JP2009152593A - 液浸システム、露光装置、露光方法及びデバイス製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】物体上における液体の残留を抑制できる液浸システムを提供する。
【解決手段】液浸システムは、光学部材を介して露光光で基板を露光する液浸露光に用いられる。液浸システムは、光学部材の射出面と物体との間の光路が第1液体で満たされるように、第1液体を供給する第1供給口と、第1液体を希釈する第2液体を、光路の周囲空間の少なくとも一部に供給する第2供給口とを備えている。
【選択図】図1
【解決手段】液浸システムは、光学部材を介して露光光で基板を露光する液浸露光に用いられる。液浸システムは、光学部材の射出面と物体との間の光路が第1液体で満たされるように、第1液体を供給する第1供給口と、第1液体を希釈する第2液体を、光路の周囲空間の少なくとも一部に供給する第2供給口とを備えている。
【選択図】図1
Description
本発明は、液浸露光に用いられる液浸システム、液体を介して基板を露光する露光装置、露光方法及びデバイス製造方法に関する。
フォトリソグラフィ工程で用いられる露光装置において、例えば下記特許文献に開示されているような、液体を介して露光光で基板を露光する液浸露光装置が知られている。液浸露光装置において、露光光の光路を満たす液体の屈折率が高いほど、解像度及び焦点深度を向上することができる。そのため、液浸露光において、屈折率が高い液体を用いることが検討されている。
欧州特許出願公開第1806773号明細書
米国特許第7119874号明細書
液浸露光装置においては、基板などの物体上に液体が残留したりすると、露光不良が発生する可能性がある。その結果、不良デバイスが発生する可能性がある。
本発明の態様は、基板などの物体上に液体が残留することを抑制できる液浸システムを提供することを目的とする。また本発明の態様は、露光不良の発生を抑制できる露光装置及び露光方法を提供することを目的とする。また本発明の態様は、不良デバイスの発生を抑制できるデバイス製造方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様に従えば、光学部材を介して露光光で基板を露光する液浸露光に用いられる液浸システムであって、光学部材の射出面と物体との間の光路が第1液体で満たされるように、第1液体を供給する第1供給口と、第1液体を希釈する第2液体を、光路の周囲空間の少なくとも一部に供給する第2供給口と、を備えた液浸システムが提供される。
本発明の第2の態様に従えば、光学部材を介して露光光で基板を露光する液浸露光に用いられる液浸システムであって、所定液体に第1割合で所定物質が混ぜられた第1液体で、光学部材の射出面と物体との間の光路が満たされるように、第1液体を供給する第1供給口と、第1割合と異なる第2割合で所定液体に所定物質が混ぜられた第2液体を、光路の周囲空間の少なくとも一部に供給する第2供給口と、を備えた液浸システムが提供される。
本発明の第3の態様に従えば、光学部材を介して露光光で基板を露光する液浸露光に用いられる液浸システムであって、光学部材の射出面と物体との間の光路が第1液体で満たされるように、第1液体を供給する第1供給口と、光路の周囲空間の少なくとも一部において、第1液体の物性を変化させる変更装置と、変更装置によって物性が変化された第1液体を回収する回収口と、を備えた液浸システムが提供される。
本発明の第4の態様に従えば、第1、第2、第3の態様の液浸システムを備え、液浸システムの第1供給口から供給される第1液体と光学部材とを介して露光光で基板を露光する露光装置が提供される。
本発明の第5の態様に従えば、第4の態様の露光装置を用いて基板を露光することと、露光された基板を現像することと、を含むデバイス製造方法が提供される。
本発明の第6の態様に従えば、光学部材を介して露光光で基板を露光する露光方法において、光学部材の射出面と物体との間の光路が第1液体で満たされるように、第1液体を供給することと、第1液体を希釈する第2液体を、光路の周囲空間の少なくとも一部に供給することと、第1液体と光学部材とを介して基板を露光することと、を含む露光方法が提供される。
本発明の第7の態様に従えば、光学部材を介して露光光で基板を露光する露光方法において、所定液体に第1割合で所定物質が混ぜられた第1液体で、光学部材の射出面と物体との間の光路が満たされるように、第1液体を供給することと、第1割合と異なる第2の割合で所定液体に所定物質が混ぜられた第2液体を、光路の周囲空間の少なくとも一部に供給することと、第1液体と光学部材を介して基板を露光することと、を含む露光方法が提供される。
本発明の第8の態様に従えば、光学部材を介して露光光で基板を露光する露光方法であって、光学部材の射出面と物体との間の光路が第1液体で満たされるように、第1液体を供給することと、光路の周囲空間の少なくとも一部において、第1液体の物性を変化させることと、物性が変化された前記第1液体を回収することと、を含む露光方法が提供される。
本発明の第9の態様に従えば、第6、第7、第8の態様の露光方法を用いて基板を露光することと、露光された基板を現像することと、を含むデバイス製造方法が提供される。
本発明によれば、液浸露光において、基板などの物体上に液体が残留することを抑制できる。また本発明によれば、露光不良の発生を抑制でき、不良デバイスの発生を抑制できる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。水平面内の所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY及びθZ方向とする。
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る露光装置EXの一例を示す概略構成図である。本実施形態の露光装置EXは、液体を介して露光光ELで基板Pを露光する液浸露光装置である。
第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る露光装置EXの一例を示す概略構成図である。本実施形態の露光装置EXは、液体を介して露光光ELで基板Pを露光する液浸露光装置である。
図1において、露光装置EXは、マスクMを保持して移動可能なマスクステージ1と、基板Pを保持して移動可能な基板ステージ2と、マスクステージ1を移動するマスクステージ駆動システム3と、基板ステージ2を移動する基板ステージ駆動システム4と、マスクステージ1及び基板ステージ2の位置情報を計測する干渉計システム7と、マスクMを露光光ELで照明する照明系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像を基板Pに投影する投影光学系PLと、露光光ELの光路の少なくとも一部が液体で満たされるように液体を保持可能な液浸部材8と、露光装置EX全体の動作を制御する制御装置9とを備えている。
マスクMは、基板Pに投影されるデバイスパターンが形成されたレチクルを含む。マスクMは、例えばガラス板等の透明板上にクロム等の遮光膜を用いて所定のパターンが形成された透過型マスクを含む。透過型マスクは、遮光膜でパターンが形成されるバイナリーマスクに限られず、例えばハーフトーン型、あるいは空間周波数変調型等の位相シフトマスクも含む。本実施形態においては、マスクMとして透過型マスクを用いる。なお、マスクMとして、反射型マスクを用いることもできる。
基板Pは、デバイスを製造するための基板である。基板Pは、例えばシリコンウエハのような半導体ウエハ等の基材に感光膜が形成されたものを含む。感光膜は、感光材(フォトレジスト)の膜である。また、基板Pが、感光膜とは別の各種の膜を含んでもよい。例えば、基板Pが、感光膜を保護する保護膜(トップコート膜)を含んでもよい。
照明系ILは、例えば米国特許出願公開第2003/0025890号明細書等に開示されるような、光源、オプティカルインテグレータ等を含む照度均一化光学系及びブラインド機構等を含み、所定の照明領域IRを均一な照度分布の露光光ELで照明する。照明系ILは、照明領域IRに配置されたマスクMの少なくとも一部を均一な照度分布の露光光ELで照明する。照明系ILから射出される露光光ELとして、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)及びF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)等が用いられる。本実施形態においては、露光光ELとして、紫外光(真空紫外光)であるArFエキシマレーザ光を用いる。
マスクステージ1は、マスクMを保持するマスク保持部MHを有する。マスク保持部MHは、マスクMを着脱可能である。本実施形態において、マスク保持部MHは、マスクMの下面(パターン形成面)とXY平面とがほぼ平行となるように、マスクMを保持する。マスクステージ駆動システム3は、リニアモータ等のアクチュエータを含む。マスクステージ1は、マスクステージ駆動システム3の作動により、マスクMを保持してXY平面内を移動可能である。本実施形態においては、マスクステージ1は、マスク保持部MHでマスクMを保持した状態で、X軸、Y軸及びθZ方向の3つの方向に移動可能である。
