JP3249986B2 - フロンの分解処理法および装置 - Google Patents

フロンの分解処理法および装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はマイクロ波加熱を利用し
たフロンの分解処理法および装置に関する。本明細書に
おいて“フロン”または“フロンガス”とは,簡単な炭
化水素類(例えばメタンやエタンなど)の幾つかの水素
原子をフッ素原子や塩素原子で置換した一連の化合物を
総称する意味で使用する。またマイクロ波とは周波数1
〜数100GHzの電磁波を言う。
【0002】
【従来の技術】フロンは洗浄剤,熱ポンプの冷媒,合成
樹脂の発泡剤,スプレー剤等の用途に広く使用されてき
たが,フロンは化学的に安定であるため,大気中に放出
されると破壊されないまま成層圏に達してオゾン層を破
壊する原因となることから世界的に社会問題化してお
り,その規制については今世紀中に全廃という国際決議
がなされた。だが,フロンの分解に関する技術はまだ十
分に確立されていないのが実状である。
【0003】今世紀中にフロン全廃という国際決議がな
されている以上,フロンの分解技術の確立は緊急課題で
ある。現在,わが国で提案されているフロン分解技術と
しては次の5種類が代表的なものである。
【0004】1). 燃焼分解法・・化石燃料の燃焼熱で内
熱式または外熱式に加熱された装置内でフロンガスを分
解するものであり,700℃以上の温度を必要とする。 2).プラズマ分解法・・プラズマトーチ内の最高100
00℃に達するプラズマ流中にフロンガスを導入するこ
とによってフロンを高速分解する方法である。 3). 触媒分解法・・適切な固体触媒の表面にフロンガス
と水蒸気を大気圧下で流通させることによってフロンを
分解する。 4). 試薬分解法・・例えばナトリウムナフタレニド試薬
を有機溶媒に溶解して気体または液体のフロンと反応さ
せ,試薬中のNa+ イオンと, フロン中のCl- およびF-
との反応によりNaClおよびNaFを生成させてフロンを還
元分解する方法である。 5). 超臨界水分解法・・水の臨界点を超えた状態では液
体とも気体とも異なる超臨界状態となるが,この状態で
はフロンの加水分解が容易に進行する。この現象を利用
してフロンを分解する方法である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記1)〜5)のいずれの
フロン分解法も未だ基礎研究段階にあり,汎用性のある
確立した技術とは言えない。
【0006】フロンの市場での流通は小容量のものから
大容量のものまで各種各様に広く分布している。したが
って,これらフロンの分解を行うには,種類や容量を問
わず安全確実に分解できること,経済的な装置であるこ
と,分解に使用する資材が入手しやすく且つ安全である
こと,迅速に処理できること,等の要求を同時に満たす
簡易な技術が望まれる。
【0007】この要求を満たすべく,先に本発明者らは
マイクロ波加熱を利用したフロン分解法を特願平5-1018
42号に提案した。すなわち, マグネタイト (またはミル
スケール) をマイクロ波加熱し,この発熱状態にあるマ
グネタイトにフロンガスを接触させるとフロンがほぼ完
全に分解することを見出した。
【0008】しかし該方法の場合には,フロン分解後の
反応助剤中に不安定なFeCl2やFeF2が生成するので,こ
れを無害化するための後処理が必要である。そこで,
発明では先の方法を一層改善し, 後処理の負担が軽減で
きるフロン分解技術の確立を課題としたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によれば,炭素質
材料とアルカリ土類金属の酸化物または塩類とからなる
混合物にマイクロ波を照射して発熱させ,この発熱状態
にある該混合物にフロンガスを接触させることを特徴と
するフロンの分解処理法を提供する。
【0010】より詳しくは,マイクロ波の照射によって
炭素質材料(例えばチャー炭,コークス,石炭または木
炭等)とアルカリ土類金属の酸化物または塩類(例えば
炭酸塩または硫酸塩等)の混合物を800℃以上に発熱
させ,この温度にある該混合物に実質上非酸化性雰囲気
下でフロンガスを接触させる。そのさい,耐熱材料から
なる容器内に該混合物を装填してアプリケータ内に装入
し,この容器の外側からマイクロ波を照射して容器内混
