、の強制排出手段(図例ではねじコンベヤ(スクリューコンベヤ))36とし、強制排出手段の吸着剤流入口側と、反応管14の下端側(吸着剤流出口)との間には、吸着剤が移動する導管(連絡管、ダクト)38が配されている。そして、導管38の外周には第二冷却手段(図例では水冷ジャケット40)が配されている。
この導管38は、反応管14の下端側から流出(流下)してきた吸着剤を冷却する作用を奏して吸着剤冷却帯42を形成するものである。吸着剤冷却帯42を介さずにねじコンベヤ36等の強制排出手段に直接吸着剤を流入させると、強制排出手段として特別な耐熱仕様のものを使用する必要がある。なお、この吸着剤冷却帯42は、ねじコンベヤ36等の強制排出手段と協働して、強制排出手段の出口36aを介してのガス導出口20との間のガス流れを絞る作用も奏する。ガス導出口20と強制排出手段出口36aとの間に、流体流れの圧損を発生させる吸着剤充填部が形成されるためである。この作用により、ガス導入口16からガス導出口20への被処理ガスの流れが円滑となる。
すなわち、ガス導出口20と(強制)排出手段排出口36aの間のガス流れが絞られないと(自由であると)、被処理ガスを差圧制御により輸送(ガス移動)させるに際して、吸引制御の場合は外気が吸引されて、加圧制御の場合は排出手段出口に処理済みガスが逃げて、ガス流れが円滑に行なわれない。
なお、該ガス流れをより円滑とする必要がある場合は、強制排出手段出口36aを回収コンテナ48も含めて略密閉状態とすることが望ましい。
ここで、強制排出手段(コンベヤ)としては、図例のねじコンベヤ36でなくても、ベルトコンベヤ、エプロンコンベヤ、バケットコンベヤ等でもよい。なお、ねじコンベヤ(スクリューコンベヤ)36の方が他のコンベヤに比して、吸着剤を密状態で搬送可能なため外気封鎖性を確保し易い。なお、ねじコンベヤ36のねじ部(スクリュー軸)37には、適宜、冷水を通過させて排出吸着剤を積極的に冷却するようにしてもよい。
また、間欠的に吸着剤を排出させる場合は、プランジャー方式でもよく、さらには、自由落下方式としてもよい。
なお、図例中、44は歯車伝動手段であり、通常、原動機46の出力軸と接続されている。
次に、上記含ハロゲン化学物質の分解処理装置の使用態様、すなわち、本発明の含ハロゲン化学物質の分解処理方法について説明する。
まず、ねじコンベヤ36を停止させた状態で、吸収剤供給ホッパ34内に投入口34aの蓋46をあけて、導管38内および反応管14内が充填され、さらに、供給ホッパ34が略一杯になるまで吸着剤を投入する。
次に、外設・内設電熱ヒータ28、30をオン(ON)として、反応帯22の内部雰囲気温度を、含ハロゲン化学物質の分解反応温度以上となるまで昇温させ維持する。ここで、分解反応温度の設定温度(目標値)は、分解反応(処理効率)の見地から、通常、600℃以上、望ましくは、700℃以上、さらに望ましくは、約700〜850℃とする。
ここで、当該設定温度は、反応帯22の略中央部位置、例えば、図1のD点ないしE点におけるものとする。
そして、通常、第一冷却手段(放熱蛇腹)32を備えたガス拡散帯18は、分解反応温度未満である。ここで、ガス拡散帯18は、通常、分解反応温度より格段に低い温度、高くて200℃以下、通常100℃以下の温度雰囲気になっている(例えば、図1のB点)。これは、ガス拡散帯18を形成する吸着剤の充填層12の熱伝導率が非常に低く、反応帯22の温度影響を受け難いためである。
この状態で、ブロア26を運転(稼動)させると、含ハロゲン化学物質は、ガス導入口16から反応管14の充填層12内へ吸引導入される。すると、ガス導入口16から吸引導入された被処理ガスは、ガス拡散帯18で拡散されながら反応帯22ヘ輸送(搬送)される。
このとき、ガス拡散帯18の吸着剤雰囲気温度は、被処理ガスの分解反応温度未満である。このため、被処理ガスは、吸着剤の充填隙間で拡散されながら反応帯22に移動する。
反応帯22に到達した被処理ガスは、反応帯22で、分解後、反応吸着されてハロゲン成分が除去された排ガスとしてガス導出口20から排出される。