投影光学系PLは、所定の投影領域PRに露光光ELを照射する。投影光学系PLは、投影領域PRに配置された基板Pの少なくとも一部に、マスクMのパターンの像を所定の投影倍率で投影する。投影光学系PLは、基板Pと対向可能な終端光学素子10を有する。終端光学素子10は、投影光学系PLの複数の光学素子のうち、投影光学系PLの像面に最も近い光学素子である。終端光学素子10は、投影光学系PLの像面に向けて露光光ELを射出する射出面11を有する。射出面11から射出された露光光ELは、基板Pに照射される。
投影光学系PLの複数の光学素子は、鏡筒PKで保持される。本実施形態の投影光学系PLは、その投影倍率が例えば1/4、1/5又は1/8等の縮小系である。なお、投影光学系PLは、等倍系及び拡大系のいずれでもよい。本実施形態においては、投影光学系PLの光軸AXは、Z軸とほぼ平行である。また、投影光学系PLは、反射光学素子を含まない屈折系、屈折光学素子を含まない反射系、反射光学素子と屈折光学素子とを含む反射屈折系のいずれでもよい。また、投影光学系PLは、倒立像と正立像とのいずれを形成してもよい。
基板ステージ2は、基板Pを保持する基板保持部PHを有する。基板保持部PHは、基板Pを着脱可能である。本実施形態において、基板保持部PHは、基板Pの表面(露光面)とXY平面とがほぼ平行となるように、基板Pを保持する。基板ステージ駆動システム4は、リニアモータ等のアクチュエータを含む。基板ステージ2は、基板ステージ駆動システム4の作動により、基板Pを保持してXY平面内を移動可能である。本実施形態においては、基板ステージ2は、基板保持部PHで基板Pを保持した状態で、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY及びθZ方向の6つの方向に移動可能である。
基板ステージ2は、基板保持部PHの周囲に配置された上面12を有する。本実施形態において、上面12は、平坦であり、XY平面とほぼ平行である。本実施形態において、基板保持部PHは、上面12と基板Pの表面とがほぼ同一平面内に配置されるように(面一になるように)、基板Pを保持する。なお、基板保持部PHに保持された基板Pの表面と上面12とは面一でなくてもよい。
基板ステージ2は、基板Pを保持して、ベース部材6のガイド面5に沿って、XY平面内を移動可能である。ベース部材6のガイド面5は、XY平面とほぼ平行である。基板ステージ2は、射出面11と対向する位置に移動可能である。射出面11と対向する位置は、射出面11から射出される露光光ELの照射位置を含む。投影領域PRは、射出面11から射出される露光光ELの照射位置を含む。以下の説明において、射出面11から射出される露光光ELの照射位置を適宜、露光位置EP、と称する。
干渉計システム7は、XY平面内におけるマスクステージ1及び基板ステージ2のそれぞれの位置情報を計測する。干渉計システム7は、XY平面内におけるマスクステージ1の位置情報を計測する第1干渉計ユニット7Aと、XY平面内における基板ステージ2の位置情報を計測する第2干渉計ユニット7Bとを備えている。
第1干渉計ユニット7Aは、レーザ干渉計13を備えている。第1干渉計ユニット7Aは、レーザ干渉計13により、マスクステージ1に配置された反射面1Rに計測光を照射し、その反射面1Rを介した計測光を用いて、X軸、Y軸及びθZ方向に関するマスクステージ1(マスクM)の位置情報を計測する。
第2干渉計ユニット7Bは、レーザ干渉計14を備えている。第2干渉計ユニット7Bは、レーザ干渉計14により、基板ステージ2に配置された反射面2Rに計測光を照射し、その反射面2Rを介した計測光を用いて、X軸、Y軸及びθZ方向に関する基板ステージ2(基板P)の位置情報を計測する。
また、本実施形態において、露光装置EXは、フォーカス・レベリング検出システム(不図示)を備えている。フォーカス・レベリング検出システムは、基板ステージ2に保持された基板Pの表面の位置情報を検出する。フォーカス・レベリング検出システムは、Z軸、θX及びθY方向に関する基板Pの表面の位置情報を検出する。フォーカス・レベリング検出システムは、例えば米国特許第5448332号明細書等に開示されているような、所謂、斜入射方式の多点フォーカス・レベリング検出システムを含む。
少なくともマスクMを介した露光光ELで基板Pを露光するとき、マスクステージ1の位置情報が、第1干渉計ユニット7Aで計測され、基板ステージ2の位置情報が、第2干渉計ユニット7Bで計測される。また、所定のタイミングで、基板Pの表面の位置情報が、フォーカス・レベリング検出システムで検出される。制御装置9は、第1干渉計ユニット7Aの計測結果に基づいて、マスクステージ駆動システム3を作動し、マスクステージ1に保持されているマスクMの位置制御を実行する。また、制御装置9は、第2干渉計ユニット7Bの計測結果及びフォーカス・レベリング検出システムの検出結果に基づいて、基板ステージ駆動システム4を作動し、基板ステージ2に保持されている基板Pの位置制御を実行する。
液浸部材8は、終端光学素子10の近傍に配置されている。液浸部材8は、露光位置EPに配置される物体と対向可能な下面15を有する。液浸部材8は、下面15と露光位置EPに配置される物体の表面との間で液体を保持可能である。液浸部材8は、終端光学素子10の射出面11と、露光位置EPに配置された物体との間の露光光ELの光路Kが液体で満たされるように、物体との間で液体を保持可能である。本実施形態において、光路Kは、Z軸とほぼ平行である。
終端光学素子10及び液浸部材8と対向可能な物体(露光位置EPに配置可能な物体)は、終端光学素子10の射出側(投影光学系PLの像面側)で移動可能な物体を含む。本実施形態において、終端光学素子10の射出側で移動可能な物体は、基板ステージ2及び基板ステージ2に保持される基板Pの少なくとも一方を含む。一方側の終端光学素子10及び液浸部材8と、他方側の基板Pの表面及び基板ステージ2の上面12の少なくとも一方との間で液体を保持可能である。
以下の説明において、一方側の終端光学素子10及び液浸部材8と他方側の物体との間に保持される液体によって形成される、液体で満たされた空間を適宜、液浸空間、と称する。
図2は、露光位置EPに基板Pが配置されている場合の終端光学素子10、液浸部材8及び基板ステージ2の概略断面図である。以下の説明においては、露光位置EPに基板Pが配置される場合を例にして主に説明するが、上述のように、基板ステージ2の上面12も、露光位置EPに配置可能である。
図2において、露光装置EXは、終端光学素子10の射出面11と基板Pとの間の露光光ELの光路Kが第1液体LQ1で満たされるように、第1液体LQ1を供給する第1供給口16と、第1液体LQ1と異なる第2液体LQ2を、露光光ELの光路Kの周囲空間の少なくとも一部に供給する第2供給口17とを備えている。
本実施形態において、第1液体LQ1は、所定液体に第1割合で所定物質を混ぜることによって生成される。
本実施形態において、所定液体は、純水である。本実施形態において、第1液体LQ1は、純水に、微粒子を混ぜることによって生成される。微粒子の大きさ(粒径)は、例えば1〜100nmである。一般に、直径(粒径)が1〜100nm程度の超微粒子は、ナノ粒子と呼ばれる。以下の説明において、所定物質の微粒子を適宜、ナノ粒子、と称する。本実施形態においては、微粒子(ナノ粒子)として、その大きさ(粒径)が1〜10nm程度のものを用いる。
所定物質の微粒子としては、フラーレン誘導体、カーボンナノチューブなどを用いることができる。
なお、所定物質の微粒子としては、無機材料の微粒子(無機微粒子)を用いてもよいし、有機材料の微粒子(有機微粒子)を用いてもよい。無機微粒子としては、例えば、金属酸化物微粒子、無機酸金属塩微粒子(硫酸塩・炭酸塩・リン酸塩等)、金属ハロゲン化物微粒子、金属窒化物微粒子、金属炭化物微粒子、金属ホウ化物微粒子、金属微粒子及びセラミック微粒子の少なくとも一つを用いることができる。また、上述の微粒子の2種以上を併用してもよい。
金属酸化物としては、例えば、アルミナ、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、三酸化二鉄、酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化クロム及び酸化ケイ素の少なくとも一つを用いることができる。無機酸金属塩としては、例えば、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム及び塩化カリウムの少なくとも一つを用いることができる。金属窒化物としては、例えば窒化チタン、窒化アルミニウム、窒化ジルコニウム、窒化クロム、窒化タングステン及び窒化ケイ素の少なくとも一つを用いることができる。金属炭化物としては、例えば、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化タングステン、炭化クロム、炭化ニオブ及び炭化ケイ素の少なくとも一つを用いることができる。金属ホウ化物としては、例えば、ホウ化チタン、ホウ化ジルコニウム、ホウ化タングステン、ホウ化クロム及びホウ化モリブデンの少なくとも一つを用いることができる。金属としては、銀及び銅の少なくとも一つを用いることができる。また、上述の各材料の2種以上を併用してもよい。また、必要に応じて、微粒子(ナノ粒子)の表面処理が実施されでもよい。