合物を発熱させ,この容器内にフロンガスを通気させる
ことにより該混合物とフロンガスとを接触させる。
【0011】
【作用】周波数が1〜数100GHz の電磁波 (マイク
ロ波) を誘電体に照射してこれを加熱するマイクロ波加
熱技術は, 調理用電子レンジはもとより,工業的にもゴ
ム加硫装置, 各種材料の乾燥装置, 解凍装置, 溶融装置
等の分野で広く利用されている。カーボン(炭素)はマ
イクロ波を吸収して発熱する性質があるから,かような
マイクロ波加熱を利用した通常のアプリケータ内に被加
熱物として処理すると,短時間で高温に達する。本発明
において使用できる炭素質材料としては,マイクロ波照
射によって発熱する炭素質のものであればよい。例えば
チャー炭,コークス,石炭(無煙炭または褐炭),生ピ
ッチまたは木炭等が挙げられるが,粉状のチャー炭また
はコークス粉が好ましい。
【0012】マイクロ波発熱源としての炭素質材料を,
フロンの分解助剤としてのアルカリ土類金属の酸化物ま
たは塩類に混合してマイクロ波を照射すると,この混合
物はマイクロ波を良く吸収して発熱を迅速且つ高温にま
で行なわせることができる。本発明で使用する分解助剤
としては,アルカリ土類金属の酸化物または塩類(特に
炭酸塩または硫酸塩)がある。このうち,炭酸塩または
塩類は800℃以上に加熱されることによって分解し,
アルカリ土類金属の活性な酸化物となる。
【0013】アルカリ土類金属の酸化物は,塩類から分
解したものであると否とを問わず,フロンの分解によっ
て発生した塩素やふっ素等のハロゲンをアルカリ土類金
属のハロゲン化物として固定する作用を供する。反応助
剤としては,経済性並びに扱いやすさの点からは,カル
シウムの酸化物(石灰)またはその炭酸塩(石灰石)或
いはその硫酸塩(石膏)等が好ましい。
【0014】炭素質材料と該分解助剤はいずれも粉状の
ものを使用するのが好ましく,その混合物にマイクロ波
を照射する。そのさい,粉状のままでは通気性に問題が
生ずる場合には,フロンガスとの接触効率を高めるため
に,該混合物の一部または全部をペレット状に粒状化し
ておくのがよい。また炭素質材料として粒状のものを使
用し,これに粉状の分解助剤を混合したものでもよい。
【0015】該混合物中の炭素質材料の割合が高いほど
マイクロ波による昇温速度並びに到達温度は高くなる
が,その分,分解助剤の割合が少なくなると,塩素・ふ
っ素の固定作用が低減する。両者の好ましい割合は,使
用する炭素質材料および分解助剤の種類によって,更に
は使用するマイクロ波の出力の大きさによって,適正な
範囲が存在するが,一般的には,重量比で分解助剤/炭
素質材料= 0.5〜2.0の範囲とすればよい。
【0016】図1は,後記の実施例と同じ出力500
W,周波数2.45GHzのマイクロ波加熱オーブンを使用
し,炭素質材料として−16meshのチャー炭を,分解助剤
として−60meshの石灰石を,チャー炭:石灰石の重量比
が2:3となるように混合し,この混合物を直径約3m
m,長さ約7mmの円柱形ペレットに造粒し,この造粒物
を内容積50mlのアルミナ製磁性ルツボに23g入れた
状態でマイクロ波加熱したときの測温結果を示したもの
である。
【0017】温度の測定は,オーブン上部に穿った穴か
ら磁性管を挿入し,この磁性管をルツボ内装入物中の底
より7mmの位置にまで挿入し,この磁性管の底部をフア
イバー式放射温度計を用いて行った。
【0018】図1に見られるように,マイクロ波照射後
約3分で該ペレットは800℃以上に達し,10分ほど
経過すると1200℃を越えてほほ平衡を保つ。チャー
炭に対する石灰石の重量比がこれより高くなると到達最
高温度は低くなるが,この実験条件では石灰石/チャー
炭の重量比が 2.0以下であれば,800℃以上の温度に
維持できることを確認した。
【0019】石灰石(CaCO3)はこの加熱によって酸
化カルシウム (石灰・CaO) に分解する。また分解助
剤として他のアルカリ土類金属の炭酸塩や硫酸塩を用い
た場合にも,該アルカリ土類金属の酸化物に分解する。
【0020】マイクロ波加熱によって発熱し且つ活性化
した該混合物にフロンガスを接触させると後記の実施例
に示したようにフロンが分解し,フロンの分解によって
生成したハロゲンはアルカリ土類金属に固定される。す
なわち高温のアルカリ土類金属の酸化物がフロン分解に
よって生ずるハロゲンと反応して,アルカリ土類金属の