なお、ガス拡散帯18の反応帯22との境界部には、温度傾斜ゾーン(例えば、100℃以上600℃未満)である移行帯(中間帯)が存在する。
また、ガス導出口20は、図示しないが、例えば、脱水槽、集塵槽等の所要の後処理設備に接続されている。
そして、ねじコンベヤ36を駆動させると、反応管14内の吸着剤は重力により、下方へ徐々に移動して、吸着反応が済んだ使用済み吸着剤は、導管38を介してねじコンベヤ36の入口に到達し、さらに、コンベヤ出口36aから回収コンテナ48内に落下排出される。
このとき、反応管14内の充填層12は流動状態になり、たとえ、吸着剤の表面に融点の低い吸着反応生成物層が発生して吸着剤相互が融着しようとしても、吸着剤相互が流動しているため融着による吸着剤固着現象が発生することがない。
また、導管38内の吸着剤は移動により放熱冷却されるとともに、水冷ジャケット(第二冷却手段)40でさらに強制冷却されて、コンベヤ36に達する。このため、コンベヤ36が耐熱仕様でなくてもコンベヤ36を傷めることがない。さらには、導管38内及びコンベア36内には、吸着剤の充填部が形成されて、ガス導出口20とコンベヤ出口36aとの間のガス流れが絞られ、外気がコンベヤ出口36aからガス導出口20へ吸引されるのが抑制される。このため、処理ガスのガス導入口16からガス導出口20への流れが円滑となる。結果的に、含ハロゲン化学物質の大量分解処理が容易となる。
上記実施形態において、反応管14内の吸着剤充填層12を固定層として、バッチ的に所定量のガスを処理後、処理ガス導入を止めて、コンベヤ36を駆動させて、反応管14内の吸着剤充填層12を、供給ホッパ34から未使用吸着剤を流下させた未使用吸着剤に入れ替えてもよい。
上記では反応管14を垂直立て型としたが、傾斜立て型であっても、吸着剤を自重落下可能な傾斜角度なら、上記立て型と同様な作用効果を期待できる。
また、反応管14を横型としてもよい。この場合、流動層を形成される場合、スクリュー等の耐熱送り機構を反応管14内に配設する。》以上引用終わり。
上記従来構成において、本実施形態では、図2(A)に示す如く、外設・内設ヒータ28、30が、それぞれ、横断分割されて上・下外設ヒータ28a、28b、上・下内設ヒータ30a、30bとされ、各ヒータの出力を設定温度(目標値)に独立的に定値制御可能となっている。
そして、反応帯測温点Tとともに、上・下外設ヒータ28a、28b及び上・下内設ヒータ30a、30bの各ヒータ測温点t1、t2、t3及びt4を設ける。ここで、内設ヒータ30a、30bの各測温点t3、t4は内設ヒータ用温度検知器(熱電対)50により形成されている。
なお、反応帯測温点(通常、内設ヒータの下端位置高さ)Tは、環状反応帯の半径方向の略中央位置で、縦方向に配設された第一温度度検知器(熱電対)52により形成されている。さらに、本実施形態では、環状反応帯の外側・内側寄りにそれぞれ配された第二・第三温度検知器54、56により、反応帯温度測定点のガス導入側(上側)で所定距離をおいて、反応帯外側・内側補助測温点To、Tiが形成されている。
なお、各ヒータ測温点t1´、t2´、t3´、t4´及び反応帯補助測温点T´を、図2(B)に示すような位置に構成とすることも可能である。すなわち、上記構成において、第一温度検知器52により反応帯温度測温点Tの上方に反応帯補助測温点T´を形成し、第二・第三温度検知器54、56により上外設・内設ヒータ28a、30aの各ヒータ測温点t1´、t3´を形成したものである。
そして、各ヒータ28a、28b、30a、30bの出力を設定温度(目標値)に定値制御するとともに、反応帯22の温度制御を、前記反応帯測温点Tからの温度信号を被処理ガスの導入量調節器に入力して前記被処理ガスのガス導入量を操作量としてPID制御を行う構成となっている。
すなわち、4個の各ヒータ測温点t1、t2、t3、t4のヒータ温度信号が、制御演算部を経て、各ヒータ調温器(図示せず)に入力することにより、各ヒータ28a、28b、30a、30bの出力を設定温度(目標値)に直接的に定値制御可能となっている。