本実施形態においては、第1液体LQ1は、純水中に、上述の微粒子(ナノ粒子)を分散させることによって生成される。
所定液体にナノ粒子を混ぜることによって、露光光ELに対する屈折率を向上させることができる。すなわち、所定液体にナノ粒子を混ぜることによって、高屈折率液体を生成することができる。したがって、本実施形態において、露光光ELに対する第1液体LQ1の屈折率は、所定液体の屈折率より高い。
本実施形態においては、所定液体に第1割合でナノ粒子が混ぜられている。第1割合を大きくすることによって、露光光ELに対する第1液体LQ1の屈折率を高めることができる。すなわち、所定液体に分散させるナノ粒子の量を多くするほど、換言すれば、所定液体に対するナノ粒子の混合比を高めるほど、露光光ELに対する第1液体LQ1の屈折率を高めることができる。このように、第1割合を調整することによって、露光光ELに対する第1液体LQ1の屈折率を調整することができる。また、ナノ粒子の大きさ(粒径)を調整することによって、露光光ELに対する第1液体LQ1の屈折率を調整することができる。なお、第1割合を大きくすることによって、露光光ELに対する第1液体LQ1の透過率が低下する場合には、屈折率の目標値と透過率の目標値とを考慮して、所定液体に混ぜるナノ粒子の量(第1割合)が調整される。
本実施形態において、第2液体LQ2は、第1割合と異なる第2割合で所定液体に所定物質が混ぜられた液体である。第2液体LQ2は、所定液体に第2割合で所定物質を混ぜることによって生成される。本実施形態においては、第2液体LQ2も、純水に、微粒子ナノ粒子を混ぜることによって生成される。第2液体LQに混ぜられる微粒子は、ナノ粒子を含む。本実施形態においては、第2液体LQ2は、純水中に、上述の微粒子(ナノ粒子)を分散させることによって生成される。
本実施形態において、第2割合は、第1割合より小さい。すなわち、第2液体LQ2より、第1液体LQ1のほうが、ナノ粒子を多く含む。換言すれば、所定物質に対する第1液体LQ1の濃度のほうが、第2液体LQ2の濃度より高い。したがって、第2液体LQ2は、第1液体LQ1を希釈することができる。
次に、図2及び図3を参照して、液浸部材8について説明する。図3は、液浸部材8を下面15側から見た図である。液浸部材8は、環状の部材である。液浸部材8は、終端光学素子10の周囲に配置されている。液浸部材8は、射出面11と対向する位置に露光光ELが通過する開口18を有する。すなわち、開口18を介して投影光学系PLからの露光光ELを、露光位置EPに配置された基板Pなどの物体上に照射可能である。なお、液浸部材8は、終端光学素子10に対してX軸方向、Y軸方向、Z軸方向に可動であってもよい。
本実施形態において、第1供給口16及び第2供給口17のそれぞれは、液浸部材8に配置されている。本実施形態においては、図2に示すように、第1供給口16は、第2供給口17よりも開口18(光路K)の近くに配置されている。
第1供給口16は、射出面11と基板Pとの間の光路Kが第1液体LQ1で満たされるように、第1液体LQ1を供給可能である。第1供給口16は、光路Kの近傍に配置され、その光路Kに面している。
本実施形態において、第2供給口17は、液浸部材8の下面15の所定位置に配置されている。したがって、基板Pの表面は、第2供給口17に対向可能である。
露光装置EXは、第1供給口16に第1液体LQ1を供給する第1液体供給装置19と、第2供給口17に第2液体LQ2を供給する第2液体供給装置20と備えている。本実施形態において、第1液体供給装置19は、第1液体LQ1を生成可能である。第2液体供給装置20は、第2液体LQ2を生成可能である。
第1液体供給装置19は、所定液体とナノ粒子との混合比(第1割合)を調整可能である。第2液体供給装置20は、所定液体とナノ粒子との混合比(第2割合)を調整可能である。制御装置9は、第2割合が第1割合より小さくなるように、第1液体供給装置19及び第2液体供給装置20の少なくとも一方を制御可能である。
第1供給口16と第1液体供給装置19とは、流路22を介して接続されている。第1液体供給装置19から送出された第1液体LQ1は、流路22を介して第1供給口16に供給される。第1供給口16は、第1液体供給装置19からの第1液体LQ1を露光光ELの光路に供給する。第1液体供給装置19は、第1供給口16からの単位時間当たりの第1液体LQ1の供給量を調整可能である。
第2供給口17と第2液体供給装置20とは、流路23を介して接続されている。第2液体供給装置20から送出された第2液体LQ2は、流路23を介して第2供給口17に供給される。第2供給口17は、第2液体供給装置20からの第2液体LQ2を光路Kの周囲空間の少なくとも一部に供給する。本実施形態において、第2供給口17は、光路Kの周囲にほぼ連続的に配置されている。図3に示すように、本実施形態においては、XY平面内における第2供給口17の形状は、環状であり、開口18(光路K)を囲むように配置されている。なお、下面15において、複数の第2供給口が、開口18(光路K)の周囲に所定間隔でほぼ連続的に配置されてもよい。第2液体供給装置20は、第2供給口17からの単位時間当たりの第2液体LQ2の供給量を調整可能である。
また、露光装置EXは、基板Pの表面から液体を回収する回収口24を備えている。本実施形態において、回収口24も、液浸部材8に配置されている。本実施形態において、回収口24は、液浸部材8の下面15の所定位置に配置されている。基板Pの表面は、回収口24に対向可能である。回収口24は、液浸部材8の下面15と対向する基板P上の液体の少なくとも一部を回収可能である。回収口24が回収可能な基板P上の液体は、第2液体LQ2を含む。本実施形態において、回収口24は、第2液体LQ2をそのまま回収することができるし、第1液体LQ1と第2液体LQ2とが混じり合った液体(第1液体LQ1よりも所定物質の割合が高く、第2液体LQよりも所定物質の割合が低い液体)を回収することができる。すなわち、回収口24は、第2液体LQ2で希釈された第1液体LQ1を回収することができる。
本実施形態において、回収口24は、開口18(光路K)の周囲にほぼ連続的に配置されている。図3に示すように、本実施形態においては、XY平面内における回収口24の形状は、環状であり、開口18(光路K)を囲むように配置されている。なお、下面15において、複数の回収口が、開口18(光路K)の周囲に所定間隔でほぼ連続的に配置されてもよい。
回収口24には、複数の孔(openingsあるいはpores)を含むプレート状の多孔部材25が配置されている。なお、回収口24に、網目状に多数の小さい孔が形成された多孔部材であるメッシュフィルタが配置されてもよい。本実施形態において、液浸部材8の下面15の少なくとも一部が、多孔部材25の下面で構成される。
また、露光装置EXは、液体を回収可能な液体回収装置26を備えている。液体回収装置26は、回収口24と真空システムとを接続可能であり、回収口24から回収された液体を吸引可能である。回収口24と液体回収装置26とは、流路27を介して接続されている。回収口24から回収された液体は、流路27を介して、液体回収装置26に回収される。液体回収装置26は、回収口24からの単位時間当たりの液体回収量を調整可能である。
本実施形態において、開口18(光路K)に対して第1供給口16の外側に第2供給口17が配置され、開口18(光路K)に対して第2供給口17の外側に回収口24が配置されている。すなわち、第2供給口17は、開口18(光路K)と回収口24との間に配置されている。
本実施形態においては、制御装置9は、第1供給口16を用いる液体供給動作の少なくとも一部と並行して、第2供給口17を用いる液体供給動作を実行する。光路Kは、第1供給口16から供給された第1液体LQ1で満たされる。また、第2供給口17から光路Kの周囲空間に供給された第2液体LQ2は、第1供給口16から供給された第1液体LQ1の少なくとも一部と接触する。本実施形態においては、光路Kの周囲空間において、第1供給口16から供給された第1液体LQ1の少なくとも一部と第2供給口17から供給された第2液体LQ2とが混じり合い、基板P上において、第1液体LQ1の少なくとも一部が第2液体LQ2で希釈される。
なお、開口18と第2供給口17との距離は、第1液体LQ1と第2液体LQ2とが混じり合った液体(希釈された第1液体LQ1)が光路Kに入らないように決められている。
また、制御装置9は、第1供給口16及び第2供給口17を用いる液体供給動作と並行して、回収口24を用いる液体回収動作を実行する。回収口24は、第2液体LQ2及び第2液体LQ2と第1液体LQ1とが混じり合った液体を回収可能な位置に配置されている。すなわち、回収口24は、第2液体LQ2及び第2液体LQ2で希釈された第1液体LQ1を回収する。これにより、一方側の終端光学素子10及び液浸部材8と他方側の基板Pとの間に液浸空間が形成される。なお、回収口24から、液体のみを回収するようにしてもよいし、液体と気体とを一緒に回収してもよい。