ハロゲン化物となり,該ハロゲンが固定される。
【0021】この分解反応はフロンの種類によらず,ど
の種のフロンも分解させることができる。分解反応は非
酸化性雰囲気下で有利に進行する。このため,周囲雰囲
気とは遮断された反応容器内で該混合物とフロンガスを
接触させるのがよい。かような反応容器としてはマイク
ロ波透過性耐火物,例えばシリカ, アルミナ, ジルコニ
ア,等のセラミツクス製のものを使用すればよい。また
炭化珪素 (SiC) 製の反応容器も使用することができ
る。炭化珪素はマイクロ波を吸収する性質があるが,反
応容器の壁厚がそれほど厚くなければ,マイクロ波の大
部分は透過して内容物を発熱させることができる。した
がって,本明細書において“マイクロ波透過性耐火物”
とは,マイクロ波をよく通すもののみならず,マイクロ
波の一部は吸収されても残部は透過するような耐火物も
含む。
【0022】マイクロ波透過性耐火物容器内に該混合物
を装填し,これをアプリケータ内でマイクロ波照射すれ
ば,容器にはマイクロ波エネルギーが実質上吸収されず
に中身の該混合物が発熱する。容器形状を周囲雰囲気と
は遮断されたものとしても同様である。したがって,こ
の閉鎖容器内に該混合物を装填し,これをアプリケータ
内に装入すると共に,この閉鎖容器内にフロンガスを通
気するためのガスの出入管路を接続し,この管路を通じ
てフロンガスを容器内の発熱した混合物に接触させるよ
うにすれば,高い分解率でフロンを分解できる。
【0023】マイクロ波が照射されて発熱している該混
合物にフロンが接触すると, フロンの種類に応じ, 次の
ような反応が進行するものと考えられる。すなわち, ア
ルカリ土類金属としてCaを例とすると, フロンR-11 2CaO+CCl3F → CaCl2+CaClF+CO2 フロンR-12 2CaO+CCl2F2→ CaCl2+CaF2+CO2 フロンR-13 2CaO+CClF3 → CaClF+CaF2+CO2 フロンR-113 3CaO+C2Cl3F3 → CaCl2+CaF2+CaClF
+CO+CO2 などの反応が進行してフロンが分解し,ハロゲン化カル
シウムが生成すると同時にガス成分として炭酸ガスと場
合によっては一酸化炭素を生じる。カルシウムを他のア
ルカリ土類金属,例えば,ベリウム,マグネシウム,ス
トロンチウム,バリウムに代えた場合も同様であると考
えてよい。なお,アルカリ土類金属の炭酸塩や硫酸塩を
分解助剤として使用した場合には,該塩類は高温でアル
カリ土類金属の酸化物に分解しているので,フロンの分
解にあずかるのは実際には該酸化物である。
【0024】このフロンと該酸化物助剤との反応は,該
酸化物にはマイクロ波が照射されているために活性状態
にあるために,また塩類から分解したものであれば発生
期の状態にあるために一層活性状態にあるために極めて
早く進行する。またカーボンはフロンガスと反応しない
からマイクロ波照射を中止しないかぎりマイクロ波を吸
収して熱に変換し続け,この結果,フロンの分解反応が
吸熱反応であっても,その吸熱を補うに余りある発熱が
内部から生じるので,反応が停滞することなく連続的に
進行する。
【0025】一般に分子構造中にカーボンを2個有する
100代のフロン(例えばフロンR-113,114,115 等) で
は,これが分解するとカーボンが1個の10代のフロン
(例えばフロンR-11,12,13等) ができることがあると言
われている。だが,本発明法によれば,たとえこのよう
な低級フロンが生成しても,これが発熱状態にある該混
合物に接触すると再び分解する。したがって,100代
のものであろうと10代のものであろうと本発明に従え
ば, 分解率99.99 %以上であらゆるフロンが完全に分解
できる。
【0026】本発明法の実施にさいし,微粉状の該混合
物を前述の耐火物製反応容器に装填すると,微粉ゆえに
フロンガスの通気性が損なわれ,このために反応助剤と
フロンガスと接触効率が悪くなることがある。これを改
善するには,該混合物をペレット状に造粒したうえで装
填するとよい。粒状の炭素質材料を使用するのも便宜で
ある。なお,反応容器としてマイクロ波を吸収する性質
をもつ耐火物材料例えば炭化珪素(SiC)で構成した
場合には,マイクロ波照射によって反応容器も発熱す
る。この場合には,反応容器の発熱の分だけ温度維持に
必要な炭素質材料の使用量を低減させることができる。