このときの各ヒータの設定温度は、後述の実施例で示す如く、運転予熱・立ち上げ時において、上外設ヒータ28a(t1)<上内設ヒータ30a(t3)<下外設ヒータ28b(t2)=下内設ヒータ30b(t4)の高さ順とする。
そして、定常運転時においても、同様の高さ順とするが、上補助測温点To、Tiからの温度信号を、上補助測温点To、Tiの上・下限設定温度と比較して、上・下外設ヒータ28a、28b及び上・下内設ヒータ、30a、30bの設定温度を独立的に制御(微調節)可能となっている。このため、例えば、上補助測温点To、Tiが、上補助測温点To、Tiの上限設定温度となったとき、上内設・外設ヒータ30a、28aの一方又は双方の出力設定温度を微小幅で下げて、逆に、上補助測温点To、Tiの下限設定温度となったとき上内設・外設ヒータ30a、28aの一方又は双方のヒータ温度設定値を微小幅で上げる。上記ヒータ温度設定値の微小変更幅は2〜8℃の範囲で適宜設定する。
また、反応帯測温点Tからの反応帯温度信号が、比較演算制御装置を経て、ガス導入量調節器に入力されて、被処理ガスのガス導入量を、コントローラ62で調節することにより制御可能とされている。
上記反応帯温度のガス導入量調整による及びヒータの定値制御の制御方式は、特に限定されず、オンオフ動作、比例動作(P動作)、比例微分動作(PD動作)、比例積分動作(PI動作)、比例積分微分動作(PID動作)のいずれでもよい。PID動作が、制御安定性の見地から望ましい。
次に、本発明のガスの化学処理方法を、さらに、実施例に基づいて比較例とともに、さらに、詳細に説明する。
収着剤(固体塩基性化合物)を焼成ドロマイト(粒径:5〜15mm範囲の分級品)として反応帯を形成し、フロン134a(四フッ化エタン)の処理を、処理温度(反応帯温度:780℃)で行う場合を例に採り説明する。他のフロンを処理する場合には、例えば、処理温度は、CFC12(ジクロロジフルオロメタン):750℃、CFC22(クロロジフルオロメタン):700℃、SF6(六フッ化硫黄):800℃とする。
実施例・比較例に使用した化学的処理装置は、図1において下記の仕様のものとした。
反応管14:10Bインコネル管(267.4mmφ×1400mm)にステンレス伸縮管(250A×205mm)を接続して形成したもの。充填量:約800kg。
導管38:ステンレス20鋼管(508mmφ×550mm)で形成したもの。充填量:約500kg。
ねじコンベヤ36:排出速度35〜110kg/h、開口口20B鋼管。
内設ヒータ上・下:12kW(6kW×2)、外設ヒータ:24kW(12kW×2)。
ガス導入口、ガス導出口:1B鋼管(34.0mm)。
<実施例>
反応管14の構造(測温点位置等)は、図2(A)に示すものとした。なお、図2(A)で、反応帯測温点Tと反応帯外側・内側補助測温点To、Tiの高さ方向の距離(間隔)は150mmとした。
また、収着剤の移動量(供給量)は、90kg/hとし、反応帯および各ヒータの各測温点における予熱時・立ち上がり設定温度(目標値)は表1に示すものとし、ガス導入量(処理量):6.5kg/hとし、また、反応帯22の予熱・立ち上がり時温度設定値及び定常運転温度設定値は、それぞれ、450℃及び780℃とした。
Figure 2009154083
まず、各ヒータをオンとして、反応帯(測温点)温度Tが予熱設定温度:450℃近くなるまで昇温させ、PID動作により所定時間、各ヒータ28a、28b、30a、30bの出力を表1に示す予熱・立ち上がり時設定温度となるように制御して、反応帯温度Tを該予熱設定温度に所定時間(約30min)維持した(ヒータオン後、約90分)。