本実施形態においては、投影光学系PLの投影領域PRを含む基板Pの表面の一部の領域が第1液体LQ1で覆われるように液浸空間が形成される。すなわち、液体(第2液体LQ2、又は第1液体LQ1と第2液体LQ2とが混じり合った液体)と気体の界面(メニスカス、エッジ)は、液浸部材8の下面15と基板Pの表面との間に形成される。すなわち、本実施形態の露光装置EXは、局所液浸方式を採用する。
本実施形態においては、XY平面内における液浸空間のほぼ中央部分は、第1液体LQ1で満たされ、露光光ELは、その中央部分を通過する。一方、XY平面内における液浸空間の周縁部分(界面、メニスカス、エッジの近傍部分)は、第2液体LQ2あるいは第1液体LQ1と第2液体LQ2とが混じり合った液体で形成される。
次に、図1及び図2を参照して、基板ステージ2について説明する。上述のように、基板ステージ2は、基板Pをリリース可能に保持する基板保持部PHを備えている。基板保持部PHは、所謂、ピンチャック機構を含む。また、本実施形態においては、基板ステージ2は、基板保持部PHに保持された基板Pの周囲に配置されるプレート部材Tを有する。本実施形態において、基板ステージ2は、プレート部材Tを着脱可能である。本実施形態において、基板ステージ2は、プレート部材Tをリリース可能に保持するプレート部材保持部THを備えている。プレート部材保持部THは、所謂、ピンチャック機構を含む。プレート部材保持部THは、基板保持部PHの周囲に配置されている。
プレート部材Tは、基板Pを配置可能な開口TKを有する。プレート部材保持部THに保持されたプレート部材Tは、基板保持部PHに保持された基板Pの周囲に配置される。本実施形態において、プレート部材保持部THに保持されたプレート部材Tの開口TKの内面と、基板保持部PHに保持された基板Pの外面とは、所定のギャップを介して対向するように配置される。プレート部材保持部THは、プレート部材Tの上面とXY平面とがほぼ平行となるように、プレート部材Tを保持する。本実施形態においては、基板保持部PHに保持された基板Pの表面と、プレート部材保持部THに保持されたプレート部材Tの上面とは、ほぼ平行である。また、本実施形態においては、基板保持部PHに保持された基板Pの表面と、プレート部材保持部THに保持されたプレート部材Tの上面とは、ほぼ同一平面内に配置されている(ほぼ面一である)。すなわち、本実施形態においては、基板ステージ2の上面12は、プレート部材保持部THに保持されたプレート部材Tの上面を含む。
本実施形態において、プレート部材Tは、低熱膨張率の材料で形成されている。プレート部材Tは、例えば、光学ガラス部材又はセラミックス部材(ショット社のゼロデュア(商品名)、Al2O3あるいはTiC等)で形成されている。
次に、上述の構成を有する露光装置EXを用いて基板Pを露光する方法について説明する。基板Pの露光を開始する前の所定のタイミングで、光路Kが第1液体LQ1で満たされるように第1液体LQ1が供給され、第2液体LQ2が光路Kの周囲空間に供給される。基板Pを露光するために、基板ステージ2に保持された基板Pが、露光位置EPに配置される。これにより、図2に示すように、光路Kが第1液体LQ1で満たされるように一方側の終端光学素子10及び液浸部材8の少なくとも一部と他方側の基板Pとの間に第1液体LQ1が保持されるとともに、第1液体LQ1を取り囲むように、液浸部材8と基板Pとの間における光路Kの周囲空間に第2液体LQ2が保持される。
本実施形態の露光装置EXは、マスクMと基板Pとを所定の走査方向に同期移動しつつ、マスクMのパターンの像を基板Pに投影する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)である。本実施形態においては、基板Pの走査方向(同期移動方向)をY軸方向とし、マスクMの走査方向(同期移動方向)もY軸方向とする。制御装置9は、光路Kを第1液体LQ1で満たした状態で、基板Pを投影光学系PLの投影領域PRに対してY軸方向に移動するとともに、その基板PのY軸方向への移動と同期して、照明系ILの照明領域IRに対してマスクMをY軸方向に移動しつつ、投影光学系PLと第1液体LQ1とを介して露光光ELで基板Pを露光する。
本実施形態においては、屈折率が高い第1液体LQ1で光路Kが満たされているので、実質的に解像度及び焦点深度を向上することができる。したがって、基板Pに微細なパターンを良好に形成できる。
また、本実施形態においては、基板P表面上の液体を回収口24から回収しやすくするために、光路Kの周囲空間において、第2供給口17から第2液体LQ2が供給して、第1液体LQ1の物性を変化させる。ここで、物性は、粘性、表面張力、基板P表面における接触角の少なくとも一つを含む。本実施形態の露光装置EXは、局所液浸方式を採用しており、且つ基板P上の液体を基板Pと対向する回収口24から回収するので、液浸空間の周縁部分において、基板P上の液体は、粘性が低く、且つ表面張力が大きく、且つ基板P表面において接触角が大きいことが望まれる。本実施形態においては、第1供給口16から供給された第1液体LQ1の少なくとも一部と第2供給口17から供給された第2液体LQ2とが混じり合い、基板P上において、第1液体LQ1が第2液体LQ2で希釈される。すなわち、本実施形態においては、第1液体LQ1よりも、粘性が低く、表面張力が大きく、基板P表面において接触角が大きい第2液体LQ2で第1液体LQ1を希釈するので、回収口24の近傍において基板P上の液体は、第1液体LQ1よりも、粘性が低く、表面張力が大きく、基板P表面における接触角が大きくなる。したがって、液浸空間の界面の形状を維持しつつ、基板P上における液体の残留を抑制することができる。なお、本実施形態において、第2液体LQ2で第1液体LQ1を希釈することによって、第1液体LQ1の粘性を下げること、表面張力を大きくすること、接触角を大きくすることのすべてが達成される必要はなく、いずれか一つが達成されるだけでもよい。
本実施形態においては、第1液体LQ1はナノ粒子を含み、ナノ粒子を含む液体が基板Pの表面に残留し、その液体成分が気化(乾燥)した場合、基板Pの表面にナノ粒子の異物が残留する可能性がある。
基板Pの表面に異物が存在する状態で露光処理を行ってしまうと、例えばパターン欠陥等、露光不良が発生する可能性がある。
また、上述したように、基板ステージ2の上面12(プレート部材Tの上面)も露光位置EPに配置可能であり、プレート部材Tの上面に異物が残留した状態を放置した場合においても、露光不良が発生する可能性がある。
本実施形態においては、第2液体LQ2を、光路Kの周囲空間に供給するので、物体表面における液体の残留が抑制され、物体表面におけるナノ粒子の異物発生を抑制することができる。特に、第2液体LQ2によって第1液体LQ1が希釈されるので、万が一、基板Pなどの物体上に液体が残留してもナノ粒子の異物の発生を抑制することができる。
また、本実施形態においては、第2液体LQ2に合わせて、基板Pの表面特性が決定されている。表面特性は、基板Pの表面での第2液体LQ2の接触角を含む。本実施形態において、基板Pの表面は、少なくとも第2液体LQ2に対して撥液性である。本実施形態においては、基板Pの表面での第2液体LQ2の接触角が、例えば90度以上になるように、基板Pの表面特性が決定されている。基板Pの表面特性は、例えば第2液体LQ2に合わせて基板Pの表面を形成する膜の特性を調整したり、膜の種類を選択したりすることによって、調整可能である。例えば、基板Pの表面が感光膜で形成される場合には、基板Pの表面が所望の表面特性を有するように(所望の接触角となるように)、第2液体LQ2に合わせて感光膜を形成する材料が調整されたり、選択されたりする。また、基板Pの表面が所望の表面特性となるように、基板Pの表面を、例えば第2液体LQ2に対して撥液性のトップコート膜で形成してもよい。なお、トップコート膜に、感光膜を保護する機能を持たせても良い。
基板Pの表面を第2液体LQ2に対して撥液性にすることによって、気体と液体との界面(エッジ)を所望の形状に維持することができる。特に本実施形態においては、光路Kを満たす第1液体LQ1を囲むように第2液体LQ2が供給され、ほぼ第2液体LQ2で界面が形成されるので、基板P上での界面を所望の状態(形状)に維持することができる。したがって、液体が液浸部材8と基板Pとの間の空間から流出したり、基板P上に液体が残留したりすることを抑制することができる。
同様に、第2液体LQ2に合わせて、プレート部材Tの上面の特性(表面特性)を決定することによって、液体が流出したり、プレート部材Tの上面に残留したりすることを抑制できる。プレート部材Tの表面特性は、プレート部材Tの上面での第2液体LQ2の接触角を含む。
本実施形態においては、プレート部材Tの上面での第2液体LQ2の接触角が、例えば90度以上になるように、プレート部材Tの表面特性が決定されている。本実施形態において、プレート部材Tの上面は、撥液性処理されており、少なくとも第2液体LQ2に対して撥液性である。本実施形態において、プレート部材Tの上面に、撥液性処理として、フッ素を含む材料の膜が形成されている。膜を形成する材料は、例えばPFA(Tetra fluoro ethylene-perfluoro alkylvinyl ether copolymer)、PTFE(Poly tetra fluoro ethylene)、テフロン(登録商標)等を含む。なお、膜を形成する材料が、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂でもよい。
以上説明したように、本実施形態によれば、露光光ELの光路Kを、屈折率が高い第1液体LQ1で良好に満たすことができる。また、液体が流出したり、物体上に液体が残留したりすることを抑制することができる。したがって、例えば異物に起因する露光不良の発生を抑制することができ、不良デバイスの発生を抑制することができる。
なお、上述の実施形態においては、第2液体LQ2が所定物質(ナノ粒子)を含む場合を例にして説明したが、所定物質(ナノ粒子)を含まない液体であってもよい。すなわち、第2割合を零とし、第2液体LQ2を、ナノ粒子を含まない純水としてもよい。
なお、上述の実施形態においては、第2液体LQ2に合わせて、基板Pの表面及びプレート部材Tの上面の表面特性が決定される場合を例にして説明したが、基板Pの表面及びプレート部材Tの上面の表面特性に合わせて、第2液体LQ2の物性を調整してもよい。例えば、基板Pの表面での第2液体LQ2の接触角が所定範囲になるように(例えば90度以上になるように)、第2液体LQ2の物性を調整してもよい。同様に、プレート部材Tの上面での第2液体LQ2の接触角が所定範囲になるように(例えば90度以上になるように)、第2液体LQ2の物性を調整してもよい。
すなわち、第2供給口17から基板P及びプレート部材T上に供給された第2液体LQ2の気液界面が所定形状になるように、第2液体LQ2の物性を調整してもよい。
第2液体LQ2の物性の調整は、第2割合の調整を含む。すなわち、所定液体(純水)に混ぜる所定物質(ナノ粒子)の量の調整を含む。これにより、基板Pの表面及びプレート部材Tの上面での第2液体LQ2の接触角を所定範囲にすることができる。
なお、第2液体LQ2に、添加剤を添加して、第2液体LQ2の物性を調整してもよい。例えば、添加剤を添加することによって基板Pの表面及びプレート部材Tの上面での第2液体LQ2の接触角を所定範囲に調整してもよい。なお、添加剤としては、例えば、分散剤、湿潤剤、消泡剤、緩衝剤及びその他の界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤としては、非イオン性、アニオン性、カチオン性及び両性のものが挙げられ、これらを単独または組み合わせて使用できる。非イオン性界面活性剤の例としては、ラウリルアルコールポリオキシエチレンエーテル、ステアリン酸ソルビタンジエステル、オレイン酸ソルビタンモノエステル等の高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレ長鎖アルキルエーテル、N,N−ジヒドロキシエチルラウリルアミド等の長鎖アルキルアミド等が挙げられる。アニオン性界面活性剤の例としては、オレイン酸石ケン等の金属石鹸、ジオクチルスルホコハク酸ソーダ、石油スルホネート等の長鎖アルキルスルホン酸化合物等が挙げられる。カチオン性界面活性剤の例としては、ラウリルアミン塩酸塩等の長鎖アルキル基を有するアミン塩型カチオン界面活性剤、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等の長鎖アルキル基を有する第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤等があげられる。また、両性界面活性剤の例としては、ステアリルジメチルベタイン等があげられる。
また、第1液体LQ1及び第2液体LQ2の少なくとも一方に添加剤を添加することによって、第1、第2液体LQ1、LQ2中でのナノ粒子の凝集を抑制したり、透過率の経時的な変化を抑制したりしてもよい。
なお、上述の実施形態においては、第1供給口16が、光路Kに面している場合について説明したが、図4に示すように、第1供給口16が液浸部材8の下面15に配置されていてもよい。図4において、基板Pの表面及びプレート部材Tの上面は、第1供給口16と面する。
また、上述の実施形態においては、第1供給口16、第2供給口17,回収口24は、液浸部材8に設けられているが、いずれか一つを液浸部材8とは異なる部材に設けてもよいし、それぞれを異なる部材に設けてもよい。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。図5は、第2実施形態に係る露光装置EXの一例を示す図である。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。本実施形態においても、露光位置EPに基板Pが配置される場合を例にして主に説明するが、上述のように、基板ステージ2の上面12も、露光位置EPに配置可能である。
次に、第2実施形態について説明する。図5は、第2実施形態に係る露光装置EXの一例を示す図である。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。本実施形態においても、露光位置EPに基板Pが配置される場合を例にして主に説明するが、上述のように、基板ステージ2の上面12も、露光位置EPに配置可能である。
図5において、露光装置EXは、光路Kが第1液体LQ1で満たされるように、第1液体LQ1を供給する第1供給口16Bと、基板Pの表面から液体を回収する第1回収口24Bと、第2液体LQ2を光路Kの周囲空間の少なくとも一部に供給する第2供給口17Bと、基板Pの表面から液体を回収する第2回収口28Bとを備えている。
第1供給口16Bは、光路Kに面している。第1回収口24Bは、基板Pの表面に面している。第2回収口28Bは、露光光ELが通過する開口18B(光路K)に対して第1回収口24Bよりも離れて配置されている。第2回収口28Bは、基板Pの表面に面している。第2供給口17Bは、開口18B(光路K)に対して第1回収口24Bよりも遠くに、且つ第2回収口28Bの近傍に配置される。第2供給口17Bは、基板Pの表面に面している。第2供給口17Bは、第1回収口24Bと第2回収口28Bとの間に配置される。すなわち、本実施形態において、開口18B(光路K)に対して第1回収口24Bの外側に第2供給口17Bが配置され、第2供給口17Bの外側に第2回収口28Bが配置されている。
本実施形態において、露光装置EXは、基板Pとの間で液体を保持可能な第1液浸部材8Bと、基板Pとの間で液体を保持可能な第2液浸部材29Bとを備えている。第1液浸部材8Bは、環状の部材であり、終端光学素子10の周囲に配置されている。第1液浸部材8Bは、射出面11と対向する位置に開口18Bを有する。第1液浸部材8Bは、露光位置EPに配置される基板Pと対向可能な下面15Bを有する。第1液浸部材8Bは、下面15Bと基板Pとの間に第1液浸空間を形成可能である。
第2液浸部材29Bは、矩形環状の部材であり、第1液浸部材8Bの周囲に配置されている。第2液浸部材29Bは、基板Pの表面と対向可能な下面30Bを有する。第2液浸部材29Bは、下面30Bと基板Pの表面との間に第2液浸空間を形成可能である。
第1液浸部材8Bは、基板Pとの間で第1液体LQ1を保持して、光路Kが第1液体LQ1で満たされるように、第1液浸空間を形成可能である。第2液浸部材29Bは、基板Pとの間で第2液体LQ2を保持して、第1液浸空間を取り囲むように、第2液浸空間を形成可能である。本実施形態においては、基板Pがほぼ静止している状態において、第1液浸空間と第2液浸空間とは離れている。XY平面内において、第2液浸空間は、輪帯状である。
本実施形態において、第1供給口16B及び第1回収口24Bは、第1液浸部材8Bに配置されている。第2供給口17B及び第2回収口28Bは、第2液浸部材29Bに配置されている。
第1回収口24Bは、下面15Bの所定位置に配置されている。第1回収口24Bは、光路Kの周囲にほぼ連続的に配置されている。本実施形態においては、XY平面内における第1回収口24Bの形状は、環状であり、開口18B(光路K)を囲むように配置されている。なお、下面15Bにおいて、複数の第1回収口が、開口18B(光路K)の周囲に所定間隔でほぼ連続的に配置されてもよい。第1回収口24Bには、多孔部材25Bが配置されている。
第2供給口17Bは、下面30Bの所定位置に配置されている。第2供給口17Bは、光路Kの周囲にほぼ連続的に配置されている。本実施形態においては、XY平面内における第2供給口17Bの形状は、環状であり、第1液浸部材8Bの第1回収口24Bを囲むように配置されている。なお、下面30Bにおいて、複数の第2供給口が、第1液浸部材8Bの第1回収口24Bの周囲に所定間隔でほぼ連続的に配置されてもよい。
第2回収口28Bは、下面30Bの所定位置に配置されている。第2回収口28Bは、光路Kの周囲にほぼ連続的に配置されている。本実施形態においては、XY平面内における第2回収口28Bの形状は、環状であり、第2供給口17Bを囲むように配置されている。なお、下面30Bにおいて、複数の第2回収口が、第2供給口17Bの周囲に所定間隔でほぼ連続的に配置されてもよい。第2回収口28Bには、多孔部材31Bが配置されている。