このため,アルカリ土類金属の酸化物または塩類の装填
量を増大させることができる。
【0027】また,フロンガスを容器内の混合物層に連
続的に送り込むために,不活性ガスをキャリヤーとして
用いてもよい。常温で液体であるようなフロンの場合に
は,液体フロンを入れた容器を温めることによりフロン
を気化させ,その蒸発による膨張圧力を利用してフロン
ガスを容器内の該混合物層に連続的に送り込むようにす
ることができる。いずれにしても,該混合物とフロンガ
スとは非酸化性雰囲気下で接触されることがフロンの分
解反応を行わせるうえで必要である。
【0028】フロンガスを容器内の混合物層に通気する
場合には,該混合物が既に800℃以上の温度に到達し
た後に流すのがよい。具体的にはアプリケータ内の混合
物にマイクロ波を必要な時間だけ予め照射して混合物が
800℃以上になってから,フロンガスを通じるように
すればよい。フロンガスと混合物との接触を行わせてい
る間はマイクロ波の照射を続行させておく。
【0029】混合物を装填する反応容器としては,予め
混合物を装填したカートリッジ式のものを用いるのが便
利である。すなわち,一方の端にフロンガスの導入管
を,他方の端に分解ガス排出管をもつ反応容器内に予め
該混合物を装填してなるカートリッジ型反応容器を,ア
プリケータ側に取付けたフロンガス導入管と分解ガス排
出管の間に脱着自在に接続して使用するのである。その
さい,このカートリッジを直列に複数個接続するように
して分解の未反応を防ぐこともできる。また,この複数
のカートリッジを接続することにより,フロンの分解容
量を自在に増大させることもできる。
【0030】
【実施例】
〔本発明法を実施する装置の例〕図2に本発明法の実験
に使用したフロン分解装置の例を示した。この装置は,
出力 500W,周波数 2.45 GHz の市販の電子オーブン
をフロン分解処理用に改造したものである。図2におい
て,1はアプリケータ,2はマグネトロン本体を図解的
に示している。マグネトロン本体2で発生するマイクロ
波は,アイソレータ,パワーモニター,スリースタブチ
ューナーを経て導波管3からアプリケータ1内に導入さ
れる。
【0031】この市販装置のアプリケータ1の両側壁に
孔をあけ,この両方の孔にステンレス鋼の短パイプ4と
5を気密に装着した。短パイプ4はフロンガス導入用
に,また短パイプ5は反応ガスの排出用に使用する。短
パイプ4と5の炉内端にはスプリング介装の接続具6を
取付け,この接続具6を介して,カートリッジ式の反応
容器7がパイプ4と5の間に脱着自在に取付けられるよ
うになっている。
【0032】試験に用いた反応容器7はその本体の内径
が18mmで長さが200mmのアルミナ製の管である。こ
の管の両端には短パイプ4と5に嵌入できる径に絞った
接続部を有し,この両接続部に弁9が介装してある。反
応管7の内部には炭素質材料とアルカリ土類金属の酸化
物または塩類の混合物8が装填される。そのさい,接続
部側に粉体が流出しないように,セラミックフアイバー
の栓10が挿入してある。この栓10は穴あき磁性板で
もよい。
【0033】混合物8の装填にさいし,これが粉状のま
ま装填されるとガスの流動性および通気性が劣化するの
で,混合物8の全部または一部をペレットに造粒してか
ら装填する。
【0034】装置の稼動にあたっては,アプリケータ1
内に装着されたカートリッジ式反応容器7にマイクロ波
を適当な時間照射し,該混合物が発熱した状態で一方の
短パイプ4の側から処理に供するフロンガスを適切な流
量で供給する。これにより,フロンガスは,混合物中の
アルカリ土類金属の酸化物(塩類を用いた場合は分解し
た酸化物)と反応して,アルカリ土類金属のふっ化物,
塩化物またはそれらの複合化合物および炭酸ガスに分解
される。アルカリ土類金属のふっ化物,塩化物またはそ
れらの複合化合物は反応容器7内に残留し,炭酸ガスは
他方のパイプ5から系外に排出される。
【0035】本装置はバッチ式で処理を行うものである
から,処理が終えれば,弁9によって反応容器7の両端
を閉鎖し,接続具6から反応容器7を外す。また,必要
に応じて新たなカセット式反応容器7をセットして処理
に供する。
【0036】処理に供するフロンの種類によっては常温
で液体のものもある。この場合には液体フロンの入った
容器を温浴などで外側から加熱してフロンガスを取り出
すようにすればよい。また,窒素やアルゴン等の不活性