続いて、コントローラ(調節器)62により反応帯22にガス導入可能とする。すると、ガス流量が設定処理量6.5kg/hまで線形的(直線的)に増大する。このとき、反応帯22の収着剤が、上内設ヒータ30aの出力設定温度が、反応帯設定温度近く(表1参照)に設定されているため、当初から所要の処理力を有する。このため、フロンと収着剤との発熱反応により反応帯22が急速に昇温して、反応帯温度Tが定常運転設定温度780℃に到達する。
当該定常運転設定温度に到達したなら、各ヒータ28a、28b、30a、30bの出力設定温度を表1に示す定常運転時設定温度に変更してPID動作により定値制御をする。すなわち、下内設ヒータ30bのみをそのままとし、外設・内設上ヒータ28a、28b及び外設下ヒータ28bの設定温度をそれぞれ下げる。
続いて、反応帯測温点Tの温度を設定温度(780℃)に、ガス導入量を操作量としてPID動作により制御維持する。
このとき、外・内補助測温点To、Tiが設定上限温度(本実施例では600℃又は設定下限温度(本実施例では500℃)に達したとき、コントローラにより、上外設ヒータ28a又は上内設ヒータ30aのヒータ設定温度を、2℃間隔でステップ的に上・下(微調整)してPID制御を続ける。こ動作により、反応帯温度Tが反応帯設定温度より高くなりすぎない。
この定常運転を運転開始から500h行った。
<比較例>
反応管14の構造(測温点位置等)は、図3に示すものとした。なお、T1、T2、T3は反応帯上・下・内側測温点である。各測温点T1、T2、T3からの温度信号を反応帯上・下・内側設定温度となるように、上外設ヒータ・内設ヒータ28a30a、下外設ヒータ28b、下内設ヒータ30aに対する供給電力を操作量とするPID動作により制御するようになっている。
また、収着剤の移動量(供給量)は、90kg/hとし、各ヒータの予熱時・立ち上げ時出力温度(初期値)は表2に示すものとした。また、反応帯22の予熱・立ち上がり時温度設定値及び定常運転温度設定値は、実施例と同様、それぞれ、450℃及び780℃とした。
Figure 2009154083
まず、各ヒータ28a、28b、30a、30bをコントローラ(比較・調節部・操作部を含む。)によりオンして、各反応帯測温点T1、T2、T3における温度が立ち上げ時設定値(T1:195℃、T2、T3:780℃)近傍の比例帯になるまで制御出力100%で昇温させる。その後、該立ち上げ時設定温度450℃に、各ヒータ28a、28b、30a、30bの電力量をPID動作で制御して所定時間(約40min)維持する(ヒータオン後、約90分)。
この場合の外設・内設上ヒータ28a、30a及び外設・内設下ヒータ28b、30bの表面温度測定値を表2に参考的に示す。
続いて、ガス流量を、段階的に反応帯温度Tの上昇具合及び排出ガスの未分解ガスの含有率を監視しながら、手動で0.5kg/h間隔でステップ(段階)的に増大させた。このように段階的にガス導入量を増大させるのは、反応帯温度が低いうちは、反応帯の処理能が低く、未分解フロンが処理装置から排出されるおそれがあるためである。そして、各反応帯測温点T1、T2、T3の温度が前記各設定値(T1:195℃、T2、T3:780℃)近傍の比例帯に到達したなら、外設・内設上ヒータ28a、30a;外設下ヒータ28b及び内設下ヒータ30bに対する供給電力量をコントローラで調節して、それぞれ、上側・下側・内側反応帯温度を各設定値(目標値)にPID動作により制御する。
この際にも、ガス流量を5kg/hから6kg/hまで、前述と同様の理由で、排ガス中のフロン含有率を測定しながら、段階的(2段階)に増大させていった(図5参照)。
この場合の外設・内設上ヒータ28a、30a及び外設・内設下ヒータ28b、30bの表面温度測定値を表2に参考的に示す。
<結果・考察>
上記実施例・比較例の反応帯温度及び処理量の対時間変化を図4及び図5にそれぞれ示すとともに、時間当たりの平均処理量及び温度変化幅(ハンティング幅)を表3にまとめた。なお、表4は、実施例と比較例(従来例)との制御方法に違いをまとめたものである。
実施例では立ち上がり時間が短いとともに、反応帯の温度制御幅も小さく反応帯温度の安定性に優れていることが分かる。当然、処理生産性も向上している。