なお、第1液浸部材8Bの下面15BのZ方向の位置と第2液浸部材29Bの下面30のZ方向の位置とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
露光装置EXは、流路22Bを介して、第1供給口16Bに第1液体LQ1を供給する第1液体供給装置19と、流路23Bを介して、第2供給口17Bに第2液体LQ2を供給する第2液体供給装置20と備えている。第1供給口16Bは、第1液体供給装置19からの第1液体LQ1を露光光ELの光路に供給する。第2供給口17Bは、第2液体供給装置20からの第2液体LQ2を光路Kの周囲空間の少なくとも一部に供給する。第2供給口17Bは、光路Kに対して、第1液浸部材8Bと基板Pとの間の空間の外側に、第2液体LQ2を供給する。
また、露光装置EXは、流路27Bを介して、第1回収口24Bからの液体を回収可能な第1液体回収装置26Bと、流路32Bを介して、第2回収口28Bからの液体を回収可能な第2液体回収装置33Bとを備えている。第1液体回収装置26Bは、第1回収口24Bと真空システムとを接続可能であり、第1回収口24Bから回収された液体を吸引可能である。同様に、第2液体回収装置33Bは第2回収口28Bと真空システムとを接続可能であり、第2回収口28から回収された液体を吸引可能である。なお、第1回収口24Bからは液体のみを回収するようにしてもよいし、液体と気体と一緒に回収するようにしてもよい。同様に、第2回収口28Bからは液体のみを回収するようにしてもよいし、液体と気体とを一緒に回収するようにしてもよい。
制御装置9は、第1供給口16Bを用いる液体供給動作と並行して、第1回収口24Bを用いる液体回収動作を実行する。これにより、光路Kが第1液体LQ1で満たされるように、第1液浸部材8Bと基板Pとの間に第1液体LQ1の第1液浸空間が形成される。本実施形態において、第1回収口24Bは、ほぼ第1液体LQ1のみを回収する。
また、制御装置9は、第2供給口17Bを用いる液体供給動作と並行して、第2回収口28Bを用いる液体回収動作を実行する。これにより、光路K(第1液浸空間)を取り囲むように、第2液浸部材29Bと基板Pとの間に第2液体LQ2の第2液浸空間が形成される。
次に、上述の構成を有する露光装置EXを用いて基板Pを露光する方法について説明する。基板Pを露光するために、基板ステージ2に保持された基板Pが露光位置EPに配置される。第1供給口16Bから第1液体LQ1が供給されることによって、第1液浸空間が形成され、第2供給口17Bから第2液体LQ2が供給されることによって、第2液浸空間が形成される。これにより、図5に示すように、光路Kが第1液体LQ1で満たされるように、一方側の終端光学素子10及び第1液浸部材8Bの少なくとも一部と他方側の基板Pとの間に第1液体LQ1が保持されるとともに、第1液体LQ1を囲むように、第2液浸部材29Bと基板Pとの間における光路Kの周囲空間に第2液体LQ2が保持される。
制御装置9は、基板Pを投影光学系PLの投影領域PRに対してY軸方向に移動するとともに、その基板PのY軸方向への移動と同期して、照明系ILの照明領域IRに対してマスクMをY軸方向に移動しつつ、投影光学系PLと第1液体LQ1とを介して露光光ELで基板Pを露光する。
本実施形態においても、屈折率が高い第1液体LQ1で光路Kが満たされているので、実質的に解像度及び焦点深度を向上することができる。したがって、基板Pに微細なパターンを良好に形成できる。
また、本実施形態においては、基板P上から液体を第2回収口28Bから回収しやすくするために、光路Kの周囲空間において、第2供給口17Bから第2液体LQ2を供給して、第1液体LQ1の物性を変化させる。ここで、物性には、粘性、表面張力、基板P表面における接触角の少なくとも一つを含む。本実施形態の露光装置EXは、基板P上の液体を基板Pと対向する回収口から回収するので、基板P上の液体は、粘性が低く、且つ表面張力が大きく、且つ基板P表面において接触角が大きいことが望まれる。本実施形態においては、第1液体LQ1の一部が第1回収口24Bで回収しきれずに、第1液浸部材8Bと物体との間の空間から流出したとしても、その流出した第1液体LQ1と第2供給口17Bから供給された第2液体LQ2とが混じり合い、基板P上において、その流出した第1液体LQ1が第2液体LQ2で希釈される。本実施形態においては、第1液体LQ1よりも、粘性が低く、表面張力が大きく、基板P表面において接触角が大きい第2液体LQ2で第1液体LQ1を希釈することによって、第2回収口28Bの近傍において基板P上の液体は、第1液体LQ1よりも、粘性が低く、表面張力が大きく、基板P表面における接触角が大きくなる。したがって、基板P上における液体の残留を抑制することができる。なお、本実施形態において、第2液体LQ2で第1液体LQ1を希釈することによって、第1液体LQ1の粘性を下げること、表面張力を大きくすること、接触角を大きくすることのすべてが達成される必要はなく、いずれか一つが達成されるだけでもよい。
本実施形態においても、第2液体LQ2に合わせて、基板Pの表面特性が決定されている。これにより、第2液体LQ2あるいは第1液体LQ1と第2液体LQ2とが混じり合った液体が第2液浸部材29Bと基板Pとの間の空間から流出したり、基板P上に残留したりすることを抑制することができる。
また、第1回収口24Bで第1液体LQ1が回収しきれずに、基板P上にナノ粒子の一部が残留したとしても、第2液体LQ2とともに、第2回収口28Bから回収することができる。また、第2液体LQ2によって第1液体LQ1が希釈されるので、第2回収口28Bで回収しきれずに、基板P上に液体が残留しても、基板P上でナノ粒子の異物の発生を抑制することができる。
同様に、第2液体LQ2に合わせて、プレート部材Tの表面特性が決定されているので、プレート部材T上における液体の残留等を抑制することができる。
また、本実施形態においては、ほぼ第1液体LQ1のみを回収する第1回収口24Bと、第1液体LQ1と第2液体LQ2とが混じり合った液体又はほぼ第2液体LQ2のみを回収する第2回収口28Bとをそれぞれ設けたので、例えば基板Pの表面での接触角、粘性及び表面張力等、第1液体LQ1の物性に応じて、第1回収口24Bの構造、第1回収口24Bに配置される多孔部材25Bの構造などを決定(最適化)できる。したがって、第1回収口24Bで第1液体LQ1を良好に回収できる。同様に、第1液体LQ1と第2液体LQ2とが混じり合った液体及び/又は第2液体LQ2の物性に応じて第2回収口28Bの構造、第2回収口28Bに配置される多孔部材の構造など決定(最適化)できるので、第2回収口28Bで第1液体LQ1と第2液体LQ2とが混じり合った液体及び第2液体LQ2を良好に回収できる。
また、本実施形態においては、基板P及びプレート部材Tの少なくとも一方との間で、ほぼ第1液体LQ1のみを保持する第1液浸部材8Bと、第1液体LQ1と第2液体LQ2とが混じり合った液体又はほぼ第2液体LQ2のみを保持する第2液浸部材29Bとをそれぞれ設けたので、第1液体LQ1の物性に応じて、第1液浸部材8Bの下面15Bの構造、表面特性等を決定(最適化)することができる。同様に、第1液体LQ1と第2液体LQ2とが混じり合った液体又は第2液体LQ2の物性に応じて、第2液浸部材29Bの下面30Bの構造、表面特性等を決定(最適化)することができる。
なお、本実施形態においても、基板P及びプレート部材Tの少なくとも一方の表面特性に合わせて、第2液体LQ2の物性を調整することができる。
なお、本実施形態において、第1供給口16Bが、基板Pの表面及びプレート部材Tの上面の少なくとも一方と面する位置に配置されてもよい。
また、本実施形態において、第2液浸部材29Bの下面30Bにさらに回収口を追加してもよい。例えば、第1液浸部材8Bの第1回収口24Bと第2液浸部材29Bの第2供給口17Bとの間に、環状の第3回収口を追加してもよい。この場合、第2液体LQ2が光路Kを満たす第1液体LQ1と混じり合うことをより確実に防止することができる。
また、本実施系形態において、第2液浸部材29Bを設けずに、第1液浸部材8Bに第2供給口17Bと第2回収口28Bも設けてもよい。
なお、上述の第1、第2実施形態においては、所定液体が純水である場合を例にして説明したが、純水以外の液体であってもよい。
なお、上述の各実施形態においては、所定液体に所定物質の微粒子(ナノ粒子)を混ぜることによって、第1液体LQ1(あるいは第2液体LQ2)を生成する場合を例にして説明したが、必ずしも、所定物質を微粒子(ナノ粒子)にした状態で混ぜなくてもよく、所定液体に所定物質が溶解していてもよい。
なお、上述の各実施形態においては、第2割合が第1割合より小さい(または第2割合が零)である場合を例にして説明したが、第2割合が第1割合より大きくてもよい。また、所定液体に第2割合で所定物質を混ぜて第2液体を生成し、第1液体が所定物質を含まないようにしてもよい。例えば、所定物質を多く含む液体(第2液体)のほうが、その第2液体の界面の形状を良好に維持できる場合、及び/または物体上から液体を回収しやすい場合には、第2割合を第1割合より大きくすることは有効である。