ガスをキャリヤーガスに使用して,フロンガスを反応容
器7内に強制的に通じるようにすることもできる。いず
れにしても,フロンガス供給管路には流量計を挿入して
おき,フロンガスの供給流量を適切に制御する。
【0037】後記の実施例では,ここに説明した汎用電
子オーブンをマイクロ波加熱装置に用いたが,本発明法
はかような小型のマイクロ波加熱装置に限らず,工業用
の大型の設備も勿論使用可能であり,炭素質材料および
アルカリ土類金属の酸化物または塩類の使用量や反応容
器の形状や大きさもフロンガスの処理量や種類に応じて
自由に変えることができる。
【0038】〔分解処理方法の実施例1〕−16meshのチ
ャー炭と−60meshの石灰石とを,チャー炭:石灰石の重
量比が2:3となるように混合し,この混合物を直径約
3mm,長さ約7mmの円柱形ペレットに造粒し,この造粒
物を前記した耐火物製反応容器7(アルミナ製)に23
g装填し,該装填物の両端をセラミックフアイバー10
でカバーしたうえ,前記マイクロ波加熱装置のアプリケ
ータ1内にセットした。
【0039】一方,沸点が47.6℃のフロン113 (C2Cl
3F3) を100cc入れたビンを,60℃に保持したウオーター
バス中に浸漬し,該ビンで蒸発するフロンガスを流量調
節計で60ml/minの流量で調節しながら,径が6mmのシリ
コンチューブ11を経て反応容器7内に通気した。
【0040】この通気の開始は,反応容器7をアプリケ
ータ1内にセットして10分間マイクロ波照射したあとで
行い,通気中はマイクロ波照射を続けた。また,処理中
にパイプ5を通じて排出する排ガスは全てテドラーバッ
グに捕集した。
【0041】処理中, 排出するガスを市販のガス検知管
(ガステック株式会社製)を用いてフロン,ふっ素およ
び塩素の濃度を調べ, 排ガス中にふっ素およびフロンが
検出された時点で処理を停止した。フロン分解処理の開
始後28分までは排ガス中にフロン,ふっ素および塩素
はいずれも検知されなかった。なお,使用したガス検知
管はフロン113 だけでなく,フロン12, 22,112,114など
あらゆるフロンを検出でき,その精度はフロンは50 ppm
未満,ふっ素は0.25 ppm未満, 塩素は5ppm未満のもの
である。
【0042】この測定結果から,フロン通気開始後少な
くとも28分間はフロンは分解率が99.99 %以上で分解
したこと,並びに分解によって生成したふっ素および塩
素は排ガス中に排出されることなく完全に分解助剤中に
固定されたことがわかる。
【0043】事実, 反応後の容器中の反応生成物をX線
回折によって同定した結果,CaF2,CaClF および CaCl2
が確認された。また,採取した排ガス中のガス成分の分
析によってCO2とCOが確認された。すなわち, 次の反応
式に従う反応が完結していることがわかった。 3CaO +C2Cl3F3 → CaCl2+CaF2+CaClF+CO+CO2
【0044】〔分解処理方法の実施例2〕フロン12を用
いた以外は前記実施例1と同様の処理を行った。そし
て, フロンガス通気開始後15〜20分の間, 排ガス中のフ
ロン, ふっ素および塩素を調べたがいずれも該検知管で
は検知できなかった。すなわち, フロン12でも分解率9
9.99%以上で分解し,ふっ素および塩素は固定されたこ
とがわかった。
【0045】〔分解処理方法の実施例3〕チャー炭に代
えてコークス粉を用いた以外は前記実施例1と同様の処
理を行った。フロンガス通気開始後15〜20分の間, 排ガ
ス中のフロン, ふっ素および塩素を調べたが, いずれも
該検知管では検知できなかった。すなわち, フロンは分
解率99.99 %以上で分解し,ふっ素および塩素は固定さ
れたことがわかった。
【0046】〔分解処理方法の実施例4〕石灰石に代え
て石灰を用いた以外は前記実施例1と同様の処理を行な
った。フロンガス通気開始後15〜20分の間, 排ガス中の
フロン, ふっ素および塩素を調べたが, いずれも該検知
管では検知できなかった。この結果フロンは分解率99.9
9%以上で分解し,ふっ素および塩素は固定されたこと
がわかった。
【0047】〔分解処理方法の実施例5〕該ペレットを
装填した同じ反応容器7を直列に2段に連結してアプリ
ケータ1内に装入した以外は,実施例1と同様の処理を
行なった。排ガス中のフロン, ふっ素および塩素の濃度
を10分おきに調べた結果, フロンガス通気開始後78分ま