Figure 2009154083
Figure 2009154083
本発明をガスの化学的処理方法に使用する処理装置の一例を示す概略断面図。 (A)、(B)は、それぞれ、図1の装置における本発明(実施例)の反応帯における反応帯・ヒータの各測温点の配置態様の各例を示す概略断面図である。 同じく比較例(従来例)の反応帯における反応帯測温点の配置態様の各例を示す概略断面図である。 実施例の反応帯温度及び処理量の対時間グラフ図である。 比較例の反応帯温度及び処理量の対時間グラフ図である。
符号の説明
12・・・充填層
14・・・反応管
16・・・ガス導入口
18・・・ガス拡散帯
20・・・ガス導出口
22・・・反応帯
28・・・外設ヒータ(加熱手段)
28a・・・上外設ヒータ
28b・・・下外設ヒータ
30・・・内設ヒータ(加熱手段)
30a・・・上内設ヒータ
30b・・・下内設ヒータ
T・・・反応帯測温点
o、Ti・・・反応帯補助測温点
1、t2、t3、t4・・・ヒータ測温点

Claims (8)

  1. 反応帯を備えた反応管に被処理ガスを導入して、該被処理ガスを化学的処理するに際して、
    前記反応帯を、固体塩基性化合物の充填層で形成し、かつ、
    前記反応帯をヒータにより加温して設定温度(目標値)に温度制御するとともに、該反応帯に前記固体塩基性化合物と発熱反応をする被処理ガスを導入して、該被処理ガスを化学的処理する方法において、
    前記ヒータの出力を設定温度に定値制御をするとともに、前記反応帯の温度制御を、前記反応帯測温点からの温度信号を前記被処理ガスの導入量調節器に入力して前記被処理ガスのガス導入量を操作量として行うことを特徴とするガスの化学的処理方法。
  2. 前記ヒータが、反応管の内・外に配された外設・内設ヒータからなり、該外設・内設ヒータを独立制御することを特徴とする請求項1記載のガスの化学的処理方法。
  3. 前記外設・内設ヒータを、さらに反応管横断方向で分割された横断分割ヒータとし、該各上・下横断分割ヒータを独立制御することを特徴とする請求項2記載のガスの化学的処理方法。
  4. 前記ヒータを反応帯測温点の上方に所定距離をおいて上補助測温点を反応帯に設け、該上補助測温点からの温度信号を該上補助測温点の設定上・下限温度と比較して、前記上・下横断分割ヒータの出力設定温度を変更することを特徴とする請求項3記載のガスの化学的処理方法。
  5. 前記反応帯における上補助測温点が外・内補助測温点とされていることを特徴とする請求項4記載のガス化学的処理方法。
  6. 前記被処理ガスが、有機ハロゲン化合物であり、前記固体塩基性化合物がCaOからなる又はCaOを主体とするものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一記載のガスの化学的処理方法。
  7. 固体塩基性化合物からなる収着剤の充填層により形成される反応帯を備えた反応管と、該反応帯を加熱するヒータとを備えるとともに反応帯測温点を備え、
    前記反応管に被処理ガスを導入して、該被処理ガスと収着剤と接触させて化学的処理可能とされた装置において、
    前記ヒータを定値制御するヒータ出力調節器を備えるとともに、
    前記反応帯測温点の温度信号が入力されて前記被処理ガスのガス導入量を調節するガス量調節器を備えていることを特徴とするガスの化学的処理装置。
  8. 前記ヒータが反応管の横断方向で分割されるとともに、前記反応管の軸方向で前記反応帯測温点とともに、該反応帯測温点のガス導入側に反応帯補助測温点を備えるとともに前記ヒータ測温点を備えて、前記反応帯補助測温点からの温度信号を該反応帯補助測温点の設定上・下限温度と比較演算する比較部を備え、該比較部からの信号をいずれかのヒータ出力調節器に入力可能とされていることを特徴とする請求項7記載のガスの化学的処理装置。
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