また、第1液体LQ1及び/又は第2液体LQ2の生成方法は、所定液体に所定物質を混ぜる方法に限られない。
また、第1液体LQ1の物性を変化させる方法は、第2液体LQ2で第1液体LQ1を希釈することに限られない。例えば、第2液体LQ2との化学反応によって第1液体LQ1の物性を変化させてもよい。
また、第1液体LQ1の物性を変化させる方法は、第2液体LQ2を供給することに限られない。例えば、第1液体LQ1に電場あるいは磁場をかけて第1液体LQ1の物性を変化させてもよい。
また、第1液体LQ1の物性を変化させることによって、第1液体LQ1の粘性、表面張力、物体上での接触角のすべてが変化する必要はなく、いずれか一つが変化するだけでもよい。
なお、上述の各実施形態において、投影光学系PLは、終端光学素子の射出側(像面側)の光路を液体で満たしているが、米国特許出願公開第2005/0248856号明細書等に開示されているように、終端光学素子の入射側(物体面側)の光路も液体で満たす投影光学系を採用することもできる。例えば、終端国学素子に次いで投影光学系PLの像面に近い光学素子の射出面と終端光学素子の入射面との間の光路が第1液体LQ1で満たされるように、第1液体LQ1を供給し、その光路の周囲空間の少なくとも一部に、第2液体LQ2を供給することができる。
なお、上述の各実施形態において、光路Kが、露光光ELの光路である場合を例にして説明したが、計測光の光路でもよい。
なお、上述の各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
露光装置としては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
さらに、ステップ・アンド・リピート方式の露光において、第1パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第1パターンの縮小像を基板P上に転写した後、第2パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第2パターンの縮小像を第1パターンと部分的に重ねて基板P上に一括露光してもよい(スティッチ方式の一括露光装置)。また、スティッチ方式の露光装置としては、基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写し、基板Pを順次移動させるステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
また、例えば米国特許第6611316号明細書に開示されているように、2つのマスクのパターンを、投影光学系を介して基板上で合成し、1回の走査露光によって基板上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置などにも本発明を適用することができる。また、プロキシミティ方式の露光装置、ミラープロジェクション・アライナーなどにも本発明を適用することができる。
また、露光装置EXとして、米国特許第6341007号明細書、米国特許第6400441号明細書、米国特許第6549269号明細書、米国特許第6590634号明細書、米国特許第6208407号明細書、米国特許第6262796号明細書等に開示されているような、複数の基板ステージを備えたツインステージ型の露光装置を採用することもできる。
更に、例えば米国特許第6897963号明細書、欧州特許出願公開第1713113号明細書等に開示されているような、基板を保持する基板ステージと基準マークが形成された基準部材、計測部材(光学部材)、及び各種の光電センサ等を搭載した計測ステージとを備えた露光装置にも本発明を適用することができる。また、上述の各実施形態は、複数の基板ステージと計測ステージとを備えた露光装置にも適用することができる。
計測ステージを備えた露光装置の場合、露光位置EPに配置可能な物体は、計測ステージを含む。また、物体は、計測ステージに配置される基準部材、計測部材(光学部材)等を含む。例えば第2液体LQ2に合わせて、光学部材の表面特性を決定したり、光学部材の表面特性に合わせて、第2液体LQ2を調整したりすることができる。なお、基準部材、計測部材(光学部材)を、上述の基板ステージに配置することもできる。
露光装置の種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)、マイクロマシン、MEMS、DNAチップ、あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
なお、上述の各実施形態においては、レーザ干渉計を含む干渉計システムを用いて各ステージの各位置情報を計測するものとしたが、これに限らず、例えば各ステージに設けられるスケール(回折格子)を検出するエンコーダシステムを用いてもよい。
なお、上述の各実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6778257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する可変成形マスク(電子マスク、アクティブマスク、あるいはイメージジェネレータとも呼ばれる)を用いてもよい。また、非発光型画像表示素子を備える可変成形マスクに代えて、自発光型画像表示素子を含むパターン形成装置を備えるようにしても良い。
上述の各実施形態においては、投影光学系PLを備えた露光装置を例に挙げて説明してきたが、投影光学系PLを用いない露光装置及び露光方法に本発明を適用することができる。このように投影光学系PLを用いない場合であっても、露光光はレンズ等の光学部材を介して基板に照射され、そのような光学部材と基板との間に液体が保持される。
また、例えば国際公開第2001/035168号パンフレットに開示されているように、干渉縞を基板P上に形成することによって、基板P上にライン・アンド・スペースパターンを露光する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
以上のように、本願実施形態の露光装置は、本願請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図6に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、上述の実施形態に従って、マスクのパターンを用いて露光光で基板を露光すること、及び露光された基板を現像することを含む基板処理(露光処理)を含む基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
なお、上述の各実施形態の要件は、適宜組み合わせることができる。また、上述の各実施形態及び変形例で引用した露光装置などに関する全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。
2…基板ステージ、9…制御装置、10…終端光学素子、11…射出面、16、16B…第1供給口、17、17B…第2供給口、24…回収口、24B…第1回収口、28B…第2回収口、EL…露光光、EX…露光装置、K…光路、LQ1…第1液体、LQ2…第2液体、P…基板、T…プレート部材、PR…照射領域、Rg…感光膜、W…基材
Claims (65)
- 光学部材を介して露光光で基板を露光する液浸露光に用いられる液浸システムであって、
前記光学部材の射出面と物体との間の光路が第1液体で満たされるように、前記第1液体を供給する第1供給口と、
前記第1液体を希釈する第2液体を、前記光路の周囲空間の少なくとも一部に供給する第2供給口と、を備えた液浸システム。 - 前記第1液体は、所定液体に所定物質を混ぜることによって生成され、
前記第2液体は、前記所定液体を含む請求項1記載の液浸システム。 - 前記第1液体は、前記所定液体に第1割合で前記所定物質を混ぜることによって生成され、
前記第2液体は、前記所定液体に前記第1割合と異なる第2割合で前記所定物質を混ぜることによって生成される請求項2記載の液浸システム。 - 光学部材を介して露光光で基板を露光する液浸露光に用いられる液浸システムであって、
所定液体に第1割合で所定物質が混ぜられた第1液体で、前記光学部材の射出面と物体との間の光路が満たされるように、前記第1液体を供給する第1供給口と、
前記第1割合と異なる第2割合で前記所定液体に前記所定物質が混ぜられた第2液体を、前記光路の周囲空間の少なくとも一部に供給する第2供給口と、を備えた液浸システム。 - 前記第2割合は、前記第1割合より小さい請求項3又は4記載の液浸システム。
- 前記第2割合は、零を含む請求項5記載の液浸システム。
- 前記第1液体と前記第2液体の少なくとも一方は、前記所定液体に前記所定物質が溶解している請求項3〜6のいずれか一項記載の液浸システム。
- 前記第1液体と前記第2液体の少なくとも一方は、前記所定液体に前記所定物質の微粒子を混ぜることによって生成される請求項2〜7のいずれか一項記載の液浸システム。
- 前記微粒子はナノ粒子を含む請求項8記載の液浸システム。
- 前記第1液体は、前記所定液体中に前記所定物質の微粒子を分散させることによって生成される請求項8又は9記載の液浸システム。