では, いずれも該検知管では検知できなかった。すなわ
ち, フロンガス通気開始後78分の間はフロンは分解率9
9.99 %以上で分解し,ふっ素および塩素は排ガス中に
排出されることなく, 固定されたことがわかった。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように,本発明によればマ
イクロ波加熱装置と, 炭素質材料およびアルカリ土類金
属の酸化物または塩類を用いてフロンを分解するもので
あるから,特別な装置や試薬を用いることなくフロンが
簡単に分解でき,しかもその分解率は 99.99%以上が十
分に達成できる。そして,分解生成物であるふっ素およ
び塩素もアルカリ土類金属のハロゲン化物として固定で
きるので,排ガスから有害なふっ素や塩素ガスが出る心
配もない。また反応容器をカートリッジ式にすることに
より,操作が一段と簡単になる。マイクロ波加熱装置も
家庭用電子レンジから工業用のものまであらゆるものが
利用できる。
【0049】このようなことから,オゾン層破壊問題の
解決が急務化しているフロン対策に本発明は大きく貢献
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】チャー炭と石灰石の混合物ペレットをマイクロ
波加熱したときの昇温速度を示す図である。
【図2】本発明法の実施に使用した装置の機器配置系統
図である。
【符号の説明】
1 アプリケータ 2 マグネトロン本体 3 導波管 4 フロンガス導入用パイプ 5 排ガス導出用パイプ 6 スプリング 7 セラミツクス製反応管 8 炭素質材料と反応助剤との混合物ペレット 9 弁 10 セラミツクスフアイバーの栓 11 フロンガス送気チューブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−178027(JP,A) 特開 平3−90172(JP,A) 特開 平6−293501(JP,A) 特開 平6−262035(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01D 53/70 C07B 37/06

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素質材料とアルカリ土類金属の酸化物
    または塩類とからなる混合物にマイクロ波を照射して発
    熱させ,この発熱状態にある該混合物にフロンガスを接
    触させることを特徴とするフロンの分解処理法。
  2. 【請求項2】 フロンガスは発熱状態にある該混合物に
    非酸化雰囲気下で接触させられる請求項1に記載のフロ
    ンの分解処理法。
  3. 【請求項3】 該混合物は800℃以上の温度にある請
    求項1または2に記載のフロンの分解処理法。
  4. 【請求項4】 該混合物は,マイクロ波透過性の耐熱材
    料からなる閉鎖容器内に装填されたうえでアプリケータ
    内に装入され,この容器の外側からマイクロ波が照射さ
    れ且つ該容器内にフロンガスが通気される請求項1,2
    または3に記載のフロンの分解処理法。
  5. 【請求項5】 炭素質材料はチャー炭,コークス,石炭
    または木炭の1種または2種以上からなる請求項1,
    2,3または4に記載のフロンの分解処理法。
  6. 【請求項6】 アルカリ土類金属の塩類は,アルカリ土
    類金属の炭酸塩または硫酸塩である請求項1,2,3ま
    たは4に記載のフロンの分解処理法。
  7. 【請求項7】 該混合物は,粉状の炭素質材料と粉状の
    アルカリ土類金属の酸化物または塩類の混合粉体をペレ
    ット状に造粒したものである請求項1,2,3,4,5
    または6に記載のフロンの分解処理法。
  8. 【請求項8】 マイクロ波が照射されるアプリケータ
    と,このアプリケータ内にセットされるマイクロ波透過
    性の耐熱材料からなる反応容器と,該反応容器内に装填
    される発熱用およびフロン分解用の材料と,該反応容器
    内にフロンガスを導入するフロンガス供給管路と,該反
    応容器から反応ガスを排出するガス排出管路と,からな
    るフロンの分解装置。
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