- 前記所定液体は、純水を含む請求項2〜10のいずれか一項記載の液浸システム。
- 前記第1供給口は、前記第2供給口よりも前記光路の近くに配置されている請求項1〜11のいずれか一項記載の液浸システム。
- 前記第1供給口は、前記光学部材と前記物体との間の光路に面している請求項1〜12のいずれか一項記載の液浸システム。
- 前記物体の表面は、前記第1供給口に面している請求項1〜12のいずれか一項記載の液浸システム。
- 前記物体の表面から液体を回収する第1回収口をさらに備えた請求項1〜14のいずれか一項記載の液浸システム。
- 前記第1回収口は、前記光路の周囲にほぼ連続的に配置されている請求項15記載の液浸システム。
- 前記第2供給口は、前記光路と前記第1回収口との間に配置される請求項15又は16記載の液浸システム。
- 前記光路に対して前記第1回収口よりも離れて配置され、前記物体の表面から液体を回収する第2回収口をさらに備えた請求項15又は16記載の液浸システム。
- 前記第2回収口は、前記光路の周囲にほぼ連続的に配置されている請求項18記載の液浸システム。
- 前記第2供給口は、前記光路に対して前記第1回収口よりも遠くに、且つ前記第2回収口の近傍に配置される請求項18又は19記載の液浸システム。
- 前記第2供給口は、前記第1回収口と前記第2回収口との間に配置される請求項20記載の液浸システム。
- 前記第1回収口は、ほぼ前記第1液体のみを回収する請求項18〜21のいずれか一項記載の液浸システム。
- 前記第2供給口は、前記光路の周囲にほぼ連続的に配置されている請求項1〜22のいずれか一項記載の液浸システム。
- 前記第2供給口は、前記物体の表面と対向する請求項1〜23のいずれか一項記載の液浸システム。
- 請求項1〜24のいずれか一項記載の液浸システムを備え、
前記液浸システムの第1供給口から供給される第1液体と光学部材とを介して露光光で基板を露光する露光装置。 - 前記物体は、前記基板を含む請求項25記載の露光装置。
- 前記物体は、前記第1供給口及び前記第2供給口に対して移動可能な部材を含む請求項25又は26記載の露光装置。
- 前記物体は、前記基板を保持する請求項27記載の露光装置。
- 前記第2液体に合わせて、前記物体の表面特性が決定される請求項25〜28のいずれか一項記載の露光装置。
- 前記表面特性は、前記物体の表面での前記第2液体の接触角を含む請求項29記載の露光装置。
- 前記物体の表面は、前記第2液体に対して撥液性である請求項29又は30記載の露光装置。
- 前記物体の表面特性に合わせて、前記第2液体が調整される請求項25〜30のいずれか一項記載の露光装置。
- 前記物体の表面での前記第2液体の接触角が所定範囲になるように、前記第2液体が調整される請求項32記載の露光装置。
- 請求項1〜33のいずれか一項記載の露光装置を用いて基板を露光することと、
露光された基板を現像することと、を含むデバイス製造方法。 - 光学部材を介して露光光で基板を露光する液浸露光に用いられる液浸システムであって、
前記光学部材の射出面と物体との間の光路が第1液体で満たされるように、前記第1液体を供給する第1供給口と、
前記光路の周囲空間の少なくとも一部において、前記第1液体の物性を変化させる変更装置と、
前記変更装置によって前記物性が変化された前記第1液体を回収する回収口と、
を備えた液浸システム。 - 前記物性は、前記第1液体の粘性、表面張力、前記物体の表面での接触角の少なくとも一つを含む請求項35記載の液浸システム。
- 前記変更装置は、前記粘性を減少させる請求項36記載の液浸システム。
- 前記変更装置は、前記表面張力を大きくする請求項36又は37記載の液浸システム。
- 前記変更装置は、前記接触角を大きくする請求項36〜38のいずれか一項記載の液浸システム。
- 前記変更装置は、前記物体の表面に合わせて前記第1液体の物性を変化させる請求項35〜39のいずれか一項記載の液浸システム。
- 前記変更装置は、前記光路の周囲空間の少なくとも一部に、前記物性を変化させる第2液体を供給する第2供給口を有する請求項35〜40のいずれか一項記載の液浸システム。
- 前記第1液体と前記第2液体とが混じることによって、前記物性が変化する請求項41記載の液浸システム。
- 前記第1液体は、所定液体に所定物質を混ぜることによって生成され、
前記第2液体は、前記所定液体を含む請求項41又は42記載の液浸システム。 - 前記第1液体は、前記所定液体に第1割合で前記所定物質を混ぜることによって生成され、
前記第2液体は、前記所定液体に前記第1割合と異なる第2割合で前記所定物質を混ぜることによって生成される請求項43記載の液浸システム。 - 請求項35〜44のいずれか一項記載の液浸システムを備え、
前記液浸システムの第1供給口から供給される第1液体と光学部材とを介して露光光で基板を露光する露光装置。 - 請求項45の露光装置で基板を露光することと、
前記露光された基板を現像することと、
を含むデバイス製造方法。 - 光学部材を介して露光光で基板を露光する露光方法において、
前記光学部材の射出面と物体との間の光路が第1液体で満たされるように、前記第1液体を供給することと、
前記第1液体を希釈する第2液体を、前記光路の周囲空間の少なくとも一部に供給することと、
前記第1液体と前記光学部材とを介して前記基板を露光することと、を含む露光方法。 - 前記第1液体は、所定液体に所定物質を混ぜることによって生成され、
前記第2液体は、前記所定液体を含む請求項47記載の露光方法。 - 前記第1液体は、前記所定液体に第1割合で前記所定物質を混ぜることによって生成され、
前記第2液体は、前記所定液体に前記第1割合と異なる第2割合で前記所定物質を混ぜることによって生成される請求項48記載の露光方法。 - 光学部材を介して露光光で基板を露光する露光方法において、
所定液体に第1割合で所定物質が混ぜられた第1液体で、前記光学部材の射出面と物体との間の光路が満たされるように、前記第1液体を供給することと、
前記第1割合と異なる第2の割合で前記所定液体に前記所定物質が混ぜられた第2液体を、前記光路の周囲空間の少なくとも一部に供給することと、
前記第1液体と前記光学部材を介して前記基板を露光することと、を含む露光方法。 - 前記第2割合は、前記第1割合より小さい請求項49又は50記載の露光方法。
- 前記第2割合は、零を含む請求項51記載の露光方法。
- 前記第1液体は、前記所定液体に前記所定物質の微粒子を混ぜることによって生成される請求項48〜52のいずれか一項記載の露光方法。
- 前記微粒子はナノ粒子を含む請求項53記載の露光方法。
- 前記第1液体は、前記所定液体中に前記所定物質の微粒子を分散させることによって生成される請求項53又は54記載の露光方法。
- 前記所定液体は、純水を含む請求項48〜55のいずれか一項記載の露光方法。
- 前記物体の表面から液体を回収することをさらに含む請求項47〜56のいずれか一項記載の露光方法。
- 前記物体は、前記基板を含む請求項50〜57のいずれか一項記載の露光方法。
- 光学部材を介して露光光で基板を露光する露光方法であって、
前記光学部材の射出面と物体との間の光路が第1液体で満たされるように、前記第1液体を供給することと、
前記光路の周囲空間の少なくとも一部において、前記第1液体の物性を変化させることと、
前記物性が変化された前記第1液体を回収することと、
を含む露光方法。 - 前記物性は、前記第1液体の粘性、表面張力、前記物体の表面での接触角の少なくとも一つを含む請求項59記載の露光方法。
- 記第1液体の物性を、前記物体の表面に合わせて変化させる請求項59又は60記載の露光方法。
- 前記光路の周囲空間の少なくとも一部に第2液体を供給することによって、前記第1液体の物性を変化する請求項59〜61のいずれか一項記載の露光方法。
- 前記第1液体は、所定液体に所定物質を混ぜることによって生成され、
前記第2液体は、前記所定液体を含む請求項62記載の露光方法。 - 前記第1液体は、前記所定液体に第1割合で前記所定物質を混ぜることによって生成され、
前記第2液体は、前記所定液体に前記第1割合と異なる第2割合で前記所定物質を混ぜることによって生成される請求項63記載の露光方法。 - 請求項47〜64のいずれか一項記載の露光方法を用いて基板を露光することと、
露光された基板を現像することと、を含むデバイス製造方法。
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Cited By (2)
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JP2011129914A (ja) * | 2009-12-18 | 2011-06-30 | Asml Netherlands Bv | リソグラフィ装置及びデバイス製造方法 |
WO2013099959A1 (ja) * | 2011-12-28 | 2013-07-04 | 株式会社ニコン | 露光装置、露光方法、デバイス製造方法、プログラム、及び記録媒体 |
-
2008
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